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《カナダ》OPG社の低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場プロジェクトに関するパブリックコメント期間が終了

カナダ環境評価局(CEAA)は2013年5月24日、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が計画している低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)の環境影響評価書等に関して実施されていたパブリックコメントの募集期間(約15カ月)の終了を公告した。

OPG社はオンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトで、地下約680mの石灰岩層に地層処分場を建設し、同社の原子力発電所から発生する約20万m³の低・中レベル放射性廃棄物を処分する計画である。OPG社が2011年4月に提出した環境影響評価書(EIS)及び予備的安全評価書等1 について、カナダ環境評価局(CEAA)とカナダ原子力安全委員会(CNSC)は合同評価パネル(JRP)を設置して審査しており、JRPが2012年2月3日からパブリックコメントの募集を開始した。募集期間は当初6カ月の予定であったが、寄せられた質問・追加情報の要求に対応するため、OPG社の要請を受けて、JRPはパブリックコメントの募集期間を2013年5月24日まで延長していた。

カナダにおける環境影響評価の根拠法であるカナダ環境評価法に基づくパブリックコメントは、DGRプロジェクトに対して、関係する個人、団体、組織のほか、国・地方自治体のあらゆるレベルの行政当局から書面による意見を収集するプロセスである。提出された意見書は原則として、カナダ環境評価局のインターネットサイト(環境評価レジストリと呼ばれる)に登録・公開される。DGRプロジェクトについては、パブリックコメントの終了時点で644件の意見書が公開されている。

今後、合同評価パネル(JRP)は公聴会を開催し、評価結果を環境大臣に報告した上で、2014年にはサイト準備・建設の許認可発給が見込まれている。公聴会の開催予定は90日前までに公示される。

 

【出典】

《参考》OPG社とNWMOの関係

OPG社は、オンタリオ州営電力オンタリオ・ハイドロ社の発電部門の子会社である。DGRプロジェクトでは、オンタリオ州内の3カ所の原子力発電所(ピカリング、ダーリントン、ブルース)で発生する低・中レベル放射性廃棄物を地層処分する計画である。この地層処分場では、CANDU炉から発生する使用済燃料は処分されない。また、オンタリオ州外にある2カ所の原子力発電所で発生する低・中レベル放射性廃棄物も処分されない。

OPG社は2009年1月に、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)との間でDGRの開発委託に関する契約を締結した。この契約により、OPG社でDGRプロジェクトに携わっていた人材がNWMOに移され、NWMOが職員として直接雇用している。NWMOは、地質調査や安全評価、環境影響評価、地元とのコミュニケーション活動などの業務を継承して実施した。DGRプロジェクトのサイト準備・建設に係る申請(2011年4月)はOPG社が行っているが、許認可申請に合わせて提出すべき環境影響評価書(EIS)、予備的安全評価書の作成は実質的にNWMOが担当している。DGRプロジェクトの情報は、NWMOのホームページ(www.nwmo.ca/dgr)からアクセスできる。

NWMOはカナダの核燃料廃棄物(CANDU炉から発生する使用済燃料)の処分実施主体であり、2002年制定の核燃料廃棄物法に基づき、カナダの原子力発電事業者の共同出資により設立された非営利法人である。NWMOへの出資はOPG社を含む原子力企業4社〔OPG社、ハイドロ=ケベック社、ニューブランズウィック・パワー社、カナダ原子力公社(AECL)〕が行っている。NWMOの活動のうち、核燃料廃棄物の長期管理アプローチ「適応性のある段階的管理」(APM)に係わる活動費用はこれら4社で分担しているが、OPG社のDGRプロジェクトの活動費用はOPG社のみが負担している。

 

  1. 注:これら2つの評価書は、OPG社との契約に基づき、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が作成している。 []

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )