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《米国》環境保護庁(EPA)がユッカマウンテン放射線防護基準の連邦規則最終版を公表-1万年から100万年までの放射線防護基準は1ミリシーベルト

米国の連邦環境保護庁(EPA)は、2008年9月30日、ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物処分場に適用される環境放射線防護基準(40 CFR Part 197)の連邦規則最終版を同庁ウェブサイトにおいて公表した。連邦規則最終版では、処分後1万年から100万年までの期間についての放射線防護基準が、2005年8月公表の連邦規則案における提案より低い基準値の年間1ミリシーベルト(100ミリレム)と規定されている。EPAのユッカマウンテン環境放射線防護基準は、2001年に発行された後、2004年7月の連邦控訴裁判所判決で一部無効とされ、2005年8月に改定版の連邦規則案が公表されていた

環境保護庁(EPA)のニュースリリースでは、連邦規則最終版のポイントとして以下の4点を示した上で、米国の自然放射線を含めた線量は平均で年間3.6ミリシーベルト(360ミリレム)であることを伝えている。

  • 処分後最初の1万年間については、年間150マイクロシーベルト(15ミリレム)の基準を維持
  • 1万年から100万年までの期間については、年間1ミリシーベルト(100ミリレム)の基準を設定
  • 気候変動、地震、火山活動、及び廃棄物パッケージの腐食による影響を100万年までの期間について検討することをDOEに要求
  • 処分後100万年までの期間について放射線防護基準を設定した連邦規則最終版は、全米科学アカデミー(NAS)の勧告と一貫性がある

環境保護庁(EPA)が公表したファクトシートでは、連邦規則最終版は2001年に策定された元の放射線防護基準と同等の防護性を有しており、全米科学アカデミー(NAS)の勧告及び国際的な放射性廃棄物管理のアプローチにも適合するものであるとしている。

なお、公表された連邦規則最終版では、1万年から100万年までの期間における放射線量の計算で中央値(メジアン)を採用するなどとした連邦規則案の規定が削除されている。また、1万年から100万年までの期間において考慮すべき自然事象として、地震活動による地下水位上昇の影響の分析が追加されている。

ユッカマウンテン処分場の許認可手続きで適用される原子力規制委員会(NRC)の処分に係る連邦規則は、環境保護庁(EPA)の基準と一致する形で定めることが法律で求められている。2008年7月に下院で行われたヒアリングでは、NRCはEPAの基準の策定後、速やかにNRCの連邦規則を策定する準備ができているとの証言が行われている。

【出典】

【2008年10月14日追記】

ネバダ州司法長官は、2008年10月10日のプレスリリースにおいて、環境保護庁(EPA)の新しい放射線防護基準は非合理的、恣意的など違法であるとして、取消し等を求める訴えを連邦控訴裁判所に起こすことを発表した。審理請求文書はネバダ州ウェブサイトで公開されている。

【2008年10月16日追記】

2008年10月15日、環境放射線防護基準(40 CFR Part 197)の連邦規則最終版が連邦官報において公示された。規則の発効は、2008年11月14日とされている。

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )