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フランス

2007年9月19日付けの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のプレスリリースで、2007年9月18日にANDRAがビュール地下研究所の周辺地域において新たな調査を開始したことが公表された。今回の調査は、ビュール地下研究所がある地質とその特性が類似しているムーズ県の南部からオート=マルヌ県の北東部にまたがるビュール地下研究所周辺の250km2の区域について、その地質環境に関する知見を得ることを目的としている。また、今回の調査結果は、深度400m~600mの粘土層における、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場の設置を可能とする約30km2の区域を確定することに寄与するとされている。なお、2006年の放射性廃棄物等管理計画法では、地層処分場に関する今後のスケジュールとして、2015年に処分場の設置許可申請、2025年に操業開始ができるよう研究・調査を実施することを規定している。ANDRAはこのスケジュールに基づいて、2009年には候補サイトの提案を行うことを予定している。

同プレスリリースによれば、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は6基のプラットフォームから14本のボーリング孔掘削を行う予定であり、2007年9月18日にはムーズ県のトレヴレイ(Tréveray)において掘削作業が開始され、ゴンドルクール=ル=シャトー(Gondrecourt-le-Château)、モンティエ=シュール=ソー(Montiers-sur-Saulx)、ポワッソン(Poissons)、シュビヨン(Chevillon)において2008年6月まで実施されることとなっている。また、これらのボーリングにより得られる測定結果は、2007年10月~11月に実施される振動装置を用いた物理探査による地球物理学的研究によって補完されるとのことである。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、 http://www.andra.fr/interne.php3?id_article=1000&id_rubrique=80
  • Rapport d’activité 2006 – Rapport de gestion et états financiers(ANDRAの2006年活動報告書)

フランスにおいて、放射性廃棄物等の管理に関する研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(新CNE)の第1回評価報告書が、政府刊行物などを扱うウェブサイトにおいて公表されたことが放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイトで示された。新CNEは、2006年6月の放射性廃棄物等管理計画法に基づき2007年4月に設置されており、上記の進捗状況を評価して毎年報告することが義務付けられている。今回の報告書では、新CNEの評価方針、ANDRAによる放射性廃棄物等の管理研究の基本方針及び原子力庁(CEA)による核種分離・変換等の研究プログラムに対する評価などが示されている。

同報告書において、国家評価委員会(新CNE)は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物、長寿命低レベル放射性廃棄物(黒鉛・ラジウム廃棄物)のそれぞれの処分を、放射性廃棄物等管理計画法で定められたスケジュールに沿って実施する目的で放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が提案した研究調査プログラムについて、そのスケジュールが非常に厳しいものであるとしている。放射性廃棄物等管理計画法では、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分については、2015年に可逆性のある地層処分場の設置許可を申請し、2025年に操業を開始することが求められている。また、長寿命低レベル放射性廃棄物についても、2013年に処分場の操業を開始することが求められている。

上記のスケジュールに関する新CNEの評価の理由は次のとおりである。

  • ANDRAが提案する高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分に関する研究調査プログラムは、法に定められている期限と行政上の制約を勘案して構築されているが、技術的な不確実性や重大な行政上の遅滞の余地が一切無い。
  • ANDRAが研究している、長寿命低レベル放射性廃棄物のパッケージを何らかの被覆によって侵食から保護された層厚約50mの粘土層内へ定置するという処分概念は、未だ実用化されたものではなく、2009年にサイトを選定するというANDRAの暫定スケジュールに基づけば、選定サイトの特性等に依存する情報などの不確実さなどの問題もあり、その実現は厳しい。

また、同報告書の基本方針において、国家評価委員会(新CNE)による評価対象は、政府によって3年毎に策定される全ての放射性廃棄物の管理に関する国家放射性廃棄物等管理計画(PNGMDR)に沿ったものとされているが、その対象範囲は広範であるため、原子力安全機関(新ASN)との合意に基づいて、今後数カ月以内にデクレ(政令)により明確に定められることが望ましいとされている。

なお、今回の報告書は、放射性廃棄物等管理計画法に基づき、国家評価委員会(新CNE)が放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、原子力庁(CEA)、フランス国立科学研究所(CNRS)から資料提供を受けると共にヒアリングを行うなどして、2007年6月に作成されたものである。その後、同報告書は議会に提出され、2007年7月には議会科学技術評価委員会(OPECST)による新CNEに対するヒアリングが行われていた。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、http://www.andra.fr/
  • Commission nationale d’évaluation des recherches et études relatives à la gestion des matières et des déchets radioactifs, Rapport d’évaluation n°1, Juin 2007 (原典はこちらのサイトから入手可能、http://www.ladocumentationfrancaise.fr/rapports-publics/074000493/index.shtml)
  • 国民議会(下院)ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/13/cr-oecst/06-07/c0607005.asp

2007年5月14日付けで、フランスの原子力安全機関(ASN)がウェブサイトにおいて、ASNと産業省エネルギー・資源総局(DGEMP)によって策定された「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)を公表した。PNGMDRは、2005年7月にASNが政府関係者、事業者、関係団体で構成されるワーキンググループの枠組のもとに草案を作成した「放射性廃棄物及び再利用可能な物質の管理に関する国家計画」(当初は PNGDR-MVと称されていた)の最終版である

原子力安全機関(ASN)のウェブサイトによると、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)の目的は、放射性廃棄物等の管理方法の総括評価を行い、中間貯蔵施設又は処分施設の要件等について調査したうえで同施設に必要な処理能力及び貯蔵期間を明確にするとともに、最終的な管理方法が定められていない放射性廃棄物についての新たな管理目標を設定することにあるとされている。

原子力安全機関(ASN)のウェブサイトによると、「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法」(以下「放射性廃棄物等管理計画法」という)が2006年6月に公布された後、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)の草案は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物を含む、さまざまなカテゴリーの放射性廃棄物の管理方策を決定する上での諸目標を定めた同法第3条及び第4条などを考慮して、修正されたとされている。

「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)は、放射性廃棄物等管理計画法の第6条において、政府が2006年末までに策定し、以後3年毎に改訂するとともに、議会に提出、公開することが規定されていたものであり、2007年3月に議会に提出された後、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)が評価を行い、評価結果はOPECSTのウェブサイトで公表されている。

原子力安全機関(ASN)のウェブサイトによると、今後、ASNは、産業省エネルギー・資源総局(DGEMP)と連携し、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に定められている諸施策の進捗状況の監視と2009年度版PNGMDRの策定を行うワーキンググループの活動を引き続き推進していくとされている。

【出典】

  • 原子力安全機関(ASN)ウェブサイト、http://www.asn.fr/sections/accueil/actualites/premier-plan-national-gestion-matieres
  • LOI n° 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative à la gestion durable des matières et déchets radioactifs(2006年6月28日の放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法第2006-739号)

2006年6月29日付のフランス官報にて高レベル・長寿命放射性廃棄物を含む放射性廃棄物全般の管理に関する「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法」(以下「放射性廃棄物等管理計画法」という)が公布された。同法は2006年4月から議会において「放射性物質及び放射性廃棄物の管理計画法案」という名称で審議が行われていたものである。議会審議においては法律名の変更、地層処分場の可逆性についての条件の法定化及び地層処分場の建設・操業等のための基金設置に関する項目などの追加がなされ、2006年6月15日に修正案が国民議会(下院)を通過していた。

公布された放射性廃棄物等管理計画法における高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理に関する主な規定は以下の通りである。

  • 長寿命放射性核種の分離・変換については、新世代の原子炉及び放射性廃棄物の核変換を専用に行う加速器駆動炉に関する研究及び調査との関連において研究・調査を実施(第3条)
  • 可逆性のある地層処分場については、2015年に処分場の設置許可申請、2025年に操業開始ができるよう研究・調査を実施(第3条)
  • 中間貯蔵については、中間貯蔵施設を2015年までに設置できるよう研究・調査を実施(第3条)
  • 処分場の設置許可申請は、地下研究所による研究の対象となった地層に関するものに限定(第12条)
  • 可逆性についての条件を定める法律の制定後にデクレによって処分場設置許可を発給(第12条)
  • 処分場の閉鎖許可発給は法律の制定によるものとし、設置許可において100年以上の可逆性を確保する期間を設定(第12条)
  • 管理研究の評価を2007年以降毎年行う国家委員会を設置(第9条)
  • 政府が管理計画を2006年末までに策定し、以後3年毎に改訂するとともに、議会に提出、公開(第6条)
  • 原子力安全・情報開示法に基づいて原子力安全に関する情報公開と情報提供のために設置される高等委員会は管理に関する協議・討論を定期的に実施(第10条)
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によるインベントリの作成(3年毎に改訂)(第14条)
  • ANDRAによる管理費用の見積と公表(第14条)
  • 中間貯蔵施設及び地層処分場に関する調査及び研究活動に必要な資金確保のため、『研究税』を資金源とする基金をANDRA内に設置(第15条)
  • 中間貯蔵施設及び地層処分場の建設・操業等に必要な資金確保のため、事業者からの拠出による基金をANDRA内に設置(第16条)
  • 地下研究所区域に地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の位置づけ、構成、活動財源を変更(第18条)
  • 地層処分場区域のある各県に公益事業共同体を設置(第13条)
  • 地層処分場などの原子力基本施設(INB)に対して、ANDRAによる研究活動の財源となる『研究税』、公益事業共同体の活動の財源となる『連帯税』と『技術普及税』の3つの新たな税を導入(第21条)

なお、放射性廃棄物等管理計画法は、環境法典に組入れられている1991年放射性廃棄物管理研究法を主に修正する形が取られている。

【出典】

  • 上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl05-315.html
  • LOI n° 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative à la gestion durable des matières et déchets radioactifs(2006年6月28日の放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法第2006-739号)

フランス上院のウェブサイトによると、2006年6月1日に上院を通過した原子力安全・情報開示法が2006年6月14日に官報にて公布された。同法に基づき、新しい原子力の安全規制機関として原子力安全機関(ASN)1 が2007年3月31日までに独立行政機関として設置され、活動を開始することとなる。また、同法により原子力安全機関(ASN)は現在の原子力の安全規制機関である原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを統括する機関になる。ASNという名称は、現在DGSNRとDSNRとを合せた総称として用いられている原子力安全当局(ASN)とフランス語では同一となっている2

原子力安全・情報開示法では、原子力安全機関(ASN)は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。ASNの主な役割は以下のとおりである。

  • 原子力基本施設(INB)の新設・廃止措置などに関するデクレ(政令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力基本施設(INB)の操業許可の発給
  • 原子力安全規制に関するデクレ(政令)及びアレテ(省令)案について政府から諮問を受ける
  • 原子力安全及び放射線防護に関する規制上の決定(担当大臣の承認要)
  • 原子力安全及び放射線防護に関する一般規則及び個別規定の遵守状況の監督
  • 原子力安全及び放射線防護に関する国民への情報提供
  • 原子力活動における事故・トラブル時の技術調査の実施

原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付のプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法では、原子力基本施設(INB)及び放射性物質輸送に関する法制度が刷新され、原子力活動の原則や原子力安全・放射線防護及び情報公開に関する国の役割と責任が定められている。また、同法により地域情報委員会(CLI)に法的権限が与えられるとともに、原子力安全情報公開・情報提供高等委員会が設置されることとなるが、これは国民が原子力安全及び放射線防護に関する情報を原子力事業者から入手できるようにするためとされている。

【2006年11月16日追記】

原子力安全当局(ASN)のプレスリリース(2006年11月9日)によると、2006年11月8日付のデクレにより新しい規制機関となる原子力安全機関(新ASN)に5名の委員が任命され、また、2006年11月13日の第1回会合を持って、新ASNとして活動が開始するとしている。

【出典】

  • フランス上院のウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl01-326.html
  • LOI n° 2006-686 du 13 juin 2006 relative à la transparence et à la sécurité en matière nucléaire
  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年6月1日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/22_2006_aai.asp

  1. 原子力安全・情報開示法は2006年3月から議会で審議が行われていたもので(既報)、当初の法案では機関名は”原子力安全高位機関”(La Haute Autorité de Sûreté Nucléaire)とされていた。 []
  2. フランス語では共に”L’Autorité de Sûreté Nucléaire”と同一に表記されるが、原子力安全・情報開示法で新設される原子力安全機関(ASN)は実体を持つ組織名となっている。 []

2006年3月22日、フランス産業省はプレスリリースにおいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理計画に関する法律(以下、放射性廃棄物等管理計画法という)の法案を閣議に提出したことを公表し、併せて法案及び関連資料を同省のウェブサイトで公表した。同法案は1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)のもとで、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)と原子力庁(CEA)が実施した15年にわたる研究成果、国内外の専門機関による研究成果の評価、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の報告書、また公開討論会の総括報告書及び経済社会評議会の見解に基づいて作成されたとしている。法案では、高レベル・長寿命放射性廃棄物を可逆性のある地層処分場に処分する方針が示されている。処分場の建設は、原子力安全当局(ASN)の検証、公開討論や公衆及び関係地方公共団体の意見聴取の後、2015年を目途に法令により許可されるとのことである。なお、法案は2006年4月6日から国民議会で審議される予定とされている。

プレスリリースによると、放射性廃棄物等管理計画法により、放射性物質及び放射性廃棄物に関する管理計画が定められるとしている。同日行われた産業担当大臣の声明によれば、この管理計画では、高レベル・長寿命放射性廃棄物の他、原子力活動から発生する全ての放射性物質も織り込まれるとされている。なお、この管理計画と放射性廃棄物及び再利用可能な物質に関するインベントリは定期的に改訂され、議会に提出、公開されるとしている。

また、管理計画の基礎となる次の3原則を定めることで、安全な管理を行うとしている。

  1. 使用済燃料の再処理
  2. 放射性廃棄物のコンディショニング及び冷却のための中間貯蔵
  3. 中間貯蔵後の可逆性のある地層処分

産業担当大臣の声明によると、放射性廃棄物等管理計画法では、放射性廃棄物管理研究の実施プログラムがスケジュール付きで定められるとのことである。これまで実施されてきた放射性廃棄物管理研究が引き続き実施され、処分場建設に至るまでの研究調査の推進に関する基本方針も定められるとされている。また、放射性廃棄物等管理計画法では計画の各段階を管理するため、研究に関する厳正中立な評価についての手続が定められ、これまで研究成果の評価を実施してきた国家評価委員会(CNE)の中立性が再確認されるとともに、組織が拡大され、権限が強化されるとのことである。CNEは研究成果に関する評価報告書を引き続き毎年提出するとされている。

また、産業担当大臣の声明よると、国民への情報提供及び事前協議などの具体的な手続の他、ビュール地下研究所サイトに設置されている地域情報監視委員会(CLIS)の役割も放射性廃棄物等管理計画法で定められ、県議会議長をCLIS委員長とし、財源も廃棄物発生者による資金とは独立したものになるとされている。

プレスリリースによれば、放射性廃棄物等管理計画法により放射性廃棄物管理に関する資金確保方法も定められるとされている。管理研究と関係各県の経済開発の財源は、原子力事業者に対する課税により確保されるとのことである。原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物管理の資金確保については、フランス電力株式会社(EDF)をはじめとする原子力事業者が引当金を設定し、資産を割当て安全に運用しなければならないとされている。

 

【出典】

  • 産業省プレスリリース、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6959
  • 産業担当大臣の声明、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/decl.php?decl_id=3448
  • 産業省によって公表された放射性廃棄物等管理計画法の関連資料、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=/infopres/presse/somnucleair.html

 

【2006年6月6日追記】

上院のウェブサイトにおいて、国民議会(下院)で2006年4月12日に可決されて上院に送られた放射性廃棄物管理計画法案が2006年5月31日に修正・可決されたことが公表された。また、国民議会のウェブサイトによると、上院で可決された同法案が国民議会の経済・環境・領域問題委員会に送られた。今後、国民議会での第2読会が行われ 2006年の夏の間には成立する予定とされている。

  • 上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl05-315.html
  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)情報

【2006年6月16日追記】

国民議会(下院)のウェブサイトにおいて、放射性廃棄物管理計画法案が2006年6月15日に国民議会の第2読会において可決されたことが公表された。なお、同ウェブサイトで公表されている国民議会の可決法案では、2006年5月31日に上院で可決された法案からの内容的な変更はなされていない。

  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP

フランスにおいて、1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)で定められている3つの研究分野における成果報告に対する総括評価報告書が国家評価委員会(CNE)により公表された。同報告書では、地下研究所のあるビュール・サイトにおいて、可逆性のある地層処分が放射性廃棄物管理の基本方策として採用できるとの評価結果を示した。同法では政府が2006年に放射性廃棄物管理に関する法案を議会に提出することが定められており、CNEは2006年上半期における法案審議に向け、2006年1月末までに同報告書を提出するよう政府から求められていた。政府及び議会は同報告書等に基づいて、法案の作成及び審議を行うとされている。なお、同報告書では、政府は2006年以降についても研究成果の中立的な評価のため引き続き科学的評価の能力を確保することが必要であるため、今後の科学的評価の在り方についての勧告も2006年中にCNEに求めていることが示されている。

同報告書によると、研究の成果は十分に得られており、今後の高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物管理について適切な戦略上の決定を行うことが可能としている。3つの放射性廃棄物管理研究の中で最も進んでいるのは、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による可逆性のある地層処分に関する研究であり、ビュール・サイトでの研究活動は国際的に最高水準にあるとしている。しかし、CNEは、処分場建設の最終決定のための要件はまだ整備されておらず、地下研究所は十分な期間にわたって操業され、立地に好ましいとされる地質特性についてはサイト内地域の対象を広げて検証されなければならないとしている。

原子力庁(CEA)による長期中間貯蔵に関する研究については、その貯蔵期間が問題となると同報告書では示されている。貯蔵期間が100年以内の場合は、高レベル放射性廃棄物の冷却には十分であるが(60年間の冷却期間を前提とした地層処分への熱影響の点で問題はない)、これより長期間(例えば300年)にわたる場合には、建設すべき中間貯蔵施設の耐久性の問題を考慮する必要があるとしている。また国家評価委員会(CNE)は、長期中間貯蔵は将来世代に放射性廃棄物管理という重い負担を負わせるものだとしている。

また、同報告書で原子力庁(CEA)による核種分離・変換の研究については、中長期的な便益(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物のインベントリと発熱量の低減)と短期的なリスク(高レベル放射性廃棄物等の処理の複雑性等)とのバランスを考える必要があり、少なくとも百年以上の期間にわたって原子力を利用する場合にしか意味を持たない長いプロセスであるとしている。したがって、こうした見地に立って、極めて高度な研究・技術開発が継続実施されるべきであるとしている。

同報告書におけるCNEの主な勧告は以下の通りである。

  1. 放射性廃棄物管理の全体戦略を15年の研究成果から策定すること
  2. 地層処分を基本方策として採用し、徹底的に研究すること
  3. 地下研究所内及びビュール・サイトにおける研究を段階的プログラムにより継続実施すること
  4. 地層処分場の周辺地域における、処分場設置と処分実施に関する全ての問題(地下掘削、輸送、雇用、地域の産業・経済・社会に対する影響)について研究すること
  5. 廃棄物パッケージ管理の諸段階を踏まえ多種類の廃棄物コンテナに関する研究を深めること
  6. 天然放射性物質及び人工放射性物質の長期挙動に関する研究を継続すること
  7. 長期中間貯蔵が管理方策として採用される見込みの場合は研究用のサイトを選定すること
  8. 核種分離技術を分離後の生成物の将来との関連において開発すること
  9. 核種分離・変換に関する研究を第四世代の原子炉系の要求との関連において方向付けをし直し調整すること
  10. 核種変換に関するEUROTRANS研究プログラムの終了時において加速器駆動炉システム(ADS)の役割と将来について結論を出すこと

なお、国家評価委員会(CNE)は放射性廃棄物管理研究に関する科学的な評価を行うのみであり、経済的及び社会的な評価を行うことにはなっていない。CNEは、過去11年にわたって年次報告書を公表し、研究成果についての詳細な評価、勧告を行ってきた。

【出典】

  • 国家評価委員会(CNE)、1991年12月30日法律のもとに実施された諸研究に関するCNEの総括評価報告書(政府系ウェブサイトに て公表、www.ladocumentationfrancaise.fr/rapports-publics/064000240 /index.shtml)

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2006年3月6日付けのプレスリリースにおいて、2004年12月31日時点での放射性廃棄物・再利用可能な物質1 のインベントリと関連サイトを示したインベントリ報告書を公表した。ANDRAは、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)に基づき、インベントリ報告書を作成しており、前回(2004年11月)公表された2002年末時点でのインベントリ報告書からは再利用可能な物質も調査対象としている。

また、産業省の2006年3月6日付けのプレスリリースでは、政府が放射性廃棄物管理方針に関する法案を数週間後に議会に提出するに当たって、このインベントリ報告書も基礎となるとしている。政府は、今後もインベントリ報告書の定期的な作成を望んでおり、法案には作成方針を盛り込むことになるとしている。

産業省のプレスリリースではさらに、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が作成したインベントリ報告書は、公衆との対話のツールとなる文書であり、放射性廃棄物に関して開催された公開討論会においても、前回(2004年11月)のインベントリ報告書が頻繁に活用されたとしている。また、今回公表されたインベントリ報告書では、国際熱核融合実験炉(ITER)や欧州加圧水型原子炉(EPR)のような新しい原子力施設に関係する、あるいは関係する可能性のある放射性廃棄物・再利用可能な物質についての情報も示されているとのことである。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のプレスリリースによると、今回のインベントリ報告書では、2020年時点における放射性廃棄物・再利用可能な物質のインベントリの見積りも示されているとのことである。ANDRAは、今回のインベントリ報告書における新たな視点は、現存する原子力発電所を更新しない場合と、長期的に原子力発電所を継続していく場合との2つのシナリオを設定し、関連する放射性廃棄物・再利用可能な物質の概念を示すことで、現存する原子力施設の耐用年数にわたって施設で発生する廃棄物の評価を行ったことだとしている。なお、ANDRAは今回のインベントリ報告書に対する公衆からの意見を求めていること、また、2009年に次回のインベントリ報告書を公表する、としている。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、2006年3月6日のプレスリリース、http://www.andra.fr/interne.php3?id_rubrique=156
  • 産業省ウェブサイト、2006年3月6日のプレスリリース、http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6943

  1. 再利用可能な物質とは、使用済燃料、劣化ウラン、回収ウランなどの将来において再利用が可能である物質とされている。 []

フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法案に原子力安全高位機関を設置するための規定を織り込む修正案の内容が、エコロジー・持続可能開発相によって閣議に提出されたとのことである。同法案は、3月上旬には上院で審議されることとなっている。新設される原子力安全高位機関は、独立行政機関とされ、原子力安全監督、放射線防護、国民への情報提供に責任を有するとされている。

同プレスリリースによると、今回の修正案は、2006年1月5日の大統領の声明を受けたもので、原子力の安全確保体制に対する国民からの信頼の醸成を図るためとされている。原子力安全高位機関の新設の目的は、現在の原子力安全当局(ASN)の地位を明確にするとともに、原子力活動の促進、推進、実施を担当している各主体に対する独立性を強化することとなっている。なお、ASNは、環境担当省、産業担当省、保健担当省の下にあり、原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを総称するもので、今回の修正案では、原子力安全高位機関はASN(DGSNRとDSNR)を統轄するとされている。

また、2006年2月22日付けの政府のプレスリリースによれば、今回の修正案では、政府と原子力安全高位機関との責任分担が定められるとのことである。政府は、引き続き原子力活動の枠組、大規模な原子力施設(原子力基本施設(INB))の設置許可に関する諸規則を定めることとなる。原子力安全高位機関は、原子力安全に関する法令等についての諮問を受けることになる。原子力安全高位機関は、INB、放射性物質輸送、身近にある原子力施設(放射線源利用の研究または産業施設、放射線治療や放射線医学施設など)全般を含む原子力活動を監督するほか、原子力活動に適用する技術規定を定めることもできるとされている。また、原子力安全高位機関は原子力安全及び放射線防護に関する情報提供も行うことになっている。

今回の修正案では、原子力基本施設(INB)の規制・監督体制を刷新し、INBの安全を、事実上のみならず法律上においても最高水準に高めることによって、INBの安全に関する規定を補完するものになると政府のプレスリリースは伝えている。なお、原子力安全高位機関は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。

【出典】

  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/08_2006_HASN.asp
  • 政府の2006年2月22日付けのプレスリリース、http://www.premier-ministre.gouv.fr /acteurs/gouvernement/conseils-ministres_35/conseil-ministres-22-fevrier_791/lettre-rectificative-projet-loi_55391.html

フランスで、2005年9月12日から2006年1月13日にかけて、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)によって開催されていた高レベル・長寿命放射性廃棄物管理に関する公開討論会の総括報告書が、CNDPのウェブサイトにて公表された。CNDPによる公開討論会は、1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)に基づくものではないが、産業省のウェブサイトでは、同省による地層処分場の建設など放射性廃棄物管理に関する法案(2006年第2四半期に審議予定)の策定に当たっては、研究報告書、専門家の評価の他に今回の公開討論会の結果も考慮されるとしている。

同報告書において、公開討論国家委員会(CNDP)は、2006年に定められる放射性廃棄物管理法においては、地層処分に関する研究と、永続的な中間貯蔵を実現するための研究との両方が実施されるよう規定すべきであるとしている。こうして、処分の実現可能性を確認するための2020年の意思決定までの時間を利用して、一層の判断材料を確保するとともに、倫理に係る考慮事項をより一層検討するための時間も確保できるとしている。また、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の放射性廃棄物インベントリや、原子力安全当局(ASN)による「放射性廃棄物及び再利用可能な物質の管理に関する国家計画(PNGDR-MV)」を考慮し て、各カテゴリーの放射性廃棄物ごとに管理方針を検討していくことが望ましいとしている。

さらに、公開討論国家委員会(CNDP)は、今回の討論会の開催によって、放射性廃棄物管理の意思決定プロセスにおいて、公衆の意見表明という参加型民主主義の段階から、議会での審議という代表制民主主義の段階へのつながりが確立されたことは重要だとしている。

今回の報告書では、討論内容・結果だけではなく、政府からの討論会開催の付託から公開討論国家委員会(CNDP)が開催を決定するに至るまでの経緯、関係当事者や討論内容・目的及び公衆への情報提供などの開催方法等を決定した背景についても示されている。その他、今回の総括報告書において示されている主要な点は以下の通りである。

  • 長寿命放射性廃棄物(種別、数量)とエネルギー政策の基本方針とのつながりが明確になったこと
  • 超長期間の予測に対する公衆の不信感に対して、段階的な管理方策の実施方式を構築し、放射性廃棄物管理研究について 定期的な研究報告会を設けること
  • 情報提供と対話は信頼の要件であり、情報提供と住民参加は安全性の一要因であるため、主要段階においてその都度確保されるようにするなど、情報提供と対話がより一層推進されること
  • 地元の意見を聴くべきという住民の要求は正当であり、この意見聴取の原則と形式については、2006年の放射性廃棄物管理法案の審議の際に議会に付議されるべきであること
  • 倫理に係る考慮事項として、世代間及び地域間の公平が求められたこと


【出典】

  • 公開討論国家委員会(CNDP)、高レベル・長寿命放射性廃棄物管理に関する総括報告書、2006年1月27日
  • フランス産業省ウェブサイト、http://www.industrie.gouv.fr