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カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、機関設立の2002年秋からの3カ月間の活動をまとめた年報、「対話から意思決定へ:核燃料廃棄物管理」を公表した。この年報は、2002年11月に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)における規定(第16条(1)および第26条(1))に基づいて作成されたものであり、2003年3月28日に初の年報として天然資源大臣に提出された。(核燃料廃棄物法の施行およびNWMOの設立については既報を参照のこと)。

同法の定めによれば、NWMOは、2005年11月15日までに核燃料廃棄物の長期管理に対する計画を政府に対して提案しなければならない。この使命を達成するために、NWMOは、科学技術的な側面からだけでなく、倫理、社会、経済的な問題も考慮したさまざまな管理方法の総合的な研究を行わなければならない。

年報では、2002年における主な活動が記述され、また、関係機関との対話の開始、対話から得られた教訓および今後の予定などがまとめられている。主な内容は以下のとおりである。

1.2002年における主な活動

NWMOは、非営利の法人で、核燃料廃棄物の主な所有者であるオンタリオ・パワージェネレーション社、ハイドロ=ケベック社、ニューブランズウィック社によって創設されたものである。核燃料廃棄物法では、資金確保方策について「信託基金」の設立を規定し、基金への拠出は上述の3つの原子力事業者およびカナダ原子力公社(AECL)が行うことが規定されている。2002年における拠出額は以下のとおりである。

オンタリオ・パワージェネレーション社 5億CAD(約405億円)
ハイドロ=ケベック社 2,000万CAD(約16億円)
ニューブランズウィック社 2,000万CAD(約16億円)
カナダ原子力公社(AECL) 1,000万CAD(約8.1億円)

(CAD=カナダドル、1CAD=81円として換算)

また、NWMOは、2002年秋に「諮問機関」を設立しており、そのメンバーには原子力技術に精通した人だけでなく、連邦、州および地元レベルの政府機関において優れたキャリアを有し、公共政策の社会的な側面などの重要性についても見識のある人が選任された。この諮問機関は、NWMOの廃棄物管理オプションを倫理および社会的な側面から評価し、また市民を含めた関連機関とのオープンで透明性の高い対話を行うこととなっている。

さらに、NWMOは、設立の当初より、原子力発電所が所在する地元の市長、コンサルタント、規制機関、議員などを含めた幅広い利害関係者や、諸方面の専門家などとの対話を行ってきている。

2.今後の活動に向けて

さまざまな利害関係者との対話を通してNWMOが受けたメッセージには、「核燃料廃棄物管理研究の分析は、総括的、独立的かつ客観的でなければならず、また過度に原子力産業や政治による影響を受けてはならない」ことや、「研究の過程は、透明性が確保され、またさまざまな人が関与出来る方法で進めなければならない」というものがあった。

これらのコメントを受け、NWMOは今後の活動計画を予備検討段階で公表し、NWMOの考えを提供しつつ対話を進める方針である。NWMOは2005年11月15日までの3年間に行う研究を3段階に分け、それぞれの段階で以下の事項に焦点を置いて研究を進めようと考えている。

第1段階: 期待することについての対話
一般公衆と対話をし、NWMOの使命を知ってもらい、研究計画をまとめるために助言を得る
第2段階: 基本的な問題の探求
第1段階で明らかとなった基本的な問題を考慮し、さまざまな放射性廃棄物管理オプションを研究する
第3段階: 核燃料廃棄物の管理アプローチの評価
第2段階で明らかとなった特定の管理アプローチについて評価を行う

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト3月28日ニュースリリース http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=73,50,19,1,Documents
  • Annual Report 2002 From Dialogue to Decision: Managing Canada’s Nuclear Fuel Waste, NWMO, 2003 http://www.nwmo.ca/adx/asp/adxGetMedia.asp?DocID=72,18,1, Documents&MediaID=140&Filename=NWMO_2002_Annual_Report_E.pdf
  • 核燃料廃棄物の長期管理に関する法律(An act respecting the long-term management of nuclear fuel waste)

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、下院の環境・食糧・農村地域(EFRA)委員会に対し、「放射性廃棄物の安全な管理」に関する最初の進捗報告書を2002年12月に提出していたことを公表した。この進捗報告書は、EFRA委員会によって毎年末迄に提出することが求められているもので、今回がその第1回目の報告となる。

DEFRAは2002年7月29日に、半年間にわたり実施してきた「放射性廃棄物の管理に関する協議用文書」についての協議を終了させ、2002年末までに放射性廃棄物の管理方法についてのレビュー・プロセスを監督し、最良の管理方法を勧告するための独立組織を設立することを表明していた(詳細は 既報を参照)。今回の進捗報告書では、組織設立に関する事項、管理オプションのレビューの開始に向けた報告および協議用文書におけるその他の問題についての進捗状況が報告されている。

新しく設立される独立組織は、CoRWM(Committee on Radioactive Waste Management)という名称が付けられている。その組織体制と作業内容について、DEFRAは2002年7月の組織設立の表明以来、検討を行ってきた。DEFRAは、時間と資源の有効利用の観点から、CoRWMに対し、最初の作業計画において、いかに早く、最も可能性の低いオプションを排除し、より重要な議論に焦点を絞るかを明確に示すよう求めている。DEFRAは、CoRWMに対して考慮事項などを指示するよりも、CoRWM自身が作業計画を策定し、DEFRAの合意を得ることを期待するとしている。なお、CoRWMは、政府に勧告する管理方法が実質的であり、公衆の信頼を得ることができ、実施可能であることを保証するため、研究計画と公衆や利害関係者が参加する討論会の計画も策定することとなっている。

同報告書ではCoRWMの委員長および12名のメンバーについて、全国紙に広告を載せて募集するとしていた。DEFRAは2003年3月26日付けのニュースリリースで当日(3月26日)より31日まで全国紙で募集広告を掲載し、申し込みの締め切りを5月2日とすることを発表した。広告には、委員長および委員に対して求められる分析能力や情報伝達能力などの必要な素質について具体的に述べられている。また、委員長が最初に選出され、その他のメンバーの選出を補助することとされている。

DEFRAはCoRWMの設立を2003年の夏までに行うよう提案している。また、DEFRAは、CoRWMからの勧告を受け、放射性廃棄物の長期管理方法についての決定を2006年までに行いたいとしている。

【出典】

  • DEFRAウェブサイトの3/17付けの新着情報 http://www.defra.gov.uk/environment/whatsnew.htm(http://www.defra.gov.uk/environment/radioactivity/waste/pdf/radwaste_efra-cttee_dec02.pdf)
  • DEFRAの3/26付けのニュースリリース http://www.defra.gov.uk/news/2003/030326a.htm

原子力規制委員会(NRC)は、エネルギー省(DOE)によるネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設認可申請(2004年末を目標)を審査するためのレビュープラン(最終版)の草案を公表した。このレビュープランは法的に規定されているものではなく、また規制要件を課すものでもない。許認可基準はネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分(10 CFR Part 63)に規定されている。

ユッカマウンテン・レビュープランの主要目的は、DOEによる申請に対してNRCが審査を行い、修正を要求する際のNRCの品質、画一性、一貫性を保証することである。2002年3月にも同計画書の草案が公表され、2002年8月12日までの5ヶ月間にわたり、パブリック・コメントが受け付けられた。NRCは意見公募のため、ネバダ州において同草案についての公聴会を3回開催している。NRCは、NRCの諮問機関である放射性廃棄物に関する諮問委員会(ACNW)からのコメントも含め、約1,000のコメントを受領した。

今回の計画書(最終版)の草案は意見公募のためではなく、情報提供のために公開されたものである。また、今回の草案はNRCの委員会(NRC内の意思決定を行う委員会)としての最終的な承認が得られたものではなく、今後修正される可能性がある。委員会が同計画書を承認した場合、NRCは最終版を発行し、2002年3月発表の草案に対して出されたパブリック・コメントの要約や修正点を含む通知を官報にて発表する。

同計画書は、概要情報(第1章)、閉鎖前の安全性、閉鎖後の安全性、安全性に関する疑問を解決するための研究開発プログラム、性能確認プログラム、管理上およびプログラム上の要件の各々についてのレビュー・セクション(第2章)、用語集(第3章)で構成されている。各セクションでは、10 CFR Part 63に定める特定の規制要件に準拠しているかについての決定基準・方法等に関しての記述がなされている。規則およびユッカマウンテン・レビュープランは、可能な限りリスクインフォーム型で性能に基づいたものとなっている。

なお、NRCは今年中に「ユッカマウンテン・レビュープラン(最終版)」を発行する模様である。「ユッカマウンテン・レビュープラン(最終版)草案」はNRCのウェブサイトhttp://www.nrc.gov/waste/hlw-disposal/ml030800361.pdfから、PDFファイル版を入手できる。

【出典】

  • 2003年3月24日付けNRCニュース、 http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2003/03-034.html
  • ユッカマウンテン・レビュープラン(最終版)草案、 http://www.nrc.gov/waste/hlw-disposal/ml030800361.pdf

新しい原子力法の発効までのフロー図

原子力利用に関する新たな法律として、スイス連邦議会は、2003年3月21日に、新しい原子力法案を可決した(全州議会:32対6、国民議会:102対75)。この法律は、これまでのスイスの原子力利用の基本法である「原子力の平和利用に関する法律(原子力法、1959年)」と同法を補完した「原子力法に関する連邦決議(1978年)」を置き換えるためのもので、2001年2月に議会に提出されて以来、約2年の間審議が続けられてきた。本法律の発効については、後述の2つの国民発案1 に対する国民投票(2003年5月18日に実施)の結果を受けて別途決定されることとなる。(新しい原子力法の発効までの流れについては右図を参照)

新しい原子力法では、高レベル放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の概要承認2 (詳細は こちら)・建設・操業・閉鎖許可に関しては、連邦政府によってのみ発給されることとなっている。その他、使用済燃料の再処理については、現在結ばれている再処理契約が終了する2006年以降、10年間の凍結が規定されているほか、概要承認の際に任意の国民投票3 が適用されることについても規定されている。2001年2月に議会提出された法律案では、高レベル放射性廃棄物処分場の概要承認の発給に関する手続において、地元州による同意の必要性や水利権許可の留保が規定されていた。しかし、その後の約2年間にわたる審議の結果、この規定は削除され、州の同意や水利権等の許可は不要となっている。

また、新しい原子力法は原子力利用に関する連邦憲法の改正を求めて提出された以下の2つの国民発案に対する連邦政府の間接的な対案として位置づけられている。この2つの国民発案に対する国民投票は2003年5月18日(日)に行われる予定となっている。なお、連邦議会は、連邦決議においてこれらの国民発案を拒否するよう国民に勧告している。

モラトリアム・プラス:
現行の新規原子力発電所の建設凍結(モラトリアム)をさらに10年間延長する。
原子力に依存しない電力:
使用済燃料の再処理禁止と原子力発電所の段階的閉鎖を実施する。新しい原子力法では、上述の2つの国民発案が取り下げられるか、または否決された場合に公布されると規定されている。また、法律の発効については、別途連邦評議会が定めることとなっている。なお、スイスでは新しい連邦法の発効にあたって、任意の国民投票という制度が適用されるため、新しい原子力法についても公布後に国民投票にかけられる可能性がある。

【解説】

スイスでは、ニドヴァルデン州のヴェレンベルグでの低中レベル放射性廃棄物処分場の立地に向けた調査申請の例に見られるように、現行の法制度においては、放射性廃棄物の処分に関するプロジェクトの実施が州の持つ権限により否決される可能性(詳しくは こちらを参照)がある。このため、許可発給手続を連邦レベルに一任するように、新しい原子力法による法的な整備が検討されてきた。

【出典】

  • 連邦議会ウェブサイト
    http://www.parlament.ch/ab/frameset/d/index.htm 2002/oktober/unterseite1/index.html
  • The Swiss Confederation a brief guide 2002
  • 新原子力法案(Kernenergiegesetz Entwurf)2001.2
  • 新しい原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3
  • 連邦エネルギー庁(BFE)ウェブサイト
    http://www.energie-schweiz.ch/bfe/en/energiepolitik/epolgeschaefte/unterseite6/index.html http://www.admin.ch/ch/d/ff/2001/2825.pdf

  1. 「国民発案」および「国民投票」は、スイスの連邦憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけられることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の注3で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
  2. 「概要承認」とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す。【原子力法に関する連邦決議】 []
  3. 「任意の国民投票」とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まれば国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []

2003年2月20日、米国の2003年度予算が大統領の署名を得て決定した。この予算は2002年10月1日から2003年9月30日の期間に対するもので、本来であれば2002年9月に成立すべきものが遅れていたものである。ユッカマウンテン処分場に関する予算決定額は4億6,000万ドルで、要求額からは約1億3,100万ドルの減額となっており、エネルギー長官はスケジュール遅延の懸念を表明している。なお、2004年度予算については、これより先の2月3日に5億9,100万ドルの要求がエネルギー長官よりなされている。

米国における予算年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間であるが、今回の2003年度の予算は大幅に遅れて決定されている。米国では予算承認に当たっては、通常は13の分野別の歳出法が制定されることとなっており、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係では「エネルギー・水資源歳出法」が制定されてきた。しかしながら、今回は先に承認されていた国防関係の分野を除いた分野全体についての包括歳出法として予算が承認されている。

2003年度予算の中で、放射性廃棄物政策法に定められた高レベル放射性廃棄物処分関係については、大統領要求額の5億9,080万ドルから約1億3,100万ドルの減額となった。前年度の2002年度との対比では約8,500万ドルの増加となっている。これを財源別に見ると、放射性廃棄物基金から1億4,500万ドル、国防分見合いとしては要求額通りの3億1,500万ドルとなっている。

また、この2003年度予算決定に先立つ2月3日には、2003年度予算が確定していない状態のまま、2004年度の予算要求額がエネルギー省(DOE)から公表されている。この2004年度の予算要求では、高レベル放射性廃棄物処分関係は5億9,100万ドルの要求が行われている。

こうした状況を受けて、エネルギー長官は、2月25日に行われた上院エネルギー・天然資源委員会における2004年度予算に関する証言において、「2004年度予算要求は2003年度予算要求と対をなすものとして行っている。2003年度予算の4カ月以上の遅れ、および大幅な削減は、2004年末までに建設認可申請を間に合わせることを危うくするものである」との懸念を表明している。

【出典】

2003年2月5日、韓国産業資源部(MOCIE)1 は中低レベル放射性廃棄物処分場および使用済燃料中間貯蔵施設の立地候補地4ヶ所を公表した。

  • 西海岸側:全羅北道にある高敞【コーチャン】、全羅南道にある霊光【ヨンクワン】
  • 東海岸側:慶尚北道にある蔚珍【ウルチン】と盈徳【ヨントク】

今後1年間、この4ヶ所において地質・環境調査および地域協議を実施し、政府・学術経験者・研究者・社会団体で構成される「サイト選定委員会」にて、最終的に2ヶ所(全羅から1ヶ所、慶尚北道から1ヶ所)を選定する予定である。選定された2ヶ所には、政府からそれぞれ300億ウォン(約30億円:1ウォン=約0.1円)および様々な地域共生プロジェクトが実施される。【出典1、2】

政府と韓国水力原子力株式会社(KHNP)は、候補地に選ばれた4地域以外の他の地域で今年中に自主的誘致申請がある場合、当該地域を優先的にサイト選定の過程に入れ、推進することを明らかにしている。【出典2】

韓国では、MOCIEが原子力発電所の建設・運転、中低レベル放射性廃棄物管理に関する責任を負っている【出典3】。またKHNPが、国家放射性廃棄物管理方針に基づき、放射性廃棄物管理およびプロジェクト推進の責任を負っている【出典4】。1997年に韓国科学技術部(MOST)からMOCIEに放射性廃棄物管理の責任が移管された後、MOCIEは新しい放射性廃棄物管理計画を策定した。同計画は、1998年に原子力委員会によって承認されている【出典3】

韓国では中低レベル放射性廃棄物処分場を2008年までに、使用済燃料については、中間貯蔵施設が建設される2016年まで、各原子力発電所にて貯蔵することとなっている【出典3】。現在、中低レベル放射性廃棄物はサイト内貯蔵されており、2008年には満杯となると見込まれている【出典1】。

候補地の選定過程

MOCIEおよびKHNPは、放射性廃棄物施設用地として200万m2(500エーカー)のサイトを確保するため、2000年6月から沿岸部に所在する46の地方自治体に対して公募を行った。公募は当初の締め切りが4ヶ月延長され、2001年6月末まで行われたが、誘致申請をする自治体はなかった【出典1、4】。

しかしながら、全羅北道にある高敞【コーチャン】、全羅南道の霊光【ヨンクワン】康津【カンジン】、珍島【チンド】、忠清南道の保寧【ポリョン】の5つの自治体において誘致申請を要求する住民請願が提起された。MOCIE側はこの動きを、有権者の過半数に近い住民たちが誘致賛成署名に参加している全羅南道の霊光と康津等に見られるように、過去の選定とは異なり、オープンで民主的な手続である「公募方式」により推進した結果、施設の必要性と安全性、施設誘致時の地域共生等に対して地元住民の受容性と理解度が大きく向上したためと評価している。【出典5】

2001年7月にMOCIEとKHNPは地方自治体の誘致申請に依存する現行の「公募方式」から、より積極的な「事業者主導方式」に転換する計画を示した。この「事業者主導方式」とは、事業者であるKHNPが誘致公募過程で得た教訓と施設の諸立地基準を考慮して、適切な候補地を選定した後、当該地方自治体と地元住民とに積極的に提案・協議する方式である。一方、計画において政府は「事業者主導方式」により事業を推進しても、オープンで透明性のある手続を通し、地方自治体と地元住民との十分な協議を行い、最適なサイトを選定するように最善を尽くすとしている。【出典5】

今回の「事業者主導方式」による候補地選定は、徹底した文献調査と分析、現地調査と各分野の専門家で構成された諮問委員会での検討を経て実施され、全5段階の過程に分けて進められた。【出典2】

第1段階では、臨海地域のうち244邑面(町村)単位の立地可能地域を選定した。第2段階では、各地域における地質適合性調査を行い、対象地域を108まで絞り込んだ。第3段階では、108の対象地域の中で、自然・人文・社会環境という条件上、好ましい20地域を選定した。第4段階では事業環境の観点から11地域を選定し、最終の第5段階では原子力発電所の地理的分布、放射性廃棄物輸送の容易性等を勘案し、東海岸と西海岸に各2ケ所ずつ、計4地域を候補地として最終選定した。したがって、今回選定された地域は、サイトの安全性および技術的な面で非常に優れた地域であるとされている。【出典2】

処分量・処分方法

中低レベル放射性廃棄物処分場には、まず200リットルドラム缶10万本を処分し、最終的には80万本を処分することになっている。処分方法については、サイト選定後に決定される。【出典4】

なお、韓国では現在原子力発電プラント18基(PWR運転中14基およびCANDU炉運転中4基)が稼働中、2基が建設中である。政府は今後の電力需要の増加に備えて、2015年までに更に8基を増設する予定である。原子力発電は韓国における最大の電力供給源であり、約40%の需要を賄っている。【出典1】

【出典】

  • 韓国産業資源部(MOCIE)2003年2月5日付けプレスリリース
  • 韓国産業資源部(MOCIE)広報官室、報道資料、2003年2月
  • 韓国科学技術部(MOST: Ministry of Science and Technology)ウェブサイト、 http://www.most.go.kr
  • 韓国水力原子力株式会社(KHNP)ウェブサイト、http://www.khnp.co.kr
  • 韓国産業資源部(MOCIE)広報官室、報道資料、2001年7月

  1. MOCIE:Ministry of Commerce, Industry and Energy []

英国Nirex社1 は、2003年1月7日に英国の放射性廃棄物に関する最新のインベントリを公表した。このインベントリには、2001年4月1日現在の英国に存在する放射性廃棄物の保管量と将来の予測量が記載されている。今回発表されたコンディショニング済みの廃棄物の予測量は、高レベル放射性廃棄物が1,510m³、中レベル放射性廃棄物が237,021m³、低レベル放射性廃棄物が1,508,420m³となっている。

今回の報告は、廃棄物の処理・パッケージング・貯蔵・長期管理に関する廃棄物管理政策、規制、計画に不可欠な最新情報を提供するものであり、その取りまとめは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)とNirex社によって行われている。このインベントリを公表した目的は、放射性廃棄物問題に関心のある人々に、開かれた透明性のある方法でデータを提供することであり、英国の原子力活動を行っている機関と主要な環境団体にも配布されている。また、今回の報告書は一般の利用向けに英国国立図書館に収められるほか、DEFRAおよびNirex社の図書室でも閲覧することが出来る。

放射性廃棄物のインベントリは1980年代初めより定期的にまとめられており、現在では3年毎に公表されている。前回は1998年4月1日現在のものが1999年7月に公表されている。今回報告された将来の予測量は、前回に比べて高レベル放射性廃棄物は20%減少、中レベル放射性廃棄物は10%増加、低レベル放射性廃棄物は19%減少している。こうした予測量における変動は、操業の内容と規模の変更、廃棄物のコンディショニングとパッケージングの前提条件の変更、廃棄物量の見積り方法の改善などによって生じるものである。

今回の報告は、主報告書と要約の2分冊および、英国核燃料公社(BNFL)、英国エネルギー(BE)社、英国原子力公社(UKAEA)、国防省等の主要な廃棄物発生者毎の6分冊の詳細報告書の計8分冊で構成されている。

主報告書では、全ての発生源(原子力産業活動および放射性廃棄物発生者)からの廃棄物量を取りまとめている。また、廃棄物の放射性物質の量と含有物質量に関する情報も含められている。この主報告書にはインベントリのとりまとめ方法に加え、廃棄物発生量の見積りのための基礎となるシナリオが提示されている。

一方、6分冊からなる各廃棄物発生者の詳細報告書には、廃棄物量、廃棄物の物質成分、化学的性質、現在および計画されている廃棄物のコンディショニングおよびパッケージングプロセス、放射性物質の量、放射性核種の濃度、計1,000以上もある廃棄物発生ルートにおける放射線レベルに関するデータなどが含まれている。また、それぞれのサイトにおいて、コンディショニングおよびパッケージングの際に貯蔵されている廃棄物量についてもまとめられている。

なお、これらの報告書については、Nirex社のウェブサイト(http://www.nirex.co.uk/)を通じて、CD-ROM版を入手することが可能である。

【出典】

  • 英国Nirex社プレスリリース (http://www.nirex.co.uk/inews.htm)

  1. 英国Nirex社(UK Nirex Limited)は中・低レベル放射性廃棄物を対象に、地層処分の安全、環境及び経済面についての調査を行うために、政府との合意によってUKAEA、BNFL等によって1982年に設立された有限責任会社。 []

スウェーデン政府は、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)が2001年9月に作成・公表した「研究開発実証プログラム2001」(RD&D2001)を適正な計画として認める決定を2002年12月12日に行った。この中でSKB社は、今後のより詳細な計画を記した文章の提出、2004年に予定されているSKB社の安全評価に対する国際的な専門家によるレビュー、今後も地層処分の代替技術にも注意を払い続けることが求められた。この政府決定に添って、今後SKB社は処分事業を進めていくことになる。

スウェーデンでは、原子力活動法の定めるところにより、SKB社は3年ごとに処分事業等の全般に渡る計画書を作成し、規制機関の原子力発電検査機関(SKI)に提出しなければならない。提出された計画書は、放射線防護機関(SSI)、大学、研究機関、関連自治体、環境団体等によるコメントを受け、SKIがSKIの独自の評価結果とともにとりまとめた後、最終的に政府がその評価を行うことになっている。また、この計画書は、評価機関である放射性廃棄物国家評議会(KASAM)によっても評価される。RD&D2001に関するSKIやKASAMによる評価は既に発表されており、RD&D2001を適正な計画書であると認める一方で、その内容については個々に必要と考えられる事項を指摘している。政府も同じくRD&D2001が適正であると認めたが、国民を含む関係者のニーズを満足させるためには、SKB社がより詳細な計画を示すことが必要であると言及している。その他に、安全評価および代替案の各項目それぞれについて、政府は、以下のようなコメントを行っている。

1. 安全評価

安全評価に関するSKI、SSI、およびKASAMの見解について、SKB社が十分に考慮しなければならないと言及している。加えて、SKB社が2004年に公表を予定している安全評価に対しては、国際的な専門家によるレビューを実施することを求めている。この結果に基づいて安全評価を改善しなければならないとしている。

2. 代替案

政府は、SKB社が地層処分に替わる放射性廃棄物管理の代替的な技術開発にも注意を払い続けるべきであると指摘している。健全な環境を保証する持続的な開発を目指すスウェーデンでは、環境法典により、環境に影響を与える可能性のある活動を行う者は、採用した方法が最善のものであることを、代替案との比較により記述することが必要であると規定されており、かつ、県域執行機関(CAB)や自治体その他の関連機関との協議において、説明を行わなければならない。政府は、代替案との比較に関する記述について、この協議において徹底的に検討が行われると考えている。

スウェーデンにおいては、現在オスカーシャムとエストハンマルにおいてサイト調査(地上からのボーリングによる調査)が実施されている。RD&D2001によると、2006年頃までにサイト調査および環境評価が実施され、2007年頃には立地、詳細特性調査および建設についての許可申請(詳細は こちら)を行う予定である。

【出典】

  • Rigeringsbeslut: Programe for forsning, utveckling och demonstration av metoder for hantering och slutforvaring av karnavfall, FUD-program 2001 (RD&D 2001に対する政府決定)
  • RD&D-Programme 2001, Programme for research, development and demonstration of methods for the management and disposal of nuclear waste, SKB, 2001
  • SKI:s yttrande over SKB:s redovisning av FUD-program 2001(SKB社のRD&D2001に対するSKIの評価),2002
  • Nulcear Activities Act (SFS 1984:3)(原子力活動法)
  • Environmental Code (SFS 1998:808)(環境法典)

「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)に基づいて設立された核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、核燃料廃棄物の長期管理アプローチを調査研究するという自らの使命をサポートするため、2003年1月31日付けで、ウェブサイト(www.nwmo.ca)を始動させた。NWMOの理事長でCEOのElizabeth Dowdeswell女史は、このウェブサイトに関し、今後3年間にわたって一般公衆との対話を実施するための重要なツールになるとコメントしており、また人々が核燃料廃棄物管理についてさらに学んでいくことの出来るようなダイナミックなバーチャル環境を提供し、これらの問題がどのように対処されるのかについて情報を把握することを手助けするようになっていくであろうと言及している。

このウェブサイトは、まだ開発段階ではあるが、NWMOとNWMOが担う使命に関し、導入的な情報を載せている。NWMOが前進するに従って、意見書、報告書、調査研究報告書などの中央保管所となっていくとしている。また、一般公衆の考えなどを募るため、コメントの受付、オンライン調査やインターネットを通じた簡単な世論調査などを行う対話的な環境の整備も考えられている。

また、Elizabeth Dowdeswell女史は、我々の成功は、重要な政策の議論に関係者をいかに関与させるかという我々の能力がどの程度あるかにより決定されるであろうともコメントしている。アクセス可能で、ナビゲートしやすいウェブサイトは、双方向のやり取りが可能なように、我々が取り組んできた数々の技術のうちの1つであると指摘している。

NWMOの設立は、2002年11月15日に発効された核燃料廃棄物法の要求事項の1つであった。NWMOは、核燃料廃棄物の長期的な管理のための少なくとも3通りの特定のアプローチを今後3年間にわたって研究し、カナダ連邦政府に対して勧告することとなっている。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイトニュースリリースより http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=51,50,19,1,Documents

2002年12月23日、フィンランドの放射線・原子力安全センター(STUK)は使用済燃料最終処分場の操業時の安全指針(YVL8.5)を策定した。フィンランドでは政府(閣議)による処分の安全性に関する決定を受けてSTUKが詳細な指針を定めることとされており、検討が行われていたものである。

フィンランドにおける使用済燃料処分の安全性に関しては、政府(閣議)が原子力法の規定に基づいて安全性に関する一般的な規制について閣議決定を行っている(1999年3月)。これを受けて、STUKは使用済燃料処分の長期安全性に関する指針(YVL8.4)を2001年5月に発行していた。今回の操業時の安全性に関する指針YVL8.5は、この政府(閣議)決定において定められていた操業時の安全性についての詳細な規則として定められたものである。

YVL8.5では、放射線防護、放出限度、モニタリング、安全分類、安全機能の保証、臨界事故の防止、火災および爆発の危険の防止、外部的事象の考察、セーフガード、および処分場の建設と操業等についての指針が示されている。

なお、STUKのYVL指針の主要なものは英語版の公表も行われているが、2003年1月22日時点で公表されているのはフィンランド語版のみとなっている。

【参考】

  • 使用済燃料処分の安全性に関する閣議の決定(1999.3.25) (www.stuk.fi/saannosto/19990478e.html)
  • 放射線・原子力安全センター(STUK)のウェブサイト(安全指針関係) (www.stuk.fi/english/publications/yvl-guides.html)