Learn from foreign experiences in HLW management

《韓国》中低レベル放射性廃棄物処分施設の新たな候補サイトの選定に関する公告

韓国産業資源部(MOCIE)は2005年6月16日付けのプレスリリースにおいて、韓国の中低レベル放射性廃棄物処分施設の設置のための新たな候補サイト選定などに関する公告を行った。同公告は2005年3月に可決した中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致地域支援に関する特別法(誘致地域支援特別法) に基づくもので、新たなサイトの選定の手続き、複数地域が競合する場合の候補サイトの選定方式および誘致地域に対する具体的な支援内容などを示したものである。

公告の概要は以下の通りである。

1) サイト選定の手続き

  • サイト選定手続きの公正かつ透明な管理のために、人文・社会、科学・技術分野の専門家および言論界、法曹界、市民団体の代表者などの17名で構成されるサイト選定委員会を2005年3月に設置。
  • 自治体の誘致申請については、誘致地域を管轄する基礎自治体(市・郡または特別市および広域市の自治区)(以下、管轄基礎自治体)の首長が地方議会の同意を得て、2005年8月31日までにMOCIE長官に申請を行う。
  • 誘致申請を行った自治体が2ヶ所以下である場合、サイト選定委員会は必要に応じて、世論調査を通じ住民投票の実施対象地域を新たに定めることができる。
  • 住民投票の発議については、住民投票の実施対象地域に対し、住民投票法に基づく国家政策に関する住民投票の実施をMOCIE長官が要求し、同法の関連手続きに沿って、自治体の首長が受け入れるかどうかを決めて発議する。住民投票の発議は2005年10月22日に締め切る。
  • 住民投票は発議時点で定められた日に複数地域で同時に実施し、遅くとも11月22日までに完了する。

2) 複数地域が競合する場合の候補サイトの選定方式

  • 処分施設サイトについては、サイトの適合性、事業推進環境、施設に対する地域のコンセンサスの三つの要素を段階毎にそれぞれ評価し、各段階で適合した地域のみを次の段階へ進めることとする。
  • サイトの適合性と事業推進環境については、サイト選定委員会によって、遅くとも住民投票の発議時点以前までに適否を評価し、管轄基礎自治体に通知する。住民投票は、サイト適合性の評価によって適合とされた地域に限って実施し、候補サイトは住民投票の結果で、賛成率が一番高い地域を選定する。
  • 選定された候補サイトについては、電源開発促進法の規定に基づき、電源開発事業予定区域に指定し告示する。

3) 誘致地域に対する支援

  • 誘致地域に対しては、2005年3月に制定・公布された誘致地域支援特別法に基づいて、韓国水力原子力株式会社(KHNP)による3,000億ウォンの特別支援金による支援を、施設の操業開始前に管轄基礎自治体などに行う。
  • 処分施設の操業段階で施設に搬入される中低レベル放射性廃棄物の量に応じて徴収される年平均約85億ウォン規模の搬入手数料を、管轄基礎自治体などに納付する。
  • KHNPは、施設に対する電源開発事業実施計画の承認時点から3年間以内に、誘致地域に本社の移転を完了する。
  • 陽子加速器事業は、誘致地域を管轄する広域自治体(特別市・広域市・道)の知事が管轄基礎自治体の首長と協議し、陽子加速器の誘致機関を決定する。
  • 誘致地域支援特別法に基づき、首相を委員長とする誘致地域支援委員会を設置し、政府を上げて誘致地域の支援体制を構築し、地域開発特例制度の導入などを通じ、地域開発事業を支援する。

なお、サイト選定委員会の小委員会の一つとして、委員4名と地震、地質構造、地盤、地下水、環境分野の専門家5名などで構成されるサイト適合性小委員会が設置されている。本小委員会は、候補サイトの選定後に長期間実施されるサイト特性調査および環境影響評価などの調査に先立って行われる予備サイト調査に対する専門的な検証および評価を行う。今回、サイト適合性小委員会は、KHNPが自治体との協議を通じてサイト調査に着手した4市・郡の5サイトについて、調査結果の検証と現地訪問調査を実施したことを同時に発表した。サイト適合性小委員会は、4市・郡の5サイトおよび現在調査を進めているサイト(下表を参照)に対して、住民投票を実施要求する前までにサイト適合性評価を終了する予定としている他、今後サイト調査を希望する自治体に対しても、既存の調査地域と同一の基準に沿ってサイト適合性評価を行う計画であることを表明している。

誘致地域支援特別法に基づく 新しいサイト誘致選定手順

表 サイト適合性小委員会のサイト適合性評価の状況

調査地域
調査結果
備考
郡山市少龍洞(クンサン市ソリョン洞)ピウン島 地質条件が比較的良好
慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里) 地質条件が比較的良好
慶州市陽南面(キョンジュ市ヤンナム面)サンラ里 熱水変成による軟弱帯が幅広く不規則的に発達し、一般的な工学的補強では安全の確保が困難
盈徳郡蒼水面(ヨンドク郡チャンス面)シン里 地質条件が比較的良好 丑山面(チュクサン面)一帯での追加サイト調査を実施
蔚珍郡北面(ウルチン郡プク面)ソコク里/サンタン里 地質条件が比較的良好 北面(プク面)の調査地域をコモク里まで拡大
浦項市竹長面(ポハン市チュクチャ面)サンオク里一帯 サイト調査実施中
三陟市遠徳邑(サムチュク市ウォンドク邑)イチョン里一帯 サイト調査開始

【注1】
韓国の地方自治体としては、広域自治体(ソウル特別市、6つの広域市、道)とその下に基礎自治体(市、郡、特別市および広域市の自治区)があり、この基礎自治体の下部行政単位として邑、面、洞がある。

【出典】

  • 中低レベル放射性廃棄物処分施設の候補サイト選定などに関する公告
  • 中低レベル放射性廃棄物処分施設サイト選定の手続きおよび基準(公告資料)
  • 中低レベル放射性廃棄物処分施設事前サイト調査暫定評価結果(公告資料)

【2005年7月12日追記】

2005年7月6日、韓国産業資源部(MOCIE)はプレスリリースで、7月6日、8日にそれぞれ慶尚北道(キョンサンプクト)、全羅北道(チョルラプクト)において、MOCIE、科学技術部(MOST)、行政自治部による政府合同説明会を開催することを公表した。同説明会は誘致地域支援特別法に基づき、地元住民に中低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手順、誘致地域に対する支援内容などを周知するために行われる活動の一環であり、市・郡などの基礎自治体の首長または地方議会が要請した場合は、市・郡単位の説明会も行われる予定とされている。

・韓国産業資源部(MOCIE)プレスリリース、2005年7月6日

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )