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《スウェーデン》SKB社が短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場の拡張を申請

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2014年12月19日付けのプレスリリースにおいて、短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張に関して、環境法典に基づく申請書を土地・環境裁判所に、原子力活動法に基づく申請書を放射線安全機関(SSM)に提出したことを公表した。SKB社が操業するSFRは、ストックホルムの北120kmのエストハンマル自治体フォルスマルクにあり、原子力発電所の運転廃棄物を1988年から受け入れ、処分している。SKB社は、原子力発電所の運転期間の延長への対応のほか、原子力発電所の廃止措置が今後本格的に開始されることを踏まえ、既存部分との合計で約171,000m3の処分容量を確保する計画である。

SFRの拡張計画(SKB社提供)

SFRの拡張計画(SKB社提供)

SFRは、バルト海の浅い海岸部(水深は約5m)の約60m以深の岩盤内に設置されており、1つのサイロと4つの処分坑道で構成されている(図の右側の灰色部分)。当初約63,000m3の低中レベル放射性廃棄物を処分できるように建設され、1988年から原子力発電所の運転に伴って発生する廃樹脂、雑固体などの短寿命運転廃棄物と呼ばれる放射性廃棄物を処分しているほか、医療、研究、産業で発生した放射性廃棄物も受け入れて処分している。

今回の拡張では地下約120mに6つの処分坑道、108,000m3を増設(図の左側の青色部分)することにより、既存部分との合計で約171,000m3の処分容量となる。拡張部分は、主として廃止措置廃棄物の処分用区画であるが、運転廃棄物の一部も処分される。また、SFRの既存部分でも、廃止措置廃棄物の一部が処分される。また、原子炉の炉心を収める圧力容器(RPV)を処分区画に運搬できるように、大断面のアクセス坑道が新たに建設される。SKB社は、SFRの拡張部分の建設を2017年から開始し、2023年から廃棄物の受け入れを実施する計画である。

なお、SFRが立地するエストハンマル自治体フォルスマルクでは、SKB社が使用済燃料処分場を立地・建設する計画であり、SKB社が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書と原子力活動法に基づく申請書がそれぞれ土地・環境裁判所、放射線安全機関(SSM)において審査が行われている。このうち、SSMによる安全審査については、2015年にSSMが政府へ審査意見を提出する予定である

【出典】

 

【2016年7月6日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2016年7月4日付けのプレスリリースにおいて、短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張に関して、環境法典及び原子力活動法のそれぞれに基づく審査の過程で放射線安全機関(SSM)等から提出された意見に対応するために、許可申請書の補足書を提出したことを公表した。SSM等はSKB社に対して、SFRの拡張が環境に及ぼす影響の明確化や追加説明を要求していた。SSM及び土地・環境裁判所で進行中の審査はあと数年を要する見通しであり、それらの結果が示された後で、地元エストハンマル自治体がSFR拡張プロジェクトの受け入れ是非を判断し、地元の受け入れ意思を確認した上で政府決定として許可が発給されることになる。SFRの拡張部分の建設には許可発給を受けてから約6年間を要する見込みである。

なお、エストハンマル自治体のフォルスマルクでは、SKB社が使用済燃料処分場を立地・建設する計画であり、SSMによる安全審査が大詰めを迎えている。SKB社が2011年3月に行った処分場の立地・建設許可申請について、SSMは2016年6月29日に土地・環境裁判所に対して意見書を提出している。今後、SSM及び土地・環境裁判所はそれぞれ、SKB社による申請を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することとなっており、政府決定の前には使用済燃料処分場の立地・建設に関するエストハンマル自治体の受け入れ意思の確認が行われる。SSMは政府への意見書を2017年に提出する予定である

【出典】

 

【2017年12月12日追記】

放射線安全機関(SSM)及びスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2017年12月11日付けのプレスリリースにおいて、SSM及び土地・環境裁判所による短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張のための申請書に対する審査について、関係機関や公衆からの意見募集を開始することを公表した。

SKB社の申請書に対して原子力活動法に基づく審査を行っているSSMは、2017年12月11日付けのプレスリリースにおいて、SFRを拡張するSKB社の計画に対する公衆からの意見募集を2018年3月11日まで行うことを公告した。SSMは意見募集の結果も踏まえて、SKB社の申請を認めるか否かに関する意見書を2019年に政府に提出する予定としている。

また、SFRの拡張のための申請については、SSMの審査と並行して、ナッカ土地・環境裁判所が環境法典に基づく審理を実施している。ナッカ土地・環境裁判所は今後、関係行政機関や環境団体、公衆から意見募集を2018年3月19日まで実施した後、2018年11月から12月に口頭弁論を開催する予定である。口頭弁論の後、土地・環境裁判所も政府に対して意見書を提出する。SFRの拡張の実施可否は、SSM及び土地・環境裁判所の意見書等を踏まえて、最終的に政府が判断することになる。

【出典】

 

【2018年12月20日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2018年12月19日付のプレスリリースにおいて、短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張に関して、ナッカ土地・環境裁判所が実施した意見募集で関係機関等から提出された意見に対して、同日付で土地・環境裁判所に回答を提出したことを公表した。SKB社のプレスリリースによれば、原子力活動法に基づく審査を実施している放射線安全機関(SSM)も、2019年1月に土地・環境裁判所へ意見書を提出する予定である。

今後、環境法典に基づく審理を担当しているナッカ土地・環境裁判所は、SFRの拡張に関する口頭弁論を2019年秋に開催する予定である。口頭弁論の開催後、土地・環境裁判所とSSMは、それぞれの意見書を政府に提出することになっており、これらの意見書を踏まえて、政府がSFR拡張の可否を判断することになる。

【出典】

 

【2019年1月21日追記】

放射線安全機関(SSM)は、2019年1月17日付けのプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)の短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張のための申請に関して、土地・環境裁判所から要請されていた意見書を提出したことを公表した。SSMは土地・環境裁判所に提出した意見書の中で、SKB社が放射線安全の要件を遵守して原子力活動を遂行できることを立証しているとの判断結果を述べている。

SSMは、SKB社が申請書において提示した施設のレファレンス設計によって、拡張されたSFRの長期安全性が確保されることをSKB社が立証していると評価していることを表明するとともに、環境法典において求められている申請活動に関する方法と場所の選択理由に関する説明責任をSKB社は果たしており、同社の環境影響報告書(EIS)は承認できることを表明している。

【出典】

 

【2019年6月28日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2019年6月27日付けのプレスリリースにおいて、短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張に関して、土地・環境裁判所が政府へ意見書を提出するのに先立って実施する口頭弁論について、開催日程が決定したことを公表した。口頭弁論は、ストックホルム近郊のナッカ土地・環境裁判所において、2019年9月23日から10月3日まで開催される。

口頭弁論の開催後、土地・環境裁判所は、SKB社の環境法典に基づく申請に関する意見書を政府に提出する。また、放射線安全機関(SSM)は、SKB社の原子力活動法に基づく申請に関する意見書を政府に提出する。政府がSFRの拡張の可否を判断する前に、地元エストハンマル自治体の意見を確認する手続きが必要となる。

【出典】

 

【2019年10月9日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が操業している短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張計画について、SKB社が2014年12月に提出していた環境法典に基づく申請書に関して、土地・環境裁判所による主要審理プロセスとなる口頭弁論が2019年9月23日から2019年10月2日まで開催された。土地・環境裁判所は、政府への意見書を2019年11月13日に提出する予定である。

口頭弁論では、環境団体のほか、原子力活動法に基づく申請書の審査を行っている放射線安全機関(SSM)も意見陳述を行っている。SSMは、SKB社が放射線安全の要件を遵守して原子力活動を遂行できることを立証していると判断しており、政府へ審査意見書を2019年内に提出する予定である。

今後、政府は、土地・環境裁判所及びSSMの意見書を踏まえ、SFRがあるエストハンマル自治体の受け入れ意思の確認を行った後に、SFRの拡張の可否を判断することになる 。

【出典】

 

【2019年10月24日追記】

放射線安全機関(SSM)は、2019年10月22日付けのプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)の短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張のための申請に関して、原子力活動法に基づく意見書を政府に提出したことを公表した。意見書の中でSSMは、SKB社が放射線安全の要件を遵守して原子力活動を遂行できることを立証しているとの判断結果を述べている。SSMは、政府が原子力活動法に基づく許可を発給するに際して、SFRでの処分量に上限を設定することのほか、SKB社がSFR拡張部分の建設、操業を行う前に、安全報告書を更新し、SSMの承認を受けることなどの許可条件を設定するよう提案している。

今後は、土地・環境裁判所がSKB社の環境法典に基づく申請に関する意見書を2019年11月13日に政府に提出する予定である。政府がSFRの拡張の可否を判断する前に、地元エストハンマル自治体の意見を確認する手続きが必要となる。

 

【出典】

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )