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《ベルギー》放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)と連邦原子力管理庁(FANC)が浅地中処分場の建設許可に係る新たなスケジュールを公表

ベルギーの原子力安全の規制行政機関である連邦原子力管理庁(FANC)は、2015年11月9日に、放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)と協議し、短寿命の低中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可に係る新たなスケジュールを公表した。

ベルギーでは、2006年6月に、短寿命の低中レベル放射性廃棄物の処分場をデッセル自治体に設置することを決定しており、2013年1月には、ONDRAF/NIRASが浅地中処分場の建設許可申請を提出していた。連邦原子力管理庁(FANC)は、浅地中処分場の建設許可申請の審査において、補足が必要な点についての質問を提示しており、ONDRAF/NIRASは申請書類を補完するため、質問に対する回答を準備している。このような状況のもと、今回、ONDRAF/NIRASとFANCは、申請書類を効率的に最終版とするため、建設許可において重要なマイルストーンとなる科学審議会(CS)1 の見解を得る2 までのスケジュールを以下のように設定した。

スケジュール

  • 2016年第3四半期まで: FANCの質問に対する回答及び新たな評価結果等の追加情報をONDRAF/NIRASが提出
  • 2017年第1四半期まで:建設許可申請とともに提出する安全報告書の改訂
  • 2017年第2四半期半ばまで:FANCが科学審議会(CS)に提出する評価報告書を作成
  • 2017年6月:科学審議会(CS)が見解を提示

【出典】

 

【2017年6月15日追記】

デッセル自治体の放射性廃棄物調査・協議グループ(STORA)は2017年6月13日に、短寿命の低中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可までの手続を半年程度遅らせるとするスケジュールを公表した。STORAは、処分の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)とパートナーシップを構築して、本計画に参加・関与している。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、浅地中処分場の建設許可申請を連邦原子力管理庁(FANC)に提出しており、現在、FANCが審査を行っている。FANCは2015年11月に、審査結果について取りまとめた報告書を2017年第2四半期半ばまでに科学審議会(CS)に提出し、2017年6月には科学審議会(CS)の見解を得るとしていた。

今回公表されたSTORAの情報では、以下のようなスケジュールが示されている。

  • 2017年夏頃まで:建設許可申請に関して、FANCが提示した約300件の質問に対して、ONDRAF/NIRASが回答を提出
  • 2018年初め:科学審議会(CS)が見解を提示
  • 2018年:科学審議会(CS)の見解が肯定的であった場合、処分場周辺5km圏内の自治体に対する意見募集を実施
  • 2019年:科学審議会(CS)が自治体の見解も踏まえて提示する最終見解が肯定的であった場合、王令による建設許可が発給され、建設開始
  • 2022年:処分場への廃棄物の定置開始

 

【出典】

 

【2017年12月19日追記】

デッセル自治体の放射性廃棄物調査・協議グループ(STORA)は2017年12月14日に、短寿命の低中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可手続きの進捗状況を公表した。STORAは、処分の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)とパートナーシップを構築して、本計画に参加・関与している。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、アントワープ州デッセル自治体に立地する浅地中処分場の建設許可申請を連邦原子力管理庁(FANC)に提出しており、現在、FANCが審査を行っている。審査で行われた質疑応答の結果として、ONDRAF/NIRASは、浅地中処分場について、以下のような改善を図るとしている。

  • プルトニウムのような長寿命放射性核種の含有量制限を強化する
  • 外部から浸入した水が廃棄体付近に滞留しないように処分場設計を変更する
  • 処分場の下部に放射性核種の吸着層を追加する

今後ONDRAF/NIRASは、建設許可申請に係る安全報告書を改訂し、FANCに再提出する予定である。今回公表されたSTORAの情報では、以下のようなスケジュールで、浅地中処分場の操業までの手続きを進めるとしている。

  • 2018年:処分場周辺5km圏内及びアントワープ州の自治体に対する意見募集を実施
  • 2019年:王令による建設許可の発給
  • 2022年末:処分場への短寿命の低・中レベル放射性廃棄物の定置開始

【出典】

 

【2019年2月6日追記】

ベルギーの放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は2019年2月5日に、短寿命の低中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場建設の許認可手続きにおいて、連邦原子力管理庁(FANC)に対し、安全報告書の改訂版を提出したことを公表した。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、浅地中処分場の建設許可申請をFANCに提出したが、FANCは安全報告書の内容に関して約300件の補足情報等を要求していた。ONDRAF/NIRASは、2017年末に、FANCに対して最後の補足情報を提出した後、安全報告書の改訂作業を行い、今回、FANCに安全報告書を再提出したものである。

FANCは、改訂された安全報告書の内容を審査し、その結果を取りまとめた審査報告書を科学審議会(CS)に提出し、科学審議会の見解を得る予定である。今後、ONDRAF/NIRASは、以下のような流れで許認可手続きを進める予定としている。

  • FANCからの諮問に対し、科学審議会が肯定的な見解を示した場合、FANCが処分場周辺自治体や欧州委員会(EC)に対する意見募集を行い、取りまとめ
  • 処分場周辺自治体等から提出された意見を踏まえ、再度、科学審議会は見解案と許認可条件案を提示
  • ONDRAF/NIRASは、科学審議会の見解案と許認可条件案について、30日以内に意見を示し、その後、科学審議会が最終的な見解を決定
  • 2020年半ばに、ONDRAF/NIRASが王令による建設許認可を取得
  • 2024年に、ONDRAF/NIRASが処分場への放射性廃棄物の定置を開始

 

【出典】

  1. FANC内部に設置されている諮問組織 []
  2. 「電離放射線に起因する危険からの公衆及び環境の防護、並びに連邦原子力管理庁(FANC)の設置に関する法律」において、放射性物質が存在する施設の建設操業に係る許可申請を審査する際、FANCは科学審議会(CS)の見解を得ることになっている。 []

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )