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米国

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2011年3月31日付プレスリリースにおいて、オバマ政権がユッカマウンテン計画を中止すると決定したプロセスに関する調査の開始を通知したことを公表するとともに、エネルギー長官及び原子力規制委員会(NRC)の委員長に宛てた書簡を掲載した。

プレスリリースによると、日本における地震と津波の影響及び損傷を受けた原子炉の状況に鑑み、連邦議会は、使用済燃料の唯一の処分サイトの開発を中止するとしたオバマ政権の決定についての説明を求めるとしている。

また、エネルギー・商務委員会がエネルギー長官に宛てた書簡では、オバマ政権による以下の決定に関する情報を提供するように求めている。

  • ユッカマウンテン処分場の建設認可に関して、NRCが審査中の許認可申請を取り下げたこと
  • 許認可申請の取り下げ申請に関する訴訟が未解決であるにも関わらず、エネルギー省(DOE)がユッカマウンテン計画のサポートを中止したこと

さらに、エネルギー長官に宛てた書簡では、1982年放射性廃棄物政策法に基づくDOEの義務及び責任の実施状況の評価のため、また、DOEが、DOEや納税者の債務の増加につながる活動を行っていないかを判断するため、必要なすべての情報を要求している。

一方、エネルギー・商務委員会がNRCの委員長に宛てた書簡では、以下に関連してNRCの委員長及びNRCが行った特定の行為に疑問があるとしている。

  • NRCが審査中のユッカマウンテン処分場の建設認可に関して、許認可申請の取り下げの提案
  • NRCの全委員が予算の打ち切りを決定していない段階で、NRCのスタッフによる技術的及び安全レビューを含む、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の許認可手続きに対する予算打ち切り及び手続きの中止

また、NRCの委員長に宛てた書簡では、1982年放射性廃棄物政策法に基づく法律上の義務及び責任に係るNRCの遂行状況の評価のため、NRCによる決定が、NRCの手続きに従ったものであるのか、また、政策上、法律上及び予算上の影響についての情報及び検討を含んだものであるのかを評価するため、必要な情報を求めるとしている。

さらに、NRCの委員長に宛てた書簡では、NRCの委員長及びNRC、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が行った行為及び決定を含め、ユッカマウンテンの許認可申請書に関するすべての行為・決定を時系列で示すことなど、7項目に要求を2週間以内に文書で回答することを求めている。

ユッカマウンテン処分場の開発に関して、DOEは、2010年3月3日、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に対して許認可申請を取り下げる申請書を提出していた。この取り下げ申請に対して、ASLBは、2010年6月29日に、申請を認めない決定を下したが、現在までのところNRCの最終判断は示されていない。また、NRCの委員長は、独自の判断に基づいて、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の技術的な審査を停止するよう、NRCスタッフに指示していた。さらに、2012会計年度の予算要求に関しては、歳出法案が成立していないものの、ユッカマウンテン処分場開発関連及びNRCの処分場の許認可申請書の審査に係る予算はゼロとされている

【出典】

米国の核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的な評価を行う「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年3月25日、ブルーリボン委員会がこれまでに受けた証言やコメントの主要な論点を取りまとめた報告書(以下「証言等報告書」という)を公表した。証言等報告書は、ブルーリボン委員会が事務局に対して作成を指示したものであり、ブルーリボン委員会の設置から1年半以内にエネルギー長官に対してドラフト報告書の提出を行うこととされているが、ドラフト報告書を検討する上で、ステークホルダや公衆の主要な懸案事項を認識していることを確認するためのものとしている。

ブルーリボン委員会は、証言等報告書の公表により、以下のことを期待しているとしている。

  • これまでにブルーリボン委員会に対して意見を表明した個人や組織に対して、主要な主張が理解されているかを確認する。また、反映されていない点を主張する機会を与える。
  • ブルーリボン委員会の活動に関心を有しているが、これまでに意見などを表明していない個人や組織に対して、見落とされている課題として、ブルーリボン委員会がエネルギー長官への報告を準備する際に考慮すべきと考えられる点を提起する機会を与える。

証言等報告書では、以下の7つのテーマごとに、ブルーリボン委員会がこれまでに聴取した主な論点が示されている。

  1. 計画のガバナンス・実施
  2. 放射性廃棄物の拠出金及び基金
  3. サイト選定のアプローチ
  4. 原子炉及び核燃料サイクルの技術
  5. 高レベル放射性廃棄物の輸送
  6. 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵
  7. 高レベル放射性廃棄物の処分システム

主な論点のうち、サイト選定のアプローチに関しては、サイト選定プロセスにおいて信頼の構築、詳しい説明による合意形成、地域社会の関与が強調されるべきであり、これらはサイト選定だけでなく、貯蔵及び処分施設の建設、操業においても強調されるべきものであるなどの証言があったとされている。また、高レベル放射性廃棄物の処分システムに関しては、使用されている原子炉や核燃料サイクル技術によらず、特定の放射性廃棄物は長期的な隔離が必要であることが、米国だけでなく、国際的にコンセンサスが得られている考え方であるといった意見があったとされている。

今後、証言等報告書及び報告書に対して寄せられた意見は、ブルーリボン委員会がエネルギー長官への勧告案を策定するに当たってオプションの精査を行うために活用するとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2011年2月25日付連邦官報において、クラスCを超える低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」1 の処分オプションに関するドラフト環境影響評価書(DEIS)を公表し、DEISに対する公聴会の開催及び意見募集の開始を告示した。今回のDEISでは、GTCC廃棄物に適用される複数の処分方策を提示しているが、最終的な特定には至っていない。処分方策を含む望ましい管理方策は最終環境影響評価書(FEIS)において提示する予定としている。

同DEISでは、GTCC廃棄物の将来の管理方策について、以下のように、現行の管理の継続という選択肢に加えて、4つの処分方策に関する評価が行われたことが示されている。

  1. 現行の管理の継続(現在実施されているGTCC廃棄物発生施設等での貯蔵の継続)
  2. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での処分
  3. ハンフォード・サイト、アイダホ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ネバダテストサイト、WIPP近傍やその他商業サイトにおける、新たな中深度ボーリング孔での処分
  4. 上記3.で示したサイトにサバンナリバー・サイトを加えたサイトにおける、新たな強化型浅地中処分施設で処分
  5. 上記4. で示したサイトにおける、新たなボールト処分施設で処分(地表面下約5mのボールトに処分)

GTCC廃棄物の処分のオプションに関する環境影響評価については、DOEが、2007年7月20日に実施することを公表しており、評価対象の一つとしてユッカマウンテン処分場での地層処分を示していた。しかし、オバマ政権が、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物の処分場開発が実行可能なオプションではなく、同計画は中止すべきであるとする方針を示していた。そのため、ユッカマウンテンにおいてGTCC廃棄物専用の処分場を建設するのは合理的なオプションではないとして、ユッカマウンテン処分場はGTCC廃棄物の処分オプションの評価対象とされていない。

また、DOEは、DEISに対する意見募集を2011年7月23日まで行い、さらに、2011年4月19日から5月25日の間に、9か所で公聴会を開催するとしている。

DEISでは、DOEがFEISにおいて示す望ましい管理方策は、複数の方策を組み合わせたものとなる可能性も示されている。また、望ましい管理方策は、DOEの役割及び責任を満たすものとして、以下を考慮に入れて特定するとしている。

  1. DEISに対する意見募集期間中に寄せられた意見
  2. DOE及び原子力規制委員会(NRC)の低レベル放射性廃棄物処分の要件(10 CFR Part 61及びDOE指令435.1)
  3. DEISに示された環境、技術、経済面及びその他の知見

DEISで検討された「GTCC廃棄物の将来の管理方策」の概念
図:GTCC廃棄物等に対するドラフト環境影響評価書 概要(DOE、2011年2月)より引用
処分方策1 処分方策2 処分方策3 処分方策4

DEISにおいて評価対象とされたWIPP処分場の鳥瞰図

DEISにおいて評価対象とされたWIPPの鳥瞰図

中深度ボーリング孔での処分

中深度ボーリング孔での処分

強化型浅地中処分施設で処分

強化型浅地中処分施設で処分

ボールト処分施設

ボールト処分施設

 

【出典】

 

【2013年7月23日追記】

米国のエネルギー省(DOE)の国家環境政策法(NEPA)の担当部署であるNEPA政策・コンプライアンス局は、クラスCを超える低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)の処分に関する最終環境影響評価書(FEIS)を2013年9月に公表するとした、2013年7月15日付けの主要スケジュールを公表した。

GTCC廃棄物処分については、2011年3月にドラフト環境影響評価書(DEIS)において複数の処分方策を提示した上で、2011年4月から5月に全米各地で公聴会を開催していたが、FEISの作成・公表は当初予定より遅延し、未定となっていたものである。

GTCC廃棄物処分の担当部署であるDOEの環境管理局(EA)は、GTCC廃棄物に関する特設サイトを開設して種々の情報を提供しているが、DEISの公聴会の発言録も本サイトで公表している。なお、DEISでは、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での処分がGTCC廃棄物に関する管理の選択肢の一つとなっているが、WIPPの地元であるニューメキシコ州カールスバッドにおいて2011年4月26日に行われた公聴会の発言録には、GTCC廃棄物の処分場を誘致する主旨の発言が見られる。

【出典】

 


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法及び同法に基づく原子力規制委員会の連邦規則(10 CFR Part 61)において、地下30m以浅に処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える放射性廃棄物で、同法・規則に基づいて操業されている低レベル放射性廃棄物処分場での処分は行えないものである。「GTCC」はGreater Than Class C(クラスCを超える)の略。 []

2010年2月14日、米国で2012会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。

DOEの予算要求資料では、2010会計年度末までに、ユッカマウンテンプロジェクトは中止され、DOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は閉鎖されたとして、ユッカマウンテン処分場開発の予算要求額はゼロとなっている。また、オバマ政権がユッカマウンテン処分場開発は実行可能なオプションではないと決定し、2010会計年度中に処分場の許認可申請の取り下げ申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出するとともに、放射性廃棄物管理及び処分の新たな戦略を策定しながら政権に報告するブルーリボン委員会を設置したとしている。

また、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を行っているNRCは、許認可申請書の審査の中止作業が2012会計年度開始までに終了するとの理由から、2012会計年度の予算要求をゼロとしている。

一方、DOEのユッカマウンテン処分場開発関連の予算については、2011会計年度の予算要求においてもゼロとされていた。その後、連邦議会では、2011会計年度の歳出法案は可決されておらず、4度の継続予算決議が行われ、現在は2011年3月4日までの継続予算が成立している。

連邦議会下院歳出委員会は、2011年2月11日、2011会計年度の残りの期間を対象とした継続予算法案を提出した。同法案において、ユッカマウンテン処分場開発関連予算は、2010会計年度の歳出予算額から280万ドル削減された金額となっている。また、同法案では、NRCの委員が、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)による処分場の許認可申請の取り下げを認めないとする決定を破棄するまで、処分場の許認可申請の審査に関連した活動を中止する目的で、予算が使用されることを禁止するとしている。

【出典】

【2011年4月19日追記】

2011年4月14日、米国の連邦議会は、2011会計年度の2011年9月30日までを対象とした継続歳出法案を可決した。同法案では、エネルギー省(DOE)に対するユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場開発関連予算はゼロとされている。その他の高レベル放射性廃棄物関連では、原子力規制委員会(NRC)に対して放射性廃棄物基金から1,000万ドルが割り当てられている。なお、2011年2月11日に下院歳出委員会が提出した継続予算法案においては、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請の取り下げ申請を認めないとするNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)の決定をNRCの委員が破棄するまで、許認可申請の審査に関連する活動の中止のために予算を使用することを禁止するとされていた。しかし、今回可決した継続歳出法案では、使途などについては記されていない。

【出典】

【2011年12月20日追記】

2011年12月17日、米国連邦議会は、エネルギー省(DOE)の歳出予算などを含む2012会計年度の一括歳出法案を可決した。同法案では、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場に係る開発関連予算はゼロとされている。また、DOEに対しては、ブルーリボン委員会の2012年1月29日に予定されている最終報告書の公表後6カ月以内に、使用済燃料などの管理戦略を策定するよう指示している。なお、同法案では、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場に係る許認可審査関連費用についても、予算が割り当てられていないものとなっている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2012会計年度の予算は2011年10月からの1年間に対するものである。
    []

米国の連邦議会下院のシンプソン議員(共和党、アイダホ州選出)ら14名の共和党議員は、2010年11月18日、原子力規制委員会(NRC)委員長がユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を中止したことに対して、決議案を連邦議会下院に提出した。その中で、NRC委員長の一方的な決定を非難するとともに、連邦議会の更なる指示があるまでは審査を即座に再開するようNRCに対して求めている。NRC委員長は、独自の判断に基づいて、ユッカマウンテン許認可申請書の技術的な審査を停止するよう、NRCスタッフに指示したとされている

シンプソン議員の2010年11月18日付プレスリリースによると、NRC委員長は、2011会計年度の予算要求における現政権の考え方に基づいて、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を中止するとしているが、2010年10月1日から始まる2011会計年度予算は承認されていないため、現在のNRCの活動は、暫定的に継続予算の下で運営されているとしている。

今回提出された決議案の前文には、次の13の項目が挙げられている。

  • 連邦議会上下両院は、1987年に、ユッカマウンテンを唯一の処分場サイトのオプションと指定するように1982年放射性廃棄物政策法を改正した(下院237対181、上院61対28で賛成多数)
  • 上下両院は、2002年に、ユッカマウンテンを唯一の処分場サイトのオプションとすることを再確認した(下院306対117、上院60対39の賛成多数)
  • 連邦議会下院は、2007年に、ユッカマウンテン計画の予算を削除する案を圧倒的多数で否決した(80対351の反対多数)
  • エネルギー省(DOE)は、電気事業者及び消費者からすでに240億ドル(2兆400億円)の拠出金を徴収している
  • 高レベル放射性廃棄物処分サイトとしてユッカマウンテンを検討するため、すでに連邦の納税者は、85億ドル(約7,200億円)以上を使用している
  • 民間の原子力発電所からの使用済燃料や高レベル放射性廃棄物を処分するとの契約の違反によるDOEの債務は、500億ドル(約4兆円)に達する可能性がある
  • NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、DOEはユッカマウンテン処分場の許認可申請書の取り下げが法的にできないとの決定を行った
  • 2010会計年度のエネルギー・水資源開発及び関連機関歳出法では、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を継続するための費用が認められていた
  • 連邦議会は、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の中止に関連した活動のための予算を認めていない
  • 2011会計年度での継続予算では、新規の計画を実施するための予算は認めていない
  • 連邦議会下院歳出委員会・エネルギー・水資源開発小委員会の共和党議員は、2010年10月20日付の書簡において、連邦議会がさらなる指示及び予算を与えるまで、NRCは2010会計年度の許認可申請書の審査を継続するものと想定すると述べている
  • 2名のNRC委員は、許認可申請書の審査を中止する決定に同意せず、審査の中止は2011会計年度での継続予算と矛盾していると言及していた
  • NRCの監察官(IG)は、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を中止するとのNRC委員長の一方的な決定に関する調査を開始している

さらに、シンプソン議員はプレスリリースにおいて、連邦議会やNRCの他の委員の支持がない状態で、NRC委員長がユッカマウンテン計画を一方的に中止しようすることは不当であり、NRCの高い評価を脅かす行為であるなどとしている。

なお、2010年11月2日の連邦議会の中間選挙の結果により、2011年1月に開始される第112議会では、連邦議会下院は共和党が、上院は民主党が過半数を占める状態になる。

【出典】

米国の環境保護庁(EPA)は、2010年11月18日に、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)についての適合性再認定の決定を行った。WIPPは、1999年3月から軍事用のTRU廃棄物の地層処分が開始されているが、1992年WIPP土地収用法により、処分開始以降の5年毎に、廃止措置段階が終了するまで、連邦規則の要件に適合していることの認定を受けることが要求されている。前回は2006年3月29日に適合性再認定の決定が行われており、今回は2度目の適合性再認定に当たり、2009年3月24日に適合性再認定申請書を連邦エネルギー省(DOE)がEPAに提出していた

連邦官報に掲載された適合性再認定の決定文書において、適合性再認定の決定は、DOEが提出した書類の審査、独自の技術的な解析、パブリックコメントに基づいて行われたことが示されている。また、本決定は、WIPPの操業開始に係る適合性認定の決定を再検討するものではなく、WIPPでの種々の変更点を評価して、連邦規則の要件への適合性を判断するものであるとしている。さらに、EPAは、DOEが継続してWIPPに適用される全ての連邦規制の要件を満たしていることを確認したとしている。

なお、DOEの適合性再認定申請に関する説明資料においては、前回の適合性再認定申請書からの大きな変更はないものの、以下のような変更点があったとされている。

  • TRU廃棄物のインベントリ(既に処分された廃棄物、処分予定の廃棄物、将来発生が予測される廃棄物で情報をアップデート)
  • 遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物(RH廃棄物。WIPPでは2007年1月からRH廃棄物の処分が行われている)
  • 性能評価(処分場の長期性能評価で使用するコンピュータ・モデルでの、ガス発生モデル、パラメータなどの変更、コードの更新・改良)
  • 人工バリア(放射性核種の移行を遅延するために人工バリアとして使われる酸化マグネシウムの使用量の低減)
  • ピア・レビュー(RH廃棄物の目視検査データの確認及びロスアラモス国立研究所での密封線源に関するWIPPピア・レビューの文書化及び結果)

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2010年10月7日付けのプレスリリースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での廃棄物の受入れが、2010年10月5日(火)に、9,000回に達したことを公表した。WIPPでは、1999年3月から軍事関連で発生したTRU廃棄物の地層処分が開始されている。

同プレスリリースによれば、これまでに米国内の17のサイトにおいて、作業者、公衆及び環境に安全な方法により、TRU廃棄物のWIPPへの搬出を実施してきたとしている。具体的には、アイダホ・サイト、ロッキーフラッツ環境技術サイト、サバンナリバー・サイト、ハンフォード・サイト及びロスアラモス国立研究所を含む各地から70,800m3(200リットルドラム換算で35万4千本)以上のTRU廃棄物がWIPPにおいて処分された。この間、TRU廃棄物の総輸送距離は1,070万マイル(1,720万km)以上となっているが、これまでに大きな事故や放射性物質の放出は起こっていないとしている。

今回、9,000回目の受入れとなったTRU廃棄物は、アイダホ・サイトからの「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)とされている。WIPPが1999年の操業開始からこれまでに受入れたTRU廃棄物のうち、ほぼ半数がアイダホ・サイトからのものとされている。

WIPPでは、2006年9月に、TRU廃棄物の5,000回目の受入れを達成している。また、当初、CH廃棄物のみが処分されていたが、2007年1月からは「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)の受入れも開始されている

なお、WIPPについては、環境保護庁(EPA)により5年ごとに連邦規則への適合性認定、または適合性再認定を受けることが必要とされており、2006年3月29日にEPAが最初の適合性認定の決定を行っている。また、2009年3月24日に2回目の適合性再認定申請が行われ、現在審査が行われている。

【出典】

【2011年9月30日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2011年9月28日付けのプレスリリースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での廃棄物の受入れが、2011年9月24日(土)に、10,000回に達したことを公表した。

同プレスリリースによれば、WIPPは、これまでに77,000m3(200リットルドラム換算で38万5千本)以上のTRU廃棄物を受け入れ、処分してきたとしており、この間、総輸送距離にして1,200万マイル(約1,930万km)以上、TRU廃棄物を安全に輸送してきたとしている。

また、2011年8月時点において、冷戦時代の遺産でクリーンアップが必要な面積を55%削減したとしている。米国復興・再投資法に基づく投資によりクリーンアップ作業を加速することができたとしており、TRU廃棄物プログラムのライフサイクルコストを12億ドル(1,020億円)低減することができたとしている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2010年9月15日のニュースリリースにおいて、NRCの連邦規則における「廃棄物保証」に関する規則及び所見1 の改定案を承認したことを公表した。これまでの連邦規則では、地層処分場が2025年までに利用可能となるとされていたが、今回の改定では、処分場の利用可能時期は明確に示さず、「必要な時期に利用可能となる」との記述に変更されている。

今回改定された連邦規則は、NRCの原子炉等の許認可手続における環境影響評価について定めた10 CFR Part 51「国内許認可及び関連規制機能に対する環境保護規則」の第23条(a)項である。これまで同項に規定されていた廃棄物保証では、地層処分場は21世紀の第一四半期内には利用可能となり、原子炉の運転許可期限を過ぎても使用済燃料が少なくとも30年間は環境に重大な影響を与えることなく貯蔵可能であるとされていた。

NRCが今回承認した廃棄物保証に関する規則では、いずれの原子炉から発生した使用済燃料も運転許可期限を過ぎても最低60年間は環境に重大な影響を与えることなく貯蔵可能であり、また、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分のため、必要な時期に地層処分場が利用可能になるとされている。

廃棄物保証については、2008年10月に連邦規則における「廃棄物保証」に関する規則及び所見の改定案を策定し、パブリックコメントの募集が行われていた。2009年9月には、NRCの委員会は、改定案を認めないとしていたが、その後、2010年7月にはNRCの委員会に対して再度改定案が提案されていた。

今回の改定案の承認に際し、NRCの委員会は、NRCスタッフに対して、使用済燃料の貯蔵及び処分に関連した現在の状況や科学的な知見に関する情報を確保するために、より長期間の貯蔵に関する追加的な分析や規則策定作業を行うように指示したとされている。また、NRC委員会は、今回の廃棄物保証の改定が、原子炉サイトでの無期限の貯蔵の承認を示唆するものではないとしている。

この改正案は、60日以内に連邦官報への掲載準備を行い、その後、連邦官報に掲載されることとなっている。

【出典】

【2012年1月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2012年1月3日、使用済燃料の長期貯蔵に関する環境影響評価書(EIS)のスコープなどを示した報告書案を公表するとともに、同報告書案に対する意見募集を開始した。NRCは、2010年9月の「廃棄物保証」の規則及び所見の改定案の承認に際し、原子炉の運転許可期限を過ぎても最低60年間は環境に重大な影響を与えることなく貯蔵可能であることをNRCは承認しているが、それ以降貯蔵が長期化する可能性もあるため、許可期限後60年間以降の貯蔵について責任を持つため、「廃棄物保証」の長期間にわたる延長を検討し、検討の一部としてEISを策定するようNRCスタッフに指示していた。

報告書案によれば、EISでは、今世紀半ばから約200年間について、使用済燃料の長期のハンドリング、貯蔵及び輸送の影響を評価するとしており、最終的には地層処分場への輸送に至るまでの以下の4つの評価シナリオを示している。

  • サイトでの長期貯蔵及びオフサイトの独立貯蔵施設での長期貯蔵
  • サイトでの中間貯蔵及び地域の貯蔵施設への輸送
  • サイトでの中間貯蔵及び1か所の集中中間貯蔵施設への輸送
  • サイトでの中間貯蔵及び少なくとも1か所の再処理施設への輸送

NRCは、今後、寄せられた意見を検討した後、最終報告書を2012年春に公表すること、2013年にEISの作成の意向を連邦官報に掲載することなどのスケジュールを報告書案に示している。

【出典】

【2012年6月11日追記】

米国連邦控訴裁判所2 は、2012年6月8日に、2010年9月の原子力規制委員会(NRC)による「廃棄物保証」規則の改定に対してニューヨーク州などが起こしていた訴訟に関して、改定を無効とする判決を行った。

今回の連邦控訴裁判所の判決では、「廃棄物保証」に係る決定は主要な連邦政府の行為に当たるため、1969年国家環境政策法(NEPA)に基づいて環境影響評価(EIS)(詳細はこちら )を実施する必要があるとしている。そのうえで、NRCが「廃棄物保証」規則の改定において、地層処分場の利用可能時期を「必要な時期に利用可能となる」とした点について、必要な時期に処分場が設置されなかった場合の環境影響評価を実施していないとしている。

これらの判断に基づき連邦控訴裁判所は、「廃棄物保証」規則の改定を無効とし、更なる手続きのためNRCに差し戻すことを命令した。

【出典】


  1. 廃棄物保証に関する所見(waste confidence findings)とは、原子力規制委員会(NRC)の原子炉等の許認可手続における環境影響評価で必要とされる、原子炉から発生する使用済燃料による環境への影響について、NRCが一般的な決定事項を示したものである。具体的には、使用済燃料が安全に処分可能か、処分場またはサイト外貯蔵施設がいつ頃利用可能となるか、原子炉施設等の許可期間が終了した後もサイト外での処分または貯蔵が可能となる時期まで安全に貯蔵可能かという点を示している。この所見に基づいて、NRCの環境影響評価に関する連邦規則である10 CFR Part 51が規定されている。 []
  2. 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(D.C.)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンD.C.地区における訴訟事件を取り扱う)。 []

2010年8月23日、米国の原子力規制委員会(NRC)は、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書に対する安全性評価報告(SER)の第1分冊(一般情報)を公表した。NRCは、同報告において、ユッカマウンテン処分場計画における、処分場、スケジュールなどについて、DOEは適切に情報提供しているとしている。

ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請については、DOEは2008年6月に、一般情報、安全解析書(SAR)及び海軍原子力推進計画(NNPP)技術支援文書(TSD)で構成される許認可申請書をNRCに提出した。NRCは、2008年9月に許認可申請書を正式に受理し、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)が許認可申請に対するヒアリング手続を行っている。また、NRCは、許認可申請書の評価をSERとして取りまとめ、ヒアリングに提出することとなっている。

SERの準備状況に関してNRCは、2009年7月10日に、NRCの予算が限られていることから、予定された5分冊の全てを一括ではなく、分冊ごとに発行することとし、第1分冊「一般情報」を2010年3月、第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」を2010年9月に発行する見込みを示していた。今回公表されたSERの第1分冊は、DOEの許認可申請書のうち、一般情報に関するNRCの審査結果を示したものである。

SER第1分冊によれば、以下の項目について、DOEは連邦規則10 CFR 63.21(b)に従って一般情報を適切に記述しているとNRCは結論づけている。

  • ユッカマウンテン処分場の一般的な情報、処分場操業エリアの位置、処分場での活動の一般的な特徴、NRCの許認可発給に必要な基礎情報
  • 処分場建設、廃棄物受入れ、廃棄物の定置スケジュール
  • 高レベル放射性廃棄物の核物質防護のためのセキュリティの詳細な記述、核物質防護のための一般的な設計、保障措置の緊急時対策、セキュリティ組織の人員の訓練や資質に関する計画、核物質防護システムの機能など
  • 連邦規則10 CFR 63.78の要件を満たすための核物質管理計画
  • ユッカマウンテン・サイトの特性調査のために行われた作業

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請に関しては、DOEが2010年3月3日に、NRCのASLBに対して許認可申請書の取り下げ申請を行っており、ASLBは2010年6月29日に申請の取り下げは認めないとの決定を行っている。このASLBの決定については、NRCを構成する委員が最終判断を行う予定となっている。

【出典】

【2010年10月15日追記】

2010年10月7日、サウスカロライナ州エイケン郡、サウスカロライナ州及びワシントン州は、原子力規制委員会(NRC)に対して、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の技術的な審査を再開すること、及びNRC委員長がこれまでに独自の判断で出した命令について破棄することを求める申立てを行った。これは、NRC委員長がユッカマウンテン許認可申請書の技術的な審査を停止するよう一方的にNRCスタッフに指示したとする複数の報道に対応したものとされている。

また、連邦議会下院のヘイスティングス議員は、2010年10月13日付プレスリリースにおいて、同議員を含む連邦議会下院議員4名がNRC委員長に対して書簡を送り、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の技術的な審査を停止することの説明を求めるとともに、許認可手続きを進めることなどを求めたことを公表した。

【出典】

【2011年9月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2011年9月1日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、閉鎖前の処分場の安全性に関する技術的評価をまとめた「技術評価報告」(TER)を公表した。すでにTERについては、2011年7月21日に、閉鎖後の処分場の安全性に関するTERが公表されている。NRCは、3分冊によるTERを作成することにしており、残りの1分冊については、2011年9月末までに公表するとしている。

NRCのプレスリリースによると、TERは、NRCによる許認可申請書の技術的な審査の停止に伴って、知識管理活動の一環として準備されたものであるとされている。また、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書がNRCの規制要件を満たしているかという点については、結論を示していないとしている。

今回公表された閉鎖前の処分場の安全性に関するTERは、「安全性評価報告」(SER)の第2分冊のドラフトを基に策定したとされている。2011年7月に公表されていた閉鎖後の処分場の安全性に関するTERは、SERの第3分冊のドラフトが基となっていた。なお、当初、NRCは、次の5分冊からなるSERを作成することとしていた。

  • 第1分冊「一般情報」
  • 第2分冊「閉鎖前の処分場の安全性」
  • 第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」
  • 第4分冊「管理上及びプログラム上の要求事項」
  • 第5分冊「許認可仕様」

【出典】

【2011年9月15日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2011年9月13日に、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、3分冊から構成される「技術評価報告」(TER)の最後の分冊として、管理及びプログラムに関する技術的評価をまとめたTERを公表した。

今回公表された分冊は、処分場に関連した研究開発から操業、性能確認プログラム、品質管理、非常時計画などの管理及びプログラム分野について、許認可申請書、その他DOEが提供した情報に対するNRCの技術的評価が含まれている。

TERについては、2011年7月21日に閉鎖後の処分場の安全性に関するTERが、2011年9月1日に閉鎖前の処分場の安全性に関するTERが公表されていた(2011年9月5日付追記参照)。これら3分冊からなるTERは、許認可申請書の技術的評価の知識管理のための主要な記録とされており、許認可申請書がNRCの規制要件を満たしているかという点についての結論は示されていないとされている。

【出典】

米国の連邦控訴裁判所1 は、2010年7月28日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、2010年9月23日に予定されていた口頭弁論などのスケジュールを破棄し、訴訟手続きを一時停止することを決定した。

ユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に関連した訴訟としては、サウスカロライナ州エイケン郡が、2010年2月16日の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)による許認可審査手続きの一時停止決定を受け、2010年2月19日に、DOE、NRC等を相手取った訴訟を起こしていた。同様に、2010年2月25日に民間3名、2010年2月26日にサウスカロライナ州、2010年4月13日にワシントン州が訴訟を起こしており、これらの4者による訴訟が併合されて手続きが進められてきた。これらの訴訟では、DOEによるユッカマウンテン計画の中止に向けた作業、ASLBでの許認可申請の取り下げ申請に関する審査手続きなどの差止請求を行うとともに、DOEによる許認可申請の取り下げ申請の可否が争点とされている。また、2010年5月3日、連邦控訴裁判所は、DOEによるユッカマウンテン計画の中止に向けた作業、及びASLBでの許認可申請の取り下げ申請に関する審査手続きなどの差止請求を却下したが、DOEによる許認可申請の取り下げ申請それ自体の可否については、口頭弁論を2010年9月に開催するなどとしていた

その後、2010年6月29日にASLBが、DOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めない決定を行ったことを受け、NRCなどは2010年7月2日に連邦控訴裁判所に対し、口頭弁論などのスケジュールの破棄、及びASLBの決定に対するNRCの委員会による最終判断が出るまで訴訟手続を一時停止することを求めて申立てを行っていた。今回の連邦控訴裁判所の決定は、このNRCなどの申立てを認めたものである。

連邦控訴裁判所は、今後のスケジュールについて、ASLBの決定に対するNRCの委員会の最終決定から10日以内に、その後の訴訟手続きの管理に関する申立てを提出するよう当事者に命令している。

出典

【2010年12月13日追記】

米国の連邦控訴裁判所は、2010年12月10日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、訴訟手続きの停止を解除すること、及び今後の訴訟スケジュールを以下のように決定した。

• 2011年1月3日:DOE、NRC等の被告及びネバダ州による趣意書の提出期限
• 2011年1月18日:サウスカロライナ州エイケン郡等の原告及び全米公益事業規制委員協会(NARUC)による応答趣意書の提出期限
• 2011年2月8日:最終趣意書の提出期限

【出典】
DC巡回区控訴裁判所、命令(2010年12月10日)

【2011年1月11日追記】

米国の連邦控訴裁判所は、2011年1月10日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、2011年3月22日に口頭弁論を行うことを決定した。同裁判所は、2010年12月10日に、訴訟手続きの停止の解除及び趣意書の提出期限を決定していた(2010年12月13日追記参照)。

【出典】


  1. 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(DC)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンDC地区における訴訟事件を取り扱う)。 []