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§ 2016年2月26日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国でDOEがクラスCを超える低レベル放射性廃棄物処分の最終環境影響評価書(FEIS)を公表

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米国のエネルギー省(DOE)は、2016年2月24日に、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下、「GTCC廃棄物」という)1 の処分に関する最終環境影響評価書(FEIS)を公表した。本FEISでは、GTCC廃棄物及びGTCC類似廃棄物2 の推奨する処分方策として、ニューメキシコ州カールスバッドに立地するTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での処分、あるいは、一般の商業施設において陸地処分することが示されている。1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法では、連邦政府がGTCC廃棄物の処分責任を負うことが規定されており、DOEは2005年5月に環境影響評価書(EIS)の策定の事前告示を行い、2011年3月にドラフト環境影響評価書(DEIS)を公表していた

最終環境影響評価書(FEIS)では、ドラフト環境影響評価書(DEIS)でも示されていた通り、現行管理の継続という選択肢を含めて、以下の5つのオプションに関する評価が行われた。

  1. 現行の管理の継続(現在実施されているGTCC廃棄物発生施設等での貯蔵の継続)
  2. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分
  3. ハンフォード・サイト、アイダホ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ネバダ国家セキュリティサイト3 、WIPP近傍やその他の商業施設における、新たな中深度ボーリング孔での処分
  4. 上記で示したサイトに、サバンナリバー・サイトを加えたサイトにおける、新たな強化型浅地中処分施設で処分
  5. 上記で示したサイトにおける、新たな地表面より上のボールト処分施設で処分

DOEは、累積的影響も含めた長期的な健康への影響、先住民族との問題、法律その他の要件、その他国家安全保障を始めとする種々の要因について評価を行い、パブリックコメント等も踏まえて、推奨する処分方策をオプション2の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分、あるいは、オプション3~5の商業施設での陸地処分としている。ただし、オプション3~5でのハンフォード・サイト等のDOEサイトでの処分は、推奨する処分方策には含まれていない。

GTCC廃棄物等は多様な特性のものが存在するため、推奨する処分方策は1つに限定されていない。また、商業施設における3つの処分概念(オプション3~5)の間にも優先順位は設定されておらず、その概念設計も、施設の立地に応じて、変更や強化することも可能とされている。さらに、健康への影響や輸送の影響の評価は、廃棄物の種類別に行われているため、この情報に基づいて意思決定を行うことも可能としている。

DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)での分析により、GTCC廃棄物等の処分が可能となる望ましい方策を同定するのに十分な知見が得られたとしているが、法改正や許認可要件変更の必要性については不確定要素もあるため、最終的な決定を示す意思決定記録(ROD)の発行までにはさらなる分析が必要としている。なお、2005年エネルギー政策法では、DOEが最終決定を行う前に、検討したすべての管理方策などについて連邦議会に報告書を提出して、その措置を待つことを義務付けている。DOEは、今後連邦議会に報告書を提出し、連邦議会が然るべき措置を取るまでは意思決定記録(ROD)の発行は行わないとしている。

なお、GTCC廃棄物等の環境影響評価については、2005年5月の事前告示によるコメント募集、2007年7月の実施意向告示による評価項目や手法などについてのコメント募集が行われた他、2011年3月のドラフト環境影響評価書(DEIS)については120日間のコメント募集及び9カ所でのパブリックヒアリングが行われた。DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)の策定にあたり、DEISへのすべてのコメントを考慮したとしている。

【出典】

 

【2017年11月22日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)及びGTCC類似廃棄物4 (以下、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを合わせて「GTCC廃棄物等」という。)の処分方策に関して、連邦議会に向けた2017年11月付けの報告書を公表した。本報告書においてGTCC廃棄物等に対して推奨する処分方策としては、商業施設における陸地処分及び廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)における地層処分であるとした上で、WIPPにおけるフル操業は2021年まで見込まれないことから、商業施設における陸地処分を主として考慮しているとのDOEの見解が示されている。

GTCC廃棄物等の処分方策については、2016年2月24日に、最終環境影響評価書(FEIS)が公表されており、5つのオプションについて評価した結論として、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での地層処分、あるいは、商業施設における陸地処分(新たな中深度ボーリング孔での処分、強化型浅地中処分、または、ボールト処分)が推奨する処分方策として示されていた。ただし、WIPP以外のDOEサイトにおける処分は、推奨する処分方策には含まれていない。DOEは、推奨する処分方策の決定に必要な情報はFEISで提供されており、推奨する処分方策はGTCC廃棄物等の処分に係る要求を満足するものであることを確認したとしている。

GTCC廃棄物等の処分方策については、2005年エネルギー政策法において、DOEが最終決定を行う前に、検討したすべての処分方策などについて連邦議会に報告書を提出して、その措置を待つことが義務付けられており、今回公表された報告書は、この義務を果たすものとされている。

DOEは、推奨される処分方策の実施には法改正等が必要であるとしており、本報告書では以下の項目が示されている。

  • GTCC廃棄物の処分のための費用回収メカニズムを構築する立法措置
  • 商業用の原子力発電所の廃止措置で発生するGTCC廃棄物の処分のための放射性廃棄物基金からの歳出予算の計上5
  • 1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法の規定の明確化6
  • 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)でGTCC廃棄物等を処分することを認める法改正

なお、DOEは、最終環境影響評価書(FEIS)の公表時に、連邦議会に報告書を提出した後に連邦議会が何らかの措置を取るまで、GTCC廃棄物等の処分に係る意思決定記録(ROD)の発行は行わないとしている。

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 米国では、エネルギー省(DOE)は原則としてNRCの連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。なお、GTCC廃棄物とGTCC類似廃棄物とを併せて「GTCC廃棄物等」とする。 []
  3. 旧ネバダテストサイト []
  4. 米国では、エネルギー省(DOE)は原則として原子力規制委員会(NRC)の連邦規則の適用を受けないため、DOEが保有する廃棄物にはGTCC廃棄物の分類も適用されないが、DOEは、GTCC廃棄物と類似した特性を持つものは「GTCC類似廃棄物」としてGTCC廃棄物と共に処分する方針としている。 []
  5. エネルギー省(DOE)と原子力発電事業者等が締結した使用済燃料処分等に係る標準契約では、GTCC廃棄物は高レベル放射性廃棄物と見なされており、その処分費用は、原子力発電事業者等が拠出する放射性廃棄物基金からの支出されることになるが、放射性廃棄物基金からの支出には歳出法による承認が必要とされている。 []
  6. 原子力規制委員会(NRC)は、名文上の規定がない限りエネルギー省(DOE)の処分施設等に対する許認可権限を有していないが、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法ではGTCC廃棄物の処分はNRC許可施設で行うなどと規定されているため、連邦議会による明確化が必要としている。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2017-11-22 )