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《フランス》公開討論国家委員会(CNDP)が公開討論において国民の意見を取り入れる新制度を検討する円卓会議を開催

フランスにおける地層処分場の設置に関する公開討論会に関して、公開討論国家委員会(CNDP)は2013年5月28日付のプレスリリースにおいて、公開討論会に国民の意見を取り入れる新たな枠組みを構築するため、円卓会議を開催することを公表した。

公開討論会には、これまでに約200に上る意見と質問が集められており、また12冊の関係者の手記が寄せられている。これらは公開討論会後にその経過と併せて編集される予定である。しかし、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)の委員長であるクロード・ベルネ氏は、公開討論の原則である国民からの意見の取り入れの機会が現状の実施方法では担保されないと危惧し、今回新たに国民の意見を取り入れる方法を検討するため、円卓会議の開催を決定した。

2013年5月28日付のプレスリリースにおいて、円卓会議の開催に関して示されている事項は以下のとおりである。CNDPは、この円卓会議によって提案される、新たな国民との意見収集方法により、先の5月23日の公開討論会の中止によって国民の議論参加が損なわれた事態を回避することを期待している。

  • Cigéoプロジェクト1 が行われている2つの県(ムーズ及びオート=マルヌ県)に関係する者として、国会議員、政治家、社会運動団体の指導者、労働組合、関係機関、国の代表等によって構成
  • インターネット上に国民の意見を受け入れる場を設置
  • これまでの議論に加え、より意見を取り入れる方法を議論。
  • 国民が直接意見を述べることができる手法を検討。

 

なお、同プレスリリース中においてCNDPは、別途行われているエネルギー政策の転換に関する公開討論会に関して、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、フランス電力株式会社(EDF)及びAREVAに対し、早急に、将来の電力エネルギーミックス変化によってどのような影響を地層処分プロジェクトであるCigéoプロジェクトに与えるかについて、想定されている4つのシナリオに対する見解を提示することを求めている。その際、ASNより2013年5月22日に発行されたプレスリリースを各事業者に示し、根拠としている。

【出典】

 

【2013年6月5日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年5月31日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会のための円卓会議を2013年6月6日に開催することを公表した。

プレスリリースによると、円卓会議では、今後の公開討論会の改善を目的とし、意見表明の時間配分の優先順位、様々な専門家の活用、国民への効果的な情報伝達の手段などが検討される。なお、円卓会議は、公開討論会の代替とすることを意図していないとしている。

また、次回の公開討論会は、当初の予定どおり、2013年6月13日にバール=ル=デュックにおいて開催することも併せて公表した。

【出典】

【2013年6月7日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年6月6日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会について、国民の意見を取り入れる新たな枠組みを構築するための円卓会議をバール=ル=デュックで2013年6月6日に開催し、改善のための提案を取りまとめたことを公表した。

円卓会議には、議員・政治家、商工会議所など関連団体、労働組合、関係機関及び国の代表者などからなる30名余りが参加した。参加した議員らは、2013年5月23日にビュールで行われた公開討論会が反対団体の妨害により中止され、国民による情報の入手機会が失われたことに遺憾の意を示した。その一方で、こうした反対団体の「発言の自由」自体は保障されるべきであり、国民への情報の確実な伝達を両立させることが今後の公開討論会の課題であるとの認識を示した。

今後開催される一連の公開討論会でのテーマについては、開催スケジュールを変更せず十分に議論できることをCNDPは再確認したとしている。また、CNDPは、円卓会議で表明された意見を踏まえて、公開討論会の改善を目的とした以下のような提案をまとめた。これらの提案は、公開討論会のみならず、Cigéoプロジェクトで影響を受ける地域で開催される各種の会議などにも適用することを念頭においたものとしている。

  • インターネット技術を活用する。公開討論会の模様をインターネットで同時配信し、それを通じて公開討論会や市民フォーラムの場で意見表明できるように工夫できるかを検討する。
  • 公開討論会に参加する国民への情報提供を確実にするため、討論に際しては始めに全体に対して講演を行う。

  • 議論の公平性を担保するため、ステークホルダーの意見を全て聞き取り、また見解の異なる専門家を議論に参加させる。

また、CNDPはプレスリリースにおいて、次回の公開討論会(バール=ル=デュックで開催)の日程を2013年6月13日から2013年6月17日に変更したことを告知している。

【出典】

【2013年6月19日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の2013年6月18日付のプレスリリースによれば、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)は、2013年6月17日にバール=ル=デュックで公開討論会を開催したが、反対派の抗議活動により途中で中止とした。第1回の公開討論会(2013年5月23日、ビュール)と同様に、第2回の公開討論会も中止に追い込まれた。

今回の公開討論会においてCPDPは、Cigéoプロジェクトに反対する個人・団体及び中立的な立場の専門家が意見を述べる機会を多く設けるよう配慮した。しかし、反対派の抗議活動は収まらず、今回も公開討論会を円滑に進行できないと判断し、開始後約30分程度で公開討論会を打ち切った。

なお、ANDRAから得られた情報によると、2013年6月20日にナンシーで開催が予定されていた次回の公開討論会も延期になった模様である。

【出典】

【2013年6月28日追記】

2013年6月25日、公開討論国家委員会(CNDP)は、Cigéoプロジェクトの公開討論会ウェブサイトにおいて、開催予定であった第6回から第8回までの公開討論会の中止を公表した。今後の公開討論会の開催についてCNDPは、2013年7月3日に新たな開催計画を発表する予定としている。

なお、今回中止となった公開討論会(当初の開催予定日)は以下の通り。第6回 ラ・アーグ(2013年6月27日)、第7回リーニュ=サン=バロイ(2013年7月4日)、第8回ショーモン(2013年7月11日)

【出典】

 

  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”と称される。 []

(post by yokoyama.satoshi , last modified: 2023-10-11 )