Learn from foreign experiences in HLW management

《米国》クラスCを超える低レベル放射性廃棄物処分の環境影響評価を準備-連邦エネルギー省(DOE)が事前通知を官報告示

米国の連邦エネルギー省(DOE)は、2005年5月11日、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」)1 の処分に関する環境影響評価書(EIS)の準備を行うことについての事前段階の通知を連邦官報に掲載した。GTCC廃棄物は、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法に基づく原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61)による処分が認められない放射性廃棄物で、連邦政府が処分責任を負っている。エネルギー省(DOE)は、寄せられたコメント等も踏まえた上で、2005年秋に環境影響評価の実施に関する通知を告示する予定を示している。 検討対象となるGTCC廃棄物は、主に以下の3つに分類される。

  • 密封線源: 主に医療、産業、科学研究等で使用されるもので、長半減期または高濃度のもの
  • 放射化金属: 主に原子力発電所の炉心近傍の金属が放射化されたもので、多くは原子力発電所の廃止措置に伴って発生する
  • その他: 主に原子力発電所や研究所などで発生する雑廃棄物。

また、米国ではエネルギー省(DOE)が保有する低レベル放射性廃棄物は、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則の適用は受けず、DOEが自ら処分することとされているが、これらの内でGTCC廃棄物と似通った特性を持つものについては、GTCC廃棄物と共に処分を検討することとされている。 官報掲載の事前告示では、環境影響評価で検討される可能性があるGTCC廃棄物の処分オプションとして、より隔離性能の高い形態、地層処分、強化型浅地中処分施設などを含む、新規または既存のエネルギー省(DOE)または民間の処分施設が考えられるとしている。隔離性能に優れた新規施設としては、ボーリング孔処分、中間深度処分、その他の方式による処分施設が可能としている。また、GTCC廃棄物は多種にわたるため、廃棄物の特性に応じて複数の処分施設を利用するオプションも検討対象と考えられている。環境影響評価では、廃棄物の発生量や処分が必要とされる時期についての検討も行われる。 今回の事前告示では、2005年6月10日まで評価の対象や範囲などについての意見募集が行われる。エネルギー省(DOE)は、2005年秋に予定している環境影響評価の実施通知に向けて、これらのコメントを検討するとともに、処分量を始めとするGTCC廃棄物関連情報のアップデートを開始する予定を示している。 なお、米国では連邦政府が環境に影響を及ぼす可能性がある決定を行う際には、国家環境政策法(NEPA)に基づいて環境影響評価が必要とされている。

【出典】

  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法および同法に基づく原子力規制委員会の連邦規則(10 CFR Part 61)において、地表30m以内に処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える放射性廃棄物で、同法・規則に基づいて操業されている低レベル放射性廃棄物処分場での処分は行えないものである。「GTCC」はGreater Than C Class(Cクラスを超える)の略。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )