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米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年12月18日に、エネルギー省(DOE)が2008年6月に提出したユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、処分場の管理上及びプログラム上の要求事項に関する審査結果をまとめた安全性評価報告(SER)の第4分冊「管理上及びプログラム上の要求事項」を公表した。NRCのプレスリリースにおいて、NRCは、DOEの許認可申請書はNRCの連邦規則(10 CFR Part 63「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」)における管理上及びプログラム上のほとんどの要求事項を満たしているが、土地の所有権と水利権に関する規則の要求事項は満たしていないとしている。また、建設認可の付帯条件として、将来において安全上の疑問を解決するために研究開発プログラムを実施した場合について、NRCへの報告義務が提案されている。

ユッカマウンテン処分場に係る安全性評価報告(SER)は、5分冊で構成されている 。NRCは、2010年8月にSERの第1分冊「一般情報」を公表した後、SER策定作業を停止していた。しかし、2013年8月13日の連邦控訴裁判所判決を受けて、2013年11月18日にSERの完成方針を決定し、2014年10月16日にはSER第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」を公表している。今回公表されたSER第4分冊では、安全上の疑問を解決するための研究開発プログラム、性能確認プログラム、管理システムが評価対象とされている。

「性能確認プログラム」は、処分場の性能目標の遵守を評価する際に使用された仮定、データ及び解析の適切さを評価するため、処分サイトなどで試験、実験、解析を行うものであり、長期にわたる地層処分場の性能評価における不確実性に対応するための高レベル放射性廃棄物処分に独自の要件である。性能確認プログラムは、サイト特性調査の段階から開始され、地質工学及び設計パラメータの確認、設計試験、廃棄物パッケージのモニタリングなどによって性能評価の有効性を確認し、実質的に処分場の閉鎖の判断のための情報を提供するものである。10 CFR Part 63においては、「地層処分の設計は、廃棄物の定置期間中及びその後の期間を通じて、性能確認プログラムで得られた情報に関するNRCの審査が完了するまでの期間にわたり、廃棄物の回収可能性が維持されるものでなければならない」と規定されている。

なお、今回公表された安全性評価報告(SER)第4分冊において、10 CFR Part 63の要求事項を満たしていないと指摘された土地の所有権と水利権の取得については、それぞれ連邦議会による法律制定とネバダ州による許可が必要となる。

安全性評価報告(SER)の分冊構成・公表日

分冊名 公表日
第1分冊「一般情報」 2010年8月23日

第2分冊「閉鎖前の処分場の安全性」

(今後公表予定)

第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」

2014年10月16日

第4分冊「管理上及びプログラム上の要求事項」

2014年12月18日

第5分冊「許認可仕様」

(今後公表予定)

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年10月16日に、エネルギー省(DOE)が2008年6月に提出したユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、「閉鎖後の処分場の安全性」に関する審査結果をまとめた安全性評価報告(SER)の第3分冊を公表した。NRCのプレスリリースでは、第3分冊で評価対象としているDOEの処分場設計は、高レベル放射性廃棄物を環境から隔離する多重バリアの構成などのNRC連邦規則(10 CFR Part 63サブパートE)に規定された閉鎖後の性能目標、並びに10 CFR Part 63サブパートLの個人防護・人間侵入・地下水保護の基準を満たしているとしている。

ユッカマウンテン処分場に係る安全性評価報告(SER)は5分冊で構成されるが、NRCは、2010年8月にSERの第1分冊「一般情報」を発行した後、予算問題を理由として、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る審査手続を2010年10月から停止していた。その後、2013年8月13日の連邦控訴裁判所判決によって審査手続の再開を命じられ、2013年11月18日には安全性評価報告(SER)を完成することなどの審査再開による実施事項を決定し、SERの第2分冊から第5分冊の作業が行われていた。SER第3分冊は2014年11月6日の公表予定とされていたものであり、残りの分冊も2014年12月中に完成する予定が示されている

なお、NRCのプレスリリースにおいて、安全性評価報告(SER)第3分冊の公表は、NRCが処分場建設を承認するか否かを示唆するものではなく、許認可手続のために現在利用可能な額を超える予算が与えられた上で、SER全分冊の完成、DOEの環境影響評価書の補足(SEIS)、原子力安全・許認可委員会(ASLB)による裁決手続における争点のヒアリング、及びNRCの委員による審査が行われて初めて、許認可発給に係る最終的な決定が可能となることを指摘している。

今回の安全性評価報告(SER)第3分冊の公表に対する反応として、ユッカマウンテンの許認可手続にも参加している原子力エネルギー協会(NEI)は、SER第3分冊の公表は許認可手続の重要なマイルストーンであるとして歓迎した上で、許認可手続の次の段階に進むためにはDOEの積極的な参加が必要として、連邦議会による許認可手続予算の確保と現政権による処分場プログラムの再構築を求めるとしている。また、連邦議会の下院エネルギー・商務委員会の委員長や上院エネルギー天然資源委員会の少数党最上席議員からも同様に歓迎のプレスリリースが出されている。一方、ユッカマウンテンの地元のネバダ州原子力プロジェクト室からは、許認可手続の流れの外で一部のSERのみを公表することは間違った印象を与えること、今回公表されたSERでは、NRCが既に認めている200以上の争点が適切に対応されているかが不明などとの懸念を表明するニュースリリースが出されている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2014年9月30日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に関する復旧計画を公表した。米国の軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場であるWIPPは、DOEがニューメキシコ州カールスバッド近郊に設置・操業を行っていたが、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象に対応するため、処分場の操業は停止され、今なお事故調査が進行中である。今回公表された復旧計画は、WIPPの操業を再開するための計画と位置づけられ、復旧戦略、スケジュール及び費用が示されており、この中で、WIPPの操業の再開は2016年第1四半期としている。

WIPPの復旧計画では、復旧戦略の重要な要素として以下の7項目が示されている。

1.安全性
安全性は最優先されるものであり、火災事故及び放射線事象の事故調査委員会(AIB)の事故調査報告書で指摘された要改善事項を踏まえて安全文書を見直し、それらが実施された時点で操業を再開する。復旧は確実に進める。

2.規制遵守
施設の変更を伴う復旧活動については、規制当局であるニューメキシコ州環境省(NMED)及び環境保護庁(EPA)により確立された手続きに従う。
NMEDからは、火災事故及び放射線事象の後、地上施設の検査等の遵守に関する命令、放射線事象に関連した廃棄物の取扱等に関する規則の変更命令、一部の廃棄物パッケージの隔離計画策定命令が出されており、復旧に向けた許可の変更とともに、NMEDの承認が必要となる。
また、DOEとEPAは、1995年に、「有害大気汚染物質の国家排出基準」(40 CFR Part 61)の遵守に係る覚書(MOU)を交わしているほか、復旧活動で処分場の長期的性能に影響するものは、現在進められている5年ごとの適合性再認定に織り込まれることになる。

3.除染
除染はWIPP復旧計画の重要な要素となる。WIPPでは、第7処分室、排気坑道及び排気立坑の汚染が確認されているが、他の汚染箇所及び汚染濃度は今後確認が必要である。復旧計画では、技術的、コスト的、またはスケジュール的に困難な除染は行わず、クリーンな区域と汚染区域を分離する戦略が採られており、今後のWIPPの操業のあらゆる面に影響が生じる。

4.換気
地下施設での安全な操業のために換気能力の強化は重要となる。進行中のフィルター強化に続いて、補助的な換気システムを整備した上で、最終的には新排気立坑建設を含む新たな換気システムにより、以前のWIPPの換気能力を回復する。

5.鉱山安全性と地下施設の居住性
作業員の安全と健康を確保するため、放射線区域の確認・明示、機器の整備等を含め、鉱山安全性と地下施設内の居住性を改善する。

6.作業員の再訓練
復旧活動の費用対効率の最大化とWIPP作業チームの長期的任務達成のため、従来の作業員を最大限活用し、事故調査委員会(AIB)に指摘された問題点を含めて再訓練を行い、より複雑化するWIPPでの操業に対応する。

7.受入れ廃棄物の管理
放射線事象の原因となったロスアラモス国立研究所(LANL)からの廃棄物パッケージと同じストリームの硝酸塩を含む廃棄物パッケージは、WCSテキサス処分場で厳重に貯蔵されている。LANLを含むDOEの国立研究所からは、今後もTRU廃棄物が輸送されるが、同じ特性を持った廃棄物パッケージは無いことが確認されている。

なお、放射線事象に繋がった廃棄物パッケージの破損の原因については、現在も確認作業中であり、事故調査委員会(AIB)の事故調査報告書(フェーズ2)は2014年の終わりに出されることが見込まれている。その後、DOEが技術評価チームでの検討を実施することにしており、復旧活動に影響するような新たな情報が得られた時点で復旧計画を変更することが予定されている。

復旧計画では、WIPPの操業を再開するための費用は約2億4,200万ドル(約237億円)と見積られている。さらに、WIPPを完全な操業状態まで回復するためには、新規の恒久的な換気システム及び排気立坑が必要であり、さらに約7,700~3億900万ドル(約75~303億円)が必要になるとしている。

【出典】

 

【2015年4月8日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2015年3月26日に、1本の廃棄物ドラムが放射線事象の原因とする評価結果を示した「廃棄物隔離パイロットプラント技術評価チーム報告書」(2015年3月17日)を公表した。技術評価チームは、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)で2014年2月14日に発生した放射線事象について、事象発生のメカニズム、化学反応を評価することを目的として、DOEの国立研究所に所属する6人の技術的専門家から構成されている。

技術評価チーム報告書の要旨では、サバンナリバー国立研究所(SRNL)が中心となり、SRNL、ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)、オークリッジ国立研究所(ORNL)、パシフィックノースウェスト国立研究所(PNNL)及びサンディア国立研究所(SNL)の関連分野の専門家で技術評価チームを組織したこと、放射性物質の漏洩事象の理解のために過去のデータのレビュー、サンプルの採取・分析、研究所での試験、コンピュータ計算を行ったことが示されている。

技術評価チームの評価結果として、ロスアラモス国立研究所(LANL)から運び込まれた廃棄物ドラム番号68660について、化学的に不適合な内容物と廃棄物ドラム中の物質配置の物理的な条件との組合せにより、発熱化学反応が熱暴走を引き起こしたとしている。

技術評価チームの評価結果を導出する上での重要な判断内容として、以下の5項目が示されている。

  • 廃棄物ドラム番号68660の内容物は、化学的に不適合である
  • 廃棄物ドラム番号68660は、内部の化学反応の結果として破損しているが、化学反応によって熱、並びに、ドラムのベント及びシールを超えるようなガスが発生している。
  • 廃棄物ドラム番号68660は、WIPPでの放射能汚染の発生源である。
  • 熱暴走の開始は内部的なものであり、廃棄物ドラム番号68660の外部現象によるものではない。
  • WIPPの第7パネルの第7処分室で観測された漏洩事象及び破損の発生における物質の移動は、熱及び圧力の影響によるものであり、漏洩は爆轟(デトネーション、detonation)によるものではない。

なお、技術評価チームの報告書の公表と同時に、報告書の概要をまとめたファクトシートも公表されており、事象及び技術評価チームの結論の概要、技術評価チームの目的・構成、評価方針・方法、評価の制約条件、結論及び5項目の重要な判断内容が示されている。また、放射線事象に係る「事故調査報告書(フェーズ2)」は、2015年4月中に公表する予定であることが示されている。

【出典】

 

【2015年8月4日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2015年7月31日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の2014年9月30日付けの復旧計画について、2016年第1四半期(3月)までの操業再開が達成できないとして、操業再開スケジュールを見直しすることを公表した。操業再開スケジュールの遅延は、事故調査委員会(AIB)による指摘事項への対応、より厳格化されたDOEのサイト固有の文書化安全解析(Documented Safety Analysis, DSA)の基準を満足すること、暫定的な換気システムの製造等の調達・品質保証に係る契約者の監督に関する問題への対応など、復旧計画の策定時には想定されていなかった活動が必要になったためとしている。

DOEは現在、これらの問題に対応中であり、2015年秋には操業再開に向けたスケジュール及び費用の見直しが完了する見込みとしている。

【出典】

 

【2016年6月3日追記】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年6月2日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)での安全性解析報告書(Documented Safety Analysis, DSA)の対応を完了し、模擬廃棄物容器を用いたコールドによる操業(以下「コールド操業」という)について、2016年6月1日から8週間の予定で開始したことを公表した。WIPPは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されており、コールド操業は公式の操業準備審査(ORR)前において、作業員の習熟・装備類の検証を行うことが目的とされている。

今回のコールド操業の前提となっている安全性解析報告書(DSA)は、WIPPの管理・操業契約者により策定され、2016年4月29日に、DOEカールスバッド・フィールド事務所により承認されていた。DSAでは、火災や爆発、放射性物質漏出など7種類の事象を解析・評価した上で、安全要件の設定などが行われている。DSAの実施については、2016年5月29日に完了が確認されていた。

コールド操業は、机上演習、現場調査、綿密に計画された手順での実施作業など、段階的なアプローチで実施され、作業員が習熟するまで実施される。また、ランダムな中断や異常事態等への対応などの緊急時対応の訓練も実施される他、暫定的に設置された換気システムを含む機器・装備類の検証なども行われる。

コールド操業の完了後は、管理・操業契約者による自己評価の実施後、DOEカールスバッド・フィールド事務所と管理・操業契約者による公式の操業準備審査(ORR)が実施される。操業準備審査で確認された問題点への対応が完了し、ニューメキシコ州環境省(NMED)による規制審査、承認を得ることにより、管理・操業契約者によるWIPPにおける実際のTRU廃棄物の定置の再開をDOEが承認できることとなる。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年8月26日付のニュースリリースにおいて、使用済燃料の継続貯蔵(continued storage of spent nuclear fuel)による環境影響に関する連邦規則を承認するとともに、連邦規則が発効した後、一時的に中断していた原子炉の許認可発給・更新について再開することを公表した。今回承認された連邦規則は、NRCの原子炉等の許認可手続における環境影響評価について定めた10 CFR Part 51「国内許認可及び関連規制機能に対する環境保護規則」の第23条(a)である。

2012年6月の連邦控訴裁判所の判決において、2010年のNRCによる「廃棄物保証」規則の改定を無効とし、NRCに対して地層処分場が建設されない場合の使用済燃料の継続貯蔵が環境に影響を与える可能性の検討及び使用済燃料プールの漏えいと火災をさらに分析するよう指示していた。今回のNRCによる承認は、これに対するNRCの対応が完了したものとされている。なお、NRCは、2012年9月に、判決に対応した包括的環境影響評価書(Generic Environmental Impact Statement、GEIS)の作成及び連邦規則等の再改定については、24カ月以内に完了することとしていた

今回のプレスリリースによると、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則は、運転許可期間を過ぎた原子炉サイトにおける使用済燃料の貯蔵が環境に与える影響に関して、包括的環境影響評価書(GEIS)の知見を採用したものであるため、使用済燃料の継続貯蔵による一般的な環境への影響は、個別の許認可における環境に関する審査において再度分析する必要はないものとされている。なお、GEISは、運転許可期間を過ぎた原子力発電所において貯蔵されている使用済燃料が環境に与える影響について、60年(短期)、短期シナリオ終了後の100年(長期)、及び無期限の3つの時間枠で分析しているが、今回承認された連邦規則は、原子力発電所における使用済燃料の無期限の貯蔵を承認するものではないとされている。

なお、今回の連邦規則及び包括的環境影響評価書(GEIS)の承認に際して、これまで使用されていた「廃棄物保証」という名称が、「使用済燃料の継続貯蔵」と改められた。これは、最終規則の実体や内容を正確に反映すべきであるという大多数のパブリックコメントを反映したものとされている。

【出典】

 

【2014年9月2日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年8月26日付けで承認した使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則及び包括環境影響評価書(GEIS)等について、委員会決定文書、原子炉等の許認可発給の再開に関する委員会命令文書等を公表した。

NRCの委員会からスタッフに対する指示文書では、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則10 CFR Part 51について、連邦規則案と包括環境影響評価書(GEIS)案の細かな記述修正のほか、連邦政府が使用済燃料の長期貯蔵に係る費用を負担する可能性があることをパブリックコメントへの回答に反映すること、包括環境影響評価(GEIS)の知見を原子炉等のサイト個別の環境影響評価で活用する際には透明性のあるアプローチを採用することなどが指示されている。

なお、使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則及び包括環境影響評価書(GEIS)は、全委員の承認投票により決定されたが、委員長の投票では、包括環境影響評価書(GEIS)での無期限貯蔵の評価において制度的管理が喪失した場合についても解析すべきとして、一部が不承認とされた。委員長が投票に添えたコメントでは、制度的管理が喪失した場合についても可能な範囲で定量的評価を行った上で最悪の事態を想定した結果を示すべきであり、それによりエネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の補足環境影響評価書(SEIS)における「何もしない」オプションに対する評価を拡充することが可能になるなどの見解が示されている。

また、NRCが一時的に中断していた原子炉等の許認可発給の再開に関しては、許認可手続中の全申請者に宛てた命令が発行され、使用済燃料の継続貯蔵による環境影響に関する連邦規則が発効した時点で中断を解除することが正式に決定されている。

【出典】

 

【2014年9月22日追記】

米国の連邦官報で、2014年9月19日に、使用済燃料の継続貯蔵に関する連邦規則である10 CFR Part 51「国内許認可及び関連規制機能に対する環境保護規則」の改定を反映した最終規則が告示された。今回改定された連邦規則は、2014年10月20日に有効となる。

なお、使用済燃料の継続貯蔵に関する包括環境影響評価書(GEIS)の最終版については、2014年9月10日付けで、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトで公表されている。

【出典】

米国ニューメキシコ州で廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)を操業するエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)及び管理・操業(M&O)契約者は、2014年5月30日に、WIPPの地下処分施設における一部の廃棄物容器の隔離計画案をニューメキシコ州環境省(NMED)に提出した。WIPPでは、2014年2月14日に発生した放射線事象の原因究明の調査において、第7パネル第7処分室で廃棄物容器1本の蓋部の損傷が確認されており、NMEDは、2014年5月20日に、同様の廃棄物が処分されている第6パネル及び第7パネル第7処分室について、廃棄物容器の隔離計画を提出するように行政命令を発出していた。

WIPPの放射線事象については、原因究明のための調査が進行中であり、2014年4月2日からは地下処分施設への入坑による調査が数次にわたって行われている。2014年5月15日に行われた地下処分施設での調査では、第7パネル第7処分室に定置された廃棄物容器1本の蓋部の開口、発熱反応による変色が確認された。

蓋部の開口及び熱変色が確認された廃棄物容器(2014年5月15日撮影)

蓋部の開口及び熱変色が確認された廃棄物容器(2014年5月15日撮影)

蓋の開口部のクローズアップ(2014年5月22日撮影)"

蓋の開口部のクローズアップ(2014年5月22日撮影)

損傷が確認された廃棄物容器は、ロスアラモス国立研究所(LANL)から搬入されたものであり、硝酸塩とともに、硝酸塩との反応性が高い有機系物質が封入されていたことが確認されている。ロスアラモス国立研究所では、処分のために液体廃棄物を浸み込ませる吸収材が有機系の製品(猫砂(kitty litter)が使用されている模様)に変更されていたことが判明しており、今回の事象発生の原因として有力視されている。2014年5月30日に行われた地下処分施設の調査では、損傷した廃棄物容器の周辺からサンプルが採取されたが、2014年6月3日時点では分析結果は公表されておらず、最終的な原因特定はされていない。

WIPPでは、廃棄物の定置が完了した処分パネルから、パネルの第1次封鎖が行われ、その後に処分パネルへの坑道を埋め戻す恒久的封鎖が行われる計画となっているが、今回のニューメキシコ州環境省(NMED)による廃棄物容器の隔離計画の提出命令は、上記のロスアラモス国立研究所の硝酸塩を含んだ廃棄物容器が定置されている第7パネル第7処分室及び第6パネルにおいて、類似の事象発生による被害を未然に防ぐために発せられたものである。DOE等が提出した廃棄物容器の隔離計画案に拠れば、今回の事象で爆発は生じていないと見られており、第7パネルに設置されていた圧力隔壁に圧力が掛かった痕跡も認められないことから、圧力隔壁等による第1次封鎖でも十分に有効との評価を示した上で、第1次封鎖の完了後に早期に恒久的封鎖を行う計画が示されている。恒久的封鎖については、掘削時に発生した岩塩で坑道を埋め戻す方式が提案されている。

なお、ニューメキシコ州環境省(NMED)の2014年5月20日の行政命令では、廃棄物容器の隔離計画の実施スケジュールも求められていたが、今回の廃棄物容器の隔離計画案では、放射線事象の原因も最終的に確認されていない中で多くの前提条件に基づいていること、様々な作業を並行的に行うことなどから、主要な工程ごとの作業日数が示されているのみであり、具体的な実施期日は示されていない。

【出典】

 

【2015年6月3日追記】

米国エネルギー省(DOE)及びニューメキシコ州環境省(NMED)は、2015年6月2日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)で2014年2月14日に発生した放射線事象の原因となった廃棄物容器の隔離が完了したことを公表した。今回の廃棄物容器の隔離は、2014年5月20日のNMEDの行政命令を受けたものであり、WIPPの地下に設置された処分パネルのうち、放射線事象の原因と断定されたロスアラモス国立研究所(LANL)から搬出された硝酸塩を含むTRU廃棄物が処分されている第6パネル及び第7パネル第7処分室について、それぞれ2015年5月13日及び5月29日に早期封鎖が完了したとしている。

第6パネル及び第7パネル第7処分室の封鎖は、吸気側及び排気側のそれぞれの坑道について、定置された廃棄物容器の側に金網(chain link)及び張出布(brattice cloth)を設置した上で、鋼製バルクヘッド(steel bulkhead)を設置することにより行われている。第6パネルの封鎖では、下図に示すように、廃棄物面に接する形で岩塩等を積み上げた障壁が設置されている。

なお、WIPPでは、2014年9月30日に復旧計画が公表され、2016年第1四半期の操業再開に向けて復旧活動が行われている。WIPPの放射線事象については、2015年4月16日に、DOEの事故調査委員会(AIB)の「事故調査報告書(フェーズ2)」が公表されており、2013年12月にロスアラモス国立研究所(LANL)で処理した1本の廃棄物容器での有機物質と硝酸塩との混合による発熱化学反応が放射線事象及び放射性物質の漏洩の原因と結論づけられている。

第6パネル封鎖の概念図(坑道の断面図)

第6パネル封鎖の概念図(坑道の断面図)

第7パネル第7処分室の封鎖のための金網・張出布の設置作業

第7パネル第7処分室の封鎖のための金網・張出布の設置作業

第7パネル第7処分室の入り口を密封する鋼製バルクヘッド

第7パネル第7処分室の入り口を密封する鋼製バルクヘッド

【出典】

エネルギー省(DOE)の環境管理局(EM)は、2014年4月24日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の地下施設内で2014年2月14日に発生した放射線事象についての初めてとなる「事故調査報告書(フェーズ1)」を公表した。WIPPでは、今回の放射線事象における放射性物質の漏洩場所の特定及び原因究明のための地下施設内の調査を実施中であるが、本報告書では、事故調査の第1段階として、放射性物質の地上環境への漏洩とWIPP職員の被ばく、事象発生後の対応、管理体制が中心に取りまとめられている。なお、事故調査の進捗に伴って、放射性物質の漏洩の直接的な原因を中心とした補足報告書が発行される予定としている。

2014年4月23日に開催されたタウンホール・ミーティングで示されたDOEの事故調査委員会(AIB)の資料では、放射性物質の地上環境への漏洩の根本原因は、WIPPを運営・管理するDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)と管理・操業(M&O)契約者とが、放射線の危険性を十分に理解・管理していなかったためとしている。また、換気システムの設計及び操作性が不適切であり、安全管理プログラムや安全文化の劣化と合わせて累積的に影響したこと、漏洩の認識及び対応が遅延し、効果的でなかったことが放射性物質の漏洩につながったとしている。

今回公表された事故調査報告書(フェーズ1)では、原子力安全、メンテナンス、放射線防護及び緊急事態管理の各プログラム、行動規範、安全文化・監督の各項目について、事故調査委員会の結論・問題点(CON)と措置必要事項(JON)が示され、一覧表に整理されている。

なお、2014年4月23日に行われた漏洩場所の特定及び原因究明のための調査では、漏洩場所と想定される地下処分施設の第7パネルの第7処分室に調査チームが到達しており、処分室の天井の崩落などは認められず、目視可能な範囲では廃棄物パッケージの異常も認められていない。

2014年4月23日の地下施設内の調査ルー

2014年4月23日の地下施設内の調査ルート

第7パネル第7処分室の状況

第7パネル第7処分室の状態

2014年4月23日のタウンホール・ミーティングでDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)が示した復旧計画では、2014年5月末までに原因の特定と再開計画の策定を行い、2014年6月から除染、換気能力増強などの安全対応、是正プログラムの実施などの安全プログラムの強化を行った上で、施設の操業再開に向けた独立のレビューを受けるとの予定が示されている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)の環境管理局(EM)は、2014年3月14日に、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の地下施設内で2014年2月5日に発生した岩塩運搬車の火災事故についての事故調査報告書を公表した。本事故調査報告書は、DOEが2014年2月7日に設置した事故調査委員会による調査結果の最終報告書である。

DOEのEMのニュースリリースでは、事故調査報告書は火災に繋がった事象と火災に対する対応について徹底的な検証を行ったものであり、今後のWIPPの安全な操業に多くの教訓を与えるものとしている。また、事故調査委員会の公式調査と並行して、独自のレビューと対策を実施してきているが、事故調査報告書で指摘された問題に対する正式な是正措置計画は策定中としている。

事故調査報告書では、火災事故の直接原因(DC)は、岩塩運搬車の油圧作動油、または軽油が過熱した触媒コンバータなどに接触したことでエンジンルームの火災となったとしており、タイヤ2本も焼失したとことが報告されている。また、火災事故の根本原因(RC)としては、日常のメンテナンス不足、火災抑制システム解除などの管理・操業(M&O)契約者の不適切な管理が問題とされており、さらに、火災事故に繋がった寄与要因(CC)として、放射性廃棄物に直接関連しない機器・活動の管理上の問題、不十分・不適切なメンテナンス・プログラム、訓練などの10項目が挙げられている。また、調査により確認された22項目の問題点(CON)及び35項目の措置必要事項(JON)も示されている。

なお、DOEは、2014年3月14日に、WIPPが立地するニューメキシコ州カールスバッド市でタウンホール・ミーティングを開催しており、事故調査委員会の委員長から火災事故に関する事故調査報告書の概要が説明されている。

【出典】

エネルギー省(DOE)は、2014年3月26日付けのニュースリリースにおいて、米国における超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、適合性再認定申請書(CRA)を環境保護庁(EPA)に提出したことを公表した。WIPPについては、廃棄物処分の開始以降の5年ごとにEPAの適合性再認定を受けることが必要とされており、これまで2回の適合性再認定申請・決定が行われており、今回が3回目の適合性再認定申請となる。

  • 第1回適合性再認定申請:2004年3月26日
  • 第1回適合性再認定の決定:2006年3月29日
  • 第2回適合性再認定申請:2009年3月24日
  • 第2回適合性再認定の決定:2010年11月18日

ニュースリリースでは、今回の適合性再認定申請により、2段階の手続きが開始されることが示されている。第1段階としては、EPAがDOEの適合性再認定申請書の完全性を判断し、必要に応じて審査のために必要な追加的情報の要求が行われる。また、EPAは、適合性再認定申請に対するパブリックコメントも考慮するとしている。第2段階として、EPAは、適合性再認定申請書の完全性について決定した後、6カ月以内の期間で技術的評価を実施し、WIPPの法令への適合性の認定についての最終決定を行うとしている。

なお、ニュースリリースでは、この適合性再認定の手続きは、最近の放射線事象等からの回復作業に関連するものではなく、過去5年間におけるサイトの変化が、EPAのTRU廃棄物処分の環境放射線防護基準に適合していることを証明するための手続きであるとしている。

【出典】

 

【2014年10月2日追記】

環境保護庁(EPA)は、エネルギー省(DOE)に宛てた2014年9月29日付けの書簡により、DOEが2014年3月26日にEPAへ提出した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の適合性再認定申請書について、完全性の審査を開始したことを通知した。

DOEに宛てた書簡の中で、EPAは、2014年2月にWIPPで発生した放射線事象への対応が進行中のため、適合性再認定申請書に係る完全性の審査を遅らせていたとしている。また、放射線事象の発生前に適合性再認定申請書が準備されたものであるため、DOEは、処分場の操業の再開に向けてWIPPの処分システムで変更が必要になることを表明しており、規制遵守に与える影響等に関してDOEから補足情報が提供される予定であることなどを伝えている。

【出典】

 

【2014年10月14日追記】

環境保護庁(EPA)は、エネルギー省(DOE)が提出した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に係る適合性再認定申請書について、パブリック・コメントの募集を開始することを2014年10月10日の連邦官報に掲載した。EPAは、コメントの提出期限は適合性再認定申請書の完全性の確認後、改めて連邦官報に掲載するとしている。

EPAは、今回の連邦官報の中で、2014年2月にWIPPで発生した放射線事象は、適合性再認定申請書の審査において重要な考慮事項になるとしている。なお、EPAは、放射線事象についてEPAが行ったレビューにおいて、DOEはEPAの基準を遵守しているものの、事象発生時の情報提供には改善の余地があることが確認されたとしている。

また、適合性再認定申請書は放射線事象の発生前に準備されたものであるため、処分場の操業の再開に向けて必要とされるWIPPの処分システムの変更については、DOEから補足情報が提供される予定であること、提供された補足情報はウェブサイトで公開されることも連邦官報に示されている。

【出典】

 

【2014年12月22日追記】

環境保護庁(EPA)は、2014年12月17日に、エネルギー省(DOE)が2014年3月に提出した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)に係る適合性再認定申請書について、完全性の確認の審査に係るDOEに対する質問書を公表した。

DOEに対する質問書では、適合性再認定申請書の内容に係る技術的な質問などとともに、2014年2月14日に発生した放射線事象に関連する事項として、液体廃棄物を浸み込ませる吸収材として使用された猫砂(Kitty litter)が封入された廃棄物の特性・量などの詳細な記述、有機配位子や界面活性剤など廃棄物の溶解性に影響を与え得る有機物の量、猫砂が放射性核種の移行に与える影響などについて情報が要求されている。

なお、EPAは、完全性の確認の審査のため、今後もさらに質問を行う予定としている。

【出典】

 

【2017年2月28日追記(2017年3月28日再追記:コメント期限を2017年4月10日とする連邦官報2017月3月10日を出典に追加)】

環境保護庁(EPA)は、エネルギー省(DOE)が提出していた適合性再認定申請書に関して、適合性再認定申請書の完全性を確認して決定したこと(以下「完全性決定」という。)について、2017年1月13日付けの書簡でエネルギー長官に通知した。本書簡は、連邦政府の規制情報ウェブサイトの廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)適合性再認定のページにおいて、2017年2月24日に公表された。適合性再認定申請書についてEPAは、既に2014年10月10日からパブリックコメントの募集を行っており、今回の完全性決定に関するコメントの募集は本書簡の連邦官報への掲載から30日後まで続けられる。

EPAは、DOEの適合性再認定申請書を詳細に評価し、関連するパブリックコメントを考慮した上で、適合性再認定に関する最終決定を行うとしている。

【出典】

米国で2014年3月4日に、2015会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。2012年1月のブルーリボン委員会の最終報告書・勧告に基づいて、2013年1月にエネルギー省(DOE)が策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という。)の関連予算として、DOEが7,900万ドル(約77億円、1ドル=98円で換算)を要求している。なお、ユッカマウンテン処分場関連予算の要求はない。

大統領の予算教書とともに公表されたエネルギー省(DOE)の予算概要資料では、DOE戦略を実施に移すため、輸送、貯蔵、処分、サイト選定に係る研究開発及びプロセス開発に焦点を当てた活動を行うとしている。DOEの詳細な予算要求資料は、今後、DOEのウェブサイトで公表される見込みである。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を実施している原子力規制委員会(NRC)については、大統領の予算教書・各省庁の予算概要に記載がない。また、NRCの予算概要資料では、2015会計年度の高レベル放射性廃棄物処分関連として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分の将来的な代替戦略のためのデータ収集・モデル化が増加すること、米国としての高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料管理プログラムの変化に対応・サポートするための規制枠組み・可能性のある規則策定の評価などの予算が記載されているが、ユッカマウンテン処分場の審査に関する予算要求は記載されていない。

 【出典】

 

【2014年3月18日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2014年3月14日に、2015会計年度の予算の説明資料を公表した。「使用済燃料処分等プログラム」(UFDプログラム)の予算要求額は7,900万ドル(約77億円、1ドル=98円で換算)であり、「研究開発活動(代替案を特定するための研究開発及び既存・将来の核燃料サイクルに係る放射性廃棄物処分等の研究開発)」とともに、「統合放射性廃棄物管理システムの設計に係る活動」の2分野から構成されている。なお、ユッカマウンテン処分場関連の予算要求額の記述は無いが、DOE原子力局(NE)の管理費の中で訴訟対応費用等が計上されている。

2015会計年度の予算による実施事項のうち、UFDプログラムの「研究開発活動」については、4,900万ドル(約48億円)の予算要求額で以下の事項を行うとしている。

  • 長期貯蔵に係る原子力規制委員会(NRC)の許認可を支援するための高燃焼度使用済燃料の検査能力・技術的知識の開発
  • 代替処分環境に関する長期的研究開発と国際協力の継続(フィールド試験を含む)
  • 既存の輸送・貯蔵キャニスタの直接処分への適用の可能性に係る研究開発の継続
  • 超深孔処分の代替設計概念の評価。超深孔処分の実証活動等の開始。
  • 結晶質岩、粘土/頁岩(シェール)及び岩塩の主要な3岩種の評価の継続(フィールド試験を3岩種について適宜実施)

さらに、2015会計年度の予算による実施事項のうち、UFDプログラムの「統合放射性廃棄物管理システムに係る活動」については、放射性廃棄物基金からの2,400万ドル(約24億円)を含む3,000万ドル(約29億円)の予算を要求しており、現行法の権限内で以下の事項を行うとしている。

  • 同意に基づくサイト選定プロセスのための計画策定の継続
  • 廃棄物管理システムへの情報を取りまとめる統合使用済燃料データベース及び分析システムの維持・拡張
  • 廃止措置された原子炉サイト等からパイロット規模の中間貯蔵施設への使用済燃料等の大規模な輸送の準備
  • 乾式貯蔵キャスク及び輸送システム標準化の評価を含め、貯蔵・輸送・処分の柔軟性のある統合アプローチの評価
  • 大規模な中間貯蔵施設の一般的な操業・概念設計オプションの評価(詳細な費用・スケジュールデータの開発を含む)
  • パイロット規模の中間貯蔵施設の一般的安全性評価レポートの策定とNRCのレビュー(キャスク受入・取扱施設を含む)
  • システム構成研究、意思決定分析能力、文書・知識管理の組織的インフラ、使用済燃料受入・許認可の支援などの完結
  • 中小サイズの標準輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタの包括的な一般設計の完成
  • 処分場概念のシステムレベル解析のための改良モデル化・ツールの開発継続
  • 次世代廃棄物管理システムのロジスティクス分析ツールの検証・確立

UFDプログラムの研究開発活動に係る2015会計年度の予算要求額は、2014会計年度の要求額と比較して1,900万ドル(約19億円)増加しているが、DOEは、その主な要因として、高燃焼度燃料の長期貯蔵に関する技術的知識の開発、超深孔処分の実証活動の開始などを挙げている。

【出典】

 

【2014年7月17日追記】

米国の連邦議会下院は、2014年7月10日に、2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案を253対170で可決した。本法案では、2014年度の下院の歳出法案と同様に、ユッカマウンテン関連の放射性廃棄物処分予算として1億5,000万ドル(約150億円)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として5,500万ドル(約56億円)が割り当てられている。なお、エネルギー省(DOE)の予算要求では、2012年1月のブルーリボン委員会の最終報告書・勧告に基づいて、2013年1月にDOEが策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を実施に移すための予算が要求されていたが、今回下院で可決された2015会計年度の歳出法案では、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項が規定されている。

2015会計年度の歳出法案の審議過程では、ネバダ州選出の議員から、放射性廃棄物処分関連予算をゼロとするなどのユッカマウンテン計画の中止を求める2つの修正案が提出されたが、いずれも4分の3以上の大差で否決された。一方、ホワイトハウスは、下院で2015会計年度の歳出法案が採決される前日の2014年7月9日に、本法案が成立した場合には拒否権を発動するとの意向を表明しており、その理由の一つとしてユッカマウンテン計画への予算配賦等を挙げている。

米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められており、原子力発電事業者とDOEとの間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを実施できないために債務不履行状態にあり、DOEの2013会計年度報告に拠れば推定債務額は前年より28億ドル(約2,900億円)増加して251億ドル(約2兆5,600億円)になることが、下院の2015会計年度の歳出法案に係る歳出委員会報告書で指摘されている。

一方、連邦議会上院でも歳出法案の検討が行われており、2014年6月17日に上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会で法案の原案が策定されたが、2014年6月19日に予定されていた上院歳出委員会での法案策定は、期限を定めず見送ることが決定された。上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会策定の法案原案は公表されていないが、法案の概要説明資料では放射性廃棄物処分に係る言及はされていない。

なお、2014年2月に地下施設での火災事故と放射線事象が発生して復旧に向けた調査・対応が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、下院の2015会計年度の歳出法案では1億2,000万ドル(約102億円)の予算が、上院の歳出法案概要説明資料では3億2,300万ドル(約329億円)の予算が、復旧に向けた活動のためとして記載されている。

【出典】

 

【2014年7月28日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2014年7月24日に、歳出委員会のエネルギー・水資源小委員会で2014年6月17日に承認された2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案の原案、及び委員会報告書の草案を公表した。ただし、連邦議会上院は、2014年6月19日の歳出委員会で、2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案の正式な策定は行わないことを決定している。

今回公表された2015年度のエネルギー・水資源歳出法案の原案では、2013年6月に上院で策定された2014年度のエネルギー・水資源歳出法案と同様に、2012年1月のブルーリボン委員会の勧告に基づいて、同意に基づくサイト選定プロセスによる使用済燃料の中間貯蔵のパイロット施設の開発等をエネルギー長官に命じるよう規定されている。

「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)の歳出予算については、研究開発活動の予算として3,000万ドル(約29億円)が、中間貯蔵のパイロット施設の開発等を実施するための予算として8,900万ドル(約87億円)が、総額で1億1,900万ドル(約116億円)が計上されている。ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算はゼロとなっており、これまでに計上された歳出予算の未支出残高も抹消されている。また、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算も割り当てられていない。

なお、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP) については、2014年2月に発生した地下施設での火災事故と放射線事象の復旧に向けた調査・対応が行われており、約3億1,800万ドル(約312億円)の予算が割り当てられているが、復旧活動に係る予算の内訳は示されていない。

【出典】

 

【2014年9月22日追記】

米国の連邦議会は、2014年9月18日に、2015年9月30日までの2015会計年度のうち、2014年10月1日~12月11日を対象とした継続歳出決議を可決した。本継続歳出決議は、エネルギー・水資源分野を含む予算項目に対して、2014会計年度の包括歳出法での予算と同レベルの歳出を認めるものである。継続歳出決議による予算では、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の指定が無い限りは前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回可決された2015年度の継続歳出決議では、放射性廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について特別の規定が置かれており、歳出予算の範囲内において、処分場の復旧及び改修に必要な活動が必要に応じて実施できるよう認められている。なお、ユッカマウンテン処分場関連など、その他の放射性廃棄物処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2014年12月15日追記】

米国の連邦議会は、2014年12月13日に、2015会計年度包括歳出・継続予算法案を可決した。本包括歳出・継続予算法案の条文には記載されていないが、付随する説明文書において、「使用済燃料処分等プログラム」(UFDプログラム)の歳出予算として、「研究開発活動」についてはエネルギー省(DOE)の予算要求額通りの4,900万ドル(約53億円)、「統合放射性廃棄物管理システムに係る活動」についてはDOE要求額より750万ドル少ない2,250万ドル(24億3,000万円)と示されている。

2015会計年度包括歳出・継続予算法案では、ユッカマウンテン計画に関する記述は無く、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場に係る開発関連予算は与えられていない。ただし、連邦議会下院の歳出委員会が公表した法案の要約資料では、2014会計年度と同様に、政治的事項の一つとして「ユッカマウンテンの将来利用のための可能性を維持し、安全性評価報告(SER)を完成させるための先年予算の継続」が示されている。

また、2015会計年度包括歳出・継続予算法案の説明文書では、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、復旧の取り組みを支援するためとして、DOE予算要求額より約1億ドル多い3億2,000万ドル(345億6,000万円)の歳出予算が示されている。

なお、2015会計年度の歳出予算については、2015会計年度が開始される2014年10月1日までに歳出法が制定されず、2014年12月11日までの継続歳出決議による予算が執行されていたが、2015会計年度包括歳出・継続予算法の制定手続の遅れから、再度、2014年12月13日までの継続予算が執行されていた。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2015会計年度の予算は2014年10月1日からの1年間に対するものである。 []

廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)周辺の環境放射線モニタリングを行っているニューメキシコ州立大学付属のカールスバッド環境モニタリング・研究センター(CEMRC)は、2014年2月19日のWIPPから約1kmの観測地点での微量のアメリシウム241及びプルトニウム239/240の検出結果の公表に続いて、2014年3月5日に、WIPPの排気塔内のエアフィルター(直径47mm、1μmの細孔径を持った紙フィルター)から回収されたサンプルの放射線学的分析結果を公表した。これは排気塔内のHEPAフィルターの前後に設置されたエアーサンプリング装置のフィルターを分析したものであり、以下のような数値が報告されている。

(単位:Bq/m3
サンプリング地点 サンプル回収日時 アメリシウム241 プルトニウム239/240

HEPAフィルター通過前

2014/2/15 06:30

1,365

672

2014/2/15 23:30

130

17

2014/2/21 08:45

0.65

0.06

HEPAフィルター通過後

2014/2/18 16:55

1.81

0.224

2014/2/21 08:28

0.12

0.012

※エアーサンプリング装置のフィルターは、最初に回収されたサンプルは2014年2月14日の午前8時前に設置されたものであり、以後は約8時間毎に回収されている。なお、2014年2月21日の数字は1日当たりの放出量。

カールスバッド環境モニタリング・研究センター(CEMRC)は、放射線事象の発生直後のHEPAフィルター通過前のサンプルの放射能濃度は高い数値を示しているものの、約1日経過後には激減し、1週間後には非常に低いレベルに低下しているとしている。また、実際のWIPP周辺への影響を示すHEPAフィルター通過後の放射能濃度は、放射線事象の発生直後にはやや高くなったものの、環境保護庁(EPA)の基準値である37Bq/m3と比較すると非常に低いレベルであったことを指摘している。

【出典】