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《カナダ》核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が2008年度の年報を公表

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は自身のウェブサイトにおいて、2008年度の年報を2009年3月26日に連邦天然資源大臣に提出したこと、及び同年報を公表した。NWMOによる年報の作成・公表は、2002年11月に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)に基づくものである。今回の年報では、2007年6月に政府決定された使用済燃料の長期管理アプローチ「適応性のある段階的管理」の実施に向けた7つの戦略的目標のもと、NWMOによる2008年度における事業の進捗状況が報告されている。なお、適応性のある段階的管理の実施に向けた7つの戦略的目標は以下の通りである。

  • サイト選定手続きの策定(既報
  • 処分費用の資金確保
  • 研究推進
  • 計画のレビュー、調整、有効化
  • 組織の統治・監督等
  • 実施主体の増強
  • 公衆との長期的な関係構築

このうち処分費用の資金確保状況について同年報では、2002年に廃棄物発生者の原子力発電会社及びカナダ原子力公社(AECL)によって設置された各信託基金において確保されている資金残高が、2008年12月末時点で合計約15億カナダドル(約1,440億円)とされている(1カナダドル=96円で換算)。

また同年報では、核燃料廃棄物管理費用の見積額は、使用済燃料集合体360万体に対して70~80億カナダドル(2009年1月1日現在の見積で、日本円換算6,720~7,680億円)になるとされている。同費用には、廃棄物発生者によって支払われる使用済燃料のサイト貯蔵費用、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)によって支払われる処分場の開発・建設・2035年からの操業、及び処分場への使用済燃料の輸送に要する費用が含まれている。なお2008年6月末時点での使用済燃料集合体の累積量は約205万体。また、次の費用見積もりは遅くとも2012年には行われる見込みである。

さらに同年報では、2008年には核燃料廃棄物管理機関(NWMO)にとって初となる「2008年~2012年の5年間における実施計画書」を作成・公表したことや、NWMOが実施する技術開発を第三者的に評価する独立技術レビューグループ(ITRG)が設置され、2008年11月に最初の報告書をNWMOの理事会と諮問評議会に提出したことも示されている。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト、http://www.nwmo.ca/annualreport2008
  • Moving Forward Together, Annual Report 2008, NWMO

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )