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○放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の年次報告書

放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)1 は、第1回年次報告書を同委員会のウェブサイトで公開した。この年次報告書は、CoRWMの規約において、毎年12月1日までに環境担当大臣2 に提出することが求められていたものである。今回の年次報告書では、CoRWMが活動を開始した2003年11月から2004年11月までの活動内容や環境担当大臣と合意に至った今後の活動プログラムの概要などが示されている。また、同報告書には、2005年6月に最終的に決定する予定の放射性廃棄物管理オプション候補リスト(2004年11月に公表)に関する情報も示されている。なお、CoRWMは2004年9月をもって4つの段階からなる放射性廃棄物管理方針の検討段階の第1段階を終了しており、現在は2005年6月に終了予定の第2段階にある。

今回の年次報告書で示されたCoRWMの2003年11月から2004年11月における主な活動は以下のとおりとされている。

  • 活動プログラムの作成・実施
  • 放射性廃棄物管理方針の検討段階の第1段階終了、第2段階の活動詳細の決定および開始
  • 当初5つの段階で構成されていた管理方針の検討段階を4つの段階に変更
  • 公衆・利害関係者参画(PSE)プログラムと呼ばれている大規模な公衆の関与と協議プログラムの作成・実施
  • 予備的な放射性廃棄物管理オプション候補リストの作成

また、CoRWMによる今後の活動プログラムについては、放射性廃棄物管理検討段階の第2段階での活動スケジュールおよび第3,4段階の活動概要が示されている。

○上院科学技術特別委員会の放射性廃棄物管理に関する報告書

2004年12月10日の英国議会上院のプレスリリースによると、上院科学技術特別委員会は、政府による放射性廃棄物管理方針策定の進捗が遅いことを批判する報告書を公表した。

プレスリリースによると、同委員会は、政府が政府内の科学専門家に諮問することなく、また地下処分または地下貯蔵が安全な長期管理オプションであるという圧倒的な国際的科学的合意があるにもかかわらず、新たな諮問組織である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)に放射性廃棄物管理方針の検討を白紙の状態から開始させたことに驚きを示している。

プレスリリースでは、同委員会の結論として、以下の点が示されている。

  • CoRWMは、宇宙処分などの国際社会によって放棄されている管理オプションを検討するような時間の浪費をやめ、様々な地下処分または地下貯蔵オプションに注力すべきである。
  • CoRWMは放射性廃棄物管理オプションを評価するための関連する科学的・技術的専門性を欠いている。
  • 担当大臣は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の科学アドバイザー長に諮問しなかったため、CoRWMが設置される際に適切な科学的勧告を受けていない。
  • 政府は地球科学、材料工学、土木工学の専門家をCoRWMの委員として追加指名するか、CoRWMの下に技術諮問委員会を設けるべきである。
  • 政府は放射性廃棄物の長期管理戦略の策定の遅延を、原子力発電の将来についての決定を先送りする口実として利用すべきでない。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)年次報告書、http://www.corwm.org/pdf/735%20-%20First%20Annual%20Report%2020041130%20_latest.pdf、2004年12月
  • 上院の2004年12月10日付のプレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/lords_press_notices/pn101204st.cfm

  1. CoRWMは、高レベル、中レベル、一部の低レベル放射性廃棄物とウラン、プルトニウム、使用済燃料についての長期管理オプションに関する勧告を政府に対して行う責任を有するものとして2003年に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した機関であり、2003年11月から活動を開始している。 []
  2. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

2004年12月13日の英国貿易産業省(DTI)のプレスリリースによると、英国政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する中レベル放射性廃棄物について、高レベル放射性廃棄物と等価交換することを承認する決定を行った。DTIは、2004年1月30日に「中レベル放射性廃棄物の等価交換のための提案についての協議文書」を発表し、2004年4月30日までの3カ月間、公開協議を行っていた。今回の決定は、協議文書に対して寄せられた325の意見のうち90%が等価交換に賛同したことを受けたものであるとされている。

公開協議の結果を要約した文書によると、この協議文書は約1,600部配布されており、配布先は議員・原子力産業界・労働組合・環境団体・英国民・地方政府・外国政府・日本の電気事業者および日本国民・その他の広範囲に及んでいた。325の返答のうち302が肯定的な意見、13が否定的な意見、10がその他の意見であった。

プレスリリースによると、今回の決定により、環境と経済の両面において便益が得られるとしており、特に以下のような便益があげられている。

  • 海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物を早期に返還できる。(高レベル放射性廃棄物との等価交換の場合は2017年に終了。等価交換しない場合は2033年に終了。)
  • 英国核燃料公社(BNFL)による海外顧客への放射性廃棄物の輸送回数が6分の1に減少する。
  • 原子力廃止措置機関(NDA)によるその他の商業再処理事業の収益とともに、中レベル放射性廃棄物の等価交換によってNDAにもたらされる追加収益が、NDAによるクリーンアップ事業に当てられることになり、結果的に長期にわたって納税者の利益となる。

英国政府は1990年代始めに、この等価交換問題を詳細に検討しており、これまでの政府方針は1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)において、海外の使用済燃料の再処理により発生した放射性廃棄物は、再処理の委託国に返還すべきとされていた。今回の決定により、同コマンドペーパーで示されていた方針が変更され、現行のBNFLの契約の下、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する中レベル放射性廃棄物の保有と長期管理を行うことになるとされている。

プレスリリースによると、等価交換による中レベル放射性廃棄物の増量分は、英国全体での発生量の約1.4%に当たるとされている。しかし、放射線学上で等価の高レベル放射性廃棄物がBNFLの海外顧客に返還されることになり、放射線学上の観点からは英国において中立が保たれることになるとのことである。なお、前述のコマンドペーパーにおいて、政府は、既にドリッグに低レベル放射性廃棄物処分場が存在することから、低レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物と等価交換することは認めている。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年12月13日付けのニュースリリース、
    http://www.gnn.gov.uk/environment/detail.asp?ReleaseID=139081&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=False
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/consultations/consultation-1205.html、2004年12月
  • コマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー 最終結論」(Cm2919)、1995年7月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」、2001年9月

【2006年10月2日追記】

2006年9月27日、原子力廃止措置機関(NDA)は、ブリティッシュ・ニュークリア・グループ(BNG)社が実施した等価交換による返還高レベル放射性廃棄物量の算出に対して、コンサルタント会社の協力の下に独立した評価及び監査を行った結果、BNG社の報告結果は妥当であり、NDAが等価交換の実施方法について承認する旨を発表した。

等価交換に関しては、2004年に政府が中レベル及び低レベル放射性廃棄物と放射線学的に等価な高レベル放射性廃棄物量の算出のために、「廃棄体の交換比率の算定に用いる指標」(ITP:Integrated Toxic Potential)を用いることを発表しており、政府はNDAにITPによる計算の妥当性を確認するように求めていた。

なお、プレスリリースでは、今回NDAがコンサルタント会社に作成させた評価・監査報告書も公表されており、その中で、BNG社によって算出された等価交換による高レベル放射性廃棄物の追加量の割合について、最終的な結果などが示されている。

  • 原子力廃止措置機関(NDA)ウェブサイトの2006年9月27日付けのプレスリリース
    http://www.nda.gov.uk/News–News_1944).aspx?pg=1944

ONKALOの建設状況
(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)


フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社は、2004年12月3日付けのプレスリリースにおいて、同社がオルキルオトで、2004年6月から建設を行っている地下特性調査施設(ONKALO)の進捗状況を公表した。プレスリリースによると、坑道掘削距離は122メートルに達しており、ポシヴァ社とONKALO建設作業の主契約業者であるカリオラケンヌス(Kalliorakennus)社によって、掘削及び掘削により露出した岩盤への調査が実施されている。なお、ONKALOの完成は2010年の予定である。また、最終処分施設の建設許可申請は2012年までに政府に提出されることになっており、操業開始は2020年の予定とされている

ONKALO建設のための掘削作業については、通常の岩盤工事との違いはないが、坑道周囲の岩盤のグラウト1 には特に注意が払われている。坑道は発破掘削工法により1回当たり約5メートルずつ掘削されている。一週間あたりの掘削は通常、平均週3回、最大で週7回実施されている。また、削孔段階では、岩盤構造に応じて、合計で32~42の発破孔が削孔されている。

坑道は、掘削3回毎にグラウトされ、同時に水の流量測定や散逸試験も実施されている。グラウト後、次の掘削に入る前に、地質学者が岩盤構造の調査を実施している。地質学者は、最終処分場のための岩盤の適合性についての正確な情報を得ることで、事前に作成されたオルキルオトの岩盤モデルの補完を可能としている。

なお、ONKALOで実施される研究プログラムについては、2003年10月にポシヴァ社より公表された「ONKALO地下特性調査及び研究プログラム」に示されている。また、フィンランドにおける放射性廃棄物管理全般に関する研究開発計画としては、ポシヴァ社より2003年12月に公表された「オルキルオト、ロヴィーサ原子力発電所の放射性廃棄物の管理:2004-2006年の研究・開発・設計プログラム」(TKSレポート2003)がある

【出典】

  • ポシヴァ社ウェブサイト、 http://www.posiva.fi/cgi-bin/newsarcposiva.cgi?
    dataf=20041203140128.txt & dpic=20041203140230.gif & title=ONKALO+tunnel+reaches+122+metres+in+depth & arctype=ESITE & arcfile= & arctitle= & newstype=uutinen & lang=eng & date=20041203000000

  1. 地盤や構造物の間隙・割れ目・空洞に強化や止水を目的として固結材を注入する工法 []

2004年12月1日の英国貿易産業省(DTI)のプレスリリースによると、欧州委員会(EC)は、原子力廃止措置機関(NDA)に関する国家補助1 について、正式な調査を開始した。英国政府は、2003年12月に、ECに対してNDAに関して国家補助を行う意向を伝えていた。NDAは、原子力遺産と称される英国の過去の原子力債務を管理するため、2004年7月に成立したエネルギー法に基づいて政府外公共機関(NDPB)として設置されている。

DTIによるプレスリリースでは、欧州委員会の調査期間におけるNDAへの暫定的な財政支援により、NDAは予定通り2005年4月1日に活動を開始できるとされている。また、NDAの設置に向けた以下の3つの重要な作業が2004年12月6日の週には完了することを政府が発表したことも伝えられている。

  • エネルギー法に基づいた、NDAに様々な責任を課すための政府指示
  • エネルギー法に基づいた、NDAへの支出額についての政府方針を定める声明の公表
  • 協議用の年間活動計画書ドラフト版の公表


○年間活動計画書の協議

2004年10月13日、原子力廃止措置機関(NDA)は、その活動計画の早期周知のため、エネルギー法で定められている協議の前の段階において、年間活動計画書ドラフトの事前協議版を公表し、その内容についての意見を求めている。事前協議版では、NDAによる原子力サイトの廃止措置およびクリーンアップ作業、施設の操業、その他のNDAの機能や活動についての計画が示されている。今後は、作成されるドラフト版に基づいて協議を行い、必要な改訂を加えた後、政府に提出し承認を受けることになっている。承認後、年間活動計画書は公表され、英国議会およびスコットランド議会に提出される。

○地域協定締結

2004年11月1日、貿易産業省(DTI)は、ウエスト・カンブリア戦略フォーラムの第1回会合において、原子力廃止措置機関(NDA)、地方当局、北西部開発機関(NWDA)2 と、ウエスト・カンブリアの経済振興を保証する協定に署名した。原子力産業におけるウエスト・カンブリアでの雇用状況は、クリーンアップ事業などによる新規雇用の創出があるものの、セラフィールドにおける商業活動の減少によって、悪化することが予測されている。ウエスト・カンブリア戦略フォーラムは、セラフィールドにおける廃止措置とクリーンアップ事業による経済的な影響を検討し、ウエスト・カンブリアに持続可能な経済を創出するために設置されたもので、年に2回、ロンドンとカンブリアで開催されることになっている。なお、エネルギー法により、NDAは原子力サイト近隣地域の社会・経済環境に有益な活動を支援しなければならないことになっている。また、貿易産業相は、NDAはウエスト・カンブリアのウエストレイク科学技術パークに拠点をおくことになると発表した。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)の2004年12月1日付けのプレスリリース
    http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/WGLaunch.aspx?ARTCL=28407
  • 欧州連合(EU)の2004年12月1日付けのプレスリリース
    http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/04/1430&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
  • 欧州条約 http://europa.eu.int/comm/competition/state_aid/legislation/aid3.html#A
  • 原子力廃止措置機関(NDA)の2004年10月13日付けのプレスリリース
    http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=15
  • 貿易産業省(DTI)の2004年11月1日付けのプレスリリース
    http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/WGArticle.aspx?WCI=htmArticleView&WCU=ARTCL_PKEY%3d27713

【2004年12月15日追記】

2004年12月10日、NDAは2005-2006年の年間活動計画書のドラフト版を公開し、2ヵ月間にわたる利害関係者との協議を開始した。

ドラフト版公開ウェブサイト:http://www.nda.gov.uk/documents/nda_annual_plan_-_final_draft_for_consultation_revb.pdf


  1. 市場競争を歪曲する、または歪曲するおそれのある国家補助は、欧州条約によって原則禁止されている。しかし、他の欧州連合(EU)の目的遂行への寄与が国家補助による損失よりも大きいことが明らかに証明される場合など一定の条件を満たすものは、欧州委員会(EC)によって承認される。各国政府には、国家補助を行う場合、事前に欧州委員会に通知することが義務付けられている。 []
  2. 北西部開発機関(NWDA)は、1998年の地域開発機関法によって設立された地域経済開発の戦略的な先導者となることを主な目的とした政府外公共機関(NDPB)である。 []

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)1 は、2004年11月19日のプレスリリースにおいて、CoRWMとして初めて絞り込んだ管理オプション候補リストを公表した。これは、放射性廃棄物管理のために検討していた15の管理オプションについて、9つの基準に基づいて評価したものである。同プレスリリースによると、CoRWMの2005年1月の会合、およびCoRWMが実施している大規模な公衆の関与と協議プログラム(「公衆・利害関係者参画(PSE)プログラム」と呼ばれている)の中で、管理方針についての考え方がさらに整理されることとなっている。

プレスリリースでは、CoRWMが絞り込んだ管理オプション候補リストが下の表のように3つの区分で示されている。

CoRWMが公表した11の管理オプション候補リスト
リストから外すことが提案されているもの

リストに残すことについて
さらに検討が必要とされたもの

リストに残すもの
1. 氷床処分 6. 宇宙処分 8(b) 中間貯蔵
2. プレート沈み込み帯への処分 7. 海洋底下処分 10. 地層処分
3. 地層への直接注入処分2 8(a) 無期限貯蔵 11. 段階的地層処分3
4. 海洋処分 9. 浅地中処分
5. 希釈処分

また、CoRWMは以下の4つのオプションについては、管理オプションとしては考慮しないが、将来において高レベル放射性廃棄物およびその他の放射性廃棄物の管理オプションと共に利用される技術として位置づけている。

12. 原子炉内燃焼4
13. 焼却5
14. 核種分離・変換
15. 金属溶融6


プレスリリースによると、放射性廃棄物の管理オプションの評価に当たって利用された9つの基準は、以下のとおりとされている。

  1. 以下のような形態において、管理概念の裏付けがなされていないもの
    • 国内外における実施
    • そのオプションが実現可能であることを実証するような国際的な科学界での十分な研究開発
  2. 国外への環境配慮義務の不履行が発生するもの
  3. 特別な環境脆弱性のある地域への損害が発生するもの
  4. 将来世代への容認し難い負担(費用、環境破壊など)が発生するもの
  5. 便益を受けている現世代よりも大きなリスクを将来世代に課すもの
  6. 核物質防護に対して容認できないリスクを生むもの
  7. 健康に対して容認できないリスクをもたらすもの
  8. 達成される便益が費用に見合わないもの
  9. 現在および将来にわたって国際条約および国際法に違反するもの

なお、CoRWMは4つの段階を設けて放射性廃棄物の管理オプションの検討を実施しており、現在はその第2段階に当たっており、この段階での最終報告項目として管理オプション候補リストを挙げている。CoRWMは、この第2段階で作成された管理オプション候補リストに基づいて、次の検討段階においてさらに放射性廃棄物管理オプションについての協議を行うこととしている。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイトの2004年11月19日付けのプレスリリース、http://www.corwm.org/content-483
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org/content-248、2004年11月

  1. CoRWMは、高レベル、中レベル、一部の低レベル放射性廃棄物とウラン、プルトニウム、使用済燃料についての長期管理オプションに関する勧告を政府に対して行う責任を有するものとして2003年に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した機関であり、2003年11月から活動を開始している。 []
  2. 放射性廃液を深い地層中に注入して処分するオプションで、セメント等と共に注入するものなどがある。 []
  3. 放射性廃棄物を地層処分場に定置し、暫くの期間、貯蔵をした後、埋め戻しを行い、最終的に地層処分とするオプションで、将来世代に処分場の閉鎖実施および閉鎖時期についての決定権を与え、また閉鎖前の廃棄物の回収可能性を保持させるものである。 []
  4. 原子炉内でウランとプルトニウムを燃料として燃焼させることによって処分しようとする管理オプション []
  5. 焼却によって放射性廃棄物を減容させる管理オプション []
  6. 放射性金属廃棄物を溶融して減容させたり、環境への放出やスラグへの移行によって放射能の一部を分離させる管理オプション []

2004年11月20日、米国の連邦議会は2005年度のエネルギー・水資源歳出予算案を承認した。ユッカマウンテン処分場関係については、ほぼ昨年度並みの5億7,700万ドルとなっており、予算要求額を大きく下回る水準となっている。なお、歳出予算案は、同様に成立が遅れていた他の8分野の歳出予算と併せて総括歳出法案の形で承認されたものである。

下の表は、この2005年度歳出予算案におけるユッカマウンテン関連の金額について、要求額との比較で示したものである。

(単位:USドル)
 
2005年度
予算要求額
2005年度
予算承認額
対2004年度
歳出予算比
民間分
7億4,900万
3億4,600万
△4億 300万
国防分
1億3,100万
2億3,100万
+1億    
合計
8億8,000万
5億7,700万
△3億 300万

なお、2005年度予算要求の中では、民間分の要求額に対応する7億4,900万ドルについて、放射性廃棄物基金に電力会社が払い込んだ拠出金である「歳入」と処分場関連予算である「歳出」とを相殺できる立法提案が行われており、最終的な一般的な財源からの予算要求金額は、この相殺分を差し引いた1億3,100万ドルとなっていた。2004年7月に下院で承認されたエネルギー・水資源歳出法案では、この予算要求通りの1億3,100万ドルのみが承認され、基金への拠出金額を歳出と相殺する法案が別途委員会に提出されていた。両院協議会を経て最終的に合意された今回の包括歳出法案では、この相殺を可能とする立法措置は織り込まれていない。

【特別情報:ユッカマウンテン関係の最新の動き】

米国・ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物処分場建設の認可申請については、2004年末までに行うとの予定が連邦エネルギー省(DOE)から示されていたが、ネバダ州内新聞社等によれば、2004年11月22日に行われた原子力規制委員会(NRC)との会議において、申請の予定が遅れることをDOEが表明したと伝えられている。同報道によれば、申請の具体的な日程は未定であるが、2005年半ば以降になる可能性もあるとの示唆がDOEから示された模様である。

※参考:DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の報道記事紹介ページ
(http://www.ocrwm.doe.gov/newsroom/ocrwmnews.shtml)

【出典】

低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場の概念図(OPG社提供)courtesy Ontario Power Generation

カナダ、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の10月15日付けニュースリリースにおいて、OPG社と同社のブルース原子力発電所があるオンタリオ州キンカーディン自治体は、低・中レベル放射性廃棄物の長期管理のための立地協定を締結したことを公表した。

OPG社はオンタリオ州内に3ヶ所の原子力発電所(原子炉計20基)を所有しており、これらの原子力発電所で発生した低・中レベル放射性廃棄物は、ブルース原子力発電所内のウェスタン廃棄物管理施設(WWMF)で貯蔵されている。OPG社は、低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場をブルース発電所サイトにおいて建設することを検討しており、住民の賛同が得られた場合、この立地協定は処分場建設承認を支援するものとなる。

OPG社ウェブサイトの情報によると、今回の立地協定の主な点は以下の通りである。

  • OPG社は、キンカーディン自治体の支援の下、規制機関等からの地層処分場建設許可を求める。
  • 同自治体および周辺自治体は、一時金および毎年の金額として合計3,500万カナダドルの支援を受ける。
  • OPG社所有の原子力発電所について、2035年までの運転に伴い発生する低・中レベル放射性廃棄物と、原子炉解体に伴い発生する廃棄物との合計約20万m3を受け入れる。
  • 同自治体は新たにオンタリオ州に建設される原子炉からの低・中レベル放射性廃棄物のための処分場拡張の交渉に応ずる。
  • 使用済燃料は現在同自治体に提案されている処分場には処分しない。
  • OPG社は、廃棄物管理施設での新たな雇用の提供、資産価値の保全を行う。
  • OPG社と同自治体は、原子力に関する中核的研究拠点の構想、専門学校および海外視察をサポートする。
  • 規制機関から建設許可を得る前に、同自治体は、地元住民が地層処分オプションに関する自治体議会の決定を支持するかどうか住民と協議を行う。

OPG社ウェブサイトの情報によるこれまでのOPG社と同自治体との間での低・中レベル放射性廃棄物の長期管理に関する動きを以下に示す。

  • 2002年、OPG社とキンカーディン自治体は、ブルース原子力発電所内での低・中レベル放射性廃棄物の長期管理計画を策定するための覚書を締結。
  • OPG社とキンカーディン自治体は、第三者機関に対し、低・中レベル放射性廃棄物管理に関する以下の3つのオプションについて、技術的な実現可能性、安全性、環境および社会経済的影響などの調査・評価を委託。
    • 高減容化処理・建屋内貯蔵
    • 地表コンクリート・ピット
    • 深地層処分
  • 2004年2月、いずれのオプションも実現可能であるという評価結果が公表され、その後、同自治体議会が、地層処分が好ましい低・中レベル放射性廃棄物管理方法であるとして検討していくことを決議。
  • 2004年4月、同自治体とOPG社は立地協定の内容についての交渉を開始し、同年10月13日、立地協定を締結。

ニュースリリースによると、地層処分場の設置にはパブリックコメントを含む環境アセスメントが必要であり、またOPG社はカナダ原子力安全委員会(CNSC)から処分場の建設および操業許可を得る必要がある。

また、OPG社ウェブサイトの情報によると、今後2005年1月に、第三者機関による低・中レベル放射性廃棄物地層処分場の建設を支持するかどうかの地元住民の意識調査が行われる。住民の支持が得られた場合には、OPG社は規制機関からの許認可を得るためのプロセスを開始し、順調にプロセスが進むと、2013年に処分場建設許可取得、2017年に処分場操業許可を得る予定である。

【出典】

  • オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社 2004年10月15日付ニュースリリース http://www.opg.com/info/news/NewsOct15_04.asp
  • オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社ウェブサイト 2004年11月4日
    http://www.opg.com/ops/NwasteIAS1.asp
    http://www.opg.com/ops/NwasteIAS4.asp
    http://www.opg.com/ops/NwasteIAS10.asp
  • 放射性廃棄物等安全条約に基づくカナダ国別報告書(第1回) Canadian National Report for the Joint Convention on the Safety of Spent Fuel Management and on the Safety of Radioactive Waste Management, CNSC 2003

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、5段階で構成される活動プログラムのうちの第1段階を2004年9月末に終了し、その活動結果についての報告書を2004年10月15日にウェブサイトで発表した。この報告書では活動プログラムの段階をこれまでの5段階から4段階に減らすことも示されている。CoRWMは、政府に対して放射性廃棄物の長期管理オプションに関する勧告を行う責任を有するものとして2003年に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した機関である。CoRWMは、2006年に政府への管理方針の勧告を行うため、2003年11月から活動を行っており、その進捗状況は定期的に環境担当大臣1 に報告されている。

CoRWMは、活動プログラムの第1段階を「第2段階以降に向けた準備」として位置づけ、2004年3月から9月まで活動を行った。今回の第1段階報告書では主に以下の項目について報告がなされている。

  • CoRWMの意思決定プロセスについての暫定報告
  • 長期管理が必要とされる放射性廃棄物の最終的なインベントリについての暫定報告
  • CoRWMが考慮すべき管理オプションについての暫定報告
  • CoRWMが最適なオプションを選択するための基準についての予備調査結果
  • 管理オプションを評価し、最適なオプションを選択するための包括的手法についての予備調査結果
  • CoRWMの作業に必要な情報の特定方法と情報の関連性や信頼性の確保方法
  • 公衆の意見を反映した管理オプション検討のための枠組策定についての予備調査結論
  • CoRWMの活動プログラムの第3、第4段階における公衆と利害関係者の関与方法
  • CoRWMの活動プログラムの第2、第3、第4段階
  • 結論

CoRWMは今後の進展に対応するためにも活動プログラムに柔軟性を持たせるべきであると環境担当大臣に対して述べてきており、今回の報告書では、これまでの状況の変化を示し、プログラムで予定されていた活動内容を多数変更している。CoRWMは、第1段階で得られた知見にもとづき、これまで5段階構成としてきた活動プログラムをより効果的なものにするため、4段階へと変更した。また、第1段階においては、第2段階から最終段階までの各段階におけるプログラム内容詳細を決定する予定であったが、第2段階についてのみ詳細を決定し、第3、第4段階については概要を示すにとどめている。

新たに提示された第2段階の活動プログラム内容は以下の表の通りである。第3段階における活動内容については、2004年10月から2005年1月にかけて詳細に検討されることになっている。また、第4段階では、第3段階での検討結果をもとに、放射性廃棄物管理オプション評価結果報告書が準備され、政府への勧告が2006年7月に行われる予定である。

段階 活動プログラム内容 期日
(第2段階)
放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定と管理オプション候補リスト作成

中間報告項目

  • 廃棄物管理オプション検討のための枠組
  • 管理オプションの評価基準
  • CoRWMの意思決定プロセス
  • 廃棄物インベントリ

最終報告項目

  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 管理オプションの選別基準
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 第3段階の詳細プログラム
2005年6月
(3月)*

*)期日の欄の括弧内は、2004年6月時点の活動プログラムにおいて提示されていた期日

また、CoRWMは2004年10月11日付で、2004年6月から8月における活動についての進捗状況を第3四半期報告書としてウェブサイトで公表している。

今回公表された第3四半期報告書によると、CoRWMの情報収集活動に関しては、第2四半期に引き続き、原子力施設や関連機関への訪問などを行ったとのことである。具体的には、ケースネス州ドーンレイを訪問し、英国原子力公社(UKAEA)や地元組織・住民との会合を持ったり、ブリティッシュ・エネジー社や多くの政府諮問委員会から放射性廃棄物管理についての意見を求めるなどであった。同報告書ではCoRWM内の各ワーキング・グループの活動内容なども示されている。

さらに、同報告書では、委員長が任命された2003年7月以来、CoRWMの活動に要した費用総額が約130万ポンド(約2億5,350万円、1ポンド=195円で換算)であることが報告されている。この費用の内訳は以下のとおりである。

  • 委員への報酬、交通費、雑費=34万ポンド(6,630万円)
  • 公衆・利害関係者の関与手法の開発・テスト費=25万ポンド(4,875万円)
  • 公衆・利害関係者関与のためのウェブサイトの開発・保守費=12万ポンド(2,340万円)
  • 放射性廃棄物管理や公衆・利害関係者の関与についての海外事例などの研究・情報収集費=17万ポンド(3,315万円)
  • 活動プログラム設計、プロジェクト管理についての忠告など、専門家による支援費=25万ポンド(4,875万円)
  • 委員会公開のための調整・宣伝費などの委員会開催費=8万ポンド(1,560万円)
  • 委員が即時に情報を入手、交換できるようにするためのパソコンなどのIT関連費=1万6千ポンド(312万円)

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org.uk、2004年10月
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第1段階報告書、http://www.corwm.org/PDF/CoRWM%20Phase%201%20report%20Final.pdf
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第3四半期報告書、http://www.corwm.org/content-229、2004年10月

  1. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

スイスの連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2004年9月28日、プレスリリースにおいて、環境・運輸・エネルギー・通信相が、高レベル放射性廃棄物処分の研究開発及びサイト選定実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)との話し合いの場で、これまで調査が行われてきたチュルヒャー・ヴァインラント地域の代替案となる高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域を提示するよう要請したことを公表した。

UVEKのプレスリリースでは、次のように述べられている。

2002年末に、NAGRAにより、「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書が連邦評議会に提出され、チュルヒャー・ヴァインラントのオパリナス粘土層における高レベル放射性廃棄物処分が実現可能であることが証明された。しかし、これは処分場サイトの決定を意味するものではなく、サイト選定は2010年以降に行われることになっている。UVEKは、処分場候補地となり得る他の地域とチュルヒャー・ヴァインラントの比較の必要性を指摘し、環境・運輸・エネルギー・通信相は、複数候補地域の比較調査の実施に関する提案を連邦評議会に提出する方針である。さらに、サイト選定のために、複数の岩種を検討対象とし続けるか、あるいはオパリナス粘土層のある地域に焦点を絞るのかについての決定は、安全当局による「処分の実現可能性実証プロジェクト」報告書の評価の完了と2005年に予定されている公開協議手続きの後に下されることになっている。

さらにこのプレスリリースによると、NAGRAは、処分場計画の概要承認1 (詳細は こちら)申請の際に、処分場サイトの選定が適切な手続きによるものであることを証明しなければならず、そのための判断基準は、都市計画法に基づく連邦政府の特別計画(詳細はこちら)「深地層処分場」の枠組みの中で策定され、その検討作業には連邦機関や州、隣国も参加する予定である。現在、連邦エネルギー庁(BFE)がこの基準策定を進めており、関心のある団体や一般市民にも早い段階から情報提供がなされ、適切な形で参加できることが示されている。(BFEは、UVEKの下で、原子力法などエネルギー関連の法律制定の準備および政策を実行する連邦機関である。)

一方、NAGRAは、2004年9月28日付けのプレスリリースの中で、連邦評議会が高レベル放射性廃棄物処分場の立地の際に安全性を最重要視する姿勢を歓迎する旨を表明した。また、2005年前半にチュルヒャー・ヴァインラントの代替候補地域を提示し、安全基準に基づいて比較する報告書を提出するとしている。NAGRAは、特別計画「深地層処分場」において、処分場立地のためのプロセスが確定される予定であり、その際に、州や隣国も関与することができるという方針に支持を表明している。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)9月28日付プレスリリースhttp://www.nagra.ch/deutsch/aktuell/f_archiv.htm
  • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)9月28日付プレスリリース http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/ medienmitteilungen/artikel/ 20040928/02032/index.html?lang=de

  1. 概要承認とは、立地場所および処分プロジェクトの基本的事項に対する連邦評議会の許可のことを指す。処分プロジェクトの基本的事項としては、処分廃棄物の分類、処分容量ならびに主要構造物のおおよその規模や位置などが挙げられる【原子力法に関する連邦決議】。 []

スウェーデンの使用済燃料処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2004年9月30日付のプレスリリースにおいて「研究開発実証プログラム2004」(RD&Dプログラム2004)を作成、規制機関及び政府に提出したことを公表した。使用済燃料の処分について、2006年に封入施設、及び2008年に地層処分場の建設許可申請(詳細は こちら)を控え、放射性廃棄物プログラムは重要な段階にあるとしている。

このプレスリリースでは以下のように述べられている。

キャニスタに関する研究では、銅製キャニスタの溶接方法に関して大きな前進があった。キャニスタ研究所において2つの溶接方法が開発されており、SKB社は2005年にどちらの溶接方法を採用するかを決定する。SKB社は、キャニスタ封入施設の建設許可申請を2006年に行う予定であり、オスカーシャム自治体にある使用済燃料の集中中間貯蔵施設(CLAB)に隣接して建設する計画である。

地層処分場については、現在サイト調査がエストハンマル自治体およびオスカーシャム自治体において行われており、これまでのところ良好な結果が得られている。SKB社は、サイト選定結果、詳細な環境影響評価書を含めて、地層処分場の建設許可申請を2008年に提出する予定である。

また、プレスリリースによると、RD&Dプログラムでは技術面以外の研究も扱われており、社会経済学的な分野、意思決定過程等について8つのプロジェクトが実施されていることが示されている。さらに、RD&Dプログラム2004は、2008年までのスケジュール、達成目標、プログラムを構成する各部分の連携に焦点を当て、今後の行動計画が示すものであると紹介されている。

今後RD&Dプログラム2004は、原子力活動法等の規定により、原子力発電検査機関(SKI)、放射性廃棄物国家評議会(KASAM)により評価が行われ、その後、政府による承認審査を受けることになる。SKIは、レビュー活動の一環として、放射線防護機関(SSI)、大学・研究機関のほか、関係する県域執行機関、自治体、環境保護団体などへコメントを求めて送付し、それらを取りまとめた上でレビューを行う。

なお、2004年10月4日現在で、RD&Dプログラム2004はスウェーデン語版のみが公表されている。これまでのRD&Dプログラムは英語版も公表されている。

RD&Dプログラムとは、原子力活動法の定めるところにより、使用済燃料を含む放射性廃棄物の安全な管理と処分、原子力発電所の廃止措置と解体に関する総合的な研究開発を実施するSKB社が3年ごとに研究開発等の計画を示すために作成、公表しているものである。前回のRD&Dプログラムは、2001年に公表されている

【出典】

  • スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)2004年9月30日付けプレスリリース http://www.skb.se/upload/Foretaget/Media/Pressmeddelanden/PM_FUD04_septEng.pdf