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フィンランドの使用済燃料処分の実施主体であるポシヴァ社は2003年12月、「オルキルオト及びロヴィーサ原子力発電所の放射性廃棄物管理:2004-2006年の研究、開発、技術設計プログラム」(TKSレポート2003)を発表した。

このプログラムは2003年9月に同社が発表した「ONKALO-地下特性調査計画書」において言及されていたものであり、今後3年毎に発行される予定で、今回がその第一回目となっている。また、プログラムでは、ポシヴァ社が使用済燃料の最終処分場の建設許可申請を行う時期が2012年とされている。これは2003年10月23日に貿易産業省(KTM)がポシヴァ社の 申請時期を2010年から2012年に変更すると決定したことを反映している。

このKTMの決定は、ポシヴァ社の株主であり、放射性廃棄物管理責任のあるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPHO)が2003年6月11日付のKTMへの共同書簡において行った、ポシヴァ社による使用済燃料の最終処分場の建設許可申請に関するスケジュール変更要求に対して下されたものである。

両社は、変更の理由を、以下のように述べている。

  • 近年の設計作業の結果により、2010年の終わり頃に関連するスケジュール目標に柔軟さが必要とされることが示されている。
  • 2010年までに建設されるONKALO地下特性調査施設は、最終処分場所の一部として使用される予定である。このため、1980年代および1990年代に必要であるとみなされていたものに比べ、2010年代の処分場所の建設作業は著しく減少する。
  • 現行決定にある2010年の目標の定義は、ある意味において不明瞭である。
  • 放射線・原子力安全センター(STUK)は、両社が2001年~2010年に対して提示した研究、開発および設計作業のプログラム(TKSプログラム)に関する見解(Y811/35、2001年9月26日)において、2010年の目標は少し延期せざるを得ないという評価を示している。(既報 -ポシヴァ社が地下特性調査計画書を公表-参照

KTMはこの決定の中でポシヴァ社の申請時期を2012年にするとともに、遅くとも2009年までに暫定申請書を提出し、必要書類の準備状況について説明することを求めている。また、KTMは今回の変更が処分場の操業開始時期(2020年頃)には影響しないとの考えを示している。

なお、今回発表されたプログラムには、ポシヴァ社による使用済燃料の処分だけでなく、電力会社2社(TVOとFPHO)によって実施される低中レベル放射性廃棄物の処分も含めた放射性廃棄物管理に関する研究、開発、技術設計の進捗及び今後3年間において焦点をあてる作業プログラム提案が記されている。

ポシヴァ社の処分場に関する主要活動と建設許認可のスケジュール

【出典】

  • ポシヴァ社、オルキルオト及びロヴィーサ原子力発電所の放射性廃棄物管理:2004-2006年の研究、開発、技術設計プログラム(TKSレポート2003)、2003年12月
  • TVOとFPHOのKTMへの2003年6月11日付共同書簡
  • KTMの2003年10月26日付けの決定(9/815/2003)

2004年2月4日、韓国産業資源部(MOCIE)は、中低レベル放射性廃棄物処分場及び使用済燃料中間貯蔵施設サイトの新規誘致公募に関する告示を発表した。これは2003年12月10日に発表された「放射性廃棄物管理事業推進の補完方針」に従い、住民投票を必須手続きとすることで、施設誘致について住民自らが決められるように制度的に保証するほか、新しい手続きの導入によって、扶安(プアン)郡蝟島(ウィド)以外の地域にも誘致申請の機会を与えるものである。

同告示では、まず対象とする施設について、中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設及びそれに関連した施設としており、使用済燃料の再処理施設および高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、今回の告示で選定される候補地の対象施設ではないことを明言している。

今回の告示で示された新たな誘致申請の手続きは以下の通りである。(下図に手続きの流れを示す)

(1) 予備申請及び住民の意見聴取

  • 地方自治体の首長1)は以下のいずれかの場合、2004年9月15日までに産業資源部長官に予備申請を行うことが可能。
  • 施設の誘致を希望する住民が、2004年5月31日までに、当該邑・面・洞(日本の町村に相当)の有権者の三分の一以上の誘致賛成署名を添付し、産業資源部長官に誘致を申し込み、その誘致申請書の受付事実について、産業資源部長官から通知を受けた場合。
  • 施設誘致を希望する住民が、当該邑・面・洞の有権者の三分の一以上の誘致賛成署名を添付して、地方自治体首長に予備申請を要請した場合。
  • 当該市・郡・区議会が決議の下、地方自治体首長に予備申請を要請した場合。
  • 地方自治体首長は、予備申請を行うのに平行して、住民の意見を反映するための公開討論会、行政区域別共同説明会などを行う。

(2) 住民投票

  • 産業資源部長官は予備申請と住民の意見聴取手続きを経た自治体首長に、住民投票法の規定に則り、施設の誘致を問う住民投票の実施を要求。
  • 住民投票の実施を要求された自治体首長は、住民投票法に則り、住民投票を実施する。ただし、住民投票法は2004年2月5日現在ではまだ施行されていないので、施行前に住民投票を行う場合には、住民投票法の関連規定を参照し、当該地方自治体首長が住民投票の具体的な手続きと方法を定めて実施する。
  • 住民投票はサイト適合性が確認されてから実施し、サイト適合性は地元住民の代表が参加する「サイト選定委員会」において、立地に関する技術基準上の欠格事項の有無を審査して評価を行う。
  • 住民投票は、投票有権者の三分の一以上の投票と、有効投票数の過半数の賛成で可決する。

(3) 本申請

  • 住民投票の結果、可決した地域の地方自治体首長は、2004年11月30日までに産業資源部長官に本申請書を提出。
  • プアン郡は、住民投票を通じて可決した場合、別途の申請手続きなしに本申請が完了したものとする。

(4) 施設予定区域の候補サイト選定

  • 産業資源部長官は、本申請を完了した地方自治体首長を対象に、「サイト選定委員会」の審査を経て、2004年12月31日までに施設予定区域の候補サイトを選定する。

サイト選定手続き(告示)

同告示では、サイト選定過程の透明性と施設の安全性の保証という観点から、サイト適合性の調査段階における住民などの利害関係者の参加を制度的に保証する、当該地域の住民代表、自治体首長が推薦する専門家、学会、マスメディア、社会市民団体の代表などによって構成される『サイト選定委員会』を設けるほか、建設及び操業段階に関しても、同様の構成による『運営委員会』を設置することが述べられている。

また、政府は、2003年12月10日に産業資源部が「放射性廃棄物管理事業推進の補完方針」を発表して以来、プアン郡で一部の社会市民団体が反対住民を中心に任意の賛否住民投票を強行しようとしている動きがあることに対して、憂慮を示す見解も発表している。その中では、賛否住民の合意抜きの一方的な住民投票の実施は問題の解決につながらず、参加と合意による決定原則に反し、正常な国政業務の遂行を阻害するものであるため、いかなる場合にも投票結果の法的効力や拘束力を認めないと述べている。さらに、賛否住民が互いに膝を交えて、必要な手続きについて検討することを重ねて呼びかけている。

一方、政府は今後の放射性廃棄物施設の選定を地元住民と社会市民団体の参加の下、透明かつ公正な手続きで行う計画であることを表明しており、施設の必要性と安全性について国民のコンセンサスを得るための『放射性廃棄物処分施設の安全性検証チーム』を構成、運営する計画に加えて、今後のエネルギー政策の推進過程で、参加と議論を活性化するため、政府と市民・社会団体などが一緒に参加する『エネルギー政策官民合同フォーラム』を構成、運営する計画を示している。

【注1】
韓国の地方自治体としては、広域自治体(ソウル特別市、6つの広域市、道)とその下に基礎自治体(市、郡、特別市及び広域市の自治区)があり、この基礎自治体の下部行政単位として邑、面、洞がある。ここでの地方自治体首長は基礎自治体の長を指す。

【出典】

  • 産業資源部プレスリリース、2004年2月4日  
    http://www.mocie.go.kr/notice/news/report_view.asp?num=6097&jungchak_menu=0
  • 放射性廃棄物処分施設のサイト公募に関する告示、2004年2月4日
  • 扶安反対対策委の住民投票強行方針に対する政府の見解、2004年2月4日

2004年2月2日、米国の連邦エネルギー長官から2005会計年度の予算要求1 の内容が公表された。ユッカマウンテン・サイトにおける高レベル放射性廃棄物処分場建設プロジェクトに関する費用は8億8,000万ドルで、2004年度歳出予算の約1.5倍、約3億ドル増の金額となっている。この予算要求は同日に大統領から出された2005年度予算教書の一部をなすものである。

下の表はこの2005年度の予算要求におけるユッカマウンテン関連の金額について、2004年度歳出予算との比較で示したものである。

  2004年度
歳出予算2
2005年度
予算要求
対2004年度
歳出予算比
民間分 1億8,888万 7億4,900万 +5億6,012万
国防分 3億8,770万 1億3,100万 △2億5,670万
合計 5億7,658万 8億8,000万 +3億 300万
(単位:USドル)

なお、2005年度予算要求の中では、民間分の予算金額に対応する7億4,900万ドルについて、放射性廃棄物基金に電力会社が払い込んだ拠出金である「歳入」と処分場関連予算である「歳出」とを相殺できる立法提案が行われている3 。これにより、最終的な一般的な財源からの予算要求金額は、この相殺分を差し引いた1億3,100万ドルとなる。エネルギー長官は、2005年度のこの要求額が認められれば、2004年末までに予定されている原子力規制委員会(NRC)への建設認可申請の完了、その他建設に関連した諸活動や輸送システムの開発が可能になるとの見解を示している。同長官によれば、2005年度から2010年度において毎年平均約13億ドルの金額が必要になると見積られている。

【出典】

  • 連邦エネルギー省(DOE)プレスリリース (http://energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=14860&BT_CODE=PR_PRESSRELEASES&TT_CODE=PRESSRELEASE)
  • 連邦エネルギー長官スピーチ (http://energy.gov/engine/content.do?PUBLIC_ID=14861&BT_CODE=PR_SPEECHES&TT_CODE=PRESSSPEECH)
  • 連邦エネルギー省(DOE)2005年度予算要求ハイライト(約4MBあり) (http://www.mbe.doe.gov/budget/05budget/content/highlite/highlite.pdf)

  1. 米国における会計年度は前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回要求された2005年度予算は2004年10月からの1年間に対するものである。 []
  2. 2004年度のエネルギー・水資源歳出法によって認められた当初の歳出予算は5億8,000万ドルであり、ここに示した金額は修正後のものである。 []
  3. 米国では放射性廃棄物政策法(NWPA)によって高レベル放射性廃棄物処分場建設のための基金が設けられ、電力会社が拠出金を払い込んでいるが、従来、この基金への拠出金は、国の歳入不足を補うために一般的な歳入に繰り入れられ、さらに、処分場関連支出予算は、一般的な財源からの歳出として整理されていた。今回の立法提案は、国の政策として一般的な財源からの歳出を抑制しようとすることによる処分場関連予算の低減を回避するため、基金への拠出金収入を処分場関連支出予算の勘定と合わせ、収入と支出との相殺を可能にし、一般的な財源からの歳出を増加させずに、処分場関連支出予算を確保しようとするものである。 []

2004年1月30日、英国貿易産業省(DTI)は「中レベル放射性廃棄物の等価交換のための提案についての協議文書」を発表した。この協議文書は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物を返還する際に、中レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することについての意見を求めるためのものである。なお、意見の提出期限は2004年4月30日迄とされている。

英国政府は1990年代始めに、この等価交換問題を詳細に検討しており、現在の政府方針は1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)において示されている。同コマンドペーパーにおいて政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物は返還すべきであり、また高レベル放射性廃棄物はガラス固化した後、可能な限り早く返還すべきであるという方針を示している。また政府は、この方針は英国における広い範囲での環境への影響に差が無いことを担保する放射性廃棄物の等価交換によっても実施可能であると認めているが、国内での適切な処分体制が無い時点においては、最終的判断は慎重に下すべきであるとしている。なお、既にドリッグに低レベル放射性廃棄物処分場が存在することから、政府は低レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することは認めている。

1995年の方針発表後も政府は放射性廃棄物処分方法の決定に先立って、等価交換の利点を検討し続けてきた。2003年、政府は海外顧客との既存の再処理契約にもとづいて返還する中レベル放射性廃棄物の等価交換を英国核燃料公社(BNFL)が実施することについて評価する調査を独立コンサルティング会社に委託した。今回の協議文書の本文では等価交換の利点などについての要約が簡単に記され、独立コンサルティング会社の報告書が添付されている。

政府はこの等価交換についての決定に向け、特に次の点に関して意見を求めている。

  • 放射性廃棄物に含まれる放射性核種の危険性の測定方法として示されている総合毒性ポテンシャル(ITP:Integrated Toxic Potential)が廃棄物の等価性を評価する最良の手法であるか否か、またはその他の良い手法が存在するかについて。
  • 英国における環境への影響評価について。
  • 放射性廃棄物の海外へのより少ない輸送回数、早期返還による便益、等価交換実施費用の徴収による英国にとっての収入増などの恩恵について。
  • 今後の英国の等価交換方針についての決定に関するもので、今回の協議文書には記述されていないその他の点について。

【参考】英国における放射性廃棄物区分と処分方策

 放射性廃棄物区分  区分の考え方  処分方策
 低レベル放射性廃棄物  一般廃棄物と一緒の処分が許容されない放射性物質を含む廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えないもの。  ドリッグにおいて処分中。
 中レベル放射性廃棄物  比較的に放射能濃度が低く、貯蔵・処分施設の設計時に、その発熱量を考慮する必要のない廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えるもの。  現在、処分方策を検討中。
 高レベル放射性廃棄物  廃棄物の持つ放射能濃度により、かなりの発熱を伴う廃棄物で、貯蔵・処分施設の設計時に、この要因を考慮する必要のあるもの。  現在、処分方策を検討中。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年1月30日付けのニュースリリース、http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/cgi-bin/frameset.pl?Id=22402
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/radioactivewaste.pdf、2004年2月
  • コマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー 最終結論」(Cm2919)、1995年7月
  • Nirex社、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」に対するNirex社の返答、2002年3月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」、2001年9月

カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2004年1月22日、研究機関であるカナダ政策研究ネットワーク(Canadian Policy Research Network, CPRN)と合同で、使用済燃料の長期管理に対するカナダ国民の見解と期待について調査する研究プロジェクトを立ち上げたことをニュースリリースにて公表した。CPRNとNWMOは、2004年1月から3月にかけてカナダの12都市において全国対話集会を行うこととしている。ニュースリリースにおいて、各機関の理事長は以下のとおり述べている。

NWMO:使用済燃料の長期管理の問題は科学的または技術的な問題であると多くの人は考えているが、それらを超えた問題も含まれている。カナダは、最終的に、確かな科学に基づき、カナダの人々にとって社会的および倫理的に受入可能であり、カナダの人々の価値観を考慮した総合的な長期管理を採用しなければならない。

CPRN:重要な公共政策問題においては公衆の意見を考慮すべきである。このプロジェクトは、十分考慮された建設的な方法での使用済燃料の長期管理について事業に直接関係しない一般の人々に考えてもらい、また事業の進め方を決める上で何に価値を置くかについての意見を述べる機会を提供するものである。

また、ニュースリリースによると、「この研究プロジェクトは、1月24日および25日に、オタワとモントリオールでの対話集会の開催から始まり、引き続き3月27日までの週末に、ケベックシティー、サンダーベイ、ハリファックス、モントン、サドベリー、サスカトーン、カルガリー、バンクーバー、ロンドン、トロントで開催される」とされている。さらに、カナダ政策研究ネットワーク(CPRN)については、「独立で非営利の公共政策に関する研究機関で、カナダの人々の豊かな暮らしについて重要となる社会および経済問題に関し、知識を創出し、国民的論議を先導する使命を有している」と述べられている。

なお、NWMOは、2003年11月に公衆との議論を行うための第一回目の報告書を作成している(こちらを参照)

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト1月22日ニュースリリース  http://www.nwmo.ca/default.htmx?DN=407,50,19,1,Documents

ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)は、2003年12月11日、ニドヴァルデン州ヴェレンベルグ・サイトにおける調査用のボーリング孔の埋め戻し作業が終了したことをプレスリリースにて発表した。プレスリリースによると、作業が行われていたサイトは、原状回復され地主に返還され、地元の自治体当局は作業が完全に終了したことに満足の意を示しているということである。作業は放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)に委託され、所轄の連邦当局および州当局が作業に立ち会っていた。以下、プレスリリースにおける要点を示す。

低中レベル放射性廃棄物の地層処分場サイトとしてヴェレンベルグ・サイトを断念する決定は、2002年9月22日の州民投票による採決(こちらを参照)に従って下されている。サイト修復作業の実施は、技術的な理由から2003年の天候が穏やかな夏に行われた。1990年代に数百メートルの深さまで掘削されたボーリング孔には、当時より、長期間にわたる調査のために地質学的測定用の機器が設置されていた。そのため、何トンにもおよぶ測定機器類をボーリング孔から引き上げるための重機や装置が設置されて作業が行われていた。 現在では設備は解体され、ボーリング孔は特別なコンクリートで充填され、近辺の環境は元の状態、または地主との協定に基づく状態に修復されている。

スイス連邦原子力施設安全本部(HSK)の管轄下にある監視委員会は、作業終了報告書を連邦評議会に提出した。また、技術的な作業と平行して、GNWの解散が行われた。2003年8月12日にGNWの整理清算の申請が行われ、2003年11月30日に清算終了に基づく貸借対照表が作成された。

なお、このGNWのプレスリリースは、NAGRAのウェブサイトからもアクセス可能となっている。

【出典】

  • ヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合(GNW)プレスリリース (http://www.gnw.ch/presse/abschluss2.html)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA) (http://www.nagra.ch/)

2003年12月23日、米国の連邦エネルギー省(DOE)の民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、米国の高レベル放射性廃棄物処分場として予定されているネバダ州ユッカマウンテンの処分事業に関して、ネバダ州内に鉄道を建設する場合の推奨ルートをカリエンテ・ルートに決定したと発表した。また、現時点での第2候補は、カーリン・ルートとするとの決定も行っている。

ユッカマウンテン処分場への高レベル放射性廃棄物の輸送については、エネルギー長官が大統領へサイト推薦を行った時の添付資料の一部である環境影響評価書(EIS)において検討が行われていた。輸送方法は、基本的に鉄道または道路による2種類の方法の検討が行われているが、EISにおいてもその約95%を鉄道輸送とすることが好ましいとのDOEの評価結果が示されている。

EISにおいて鉄道輸送については、5ルートが候補として調査されており、このうち、カリエンテ・ルート及びカーリン・ルートを含む3ルートは、ユッカマウンテンにネリス空軍基地エリアの北からアプローチする経路となっている。今回推奨ルートに決定された2ルートは、南からアプローチする他のルートと比較して、より人口も少なく、安全で確実、遅延の無い輸送のために最適なものとしている。EISでの5ルート選定に当たっては、EISの草案(DEIS)に対して公聴会やパブリック・コメントにより寄せられた意見も検討されている。

今回、推奨ルートが決定されたことを受けて、DOEは輸送方法の決定を行う予定であり、主に鉄道輸送とすることがネバダ州における輸送方法として選定された場合は、今回の推奨ルート決定についての官報公示から30日以上経過後に実際のルート選定を行うとの意向を示している。これらの選定結果もまた官報で公示される。ネバダ州内輸送が主に鉄道方式になる場合には、具体的な線路敷設計画に対するEIS実施計画通知がDOEから出される予定である。EIS実施に当たっては、その実施範囲についてもパブリック・コメントが募集され、EIS手続完了までには数年を要する見通しが示されている。

24年間にわたって高レベル放射性廃棄物の処分を実施するDOEの計画では、全米で年間約175回の輸送が実施される見込みとなっている。原子力規 制委員会(NRC)から処分場操業の許可発給が見込まれる2010年までは、廃棄物の処分場への輸送は行われない予定である。

EISで示されたネバダ州内の鉄道輸送ルート候補

【出典】

  • 連邦エネルギー省民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)プレスリリース
    (http://www.ocrwm.doe.gov/newsroom/documents/corridor_pr.pdf)
  • Spent Nuclear Fuel Transportation, DOE
    (http://www.ocrwm.doe.gov/ymp/sr/snf_trans.pdf)

2003年12月18日のポシヴァ社のプレス・リリースによると、高レベル放射性廃棄物の最終処分予定地であるオルキルオトにおいて、ONKALOと呼ばれる地下特性調査施設の建設に向けた作業が開始された。オルキルオドンティエ道路と既に完成されている港湾への道路の近くに開かれるONKALO入口エリアの森林伐採及びONKALOと最終処分施設への給水・電気・通信ケーブルのための幹線建設の土木工事が2003年12月中に開始されることとなっている。発電所からONKALOエリアへユーティリティ・ダクトも敷設されることになっている。

ONKALOのアクセス・トンネルの最初の部分における基盤構造は、トンネルと平行に走る長さ160mの先進孔を掘削することによって調査されことになっている。

2004年夏に開始されるトンネル自体の建設に対する入札募集は、2003年11月に事業者に送付されている。トンネル建設事業者は2004年春に選定される予定である。

ONKALOの建設については、2003年5月に地元自治体に建設許可申請が行われているが、現在の計画によれば、2001年から2004年まで、ONKALOのアクセス坑道の位置決めを行うための地表からの調査(ステージ1)の後に、2004年7月からアクセス坑道の掘削を開始し、これと並行して特性調査を実施し、2010年10月に全体が完成の予定である。

【出典】

  • ポシヴァ社ウェブサイト、http://www.posiva.fi/englanti/index.html、2003年12月
  • ONKALO-地下特性調査計画書(Posiva 2003-03)」、ポシヴァ社、2003年9月 (http://www.posiva.fi/raportit/POSIVA_2003-03.pdf) 〔約2.4MB〕※ファイルサイズが大きいのでご注意ください。

2003年12月10日、韓国産業資源部(MOCIE)の尹鎭植長官は、中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設などの立地候補地として選定した扶安(プアン)郡の蝟島(ウィド)サイトの是非について住民投票を行うこと、およびプアン以外の自治体にも住民投票を経て申請の機会を与えることなど、これまでのサイト選定過程に新たに住民投票手続きを導入する方策を発表した。

中低レベル放射性廃棄物処分場、使用済燃料中間貯蔵施設などのサイト選定については、2003年7月15日までの期限で自主的誘致申請がある場合に、当該地域を優先的にサイト選定過程に入れて推進することが明らかにされていて、7月14日付でプアン郡が申請を行った結果、2003年7月24日に立地候補地として選定されていた。その後この選定を巡る社会的軋轢が高まる中、盧武鉉大統領は閣議において、紛争解決に政治的な介入を行う可能性を否定した上で、政府のプアン郡住民との対話の必要性など、適切な手続きをとることの重要性を強調していた。

尹鎭植長官は発表の中で、政府によるプアン郡ウィドのサイト選定過程において、プアン郡住民の意志が十分に反映されなかった点と、プアン郡の申請当時、誘致意志のあった他の自治体がサイト選定過程に十分参加できない状況だったことを認め、結果的に、国民とプアン郡住民に混乱と不便を招いたことを謝罪した。

今回発表された追加的な方策は以下のものが挙げられる。

  • 現在、プアン対策委員会と議論を進めている住民投票手続きを公式の意見収集の手続きとして推進する。
  • 誘致するその他の自治体にも、住民投票手続きの導入など、補完の手続きを行うことで、サイト選定過程への参加機会を保証する。
  • 誘致する自治体における住民投票で、誘致賛成の結果を得た自治体が複数現れて本申請を行った場合、審査によって最終サイトを選定する。
  • 複数の誘致する自治体が競合した場合、プアン郡に対して優先的に配慮する。

なお、住民投票については、誘致する自治体が現在国会で審議中の住民投票法案の内容を踏まえて、適切な住民投票手続きを設け、これに従って当該自治体の長が実施することになる。

【出典】

  • 産業資源部プレスリリース、2003年12月10日
    http://www.mocie.go.kr/notice/focus/focus_view.asp?num=1365&page=1&keyfield=&key=&startday=&endday=
  • 産業資源部長官の発表文、2003年12月10日
  • 韓国政府ウェブサイトプレスリリース、2003年11月26日、http://www.kois.go.kr/kwnews/news.html

2003年11月27日、原子力廃止措置機関(NDA)の設立条項を含むエネルギー法案が上院に上程され、議会での審議が2003年12月11日から開始された。同法案は、民間原子力産業、再生可能エネルギー源、エネルギー規制の3部構成となっており、コマンドペーパー「我々のエネルギーの将来」(Cm5761、2003年2月)とコマンドペーパー「原子力遺産の管理」(Cm5552、2002年7月)で示された政府方針を実施するためのものである。

NDAは原子力遺産と称される英国の原子力債務を管理するために設立が予定されている政府外公共機関(NDPB)である。2003年6月24日にはNDA設立に向けた「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案が発表され、下院の貿易産業委員会において、その内容についての審議が行われていた。同委員会の報告書は2003年10月29日に公表されている。今回のエネルギー法案には、同草案の内容の多くが組み入れられている。

エネルギー法案の中では、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)の資産・負債がNDAに移管されることが謳われている。貿易産業省(DTI)大臣は同法案の上院への上程時に、NDAへの移管後にBNFLに残った資産・負債を所有する親会社を2005年4月に設立すること、この親会社は英国の原子力サイトのクリーンアップに主に注力していくことなどを柱とするBNFLの構造改革についての結論を公表した。BNFLは同結論に合意すると発表している。

またエネルギー法案の上院への上程時の発表においては、DIT大臣によってウェスト・カンブリア1 に対する戦略的特別対策本部を設置することも提案された。この本部は北西部開発機関(NWDA)2 によって運営され、中央政府、地方政府、民間部門、社会部門(social sector)によって構成される。同本部にはウェスト・カンブリアの長期的な経済・社会の再生のため、持続可能な展望と計画を策定することが課せられることになる。DTI大臣は、NDAの本部をウェスト・カンブリアに置く意向も示している。

今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通し(既報)である。

  • NDA:Nuclear Decommissioning Authority
  • NDPB:Non Departmental Public Body
  • BNFL:British Nuclear Fuels plc
  • DTI:Department of Trade and Industry
  • NWDA:North West Development Agency

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2003年11月28日付けのニュースリリース、 http://213.38.88.221/gnn/national.nsf/TI/411FA1FE6586D43780256DEC004220E9?opendocument
  • エネルギー法案 説明書、2003年11月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/wn.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/ach/reviewpn.doc、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/rda/info/index.htm、2003年12月
  • 下院貿易産業委員会ウェブサイト、2003年10月29日付プレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/trade_and_industry/t_i_press_notice_98_28_october_2003.cfm
  • 英国核燃料公社(BNFL)ウェブサイト、2003年12月11日付けのプレスリリース、http://www.bnfl.com/website.nsf

  1. ウェスト・カンブリアには、NDAの管理対象となる原子力施設が多数存在するセラフィールド・サイトがある。 []
  2. NWDAは、1998年の地域開発機関法によって設立された地域経済開発の戦略的な先導者となることを主な目的としたNDPBである。 []