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《フランス》国家評価委員会(CNE)が第6回評価報告書を公表

フランスにおいて、放射性廃棄物等の管理に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)の第6回評価報告書が、2012年12月にCNEのウェブサイトで公開された。

2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づき、CNEは放射性廃棄物等管理に関する取組や調査研究等の進捗状況に関する評価を毎年行うこととなっており、評価結果を取りまとめた報告書は議会に提出されることとなっている。なお、前回の第5回報告書は、2011年11月に公表されている

今回取りまとめられた第6回評価報告書の冒頭では、地層処分に携わる国内外の関係機関から20年以上にわたってヒアリング等を実施してきたCNEの経験に基づき、CNEは2012年段階における地層処分プロジェクトに関する進捗について次のような見解を示している。

  • ガラス(高レベル放射性廃棄物が混合されるガラス固化体)と深地層の粘土は、放射性物質を数十万年間にわたって閉じ込める有効なバリアである。
  • 地層処分研究のために選定されたムーズ/オ-ト=マルヌ県のサイトが有する粘土層は、深度500メートルの地下に130メートル以上の層厚がある。この粘土層は、少なくとも1億年間にわたって安定した状態にある、地下水流が非常に小さい、保持能力が高いといった、放射性物質の閉じ込めに関する卓越した性能を示している。
  • 処分孔、坑道、地下空間、換気施設あるいは埋め戻しといった処分実施における構築物の設計や、操業時及び閉鎖後の安全確保のための方法論や手順の開発に関する研究が現在も進められている。2006年の放射性廃棄物等管理計画法が定めた地層処分事業の実用化(調査研究段階から産業プロジェクト段階への移行)の観点から、この研究は十分に進捗している。地層処分事業の各段階で必要とされる事業展開技術及び革新的・工学的技術を伴うこの実用化作業は、注意深くフォローされなければならず、2015年に予定される設置許可申請に対する審査は重要なマイルストーンとなる。

上記の見解に加えて、第6回評価報告書の「要約と結論」では、CNEは地層処分事業に関して、地層処分事業に係る費用の詳細情報の提示を要請するとともに、次のような技術的な評価の結果を示している。

  • 高レベル放射性廃棄物の処分孔と埋め戻しの設計については、地層処分の可逆性確保(地下の空洞等が直ぐに埋め戻されない期間が存在する)の観点から、その期間における岩盤の遅延挙動に関する不確実性を考慮しなければならない(地下空洞の掘削等から時間を経て現れる可能性のある岩盤の変形挙動等に関する不確実性)。そのため、遅延挙動のメカニズムを解明するために実施されている測定試験等の総括を速やかに実施し、確実な予測を可能とする熱・水・応力に関する連成モデルを構築するよう勧告する。
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は地層処分場を段階的に建設する計画である。第一段階で建設される地下の施設は、第一段階で処分される放射性廃棄物を受け入れるために必要な施設となる。2015年に予定されている地層処分場の設置許可申請書の審査において、CNEは本報告で提起した疑問に対して十分な回答が示されているかを検証する方針であり、仮に回答が十分でないと判断されれば、設置許可の発給を延期するよう勧告する可能性もある。
  • 地層処分場の設計において考慮される廃棄物パッケージのインベントリ・モデルは、ANDRAと廃棄物発生者との協働で開発された。2006年の放射性廃棄物等管理計画法に従えば、使用済燃料の直接処分は想定されていないため(一部の重水炉を除く)、使用済燃料は廃棄物パッケージのインベントリには含まれていない。もし将来的に直接処分されることとなる場合には、使用済燃料を冷却するための中間貯蔵が必要となり、また、地層処分の設置許可の変更申請及びそれに必要な公衆意見聴取が実施されることとなる。
  • アスファルト固化体を除き、第一段階での処分が想定される廃棄物パッケージに関する知見は十分なレベルに達している。アスファルト固化体については、特に火災発生時といった短期的な挙動に関する不確実性を考慮して、地層処分事業の第一段階ではこれらの処分を行わないよう勧告する。最終判断に向けて、第一段階で処分される廃棄物パッケージ等について、より厳しい条件での挙動に関する安全性の評価を含めた実規模での実証試験の結果を2014年末までにCNEに提出するよう要請する。仮に実証試験の結果が十分なものではないと判断される場合には、アスファルト固化体の処理方法の検討を勧告する可能性がある。

【出典】

 

(post by emori.minoru , last modified: 2023-10-11 )