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§ 2018年8月27日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国でNRCが中間貯蔵パートナーズ(ISP)社による使用済燃料の中間貯蔵施設の許認可申請の審査を再開

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米国の原子力規制委員会(NRC)は、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請に関して、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社が要請した許認可審査の再開を認めることについて、2018年8月21日付のISP社宛の書簡(以下「NRC書簡」という。)で通知した。WCS社によるテキサス州アンドリュース郡における中間貯蔵施設プロジェクトについては、WCS社に対する買収の動きを受け、2017年4月18日に許認可審査の一時停止がWCS社から要請され、NRCもこれを承認していた。WCS社は、2018年1月に投資会社のJFリーマン社に売却されたが、WCS社とOrano USA社1 との合弁会社として設立されたISP社が、2018年6月8日に、中間貯蔵施設の許認可審査の再開を公式に要請していた

今回公表されたNRC書簡の中でNRCは、ISP社が2018年6月8日付の許認可審査の再開要請に続いて提出した許認可申請書の改定2版(Revision 2)において、詳細な審査の再開に必要な情報が提供されていることを確認したとしている。また、NRC書簡では、ISP社の許認可申請に係る審査のスケジュールが以下のように示されている。

  • 安全審査関連の追加情報要求(RAI)
    • 1回目:2018年11月~2019年1月
    • 2回目:2019年5月~2019年7月(必要な場合のみ)
  • 環境審査関連の追加情報要求(RAI)
    • 1回目:2019年1月
    • 2回目:2019年5月(必要な場合のみ)
  • NRCによる安全審査、環境審査関連の完了:2020年8月

また、NRC書簡では、裁判形式の裁決手続による「ヒアリングの開催要求の機会」(opportunity to request a hearing)(以下「ヒアリング開催要求の機会」という。)に係る新たな通知、及び環境影響評価(EIS)のスコーピング手続を再開する旨の通知を、連邦官報で告示する予定としている。NRCは、2017年7月20日付の連邦官報において、ヒアリング開催要求の機会に係る2017年1月30日付の連邦官報告示を取消すとともに、WCS社が許認可審査の再開を要求した場合には、改めてヒアリング開催要求の機会に係る通知を連邦官報で告示することを決定していた

なお、NRCウェブサイトにおけるWCS社の集中中間貯蔵プロジェクトのページは、2018年8月15日に、ISP社を申請者とする形で更新されており、ISP社が提出した許認可申請書の改定2版(Revision 2)も掲載されている。

【出典】

 

【2019年7月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2019年7月1日付けの中間貯蔵パートナーズ(ISP)社宛の書簡において、IPS社によるテキサス州アンドリュース郡での使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請について、審査スケジュールを改定したことを通知した。NRCの書簡では、これまで2020年8月と見込まれていた安全性・セキュリティ・環境の審査の完了が、2021年5月に先送りになるとのスケジュールが示されている。

NRCは、今回の審査スケジュールの改定は、NRCからの追加情報要求(RAI)への対応について、ISP社が2019年5月31日に提示した対応スケジュールを考慮したためとしている。また、改定前のスケジュールと同様に、改定したスケジュールでも、ISP社が今後のRAIに対する回答を高い品質で60日以内に提出することなどを前提としており、ISP社の回答の品質や提出の遅れがNRCでの審査の遅延につながる可能性もあるとしている。

なお、ISP社の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書の審査については、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求が12件提出されている。NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、ヒアリングの開催を要求している者の当事者適格、及び提出された争点の有効性に係る口頭弁論を2019年7月10~11日に開催する予定である。

【出典】

 

【2019年8月26日追記】

原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、2019年8月23日に、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請について、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催を求めるシエラクラブ2 の申立てを認め、ヒアリングを開催することを決定した。ヒアリングの開催要求及び参加申立てについては、12の組織等から開催要求及び参加申立てが提出され、2019年7月10~11日に口頭弁論が行われた。ASLBは、シエラクラブを含めて4組織の当事者の適格性を認めたが、シエラクラブ以外の申立てについては、争点が有効と認められないとして否認された。なお、ASLBは、NRCから独立した行政判事団であり、参加申立てを行った者は、NRCの委員会に対してASLBの決定に関する不服申立てを行うことができる。

原子力安全・許認可委員会(ASLB)が有効と認めたシエラクラブの争点は、絶滅が危惧される2種類のトカゲの生息地に対する影響の可能性について、ISP社が提出した環境報告書(ER)では技術的な適切性が十分に説明されていないなどとするものである。ISP社の環境報告書(ER)においては、2種のトカゲの生息地に対する重大な影響はないとのISP社の見解をサポートする5つの研究が引用されているが、そのいずれもが公開されておらず、公衆による精査が不可能なことなどの理由から、有効な争点として認められた。なお、シエラクラブは全部で17件の争点を提出していたが、他の争点はすべて否認されている。

【出典】


  1. Orano USA社は、フランスの原子力総合企業であるOrano社(旧Areva社)の米国法人である。実際にWCS社との合弁会社であるISP社を設立したのは、Orano USA社の子会社であるOrano CIS LLCとなっている。 []
  2. 米国の市民参加型の環境団体 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2019-08-26 )