2004年12月1日の英国貿易産業省(DTI)のプレスリリースによると、欧州委員会(EC)は、原子力廃止措置機関(NDA)に関する国家補助1 について、正式な調査を開始した。英国政府は、2003年12月に、ECに対してNDAに関して国家補助を行う意向を伝えていた。NDAは、原子力遺産と称される英国の過去の原子力債務を管理するため、2004年7月に成立したエネルギー法 に基づいて政府外公共機関(NDPB)として設置されている。
DTIによるプレスリリースでは、欧州委員会の調査期間におけるNDAへの暫定的な財政支援により、NDAは予定通り2005年4月1日に活動を開始できるとされている。また、NDAの設置に向けた以下の3つの重要な作業が2004年12月6日の週には完了することを政府が発表したことも伝えられている。
- エネルギー法に基づいた、NDAに様々な責任を課すための政府指示
- エネルギー法に基づいた、NDAへの支出額についての政府方針を定める声明の公表
- 協議用の年間活動計画書ドラフト版の公表
○年間活動計画書の協議
2004年10月13日、原子力廃止措置機関(NDA)は、その活動計画の早期周知のため、エネルギー法で定められている協議の前の段階において、年間活動計画書ドラフトの事前協議版を公表し、その内容についての意見を求めている。事前協議版では、NDAによる原子力サイトの廃止措置およびクリーンアップ作業、施設の操業、その他のNDAの機能や活動についての計画が示されている。今後は、作成されるドラフト版に基づいて協議を行い、必要な改訂を加えた後、政府に提出し承認を受けることになっている。承認後、年間活動計画書は公表され、英国議会およびスコットランド議会に提出される。
○地域協定締結
2004年11月1日、貿易産業省(DTI)は、ウエスト・カンブリア戦略フォーラムの第1回会合において、原子力廃止措置機関(NDA)、地方当局、北西部開発機関(NWDA)2 と、ウエスト・カンブリアの経済振興を保証する協定に署名した。原子力産業におけるウエスト・カンブリアでの雇用状況は、クリーンアップ事業などによる新規雇用の創出があるものの、セラフィールドにおける商業活動の減少によって、悪化することが予測されている。ウエスト・カンブリア戦略フォーラムは、セラフィールドにおける廃止措置とクリーンアップ事業による経済的な影響を検討し、ウエスト・カンブリアに持続可能な経済を創出するために設置されたもので、年に2回、ロンドンとカンブリアで開催されることになっている。なお、エネルギー法により、NDAは原子力サイト近隣地域の社会・経済環境に有益な活動を支援しなければならないことになっている。また、貿易産業相は、NDAはウエスト・カンブリアのウエストレイク科学技術パークに拠点をおくことになると発表した。
【出典】
- 貿易産業省(DTI)の2004年12月1日付けのプレスリリース
http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/WGLaunch.aspx?ARTCL=28407 - 欧州連合(EU)の2004年12月1日付けのプレスリリース
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/04/1430&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en - 欧州条約 http://europa.eu.int/comm/competition/state_aid/legislation/aid3.html#A
- 原子力廃止措置機関(NDA)の2004年10月13日付けのプレスリリース
http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=15 - 貿易産業省(DTI)の2004年11月1日付けのプレスリリース
http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/WGArticle.aspx?WCI=htmArticleView&WCU=ARTCL_PKEY%3d27713
【2004年12月15日追記】
2004年12月10日、NDAは2005-2006年の年間活動計画書のドラフト版を公開し、2ヵ月間にわたる利害関係者との協議を開始した。
ドラフト版公開ウェブサイト:http://www.nda.gov.uk/documents/nda_annual_plan_-_final_draft_for_consultation_revb.pdf
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )