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スイス

スイス連邦エネルギー庁(BFE)は、2014年2月3日付のプレスリリースにおいて、外部機関に委託して実施した社会学的調査の報告書『地層処分場サイト選定プロセスにおける地域参加の構築-実施と経験』を公表した。スイスのサイト選定プロセスでは、過去に類似例がない大規模な地域参加の取組が進行している最中であり、本調査は地域参加の実際を、同時並行的に追跡・記録・分析することを目指している「地域参加調査」プロジェクトの一環として実施されたものである。サイト選定プロセスの第2段階が終了する(2016年の見込み)まで継続する計画であり、今回の報告書はその中間成果として取りまとめられたものである。

スイスでは、2008年に3段階からなるサイト選定プロセスが開始され、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が6つの地質学的候補エリアを提案した。それぞれの地質学的候補エリアを取り囲む形で設定されたサイト地域に対して、BFE主導のもと、2009年から2011年にかけて、6つの地域会議が設置された。このような地域参加を通じて、スイスでは現在、500を超えるステークホルダーがサイト選定プロセスに関与している。

BFEは、今回の社会学的調査の目的について、「スイスにおける地域参加の構築に係る知見を確かなものとし、現行のプロセスのみならず、他の類似プロジェクトにも役立てたい」と説明している。

BFEのプレスリリースでは、本調査の結論を以下のように要約して示している。

  • 実施方法と概念
    ほとんどの地域が、BFEが例示した地域会議の組織構成1 を踏襲した。サイト地域の地方自治体の代表により構成される準備チームを設置し、準備調整役を置く方法が適切であった。
  • BFEによる地域会議の設置方針提示
    自らのアイデアを活用することを望む準備チームがある一方で、BFEに対し、地域会議をどのように設置すれば良いか、より具体的に示すよう要望する準備チームもあった。設置手順を受け入れてもらうためには、実際の設置作業において地域が一定の裁量権を有していることが重要である。
  • 参加者の募集
    すべてのサイト地域で地域会議が設置されたが、いずれの地域でも参加者を集めるのに苦労した。
  •  地域会議の構成
    ほとんどのサイト地域で、地層処分場について賛成・反対双方の立場にある種々の団体・組織・政党・住民の参加を得ることに成功したが、一般的に主張の弱い傾向がある女性や若年層を引き入れることが非常に難しかった。
  •  参加の可能性と範囲
    準備チームのメンバーと住民の双方が、サイト選定プロセスに参加することと、その地域における地層処分場の立地に同意することは同一ではないということをよく理解していることが重要であった。また、地域会議がどのような枠組みでサイト選定における意思決定に関与するのかを示すことが重要である。
  • 作業時間
    BFEは当初、地域会議の設置に要する作業時間を過小に見積っていた。他に職業を持ちながら議員を務める兼業議員が長時間に亘る関与を求められるケースもあった2

 

 BFEのプレスリリースによると、今回の社会学的調査は、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)の「放射性廃棄物関連研究プログラム(2013年~2016年)」3 の一環として実施されている研究プロジェクトであり、処分場のサイト選定プロセス自体とは異なる枠組みで実施されている。今回取りまとめられた報告書は、地域会議の2009年から2011年にかけての設置作業に注目したものであり、この作業の実経験から得られた重要な教訓(Lessons-Learned)を取りまとめている。

 

【出典】


  1. 特別計画「地層処分」地域参加の方針:第1段階と第2段階における基礎と実施
    http://www.news.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/22188.pdf
    地層処分場への抵抗が根強いヴェレンベルクでは 、地域会議設置の準備チームをメンバーとする組織「プラットフォーム・ヴェレンベルグ」が設置された。同プラットフォームは地域会議との名称は使用していないが、BFEが特別計画「地層処分」地域参加の方針で提示した地域会議の構成にかなり近い。
    「プラットフォーム・ヴェレンベルグ」ウェブサイト
    http://www.plattform-wellenberg.ch/index.php/plattform-wellenberg-sp-387/organisation []
  2. スイスでは、議会の議員やその他の公的な職務を、他に本業としての職業を持ちながら務めることが一般的である。 []
  3. UVEKの「放射性廃棄物関連研究プログラム」には、放射性廃棄物の処分概念等をテーマとする技術研究プロジェクトに加え、「サイト選定プロセス」、「倫理と法律」に関連する人文社会学的な研究プロジェクトも含まれている []

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2013年11月20日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分に関する世論調査の結果を公表し、スイス国民は安全性を重要視すること、処分は技術的・政治的に解決可能であること、国外処分は多数が選択肢として考えていないとの結果を得たとしている。この世論調査は2013年夏に、NAGRAが外部の世論調査会社に委託して実施したものであり、スイス国内から無作為に抽出した1,000人以上を対象としたアンケート調査が行われたものである。

NAGRAはこれまでに同様な世論調査を2003年と2005年、2007年に実施している。スイスでは2008年から、3段階からなるサイト選定が進められており、現在、第2段階にある1 。今回のNAGRAの世論調査は、サイト選定が開始された以降で初めての調査である。今回、NAGRAが世論調査結果の概要として公表した回答内容と回答者の割合は以下の通りである。

  • 地層処分場のサイト選定においては、地元による受け入れ支持の度合いではなく、安全性が最も重要である: 81%
  • 「放射性廃棄物の安全な処分は可能である」という科学者を信用する: 68%
  • 放射性廃棄物処分問題は政治的に解決可能である: 68%
  • 放射性廃棄物処分の問題は可能な限り早期に解決されるべきである: 67%
  • 近隣に地層処分場が立地することになった場合、その結果を受け入れる: ほぼ60%
    • しかし、近隣への地層処分場立地に対しては否定的な意見である: 上記回答者のうちの45%
  • 放射性廃棄物はスイス国内において処分すべきである: 81%

以前の世論調査結果と比較して、『「放射性廃棄物の安全な処分は可能である」という科学者を信用する』という回答率が徐々に高まっており(2003年:61%、2005年:65%、2007年:66%、2013年:68%)2 、NAGRAは、放射性廃棄物の地層処分に対する技術的な解決可能性に対する信頼が徐々に高まっているとの見方を示している。また、サイト選定が開始される前の2007年の調査では、「地層処分場において放射性廃棄物を可能な限りに迅速に処分すべきである」と回答した人の割合は83%であったが、今回の調査でNAGRAは「放射性廃棄物処分の問題は可能な限り早期に解決されるべきである」と回答した人の割合が67%へと低下したことを指摘している。

 

【出典】


  1. 第2段階に入った直後の2012年1月にNAGRAは地層処分場の地上施設が設置される可能性がある20カ所を提案し、現在絞り込みが行われている 。 []
  2. NAGRAプレスリリース、2004年3月16日2005年5月31日 及び 2007年7月17日 を参照 []

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2013年9月16日に、地層処分場の地上施設の安全性と地下水の保護について評価した報告書を公表した。本報告書においてNAGRAは、適切なサイトを選定し、地上施設の適切な設計と操業が実施されれば、施設の安全な建設と操業は可能であり、地下水に特別な危険を及ぼすものではないと結論付けている。

2012年1月のNAGRAによる地上施設の設置区域20カ所の提案以降、地域参加を促進するためにBFEが主導して設置した「地域会議」 では、NAGRAが提案した地上施設に対して検討を加えてきた。地域会議は地上施設の安全性や事故の可能性を特に注目してきたとしている。

2012年11月にBFEは、NAGRAに対して、地上施設を設置することによる影響からの住民と環境の保護についての報告書の作成を要請した。BFEのプレスリリースによると、報告書については、地上施設に関する知見の水準が今後段階的に向上することを考慮に入れるため、BFEは個別のサイトに限定しない形で考察すべきとしたとしている。

NAGRAが報告書のドラフトを作成した後、BFE、規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)、環境に関する審査機関である連邦環境庁(BAFU)は、報告書のドラフトを検討した。さらに、2013年4月から6月にかけて、州側の3つの専門家グループ(サイト地域所在州技術調整グループ1 、州安全ワーキンググループ(AG SiKa)2 、州安全専門家グループ(KES)3 )が環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)設置の処分場諮問委員会4 と協議を行った。協議の結果に基づいて、NAGRAは報告書のドラフトを修正し、報告書の最終版を2013年8月30日にBFEへ提出した。なお、今回NAGRAが公表した報告書では、原子力安全、放射線防護、操業時に原子力事故ではない通常の事故が発生した場合の安全性、建設段階及び操業段階での地下水の保護に関する予測が示されている。

NAGRAの報告書については、ENSIとBAFUが見解を表明している。ENSIは、施設の概念、操業状況の経過、インベントリについての評価は妥当であり、地上施設の安全性、住民と環境の保護、地上施設の許可が疑問視される理由はないとしている。BAFUも報告書でのNAGRAの見解に同意しており、地上施設をAu水資源保護領域5 に建設した場合でも、地下水に特別な危険を及ぼすものではないとしている。また、BFEは、今回の報告書の役割、目的、意義を説明する付属文書を公表している。

特別計画「地層処分場」に基づくサイト選定の第2段階では、低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場について、それぞれ2カ所以上の候補サイトの選定が行われる。候補サイトの選定は、今後実施される予備的安全評価や地上部分・地下部分・アクセス構造物の安全性の評価に基づいて行われる。なお、今回のNAGRAの報告書とENSI及びBAFUの見解は、今後開催予定の地域会議に提出される予定である。

 

【出典】


  1. 安全性、地域開発計画、コミュニケーション及び地域参加に関して一つまたは複数のサイト地域 を含む州の活動を調整する。各グループの役割については以下を参照。Members of official bodies involved in the search for suitable sites and their roles, 2013年7月24日 http://www.bfe.admin.ch/radioaktiveabfaelle/01277/05193/index.html?lang=en&dossier_id=05198 []
  2. 一つまたは複数のサイト地域を含む州に対する安全性の評価を実施・調整する。州安全専門家グループに責任を負う。 []
  3. 安全性に関する資料の評価において州を支援し、助言する。 []
  4. 地層処分場のサイト選定手続の実施においてUVEKに助言をする 。 []
  5. 利用可能な地下水領域とその境界部分を指す。 []

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2013年9月5日付のプレスリリースにおいて、地層処分場の地上施設の設置区域としてNAGRAが提案していた20カ所について絞り込み作業を実施した結果、最初の1カ所として低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の地上施設の設置区域をNAGRAが提案したことを公表した。

スイスでは全ての放射性廃棄物を地層処分する方針である。特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づいて、3段階のサイト選定を実施しており、2011年11月からは第2段階(低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場について、それぞれ2カ所以上の候補サイトの選定)が進められている。地層処分場の地上施設を設置する可能性があるエリアは「計画範囲」と呼ばれており、地下施設が建設される可能性がある6つのそれぞれの「地質学的候補エリア」から5kmの範囲内が計画範囲となっている。

第1段階では6つの地質学的候補エリアが確定しており、第2段階に入った直後の2012年1月にNAGRAは、地上施設の設置区域として合計で20カ所を提案した。地域参加を促進するためにBFEが主導して設置した「地域会議」では、NAGRAが提案した地上施設の設置区域案について検討を加えることとなっており、NAGRAの提案とは別に地域会議が独自の地上施設の設置区域案の提案をすることも可能である。今回のNAGRAのプレスリリースによると、地域会議での検討を踏まえ、NAGRAは、計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案することになっており、提案するためには設置区域の調査を実施し、調査報告書を作成しなければならないとされている。

今回NAGRAは、低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の計画範囲であるヴェレンベルグ1 について、絞り込みの結果としては初めてとなる地上施設の設置区域1カ所を提案した2 。同時にNAGRAは同設置区域に関する調査報告書3 を公表し、この報告書をヴェレンベルグに設置された地域会議「プラットフォーム・ヴェレンベルグ」の9月5日の総会に提出した。調査報告書では、提案の根拠、地上施設の配置、形態、開発案等が記述されている。また、BFEプレスリリースによれば、調査報告書は、BFEが今後実施する地層処分場が立地する地域に与える環境影響と社会影響に関する調査の基礎になるとされている

今後数週間のうちに、ヴェレンベルグ以外の5つの地域会議の総会が、地上施設の設置区域に関する見解を示す予定である。NAGRAはこれらの見解を踏まえ、絞り込みを行い、計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案し、調査報告書をそれぞれの地域会議の総会へ提出することとなる。地域会議の総会の開催と総会でなされる見解表明の時期が各々異なるため、NAGRAによる調査報告書の提出及び1カ所の地上施設の設置区域の提案も別々の時期に行われることとなる。

計画範囲ごとに絞り込まれた地上施設の設置区域について、NAGRAは、建設技術に係るリスク評価を実施し、環境影響評価の仕様書を作成し、予備的安全評価及び安全性の観点からサイトの比較作業を行う。これらの作業を踏まえて、NAGRAが低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場のそれぞれについて、最低2カ所の候補サイト及びこれらの候補サイトに対する地上施設の設置場所を提案する予定である。

 

【出典】

【2013年10月4日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、「ヴェレンベルグ」に続いて、「ジュラ・ジュートフス」及び「ジュラ東部」における地層処分場の地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2013年9月26日にそれぞれの地域で開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

NAGRAの調査報告書の提出を受けて、地域会議を主導する連邦エネルギー庁(BFE)は、ジュラ東部のサイト地域の住民を対象として、絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方4 に関する説明会を2013年10月19日に実施するとしている。ジュラ・ジュートフスの説明会は2013年11月7日を予定している。

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「提案された地上施設の設置区域」(NAGRA、技術報告書11-01「特別計画地層処分場第2段階 地層処分場の地上施設の設置区域の配置及びその開発 別冊」、2011年12月より))〔※クリックで拡大表示〕

ジュラ・ジュートフス及びジュラ東部における地上施設の設置区域の1カ所の候補については、NAGRAが提出した調査報告書から整理すると以下の通りである。

❏ジュラ・ジュートフス

ジュラ・ジュートフスは、低中レベル放射性廃棄物用の処分場のみを立地する可能性がある地質学的候補エリアである。ジュラ・ジュートフスの地域会議は、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域案を拒否し、独自の提案も行わなかった。その後、NAGRAは州などと協議し、設置区域案の絞り込みを行い、最終的に右の地図にあるJS-1を選定した。

❏ジュラ東部

ジュラ東部は、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれかの処分場、または両方の種類の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。ジュラ東部の地域会議は、NAGRAが2012年1月に提案していたJO-3の場所を若干変えるよう要請しており、NAGRAが提案した4カ所に加え、合計6カ所についてNAGRAと地域会議がこれまで検討してきた。この検討を踏まえ、NAGRAは設置区域6カ所の中からJO-3+を選定した。JO-3+では、低中レベル放射性廃棄物用処分場または高レベル放射性廃棄物用処分場、あるいはそれらの両方を共同立地して建設する可能性があるとしている5

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JO-3とJO-3+との位置関係(ファクトシート「サイト地域ジュラ東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域JO-3+」及びNAGRAウェブサイトより作成)

【出典】

【2013年12月9日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は2013年12月4日のプレスリリースにおいて、低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場の地質学的候補エリアである「ジュートランデン」における地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2013年12月4日に開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

連邦エネルギー庁(BFE)は、ジュートランデンのサイト地域の住民を対象として、絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を2014年5月10日に実施するとしている。なお、説明会で行う現地視察が積雪期となるため、説明会の開催を来春まで遅らせるとしている。

 

ジュートランデンにおける地上施設の設置区域「SR-4」

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「ジュートランデンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域ジュートランデンでの低中レベル放射性廃棄物用の地上施設設置区域SR-4」より作成)

NAGRAの調査報告書によれば、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域の候補案(右の地図のSR-1、SR-2、SR-3)をジュートランデンの地域会議が拒否したことをうけ、NAGRAは地域会議と代替案を協議し、追加の設置区域の候補2カ所(右の地図のSR-4、SR-5)を提案した。その後、地域会議は、当初の3つの設置区域の候補案と併せたこれら5カ所について改めて検討したが、「最も不適合度が低い」場所はSR-4であるとし、「ジュートランデンに地上施設の設置に適したサイトはない」とする見解を示した。NAGRAは、地域会議及びサイト地域を含む州であるシャフハウゼン州と協議し、他の地質学的候補エリアとの比較を目的とした地上施設の設置区域として、SR-4を選定した。

 

【出典】

【2014年5月19日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2014年5月15日のプレスリリースにおいて、サイト地域である「チューリッヒ北東部」における地上施設の設置区域の候補を1カ所に絞り込み、2014年5月15日に開催された地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。

チューリッヒ北東部は、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれか、または両方の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。

チューリッヒ北東部における地上施設の設置区域「ZNO-6b」

「チューリッヒ北東部における地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」より作成)

「チューリッヒ北東部における地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」より作成)

チューリッヒ北東部の地域会議は、2013年2月7日の総会において、NAGRAが2012年1月に提案した地上施設の設置区域の候補区域(ZNO-1、ZNO-2、ZNO-3、ZNO-4)を拒否した。これを受け、NAGRAは、地域会議と協議し、追加の設置区域案として、さらに4つの区域(ZNO-5、ZNO-6、ZNO-7、ZNO-8)を提示した。

その後、地域会議は2014年1月に、これらの合計8カ所について、詳細には差はあるものの、いずれも地上施設の設置には不適合であるとの見解を示した上で、他のサイト地域との比較を目的とした地上施設の設置区域を、チューリッヒ州に所在する「イーゼンブック/ベルク」地区に限ることを提案した。

これを受け、NAGRAは「イーゼンブック/ベルク」地区にあるZNO-6について、地域会議及びチューリッヒ州の関係者の意見を踏まえ、NAGRAの案の設置区域の形状を修正したZNO-6b(右図及び右下図参照)を選定した。連邦エネルギー庁(BFE)は、チューリッヒ北東部のサイト地域の住民を対象として、今回の絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を2014年7月3日に開催する予定である。

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ZNO-6とZNO-6bとの位置関係(ファクトシート「サイト地域チューリッヒ北東部での低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域ZNO-6b」及びチューリッヒ北東部地域会議ウェブサイトより作成)

なお、NAGRAは、6つのサイト地域のうち、唯一、地上施設の設置区域の絞り込みを終えていない北部レゲレンについても、近日中に地域会議に調査報告書を提出する予定であるとしている。

 

【出典】

【2014年5月28日追記】

「NL-2とNL-6の位置関係」(ファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」)より

「NL-2とNL-6の位置関係」(ファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」)より

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2014年5月24日のプレスリリースにおいて、サイト地域「北部レゲレン」における地上施設の設置区域として2カ所(右写真参照)を選定し、地域会議の総会に調査報告書を提出したことを公表した。特別計画「地層処分場」に従い、以降の作業で地質学的候補エリアの相互比較を可能とするため、NAGRAは計画範囲ごとに地上施設の設置区域を1カ所以上選定することになっている。北部レゲレンでは、他の地質学的候補エリアとは異なり、地上施設の設置区域が2カ所選定された。

北部レゲレンは、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用のいずれか、または両方の処分場を立地する可能性がある地質学的候補エリアである。

 

北部レゲレンにおける地上施設の設置区域「NL-2」及び「NL-6」

「北部レゲレンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」より作成)

「北部レゲレンにおける地上施設設置区域の地理的状況」(NAGRAファクトシート「サイト地域北部レゲレンでの低中レベル/高レベル/共同放射性廃棄物用の地上施設設置区域NL-2」より作成)

NAGRAは2012年1月20日に、全体で20カ所の地上施設の設置区域案を提示していたが、このうち、北部レゲレンでは4カ所(NL-1、NL-2、NL-3、NL-4)を提示していた。北部レゲレンは、アールガウ州とチューリッヒ州にまたがっている。アールガウ州は、同州内での地上施設の設置区域の設定に否定的な見解を示し、一方、チューリッヒ州は地下水保護の観点から、これら4カ所以外の地上施設の設置区域案を提示するようNAGRAに要求した。

これを受けNAGRAは、2013年3月12日に行われた地域会議の会合において、地上施設の設置区域案を追加的に4カ所(NL-5、NL-6、NL-7、NL-8)提示する一方、地域会議側も当初の提案にあったNL-2の位置を南側に移動する案「NL-2a」を検討するようNAGRAに求めた。その後、NAGRAは地下水保護を重視するチューリッヒ州の要請に応えるため、追加の地上施設の設置区域案「NL-9」を2013年4月に提示した。

地域会議は、これら合計10カ所の地上施設の設置区域案を検討し、不適合度が低い区域案は「NL-2」と「NL-6」であるとの見解を示した。 これを受け、2014年5月24日にNAGRAは、「NL-2」と「NL-6」をともにサイト地域「北部レゲレン」における地上施設の設置区域に選定した(右図参照)。

これら2カ所の地上施設の設置区域は、いずれもチューリッヒ州が指定する地下水保護区域の内部、あるいはその辺縁にある。これを問題視するチューリッヒ州に対して、NAGRAは今後のサイト選定手続きの過程で、地域会議やチューリッヒ州などと協力しながら、解決を図っていくとしている。

なお、連邦エネルギー庁(BFE)は、北部レゲレンのサイト地域の住民を対象として、今回の地上施設の設置区域の絞り込み結果及び今後のサイト選定の進め方に関する説明会を、2014年6月16日と2014年7月7日に開催する予定である。

 

【出典】

 


  1. ヴェレンベルグでは、当時のヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)が低中レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設を提案し、1995年と2002年の二度にわたる州民投票の結果、建設を断念した経緯がある 。GNWは2003年に解散した。 []
  2. 2012年1月にNAGRAが提案したヴェレンベルグの地上施設の設置区域は1カ所であったことから、今回は同設置区域の提案を再確認する意味合いが強い。 []
  3. 作業報告書NAB13-61「ヴェレンベルグでの低中レベル放射性廃棄物用地層処分場の地上施設設置区域“WLB-1-SMA”計画調査報告書」(2013年9月) http://www.nagra.ch/display.cfm?id=101857&isAdmin=1

    []

  4. 特別計画に基づくサイト選定手続きの第2段階では、NAGRAが計画範囲ごとに1カ所の地上施設の設置区域を提案した後、低中レベル放射性廃棄物用、高レベル放射性廃棄物用の地層処分場について、それぞれ2カ所以上の候補サイトを選定することとなっている。 []
  5. ジュラ東部での地上施設の設置区域は3つの場合ともに同じ場所である。 []

スイスの連邦評議会1 は、2013年8月28日のプレスリリースにおいて、処分義務者である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が2008年10月に提出していた「放射性廃棄物管理プログラム」を承認したことを公表した。スイスでは、2005年施行の原子力法及び原子力令に基づいて、自国内で発生するすべての放射性廃棄物の地層処分に向けたプログラムを処分義務者が5年ごとに提出・更新することになっている2 。今回承認された放射性廃棄物管理プログラムは、法令に基づいた初めてのプログラムとなる。

放射性廃棄物管理プログラムには、原子力施設の運転と廃止措置から発生する放射性廃棄物の種類及び量の見通し、地層処分場の立地選定から処分場を閉鎖するまでの基本措置とスケジュール、それらの資金計画3 等を含めることが原子力令に規定されている。スイスでは、2008年から地層処分場のサイト選定プロセス(3段階構成)が開始されており、現在は第2段階にある。今回承認された放射性廃棄物管理プログラムは、2008年4月に連邦政府が策定したサイト選定計画に当たる特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)で設定されたサイト選定スケジュールを織り込んだものである。NAGRAが2008年に放射性廃棄物管理プログラムを取りまとめた段階では、サイト選定の完了を2018年とし、高レベル放射性廃棄物用地層処分場の操業開始を2050年、低中レベル放射性廃棄物用地層処分場の操業開始については2035年と設定していた。

NAGRAが2008年10月に放射性廃棄物管理プログラムを提出した後、本プログラムを連邦エネルギー庁(BFE)、規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)が審査し、それらの評価結果をBFEの諮問機関である原子力安全委員会(KNS)が評価している。その後、2012年6月から9月にかけて、放射性廃棄物管理プログラム、並びにこれらの連邦官庁の意見書を対象として意見募集が実施された。今回の連邦評議会のプレスリリースによると、意見募集では州、地方自治体、政党、その他の組織や個人等から合計70件のコメントが寄せられ、コメントの大部分は放射性廃棄物管理プログラム及び本プログラムの定期更新の仕組みを肯定的に評価したものであったとしている4

連邦評議会は、今回の放射性廃棄物管理プログラムの承認にあわせて、次回の更新版のプログラムの提出期限を2016年にするとともに、その際にそのプログラムに沿って実施される研究開発計画5 、及び放射性廃棄物管理費用の見積りに関する報告書を同時に提出するようNAGRAに要求することを決定している。原子力令の規定に従うと、次のプログラムの更新時期は2013年となるが、これを2016年に変更した理由として、特別計画に基づくサイト選定の第1段階の連邦官庁でのレビューが長引き、サイト選定スケジュールが遅延しているためとしている。なお、サイト選定手続きを主導する連邦エネルギー庁(BFE)は、現在進められている第2段階(約5年間)が完了する時期を2016年と見込んでいる。プログラム更新時期の2016年への変更について連邦評議会は、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)と協議し、連邦議会の環境・地域開発・エネルギー委員会へ報告した上で、決定したとしている。

 

【出典】


  1. 日本の内閣に相当 []
  2. 原子力法第32条は、廃棄物処分義務者が放射性廃棄物管理プログラムを作成し、連邦評議会が作成・更新する期限を定めるとしており、原子力令第52条では同プログラムの5年ごとの更新が規定されている。 []
  3. 廃止措置費用及び放射性廃棄物の処分費用の見積りについては、「廃止措置・廃棄物管理基金令」の規定により、原子力施設の所有者が5年ごとに費用見積りを実施することとなっており、前回の費用見積りは2011年に実施されている。 []
  4. 今回の連邦評議会の承認と同時に、BFEは意見募集の結果を取りまとめた報告書を公表している。「放射性廃棄物管理プログラム2008と処分の実現可能性の実証への勧告の取組み-意見募集の結果に関する報告書-」(2013年8月28日)
    http://www.news.admin.ch/NSBSubscriber/message/attachments/31750.pdf
  5. []

  6. NAGRAはNAGRA技術報告書09-06「スイスにおける放射性廃棄物処分のための研究開発及び実証(RD&D)計画」を更新する予定である。NAGRA技術報告書09-06については、
    http://www.nagra.ch/data/documents/database/dokumente/%24default/Default%20Folder/Publikationen/NTBs%202001-2010/e_ntb09-06.pdf
  7. を参照。 []

サイト選定手続きにおいて安全性に関する審査と評価を行う連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2013年1月25日のプレスリリースで、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定プロセスの第2段階における安全性の評価に係る3つの文書を作成したことを公表した。

第2段階の作業フロー図 (特別計画「地層処分場」 方針部分(2008年4月2日)を基に作成)

第2段階の概要図
(特別計画「地層処分場」 方針部分(2008年4月2日)を基に作成)

特別計画では、安全評価を段階的に具体化して進めていくとしており、第2段階では「予備的安全評価」および同評価の結果を用いた「サイト比較」が実施される(右図の赤枠部分。詳細は下記<参考>を参照)。また、予備的安全評価の実施に先立ち、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)はENSIとともに、追加調査の必要性を検討することになっている。

ENSIが今回公表した文書は、以下の3つの事項を扱ったものである。

  1. 予備的安全評価とサイト比較に関する要件の基準に関する詳細
  2. 地質学的知見の充足性について、予備的安全評価の実施前に行う検証の方法
  3. 地上施設と地下施設を結ぶアクセス構造物に対する、建設技術に係るリスクの評価方法

サイト選定プロセスの第2段階は2011年11月から開始されており、現在6つの「サイト地域」のそれぞれにおいて、地層処分場の地上施設の設置区域案の検討が進められている。これに関して、地元自治体などが参加する「地域会議」(サイト地域ごとに設置)の見解が2013年前半に出揃う見通しである 。今回ENSIが公表した文書は、地域会議の見解表明以降にNAGRAが実施する作業に適用する文書である。

同プレスリリースにおいてENSIはこれら3つの文書の概要を以下の通り示している。

①〔ENSI 33/154〕
特別計画「地層処分場」第2段階において、高レベル放射性廃棄物用及び低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場についてそれぞれ最低2カ所の候補サイトを選定するための安全性に関する方法論の詳細

ENSIは2010年4月に「予備的安全評価と安全性の比較に係る要件」(ENSI 33/075)1 を公表している。この文書は、「特別計画」で規定されている処分場閉鎖後の長期安全性に関する予備的安全評価と安全性の観点からのサイトの比較作業に適用される基準を示すとともに、これらについてENSIが定めている「要件の基準」の詳細を解説したものであった。

今回公表された文書(ENSI 33/154)は、「特別計画」及びENSI 33/075に示されている「要件の基準」の詳細を示したものである。この文書では、不確実性への対処方法のほか、地質学的候補エリアが明らかな欠点を有している場合、どのようにそれを把握・評価すべきか、また候補サイトの提案に至るまでに、その欠点をどう考慮すべきかについても説明している。

②〔ENSI 33/155〕
特別計画「地層処分場」第2段階のための安全性に関する資料の提出に先立つ地質学的な知見の検証の進め方

NAGRAは、2010年10月付で作成した報告書(NAGRA技術報告書 10-01)において、現在有する知見と第2段階で得られる知見により予備的安全評価が可能であるという判断を示している 。この報告書を評価したENSIは2011年3月に、既に第1段階で得ている知見と第2段階で得られる知見に加えて、ENSIが補足を要求した41の要求事項をNAGRAが明らかにできる場合は、予備的安全評価の実施が可能であると結論した報告書(ENSI 33/115)を公表している

今回公表された文書(ENSI 33/155)は、この41の要求事項を補足する形で、地質学的知見が十分であるかどうかについての検証方法を示したものである。この報告書においてENSIは、専門家が参加する会議において、NAGRAが揃えている地質学的知見が十分であるかどうか、安全性の観点からサイトの比較が実施できるかについて判断するとしている。ここで地質学的な知見が十分であると結論できる場合にのみ、NAGRAは“第2段階における安全性に関する文書”の作成に着手できる。

③〔ENSI 33/170〕
特別計画「地層処分場」第2段階におけるアクセス構造物に関する建設技術に係るリスク評価及び補完的な安全性の検討に関する要件

各サイト地域の「地域会議」は、地上インフラの形態、設置、開発についての見解を2013年前半中に順次表明する見込みである。それらの見解を踏まえてNAGRAは、サイト地域の中に設定されている「計画範囲」ごとに、地上施設の設置区域を最低1カ所提示することになっている。さらにNAGRAは、地上施設と地下施設を結ぶアクセス構造物について検討し、設計する。

今回公表された文書(ENSI 33/170)は、地層処分場のアクセス構造物が安全要件を満たしているかどうか、操業や閉鎖の安全性が確保されているか等、建設技術に係るリスクの評価方法を示したものである。なお、アクセス構造物に関する評価・検討に関わる要件については、「特別計画」の策定時点(2008年4月策定)は見過ごされていたため、ENSIが今回新たに策定したものである。

 

<参考>「予備的安全評価」と「サイト比較」

予備的安全評価は、放射性廃棄物の閉じ込めにおける個々のバリアの性能及びその挙動の解明と、第1段階で選定されたそれぞれの地質学的候補エリアにおける線量の評価値が、防護基準である0.1mSv/年を超えないことの立証を目的とする。予備的安全評価の結果は、安全性の観点からのサイトの比較に用いられるとともに、それにより、概要承認の申請時に必要とされるデータを収集するために第3段階においてどのような調査が必要となるかが明らかになるとされている

サイトの比較作業は、安全性に関する観点から明らかに他より適性が劣ると評価されるサイトを提案しないようにし、また基礎的なデータに内在する不確実性のみに起因する線量の相違を理由としてサイトを除外しないようにすることを目的としている。サイトの比較は、レファレンスケースによる評価結果、パラメータ変動時の評価結果及び安全性と工学的な実現可能性に関する諸基準の定性的評価に基づき行われる。

【出典】


  1. 「予備的安全評価と安全性の比較に係る要件」については、2010年12月3日既報及び2011年4月8日既報の「参考」を参照。 []
特別計画「地層処分場」の第1段階で確定した地質学的候補エリア(高レベル放射性廃棄物の処分場3カ所および低中レベル放射性廃棄物の処分場6カ所)(NAGRA2011年年次報告書を基に作成) 第1段階は2008~2011年にかけて実施

特別計画「地層処分場」の第1段階で確定した地質学的候補エリア(高レベル放射性廃棄物の処分場3カ所および低中レベル放射性廃棄物の処分場6カ所)(NAGRA2011年年次報告書を基に作成)
第1段階は2008~2011年にかけて実施

スイスにおける地層処分場のサイト選定手続きを主導する連邦エネルギー庁(BFE)は、2013年1月22日付のプレスリリースにおいて、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定プロセスの第2段階の進捗について、6カ所の各「サイト地域1 」で検討中の“地上インフラの形態、設置、開発”に関する地元の見解が2013年前半までに出揃う予定であることを明らかにした。BFEは2012年10月のプレスリリースにおいて、見解表明の時期が当初予定の2012年秋頃から2013年4月頃に遅れるとの見方を示していたが 、今回のプレスリリースによれば、見解表明はサイト地域ごとに異なるタイミングで行われることになる。

各サイト地域に属する自治体は、処分義務者(実施主体)である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と共働2 して、地上インフラの形態、設置及び開発の提案を策定・具体化する役割を担う。NAGRAは、2012年1月に、各々のサイト地域内に設定されている「計画範囲」に対して、地上施設3 の設置区域案を3~4カ所(6つのサイト地域の合計で20カ所)提案している 。地上施設の設置区域案の提案は、NAGRAが以下の観点を考慮して行ったものである。

  • 安全性及び技術的実現性:交通網との接続、地形や面積等の状況、地下施設へのアクセス、安全性
  • 土地利用に関する適合性及び環境との適合性:土地利用の法的制限、地表の水流、地下水流、鉱物及び温泉の利用、自然保護区域の回避
  • 地域との調和:今日の利用状況、都市計画上の状況、保養地の所在、景観の保護

地域参加の構築責任をもつBFEは、サイト地域ごとに「地域会議」を設置しており、この会議体において地上施設の設置区域案に対する検討が進められている。地域会議には、州及び自治体の代表者のほか、一般市民も参加している4 。地域会議は、NAGRAが地上施設の設置区域案を提案した際に考慮した観点のほか、地元独自の観点を加えて検討することになっている。このため、NAGRAが提案した以外の地上施設の設置区域案の提案を見解に含めることができる。各々の地域会議の見解表明は総会の議決によって行われる。

BFEのプレスリリースによると、各サイト地域で検討中の地上施設の設置区域案の数や、それらの評価手続き等が異なっているため、6つのサイト地域の見解表明の時期は同一にならず、地域会議それぞれが設定している総会の開催日程に応じて、2013年前半中に順次行われていく予定である。

6つのサイト地域が見解を表明した後、NAGRAは計画範囲ごとに、地上施設の設置区域を最低でも1カ所提示する作業に着手することになっている。特別計画で事前に定められている手続きを経て(下記<参考>を参照)、高レベル放射性廃棄物用と低中レベル放射性廃棄物用の地層処分場についてそれぞれ最低でも2カ所のサイトまで絞り込み、その結果に対する連邦評議会の承認をもって第2段階が完了(BFEの見込みでは2016年)となる。

今回のプレスリリースにおいてBFEは、サイト地域の見解表明がされた時点で、当該のサイト地域における地上施設の立地点に関する判断が行われるものではなく、サイト地域の見解表明のタイミングが前後することによって、あるサイト地域が以降の手続きで優遇されることも不利な扱いを受けることはないと言明している。

 

<参考>特別計画「地層処分場」の第2段階における選定手続き

第2段階の概要図 (特別計画「地層処分場」 方針部分(2008年4月2日)を基に作成)

第2段階の概要図
(特別計画「地層処分場」 方針部分(2008年4月2日)を基に作成)

2011年末に開始された特別計画「地層処分場」の第2段階では、最初のステップとして、地域参加プロセスが本格的に開始されることとなっており、地上インフラに関する検討、安全性に関する評価(予備的安全評価)、経済・社会・環境影響についての評価等の実施が規定されている。右図では、赤枠で囲んだ部分がこれに該当する。このステップを踏まえて、高レベル放射性廃棄物の地層処分場について最低2カ所、低レベル放射性廃棄物の地層処分場について最低2カ所の候補サイトが選定される。現在進行中の赤枠部分の実施内容は以下の通りである。

■地域参加

遅くとも第2段階において「サイト地域」に属する自治体が地域参加の組織を立ち上げ、活動を開始させる。これらの自治体が地域参加の枠組みの中で連邦官庁やNAGRAと共働して地域の利益を代表する。

現在では地域参加プロセスの中で、連邦エネルギー庁(BFE)が主導で設置した6つの地域会議が活動しており、合計で202の自治体が参加している。各地域会議は約50名から最大150名までのメンバーで構成されており、州の代表者やサイト地域を構成する自治体の代表者、経済団体・政党・教会等の代表者、住民が参加している。

■処分場プロジェクトの具体化

NAGRAは必要な地上インフラの配置と形態の提案を策定し、処分場の地下施設を設計する。サイト地域ではNAGRAの提案を検討し、地上インフラの形態、設置、開発について見解を示す。その後、サイト地域と共働して、NAGRAは計画範囲ごとに地上施設の設置区域を最低1カ所提示する。

2012年1月にNAGRAは地上施設の設置区域20カ所を提案した。サイト地域の見解表明は2013年前半中にサイト地域ごとに順次行われる予定である。その後、NAGRAが計画範囲ごとに地上施設の設置区域を最低でも1カ所提示することとなっており、その時期は2013年後半以降となる(2012年1月30日付既報及び2012年10月15日付け追記を参照)。

■予備的安全評価

NAGRAは、提示した最低1カ所の地上施設の設置区域を考慮しながら、予備的安全評価を実施する。同評価は、放射性廃棄物の閉じ込めにおける個々のバリアの性能及びその挙動の解明と、第1段階で選定されたそれぞれの地質学的候補エリアにおける線量の評価値が、防護基準である0.1mSv/年を超えないことの立証を目的とする。予備的安全評価の結果は、サイトの比較に用いられるとともに、それにより、概要承認の申請時に必要とされるデータを収集するために第3段階においてどのような調査が必要となるかが明らかになるとされている

サイトに関する知見によって予備的安全評価が可能となるが、場合によっては追加調査を実施しなければならず、NAGRAは早期に連邦原子力安全検査局(ENSI)と追加調査の必要性を検討しなければならない。

■地域開発及び環境の観点

第1段階で確定した地質学的候補エリアの計画範囲に基づいて、第2段階でNAGRAは、選定したサイトの地域開発計画評価のための資料を作成する。続いて、連邦国土計画庁(ARE)は、サイト地域の所在州(1つまたは複数のサイト地域を含む州)と共働してサイトの地域開発計画を評価する。また、第3段階で実施する環境影響評価の第1ステージを考慮して、NAGRAは予備調査において、提案した候補サイトにおける地層処分場の建設が環境に与える影響を調査し、その後、環境影響評価の仕様書を作成する。

■社会・経済的基盤研究

地層処分場が立地地域に与える社会・経済的影響をサイト地域が包括的に把握・評価できるようにするため、BFEは地域の持続的な開発のための戦略、対策、プロジェクトを新たに策定するか、または現行の戦略、対策、プロジェクトを更新する。BFEがサイト地域との共働で実施する、サイト地域での地層処分場の計画、準備、建設、操業及び閉鎖の影響についての調査が、地域開発戦略の基盤をなす。

なお、2012年6月にBFEは地層処分場が地域に与える経済影響に関する中間報告書を公表した。この後、社会影響と環境影響に関する調査が実施されることとなっており、2013年夏に社会・経済・環境影響に関する最終報告書を公表する予定である

【出典】


  1. 特別計画「地層処分場」の「2.2.2 地質学的候補エリア、計画範囲、サイト地域」及び「略語一覧、用語」によると、サイト地域は、候補エリア所在自治体(地質学的候補エリアが領域の一部あるいは全体にわたって含まれる自治体)、並びに計画範囲(建設される可能性のある地上施設の配置を考慮して、地質学的候補エリアの広がりによって確定される地理的領域)の境界内に全体が含まれるか、それを管轄領域の一部に含む自治体によって構成される。また、事情によってはその他の自治体がサイト地域に含まれることもある。 []
  2. 「特別計画」では、共働は「計画の枠組みにおいて生じうる係争を適切に認知し解決できるようにするために、影響を受ける連邦、州、隣接諸国の官庁、並びに公的課題が付託されている限りにおける公法上・私法上の組織と個人を、早期に関与させる」と規定されている。 []
  3. NAGRAの技術報告書NTB11-01によると、地上施設は地層処分場への物資の搬入の入口等から構成されており、地上インフラの一部とされている。他方、地上インフラには、地上施設、道路、線路、坑道・斜坑・処分場の建設現場の設備、斜坑の頂上部の施設等が含まれる。 []
  4. サイト地域にドイツの自治体が含まれる場合はドイツの代表者も参加する。 []

スイスの連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2012年11月5日付のプレスリリースにおいて、原子力発電事業者が2011年に行った廃止措置及び放射性廃棄物の処分に関する費用見積りを、技術的観点から妥当なものと評価したことを公表した。

スイスにおいて原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処分に係る資金確保については、原子力法に基づく「廃止措置・廃棄物管理基金令」が枠組みを定めており、原子力施設の所有者が、5年毎に廃止措置費用及び放射性廃棄物の処分費用の見積りを行うことを規定している。この規定に基づいて、原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリア1 は、2011年にこれらの費用の見積りを行っていた。
プレスリリースによると、ENSIは、エンジニアリング会社の協力を得て、放射性廃棄物の処分費用の見積りを評価したとしている。その結果、低・中レベル放射性廃棄物用と高レベル放射性廃棄物用の地層処分場のいずれについても、建設、操業及び閉鎖に関して原子力発電事業者が行った処分費用の見積りは、現在の知見の水準を踏まえて、完全かつ妥当であるという結論に至ったとしている。なお、処分費用の見積りの基礎的な算定は、処分の実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が行っている。
一方、ENSIは、次回以降の費用見積りにおいて考慮すべき点として、以下の6点を勧告している。

  • 研究施設の廃止措置廃棄物の種類と量の評価について考慮し、更新すべきである。
  • 輸送が実際に行われるのは数十年後になることから、「陸路による危険物の国際輸送に関する欧州協定」(ADR)に依拠して、個々の輸送容器の輸送能力を精査すべきである。
  • 地下のデータ収集に関するスケジュールについて検討し、改訂すべきである。
  • 処分場のシール構造(高圧縮ベントナイトブロックなど)の費用評価を検証し、類似した処分場プロジェクト(フランス、ベルギー)と比較すべきである。
  • 地層処分場内の坑道ライニング(掘削支保及びライニング)の厚みが妥当かどうかを判断するために、サイトを特定して検討すべきである。
  • ENSIは、低・中レベル放射性廃棄物処分場サイトにおける地下特性調査施設の許認可、建設から操業に至る期間を10年以下としている原子力発電事業者のスケジュールを楽観的すぎると指摘していた。このため、地下データの収集スケジュールを段階的に検討、更新し、その結果として見積られる費用の変化を示すべきである。

なお、2011年の原子力発電事業者の見積り額は、原子力発電事業者が負担する放射性廃棄物管理費用が、合計176億8,000万スイスフラン(日本円で約1兆5,205億円、1スイスフラン=86円で換算、以下同じ)である。

また、原子炉5基の運転停止後に必要となる廃止措置などと放射性廃棄物の管理費用2 の合計は、206億5,400万スイスフラン(1兆7,762億円)であり、このうち、「廃止措置基金」及び「廃棄物管理基金」で確保すべき資金が115億スイスフラン(9,890億円)になる。原子力発電事業者が引当金や経費として費用負担するか、実施する放射性廃棄物管理費用の合計は91億5,400万スイスフラン(7,872億4,400万円)である。

 

事業者が費用負担する、または引き当てる費用

基金により確保すべき費用

原子炉の運転停止後
(原子力発電事業者が直接行う放射性廃棄物管理の費用―ベツナウ中間貯蔵施設(ZWIBEZ)での貯蔵及び各原子炉サイトでの搬送準備等を含む)

17億900万スイスフラン

(1,469億7,400万円)

放射性廃棄物管理費用
(放射性廃棄物の処分費用等―ヴュレンリンゲン中間貯蔵施設(ZWILAG)での貯蔵を含む)

74億4,500万スイスフラン

(6,402億7,000万円)

85億2,600万スイスフラン

(7,332億3,600万円)

(中間貯蔵費用3 を含む)

廃止措置費用

29億7,400万スイスフラン

(2,557億6,400万円)

合計

91億5,400万スイスフラン

(7,872億4,400万円)

115億スイスフラン

(9,890億円)

【出典】

【2012年11月26日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)の2012年11月21日付のプレスリリースによると、「廃止措置基金」及び「廃棄物管理基金」を管理する基金委員会は、原子力発電事業者が2011年に行った廃止措置及び放射性廃棄物の処分に関する費用見積りを受けて、2012~2016年の期間に原子力発電事業者が基金に支払うべき拠出金を決定した。

プレスリリースによると、2012~2016年間の期間における原子力発電事業者4社の廃棄物管理基金に対する1年間の拠出金額の合計は、1億1,830万スイスフラン(日本円で101億7,380万円、1スイスフラン=86円で換算、以下同じ)とされている。また、同じ期間における、原子炉5基及びヴュレンリンゲン中間貯蔵施設(ZWILAG)を対象とした廃止措置基金に対する原子力発電事業者の1年間の拠出金額の合計は、5,600万スイスフラン(48億1,600万円)である。

【出典】


  1. http://www.swissnuclear.ch/en/home.html []
  2. 廃止措置・廃棄物管理基金令は、「廃止措置基金」及び「廃棄物管理基金」によって、原子力発電所の運転停止後に必要となる廃止措置及び放射性廃棄物の処分費用を確保すべきことを規定している。なお、原子力発電所の運転停止の前に必要となる資金については、原子力法において、発電所の所有者が引当金を計上することにより資金確保すると規定されている。 []
  3. 発電所サイト内での中間貯蔵は事業者が直接負担し、サイト外での中間貯蔵は基金により賄われる。 []

今回の中間報告で調査の対象となった「サイト地域」(BFE、特別計画「地層処分場」第2段階におけるサイトの比較のための社会・経済・環境影響に関する調査 第1部(中間報告書)、2012年7月より)

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2012年7月2日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物の地層処分場が立地する地域に与える経済影響に関する第1回目の中間報告書を公表した。BFEは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づいたサイト選定プロセスを主導しており、2011年12月に確定した6カ所の地質学的候補エリア を包含する形で設定されている右図の「サイト地域」1 を対象にして、処分場立地によって生じる経済影響、環境影響、社会影響の調査を実施している。今回の中間報告書は、このうち経済影響の中間調査結果を取りまとめたものであり、今後本格化することになる「サイト地域」における地域参加プロセスでの検討材料としてBFEが準備することとなっている。 今回の経済影響の調査では、地下特性調査施設の建設から地層処分場の閉鎖に至るまでの期間を94年間と仮定し、この期間に生じうるプラスとマイナスの効果・影響の双方を、6つの観点― ①地元経済、②雇用、③観光業、④農業、⑤税収、⑥交付金―について分析している。BFEのプレスリリースでは、経済影響の調査結果として、調査対象のいずれの「サイト地域」においても、経済影響は小さいとしている。 なお、BEFのプレスリリースによると、BFEは、今後行われる地域参加プロセスの中での検討を踏まえ、今回の経済影響に関する中間報告書を改訂する予定としている。また、BFEは、環境影響と社会影響に関する調査を、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が地質学的候補エリアごとに少なくとも1カ所の地上施設の設置区域を指定した後で開始する考えを示しており、社会・経済・環境影響に関する調査(ドイツ語ではSÖWと略される)の最終報告書を、2013年の夏に提出する予定としている。

同プレスリリースにおいてBFEは、今回の経済影響に関する中間報告書での6つの観点の調査結果を以下のように要約して示している。

  1. 地元経済

地層処分場の建設・操業費の一部が「サイト地域」に流入することで地元に生じる影響の度合いは、もともとの経済規模が大きければ小さくなり、建設業比率が高ければ大きくなる。年間平均で見た地元経済の規模は、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の場合は1,500~1,630万スイスフラン(日本円で12.9~14億円、1スイスフラン=86円で換算、以下同じ)であり、同じ場所で低・中レベル放射性廃棄物も処分する場合には1,870~2,030万スイスフラン(16.1~17.5億円)と試算している。

  1. 雇用

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の場合の雇用創出効果は109~120名であり、同じ場所で低・中レベル放射性廃棄物も処分する場合には139~153名と試算している。

  1. 観光業

地層処分場の視察者による増収が期待できる一方で、自然を求める観光客の減少も見込まれるため、地元が有する観光資源によって影響度は異なる。観光業の年間売上額は、10~540万スイスフラン(860万~4.6億円)の減収と試算している。

  1. 農業

地層処分場による農業における減収額は、一年当たり10~60万スイスフラン(860万~約5,200万円)と試算している。

  1. 税収

高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設期間における税収増は、年間33~46万スイスフラン(2,800~4,000万円)であり、同じ場所で低・中レベル放射性廃棄物も処分する場合には年間45~67万スイスフラン(3,900~5,800万円)と試算している。なお、法人税収の減少から、操業期間については建設期間に比べて税収増の効果は薄れる見込みである。

  1. 交付金

特別計画によれば、国としての課題の解決に貢献している自治体などが受け取るべき交付金の額については、法的根拠は定められておらず、第3段階で交付金に関する検討が行われ、概要承認が発給されてはじめて、処分義務者によって支払われるとされている。BFEのプレスリリースによると、処分義務者である原子力発電事業者は、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の交付金は5億スイスフラン(430億円)であり、同じ場所で低・中レベル放射性廃棄物も処分する場合の交付金は8億スイスフラン(約690億円)と見積っており、サイト地域によらず同額としている。

  1. 結論

地下特性調査施設の建設から地層処分場の閉鎖に至るまでの期間全体で、調査対象の各々のサイト地域において地層処分場がもたらす現在の地元経済、雇用、及び税収へのプラス及びマイナスの効果・影響はわずかである。

【出典】


  1. 特別計画「地層処分場」の「2.2.2 地質学的候補エリア、計画範囲及びサイト地域」及び「略語一覧、用語」によると、サイト地域は、候補エリア所在自治体(地質学的候補エリアが領域の一部あるいは全体にわたって含まれる自治体)と、区域内に計画範囲(建設される可能性のある地上施設の配置を考慮して、地質学的候補エリアの広がりによって確定される地理的領域)が全部または一部含まれる自治体で構成される。さらに理由があれば、別の自治体をサイト地域に加えることもできるとされている。 []

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は、2012年6月15日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分の実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、2008年10月に提出していた放射性廃棄物管理プログラムと、それに対する監督官庁による評価結果に対して、3カ月の意見募集を開始したことを公表した。意見募集は2012年9月28日まで行われる。

放射性廃棄物管理プログラムは、原子力法によって、廃棄物処分義務者が作成し、5年ごとに更新することが義務付けられているものである。放射性廃棄物管理プログラムには、処分場を閉鎖するまでの地層処分の概要を示すとともに、安全な地層処分を実現するための基本的措置が記載されている。NAGRAは、2008年10月に地層処分場の地質学的候補エリアに関する報告書と同時に、放射性廃棄物管理プログラムを提出していた 。放射性廃棄物管理プログラムに対する審査は、BFEのほか、規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)がそれぞれ実施した1 。さらに、それらの評価結果に対して、BFEの諮問機関である原子力安全委員会(KNS)が評価した。今回の意見募集は、NAGRAの放射性廃棄物管理プログラム、並びに放射性廃棄物管理プログラムに対するBFE、ENSI、KNSの意見書の全てを対象としたものとされている。

BFEのプレスリリースによると、BFE及びENSIは、NAGRAの放射性廃棄物管理プログラムが、法令で規定された要件を満たしているとの結論を示している。その上で、BFEは、放射性廃棄物管理プログラムの今後の更新に対して、以下のような勧告を行っている。

  • 次回の放射性廃棄物管理プログラムの更新時期は、処分費用及び原子力発電所などの廃止措置費用の見積りと同時に審査できるようにするために、2013年ではなく2016年とすること2
  • 次回の放射性廃棄物管理費用の見積りには、放射性廃棄物の処分場からの回収に必要となる費用の試算を含めること
  • NAGRAだけでなく、原子力発電事業者やその株主が、放射性廃棄物処分に関する情報公開にこれまで以上に責任を持つこと

また、ENSIも以下のような今後の放射性廃棄物管理プログラムの更新に関する勧告を行っている。

  • NAGRAは、次回の放射性廃棄物管理プログラムの提出に先立ち、今後の研究開発及び実証活動の目的、範囲、スケジュール等を示した報告書を提出すること
  • NAGRAの計画では、地下特性調査施設の建設と地下での調査は、原子力施設である地層処分場に関する準備及び許可手続きと平行して進められることから、次回の放射性廃棄物管理プログラムでは、地下特性調査施設で得られた成果を、地層処分場の建設許可申請に取り入れることが時間的に可能であるのかどうかについて、明らかにすること
  • 低中レベル放射性廃棄物処分場サイトにおける地下特性調査施設の許認可、建設から操業に至る期間が10年以下とされているスケジュールは、ENSIの観点からは楽観的すぎる。このため、次回の放射性廃棄物管理プログラムにおいては、地下特性調査施設に関する計画や予定されている試験について、段階別に具体的に示すこと
  • 次回の放射性廃棄物管理プログラムの更新では、情報の長期保存、品質マネジメントプログラムの考え方、モニタリング期間、処分場の閉鎖、放射性廃棄物の回収、標識の概念、並びに操業期間中の処分場の一時的な閉鎖について補足すること

さらに、KNSは、BFEとENSIによる審査は精緻であると評価し、両者が行った勧告を支持した上で、処分の実施計画、放射性廃棄物量、長期安全性、処分概念、研究・開発プログラム、及び処分費用に関する勧告を示している。

BFEのプレスリリースによれば、放射性廃棄物管理プログラム、監督官庁の評価結果、及び意見募集の結果に関する報告書は、承認を得るために2013年に連邦評議会に提出する予定とされている。その後、放射性廃棄物管理プログラムは、連邦議会に報告されるとしている。

【出典】


  1. BFEのプレスリリースによると、地層処分場の地質学的候補エリアの提案に関する審査と評価書の作成を優先し、それらの作業が終了した後から、NAGRAの放射性廃棄物管理プログラムの審査に着手したとされている。 []
  2. 放射性廃棄物管理プログラムは、5年ごとに更新することとされており、NAGRAは2008年に同プログラムを提出していることから、次回の更新時期は2013年となる。他方、放射性廃棄物管理費用の見積りは5年ごとに行われており、前回の見積りは2011年に実施されていることから、次回の見積りの更新時期は2016年となる。BFEは、放射性廃棄物管理プログラムの更新と管理費用の見積りを同時に進めるために、同プログラムの次回の更新時期を2016年にすべきであると勧告している。 []