Learn from foreign experiences in HLW management

《英国》放射性廃棄物管理方針の検討状況について-CoRWMの第1回年次報告書と上院科学技術特別委員会の報告書が公表される

○放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の年次報告書

放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)1 は、第1回年次報告書を同委員会のウェブサイトで公開した。この年次報告書は、CoRWMの規約において、毎年12月1日までに環境担当大臣2 に提出することが求められていたものである。今回の年次報告書では、CoRWMが活動を開始した2003年11月から2004年11月までの活動内容や環境担当大臣と合意に至った今後の活動プログラムの概要などが示されている。また、同報告書には、2005年6月に最終的に決定する予定の放射性廃棄物管理オプション候補リスト(2004年11月に公表)に関する情報も示されている。なお、CoRWMは2004年9月をもって4つの段階からなる放射性廃棄物管理方針の検討段階の第1段階を終了しており、現在は2005年6月に終了予定の第2段階にある。

今回の年次報告書で示されたCoRWMの2003年11月から2004年11月における主な活動は以下のとおりとされている。

  • 活動プログラムの作成・実施
  • 放射性廃棄物管理方針の検討段階の第1段階終了、第2段階の活動詳細の決定および開始
  • 当初5つの段階で構成されていた管理方針の検討段階を4つの段階に変更
  • 公衆・利害関係者参画(PSE)プログラムと呼ばれている大規模な公衆の関与と協議プログラムの作成・実施
  • 予備的な放射性廃棄物管理オプション候補リストの作成

また、CoRWMによる今後の活動プログラムについては、放射性廃棄物管理検討段階の第2段階での活動スケジュールおよび第3,4段階の活動概要が示されている。

○上院科学技術特別委員会の放射性廃棄物管理に関する報告書

2004年12月10日の英国議会上院のプレスリリースによると、上院科学技術特別委員会は、政府による放射性廃棄物管理方針策定の進捗が遅いことを批判する報告書を公表した。

プレスリリースによると、同委員会は、政府が政府内の科学専門家に諮問することなく、また地下処分または地下貯蔵が安全な長期管理オプションであるという圧倒的な国際的科学的合意があるにもかかわらず、新たな諮問組織である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)に放射性廃棄物管理方針の検討を白紙の状態から開始させたことに驚きを示している。

プレスリリースでは、同委員会の結論として、以下の点が示されている。

  • CoRWMは、宇宙処分などの国際社会によって放棄されている管理オプションを検討するような時間の浪費をやめ、様々な地下処分または地下貯蔵オプションに注力すべきである。
  • CoRWMは放射性廃棄物管理オプションを評価するための関連する科学的・技術的専門性を欠いている。
  • 担当大臣は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の科学アドバイザー長に諮問しなかったため、CoRWMが設置される際に適切な科学的勧告を受けていない。
  • 政府は地球科学、材料工学、土木工学の専門家をCoRWMの委員として追加指名するか、CoRWMの下に技術諮問委員会を設けるべきである。
  • 政府は放射性廃棄物の長期管理戦略の策定の遅延を、原子力発電の将来についての決定を先送りする口実として利用すべきでない。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)年次報告書、http://www.corwm.org/pdf/735%20-%20First%20Annual%20Report%2020041130%20_latest.pdf、2004年12月
  • 上院の2004年12月10日付のプレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/lords_press_notices/pn101204st.cfm
  1. CoRWMは、高レベル、中レベル、一部の低レベル放射性廃棄物とウラン、プルトニウム、使用済燃料についての長期管理オプションに関する勧告を政府に対して行う責任を有するものとして2003年に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した機関であり、2003年11月から活動を開始している。 []
  2. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-12 )