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フランス

フランスの環境・持続可能開発・エネルギー省は7月25日付プレスリリースで、国家委員会(※)が放射性廃棄物管理費用等に係る資金確保の適切性などに関する評価報告書を国会(議会)等に提出したことを公表した。
※法律で示される国家委員会の名称は「原子力基本施設の廃止措置費用ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理費用に係る資金確保の評価に関する国家委員会」であり、以下「資金評価国家委員会(CNEF)」と称す。

2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法の第20条1 は、原子力基本施設の操業者(事業者)に、施設の廃止措置ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理に係る費用の評価とその資金の確保(引当金の準備と引当金を保証する排他的な資産としての割当)を要求している。さらに、このような事業者による費用評価に対する資金確保及び管理状況の適切性等を評価する組織として、資金評価国家委員会(CNEF)の設置を規定している。同法の規定により、CNEFは評価結果を取りまとめた報告書を3年ごとに作成し、国会及び原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)に提出しなければならない。

資金評価国家委員会(CNEF)が今回取りまとめた報告書はCNEF設置後の第1回目のものであり、2011年9月から2012年6月にかけて開催された10回の会合をとおして行われた評価の結果が取りまとめられている。別途、会計検査院が放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関して2012年1月に取りまとめた報告書でも提言されたように、CNEFは今回の報告書において、資金確保の評価における特に次のような不確実性に関する詳細な検討の必要性を指摘している。

  • 将来の地層処分場の費用
  • 資金確保の評価のために採用した割引率(上記将来費用の現在価値への換算)

なお、資金評価国家委員会(CNEF)は、その任務の遂行に際して会計検査院に支援を要請できることが放射性廃棄物等管理計画法で規定されている。今回のCNEFの取組は放射性廃棄物等管理計画法の枠組みの下で行われたものであるが、上記の会計検査院による2012年1月の報告書の取りまとめは、フランスのエネルギー政策の検討の一環として首相要請により実施されたものであり、両者の取組の背景は異なるものとなっている。

【出典】


  1. 同条の一部は環境法典に再編されている。事業者による資金確保については環境法典L594-1~10条に、CNEFについてはL594-11~13条に規定されている。 []

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が国家放射性廃棄物インベントリレポートの2012年版を、7月11日付で自身のウェブサイトで公開した。ANDRAは3年毎にインベントリレポートを改訂することが法律で規定されており、前回のレポートは2009年に策定されていた

今回公開された国家放射性廃棄物インベントリレポートは、次の4つのレポートで構成されており、ANDRAのホームページからダウンロードが可能となっている。

  • 要約版
  • 総論レポート
  • 廃棄物分類別インベントリ(廃棄物の特性分類別のインベントリ情報を整理)
  • 地域別インベントリ(地域別のインベントリ情報を整理)

※現在公開されているものは、いずれもフランス語のみ。

ANDRAのプレスリリースによれば、2010年末段階でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約132万m3であり、2007年末段階のインベントリを整理した3年前のレポートから17万m3増加している。また、前回のレポートからの主な動向として以下を挙げている

  • 一部の長寿命中レベル放射性廃棄物の処理の最適化によって、廃棄物量が減少した。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物の特性評価の結果、一部が長寿命低レベル放射性廃棄物に再分類され、長寿命中レベル放射性廃棄物の量が減少した。
  • 原子力施設の廃止措置に関する要件強化により、極低レベル放射性廃棄物の量が増加した。

上記の物量データは調整後の1次廃棄物パッケージとしての等価量である。なお、インベントリレポートでは、次のような幾つかの歴史的廃棄物が除外されており、現在その管理方法等の調査研究が進められている。

  • ウラン鉱滓残渣:国内20のウラン鉱山で原位置保管されている長寿命ではあるが極低レベルの放射性廃棄物。
  • ANDRAの管理下にない処分場で処分された廃棄物:国内約50の一般廃棄物処分場や鉱山で処分された長寿命ではあるが極低レベルの放射性廃棄物
  • 海洋投棄廃棄物:1967年及び1969年に大西洋に海洋投棄された14,200トンの廃棄物、及び1967~1982年の間に太平洋に海洋投棄された3,200トンの廃棄物

【出典】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト http://www.andra.fr

フランス会計検査院(CDC)は2012年1月31日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関する報告書を首相に提出したことを公表し、同報告書をウェブで公開した。報告書は全ての放射性廃棄物に係る今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している。

首相は2011年5月17日付の会計検査院に対する書簡において、原子力発電事業に係る費用の検証を要請していた。同報告書は、会計検査院が同要請に基づき検証を行った結果を取りまとめたものであり、過去の原子力発電所の建設投資費用や現在の運転費用に加えて、廃止措置や放射性廃棄物管理等のために将来発生する費用についても検証されている。

報告書によれば、会計検査院は地層処分事業の費用を含む全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している1。但し、地層処分事業に係る費用の詳細は最終的に決定されていないため、この試算額は不確定であるとしている。また、地層処分事業の費用に関連する事項として、会計検査院は報告書において次のような評価結果を示している。

  • 試算値の一部である地層処分事業の費用は2005年の見積額である165億ユーロに基づいているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)はこの見積額を2009年に見直し、360億ユーロに上方修正している。正式な見積額は省令によって2015年までに決定されるべきである。
  • 使用済みの混合酸化物燃料(MOX)及び濃縮回収ウラン燃料(URE)については、現状では再処理が実施されていないため、フランス電力株式会社(EDF)はこれらの使用済燃料を高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物と同様に地層処分対象の廃棄物であるとみなし、その長期管理のための引当金を計上している。この方法論自体は適切であるが、引当金が正確に計上されていることを証明する必要がある。また、これらの使用済燃料を直接処分するという仮定についても現実的に検討すべきである。

これらの評価結果を踏まえて、会計検査院は放射性廃棄物の長期管理について次の2つの提言を行っている。

  • 地層処分事業の費用について、可及的速やかに新たな見積額を算定することが望ましい。算定にあたっては、地層処分場の安全性に関する見解を示すことができる唯一の機関である原子力安全機関(ASN)の決定を順守すべきである。
  • 地層処分事業の費用に関する新たな見積額を決定する枠組みで、使用済みのMOX燃料及びURE燃料を直接処分した場合の費用についても試算されるべきである。これらの使用済燃料を直接処分するという仮定については、処分場の設計作業においても考慮されるべきである。

上記の会計検査院の報告を受けて、経済・財務・産業大臣付産業・エネルギー・デジタル経済担当大臣は2012年1月31日付のプレスリリースにおいて、地層処分事業の費用については2012年末までに費用の算定作業が終了する予定であることを示している。

【出典】


  1. 地層処分に加えて、低・中レベル放射性廃棄物の浅地中処分、極低レベル放射性廃棄物の浅地中処分、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分、更には未だに処理されていない歴史的廃棄物の処理・調整などに係る全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用としての試算 []

2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づき、CNEは放射性廃棄物等管理に関する取り組みや調査研究等の進捗状況の評価を毎年行い、評価結果を取りまとめた報告書は議会に提出されることとなっている。2007年6月に第1回評価報告書 を取りまとめて以降、CNEは毎年報告書を取りまとめており、今回の報告は第5回目となる。なお、前回の第4回報告書は、2010年6月に公表されている

CNEが取りまとめた今回の第5回報告書の「要約と結論」によれば、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分事業1 に関して次のような動向や評価結果が示されている。

  • 2010年9月にANDRAは、地層処分事業の事業化段階における実施体制と戦略を提示した一方で、地層処分事業に係る費用の増加を費用見積として示した。これをうけて、廃棄物発生者であるフランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、費用削減の可能性のある処分場の代替設計オプションを提案した(2010年11月にANDRAに提示)。
  • 上記の廃棄物発生者が提示した代替設計オプションの個々の技術的要素には、今後検討すべき要素も含まれるが、技術的・経済的条件と両立可能な形で放射線影響を最小限に抑えるという最重要目的を達成するためには、CNEは現行のANDRAの計画が廃棄物発生者の提案よりも優れていると判断する。
  • ANDRAはエネルギー・気候変動総局(DGEC)の要請に基づいて、廃棄物発生者の提案について検討するために、2011年4月に地層処分事業に関するレビューチームを設置した。ここでのレビューの目的は、地層処分事業を支援するコントラクターを決定する前に、地層処分事業の産業プロジェクトとしての頑健性に関する見解を示し、地層処分場の仕様及び技術面・経済面で探求されるべき最適化の方法を特定することである。レビューの結果を受けて、ANDRAは同年10月に、地層処分場の設計概念と技術仕様のレファレンス(参照仕様)となる“地層処分事業の要件”をCNEに提示した。
  • 上記のレビューの後に、ANDRAは地層処分事業を支援するコントラクター決定のための入札手続きを進めている。CNE自身に、その入札仕様等を詳細に分析する時間が無かったが、ANDRAが入札に際して地層処分場の明確な概念を示すことなく、処分場の詳細な概念や費用試算の最終化等を外部機関に委託してしまうことをCNEは懸念している。CNEはANDRAに対して、法律で定められた責任を果たすよう要請する2
  • CNEは更に、廃棄物発生者(EDF、AREVA社、CEA)が、原子力施設、地下施設、並びに、関連するリスク管理等の分野における長年の開発実績に基づく専門性を有することにも着目し、ANDRAが地層処分事業の実施に特権的役割を有するものの、事業期間中の各種プロセスをとおして、これら廃棄物発生者が効果的に関与していくことを提案する。
  • CNEは、公開討論会で利用される地層処分事業の基本要素を示す概要書が12ヶ月以内に公表されることを要請する。地層処分事業の基本要素には、処分概要、可逆性の条件、地上施設の概要、坑道・斜坑、処分対象廃棄物のインベントリ、費用見積等が含まれる。

第5回評価報告書における地層処分事業に関する調査研究の進捗状況やCNEの評価結果の詳細は同報告書の第2章で扱われており、以下のような項目立てで展開されている。

  • インベントリ
  • ZIRA(処分場の設置に向けて2009年12月にANDRAが政府に提案し、詳細な調査が実施されている区域
  • ZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)
  • 処分事業の進捗
  • 研究活動(熱力学研究及び土質力学研究、地下研究所における研究)
  • 可逆性
  • 地層処分サイトの記憶

同章の中でCNEは、次のような評価結果を示している。

  • CNEはANDRAが地下研究所で行っている様々な調査研究を高く評価しており、2013年までにさらに多くのデータが取得できると期待している。また、CNEは実規模での処分孔掘削試験を継続する重要性を強調しており、更に、高レベル放射性廃棄物の処分孔の大きさを特定するために今後実施される試験が、廃棄物パッケージの回収可能性を評価するうえでも重要であると考えている。
  • CNEは2013年の公開討論で提案されるZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)の選定の妥当性をCNE自身が評価するために、ANDRAが実施した調査について公開討論の開催前に把握できることを望む。なお、地元代議士やその他のステークホルダーとの協議が、ZIIS選定に際して重要な判断材料になるとしても、選定に際しては、地理、地質、並びに環境的な制約等に関する客観的な調査結果に基づくべきである。

なおCNEは、地層処分に関する上記第2章の冒頭において、福島第一原子力発電所の事故によって、特に、貯蔵プールを含む地上貯蔵施設の脆弱性が明らかになったとして、廃棄物発生者が実施する個々のサイトでの貯蔵方法等に関する調査について、2012年にその調査結果の分析を行う予定であることも示している。

【出典】


  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []
  2. ANDRAは2012年1月4日、Gaiya社をコントラクターとして選定した。 []

フランスの地層処分事業1 の実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2012年1月4日付プレスリリースで、同機関の地層処分事業を支援するコントラクターとして、エンジニアリング会社であるTechnip社及びIngérop社による合弁会社であるGaiya社を選定し、同日に契約を締結したことを公表した。

ANDRAと共に、2015年迄に予定される地層処分場の設置許可申請に向けた準備作業を行うコントラクターの選定手続き(入札手続き)は2011年5月に開始されており、選定されるコントラクターには、地層処分場の設計、地層処分事業の主導と実施、並びに、特に原子力及び地下工事の分野に関する専門性が要求される。また、今回選定される最初のコントラクターには、原子力関連施設及び一般施設としての地上施設や地下施設の分野における活動を担うサブ・コントラクターのコーディネーションといったプロジェクト設計者としての役割も要求される(サブ・コントラクターの選定は第2期の入札手続きとして2013年までに開始される予定である)。

今回締結されたGaiya社との契約期間は6年間であり、同契約によって地層処分事業は産業プロジェクトとして新たな段階に入り、地層処分場全体の設計の提案、全プロジェクト期間を通じた地層処分場の主要機能の特定、建設期間及び総費用の試算、更には、設置許可申請書類の作成に必要な技術的データの取得が行われる。

また、プレスリリースでは、上記と並行して2012年に行われる活動として、ANDRAが次のことを予定していることが示されている。

  • 廃棄物発生者である、フランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、並びに、原子力・代替エネルギー庁(CEA)と協力し、地層処分される廃棄物のインベントリを特定するとともに、これらの廃棄物の地層処分場への受入計画を立案する。
  • ムーズ県及びオート=マルヌ県の関係者と協力し、地層処分場の地上施設として可能性のあるオプションを特定する。
  • ムーズ県等が主導する、地層処分場受け入れに向けた開発準備に貢献する(電力系統の連係、都市計画、交通など、複数県に関わる地域計画等)

 
更に同リリースでは、当初予定したように、ANDRAがGaiya社の支援のもとで地層処分の事業草案の検討を行い、地層処分場の原子力分野、非原子力分野を担当する複数のサブ・コントラクターを選定するための入札手続きを2013年に開始するとしている。また、今後の予定として、次に示すイベントも示されている。

  • 2013年:地層処分事業に関する公開討論の実施
  • 2015年:設置許可申請に対する意見聴取等の手続きの開始
  • 2016年:可逆性の条件を定める法律の制定
  • 2025年:地層処分場の操業開始(許可申請の承認が前提)

 

【出典】


  1. フランス語の Centre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から、“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []
2006-2009 : quatre années de recherches scientifiques pour le stockage des déchets radioactifs

報告書表紙 courtesy ANDRA

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2010年6月25日付プレスリリースにおいて、2006年から2009年までに行われた放射性廃棄物処分の科学的な調査研究活動に関する報告書を公表した。ANDRAは4年間にわたる調査研究によって、放射性廃棄物管理研究法に基づき1991年から2005年にかけて実施された研究の成果 を確認するとともに、さらに精緻化することができたとしている。

2006年に策定された「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)及び同国家計画の施行令は、ANDRAが2009年末までに次の事項について政府に提案することを定めており、今回の報告書は、これらの一部を含めたこの4年間の調査研究活動を概要版として取りまとめたものである。

  • 処分場の建設に適した制限区域(30km2)の選定
  • 設計、操業安全及び長期安全、可逆性に関するオプション
  • 対象となる廃棄物のインベントリモデル
  • 処分場を補完する貯蔵施設のオプション

同プレスリリースによれば、公表された報告書は、ANDRAが行った放射性廃棄物処分に関する全ての調査研究分野をカバーしたものであり、廃棄物パッケージの物理的、化学的特性を踏まえた地質及び環境に関する研究や、大規模な空間的、時間的スケールでの数値シミュレーションに関する研究の成果が示されている。また、ANDRAは特に注目すべき事項として次のことを挙げている。

  • 地層処分場の設置が検討されているムーズ及びオート=マルヌの両県にわたる地域において、2007年から2008年にかけて実施されたボーリング調査 により、詳細な地質環境の把握が行われた。この調査結果に基づきANDRAは、今後詳細な地下の調査を行う30km2の区域(ZIRA)1 を2009年末に政府に提案し、2010年5月から同区域を対象とした3次元地震探査が実施されている
  • 地層処分場の地下人工構築物の状態や複雑な相互作用を再現することができる実験装置が開発された。同装置を用いた鉄、ガラス、粘土の相互作用に関する実験結果に基づき、高レベル放射性廃棄物の処分環境における鉄の腐食速度やガラスの劣化速度をより正確に評価することが可能となる。更に、この実験結果は、鉄の腐食に伴う水素の発生と移行に関するプロセスのモデリングに必要となる入力データを提供する。これらの実験から得られる知見は、地層処分場設計の最適化や(特に材料構成)、関連するインフラ施設の規模決定の際に考慮される。
  • 処分場開発における可逆性を担保すべき期間、更には、処分場の最終閉鎖後の数千年の期間に起こりうる、水、熱、応力及び化学に関する現象のより良い理解が得られた。
  • ビュール地下研究所において2005年から2009年にかけて実施された拡散実験等により、カロボ・オックスフォーディアン粘土層における放射性核種の移行速度に関する詳細な評価が可能となった。
  • 処分環境における、酸化還元条件、酸性度及び温度の影響を受ける化学的要素に関する挙動パラメータを整備した熱力学データベースの改善が継続的に行われている。
  • 性能評価の信頼性向上に資するソフトウェア等の改善が行われている。
  • 地層処分の可逆性概念を確立するために、2008年より社会科学分野における研究活動が進められている。

【出典】


  1. Zone d’Intérêt pour la Reconnaissance Approfondie []

国家評価委員会(CNE)がフランスにおける放射性廃棄物等の管理に関する調査研究の進捗状況等の評価について取りまとめた第4回報告書が、2010年6月16日に行われた議会科学技術選択評価委員会(OPECST)によるCNEへのヒアリングを経て公表された。

2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法 の規定により、CNEが同評価を毎年行い、取りまとめられた報告書は議会に提出される。議会は同報告内容の審議をOPECSTに付託し、OPECSTによる審議の後に、同報告書は公表されることとなっている。2007年6月に第1回評価報告書 を取りまとめて以降、CNEは毎年報告書を取りまとめており、今回の報告は第4回目となる。なお、前回の第3回報告書は、2009年6月に公表されている。

CNEが取りまとめた第4回報告書の「要約と結論」によれば、地層処分に関して次のような評価結果が示されており、OPECSTはCNEへのヒアリングの翌17日のプレスリリースにおいて、本評価報告により、地層処分や核種分離・変換に関する研究の進捗状況を確認することができたとして、CNEの活動を評価する旨を伝えている。

  • 放射性廃棄物の国家インベントリ策定の取組により 、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による地層処分場設計で考慮されるべき地層処分対象となる放射性廃棄物量の予測が可能となっている。これらの統計情報等に基づきANDRAは、処分場設計における規模について、その裕度の妥当性を示すことが要求される。
  • 地層処分場の設置に向けた詳細な地下の調査を行う区域(ZIRA)1 の決定 に関して、ANDRAから政府に提出された報告書は、科学的な質の高さ、及び将来の処分場設置における地質学的基準の点で、十分に満足なものであった。
  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層における長期拡散実験により、放射性核種の封じ込めに関する同粘土層の優れた特性が確認された。一方で、人工構築物の経時的変化および処分の可逆性に対する安全性への影響を予測するうえで必要不可欠となる、同粘土層の熱水力学的挙動に関する有効なモデルの構築が必要とされる。
  • 2009年以降、ビュール地下研究所に隣接して設置された技術センターでの活動により 、処分技術に関する研究成果が得られているが、中レベル放射性廃棄物パッケージの多様性も念頭に、処分孔の幾何形状とこれらの廃棄物パッケージに関する更なる標準化が望まれる。
  • 可逆性のある地層処分場の設計オプションの開発がANDRAにより実施されているが、長期的な受動的安全を確保するために、処分場が最終的に密閉されるという処分場本来の目的を再認識する必要がある。処分場の開放期間の長期化により、シーリング材の密閉効果に悪影響が生じるようなことがあってはならない。
  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層の封じ込めに関する研究により、その優れた性能が徐々に確認される一方で、地下人工構築物の設計オプションが安全性に及ぼす影響に関する研究にも同様の注意が向けられなければならない。操業時の安全性、処分の可逆性、及び長期的な受動的安全との間に相互矛盾があると思われる場合には、長期的な受動的安全が最優先されるべきである。
  • 地層処分場の観察・監視プログラムについて、その広範さや多様性が認められる。更に、このプログラムと、処分場の熱・水・応力及び化学的挙動に関するモデリング活動全体との間に密接な関係を構築する必要がある。
  • 様々なオプションに対応する処分費用は、設置許可申請等の諸段階において行われる議論の重要な要素となる。オプションの採用においては、原子力安全機関(ASN)によって策定された安全指針 に従って、処分場の放射線影響を合理的に達成可能な限り低いレベルに維持することを可能にすることが肝要になる。地層処分費用の水準、構造、及び計算方法に関する詳細な情報がCNEに定期的に提供されることが求められる。

【出典】


  1. Zone d’Intérêt pour la Reconnaissance Approfondie []

原子力安全機関(ASN)は2010年6月4日付プレスリリースにおいて、2010~2012年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)1 が策定されたことを公表した。2006年に制定された「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法」(放射性廃棄物等管理計画法) では、政府が同計画を策定し、3年毎に改訂することが規定されており、今回のPNGMDRは、2007~2010年を対象として2007年に策定された最初の PNGMDR を改訂したものとなる。

同プレスリリースによると、今回のPNGMDRは、エコロジー・エネルギー・持続可能開発・海洋省のエネルギー・気候総局(DGEC)と原子力安全機関(ASN)の共同管理の下で、廃棄物発生者、政治や行政の各分野の代表者、放射性廃棄物等の管理に責任を有する組織やその他の関係組織等が参加した複数の作業部会での情報交換等の結果として取りまとめられたものであり、同作業部会は原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN) から今後示される可能性のある同計画への提言にも注視しているとのことである。

今回のPNGMDRは、放射性廃棄物等の管理を向上させるための努力を継続し、2007年に策定されたPNGMDR枠組みでも規定された、下記取組の継続・強化を提案している。

  • 既に着手されている2つの処分場プロジェクトの継続:高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクト及び長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクト
  • 特に、長寿命中レベル放射性廃棄物を中心とする、廃棄物の調整方法に関する調査研究の継続
  • 一時貯蔵されている歴史的廃棄物に関する、より長期にわたる管理手段の確立
  • トリチウムや使用済密封線源を含む放射性廃棄物に関する最終管理手段の確立に向けた努力
  • 原子力施設の解体に伴い発生する廃棄物に関する再利用の促進(廃棄物管理手続きにおける徹底管理と最適化が要求される)
  • 残渣等が保管されている旧ウラン鉱山における貯蔵管理の強化(旧鉱山の再開発における残渣等の再利用時のインベントリ特定の実施等を含む)
  • 放射性廃棄物のインベントリ管理の継続(燃料サイクルにおける多様な施設による取組実施の理由の特定や、それらに対する多様な戦略の提示を可能とする)

なお、上記の高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトに関しては、2009年末に放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が政府にZIRAの提案を行い、同提案への政府了承を経て2010年5月より詳細調査が着手されていることを示し 、前回の PNGMDRで示された計画に沿って順調な進捗が得られていることが紹介されている。

【出典】

  • 原子力安全機関(ASN)、2010年6月4日付のプレスリリース
  • Le Plan National de Gestion des Matières et des Déchets Radioactifs (PNGMDR) 2010-2012
  • LOI n° 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative à la gestion durable des matières et déchets radioactifs(2006年6月28日の放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法第2006-739号)

【2011年1月20日追記】

議会科学技術選択評価委員会(OPECST)は2011年1月19日付のプレスリリースにおいて、2010~2012年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に対するOPECSTの評価結果を公表した。PNGMDRに対するOPECSTの評価は、2006年放射性廃棄物管理計画法の規定に基づくものである。

同プレスリリースにおいてOPECSTは、このようなPNGMDRの策定が関係者の間で建設的な議論を行うために効果的であると評価する一方で、次のような懸念や指摘事項を示している。

  • 産業界、特にフランス電力株式会社(EDF)が、目先のコストにとらわれて、核種変換に関する研究推進の努力を怠ることや、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が主導する地層処分事業の実施方法などに疑問を呈していることに懸念がある。
  • 長寿命低レベル放射性廃棄物(黒鉛及びラジウム含有廃棄物)の処分事業について、候補自治体決定の際の政府の対応の遅さを批判するとともに、今後のサイト選定プロセスでは、県議会や地域圏議会とも協力する必要がある。

【出典】


  1. Le Plan National de Gestion des Matières et des Déchets Radioactifs []

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は自身のウェブサイトにおいて、2009年10月に政府に提出(エネルギー、環境及び研究担当大臣宛)していた報告に含まれる地層処分サイトの提案内容を公表した。ANDRAは、2009年末迄に政府にサイトを提案するという「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画(PNGMDR)」に基づき、既に9月の段階で1次案として4つの候補サイトを公開し、地元関係者との協議を含む政府への提案準備を進めていた

政府への提案は地層処分サイトに関して以下を特定したものであり、科学的・技術的基準に基づき、更に、地域の意向などにも配慮したものであるとしている。

  • 今後詳細な地下の調査を行う、地層処分場の地下施設の展開が予定される約30km2の区域
  • 地上施設を配置する可能性のある区域(複数の地上施設の配置案に対応可能な区域)

ANDRAは2005年の研究成果報告において、地上及びビュール地下研究所での調査から、同地域の深度約500mに位置するカロボ・オックスフォーディアン粘土層が地層処分に適しているとして、ビュール地下研究所と同等の特性を有する区域として、地下研究所を含む周辺約250km2を互換区域として特定していた 。今回、ZIRA(今後詳細な地下の調査を行う区域)1 と称して特定された地層処分場の地下施設の展開が予定される区域は、上記の互換区域や地質特性等の情報を含めて、地図上に明示されている。これらは、ANDRAの下記ウェブサイトで閲覧が可能である(フランス語のみ)。
   http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=5312

ANDRAのウェブサイトの情報によれば、今回のサイト提案の主要なポイントとして以下をあげている。

  • 第1に、科学的・技術的基準に基づくものである
    • 地質及び安全な処分の観点から望ましい区域(粘土層の深度及び厚さ、断層の有無)
    • 2009年の研究成果に基づくレファレンス処分場の建設が可能なこと
  • 地元議会議員や地域情報フォローアップ委員会(CLIS)等の意向にも配慮したものである。
    • 地下処分施設までの傾斜トンネルによる、オート=マルヌ県側からのアクセスを可能とする
    • 村民の居住区域を避ける
    • 森林区域における主要アクセス立坑の掘削を可能にする

地上施設を配置する可能性のある区域については、望ましい区域として6つの区域が提案されている。これらは、上記のZIRA(今後詳細な地下の調査を行う区域)と整合されたものであり、環境や社会環境等の分析(居住区域、氾濫原[洪水時に浸水する地域等]、航空機落下リスク、輸送ルート等の制約)に加え、地域計画に関連する地域の要望にも整合が図られている。

また、今後の直近の予定として、今回のANDRAの提案に対する、国家評価委員会(CNE)、原子力安全機関(ASN)、更には地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の評価等を踏まえた政府の判断の後に、ANDRAはZIRA(今後詳細な地下の調査を行う区域)における詳細な地質調査と地上施設に関する調査を開始し、2013年には地上施設を含む地層処分サイトが特定されるとしている。

なお、本件に関して、地域情報フォローアップ委員会(CLIS)は自身のウェブサイトにおいて、上記のANDRAの提案内容を概説した資料を公表している。同資料では、今回のANDRAの提案に対する政府の判断の前に、政府が国家評価委員会(CNE)、原子力安全機関(ASN)、及び、地域情報フォローアップ委員会(CLIS)に対して意見提示するよう要請したことも伝えており、この政府の判断は、地下施設のみに関連するものであり、地層処分場の許可(或いは建設しない)に向けた手続きにおける1つのステップに過ぎないとしている。

※地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の下記ウェブサイトのトップページから「ZIRA 5」と表記された部分をマウス・クリックすることで上記文書のダウンロードが可能(フランス語のみ)。
  http://www.clis-bure.com/

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、
    http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=5312
  • 地域情報フォローアップ委員会(CLIS)公表資料

【2010年1月18日追記】

原子力安全機関(ASN)は2010年1月13日付けのプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による地層処分サイトの提案に関して、ASNが政府に2010年1月5日に意見書を提出したことを公表した。同プレスリリースで公開されたASNの意見書は、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の意見も踏まえたものであり、ANDRAが提案した地層処分サイト(今後詳細な地下の調査を行うZIRAと称される区域)が安全性及び放射線防護の観点から十分なものであると評価している。

なお、上記のIRSNの意見書が2009年12月22日にASNに提出されていることがIRSNのウェブサイトで紹介されている。IRSNの意見書では、2007年から2008年に実施された調査等に基づきANDRAが特定したZIRAが、その特定において採用された基準や安全性の観点から妥当なものであると評価している。

【追記部出典】

  • 原子力安全機関(ASN)の2010年1月13日付プレスリリース、
    http://www.asn.fr/index.php/S-informer/Actualites/2009/Zone-restreinte-d-investigation-pour-le-stockage-reversible-profond
  • 原子力安全機関(ASN)の2010年1月5日付意見書、
    http://www.asn.fr/index.php/content/download/23286/138264/file/2010-AV-0084.pdf
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の2009年12月22日付意見書、
    http://www.irsn.fr/FR/expertise/avis/Documents/Avis_IRSN_ZIRA_22122009.pdf

【2010年4月1日追記】

ANDRAは自身のウェブサイトにおいて、2009年10月に提案していたZIRA(今後詳細な地下の調査を行う区域)について、政府の了承が得られたことを公表した。ANDRAはこれを受けて、下記目的に資する同区域を対象とした3次元地震探査等の地上からの詳細な調査を開始するとしている。

  • 設計の最適化や地層処分の実現に資するため、既に得られているカロボ・オックスフォーディアン粘土層に関する知識の補完
  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層の上下に存在する石灰岩層の幾何形状と特性の把握
  • モデルと数値シミュレーションの改善に向けた追加情報の収集

ANDRAは地震探査に必要な機器等の設置を2010年5月から開始する予定であり、これらの詳細な調査を経て、2012年末迄に政府に地層処分サイトの提案を含む報告書を提出する予定であるとしている。この報告書は、2013年に予定される公開討論会の基本資料の作成に資するものであり、ANDRAは政府への報告書の提出後に、公開討論会の準備に着手する予定である。

【追記部出典】

  • フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、
    http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=5339

【2010年5月21日追記】

ANDRAは自身のウェブサイトで、2010年5月19日よりビュール地下研究所の北方3kmにある約37km2の区域を対象とした詳細な地質調査を開始したことを公表した。この調査は2010年3月に政府によって了承されたZIRA(詳細な地下の調査を行う区域)を対象としたものであり、ANDRAは今後4カ月間にわたる地震探査やボーリング調査を行い、地層に関する情報(厚さ、深さ、均質性に関するメートル単位の精度での情報)を取得するとともに、小さな断層が存在しないことを確認する予定である。

【追記部出典】

  • フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の2010年5月19日付プレスリリース、http://www.andra.fr/download/andra-meuse-fr/document/presse/100519.pdf

  1. Zone d’Intérêt pour la Reconnaissance Approfondie []

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は自身のウェブサイトにおいて、政府とともに候補サイトの提案を行う準備のために、また、今後数カ月にわたる地元関係者との協議のために、高レベル・長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場候補サイトとして4つの区域(30km2の制限区域)を1次案として選定したことを公表した。2006年の「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法(放射性廃棄物等管理計画法)」 のもとに策定された「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR) により、ANDRAは2009年末までに処分場の建設に適した制限区域を政府に提案することになっている

候補サイトは、カロボ・オックスフォーディアン粘土層を対象とした地下研究の成果として特定されたビュール地下研究所の周辺区域(250km2)から選定され、地下施設と整合した地上施設の配置に関する検討も行われる。

なお、今回1次案として公表された4つの区域を示す地図は、ANDRAのウェブサイトにおいて閲覧・ダウンロードが可能となっている。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイト、
    http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=5292