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英国政府がサイト選定プロセスに関するCall for Evidence(根拠に基づく情報提供の照会)を開始

英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2013年5月13日のプレスリリースにおいて、白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』による地層処分場のサイト選定プロセスについて、「根拠に基づく情報提供の照会」(Call for Evidence. 以下「情報提供の照会」という。)1 を開始したことを公表した。この情報提供の照会は、2013年1月31日のDECCの大臣声明に沿ったものであり、西カンブリア地域及びケント州シェップウェイ市のサイト選定プロセスに関する経験から教訓を見出すために行うものである。そのため、サイト選定に関する見解を、特に今日までのサイト選定プロセスに参画した者、関心を持って観察してきた者から収集するとしている。なお、情報提供の照会の期限を2013年6月10日までとしており、情報提供の照会への対応は、2013年後半に実施予定の公開協議にて公表するとしている。

情報提供の照会の背景として、DECCはプレスリリースにおいて以下の2つを挙げている。

  • サイト選定プロセスへの関心表明を行っていた2市1州(カンブリア州、カンブリア州アラデール市及びコープランド市)は、サイト選定プロセスの第4段階に進むかどうかの検討を行っていたが、2013年1月に各州・市議会で議決した結果、アラデール市議会及びコープランド市議会は第4段階に進むことに賛成したが、カンブリア州議会が反対したため、サイト選定プロセスから撤退することとなった
  • ケント州シェップウェイ市は、サイト選定プロセスへの関心表明を行うかについて検討していたが、2012年9月の市議会において、関心表明を行わないことを賛成多数で議決した

DECCは、西カンブリア地域及びケント州シェップウェイ市の事例から教訓を得るため、以下のような質問を用意し、サイト選定プロセスについての改善点、自治体がサイト選定プロセスに自発的な参加を促すための手段について、情報提供の照会を開始した。

  •   白書に基づくサイト選定プロセスのどんな面を、どのように改善することできるか。
  •   サイト選定プロセスに自治体を引きつけるためのものは何であるか。
  •   サイト選定プロセスに参画する上で、どのような情報が自治体の助けとなるか。

【出典】

 

【2013年09月24日追記】

 英国のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2013年9月20日の自身のウェブサイトにおいて、Call for Evidence(根拠に基づく情報提供の照会)に基づいて、サイト選定プロセスに参画した者などが見解を記した回答書を公表した。回答書の提出数については、個人から99通、関心表明を行っていたカンブリア州、カンブリア州アラデール市及びコープランド市などの自治体や企業などから86通が得られたとしている。また、この回答書については、英国政府の正式な対応はないとしているが、2013年9月12日に公表した地層処分施設のサイト選定プロセスの改善に向けた協議文書に反映したとしている。

【出典】

  1. 英国などでは、政策の検討プロセスのなかに、Call for Evidence が取り入れられており、有用なデータを広く収集できるしくみを整えている。寄せられた情報をもとに、政府はより質の高い、頑健な政策を立案できる。
    http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/3rd/3-3.pdf []

(post by f-yamada , last modified: 2013-09-24 )