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韓国産業通商資源部が「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」を公表

韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、2021年12月7日付けの公告において、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示する「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」(以下「第2次基本計画案」という)を公表し、2021年12月21日を期限としたパブリックコメントの募集を開始した。MOTIEは、この第2次基本計画案において、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)を安全かつ効率的に管理するための政策ロードマップを提示する意向を持っている。

MOTIEは、今回の第2次基本計画案の検討に資するため、2019年5月に人文・社会、法律・科学、コミュニケーション・紛争管理、調査・統計などの中立的な専門家15名で構成される「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)を設置し、再検討委員会が行う勧告を最大限尊重して政策を推進する考えを示していた。再検討委員会は、2021年3月に政府へ提出した勧告書において、使用済燃料管理特別法を制定する必要性を指摘するなど、使用済燃料の管理政策の見直しに関する勧告を行っていた。MOTIEは第2次基本計画案において、再検討委員会が指摘した特別法の制定や現行の放射性廃棄物管理法の全面改正を検討する方向性を打ち出している。また、今後の法整備を踏まえて、使用済燃料の中間貯蔵施設や処分施設のサイト選定プロセス、地域支援策、技術開発、人材育成などを含む高レベル放射性廃棄物管理基盤の構築、並びに専任組織の設置を行うとしている。

なお、第1次基本計画は朴槿恵(パク・クネ)政権時の2016年7月に策定されたが、翌2017年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権における漸進的な脱原子力発電政策に伴う使用済燃料の予測発生量の低減に対応するため、2018年5月から基本計画の見直しが行われていた 。

■第2次基本計画案における高レベル放射性廃棄物管理の基本方針

MOTIEは再検討委員会の勧告を受けて、高レベル放射性廃棄物管理の基本方針を構成する原則の見直しを行っている。第1次基本計画では原則3に含まれていた「原子力発電所の持続可能な発展」という記述を削除し、新たに「可逆性・回収可能性の考慮」(原則6)を加えている。第2次基本計画案に提示されている高レベル放射性廃棄物管理の基本方針となる原則は以下のとおりである。

~第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)における基本方針~

原則1:
高レベル放射性廃棄物を国家の責任の下で安全に管理し、安全管理に関する国内外の規範を誠実に遵守する
原則2:
高レベル放射性廃棄物を生態・環境的に安全に管理し、国民の健康と環境に対する危害防止を最優先に考慮する
原則3:
高レベル放射性廃棄物に関する情報を公開し、国民と住民の参加と共感の中で信頼を高める
原則4:
原子力発電の恩恵を享受した現世代が高レベル放射性廃棄物の管理責任を果たし、管理費用は発生者が負担する
原則5:
高レベル放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処分能力向上と効率的な管理のために必要な技術を持続的に開発する
原則6:
技術的発展の可能性と安全性に関する条件の変化などを踏まえ、意思決定の可逆性と高レベル放射性廃棄物の回収可能性を考慮する

政府の重点推進課題として、以下の3項目を取り上げている。

  1. 科学的合理性と社会的合意に基づく管理施設の確保
  2. 地域共同体に向けた政府全体としての支援・コミュニケーション体制構築
  3. 安全管理のための政策基盤拡充

■政策ロードマップ

重点推進課題1.に関してMOTIEは、高レベル放射性廃棄物の管理施設のサイト選定が急務であるという認識のもと、処分施設の操業開始までに要する期間が、サイト選定作業の着手から37年後となるような政策ロードマップを示している。また、使用済燃料の中間貯蔵施設、地下研究施設及び処分施設を同一のサイトに立地する構想である。

処分方式としては、多重バリアシステムによる地層処分を優先的に考慮するが、技術的代替案(超深孔処分など)も並行して考慮することを示している。なお、第1次基本計画では、政策ロードマップに「国際共同貯蔵・処分の可能性の検討」及び「研究用地下研究所の立地・建設・操業」が盛り込まれていたが、これらは第2次基本計画案では削除されている。

高レベル放射性廃棄物管理施設に関する政策ロードマップ

 

■第2次基本計画の策定に向けた今後の予定

今回公表された第2次基本計画案に対しては、行政手続法の規定により、2021年12月21日を期限として産業通商資源部(MOTIE)長官宛てで意見書の提出が可能となっている。MOTIEは、案に対する追加的な専門家議論と国民の意見収斂のため、討論会を開催する意向を明らかにしている。なお、韓国では2022年3月に大統領選挙が予定されている。

第2次基本計画案は、原子力振興委員会の専門委員会による検討、原子力振興委員会本会議の審議・議決を経て確定される。また、高レベル放射性廃棄物管理基本計画は、国会の所管常任委員会に提出されることとなっている。

【出典】

 

【2022年1月7日追記】

韓国で2021年12月27日に、国務総理(首相)が主宰する第10回原子力振興委員会が開催され、本会議での審議・議決を経て、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示した「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「第2次基本計画」という)が確定した。原子力振興委員会は、韓国における原子力利用に関する重要事項を審議・決定する政府の意思決定機関であり、第2次基本計画の策定を担当した産業通商資源部(MOTIE)のほか、科学技術情報通信部、外交部の各部長官 1 、民間委員等が出席して開催された。

今回の原子力振興委員会では、原子力に関する技術開発及び利用政策を一貫的かつ体系的に推進するため、最上位の法定計画として5年ごとに策定される「原子力振興総合計画」(第6次)も併せて審議・確定された。放射性廃棄物の安全な管理基盤の構築を目的として、使用済燃料の貯蔵及び処分に関する研究開発については、2021年から2029年の期間に合計4,300億ウォン(約411億円、1ウォン=0.0956円として換算)の予算とする計画である。

【出典】


  1. 韓国の「部」はわが国の「省」にあたる[]

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-17 )