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フランス

フランスの放射性廃棄物等の管理に関する調査研究等の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、2013年12月10日に、第7回評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出するとともに、CNEのウェブサイトで公表した。

2006年放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、CNEは、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出している。なお、前回の第6回報告書は、2012年12月に公表されている

第7回評価報告書の冒頭の「要約と結論」においては、地層処分について、以下のような評価結果が示されている。

  • Ÿムーズ県、オート=マルヌ県の両県における15年以上の研究の結果、地層処分場を建設することができる地層の存在が確認されている。しかし、地層処分場の第1ユニットの建設時に、粘土層に到達するまでは実際の地層の特性についての知見の大きな進捗は見込めないため、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、第1ユニットの建設と並行して、科学技術的な研究プログラムを実施しなければならない。
  • ŸANDRAは国際的な研究枠組みも活用し、シーリング材による密閉に関する研究を開始した。実際の地層処分場においてのみ実施可能な試験には非常に長い期間を要することから、モデル化が重要となるが、物理化学と水理学分野でモデル化が大きく進展している。
  • Ÿ地層処分場の設置許可申請の時点では、閉じ込めの冗長性を確保するためのシーリング材による密閉の検討を完了することはできないが、ANDRAが他国の知見のフィードバックを活用しつつ、研究活動を継続すれば問題ない。
  • 水理学的プロセスのモデル化や、気相の有無に応じた水中の物質移行に関するモデル化には大きな進展があった。ANDRAは粘土層における水の移動によって生じる現象を理解・予測するための非常に有効なツールを有しており、これらのモデルによって、地層処分場の性能を評価し、設置許可申請の際に提出される安全評価書の内容をより詳細化することが可能になる。

また、「要約と結論」では、2013年初めに、電気事業者も参加して地層処分場の概念案に関するレビューが実施されており、その結果は以下のとおりであったとしている。

  • ŸANDRAが特に火災分野の安全要件の選択を行ったことを確認した。
  • ŸANDRAは、費用低減のため、中レベル長寿命放射性廃棄物を定置する水平坑道の長さを、従来の400mから500mに延長することを提案している。
  • Ÿレビュー結果もふまえてANDRAは、地層処分場プロジェクトを最適化する道筋や、掘削中及び掘削後に検討すべき科学技術的な課題について、期限を設定し、設置許可申請前に特定しなければならない。
  • Ÿ地層処分場には多くの種類の中レベル長寿命放射性廃棄物を処分すること、エネルギー政策が将来において転換された場合に適応することも想定し、十分な柔軟性をもたせなければならない。
  • Ÿ自然発火性の金属や、有機物を含む廃棄物について、処理と処分の両側面を考慮したさらなる研究が必要である。ANDRAと電気事業者は、通常の状況及び事象が発生した状況におけるこれらの廃棄物の挙動に関する研究結果を示し、知見をまとめた文書を作成しなければならない。

なお、CNEは、2013年末に政府が地層処分場の費用予測を決定する予定であることも明らかにしている。費用予測は、エコロジー省エネルギー・気候総局(DGEC)が主導し、ANDRAや電気事業者も参加した作業部会において進められているものであり、CNEは試算額が2005年の試算に比べて上方修正される見通しであるとしている。

また、CNEは、地層処分場の第1ユニットの建設費用について、ANDRAが速やかに詳細な評価を示すことが重要であり、特にベルギー、フィンランド、スウェーデンにおける処分プロジェクトの費用試算とその資金確保方法について比較することが望ましいとしている。

 

【出典】

 

フランスの地層処分プロジェクトに関して「2006年から2009年までの放射性廃棄物管理研究に関する成果報告書」で放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が作成したことを公表していた「2009年成果報告書」については、規制機関である原子力安全機関(ASN)等が操業上の問題点などを指摘していた。今般、ASNは、2013年12月6日付のプレスリリースにおいて、ANDRAが指摘事項に答えるために2012年末に提出していた報告書に対して、概ね妥当としながらも新たな指摘事項をまとめた見解書を公表した。ASNは、規制支援機関である放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の評価意見もふまえて、今回の見解書を作成したとしている。

ASNは、今回の見解書において、地層処分場の安全性強化を目的としてANDRAが取り入れた以下の設計上の措置・配慮事項を挙げて、安全性の向上が図られていると評価している。

  • アクセス坑道等、地上と地下との連結部分の設計に関する操業中の処分場の安全性向上につながる措置の導入。
  • Ÿ地層処分場の火災リスクの管理に関する措置の導入。
  • Ÿ放射性廃棄物の処分関連の活動と、建設工事(放射性物質を取り扱わない作業)を同時に実施することに伴うリスクをより適切に管理するための設計の採用。
  • Ÿ地下施設内での廃棄体輸送手段の改善。
  • Ÿ中レベル長寿命放射性廃棄物の処分坑道に効率性の高い排気フィルターの採用。

一方、ASNは、ANDRAが採用している設計に関するオプションについては、放射性廃棄物等管理計画法において2015年に期日が定められている地層処分場の設置許可申請を見据えて、以下の検討を行わなければならないとしている。

  • Ÿ新たな水理地質学的モデルの基盤となる仮定やデータなど、安全性の立証に必要なデータの強化。
  • 設置許可申請時に、処分場の設計の際に採用されたシナリオ選択の妥当性の証明。
  • Ÿ半地下式の地上施設の設計について、火災、洪水のリスクの詳細検討。
  • アクセス坑道及び地下施設の中央部分を構成する主要坑道に加え、地下施設内の連結坑道においても全断面掘削機を使用することについて、地下施設や設備に重大な欠陥を生じさせるような影響がないかを確認するために必要な調査等の特定。

さらに、ASNは、地層処分場は約100年をかけて徐々に開発されていくことから、新たなユニットの建設・操業が既存のユニットに与える影響や、時間の経過とともに得られる新たな知見や技術等によって、設置許可申請時に想定した当初の設計を見直す可能性があること等を考慮すべきと指摘している。

 

【出典】

フランスにおける地層処分場の設置に関する公開討論会に関して、公開討論国家委員会(CNDP)は2013年7月3日の会合において、Cigéo1 プロジェクトに対するフランス国民からの意見等の収集・対応の状況について現状確認し、今後の「公開討論」の強化策を決定した。CNDPは公開討論の期間を当初の計画から2カ月延長(2013年12月15日まで)した上で、従来の公開討論会と並行して、次の3つの新たな方法を採用するとしている。

  1. Cigéoプロジェクトの実施地点の近傍の公衆の意見が国レベルまで届くようにするため、比較的小さい行政単位で地元会合をもつ。この会合には、自治体の代表者の参加を想定する。各会合の開催形式は地域の状況に合わせて、対面形式(住民参加の公開会合、あるいはより小規模な会合)またはホットラインでの会合とする。ムーズ県とオート=マルヌ県で地元会合を数十回程度開催する見込みであり、7月前半から順次開始していく。
  2. インターネット会議異なる意見による討論シリーズを定期的に開催する。双方向性を生かし、国民からの質問や意見に対して、ANDRAや国内外の専門家が直接オンラインで答える形式の会議である。最初の「異なる意見による討論」会議は「様々な放射性廃棄物」と題して、7月11日の現地時間の19時から公開討論会のウェブサイト上で生中継する予定である。また、この会議には専門家の立場から、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)のBenjamin Dessus氏が参加するほか、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)の委員長クロード・ベルネ氏が司会を務めることとなっている。
  3. 公開討論の締め括りとして、市民会議を開催する。この会議の参加者はムーズ県及びオート=マルヌ県の住民から人口比率に応じた割合で統計的に選抜し、説明を受けた上で意見を発表してもらう形式である。

CNDPは、これらの新たな方法に関する詳細をムーズ県及びオート=マルヌ県の約18万世帯に送付する予定としている。

また、CNDPは2013年7月3日付けプレスリリースにおいて、公開討論会への関心・期待に関する世論調査結果を公表した。この調査は、CNDPがフランスの世論調査会社(TNS sofresd社)に委託して実施したものであり、ムーズ県及びオート=マルヌ県の住民を対象に2013年6月14、15日に電話調査が行われた。5月23日にビュールで開催された公開討論会が反対派の妨害により中止に追い込まれた以降に行われた世論調査である。「Cigéoプロジェクトに反対意見の人は、公開討論会に参加すべきか」との設問がなされ、2つの県の住民の83%が参加すべきとする回答を寄せたとしている。

【出典】

 

【2013年09月10日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年9月6日付のプレスリリースにおいて、今後開催するインターネット会議「異なる意見による討論」シリーズの開催日程と討論テーマを公表した。2013年7月11日に開催された第1回目の討論を含めて全9回の開催を予定している。第2回から第8回までの開催日と討論テーマは下表の通りとしている。なお、締め括りとなる第9回の開催日は未定である。討論の模様(90分を予定)はCNDP特設ウェブサイトwww.debatpublic-cigeo.orgにおいて生中継され、インターネット経由で質問・意見を受け付け、専門家が回答する双方向の会議である。

インターネット会議「異なる意見による討論」シリーズの開催日程(実績・予定)
日時 討論テーマ
1 2013年 7月11日 様々な放射性廃棄物
2 2013年 9月18日 処分方策(地層処分、中間貯蔵、核種分離・変換)
3 2013年 9月23日 諸外国との比較(スウェーデン、フィンランド、米国、カナダ及びドイツ)
4 2013年10月 9日 予防原則と可逆性
5 2013年10月16日 処分場作業員、地元住民及び環境に対するリスクと安全面
6 2013年10月23日 廃棄物の輸送
7 2013年10月30日 地元地域の将来の動態予測(人口、雇用、教育及び商業)と地元開発
8 2013年11月13日 プロジェクトのコストと資金調達
9 未定 締め括り

【出典】

 

【2013年11月12日追記】

フランスの地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)は、2013年11月8日付プレスリリースにおいて、公開討論会の進捗と今後のスケジュールに関する情報を公開した。今後、公開討論会の2カ月延長した期間終了までに(2013年12月15日)、インターネット上での議論「異なる意見による討論」を2回開催する予定としている。今回の公開討論会では、会場に参集して意見表明する形態に代えて、インターネットを利用した双方向の意見表明の実現を目指している。この新たな取り組みにより、6,000人以上が議論に参加していること、またソーシャルネットワーク上にて1,000人程度が意見表明をしていることから、CNDPは国民一般への情報提供と意見表明機会の提供という公開討論会の目的は、これまでのところ尊重されているとの見解を示している。

公開討論会の終了後のスケジュールについて、議事録、総括報告書が取りまとめられた後、今回の公開討論会の開催を公開討論国家委員会(CNDP)に付託した放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が地層処分プロジェクトへの反映内容を決定する予定である。同プレスリリースによれば、公開討論会の終了後、以下のようなスケジュールが想定されている。

  • 2013年12月15日:公開討論会の終了
  • 2014年2月15日:CPDPが公開討論会の議事録を取りまとめ、公開討論国家委員会(CNDP)が公開討論会の総括報告書を取りまとめ

なお、公開討論会に関する環境法典2 の規定に基づき、ANDRAは公開討論会の終了後も、プロジェクトの進捗に関する情報提供を公衆に対して継続しなければならない。同プレスリリースでは、ANDRAによる情報提供は4~5年間、あるいはそれ以上の期間にわたるとの見通しが示されている。

 

【出典】

  • 環境法典1

【2013年12月18日追記】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2013年12月17日付のプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会に係る意見交換の段階が終了したことを公表した。

ANDRAは、2013年12月15日までのインターネットを通じた意見交換において、公開討論会専用のウェブサイトを通じて、国民、環境保護団体、労働組合、地方自治体、国際機関などから、多くの見解、質問、資料等が寄せられたとしている3 。また、インターネットを通じて実施された合計9回の「異なる意見による討論」シリーズにおいても、地層処分プロジェクトに関する主要なテーマについて、深掘りした議論を行うことができたとしている。なお、最終回となる第9回の異なる意見による討論は、2013年11月20日に、ガバナンスを討論テーマとして実施された。

ANDRAは2013年7月3日に導入された公開討論会の強化策のうち、市民会議については、2013年12月14日及び15日における開催を皮切りに現在開催中であるとしている。市民会議の結果は2014年2月初旬に示される予定であり、その結果は公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)が作成する公開討論会の議事録及び公開討論国家委員会(CNDP)が取りまとめる公開討論会の総括報告書に盛り込まれることになる。総括報告書等は、2014年2月15日頃に公開される予定としている。

 

【出典】

  • ANDRA情報

  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”と称される。 []
  2. 公開討論会終了後の情報提供の継続については、2010年7月12日の環境グルネル第2法による改正により、環境法典に追加された内容である。 []
  3. ANDRAから得られた情報によれば、公開討論会専用ウェブサイトには、期間中に7万を超える接続があり、767件の質問、391件の意見表明がなされた。 []

フランスにおける地層処分場の設置に関する公開討論会に関して、公開討論国家委員会(CNDP)は2013年5月28日付のプレスリリースにおいて、公開討論会に国民の意見を取り入れる新たな枠組みを構築するため、円卓会議を開催することを公表した。

公開討論会には、これまでに約200に上る意見と質問が集められており、また12冊の関係者の手記が寄せられている。これらは公開討論会後にその経過と併せて編集される予定である。しかし、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)の委員長であるクロード・ベルネ氏は、公開討論の原則である国民からの意見の取り入れの機会が現状の実施方法では担保されないと危惧し、今回新たに国民の意見を取り入れる方法を検討するため、円卓会議の開催を決定した。

2013年5月28日付のプレスリリースにおいて、円卓会議の開催に関して示されている事項は以下のとおりである。CNDPは、この円卓会議によって提案される、新たな国民との意見収集方法により、先の5月23日の公開討論会の中止によって国民の議論参加が損なわれた事態を回避することを期待している。

  • Cigéoプロジェクト1 が行われている2つの県(ムーズ及びオート=マルヌ県)に関係する者として、国会議員、政治家、社会運動団体の指導者、労働組合、関係機関、国の代表等によって構成
  • インターネット上に国民の意見を受け入れる場を設置
  • これまでの議論に加え、より意見を取り入れる方法を議論。
  • 国民が直接意見を述べることができる手法を検討。

 

なお、同プレスリリース中においてCNDPは、別途行われているエネルギー政策の転換に関する公開討論会に関して、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、フランス電力株式会社(EDF)及びAREVAに対し、早急に、将来の電力エネルギーミックス変化によってどのような影響を地層処分プロジェクトであるCigéoプロジェクトに与えるかについて、想定されている4つのシナリオに対する見解を提示することを求めている。その際、ASNより2013年5月22日に発行されたプレスリリースを各事業者に示し、根拠としている。

【出典】

 

【2013年6月5日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年5月31日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会のための円卓会議を2013年6月6日に開催することを公表した。

プレスリリースによると、円卓会議では、今後の公開討論会の改善を目的とし、意見表明の時間配分の優先順位、様々な専門家の活用、国民への効果的な情報伝達の手段などが検討される。なお、円卓会議は、公開討論会の代替とすることを意図していないとしている。

また、次回の公開討論会は、当初の予定どおり、2013年6月13日にバール=ル=デュックにおいて開催することも併せて公表した。

【出典】

【2013年6月7日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年6月6日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会について、国民の意見を取り入れる新たな枠組みを構築するための円卓会議をバール=ル=デュックで2013年6月6日に開催し、改善のための提案を取りまとめたことを公表した。

円卓会議には、議員・政治家、商工会議所など関連団体、労働組合、関係機関及び国の代表者などからなる30名余りが参加した。参加した議員らは、2013年5月23日にビュールで行われた公開討論会が反対団体の妨害により中止され、国民による情報の入手機会が失われたことに遺憾の意を示した。その一方で、こうした反対団体の「発言の自由」自体は保障されるべきであり、国民への情報の確実な伝達を両立させることが今後の公開討論会の課題であるとの認識を示した。

今後開催される一連の公開討論会でのテーマについては、開催スケジュールを変更せず十分に議論できることをCNDPは再確認したとしている。また、CNDPは、円卓会議で表明された意見を踏まえて、公開討論会の改善を目的とした以下のような提案をまとめた。これらの提案は、公開討論会のみならず、Cigéoプロジェクトで影響を受ける地域で開催される各種の会議などにも適用することを念頭においたものとしている。

  • インターネット技術を活用する。公開討論会の模様をインターネットで同時配信し、それを通じて公開討論会や市民フォーラムの場で意見表明できるように工夫できるかを検討する。
  • 公開討論会に参加する国民への情報提供を確実にするため、討論に際しては始めに全体に対して講演を行う。

  • 議論の公平性を担保するため、ステークホルダーの意見を全て聞き取り、また見解の異なる専門家を議論に参加させる。

また、CNDPはプレスリリースにおいて、次回の公開討論会(バール=ル=デュックで開催)の日程を2013年6月13日から2013年6月17日に変更したことを告知している。

【出典】

【2013年6月19日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の2013年6月18日付のプレスリリースによれば、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)は、2013年6月17日にバール=ル=デュックで公開討論会を開催したが、反対派の抗議活動により途中で中止とした。第1回の公開討論会(2013年5月23日、ビュール)と同様に、第2回の公開討論会も中止に追い込まれた。

今回の公開討論会においてCPDPは、Cigéoプロジェクトに反対する個人・団体及び中立的な立場の専門家が意見を述べる機会を多く設けるよう配慮した。しかし、反対派の抗議活動は収まらず、今回も公開討論会を円滑に進行できないと判断し、開始後約30分程度で公開討論会を打ち切った。

なお、ANDRAから得られた情報によると、2013年6月20日にナンシーで開催が予定されていた次回の公開討論会も延期になった模様である。

【出典】

【2013年6月28日追記】

2013年6月25日、公開討論国家委員会(CNDP)は、Cigéoプロジェクトの公開討論会ウェブサイトにおいて、開催予定であった第6回から第8回までの公開討論会の中止を公表した。今後の公開討論会の開催についてCNDPは、2013年7月3日に新たな開催計画を発表する予定としている。

なお、今回中止となった公開討論会(当初の開催予定日)は以下の通り。第6回 ラ・アーグ(2013年6月27日)、第7回リーニュ=サン=バロイ(2013年7月4日)、第8回ショーモン(2013年7月11日)

【出典】

 


  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”と称される。 []

フランスにおいて、放射性廃棄物等の管理に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)の第6回評価報告書が、2012年12月にCNEのウェブサイトで公開された。

2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づき、CNEは放射性廃棄物等管理に関する取組や調査研究等の進捗状況に関する評価を毎年行うこととなっており、評価結果を取りまとめた報告書は議会に提出されることとなっている。なお、前回の第5回報告書は、2011年11月に公表されている

今回取りまとめられた第6回評価報告書の冒頭では、地層処分に携わる国内外の関係機関から20年以上にわたってヒアリング等を実施してきたCNEの経験に基づき、CNEは2012年段階における地層処分プロジェクトに関する進捗について次のような見解を示している。

  • ガラス(高レベル放射性廃棄物が混合されるガラス固化体)と深地層の粘土は、放射性物質を数十万年間にわたって閉じ込める有効なバリアである。
  • 地層処分研究のために選定されたムーズ/オ-ト=マルヌ県のサイトが有する粘土層は、深度500メートルの地下に130メートル以上の層厚がある。この粘土層は、少なくとも1億年間にわたって安定した状態にある、地下水流が非常に小さい、保持能力が高いといった、放射性物質の閉じ込めに関する卓越した性能を示している。
  • 処分孔、坑道、地下空間、換気施設あるいは埋め戻しといった処分実施における構築物の設計や、操業時及び閉鎖後の安全確保のための方法論や手順の開発に関する研究が現在も進められている。2006年の放射性廃棄物等管理計画法が定めた地層処分事業の実用化(調査研究段階から産業プロジェクト段階への移行)の観点から、この研究は十分に進捗している。地層処分事業の各段階で必要とされる事業展開技術及び革新的・工学的技術を伴うこの実用化作業は、注意深くフォローされなければならず、2015年に予定される設置許可申請に対する審査は重要なマイルストーンとなる。

上記の見解に加えて、第6回評価報告書の「要約と結論」では、CNEは地層処分事業に関して、地層処分事業に係る費用の詳細情報の提示を要請するとともに、次のような技術的な評価の結果を示している。

  • 高レベル放射性廃棄物の処分孔と埋め戻しの設計については、地層処分の可逆性確保(地下の空洞等が直ぐに埋め戻されない期間が存在する)の観点から、その期間における岩盤の遅延挙動に関する不確実性を考慮しなければならない(地下空洞の掘削等から時間を経て現れる可能性のある岩盤の変形挙動等に関する不確実性)。そのため、遅延挙動のメカニズムを解明するために実施されている測定試験等の総括を速やかに実施し、確実な予測を可能とする熱・水・応力に関する連成モデルを構築するよう勧告する。
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は地層処分場を段階的に建設する計画である。第一段階で建設される地下の施設は、第一段階で処分される放射性廃棄物を受け入れるために必要な施設となる。2015年に予定されている地層処分場の設置許可申請書の審査において、CNEは本報告で提起した疑問に対して十分な回答が示されているかを検証する方針であり、仮に回答が十分でないと判断されれば、設置許可の発給を延期するよう勧告する可能性もある。
  • 地層処分場の設計において考慮される廃棄物パッケージのインベントリ・モデルは、ANDRAと廃棄物発生者との協働で開発された。2006年の放射性廃棄物等管理計画法に従えば、使用済燃料の直接処分は想定されていないため(一部の重水炉を除く)、使用済燃料は廃棄物パッケージのインベントリには含まれていない。もし将来的に直接処分されることとなる場合には、使用済燃料を冷却するための中間貯蔵が必要となり、また、地層処分の設置許可の変更申請及びそれに必要な公衆意見聴取が実施されることとなる。
  • アスファルト固化体を除き、第一段階での処分が想定される廃棄物パッケージに関する知見は十分なレベルに達している。アスファルト固化体については、特に火災発生時といった短期的な挙動に関する不確実性を考慮して、地層処分事業の第一段階ではこれらの処分を行わないよう勧告する。最終判断に向けて、第一段階で処分される廃棄物パッケージ等について、より厳しい条件での挙動に関する安全性の評価を含めた実規模での実証試験の結果を2014年末までにCNEに提出するよう要請する。仮に実証試験の結果が十分なものではないと判断される場合には、アスファルト固化体の処理方法の検討を勧告する可能性がある。

【出典】

 

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2012年10月10日付のプレスリリースにおいて、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)に地層処分場の設置に関する公開討論会1 を開催することを10月9日に付託したことを公表した。CNDPは今後数週間のうちに同付託への回答として、CNDPによる公開討論会の開催の可否やその開催時期等についての決定を行うとANDRAは想定している。 放射性廃棄物等管理計画法の第12条は、2015年迄に予定される地層処分場の設置許可申請に先立って、公開討論会を開催することを定めている。付託を受けたCNDPは自身のホームページで、この公開討論会に関して次のような見通しを示している。

  • ムーズ県及びオート=マルヌ県(県境)における可逆性のある地層処分場の設置という点に焦点があてられる。
  • 地層処分場に関する設計、安全性ならびに可逆性に加え、事業の実施やモニタリングなど、地層処分を基本方針として事業化に向けたスケジュールを定めた2006年の放射性廃棄物等管理計画法の制定以降における進捗などを示す機会がANDRAに与えられる。

なお、ANDRAが公開している情報によれば、公開討論会の開催から地層処分場の操業開始までについて、次のようなスケジュールが想定されている。

  • 2013年:公開討論会の開催
  • 2015年:地層処分場の設置許可申請
  • 2016年:可逆性の条件を定める法律の制定
  • 2018年:デクレ(政令)による設置許可の発給
  • 2025年:地層処分場の操業開始

【出典】

 

【2012年10月18日追記】

大統領府及び環境・持続可能開発・エネルギー省は10月15日付のプレスリリースで、ANDRAからCNDPへの公開討論会の開催に関する10月9日の付託に先立つ9月28日に、原子力政策会議が開催されたことを公表した。プレスリリースによれば、同会議において、2006年の放射性廃棄物等管理計画法で規定され事業化スケジュールに沿って地層処分事業を進めること、2013年に計画されていた公開討論会を計画どおりに開催できるようにエネルギー担当大臣が支援すべきであること等が確認された。 2008年より設置されている原子力政策会議は、大統領によって主宰され、首相及び関係閣僚等が出席し、フランスの原子力政策の方針等について決定するものである。9月28日の会議では、地層処分事業に関する上記確認のほか、将来の原子力発電シェアの縮減に向けたフェッセンハイムの2基の原子力発電プラントの2016年末までの閉鎖方針なども確認された。なお、2012年5月に就任したオランド大統領は、現在約75%である原子力発電シェアを2025年までに50%に縮減する目標を掲げており、将来のエネルギー転換に関する全国規模の討論会を2012年11月から翌年4月にかけて開催し、その結果を踏まえた新たなエネルギー政策に関する法案を2013年6月頃に準備する方針である。

【出典】

【2012年11月9日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は11月8日付のプレスリリースで、公開討論国家委員会(CNDP)が地層処分場の設置に関する公開討論会を開催することを11月7日に決定したことを公表した。 プレスリリースによれば、CNDPは公開討論会の開催に加えて、公開討論会を主導する専門委員会を設置することを決定しており、今後、公開討論会の開催日程や開催方法の具体化に向けて、関係者との協議を行う予定である。

【出典】

 

【2012年12月10日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の12月6日付のプレスリリースによれば、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)が、次の6名の委員構成によって12月5日に設置された。

  • Ÿ クロード・ベルネ氏(委員長):サラン・デ・ランドの天然ガス貯蔵プロジェクト等、過去に幾つかのCPDPの委員長を務めた実績を持つ
  • Ÿ ジャン=クロード・アンドレ氏:国立科学研究センター(CNRS)の名誉研究部長、国立安全研究所(INRS)の元科学部長
  • Ÿ ギズレーヌ・エスキアーギュ氏:パリ・県設備部元事務局長、国立交通安全研究所(INTRETS)、空港騒音公害規制局(ACNUSA)等の元事務局長
  • Ÿ ブルーノ・ド・ラステリ氏:農業及び農村地域の技術的・経済的発展を専門とする農業技師2
  • Ÿ アリアヌ・ムテ氏:コミュニケーション戦略専門コンサルタント
  • バーバラ・レトリングスヘファー氏:国立農学研究所(INRA)で摂食行動を専門とする化学者・生物学者

【出典】

【2013年2月8日追記】

地層処分場の設置に関する公開討論会に関して、公開討論国家委員会(CNDP)は2月6日に次の決定を行った。

  • 公開討論会を、2013年5月15日~7月31日および9月1日~10月15日の期間に開催する。
  • 具体的な方法として、15回の公開討論会を開催するとともに、インターネットやメディアも活用する。

公開討論に資する情報としてANDRAがCNDPに既に提出していた資料について、CNDPは討論を進めるうえで十分な内容であると評価する一方で、討論に際しては、地層処分事業に係る費用の問題や原子力政策の変化に対する地層処分事業の適応性といった点について、より明確にするようANDRAに要求している。

【出典】

 

【2013年5月1日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年4月26日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置に関する公開討論会の開催日と開催場所の詳細を明らかにした。CNDPのプレスリリースによると、公開討論会は2013年5月から10月にかけて全14回開催する予定であり、うち8回については特定のテーマを設定している。なお、以前CNDPは2013年2月6日付けのプレスリリースにおいて、公開討論会の開催回数を全15回と公表していた(2013年2月8日付け追記参照)が、開催日・場所を具体化した今回の公表資料では全14回としている。

公開討論会のスケジュールは以下のとおりである。

開催日時 開催場所
5月23日 ビュール 開会式
5月30日 サン・ディジエール テーマ «地層処分場の立地»
6月6日 ジョアンヴィル
6月13日 バール=ル=デュック テーマ «地層処分場の立地»
6月20日 ナンシー テーマ «地層処分の可逆性»
6月27日 ラ・アーグ テーマ «原子力の将来シナリオと発生する放射性廃棄物»
7月4日 リーニュ=サン=バロイ
7月11日 ショーモン
9月5日 サン=ローラン=デ=ゾー テーマ «Cigéoプロジェクト3 と原子力発電について»
9月10日 ビュジェイ テーマ «Cigéoプロジェクトと原子力発電について»
9月19日 マルクール テーマ «管理フローについて: 核種分離・変換、貯蔵、処分»
9月23日 パリ テーマ «海外の事例について»
10月3日 コメルシー テーマ «コストと資金確保について»
10月10日 エシュネ 総括会議

 

公開討論会の開催場所 (CNDPプレスリリースより引用)

公開討論会の開催場所 (CNDPプレスリリースより引用)

【出典】

 

【2013年5月27日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2013年5月24日、公開討論会向けの特設ウェブサイトにおいて、フランスのビュールで2013年5月23日開催の公開討論会が中止となったことを明らかにした。

公開討論会の開始後の反対派の妨害のため、公開討論会の開始間もなく、地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)の委員長のクロード・ベルネ氏は、これ以上の討論の実施は不可能と判断して中止とした。

公開討論国家委員会(CNDP)は、5月24日付のプレスリリースにおいて、公開討論会への住民の参加が阻害されたことに対する遺憾の意を表明した。また、討議の機会の提供及び情報の周知については、公開討論国家委員会(CNDP)のウェブサイトで継続することを改めて周知した。

【出典】

【2013年5月30日追記】

公開討論国家委員会(CNDP)は、2013年5月28日付けのプレスリリースにおいて、5月30日(場所:サン・ディジエール)及び6月5日(場所:ジョアンヴィル)に開催予定であった、地層処分場の設置に関する公開討論会の延期を告知した。

延期の理由としてCNDPは、2013年5月23日の公開討論会が反対団体による妨害によって中止に追い込まれたことを受け、国民の意見を公開討論に取り入れる新たな方法を検討するための時間を設けるとしている。当面の予定として、国会議員や関連団体代表からなる円卓会議を招集して早急に検討を開始するとともに、インターネットを通じて国民からも意見を求めるとしている。

【出典】

 

 


  1. 〔仏語〕Le débat public sur le projet de création d’un centre de stockage réversible profond de déchets radioactifs en Meuse/Haute-Mame []
  2. 農業技師とは、フランス国立高等農業学校等を卒業した者に与えられる資格。 []
  3. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []

フランスの環境・持続可能開発・エネルギー省は7月25日付プレスリリースで、国家委員会(※)が放射性廃棄物管理費用等に係る資金確保の適切性などに関する評価報告書を国会(議会)等に提出したことを公表した。
※法律で示される国家委員会の名称は「原子力基本施設の廃止措置費用ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理費用に係る資金確保の評価に関する国家委員会」であり、以下「資金評価国家委員会(CNEF)」と称す。

2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法の第20条1 は、原子力基本施設の操業者(事業者)に、施設の廃止措置ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理に係る費用の評価とその資金の確保(引当金の準備と引当金を保証する排他的な資産としての割当)を要求している。さらに、このような事業者による費用評価に対する資金確保及び管理状況の適切性等を評価する組織として、資金評価国家委員会(CNEF)の設置を規定している。同法の規定により、CNEFは評価結果を取りまとめた報告書を3年ごとに作成し、国会及び原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)に提出しなければならない。

資金評価国家委員会(CNEF)が今回取りまとめた報告書はCNEF設置後の第1回目のものであり、2011年9月から2012年6月にかけて開催された10回の会合をとおして行われた評価の結果が取りまとめられている。別途、会計検査院が放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関して2012年1月に取りまとめた報告書でも提言されたように、CNEFは今回の報告書において、資金確保の評価における特に次のような不確実性に関する詳細な検討の必要性を指摘している。

  • 将来の地層処分場の費用
  • 資金確保の評価のために採用した割引率(上記将来費用の現在価値への換算)

なお、資金評価国家委員会(CNEF)は、その任務の遂行に際して会計検査院に支援を要請できることが放射性廃棄物等管理計画法で規定されている。今回のCNEFの取組は放射性廃棄物等管理計画法の枠組みの下で行われたものであるが、上記の会計検査院による2012年1月の報告書の取りまとめは、フランスのエネルギー政策の検討の一環として首相要請により実施されたものであり、両者の取組の背景は異なるものとなっている。

【出典】


  1. 同条の一部は環境法典に再編されている。事業者による資金確保については環境法典L594-1~10条に、CNEFについてはL594-11~13条に規定されている。 []

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が国家放射性廃棄物インベントリレポートの2012年版を、7月11日付で自身のウェブサイトで公開した。ANDRAは3年毎にインベントリレポートを改訂することが法律で規定されており、前回のレポートは2009年に策定されていた

今回公開された国家放射性廃棄物インベントリレポートは、次の4つのレポートで構成されており、ANDRAのホームページからダウンロードが可能となっている。

  • 要約版
  • 総論レポート
  • 廃棄物分類別インベントリ(廃棄物の特性分類別のインベントリ情報を整理)
  • 地域別インベントリ(地域別のインベントリ情報を整理)

※現在公開されているものは、いずれもフランス語のみ。

ANDRAのプレスリリースによれば、2010年末段階でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約132万m3であり、2007年末段階のインベントリを整理した3年前のレポートから17万m3増加している。また、前回のレポートからの主な動向として以下を挙げている

  • 一部の長寿命中レベル放射性廃棄物の処理の最適化によって、廃棄物量が減少した。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の特性評価の結果、一部が長寿命低レベル放射性廃棄物に再分類され、長寿命中レベル放射性廃棄物の量が減少した。
  • 原子力施設の廃止措置に関する要件強化により、極低レベル放射性廃棄物の量が増加した。

上記の物量データは調整後の1次廃棄物パッケージとしての等価量である。なお、インベントリレポートでは、次のような幾つかの歴史的廃棄物が除外されており、現在その管理方法等の調査研究が進められている。

  • ウラン鉱滓残渣:国内20のウラン鉱山で原位置保管されている長寿命ではあるが極低レベルの放射性廃棄物。
  • ANDRAの管理下にない処分場で処分された廃棄物:国内約50の一般廃棄物処分場や鉱山で処分された長寿命ではあるが極低レベルの放射性廃棄物
  • 海洋投棄廃棄物:1967年及び1969年に大西洋に海洋投棄された14,200トンの廃棄物、及び1967~1982年の間に太平洋に海洋投棄された3,200トンの廃棄物

【出典】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト http://www.andra.fr

フランス会計検査院(CDC)は2012年1月31日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関する報告書を首相に提出したことを公表し、同報告書をウェブで公開した。報告書は全ての放射性廃棄物に係る今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している。

首相は2011年5月17日付の会計検査院に対する書簡において、原子力発電事業に係る費用の検証を要請していた。同報告書は、会計検査院が同要請に基づき検証を行った結果を取りまとめたものであり、過去の原子力発電所の建設投資費用や現在の運転費用に加えて、廃止措置や放射性廃棄物管理等のために将来発生する費用についても検証されている。

報告書によれば、会計検査院は地層処分事業の費用を含む全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している1。但し、地層処分事業に係る費用の詳細は最終的に決定されていないため、この試算額は不確定であるとしている。また、地層処分事業の費用に関連する事項として、会計検査院は報告書において次のような評価結果を示している。

  • 試算値の一部である地層処分事業の費用は2005年の見積額である165億ユーロに基づいているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)はこの見積額を2009年に見直し、360億ユーロに上方修正している。正式な見積額は省令によって2015年までに決定されるべきである。
  • 使用済みの混合酸化物燃料(MOX)及び濃縮回収ウラン燃料(URE)については、現状では再処理が実施されていないため、フランス電力株式会社(EDF)はこれらの使用済燃料を高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物と同様に地層処分対象の廃棄物であるとみなし、その長期管理のための引当金を計上している。この方法論自体は適切であるが、引当金が正確に計上されていることを証明する必要がある。また、これらの使用済燃料を直接処分するという仮定についても現実的に検討すべきである。

これらの評価結果を踏まえて、会計検査院は放射性廃棄物の長期管理について次の2つの提言を行っている。

  • 地層処分事業の費用について、可及的速やかに新たな見積額を算定することが望ましい。算定にあたっては、地層処分場の安全性に関する見解を示すことができる唯一の機関である原子力安全機関(ASN)の決定を順守すべきである。
  • 地層処分事業の費用に関する新たな見積額を決定する枠組みで、使用済みのMOX燃料及びURE燃料を直接処分した場合の費用についても試算されるべきである。これらの使用済燃料を直接処分するという仮定については、処分場の設計作業においても考慮されるべきである。

上記の会計検査院の報告を受けて、経済・財務・産業大臣付産業・エネルギー・デジタル経済担当大臣は2012年1月31日付のプレスリリースにおいて、地層処分事業の費用については2012年末までに費用の算定作業が終了する予定であることを示している。

【出典】


  1. 地層処分に加えて、低・中レベル放射性廃棄物の浅地中処分、極低レベル放射性廃棄物の浅地中処分、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分、更には未だに処理されていない歴史的廃棄物の処理・調整などに係る全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用としての試算 []

2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づき、CNEは放射性廃棄物等管理に関する取り組みや調査研究等の進捗状況の評価を毎年行い、評価結果を取りまとめた報告書は議会に提出されることとなっている。2007年6月に第1回評価報告書 を取りまとめて以降、CNEは毎年報告書を取りまとめており、今回の報告は第5回目となる。なお、前回の第4回報告書は、2010年6月に公表されている

CNEが取りまとめた今回の第5回報告書の「要約と結論」によれば、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分事業1 に関して次のような動向や評価結果が示されている。

  • 2010年9月にANDRAは、地層処分事業の事業化段階における実施体制と戦略を提示した一方で、地層処分事業に係る費用の増加を費用見積として示した。これをうけて、廃棄物発生者であるフランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、費用削減の可能性のある処分場の代替設計オプションを提案した(2010年11月にANDRAに提示)。
  • 上記の廃棄物発生者が提示した代替設計オプションの個々の技術的要素には、今後検討すべき要素も含まれるが、技術的・経済的条件と両立可能な形で放射線影響を最小限に抑えるという最重要目的を達成するためには、CNEは現行のANDRAの計画が廃棄物発生者の提案よりも優れていると判断する。
  • ANDRAはエネルギー・気候変動総局(DGEC)の要請に基づいて、廃棄物発生者の提案について検討するために、2011年4月に地層処分事業に関するレビューチームを設置した。ここでのレビューの目的は、地層処分事業を支援するコントラクターを決定する前に、地層処分事業の産業プロジェクトとしての頑健性に関する見解を示し、地層処分場の仕様及び技術面・経済面で探求されるべき最適化の方法を特定することである。レビューの結果を受けて、ANDRAは同年10月に、地層処分場の設計概念と技術仕様のレファレンス(参照仕様)となる“地層処分事業の要件”をCNEに提示した。
  • 上記のレビューの後に、ANDRAは地層処分事業を支援するコントラクター決定のための入札手続きを進めている。CNE自身に、その入札仕様等を詳細に分析する時間が無かったが、ANDRAが入札に際して地層処分場の明確な概念を示すことなく、処分場の詳細な概念や費用試算の最終化等を外部機関に委託してしまうことをCNEは懸念している。CNEはANDRAに対して、法律で定められた責任を果たすよう要請する2
  • CNEは更に、廃棄物発生者(EDF、AREVA社、CEA)が、原子力施設、地下施設、並びに、関連するリスク管理等の分野における長年の開発実績に基づく専門性を有することにも着目し、ANDRAが地層処分事業の実施に特権的役割を有するものの、事業期間中の各種プロセスをとおして、これら廃棄物発生者が効果的に関与していくことを提案する。
  • CNEは、公開討論会で利用される地層処分事業の基本要素を示す概要書が12ヶ月以内に公表されることを要請する。地層処分事業の基本要素には、処分概要、可逆性の条件、地上施設の概要、坑道・斜坑、処分対象廃棄物のインベントリ、費用見積等が含まれる。

第5回評価報告書における地層処分事業に関する調査研究の進捗状況やCNEの評価結果の詳細は同報告書の第2章で扱われており、以下のような項目立てで展開されている。

  • インベントリ
  • ZIRA(処分場の設置に向けて2009年12月にANDRAが政府に提案し、詳細な調査が実施されている区域
  • ZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)
  • 処分事業の進捗
  • 研究活動(熱力学研究及び土質力学研究、地下研究所における研究)
  • 可逆性
  • 地層処分サイトの記憶

同章の中でCNEは、次のような評価結果を示している。

  • CNEはANDRAが地下研究所で行っている様々な調査研究を高く評価しており、2013年までにさらに多くのデータが取得できると期待している。また、CNEは実規模での処分孔掘削試験を継続する重要性を強調しており、更に、高レベル放射性廃棄物の処分孔の大きさを特定するために今後実施される試験が、廃棄物パッケージの回収可能性を評価するうえでも重要であると考えている。
  • CNEは2013年の公開討論で提案されるZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)の選定の妥当性をCNE自身が評価するために、ANDRAが実施した調査について公開討論の開催前に把握できることを望む。なお、地元代議士やその他のステークホルダーとの協議が、ZIIS選定に際して重要な判断材料になるとしても、選定に際しては、地理、地質、並びに環境的な制約等に関する客観的な調査結果に基づくべきである。

なおCNEは、地層処分に関する上記第2章の冒頭において、福島第一原子力発電所の事故によって、特に、貯蔵プールを含む地上貯蔵施設の脆弱性が明らかになったとして、廃棄物発生者が実施する個々のサイトでの貯蔵方法等に関する調査について、2012年にその調査結果の分析を行う予定であることも示している。

【出典】


  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []
  2. ANDRAは2012年1月4日、Gaiya社をコントラクターとして選定した。 []