米国連邦議会の下院エネルギー・商務委員会エネルギー大気質小委員会は、2008年7月15日、高レベル放射性廃棄物処分の今後のステップについてのヒアリングを開催した。証言者は、連邦エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長、環境保護庁(EPA)及び原子力規制委員会(NRC)の担当上級職員、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)委員長、原子力エネルギー協会(NEI)及び全米公益事業委員協会(NARUC)である。
DOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長の証言では、ユッカマウンテンプロジェクトの現状及び今後の取り組みについて以下のポイントが示された。
- 2年間で2億ドル(234億円、1ドル=117円換算)以上の予算削減にも拘わらず、DOEは2006年7月に本委員会に示したスケジュールを全て達成し、2008年6月3日にNRCに建設認可申請書を提出した。
- NRCによる90日間の受理審査の後、申請書が正式に受理され、3~4年間の公式な許認可段階が開始されると確信している。
- 本プログラムの管理体制は大きく改善され、優秀な管理チームにより今後のプログラム運営が可能。
- 以下の4報告書がほぼ完成し、近く公表予定。
- トータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書
- 拠出金の妥当性評価報告書
- 第二処分場に関する報告書
- 使用済燃料の中間貯蔵に関する報告書
- 新規原子炉の許認可のため、原子炉を新設する意向のある電気事業者との使用済燃料引取に係る標準契約の修正に向けて準備。
- 放射性廃棄物基金(NWF)の改革が行われない場合は、放射性廃棄物政策法(NWPA)規定の義務遂行、使用済燃料引取に係る契約義務履行は不可能。
その他の証言として、NRCからは、今後の審査予定とともに、環境保護庁(EPA)の連邦規則が最終版となっていない状態でのDOEからの申請についてネバダ州からNRC委員会に申立てが行われているが、NRCスタッフは部分的な審査の開始は可能と考えているとの証言が行われている。EPAからは、2007年10月31日の上院での証言 を超える内容は示されていない。また、事業者を代表する団体である原子力エネルギー協会(NEI)からは、放射性廃棄物基金(NWF)の改革や、官民パートナーシップ等のより効率的な管理体制の必要性などの証言が行われている。
なお、このヒアリングの証言では、改定後の具体的な費用見積額は示されなかったが、ネバダ州選出のリード上院議員らは、DOEが従来の見積りから約320億ドル(3兆7,440億円)多い900億ドル(10兆5,300億円)の費用見積りの提出を計画しているとして、批判的な内容のニュースリリースを2008年7月15日に出している。
【出典】
- 連邦エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長議会証言書(2008年7月15日)
- 下院エネルギー・商務委員会ウェブサイト情報(2008年7月16日)
ヒアリングでの証言者及びその証言書等は、以下の下院エネルギー・商務委員会ウェブサイトページで参照可能である。
(energycommerce.house.gov/cmte_mtgs/110-eaq-hrg.071508.NuclearWaste.shtml) - リード上院議員プレスリリース(2008年7月15日)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )