英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2008年7月17日付のニュースリリースにおいて、英国議会及びスコットランド議会に対して2007/08年度の年報を提出したことを公表した。また、NDAは、同ニュースリリース及び2007/08年度の年報において、放射性廃棄物の地層処分場に関する費用見積りを公表した。
ニュースリリースでは、原子力廃止措置機関(NDA)が2006年10月に英国政府によって地層処分の実施主体とされた以降 、地層処分場に関する費用の見積りを公表したのは今回が初めてとされている。NDAによる2007/08年度での地層処分及び廃止措置に関する費用見積りは、次に示す通りである。(1ポンド=238円で換算)
割引前 | 割引後 | |
---|---|---|
廃止措置費用 (130年間分) |
635億ポンド (15兆1,130億円) |
407億ポンド (9兆6,866億円) |
地層処分場に関する費用 (建設及びライフサイクルコスト) |
101億ポンド (2兆4,038億円) |
34億ポンド (8,092億円) |
原子力債務合計 | 736億ポンド (17兆5,168億円) |
441億ポンド (10兆4,958億円) |
ニュースリリースによると、原子力廃止措置機関(NDA)の見積りにおいては、割引前の地層処分場に関する総見積費用は、122億ポンド(2兆9,036億円)であるが、その内NDAが負担すべき分が、表で示した101億ポンド(2兆4,038億円)であり、残りはNDA以外の処分場利用者が負担すべき分とされている。なお、英国における地層処分に関する費用については、2007年6月に公表された政府文書において、約100億ポンド(約2兆3,800億円、2003年価格)という見積りが示されていた。
また、ニュースリリースでは、2007/08年度における、政府目標を考慮した原子力廃止措置機関(NDA)の重要な進捗として、次の点などが示されている。
- 英国放射性廃棄物管理会社(UKNWM社)とのドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の管理契約(親会社(PBO)契約)の締結などの競争の導入(既報を参照)
- コスト面での効率性の向上
- 原子力施設の廃止措置・クリーンアッププログラムに関する費用見積りの実施
【出典】
- 原子力廃止措置機関(NDA)、2008年7月17日付プレスリリース、
http://www.nda.gov.uk/news/arac-0708.cfm - 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)他、「放射性廃棄物の安全な管理、地層処分の実施に向けた枠組み」、2007年6月25日
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )