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《英国》原子力廃止措置機関(NDA)が高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する研究開発戦略を公表

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2009年3月、高レベル放射性廃棄物等の地層処分のための研究開発戦略を公表した。この文書では、現在のNDAの研究開発テーマ、研究開発の実施方法、外部機関との協力などが示されており、次の段階として、研究開発プログラムの詳細に関する報告書を2009年中に公表することも示されている。

原子力廃止措置機関(NDA)は、2008年6月に地層処分のための研究開発戦略のドラフトを公表し、2008年6月から11月までドラフトに対する意見募集を行っていた。この期間中に、政府、規制機関、サイト許可会社、大学などから合計で33件の意見が寄せられた。また、NDAは、同ドラフトに対する協議プロセスの一環として、2008年11月に関心を持つ個人を対象とし、ドラフトの内容を議論するために2日間にわたるワークショップを開催していた。NDAに寄せられたコメントには、研究開発戦略とその戦略を実施するための研究開発プログラムとを明確に切り離すべきであるという趣旨のコメントがあり、NDAでは、この意見を取り入れ、研究開発戦略及びその実現のための研究開発プログラムをそれぞれ別の文書として公表することとした。なお、研究開発プログラムについては、2009年中に公表されることとなっている。

今回公表された研究開発戦略では、現在のNDAの研究開発テーマとして以下の6つが挙げられている。

  • 高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料に関する研究開発の進展・拡張
  • ウラン及びプルトニウムなどの核物質の将来の管理戦略の開発支援
  • 中レベル放射性廃棄物処分のための研究開発の継続
  • 処分プログラムの実施のための諸問題への対応
  • サイト特性調査の準備
  • 社会科学的研究の実施

上記の最初の3点に関しては、地層処分を必要とする廃棄物などの種類に対する理解を深めることに直接関連しており、残りの3点については、サイト選定での公募方式の採用により、さまざまな地質環境における処分を理解する必要があり、その後のサイト固有の調査の準備に関連したテーマとなっている。

この他に、今回の研究開発戦略では、研究開発の実施方法として、関連分野で専門性を有する機関への委託や入札に関することが示されている。また、ステークホルダーが研究開発に継続して関わっていくことができるように、大学、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、規制機関、NGO、廃棄物発生者などの様々なステークホルダーと強い協力関係を結ぶこと、NDAの作業においてより透明性の高い方法を求めること、研究開発プログラム及び評価の段階においてステークホルダーの関与を増すことが示されている。

また、原子力廃止機関(NDA)は、2009年4月1日付のニュースリリースにおいて、2009年から2012年に対する事業計画書を公表したことを発表した。同事業計画書によると、NDAの2009/2010年の総支出は、約27億8,870万ポンド(約5,298億5,000万円)で、このうち、約16億3,290万ポンド(約3,102億5,000万円)が英国政府による直接の支給であり、約11億5,580万ポンド(約2,196億円)が商業収入となっている。また、2010/11年に関しては、総支出が約27億7,370万ポンド(約5,270億円)と予測されている(1ポンド=190円で換算)。また、NDAは、対象期間中に、サイトを特定しない条件での地層処分場の設計を行うと共に、サイト選定に関して、英国政府に対する支援を行うことが示されている。

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)、原子力廃止措置機関(NDA)放射性廃棄物管理局(RWMD)による研究開発戦略ドラフトに対する意見への対応、2009年3月
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、高レベル放射性廃棄物の地層処分の実証のためのNDAの研究開発戦略、2009年3月
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、事業計画書 2009/2012
  • 原子力廃止措置機関(NDA)、2009年4月1日付プレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/news/business-plan-0912.cfm

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )