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フランス

フランス原子力安全当局(ASN)は、2006年1月31日付のプレスリリースで、放射性廃棄物管理研究と放射性廃棄物管理全般に関する見解書をまとめ、政府に提出したことを公表した。この見解書には、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくはこちら)のもと、15年間にわたって実施されてきた高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方法についての研究に関するASNの結論と、全ての放射性物質及び廃棄物の管理についてのASNの見解が示されている。

なお、高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理に関する3つの研究分野(長寿命放射性核種の分離・変換、可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分、放射性廃棄物のコンディショニングと長期地上貯蔵)については、2005年7月に放射性廃棄物管理機関(ANDRA)と原子力庁(CEA)から最終研究成果報告書が政府に提出されている

フランス原子力安全当局(ASN)の見解書によると、ASNは、高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方法については、可逆性のある地層処分が最終的な管理方法であると結論付けている。ASNの見解は、可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分の最終研究成果に対する、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)とASN内の放射性廃棄物処分諮問委員会による評価に基づいたものとなっている。また、ASNは、3つの研究分野について、それぞれ以下のような見解を示している。

  • 長寿命放射性核種の分離・変換は、現時点では技術的な実現可能性が実証されていない。仮に実現されても、長寿命放射性核種を完全には除去できないので、核種分離・変換とともに別の管理方法が必要である。
  • 可逆性のある地層処分が最終的な管理方法である。国会が高レベル・長寿命放射性廃棄物を地層処分するという原則を決定した場合には、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のビュール地下研究所(粘土層)で得られた研究成果から、同研究所の北西部に処分場の建設を検討することが可能であり、さらなる実用的な性格を有する調査・研究の必要がある。
    第二地下研究所を立地するための花崗岩サイトの研究は、ビュール地下研究所で確認されている好適な性質等を勘案すると、安全の観点からは優先順位が高いとは思われない。
  • 長期貯蔵は、将来世代にわたる監視の継続を前提としており、従って最終的な管理方法とはなり得ず、数百年にも及ぶ監視を保証することはできない。

また、フランス原子力安全当局(ASN)は見解書において、2006年以降の処分場設置に向けた計画を以下の通りとしており、これは2005年3月に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)が示した勧告に整合するものであると述べている。

  • 2006年~2011年:放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、ビュール地下研究所での研究活動を継続し、同研究所サイトの北西部にある利用可能区域内での処分場立地に適した場所を調査
  • 2011年~2016年:ANDRAによる処分場建設許可申請、ASNによる許可発給の検討
  • 2016年~2023年:ANDRAが許可取得後、処分場建設
  • 2023年~     :処分場の操業

一方、全ての放射性廃棄物の管理に関しては、ASNは見解書の中で、全ての放射性物質と放射性廃棄物に確実な管理方法を適用することを目的として2006年1月に取りまとめられた、放射性廃棄物及び再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV)について、2006年に制定が見込まれる新しい法律の枠組みにおいて承認されるべきであると述べている。

なお、放射性廃棄物管理に関する新しい法律の制定は、1991年の放射性廃棄物管理研究法において示されており、2006年第2四半期における議会での審議が予定されている。

【出典】

  • フランス原子力安全当局(ASN)、2006年2月1日付プレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data/information/05_2006_cdp.asp
  • フランス原子力安全当局(ASN)、1991年放射性廃棄物管理研究法のもと実施されている高レベル・長寿命放射性廃棄物(HAVL)管理研究に関するASNの見解のまとめ、2006年2月1日
  • フランス原子力安全当局(ASN)、1991年放射性廃棄物管理研究法のもと実施されている高レベル・長寿命放射性廃棄物(HAVL)の管理研究とPNGDR-MVに関するASNの見解、2006年2月1日

フランスの経済・財政・産業省は、2005年9月12日付けのプレスリリースにおいて、国民に対し、2005年9月12日から2006年1月13日にかけて公開討論国家委員会(CNDP)が開催する放射性廃棄物管理に関する公開討論会に参加することを要請している。政府は、この公開討論会を通じて、国民は放射性廃棄物管理問題についての情報を入手し、意見を表明することができるとしている。また、プレスリリースでは1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)で策定が定められている地層処分場の建設などに関する法案について、2006年第2四半期に議会での審議が示されている。

また、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)は今回の公開討論会用に開設したウェブサイトにおいて、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」などの関連情報を公開している。同ウェブサイトによると、政府は産業相及びエコロジー・持続可能開発相を通じて、2005年2月にCNDPに放射性廃棄物管理に関する公開討論会の開催を要請し、CNDPは2005年7月に開催を決定したとのことである。また、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」では、今回の討論内容の全体像を把握するための想定問答集、討論スケジュール、討論会の透明性・公平性・公開性、意見表明及び情報入手方法などが説明されている。

なお、CNDPによる公開討論会は、1991年の放射性廃棄物管理研究法の規定で定められたものではなく、2002年の「身近な民主主義に関する法律」により、高速道路・空港・鉄道・原子力施設などの改修及び設置のような社会経済、環境、国土整備に多大な影響を及ぼす事業を対象として開催が必要とされているものである。また、経済・財政・産業省のプレスリリースによると、政府による地層処分場などに関する法案の策定に当たっては、研究報告書、専門家の評価の他に今回の公開討論会の結果も考慮されるとしている。

公開討論国家委員会(CNDP)によると、公開討論会はCNDPが設置した公開討論特別委員会(CPDP)によって開催され、放射性廃棄物問題及び研究に関連する地域の住民の意見聴取、科学技術的テーマについての討論、民主主義と廃棄物についての討論を行った後、総括討論会を開催し、2006年1月に CPDPが総括報告書を公表するとしている。なお、15回開催される公開討論会の実施概要は以下の通りである。

地元住民の意見聴取
開催期間・開催地(4回開催)
2005年9月12日~19日
放射性廃棄物関連サイト(バール・ル・デュック、サン・ディジエ、ポン・デュ・ガール、シェルブール)

科学技術的テーマについて

開催期間・場所 (3回開催)
討論テーマ

2005年10月1日~22日
パリ科学産業館

・放射性廃棄物問題
・長期貯蔵
・放射性廃棄物発生量の低減
・核種分離・変換の長期シナリオ
・地層処分
・管理方法の組合せ(選択とスケジュール)

民主主義と廃棄物について

開催期間・開催地(4回開催)
討論テーマ
2005年11月9日~24日
ジョアンヴィル、カン、ナンシー、エクサンプロヴァンス
・研究の地元経済への影響
・情報提供と知識の共有
・発電方法及び立地地域のバランス
・誰が何を、いつ、どのように決定するのか

総括討論会

開催期間・開催 地(4回開催)
2005年12月~ 2006年1月13日
ダンケルク、ブロワ、トゥールーズ、リヨン


【出典】

  • 経済・財政・産業省、2005年9月12日付プレスリリース、 http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6029
  • 放射性廃棄物に関する公開討論国家委員会(CNDP)ウェブサイト、 http://www.debatpublic-dechets-radioactifs.org/
  • 公開討論国家委員会(CNDP)、放射性廃棄物管理に関する公開討論会に関するご案内
  • 2005年7月25日付けの公開討論国家委員会(CNDP)の決定
  • LOI n° 2002-276 du 27 fevrier 2002 relative a la democratie de proximite〔2002年2月27日の身近な民主主義に関する法律〕

2005年7月13日、フランスの原子力安全当局(ASN)は、ウェブサイトにおいて、放射性廃棄物および再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV。以下「国家放射性廃棄物等管理計画」という)についての案を公表し、国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する国民からの意見聴取を開始した。国家放射性廃棄物等管理計画は、2000年3月の議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の勧告を受けて、政府が2003年6月に原子力安全当局(ASN)に作成を委託していたものである。国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する意見聴取は2005年末まで行われる予定であり、この聴取結果や2005年秋に開催が予定されている公開討論でのさまざまな意見などを踏まえて改訂が行われ、2006年初めには国家放射性廃棄物等管理計画が策定されることになっている。また、原子力安全当局(ASN)は、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の2005年3月の報告書において勧告されているように(既報を参照)、国家放射性廃棄物等管理計画については、2006年上半期に政府によって議会に提出され、審議される予定の放射性廃棄物管理法案における管理計画とされる可能性があるとしている。

原子力安全当局(ASN)の2005年7月13日付のプレスリリースによると、国家放射性廃棄物等管理計画の目的は、フランスにおける放射性廃棄物の管理に関する包括的な枠組みを定義することにあるとされている。また、国家放射性廃棄物等管理計画が策定されることで、放射性廃棄物の管理を目的として実施されるさまざまな活動間の一貫性が、廃棄物の性質および発生者に関わりなく確保され、廃棄物ごとに管理方法が開発され、放射性廃棄物の最終処分に対する国民の懸念が十分に考慮されるようになるとされている。

今回公表された国家放射性廃棄物等管理計画(案)の要約報告書によると、報告書本体は以下のような4部構成とされている。

  • 第1部:既存および今後発生する放射性廃棄物の管理方策について
  • 第2部:劣化ウランや回収ウランのような将来再利用可能となる物質の取り扱いについて
  • 第3部:放射性廃棄物の長期管理プロセスの一貫性について
  • 第4部:放射性廃棄物管理における問題点、検討点などについて

また、同プレスリリースによると、原子力安全当局(ASN)は、国家放射性廃棄物等管理計画に当たって、廃棄物発生者をはじめ、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、議員代表者、環境保護団体の代表者、関連する大臣、技術的な専門家などを、可能な限り広範に関与させるように配慮したとしている。原子力安全当局(ASN)は、さまざまな意思決定プロセスにおいて、一般規制文書の作成に関連する主要な当事者たちを、可能な限り早い段階から関与させるという意図を明確に示している。さらに、原子力安全当局(ASN)は、政府が望む情報提供および公衆参加プロセスにも積極的に加わっているとしている。

【出典】

  • 原子力安全当局(ASN)の2005年7月13日付けのプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/28_2005_cdp.asp
  • 原子力安全当局(ASN)のウェブサイトでの国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する国民の意見募集公告、 http://www.asn.gouv.fr/domaines/dechetsnuc/index51.asp
  • 国家放射性廃棄物等管理計画(案)の要約報告書
  • RAPPORT sur L’ETAT D’AVANCEMENT ET LES PERSPECTIVES DES RECHERCHES SUR LA GESTION DES DECHETS RADIOACTIFS, OPECST, Mars 2005

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2005年6月30日、1991年の放射性廃棄管理研究法(詳しくは こちら)の規定に基づいて、15年にわたって実施してきた高レベル放射性廃棄物および長寿命の中レベル放射性廃棄物の地層処分についての研究活動の成果をまとめた報告書を産業相および研究相に提出した。今回提出された報告書は、2005年末に更新版として再度提出されることになっているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、粘土層での処分の実現可能性を明らかにしたとしている。なお、同様に核種分離・変換と長期貯蔵についての研究活動を行ってきた原子力庁(CEA)も、同日、成果報告書を提出している。フランスでは、放射性廃棄物管理研究法により、政府は放射性廃棄物管理に関する3つの分野における研究結果について2006年までに総括評価を行い、地層処分が最善とされた場合には、地層処分場の建設許可等に関する法案を議会に提出することとされている。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が提出した報告書は、次に示す2つの報告書とされている。

  • 粘土層処分場の実現可能性に関する評価報告書。特に、ビュール地下研究所サイトおよび国外の複数の研究施設で実施されたさまざまな研究に基づいている。
  • 花崗岩を母岩として採用する利点に関する報告書。フランス国内の花崗岩に関して利用可能なさまざまな文献に示された知識と、国外の研究施設との協定を通じて放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が行った研究成果に基づいている。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、提出した報告書をウェブサイトで公表するとともに、地層処分研究についての一般向け冊子と概要報告書(3冊)(下記【注1】を参照)も公表している。一般向け冊子によると、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による地層処分についての研究は、次の4つの領域において行われたとされている。

  • 廃棄物パッケージ、さまざまな物質の挙動、粘土層および花崗岩環境に関するデータの取得。
  • 処分場の設計:廃棄物のコンディショニング、処分場の構成、具体的なサイトへの適合性、操業方法、回収可能性。
  • 処分場の長期的な挙動の分析と、処分場の熱、力学、化学および水理学面での経時的変化のモデル化。
  • 長期安全性の分析。

一般向け冊子によると、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、地層処分概念の中心となる原則として、長期安全性と回収可能性などを含む処分の可逆性を挙げている。また、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、処分の可逆性については、将来世代に管理方法の決定の自由を与えることを目的としており、柔軟性の高い処分場の操業を可能にするものであり、処分段階ごとに設定されるものとしている。


地層処分場の概要図
(出所:放射性廃棄物管理機関(ANDRA)報告書より引用)


【注1】
放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイトで公表された概要報告書は以下のとおりである。

  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:一般向け冊子〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue〕
  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:研究成果および今後の展望〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue : résultats et perspectives〕
  • 粘土層に関する報告書:粘土層における地層処分の実現可能性の評価〔Synthèse Argile : Evaluation de la faisabilité du stockage géologique en formation argileuse〕
  • 花崗岩に関する報告書:地層処分における花崗岩層の利点〔Synthèse Granite : Intérêt des formations granitiques pour le stockage géologique〕

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、http://www.andra.fr
  • 原子力庁(CEA)のウェブサイト、http://www.cea.fr
  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:一般向け冊子〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue〕

2005年3月29日、フランスの議会科学技術選択評価委員会(OPECST)1 は、OPECSTのメンバーであるバタイユ議員2 を中心として、2005年1月から2月にかけて開催した放射性廃棄物管理に関する公聴会に基づく、OPECSTの報告書を国民議会のウェブサイト上で公開した。同報告書では、現在、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳細はこちら)に基づいて研究が進められている放射性廃棄物管理方針の3つの選択肢である、地下研究所の建設(研究状況については、こちらを参考)を中心とした可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分、長寿命放射性核種の分離・変換、放射性廃棄物のコンディショニングと長期の地上貯蔵についての勧告が示されている。

OPECSTは、国内外の関係機関の専門家を招待し、2005年の1月20日、1月27日、2月3日の3回にわたり、放射性廃棄物管理についての公聴会を開催した。公聴会は、放射性廃棄物管理研究の分野ごとに、第1回目が分離・変換、第2回目が可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分、第3回目がコンディショニングと長期地上貯蔵を対象として行われた。

今回のOPECSTの報告書の要約版では、以下の8つの勧告がなされている。

    • (勧告1)
      放射性廃棄物の管理に関わる研究成果の情報提供は、地方、国、国際レベルで改善されるべきである。
    • (勧告2)
      分離・変換および可逆性のある地層処分に関する研究は2006年以降も継続されるべきであり、議会は引き続きその推進と、時間的な設定を行うべきである。
    • (勧告3)
      1991年の放射性廃棄物管理研究法に基づく研究の地域的・国家的な活用は、政府と原子力事業者が互いに連携し、学術・大学・産業レベルで進展させるべき分野である。
    • (勧告4)
      議会は3つの放射性廃棄物管理方針、すなわち①分離・変換を取り込むことを当該分野における究極目標として位置づけ、②可逆性のある地層処分及び③長期貯蔵という手段を用いるという原則を盛り込んだ法案を作成すべきである。
    • (勧告5)
      議会は政府活動の目標として、以下の期限を定める提案の実施を勧告する。
      • 2016年:長期貯蔵の開始と可逆性のある地層処分場の建設許可の発給
      • 2020年~2025年:実証用変換炉の運転開始と可逆性のある地層処分場の操業開始
      • 2040年:核種変換事業の実現
    • (勧告6)
      国家放射性廃棄物管理計画(PNGDR-MV)3 を放射性廃棄物管理の一般的な枠組みとして盛り込んだ法律の立案を勧告する。
    • (勧告7)
      議会は、必要な資金調達を長期的に保証するため、国の責任の下で放射性廃棄物発生者から分担金を徴収し、廃棄物関連研究の資金を賄う特別基金の設置を決議すべきである。
    • (勧告8)
      放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の任務を、放射性廃棄物管理全体および再処理されていない使用済燃料またはMOX燃料の長期貯蔵にまで拡大することを勧告する。

1991年の放射性廃棄物管理研究法では、これらの研究結果について政府が2006年までに総括評価を行い、可逆性のある地層処分が最善とされた場合には、地層処分場の建設許可等に関する法案を議会に提出することになっている。OPECSTは、政府が作成した総括評価報告書について、議会のために審査を行うことになっている。

なお、今回のOPECSTによる公聴会開催及び報告書の作成、公開については、1991年の放射性廃棄物管理研究法や議会の要請などで求められたものではない。

【出典】

    • フランス上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/opecst/rapports.html
    • フランス国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nat.org/12/dossiers/dechets_radioactifs.asp
    • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)よりの情報

  1. OPECSTは、1983年に設置された、科学的・技術的な選択によって生ずる結果について、議会が決定を行うために必要な情報収集、調査実施、評価を行う機関とされている。 []
  2. バタイユ議員は、1990年にもOPECSTのメンバーとして放射性廃棄物管理についての報告書を作成、議会及び政府に提出している。政府はこの報告書を基に、1991年の放射性廃棄物管理研究法を制定している。 []
  3. フランス国内の放射性廃棄物全般を包括的に管理するものとして2000年から原子力安全当局 (ASN)の監視のもと策定が進められてきた計画(PNGDR)を、再利用可能物(MV)も含める形で拡張し、2005年末までに策定すべきとしているもの。 []

フランスの放射性廃棄物の長期管理の責任を有している放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2004年12月のニュースリリースにおいて、オート=マルヌ県とムーズ県にまたがるビュール地下研究所で進められている、高レベル放射性廃棄物および長寿命の中レベル放射性廃棄物を地層処分するための研究開発の状況を発表した。今回のニュースリリースで発表されたのは、ビュール地下研究所の地下445メートルにある粘土層に設けられた実験用ニッチにおいて実施されている研究に関するものである。この実験用ニッチは、以下の写真および図にあるように、アクセス立坑からT字型に掘削された坑道で、幅は約4メートル、総延長は40メートル以上と示されている。

ニュースリリースによると、実験用ニッチにおいて求められている科学的な成果および計画されている実験の目的は、以下の通りである。

実験用ニッチにおいて求められている科学的な成果

  • 原位置での岩盤挙動の確認と掘削によって生じる岩盤への影響(掘削影響領域、EDZ)についての評価。掘削によって岩盤への影響および岩盤の水力学特性に変化が予想されている。実験用ニッチの外側およびニッチから行われる試験は、岩盤が受ける影響の特定および短期間において人工バリアでの物質の遅延挙動と地質についての知見を蓄積すること。
  • 原位置における地球化学組成と閉じ込め特性についてのパラメータ値の確認。地上からのボーリング孔の掘削によって得られた岩盤サンプルについてのデータを補完するデータの取得をすること。

実験用ニッチにおいて計画されている実験の目的

  • アクセス立坑の掘削に対する、粘土層の力学応答の調査
  • 粘土層の透水性と間隙の測定
  • 化学分析のための粘土層の間隙水の採取

実験用ニッチ内の様子

実験用ニッチの概要

なお、フランスでは、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳細は こちら)に基づいて、地下研究所の建設を中心とした可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分、長寿命放射性核種の分離・変換、放射性廃棄物のコンディショニングと長期の地上貯蔵という3つの分野についての研究を同時並行して進めている。また、これらの研究について、政府は2006年までには総括評価を行い、地層処分が最善とされた場合には、地層処分場の建設許可等に関する法案を議会に提出することになっている。

また、ビュール地下研究所は、1999年に建設が決定され、2000年より建設作業と並行して地下研究が実施されている。 2005年1月7日時点において、アクセス立坑は地下505.16メートルまで掘削されている(以前の掘削状況についてはこちらを参照)。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、http://www.andra.fr/popup.php3?id_article=566、2004年12月
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、http://www.andra.fr、2005年1月
  • Loi No. 91-1381 du 30 decembre 1991 relative aux recherches sur la gestion des dechets radioactifs(放射性廃棄物管理研究に関する法律 (91-1381/1991.12.30))

フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2002年5月15日の事故以来建設工事が中断していたビュール地下研究所について、2003年4月16日に補助立坑の壁のコンクリート打ちなどの準備作業を実施し、2003年4月30日に立坑の掘削作業を再開したことを発表した。ビュール地下研究所の掘削作業は、今後夏にかけて段階的に本格化するとされている。なお、工事の再開については、2002年11月に大審裁判所より許可が下されていた。

また、2003年5月19日付けの仏リベラシオン紙は、ANDRA会長のイヴ・ル=バール氏は、地層処分研究についての当初のスケジュールに遅れが生じることは不可避であることを否定しなかったと報じた。1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳細は こちら)では2006年の議会への総括評価報告の提出が規定されているが、地下研究所建設の中断などによる地層処分研究の遅れについては、CNEの第8回評価報告書でも懸念が示されていた

さらに、ANDRAは2003年1月から9月までの間に、ビュール地下研究所近傍のシルフォンテーヌ・オン・オルノワ、モントルーイユ・シュール・トナンス、ノメクール、デモンジュ・オー・ゾの4つのコミューンにおいて、7つの新たなボーリング孔の掘削を行うことを発表した。これは、最下部での直径が12cmのボーリング孔を350mから850mの深さで掘削し、地下研究所が設置される粘土層の上下に存在する石灰岩層における地下水の流動特性をより詳細に調べることを目的としているほか、ボーリングコアを収集することで粘土層の鉱物組成の連続性を確認することも想定している。最初に作業が始められたシルフォンテーヌ・オン・オルノワでは、2003年3月29日に掘削が終了している。

このボーリング孔の掘削活動については、CNEの第8回評価報告書において、ビュールにおける地層処分研究の遅れを補うため、特に同サイトの複数の地点でできるだけ速やかに掘削を行い、より詳細な水文地質学的研究の実施を行うべきとの勧告がなされていた。

【出典】

  • ANDRAウェブサイト(http://www.andra.fr/fra/labo/Bure-0001.htm)
  • リベラシオン紙(2003年5月19日付)

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、現在、人身事故で建設工事を中断しているビュール地下研究所について、2002年11月21日、バール=ル=デュックの大審裁判所が工事の再開を許可する命令を下したことに対して歓迎する内容の発表を行った。

ビュール地下研究所は、1991年12月30日の放射性廃棄物管理研究法(詳細はこちら)で規定された3つの研究分野のうちの1つである、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の深い地層中への処分の実現性に関する研究を行うために欠かすことの出来ない施設である。今年の5月15日に発生した作業員の死亡事故以来、建設工事が中断されており、今年10月に公表された国家評価委員会(CNE)の第8回評価報告書でも、その進捗の遅れについての懸念が指摘されていた

今回の命令は、地下研究所建設サイトにおいて立坑と横坑の建設工事を担当していた請負業者グループ(GFE)による工事再開について、大審裁判所が仮処分として許可するというものである。GFEとANDRAは、6月20日の裁判所の命令に従い、工事再開に向けて、建設現場における作業環境を出来るだけ良い状態に改善するために、国際的に評価の高い専門家の集団を結成した。今後の数週間のうちに、当該地域の技術検査を担当する技術検証組織(APAVE)による所見や勧告を踏まえた形で、GFEとANDRAは、作業チームの厳格な訓練と掘削機材の改善を行うことにしている。

これらの準備が完了してから、掘削作業が段階的に再開されることになる。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)プレスリリース(http://www.andra.fr/pdf/021121_TGI.pdf)

2002年10月9日、フランスの国家評価委員会(CNE)は第8回の評価報告書を公表した。同報告書は、1991年12月30日の放射性廃棄物管理研究法(詳細は こちら)によって設置されたCNEが、2006年の高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方法に関する研究の総括評価に向けて、「長寿命放射性核種の分離・変換」、「深い地層中への可逆性のあるまたは可逆性の無い処分(以下、深い地層中への処分)」、「放射性廃棄物の固定化処理及び長期地上貯蔵技術」の3つの研究分野の進捗状況等について毎年まとめるもので、それらを公表することが同法によって規定されている。

今回の第8回評価報告書では、3つの研究分野のうち、何年にもわたり不確実であった「放射性廃棄物の固定化処理及び長期地上貯蔵技術」に関する展望が開けてきたとする一方、「深い地層中への処分」と「長寿命放射性核種の分離・変換」については、研究にかなりの遅れが生じていることが指摘されている。

特に「深い地層中への処分」については、まず、ビュール地下研究所の建設が大幅に遅れている点を挙げている。同地下研究所建設については、これまでも何度か作業の遅れが発生していたが、2001年末の中断に加えて、2002年5月15日に発生した事故により現在も主立坑の掘削作業が停止している。さらに掘削速度が当初の予測を大幅に下回っているという事実があり、主立坑が必要な深度に到達するのは早くて2003年末になる見通しで、計画されている実験の実施に必要な複数の坑道の掘削を終え、坑道内で実際に作業を行うことの出来る期間は2005~6年の2年間しか残されていないと見ている。CNEは、この2年間において、断層や亀裂等の地質学的観察や掘削の影響等の岩石力学的観察は可能と考えているが、地下水の移動や地層内での放射性核種の移行などの地球化学的な実験については、予備的な結果しか得られないと見ており、スケジュールの大幅な見直しが必要との見解を示している。

また本報告書では、「深い地層中への処分」の研究分野に関し、解決が望まれるもう一つの点として、第2地下研究所についての計画が現在までのところ進められていないことが挙げている。この第2地下研究所は、粘土質岩(ビュール)と花崗岩(サイト未決定)の2つの地下研究所を建設するという1998年12月9日の政府決定によるものである。様々な地層の比較及び科学的な結果に基づいた選択肢を提示するために第2地下研究所の存在が重要であることが強調されており、放射性廃棄物管理研究法では、地下研究所が建設されるべき岩種は特定されておらず、また2つの地下研究所で同時期に調査を実施する必要性も規定されていないとして、第2処分場の建設地の対象岩種を花崗岩以外の岩種(粘土質岩を含む)にすることについて、その可能性を探ること等も視野に入れるよう指摘している。

【出典】

  • 国家評価委員会(CNE)第8回報告書

2002年2月22日に放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の設置に関するデクレ(n°2002-254)、及び原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)の設置に関するデクレ(n°2002-255)が制定され、IRSN、DGSNRが発足した。

今回のIRSNの設立は、これまでの原子力の安全性と放射線防護分野における組織改革についての政府の要望が反映されたものであり、1998年7月に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の報告書「独立と情報開示への長い道のり」において「原子力の安全性と放射線防護は一緒に扱われるべきであり、原子力安全防護研究所(IPSN)が産業省傘下の原子力庁(CEA)から分離されるべきである」との勧告に基づいたものと言える。

IRSNは、電離放射線防護局(OPRI)とIPSNの研究、評価活動の分野を合併させた商工業的性格を有する公的機関(EPIC)として、2001年5月9日の法律によりその設置が定められていた。IRSNは、環境、産業、研究、厚生、国防担当の各大臣の監督のもとに置かれ、放射性廃棄物の管理を含む原子力の安全性、放射性物質、核分裂性物質の輸送における安全性、武器の製造に使用される可能性のある核物質、核生成物に対する防護およびその管理、国民および環境の電離放射線からの防護、原子力施設及び輸送における身体の防護等の分野について、知識の蓄積を目的とした研究活動を行うほか、国内外の公共および民間のすべての機関の求めに応じて、技術的なアドバイスや勧告といった専門的な評価を実施する。また、その活動の質と透明性を保証するために、科学評議会と職業倫理委員会が設置される。研究所の2002年の予算は約2億5,000万ユーロで、このうち約3分の1は、管理組織の維持に当てられる。IRSNの従業員数は1,500人を超える規模となる。

一方、DGSNRは、これまで、原子力発電所や放射性廃棄物管理施設などの原子力基本施設(INB)の許認可当局であった原子力施設安全局(DSIN)に放射線防護に関する権限を与えることで、放射線防護の分野での当局の権限を強化し、より包括的な規制、監督が行い得る組織として、環境、産業、厚生担当各大臣の監督の下に設立された。DGSNRの役割は、原子力安全の監督、原子力エネルギー利用に関するリスクから労働者、公衆、環境の保護を目的とした放射線防護の保証、国民への情報公開への寄与などが挙げられる。DGSNRは、必要に応じてIRSNの専門家の技術サポートを求めることが出来る。IRSN、DGSNRの設立は、原子力発電の手順に介入する決定機関の役割を明確にし、現在の権限を強化することを目的としている。新しい体制によって、IRSNに委ねられる評価機能、DGSNRに属する管理機能、原子力発電所の運転機能はそれぞれ分離されることとなる。

【出典】

  • フランス首相のホームページ
    (http://www.premier-ministre.gouv.fr/fr/p.cfm?ref=31948)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN) プレスリリース
    (http://www.irsn.org/va/01A/1_020213.htm)
  • 原子力安全局(ASN)のホームページ
    (http://www.asn.gouv.fr/data/information/06cdpDGSNR.asp)