Learn from foreign experiences in HLW management

《カナダ》OPG社の低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場プロジェクトに関する意見収集が終了

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2014年11月18日付けで、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR 1 )の環境影響評価書等に関して、意見収集期間が終了したことを公告した。

OPG社は、オンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトで低・中レベル放射性廃棄物処分の実施を計画しており、地下約680mの石灰岩層に建設する地層処分場(DGR)において、同社の原子力発電所から発生する約20万m3の低・中レベル放射性廃棄物を処分する計画である。OPG社が2011年4月に提出した環境影響評価書(EIS)及び予備的安全評価書等については、カナダ環境評価局(CEAA)とカナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)とが合同評価パネル(JRP)を設置して審査している。DGRプロジェクトの環境影響評価書等に関しては、2013年5月にパブリックコメントの募集が終了しており、その後、公聴会が開催され、OPG社及び公聴会での意見陳述者から最終意見書(closing remarks)の募集を行っていたが、今回の公告は、この終了を公表したものである。

カナダ原子力安全委員会(CNSC)のウェブサイトで公表されている、DGRプロジェクトに関する情報によると、公聴会は2013年9月中旬から2013年10月にかけて実施され、さらに追加の公聴会が2014年9月に開催された。公聴会の手続きによれば、合同評価パネル(JRP)は、公聴会で聴取すべき情報が全て入手されたと判断した後に、OPG社と意見陳述者に最終意見書を提示する機会を与えることとなっている。今回、最終意見書の募集が終了したことにより、これ以降に提出される情報は、JRPの検討対象とはされないこととなる。

今後、合同評価パネル(JRP)は評価報告書を2015年5月6日までに環境大臣に提出するとしている。環境大臣は、評価報告書を受領した後120日以内に地層処分場(DGR)プロジェクトの実施可否を合同評価パネルに回答することになっている。環境大臣がプロジェクトは実施可能であると判断した場合には、合同評価パネルはOPG社のDGRに関するサイト準備・建設に関する許認可を発給できるようになる。

なお、パブリックコメントとして提出された意見書や、公聴会の動画、最終意見等の環境影響評価書等の審査に関する情報は、カナダ環境評価局(CEAA)のインターネットサイト(環境評価レジストリと呼ばれる)に登録・公開されている。地層処分場(DGR)プロジェクトの環境評価レジストリには、2014年11月18日時点で約40件の最終意見書が公開されている。

【出典】

【2015年5月7日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2015年5月6日付けで、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトに関して、合同評価パネル(JRP)による評価報告書を環境大臣に提出したことを公表した。合同評価パネルは、OPG社が予定している環境影響の軽減対策に加えて、合同評価パネルが勧告している対策を付加することにより、環境に重大な影響が及ぶ可能性は低いと結論している。

合同評価パネルは評価報告書において、低・中レベル放射性廃棄物を地層処分場(DGR)に移すことにより、それらを地上で貯蔵する場合と比較して、人間の健康と環境に対するリスクが低減するとしている。また、特に長寿命核種を含む中レベル放射性廃棄物の危険性を低減するような技術開発の進展を待つことによるリスクは、期待される便益を上回ると考えられるため、地層処分場(DGR)の建設を先送りすべきではないとの考えを示している。

今後、環境大臣は、評価報告書を受領した後120日以内に地層処分場(DGR)プロジェクトの実施可否を合同評価パネルに回答することになっている。環境大臣がプロジェクトを実施可能と判断した場合には、合同評価パネルはOPG社の地層処分場(DGR)に関するサイト準備・建設に関する許認可を発給できるようになる。

【出典】

【2015年6月4日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2015年6月3日付けの公告において、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトの環境影響評価プロセスにおける最終段階として、2015年9月1日を期限としたパブリックコメントを実施することを明らかにした。CEAAは、DGRプロジェクトが承認された場合に適用される追加的な要件や環境影響の軽減対策を文書として取りまとめており、本文書に対する意見を地元の先住民、公衆及び評価への登録参加者から収集するとしている。パブリックコメントの結果は、DGRプロジェクトの実施可否を環境大臣が判断する際に考慮に入れられる。

なお、今回のパブリックコメントの実施に伴い、DGRプロジェクトの実施可否に関する環境大臣による判断の期限は、2015年12月2日までへと延長される。

【出典】

【2016年2月19日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2016年2月18日付けで、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトの実施可否に関する環境大臣による検討に関して、環境大臣が同社に対して追加の情報や調査を要求したことを公告した。環境大臣は、合同評価パネル(JRP)が提出した評価報告書を検討した結果、以下の3点に関する追加の情報や調査を要求したとしている。

  • OPG社が申請したサイトとは異なる場所でプロジェクトを実施する場合の環境影響の詳細調査。技術的及び経済的な実現可能性に関してOPG社が定める基準を満足する具体的な場所を示した上で、技術的及び経済的に実現可能であるとOPG社が判断する「しきい値(threshold)」を明らかにする。
  • DGRプロジェクトによる累積的な環境影響に関する解析について、核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)が実施した予備的評価 2 の結果を反映したものとなるように更新する。

  • 2012年カナダ環境アセスメント法に従い、特定されている影響に対して、OPG社が実施することを予定している軽減対策のリストについて、内容が古いものや重複を取り除いて更新する。

公告によると、OPG社は2016年4月18日までに、環境大臣の要求に対する対応のスケジュールを提示しなければならない。また、環境大臣のJRPに対する回答期限は、JRPによる評価報告書の受領後120日以内とされているが、今回の環境大臣の要求により回答期限が保留される。今後、環境大臣は、総督に対して、回答期限の再延長を要求するとしている。

【出典】

【2016年4月18日追記】

オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社は、2016年4月15日付けのプレスリリースにおいて、環境大臣が2016年2月18日に同社に要求していた追加の調査を、2016年12月31日までに完了させる意向であることを連邦政府に通知したことを公表した。

【出典】

 

【2016年12月15日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2016年12月12日付けの公告で、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトに関して、プロジェクトの審査を行ってきた合同評価パネル(JRP)に対して環境大臣が提示するプロジェクトの実施可否に関する判断の期限を、総督が同日以降243日間の、2017年8月中旬まで延長したことを公表した。

なお、この延長は、2016年2月18日に環境大臣がOPG社に対して追加の情報や調査を要求したことによるものである。OPG社は2016年4月15日付けのプレスリリースにおいて、OPG社が申請したサイトとは異なる場所でプロジェクトを実施する場合の環境影響の詳細調査に関して、オンタリオ州南部の堆積岩サイトに立地する場合と同州北部の花崗岩サイトに立地する場合の2ケースを対象に調査するとしており、それらの結果を2016年末までに取りまとめる予定としている。

【出典】

 

【2017年1月5日追記】

オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社は、計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトに関して、環境大臣が2016年2月18日にOPG社に対して要求していた追加の情報や調査に対応した報告書を取りまとめ、2016年12月28日にカナダ環境評価局(CEAA)に提出した。

OPG社は、オンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトとは異なる別の場所に地層処分場を建設する場合の環境影響について、放射性廃棄物の輸送規模が拡大し、安全対策として追加的な廃棄物処理が必要になるとしている。さらに、OPG社は、プロジェクトのコストと不確実性が増加するとして、OPG社が申請したサイトが好ましいサイトであると説明している。

【出典】


  1. Deep Geologic Repository[]
  2. OPG社とNWMOは、DGRプロジェクトに係る許認可申請に向けて、NWMOが技術支援等を行う契約を2009年1月に締結している。2011年にOPG社がカナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)に提出したDGRの許認可申請に添付された環境影響評価書や予備的安全評価書などは、OPG社のためにNWMOが準備したものである。[]

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )