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原子力規制委員会(NRC)の諮問機関の一つである放射性廃棄物諮問委員会(ACNW)は、2003年6月9日付けの原子力規制委員会(NRC)委員長に宛てた書簡報告において、全米研究評議会(NRC)1 が発表した報告書「One Step at a Time:高レベル放射性廃棄物の地層処分場の段階的開発」に関するコメントを発表した。この全米研究評議会(NRC)の報告書は、エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が全米研究評議会(NRC)に、高レベル放射性廃棄物処分場の段階的開発に向けた戦略について助言を求めて委託していたもので、2003年2月に発表されている。

同報告書では、処分場開発計画のために、継続的な知識の取得と柔軟性の維持に基づく慎重な進め方に重点を置いた「適応性のある段階化」(Adaptive Staging)についての体系的な枠組みを提示するとともに、このアプローチを実際に適用可能にするための提案がなされている。同報告書は、ユッカマウンテンにおけるDOEの処分場計画について、部分的には「適応性のある段階化」の原則に沿うものであるが、全体的なアプローチとしてはより「直線的」であり、「適応性がある」とは言えないと指摘している。

これに対してACNWは、この「適応性のある段階化」は、柔軟性のある、事業開発のマイルストーンが事業の全期間を通じて反復的に再評価される意思決定手続であり、認可申請の前および後における 原子力規制委員会(NRC)の現在の手続と非常に似た考え方であると述べている。特に、ユッカマウンテン認可申請の評価のために開発した現在の計画および手続は、DOEと原子力規制委員会(NRC)間における対話型の戦略を組み込んでおり、すでに十分に反復的で、適応性があるとの考えを表明している。具体的な例として、主要な技術的課題(KTI: Key Technical Issue、詳しくは こちら)の開発、評価、解決のプロセスが認可前段階の時期における情報の進展と精緻化を促し、より改善された認可申請を可能にしている点を挙げている。

また、ACNWは、同報告書における「適応性のある段階化」を取る上で、「小規模でのパイロット段階」および処分場定置前に廃棄物を保管および混合するために用いる「バッファ貯蔵施設」概念の導入を推奨していることについて、ユッカマウンテン計画に不必要な混乱と遅延をもたらしかねないと指摘している。

ACNWは、同報告書は利害関係者の参加、公衆の信頼の醸成、効果的な情報伝達戦略に関する手引きを提供するもので、これらの示唆は有用であるが、同報告書はあくまで処分場一般を対象とする性格のものであると述べている。また、同報告書に記述されている手引き、実施面等については、原子力施設の許認可の観点からは特には新しいものではないと結論づけている。

【出典】

  • ACNWの原子力規制委員会(NRC)委員長宛ての2003年6月9日付け書簡報告 http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/acnw/letters/2003/1420195.pdf
  • the National Academiesの2003年2月6日付けプレスリリース http://www4.nationalacademies.org/news.nsf/isbn/0309087082?OpenDocument
  • 全米研究評議会(NRC)の「One Step at a Time:高レベル放射性廃棄物の地層処分場の段階的開発」報告書 http://www.nap.edu/catalog/10611.html?onpi_topnews_020603

  1. 全米研究評議会(NRC)は、全米科学アカデミー(NAS)、全米工学アカデミー(NAE)、医学院(IOM) と共に”the National Academies”を形成している非政府の非営利団体である。全米研究評議会(NRC)は、 NAS、NAE、IOMの実働組織として、科学技術的調査、勧告などを政府各機関および議会に提供する役割を担っている。 []

諸外国では、高レベル放射性廃棄物を含む放射性廃棄物の管理に必要な費用を賄うために様々な形で資金確保が行われている。日本を含め多くの国においては、基金制度が導入されており、費用負担責任のある電力会社等は決められた拠出金を基金に払い込む方式を取っている。ただし、基金が設けられている場合でも、基金の対象となる費用の範囲は国により異なっている。

一方フランス、ドイツ、英国では放射性廃棄物処分に関する基金制度が設けられていないため、廃棄物発生者が、各々に将来に必要な資金を引当金として内部留保している。最近、スウェーデン・スイス・カナダが2002年度の基金の情報を公表したことを受けて、以下に基金制度の有無別に、高レベル放射性廃棄物処分に関連する各国の資金確保制度の概要と最新の基金残高または引当金額を表にまとめた。

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カナダの連邦天然資源大臣は、2003年6月25日に、核燃料廃棄物管理の実施を行う核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が2002年3月末に公表した年報(既報)に対する声明を公表した。連邦天然資源大臣は、NWMOが広範な対話活動を通じて研究を進めていることを評価し、また「総合的なプログラムを行うにあたっての素晴らしい第一ステップを踏み出した」とコメントしている。大臣による声明には、その他に以下のポイントが示されている。

NWMOの2002年の活動全体に対するコメント:
天然資源大臣は、NWMOの年報で倫理および社会的側面が考慮された廃棄物管理オプションを開発することに重点が置かれている点を評価している。この点は、2002年11月に施行された「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律」(略称:核燃料廃棄物法)により要求されている研究の中心事項である。
カナダ政府は、核燃料廃棄物の安全で環境的に健全な管理を優先事項としている。政府は、長期的な管理として今後行われる活動が総合的、かつ経済的に健全な方法で実施されることをカナダ国民に対して保証している。天然資源大臣は、政府の考えと同じことがNWMOの年報でも強調されていることを評価し、核燃料廃棄物の長期的な管理の解決に向けた活動が着実に前進することへの期待を述べている。
広範な対話活動について:
NWMOは2005年11月に複数の長期的な管理オプションを提出することになっており、この目標に向けて研究を3段階で進め、そのなかでさまざまな利害関係者との対話を進めていく方針である。この対話活動では、先住民も含めた、カナダの様々な団体、天然資源省を交えた議論が進められている。天然資源大臣は、これら議論の過程において有益なコンサルテーションが実施されることへの期待を述べている。
「諮問機関」の役割について:
カナダにおける一般公衆の考えを考慮するとともに、NWMOは長期の活動について独立の専門家からの勧告を得る予定となっている。天然資源大臣は、核燃料廃棄物法に基づきNWMOが設置した諮問機関から重要な勧告が得られることへの期待を述べ、諮問機関によって行われるNWMOの活動のレビューがNWMOの活動の透明度を確保することに確信を持っているとコメントしている。
財政的な側面について:
年報では、原子力企業およびカナダ原子力公社(AECL)が信託基金に対して拠出金を支払ったことが示されており、カナダ国民は、原子力業界が、長期的に必要となる財政的な責任を果たす意思があることを確認することができる。
年報での主な記述:
NWMOの年報では、2002年10月の設立後3カ月における以下の活動について報告されている。

  1. NWMOの組織体制
  2. 原子力企業とカナダ原子力公社(AECL)の信託基金設立
  3. 信託基金に対する拠出合計額(5億5000万カナダ・ドル)【429億円(1カナダ・ドル=78円として換算)】

(なお、年報について詳しくは こちらを、また、核燃料廃棄物法の施行およびNWMOの設立については、こちらを参照のこと)

【出典】

  • 天然資源省 核燃料廃棄物局(NFWB)ウェブサイト 大臣の声明   http://www.nfwbureau.gc.ca/english/View.asp?x=645&oid=19#skipnav

2003年6月24日、英国政府は、公的機関の商業用原子力債務の処理を目的とした原子力廃止措置機関(NDA)の設立を規定する「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案を発表した。同草案の発表は、2002年11月の議会開会時において1年間の会期内の実施が予告されていたものであり、政府としての情報公開および透明性についての公約および利害関係者との約束を履行したものである。今回の発表では、NDAの設立に関連する文書類も同時に公開され、同草案については、2003年9月16日を期限としてコメントの募集が行われている。

通称「原子力遺産」とも呼ばれている商業用原子力債務の管理に責任を有する新しい組織の設立については、2001年9月に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物の安全な管理」の中で原子力債務管理機関(LMA)という名称で、検討オプションの1つとして言及されていた。その後、2001年11月28日に貿易産業相が下院に対して声明を発表し、LMA設立に関する政府の意向を表明した。2002年7月4日にはコマンドペーパー「原子力遺産の管理-実行のための戦略」が発表され、新しい管理計画を実施するための政府提案の詳細が公表され、2002年10月18日までの期間、コメントの募集が行われていた。今回の発表はこの流れを受けたもので、組織の名称をNDAに変更し、設立に向けた法整備への第一歩となっている。

NDAが最初に対象とする商業用原子力債務として、以下のものが挙げられている。

  • 英国原子力公社(UKAEA)と英国核燃料公社(BNFL)によって現在管理・運営されている、1940~60年代に政府の研究計画を支援するために開発された原子力サイトおよび施設、またそれらの計画によって発生した放射性廃棄物、放射性物質、使用済燃料
  • 現在、政府に代わってBNFLが管理・運営している、1960~70年代に設計および建設されたマグノックス炉、マグノックス燃料の再処理のために使用されるプラントや施設および関連する全ての放射性廃棄物および放射性物質

これらの歴史的債務は英国全体の原子力債務の約85%を占め、割引なしの総費用は、2002年3月末の段階で479億ポンド(約8兆9,094億円、1ポンド=186円で換算)と見積もられている。

NDAは、法律に基づくNDPB(政府外公共機関)として、以下の点について政府に代わって機能することが求められている。

  • 原子力債務の戦略的なプログラム管理者として、サイト管理方法を決定する。
  • 最も効果的かつ安全な方法で債務を処理するために、NDAはサイトの許認可取得者(UKAEAおよびBNFL)および、安全、保安、環境規制当局と協力して作業を進める。
  • 競争原理の導入と促進によって、英国内の原子力債務管理および処理についての市場を拡大させる。
  • 管理効率を確保するための枠組みを構築する。
  • 英国の公的機関の商業用原子力債務の管理に対する公衆の信頼感を高める。

今回の草案では、NDAの法的枠組みの確立の他に、最高の技術で最良の結果を得るための競争原理の導入と促進、NDAへの資産と債務の移転と、それに伴うBNFLの再編、処理計画を進めるために必要な権限のNDAへの付与、第三者原子力損害賠償責任に関するパリおよびブラッセル条約に対する変更の履行、1993年放射性物質法の修正による、放射性物質の排出に関する許認可移転プロセスの迅速化等が盛り込まれている。なお、BNFL、UKAEAなどの対象となる機関は、今回の草案の発表について一様に歓迎の意向を示している。

同法案の議会への提出は2003年/2004年の会期中になると予想されている。今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通しである。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの6/24付けの新着情報 (http://www.gnn.gov.uk/gnn/national.nsf/TI/0980487C8BF0FD3E80256D4F00332B2D?opendocument)
  • 原子力サイトおよび放射性物質法案の草案 (http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/print-05publication.pdf)
  • DTIの過去の原子力債務の管理に関するウェブサイト (http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm)
  • BNFLウェブサイトの6/24付けの新着情報 (http://www.bnfl.com/website.nsf)

2003年6月11日、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(略称:放射性廃棄物等安全条約)の締結が国会で承認された。この条約締結の承認を求める議案は2003年3月に国会に提出され、同5月13日に衆議院で承認されており、この度参議院においても全会一致で承認されたものである。今後は、国会での承認を受けて内閣による批准が行われることになる。

放射性廃棄物管理に関しては、1994年9月に開催された国際原子力機関(IAEA)の第38回総会において、放射性廃棄物管理の安全に関する基本原則を定めるための条約を早急に検討開始することが決議されていた。この後、この決議に基づいて検討が行われ、1997年9月にウィーンで開催された外交会議において放射性廃棄物等安全条約が採択された。

放射性廃棄物等安全条約は前文及び44条の本文からなっており、概要は以下のとおりである。

  1. 締約国は、放射性廃棄物等の管理の安全を確保するため、放射性廃棄物等管理施設の立地、設計及び建設、安全に関する評価・使用の各段階において適当な措置をとる。
  2. 締約国は、条約に基づく義務を履行するために必要な法令上、行政上、その他の措置をとり、安全を規律するための枠組みの策定・維持並びにその実施にあたる規制機関を設立または指定する。
  3. 締約国は、放射性廃棄物等の自国から他国への移動は当該国への事前通報・同意がある場合にのみ認められるよう、適当な措置をとる。
  4. 締約国は、条約に基づく義務を履行するためにとった措置に関する報告を提出し、その内容を検討するための会合を開催する。

4に示した報告義務については、3年以内ごとに報告書の提出及び検討会合の開催が必要とされている。

この放射性廃棄物等安全条約は、25カ国による批准・承認等が行われてから90日後にあたる2001年6月18日に発効した。条約は42カ国によって署名されているが、批准・承認等の手続を終えた締約国は、2003年4月15日に批准書を寄託した米国を含めて31カ国となっている。なお、条約の発効後に批准・承認等を行った国については、批准書等が事務局機関であるIAEAに寄託されてから90日後に効力を生じることとなる。

【参考】

【出典】

  • 外務省ウェブサイト (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/after.html)
  • 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト (http://www-rasanet.iaea.org/conventions/waste-jointconvention.htm)
  • 参議院ウェブサイト (http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho5.htm)

2003年5月27日に、スイスにおいて新原子力法が公布された。2003年3月21日に連邦議会で可決されたこの新原子力法は、去る5月18日に行われた原子力利用に関する国民発案1 が否決されたことにより公布に至った(新原子力法制定に関する詳細の情報はこちらを、原子力利用に関する国民発案の否決に関する詳細な情報は こちらを参照)。

同法の施行に当たっては、任意の国民投票2 が適用されることが規定されているため(同法第107条)、公布後100日目に当たる2003年9月4日までに5万人以上の署名が集まれば、2004年に同法施行の是非が国民投票にかけられることとなる。

しかし、グリーンピースのウェブサイト情報によると、スイスにおける主な環境団体は、署名運動を行わない方針を示している。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)からの情報でも、上述の国民投票の結果により反原子力発案を国民が明確に否決したため、新原子力法施行の是非を問う国民投票を行うための動きは少なく、国民投票には至らないと見ている。

連邦エネルギー庁(BFE)のウェブサイト情報によると、現時点における見込みとして、国民投票が行われない場合の新原子力法の施行は、以下の関連法令の制定・改正を行い、2005年1月1日には可能であろうとしている(今後の新原子力法の発効までの流れは下図を参照)。

  1. 原子力令の新規作成
  2. 放射線防護、緊急時対応、廃止措置基金、放射性廃棄物管理基金に関する政令の改正
  3. エネルギー令の改正

新原子力法が施行されると、原子力発電事業者は、政府に対して「放射性廃棄物管理計画書」を提出しなければならない(第32条)。この計画書は、原子力発電所の閉鎖までの資金計画を含む必要がある。計画書は連邦評議会が指定する機関によるチェックと、定期的な見直しが必要とされている。なお、計画書を提出する具体的な日程は連邦評議会が決定するとされている。

新しい原子力法の発効までのフロー図

【出典】

  • 新原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3.21
  • 連邦環境・運輸・エネルギー・通信省ウェブサイト 2003年5月18日プレスリリース (http://www.uvek.admin.ch/gs_uvek/de/dokumentation/ medienmitteilungen/artikel/20030518/01404/index.html)
  • 連邦エネルギー庁(BFE)ウェブサイト (http://www.energie-schweiz.ch/bfe/de/recht/gesetzgebungbund/index/html)
  • グリーンピースのウェブサイト (http://info.greenpeace.ch/de/atom/pressreleases_atom/pr230503)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)提供情報より

  1. 国民発案および国民投票はスイスの憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけらることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の2)で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
  2. 任意の国民投票とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まればその施行の是非を国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []

フランス放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2002年5月15日の事故以来建設工事が中断していたビュール地下研究所について、2003年4月16日に補助立坑の壁のコンクリート打ちなどの準備作業を実施し、2003年4月30日に立坑の掘削作業を再開したことを発表した。ビュール地下研究所の掘削作業は、今後夏にかけて段階的に本格化するとされている。なお、工事の再開については、2002年11月に大審裁判所より許可が下されていた。

また、2003年5月19日付けの仏リベラシオン紙は、ANDRA会長のイヴ・ル=バール氏は、地層処分研究についての当初のスケジュールに遅れが生じることは不可避であることを否定しなかったと報じた。1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳細は こちら)では2006年の議会への総括評価報告の提出が規定されているが、地下研究所建設の中断などによる地層処分研究の遅れについては、CNEの第8回評価報告書でも懸念が示されていた

さらに、ANDRAは2003年1月から9月までの間に、ビュール地下研究所近傍のシルフォンテーヌ・オン・オルノワ、モントルーイユ・シュール・トナンス、ノメクール、デモンジュ・オー・ゾの4つのコミューンにおいて、7つの新たなボーリング孔の掘削を行うことを発表した。これは、最下部での直径が12cmのボーリング孔を350mから850mの深さで掘削し、地下研究所が設置される粘土層の上下に存在する石灰岩層における地下水の流動特性をより詳細に調べることを目的としているほか、ボーリングコアを収集することで粘土層の鉱物組成の連続性を確認することも想定している。最初に作業が始められたシルフォンテーヌ・オン・オルノワでは、2003年3月29日に掘削が終了している。

このボーリング孔の掘削活動については、CNEの第8回評価報告書において、ビュールにおける地層処分研究の遅れを補うため、特に同サイトの複数の地点でできるだけ速やかに掘削を行い、より詳細な水文地質学的研究の実施を行うべきとの勧告がなされていた。

【出典】

  • ANDRAウェブサイト(http://www.andra.fr/fra/labo/Bure-0001.htm)
  • リベラシオン紙(2003年5月19日付)

2003年5月20日、フィンランドにおける処分事業の実施主体であるポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の建設許可申請1 を処分場建設予定地オルキルオトのエウラヨキ自治体に提出した 。 ONKALOと呼ばれるこの調査施設は、 オルキルオトにおいてこれまで地上からのボーリング等により行われてきたサイト特性調査結果を検証するために建設される。ONKALOにおける調査活動により、政府に対して行われる予定の処分場の建設許可申請のために必要な情報が得られることになる。

フィンランドでは2001年5月に行われた原則決定(詳細はこちら)の承認により、使用済燃料の最終処分場の予定地がエウラヨキ自治体のオルキルオトに決定し、2010年を目途とした処分場建設許可申請に向けて地下特性調査施設の建設を含む調査活動が行われている。ONKALOについては、2002年6月にアクセス方式が決定されており、今回はその建設許可申請が地元のエウラヨキ自治体に提出されたものである。以下ではポシヴァ社のプレスリリースの情報を紹介する。

ONKALOはオルキルオト島の中心部に建設される。オルキルオトでは1980年代からサイト特性調査が行われており、今まで23のボーリング孔が掘削されてきた。ONKALOは長さ5.5kmのアクセス用坑道(斜坑)、換気孔、 深度420m(メイン)および 深度520mの調査レベルから構成される。ONKALOの総容積は33万m3となる。

現在の計画によれば探査は2004年夏に開始の予定であり、準備活動は既に始められている。2004年から2010年の期間に、ONKALOプロジェクトでは毎年40~50人の地下建設作業者が投入される予定である。アクセス坑道は掘削・発破工法によって建設される。

ONKALOの建設は2010年までには完了する見込である2 が、調査活動自体はアクセス坑道の建設段階から開始され、地質学、岩石力学、地球物理学および地球化学の調査・計測のためのスペースがアクセス坑道および調査レベルに設けられる。ONKALOの完成後は、実際と同様の条件で最終処分技術の試験・シミュレーションが可能になるとされている。

なお、ONKALOの建設費用は概算で5千万ユーロ程度と想定されている。

【ONKALOの技術データ】

  • 総容積=33万m3
  • 坑道総延長=8,300m
  • 換気孔長さ=530m
  • 換気孔直径=6m
  • アクセス坑道(幅×高さ)=5.5m×6.3m
  • アクセス坑道傾斜=1:10

【出典】

  • ポシヴァ社プレスリリース(2003.5.20)
    (http://www.posiva.fi/englanti/index.html)

  1. 土地利用・建築法(132/1999)上の建設許可申請である。(ポシヴァ社情報) []
  2. ポシヴァ社によれば、当初の計画と比べて建設期間が長くなっている。 []

スイスでは、2003年5月18日(日)に原子力利用に関する2つの国民発案に対する国民投票1 が行われ、両発案とも反対多数により否決された。

モラトリアム・プラス:現行の原子力発電所の新規建設凍結(モラトリアム)をさらに10年間延長する。

・投票結果:否決【反対:58.4%、半州を含めた26州のうち24州が反対】 (投票率48.2%)

原子力に依存しない電力:使用済燃料の再処理禁止と原子力発電所の段階的閉鎖を実施する。

・投票結果:否決【反対66.3%、半州を含めた26州のうち25州が反対】 (投票率48.7%)

これらの国民発案は、憲法の一部改正を求めて、1999年に国民投票に必要な署名(18カ月以内に10万人以上)を集めて提出されており、正式に受理されていた。これに対して連邦議会は、2002年12月に連邦決議においてこれらの国民発案を拒否するよう国民に勧告していた。また、2001年2月から2003年3月までの約2年間の間、これらの国民発案に対する間接的な対案を包含して連邦政府から提出された新原子力法案が審議され、2003年3月21日に可決されている(新原子力法制定に関する詳細の情報は 既報 を参照)。

2つの国民発案が否決されたことにより、新原子力法は、同法第107条の規定に基づき公布されることとなる。なお、スイスでは、連邦法の施行にあたっては”任意の国民投票”2 という制度が適用されるため、公布後100日以内に5万人以上の署名が集まれば法律の施行に対する国民投票が行われることとなる(今後の新原子力法の発効までの流れは下図を参照)。

新原子力法では、高レベル放射性廃棄物処分事業に関する重要な規定として、処分場を含む原子力施設の概要承認3 (詳細はこちら)・建設・操業・閉鎖に関しては、連邦政府によってのみ許可発給されることが定められている。さらに、施設の概要承認の際には「任意の国民投票」制度が適用されることが規定されている他、建設および操業に関しては、州(および近隣自治体)が協議を行う権利を有していることが規定されている。また、使用済燃料の再処理については、現在結ばれている再処理契約が終了する2006年以降、10年間の凍結が規定されている。

新しい原子力法の発効までのフロー図

【出典】

  • 連邦政府ウェブサイト
    http://www.admin.ch/ch/d/pore/va/20030518/det501.html , http://www.admin.ch/ch/d/pore/va/20030518/det502.html
  • 新しい原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3
  • 2つのイニシアティブに対する連邦決議 http://www.admin.ch/ch/d/ff/2002/8154.pdf

  1. 国民発案および国民投票はスイスの憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけらることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の2)で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。 []
  2. 任意の国民投票とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まればその施行の是非を国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。 []
  3. 概要承認とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す【原子力法に関する連邦決議】。 []

欧州委員会(European Commission)は、2003年4月30日に、「使用済燃料と放射性廃棄物の管理に関するEURATOM指令」(案)(以下「放射性廃棄物管理指令案」という」)を欧州議会(European Parliament)および閣僚理事会(The Council of the European Union)に提出した。 放射性廃棄物管理指令案は、加盟国における使用済燃料および放射性廃棄物管理を最良の方法で実施することを目的としており、処分場開発に関する具体的な年限も示されている。今後、欧州議会での諮問を受けた後、閣僚理事会で「特定多数決」1 方式により最終的に採決される予定である。

放射性廃棄物管理指令案は、欧州原子力共同体(EURATOM)条約の31条および32条に基づいて作成されたもので、2003年1月30日に欧州委員会で採択された後、3月26日に欧州経済社会委員会による見解を受けた上で欧州議会と閣僚理事会に提出された。なお、廃止措置を含む原子力施設の安全確保の指令案も同時に提案されている。今回提出された放射性廃棄物管理指令案の提案書は、指令案の策定に当たっての背景やその目的が「説明メモランダム」として記述されているほか、全10条からなる指令案本体および付属文書から構成されている。以下においては、その背景や目的と共に、指令案のハイライトをまとめる。


放射性廃棄物管理指令案の背景と目的

今回提出された放射性廃棄物管理指令案の提案書の「説明メモランダム」では、2000年11月の欧州委員会グリーンペーパー「エネルギー供給の安定性に対する欧州の戦略に向けて」において示された、放射性廃棄物管理に対する受入可能な解決策を探すことが原子力オプションに影響を及ぼす重要な関心事との指摘を引用している。また、現在の欧州連合(EU)加盟国だけでなく、新規加盟の候補となっている国をも視野に入れた放射性廃棄物管理の必要性を指摘している。EUでは旧東欧諸国等の加盟が2004年以降予定されており、これらの国ではかつて行われていた旧ソ連への使用済燃料返還が中止され、使用済燃料管理が大きな問題となっている。

特に、加盟国における高レベル放射性廃棄物管理に関しては、管理オプションとして地層処分が最も適しているという国際的なコンセンサスがあるものの、各加盟国が行っているサイト選定が遅延していること、中間貯蔵されている廃棄物の量が増加していることなどを挙げている。さらに、2001年9月11日の同時多発テロ後においては、中間貯蔵施設の脆弱性も懸念される事項であると指摘している。

EU加盟国は、放射性廃棄物の長期管理に対する適切な戦略を確立させるとともに、詳細なプログラムを準備する必要性、特に放射性廃棄物の処分のための処分場開発に焦点を置く必要性が指摘されている。加盟国はそれぞれが独自の管理を行わなければならないが、高いレベルの原子力安全と環境保護を保証するために、特に加盟国同士の連携が求められている。複数の国によるアプローチは、原子力開発利用が小規模または全くない国に対してはメリットがあるとしているが、何れの加盟国も廃棄物の輸入を義務づけられるものではないとしている。

放射性廃棄物管理指令案のハイライト

放射性廃棄物管理指令案は第1条に「目的と範囲」、第3条に「放射性廃棄物および使用済燃料の管理に対する一般的な要求事項」が定められている。放射性廃棄物処分計画に関する具体的な規定は、指令案の第4条に定められている。まず、各加盟国は長期的な管理を含めた「放射性廃棄物管理計画」を作成しなければならない。そして、処分に対する適切な代替案がなく、利用できる状態でない場合には、加盟国は計画のなかに以下の内容を盛り込まなければならない(第4条)。

  • 遅くとも2008年までに放射性廃棄物処分サイトの開発の許認可の発給を行うこと。(高レベルおよび長寿命廃棄物処分場の場合は地下での更なる期間をかけての詳細調査の条件付許可とすることができる)
  • 高レベル放射性廃棄物に関しては、2018年までに処分場の操業に対する許認可の発給を行うこと。
  • 短寿命の低中レベル放射性廃棄物に関しては、2013年までに処分場の操業に対する許認可の発給を行うこと。

また第4条では、他の既存のEU法(特に輸送許可などを規定した「EU加盟国間における放射性廃棄物の輸送と共同体への輸出入の監督および管理に関する指令92/3/EURATOM」等)を遵守する限りにおいて、放射性廃棄物の輸出をすることが出来ると定められている。

この他に、第5条では研究開発について加盟国での協力体制の規定がされている他、第7条ではEUへの報告書の提出義務の規定として、加盟国は第8条に定める期日(2004年5月)の一年後とその後3年毎に欧州委員会に対して放射性廃棄物管理の状況を説明した報告書を作成しなければならないことが定められている。 第8条では、この指令に基づく各国の法制化期限の案として2004年5月が示されている。

なお、欧州経済社会委員会から示された意見書では原則として委員会の放射性廃棄物管理指令案を支持しているが、処分場開発のスケジュールについてはより柔軟なものとすべきであり、各国の個別事情に適応すべきとの勧告が行われている。

【EU法についての解説】

EUの法令は、一次法(条約等)と二次法(規則、指令、勧告等)、および判例法の3つに分類される。今回の指令は二次法に分類されるもので、目的の達成について各国に対する拘束力を持つが、その実施形式、実施方式は、各国に委ねられる性質を持つ。

立法過程に関し、立法権は閣僚理事会に属し、欧州議会は、通常の国家の国会とは異なり非常に限られた立法権しか有していない。欧州議会の立法過程に関する役割は、以下の5つに分類されており、今回の指令に関しては②が適用される。この場合、閣僚理事会による決定は、欧州議会の諮問内容には拘束されない。

  1. 共同決定手続・・・閣僚理事会と議会による共同決定手続
  2. 諮問手続・・・閣僚理事会が採決する前に欧州議会が意見を提出する手続
  3. 協力手続・・・欧州議会が案に対して修正を加えることが出来る手続
  4. 同意手続・・・閣僚理事会が全会一致で採択する法令に対する欧州議会の同意を要する手続
  5. 法令の発案権・・・法案を発案する権利(極めて限定される)

【出典】

  • Proposal for a Council Directive(EURATOM) on the management of spent nuclear fuel and radioactive waste http://europa.eu.int/eur-lex/en/com/pdf/2003/com2003_0032en01.pdf
  • EUのウェブサイト http://europa.eu.int/scadplus/leg/en/cig/g4000q.htm http://www.europa.eu.int/eur-lex/en/about/pap/index.html http://europa.eu.int/prelex/detail_dossier_real.cfm?CL=en&DosID=182452
  • 欧州原子力共同体(EURATOM)条約抜粋 http://europa.eu.int/comm/environment/radprot/legislation/extracts.pdf

  1. 特定多数決方式とは、閣僚理事会の立法手続で使用されるものである。採択には、各国に割り当てられた合計票数87票のうち、62票の賛成票が必要となる。意思決定方法には、問題の重要度に応じてこの他に、単純多数決、全会一致方式がある。放射線防護に関連する安全規定については特定多数決方式によるべきことが欧州原子力共同体(EURATOM)条約の第31条に規定されている。 []