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フランス

フランス上院のウェブサイトによると、2006年6月1日に上院を通過した原子力安全・情報開示法が2006年6月14日に官報にて公布された。同法に基づき、新しい原子力の安全規制機関として原子力安全機関(ASN)1 が2007年3月31日までに独立行政機関として設置され、活動を開始することとなる。また、同法により原子力安全機関(ASN)は現在の原子力の安全規制機関である原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを統括する機関になる。ASNという名称は、現在DGSNRとDSNRとを合せた総称として用いられている原子力安全当局(ASN)とフランス語では同一となっている2

原子力安全・情報開示法では、原子力安全機関(ASN)は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。ASNの主な役割は以下のとおりである。

  • 原子力基本施設(INB)の新設・廃止措置などに関するデクレ(政令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力基本施設(INB)の操業許可の発給
  • 原子力安全規制に関するデクレ(政令)及びアレテ(省令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力安全及び放射線防護に関する規制上の決定(担当大臣の承認要)
  • 原子力安全及び放射線防護に関する一般規則及び個別規定の遵守状況の監督
  • 原子力安全及び放射線防護に関する国民への情報提供
  • 原子力活動における事故・トラブル時の技術調査の実施

原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付のプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法では、原子力基本施設(INB)及び放射性物質輸送に関する法制度が刷新され、原子力活動の原則や原子力安全・放射線防護及び情報公開に関する国の役割と責任が定められている。また、同法により地域情報委員会(CLI)に法的権限が与えられるとともに、原子力安全情報公開・情報提供高等委員会が設置されることとなるが、これは国民が原子力安全及び放射線防護に関する情報を原子力事業者から入手できるようにするためとされている。

【2006年11月16日追記】

原子力安全当局(ASN)のプレスリリース(2006年11月9日)によると、2006年11月8日付のデクレにより新しい規制機関となる原子力安全機関(新ASN)に5名の委員が任命され、また、2006年11月13日の第1回会合を持って、新ASNとして活動が開始するとしている。

【出典】

  • フランス上院のウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl01-326.html
  • LOI n° 2006-686 du 13 juin 2006 relative à la transparence et à la sécurité en matière nucléaire
  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/22_2006_aai.asp

  1. 原子力安全・情報開示法は2006年3月から議会で審議が行われていたもので(既報)、当初の法案では機関名は”原子力安全高位機関”(La Haute Autorité de Sûreté Nucléaire)とされていた。 []
  2. フランス語では共に”L’Autorité de Sûreté Nucléaire”と同一に表記されるが、原子力安全・情報開示法で新設される原子力安全機関(ASN)は実体を持つ組織名となっている。 []

2006年3月22日、フランス産業省はプレスリリースにおいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理計画に関する法律(以下、放射性廃棄物等管理計画法という)の法案を閣議に提出したことを公表し、併せて法案及び関連資料を同省のウェブサイトで公表した。同法案は1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)のもとで、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)と原子力庁(CEA)が実施した15年にわたる研究成果、国内外の専門機関による研究成果の評価、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の報告書、また公開討論会の総括報告書及び経済社会評議会の見解に基づいて作成されたとしている。法案では、高レベル・長寿命放射性廃棄物を可逆性のある地層処分場に処分する方針が示されている。処分場の建設は、原子力安全当局(ASN)の検証、公開討論や公衆及び関係地方公共団体の意見聴取の後、2015年を目途に法令により許可されるとのことである。なお、法案は2006年4月6日から国民議会で審議される予定とされている。

プレスリリースによると、放射性廃棄物等管理計画法により、放射性物質及び放射性廃棄物に関する管理計画が定められるとしている。同日行われた産業担当大臣の声明によれば、この管理計画では、高レベル・長寿命放射性廃棄物の他、原子力活動から発生する全ての放射性物質も織り込まれるとされている。なお、この管理計画と放射性廃棄物及び再利用可能な物質に関するインベントリは定期的に改訂され、議会に提出、公開されるとしている。

また、管理計画の基礎となる次の3原則を定めることで、安全な管理を行うとしている。

  1. 使用済燃料の再処理
  2. 放射性廃棄物のコンディショニング及び冷却のための中間貯蔵
  3. 中間貯蔵後の可逆性のある地層処分

産業担当大臣の声明によると、放射性廃棄物等管理計画法では、放射性廃棄物管理研究の実施プログラムがスケジュール付きで定められるとのことである。これまで実施されてきた放射性廃棄物管理研究が引き続き実施され、処分場建設に至るまでの研究調査の推進に関する基本方針も定められるとされている。また、放射性廃棄物等管理計画法では計画の各段階を管理するため、研究に関する厳正中立な評価についての手続が定められ、これまで研究成果の評価を実施してきた国家評価委員会(CNE)の中立性が再確認されるとともに、組織が拡大され、権限が強化されるとのことである。CNEは研究成果に関する評価報告書を引き続き毎年提出するとされている。

また、産業担当大臣の声明よると、国民への情報提供及び事前協議などの具体的な手続の他、ビュール地下研究所サイトに設置されている地域情報監視委員会(CLIS)の役割も放射性廃棄物等管理計画法で定められ、県議会議長をCLIS委員長とし、財源も廃棄物発生者による資金とは独立したものになるとされている。

プレスリリースによれば、放射性廃棄物等管理計画法により放射性廃棄物管理に関する資金確保方法も定められるとされている。管理研究と関係各県の経済開発の財源は、原子力事業者に対する課税により確保されるとのことである。原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物管理の資金確保については、フランス電力株式会社(EDF)をはじめとする原子力事業者が引当金を設定し、資産を割当て安全に運用しなければならないとされている。

 

【出典】

  • 産業省プレスリリース、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6959
  • 産業担当大臣の声明、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/decl.php?decl_id=3448
  • 産業省によって公表された放射性廃棄物等管理計画法の関連資料、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=/infopres/presse/somnucleair.html

 

【2006年6月6日追記】

上院のウェブサイトにおいて、国民議会(下院)で2006年4月12日に可決されて上院に送られた放射性廃棄物管理計画法案が2006年5月31日に修正・可決されたことが公表された。また、国民議会のウェブサイトによると、上院で可決された同法案が国民議会の経済・環境・領域問題委員会に送られた。今後、国民議会での第2読会が行われ 2006年の夏の間には成立する予定とされている。

  • 上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl05-315.html
  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)情報

【2006年6月16日追記】

国民議会(下院)のウェブサイトにおいて、放射性廃棄物管理計画法案が2006年6月15日に国民議会の第2読会において可決されたことが公表された。なお、同ウェブサイトで公表されている国民議会の可決法案では、2006年5月31日に上院で可決された法案からの内容的な変更はなされていない。

  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP

フランスにおいて、1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)で定められている3つの研究分野における成果報告に対する総括評価報告書が国家評価委員会(CNE)により公表された。同報告書では、地下研究所のあるビュール・サイトにおいて、可逆性のある地層処分が放射性廃棄物管理の基本方策として採用できるとの評価結果を示した。同法では政府が2006年に放射性廃棄物管理に関する法案を議会に提出することが定められており、CNEは2006年上半期における法案審議に向け、2006年1月末までに同報告書を提出するよう政府から求められていた。政府及び議会は同報告書等に基づいて、法案の作成及び審議を行うとされている。なお、同報告書では、政府は2006年以降についても研究成果の中立的な評価のため引き続き科学的評価の能力を確保することが必要であるため、今後の科学的評価の在り方についての勧告も2006年中にCNEに求めていることが示されている。

同報告書によると、研究の成果は十分に得られており、今後の高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物管理について適切な戦略上の決定を行うことが可能としている。3つの放射性廃棄物管理研究の中で最も進んでいるのは、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による可逆性のある地層処分に関する研究であり、ビュール・サイトでの研究活動は国際的に最高水準にあるとしている。しかし、CNEは、処分場建設の最終決定のための要件はまだ整備されておらず、地下研究所は十分な期間にわたって操業され、立地に好ましいとされる地質特性についてはサイト内地域の対象を広げて検証されなければならないとしている。

原子力庁(CEA)による長期中間貯蔵に関する研究については、その貯蔵期間が問題となると同報告書では示されている。貯蔵期間が100年以内の場合は、高レベル放射性廃棄物の冷却には十分であるが(60年間の冷却期間を前提とした地層処分への熱影響の点で問題はない)、これより長期間(例えば300年)にわたる場合には、建設すべき中間貯蔵施設の耐久性の問題を考慮する必要があるとしている。また国家評価委員会(CNE)は、長期中間貯蔵は将来世代に放射性廃棄物管理という重い負担を負わせるものだとしている。

また、同報告書で原子力庁(CEA)による核種分離・変換の研究については、中長期的な便益(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物のインベントリと発熱量の低減)と短期的なリスク(高レベル放射性廃棄物等の処理の複雑性等)とのバランスを考える必要があり、少なくとも百年以上の期間にわたって原子力を利用する場合にしか意味を持たない長いプロセスであるとしている。したがって、こうした見地に立って、極めて高度な研究・技術開発が継続実施されるべきであるとしている。

同報告書におけるCNEの主な勧告は以下の通りである。

  1. 放射性廃棄物管理の全体戦略を15年の研究成果から策定すること
  2. 地層処分を基本方策として採用し、徹底的に研究すること
  3. 地下研究所内及びビュール・サイトにおける研究を段階的プログラムにより継続実施すること
  4. 地層処分場の周辺地域における、処分場設置と処分実施に関する全ての問題(地下掘削、輸送、雇用、地域の産業・経済・社会に対する影響)について研究すること
  5. 廃棄物パッケージ管理の諸段階を踏まえ多種類の廃棄物コンテナに関する研究を深めること
  6. 天然放射性物質及び人工放射性物質の長期挙動に関する研究を継続すること
  7. 長期中間貯蔵が管理方策として採用される見込みの場合は研究用のサイトを選定すること
  8. 核種分離技術を分離後の生成物の将来との関連において開発すること
  9. 核種分離・変換に関する研究を第四世代の原子炉系の要求との関連において方向付けをし直し調整すること
  10. 核種変換に関するEUROTRANS研究プログラムの終了時において加速器駆動炉システム(ADS)の役割と将来について結論を出すこと

なお、国家評価委員会(CNE)は放射性廃棄物管理研究に関する科学的な評価を行うのみであり、経済的及び社会的な評価を行うことにはなっていない。CNEは、過去11年にわたって年次報告書を公表し、研究成果についての詳細な評価、勧告を行ってきた。

【出典】

  • 国家評価委員会(CNE)、1991年12月30日法律のもとに実施された諸研究に関するCNEの総括評価報告書(政府系ウェブサイトに て公表、www.ladocumentationfrancaise.fr/rapports-publics/064000240 /index.shtml)

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2006年3月6日付けのプレスリリースにおいて、2004年12月31日時点での放射性廃棄物・再利用可能な物質1 のインベントリと関連サイトを示したインベントリ報告書を公表した。ANDRAは、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)に基づき、インベントリ報告書を作成しており、前回(2004年11月)公表された2002年末時点でのインベントリ報告書からは再利用可能な物質も調査対象としている。

また、産業省の2006年3月6日付けのプレスリリースでは、政府が放射性廃棄物管理方針に関する法案を数週間後に議会に提出するに当たって、このインベントリ報告書も基礎となるとしている。政府は、今後もインベントリ報告書の定期的な作成を望んでおり、法案には作成方針を盛り込むことになるとしている。

産業省のプレスリリースではさらに、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が作成したインベントリ報告書は、公衆との対話のツールとなる文書であり、放射性廃棄物に関して開催された公開討論会においても、前回(2004年11月)のインベントリ報告書が頻繁に活用されたとしている。また、今回公表されたインベントリ報告書では、国際熱核融合実験炉(ITER)や欧州加圧水型原子炉(EPR)のような新しい原子力施設に関係する、あるいは関係する可能性のある放射性廃棄物・再利用可能な物質についての情報も示されているとのことである。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のプレスリリースによると、今回のインベントリ報告書では、2020年時点における放射性廃棄物・再利用可能な物質のインベントリの見積りも示されているとのことである。ANDRAは、今回のインベントリ報告書における新たな視点は、現存する原子力発電所を更新しない場合と、長期的に原子力発電所を継続していく場合との2つのシナリオを設定し、関連する放射性廃棄物・再利用可能な物質の概念を示すことで、現存する原子力施設の耐用年数にわたって施設で発生する廃棄物の評価を行ったことだとしている。なお、ANDRAは今回のインベントリ報告書に対する公衆からの意見を求めていること、また、2009年に次回のインベントリ報告書を公表する、としている。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、2006年3月6日のプレスリリース、http://www.andra.fr/interne.php3?id_rubrique=156
  • 産業省ウェブサイト、2006年3月6日のプレスリリース、http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6943

  1. 再利用可能な物質とは、使用済燃料、劣化ウラン、回収ウランなどの将来において再利用が可能である物質とされている。 []

フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法案に原子力安全高位機関を設置するための規定を織り込む修正案の内容が、エコロジー・持続可能開発相によって閣議に提出されたとのことである。同法案は、3月上旬には上院で審議されることとなっている。新設される原子力安全高位機関は、独立行政機関とされ、原子力安全監督、放射線防護、国民への情報提供に責任を有するとされている。

同プレスリリースによると、今回の修正案は、2006年1月5日の大統領の声明を受けたもので、原子力の安全確保体制に対する国民からの信頼の醸成を図るためとされている。原子力安全高位機関の新設の目的は、現在の原子力安全当局(ASN)の地位を明確にするとともに、原子力活動の促進、推進、実施を担当している各主体に対する独立性を強化することとなっている。なお、ASNは、環境担当省、産業担当省、保健担当省の下にあり、原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを総称するもので、今回の修正案では、原子力安全高位機関はASN(DGSNRとDSNR)を統轄するとされている。

また、2006年2月22日付けの政府のプレスリリースによれば、今回の修正案では、政府と原子力安全高位機関との責任分担が定められるとのことである。政府は、引き続き原子力活動の枠組、大規模な原子力施設(原子力基本施設(INB))の設置許可に関する諸規則を定めることとなる。原子力安全高位機関は、原子力安全に関する法令等についての諮問を受けることになる。原子力安全高位機関は、INB、放射性物質輸送、身近にある原子力施設(放射線源利用の研究または産業施設、放射線治療や放射線医学施設など)全般を含む原子力活動を監督するほか、原子力活動に適用する技術規定を定めることもできるとされている。また、原子力安全高位機関は原子力安全及び放射線防護に関する情報提供も行うことになっている。

今回の修正案では、原子力基本施設(INB)の規制・監督体制を刷新し、INBの安全を、事実上のみならず法律上においても最高水準に高めることによって、INBの安全に関する規定を補完するものになると政府のプレスリリースは伝えている。なお、原子力安全高位機関は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。

【出典】

  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/08_2006_HASN.asp
  • 政府の2006年2月22日付けのプレスリリース、http://www.premier-ministre.gouv.fr /acteurs/gouvernement/conseils-ministres_35/conseil-ministres-22-fevrier_791/lettre-rectificative-projet-loi_55391.html

フランスで、2005年9月12日から2006年1月13日にかけて、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)によって開催されていた高レベル・長寿命放射性廃棄物管理に関する公開討論会の総括報告書が、CNDPのウェブサイトにて公表された。CNDPによる公開討論会は、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)に基づくものではないが、産業省のウェブサイトでは、同省による地層処分場の建設など放射性廃棄物管理に関する法案(2006年第2四半期に審議予定)の策定に当たっては、研究報告書、専門家の評価の他に今回の公開討論会の結果も考慮されるとしている。

同報告書において、公開討論国家委員会(CNDP)は、2006年に定められる放射性廃棄物管理法においては、地層処分に関する研究と、永続的な中間貯蔵を実現するための研究との両方が実施されるよう規定すべきであるとしている。こうして、処分の実現可能性を確認するための2020年の意思決定までの時間を利用して、一層の判断材料を確保するとともに、倫理に係る考慮事項をより一層検討するための時間も確保できるとしている。また、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の放射性廃棄物インベントリや、原子力安全当局(ASN)による「放射性廃棄物及び再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV)」を考慮し て、各カテゴリーの放射性廃棄物ごとに管理方針を検討していくことが望ましいとしている。

さらに、公開討論国家委員会(CNDP)は、今回の討論会の開催によって、放射性廃棄物管理の意思決定プロセスにおいて、公衆の意見表明という参加型民主主義の段階から、議会での審議という代表制民主主義の段階へのつながりが確立されたことは重要だとしている。

今回の報告書では、討論内容・結果だけではなく、政府からの討論会開催の付託から公開討論国家委員会(CNDP)が開催を決定するに至るまでの経緯、関係当事者や討論内容・目的及び公衆への情報提供などの開催方法等を決定した背景についても示されている。その他、今回の総括報告書において示されている主要な点は以下の通りである。

  • 長寿命放射性廃棄物(種別、数量)とエネルギー政策の基本方針とのつながりが明確になったこと
  • 超長期間の予測に対する公衆の不信感に対して、段階的な管理方策の実施方式を構築し、放射性廃棄物管理研究について 定期的な研究報告会を設けること
  • 情報提供と対話は信頼の要件であり、情報提供と住民参加は安全性の一要因であるため、主要段階においてその都度確保されるようにするなど、情報提供と対話がより一層推進されること
  • 地元の意見を聴くべきという住民の要求は正当であり、この意見聴取の原則と形式については、2006年の放射性廃棄物管理法案の審議の際に議会に付議されるべきであること
  • 倫理に係る考慮事項として、世代間及び地域間の公平が求められたこと


【出典】

  • 公開討論国家委員会(CNDP)、高レベル・長寿命放射性廃棄物管理に関する総括報告書、2006年1月27日
  • フランス産業省ウェブサイト、http://www.industrie.gouv.fr

フランス原子力安全当局(ASN)は、2006年1月31日付のプレスリリースで、放射性廃棄物管理研究と放射性廃棄物管理全般に関する見解書をまとめ、政府に提出したことを公表した。この見解書には、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくはこちら)のもと、15年間にわたって実施されてきた高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方法についての研究に関するASNの結論と、全ての放射性物質及び廃棄物の管理についてのASNの見解が示されている。

なお、高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理に関する3つの研究分野(長寿命放射性核種の分離・変換、可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分、放射性廃棄物のコンディショニングと長期地上貯蔵)については、2005年7月に放射性廃棄物管理機関(ANDRA)と原子力庁(CEA)から最終研究成果報告書が政府に提出されている

フランス原子力安全当局(ASN)の見解書によると、ASNは、高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理方法については、可逆性のある地層処分が最終的な管理方法であると結論付けている。ASNの見解は、可逆性のあるまたは可逆性の無い地層処分の最終研究成果に対する、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)とASN内の放射性廃棄物処分諮問委員会による評価に基づいたものとなっている。また、ASNは、3つの研究分野について、それぞれ以下のような見解を示している。

  • 長寿命放射性核種の分離・変換は、現時点では技術的な実現可能性が実証されていない。仮に実現されても、長寿命放射性核種を完全には除去できないので、核種分離・変換とともに別の管理方法が必要である。
  • 可逆性のある地層処分が最終的な管理方法である。国会が高レベル・長寿命放射性廃棄物を地層処分するという原則を決定した場合には、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のビュール地下研究所(粘土層)で得られた研究成果から、同研究所の北西部に処分場の建設を検討することが可能であり、さらなる実用的な性格を有する調査・研究の必要がある。
    第二地下研究所を立地するための花崗岩サイトの研究は、ビュール地下研究所で確認されている好適な性質等を勘案すると、安全の観点からは優先順位が高いとは思われない。
  • 長期貯蔵は、将来世代にわたる監視の継続を前提としており、従って最終的な管理方法とはなり得ず、数百年にも及ぶ監視を保証することはできない。

また、フランス原子力安全当局(ASN)は見解書において、2006年以降の処分場設置に向けた計画を以下の通りとしており、これは2005年3月に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)が示した勧告に整合するものであると述べている。

  • 2006年~2011年:放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、ビュール地下研究所での研究活動を継続し、同研究所サイトの北西部にある利用可能区域内での処分場立地に適した場所を調査
  • 2011年~2016年:ANDRAによる処分場建設許可申請、ASNによる許可発給の検討
  • 2016年~2023年:ANDRAが許可取得後、処分場建設
  • 2023年~     :処分場の操業

一方、全ての放射性廃棄物の管理に関しては、ASNは見解書の中で、全ての放射性物質と放射性廃棄物に確実な管理方法を適用することを目的として2006年1月に取りまとめられた、放射性廃棄物及び再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV)について、2006年に制定が見込まれる新しい法律の枠組みにおいて承認されるべきであると述べている。

なお、放射性廃棄物管理に関する新しい法律の制定は、1991年の放射性廃棄物管理研究法において示されており、2006年第2四半期における議会での審議が予定されている。

【出典】

  • フランス原子力安全当局(ASN)、2006年2月1日付プレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data/information/05_2006_cdp.asp
  • フランス原子力安全当局(ASN)、1991年放射性廃棄物管理研究法のもと実施されている高レベル・長寿命放射性廃棄物(HAVL)管理研究に関するASNの見解のまとめ、2006年2月1日
  • フランス原子力安全当局(ASN)、1991年放射性廃棄物管理研究法のもと実施されている高レベル・長寿命放射性廃棄物(HAVL)の管理研究とPNGDR-MVに関するASNの見解、2006年2月1日

フランスの経済・財政・産業省は、2005年9月12日付けのプレスリリースにおいて、国民に対し、2005年9月12日から2006年1月13日にかけて公開討論国家委員会(CNDP)が開催する放射性廃棄物管理に関する公開討論会に参加することを要請している。政府は、この公開討論会を通じて、国民は放射性廃棄物管理問題についての情報を入手し、意見を表明することができるとしている。また、プレスリリースでは1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)で策定が定められている地層処分場の建設などに関する法案について、2006年第2四半期に議会での審議が示されている。

また、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)は今回の公開討論会用に開設したウェブサイトにおいて、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」などの関連情報を公開している。同ウェブサイトによると、政府は産業相及びエコロジー・持続可能開発相を通じて、2005年2月にCNDPに放射性廃棄物管理に関する公開討論会の開催を要請し、CNDPは2005年7月に開催を決定したとのことである。また、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」では、今回の討論内容の全体像を把握するための想定問答集、討論スケジュール、討論会の透明性・公平性・公開性、意見表明及び情報入手方法などが説明されている。

なお、CNDPによる公開討論会は、1991年の放射性廃棄物管理研究法の規定で定められたものではなく、2002年の「身近な民主主義に関する法律」により、高速道路・空港・鉄道・原子力施設などの改修及び設置のような社会経済、環境、国土整備に多大な影響を及ぼす事業を対象として開催が必要とされているものである。また、経済・財政・産業省のプレスリリースによると、政府による地層処分場などに関する法案の策定に当たっては、研究報告書、専門家の評価の他に今回の公開討論会の結果も考慮されるとしている。

公開討論国家委員会(CNDP)によると、公開討論会はCNDPが設置した公開討論特別委員会(CPDP)によって開催され、放射性廃棄物問題及び研究に関連する地域の住民の意見聴取、科学技術的テーマについての討論、民主主義と廃棄物についての討論を行った後、総括討論会を開催し、2006年1月に CPDPが総括報告書を公表するとしている。なお、15回開催される公開討論会の実施概要は以下の通りである。

地元住民の意見聴取
開催期間・開催地(4回開催)
2005年9月12日~19日
放射性廃棄物関連サイト(バール・ル・デュック、サン・ディジエ、ポン・デュ・ガール、シェルブール)

科学技術的テーマについて

開催期間・場所 (3回開催)
討論テーマ

2005年10月1日~22日
パリ科学産業館

・放射性廃棄物問題
・長期貯蔵
・放射性廃棄物発生量の低減
・核種分離・変換の長期シナリオ
・地層処分
・管理方法の組合せ(選択とスケジュール)

民主主義と廃棄物について

開催期間・開催地(4回開催)
討論テーマ
2005年11月9日~24日
ジョアンヴィル、カン、ナンシー、エクサンプロヴァンス
・研究の地元経済への影響
・情報提供と知識の共有
・発電方法及び立地地域のバランス
・誰が何を、いつ、どのように決定するのか

総括討論会

開催期間・開催 地(4回開催)
2005年12月~ 2006年1月13日
ダンケルク、ブロワ、トゥールーズ、リヨン


【出典】

  • 経済・財政・産業省、2005年9月12日付プレスリリース、 http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6029
  • 放射性廃棄物に関する公開討論国家委員会(CNDP)ウェブサイト、 http://www.debatpublic-dechets-radioactifs.org/
  • 公開討論国家委員会(CNDP)、放射性廃棄物管理に関する公開討論会に関するご案内
  • 2005年7月25日付けの公開討論国家委員会(CNDP)の決定
  • LOI n° 2002-276 du 27 fevrier 2002 relative a la democratie de proximite〔2002年2月27日の身近な民主主義に関する法律〕

2005年7月13日、フランスの原子力安全当局(ASN)は、ウェブサイトにおいて、放射性廃棄物および再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV。以下「国家放射性廃棄物等管理計画」という)についての案を公表し、国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する国民からの意見聴取を開始した。国家放射性廃棄物等管理計画は、2000年3月の議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の勧告を受けて、政府が2003年6月に原子力安全当局(ASN)に作成を委託していたものである。国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する意見聴取は2005年末まで行われる予定であり、この聴取結果や2005年秋に開催が予定されている公開討論でのさまざまな意見などを踏まえて改訂が行われ、2006年初めには国家放射性廃棄物等管理計画が策定されることになっている。また、原子力安全当局(ASN)は、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の2005年3月の報告書において勧告されているように(既報を参照)、国家放射性廃棄物等管理計画については、2006年上半期に政府によって議会に提出され、審議される予定の放射性廃棄物管理法案における管理計画とされる可能性があるとしている。

原子力安全当局(ASN)の2005年7月13日付のプレスリリースによると、国家放射性廃棄物等管理計画の目的は、フランスにおける放射性廃棄物の管理に関する包括的な枠組みを定義することにあるとされている。また、国家放射性廃棄物等管理計画が策定されることで、放射性廃棄物の管理を目的として実施されるさまざまな活動間の一貫性が、廃棄物の性質および発生者に関わりなく確保され、廃棄物ごとに管理方法が開発され、放射性廃棄物の最終処分に対する国民の懸念が十分に考慮されるようになるとされている。

今回公表された国家放射性廃棄物等管理計画(案)の要約報告書によると、報告書本体は以下のような4部構成とされている。

  • 第1部:既存および今後発生する放射性廃棄物の管理方策について
  • 第2部:劣化ウランや回収ウランのような将来再利用可能となる物質の取り扱いについて
  • 第3部:放射性廃棄物の長期管理プロセスの一貫性について
  • 第4部:放射性廃棄物管理における問題点、検討点などについて

また、同プレスリリースによると、原子力安全当局(ASN)は、国家放射性廃棄物等管理計画に当たって、廃棄物発生者をはじめ、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、議員代表者、環境保護団体の代表者、関連する大臣、技術的な専門家などを、可能な限り広範に関与させるように配慮したとしている。原子力安全当局(ASN)は、さまざまな意思決定プロセスにおいて、一般規制文書の作成に関連する主要な当事者たちを、可能な限り早い段階から関与させるという意図を明確に示している。さらに、原子力安全当局(ASN)は、政府が望む情報提供および公衆参加プロセスにも積極的に加わっているとしている。

【出典】

  • 原子力安全当局(ASN)の2005年7月13日付けのプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/28_2005_cdp.asp
  • 原子力安全当局(ASN)のウェブサイトでの国家放射性廃棄物等管理計画(案)に対する国民の意見募集公告、 http://www.asn.gouv.fr/domaines/dechetsnuc/index51.asp
  • 国家放射性廃棄物等管理計画(案)の要約報告書
  • RAPPORT sur L’ETAT D’AVANCEMENT ET LES PERSPECTIVES DES RECHERCHES SUR LA GESTION DES DECHETS RADIOACTIFS, OPECST, Mars 2005

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2005年6月30日、1991年の放射性廃棄管理研究法(詳しくは こちら)の規定に基づいて、15年にわたって実施してきた高レベル放射性廃棄物および長寿命の中レベル放射性廃棄物の地層処分についての研究活動の成果をまとめた報告書を産業相および研究相に提出した。今回提出された報告書は、2005年末に更新版として再度提出されることになっているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、粘土層での処分の実現可能性を明らかにしたとしている。なお、同様に核種分離・変換と長期貯蔵についての研究活動を行ってきた原子力庁(CEA)も、同日、成果報告書を提出している。フランスでは、放射性廃棄物管理研究法により、政府は放射性廃棄物管理に関する3つの分野における研究結果について2006年までに総括評価を行い、地層処分が最善とされた場合には、地層処分場の建設許可等に関する法案を議会に提出することとされている。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が提出した報告書は、次に示す2つの報告書とされている。

  • 粘土層処分場の実現可能性に関する評価報告書。特に、ビュール地下研究所サイトおよび国外の複数の研究施設で実施されたさまざまな研究に基づいている。
  • 花崗岩を母岩として採用する利点に関する報告書。フランス国内の花崗岩に関して利用可能なさまざまな文献に示された知識と、国外の研究施設との協定を通じて放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が行った研究成果に基づいている。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、提出した報告書をウェブサイトで公表するとともに、地層処分研究についての一般向け冊子と概要報告書(3冊)(下記【注1】を参照)も公表している。一般向け冊子によると、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による地層処分についての研究は、次の4つの領域において行われたとされている。

  • 廃棄物パッケージ、さまざまな物質の挙動、粘土層および花崗岩環境に関するデータの取得。
  • 処分場の設計:廃棄物のコンディショニング、処分場の構成、具体的なサイトへの適合性、操業方法、回収可能性。
  • 処分場の長期的な挙動の分析と、処分場の熱、力学、化学および水理学面での経時的変化のモデル化。
  • 長期安全性の分析。

一般向け冊子によると、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、地層処分概念の中心となる原則として、長期安全性と回収可能性などを含む処分の可逆性を挙げている。また、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、処分の可逆性については、将来世代に管理方法の決定の自由を与えることを目的としており、柔軟性の高い処分場の操業を可能にするものであり、処分段階ごとに設定されるものとしている。


地層処分場の概要図
(出所:放射性廃棄物管理機関(ANDRA)報告書より引用)


【注1】
放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイトで公表された概要報告書は以下のとおりである。

  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:一般向け冊子〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue〕
  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:研究成果および今後の展望〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue : résultats et perspectives〕
  • 粘土層に関する報告書:粘土層における地層処分の実現可能性の評価〔Synthèse Argile : Evaluation de la faisabilité du stockage géologique en formation argileuse〕
  • 花崗岩に関する報告書:地層処分における花崗岩層の利点〔Synthèse Granite : Intérêt des formations granitiques pour le stockage géologique〕

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、http://www.andra.fr
  • 原子力庁(CEA)のウェブサイト、http://www.cea.fr
  • 長寿命・高レベル放射性廃棄物の地層処分場に関する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の研究:一般向け冊子〔Les recherches de l’Andra sur le stockage géologique des déchets radioactifs à haute activité et à vie longue〕