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米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月19日付けのプレスリリースにおいて、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施することを伝えるとともに、法案の討議用ドラフトを公表した。2017年放射性廃棄物政策修正法案は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)を修正するものであり、同プレスリリースでは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分に係る連邦政府の義務の履行を確実にするため、米国の放射性廃棄物管理政策の現実的な改革を行うものであるとしている。また、今回公表した法案の討議用ドラフトは、放射性廃棄物管理政策の改革について、ステークホルダーからのフィードバックを促進するものであるとしている。

2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトにおける法案の構成及び主要条文タイトルは、以下の通りとなっている。

第I章 監視付き回収可能貯蔵1
監視付き回収可能貯蔵(第101条)、権限と優先度(第102条)、協力協定の条件(第103条)、サイト選定(第105条)、便益協定(第106条)、許認可(第107条)

第Ⅱ章 永久的な処分場
土地収用・管轄権・保留地(第201条)、水利権(第202条)、申請手続とインフラ活動(第203条)、申請中の処分場許認可申請(第204条)、軍事廃棄物専用処分場開発の制限(第205条)、輸送経路に関する連邦議会意見(第206条)

第Ⅲ章 エネルギー省(DOE)の契約履行
物質[使用済燃料]の所有権

第Ⅳ章 立地自治体に対する便益
同意(第401条)、協定の内容(第402条)、対象となる地方政府(第403条)、使用済燃料処分(第406条)、更新レポート(第407条)

第Ⅴ章 資金
見積り及び拠出金の徴収(第501条)、放射性廃棄物基金の使用(第502条)、一定金額の利用可能性(第503条)

第Ⅵ章 その他
基準(第601条)、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)(第602条)

下院エネルギー・商務委員会のプレスリリースでは、法案の討議用ドラフトにおける提案は、過去6年間に亘る数多くのヒアリング記録等に基づいて綿密に策定されたものであるとしている。主要な規定として、具体的には以下のようなポイントが含まれている。

  • 中間貯蔵
    第Ⅰ章の監視付き回収可能貯蔵(MRS)は、使用済燃料の中間貯蔵施設プログラムについて規定するものであり、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可申請に対する原子力規制委員会(NRC)による決定が行われることを条件として、民間事業者との協力契約の締結を含む中間貯蔵の実施権限などを、エネルギー長官に認める規定などが置かれている2
    また、第Ⅲ章では、中間貯蔵を目的としてエネルギー長官が民間の使用済燃料を引取り、所有権を取得する権限を認める規定が置かれている。
  • 処分場プログラム
    水利権に係る州の差別的対応を禁止し、エネルギー長官による水利権取得を認める規定、処分場建設に必要な土地の収用を認める規定などが置かれている3
    また、ネバダ州がラスベガス近郊における使用済燃料輸送について懸念を示していることから、エネルギー長官は可能な限りラスベガスを回避する輸送経路を検討すべきであるとの連邦議会意見も規定されている。
  • 立地地域への便益
    便益の提供を受けることは処分場立地への同意を意味しないとして、処分場計画に反対する州も便益提供の対象とすること(ただし、訴訟費用等への充当は制限)、エネルギー長官は、州のみでなく地方政府とも便益協定を締結することを認めること、放射性廃棄物政策法に規定された以外の便益協定を締結可能とすることなど、放射性廃棄物政策法における便益提供の枠組みを修正する規定が置かれている。
  • 資金
    放射性廃棄物基金からの支出については、各年度の連邦政府の歳出法における承認が必要とされているが、ユッカマウンテンサイトにおける使用済燃料等の受入れ開始後は、処分事業進捗の段階に応じて一定金額を歳出法による承認なしに使用可能とする規定が置かれている。

今回の2017年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトの公表に対して、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡は、同法案がネバダ州の懸念点の多くに対応するものであることを評価し、ネバダ州は検討手続に参加すべきであるなどとして、連邦議会の動きを歓迎する声明を出している。

一方、ナイ郡を選挙区に含むキヒューエン下院議員は、2017年9月19日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングへの参加要求をエネルギー・商務委員会に送付したことを公表するとともに、ネバダ州の代表者が参加しない委員会で審議検討を進めることは不適切であるとの見解を表明している。

【出典】

 

【2017年4月25日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年4月24日に、同委員会ウェブサイトの「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングのページにおいて、2017年4月26日に実施が予定されているヒアリングでの証言者のリストとともに、本ヒアリングに係る背景メモを公表した。

「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングは2部構成で行われ、第1部ではネバダ州及びサウスカロライナ州4 選出の連邦議会議員が、また、第2部では各分野のステークホルダー組織、及びエネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の元局長が、それぞれ証言者として予定されている。

また、今回公表された背景メモでは、放射性廃棄物管理に係る背景・経緯に係る情報とともに、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフトの逐条解説が示されているほか、本ヒアリングで検証する問題点として以下の5点が示されている。

  • 「2017年放射性廃棄物政策修正法案」討議用ドラフトの条項
  • 処分場に関する許認可と要件
  • 監視付き回収可能貯蔵(MRS)の承認、及び中間貯蔵プログラムを実施するためのDOEの契約上の仕組み
  • MRS、または処分場の立地州・自治体等とのパートナーシップの可能性
  • DOEサイトの環境修復を迅速化する取組

なお、今回開催されるヒアリングに対してネバダ州知事は、2017年4月21日付けのプレスリリースにおいて、ヒアリングを主宰するエネルギー・商務委員会の委員長及び少数党最上席議員に宛ての書簡を公表した。今回のネバダ州知事の書簡では、ユッカマウンテンにおける処分場建設に対して強く一貫して反対を行うこと、あらゆる手段を用いてプロジェクトを阻止する意向であることが示されている。また、ヒアリングに参加するネバダ州選出議員からもプレスリリースが出されており、ヒアリングへの参加が認められたことは評価しつつも、ユッカマウンテン計画に対するネバダ州民の反対は強固であることなどが訴えられている。

【出典】

 

【2017年4月27日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に係るヒアリングを実施した。これを受けてエネルギー・商務委員会は、2017年4月26日付けのプレスリリースにおいて、本ヒアリングにおける証言者の証言等を伝えている。また、エネルギー・商務委員会ウェブサイトのヒアリングのページでは、証言者の証言書、委員長等の冒頭声明書、その他のヒアリング提出文書とともに、ヒアリングの様子を伝えるビデオが公開されている。なお、本ヒアリングで証言を行ったネバダ州選出の下院議員3名からは、再度、反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

一方、ネバダ州知事は、本ヒアリングが実施された2017年4月26日にプレスリリースを発出しており、エネルギー長官を訪問して以下の事項について意見交換したことを公表した。

  • ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明し、放射性廃棄物問題に対する現実的で安全な代替策の検討を要求した。
  • コミュニケーション強化のためにネバダ州とエネルギー省(DOE)のワーキンググループを再確立する必要性を議論した。
  • ネバダ国家セキュリティサイト(ユッカマウンテンの立地サイト)における研究開発任務強化の重要性を議論した。
  • DOEとネバダ州高等教育組織とのパートナーシップ強化に向けた両者の要望について議論した。
  • DOEのネバダ州に貯蔵されている低レベル放射性廃棄物の厳重な監督継続に係るネバダ州の要望を議論した。
  • サイバーセキュリティの重視と州・DOEの協力方法を議論した。

なお、下院エネルギー・商務委員会の2017年4月26日付けのプレスリリースでは、2017年3月20日に同委員会からエネルギー長官に宛てた書簡に対して、エネルギー長官が発出した返書を掲載している。この中で、ユッカマウンテン処分場の建設に係る許認可手続再開の重要性については、2017年3月27日のユッカマウンテン視察時により明確となったとして、連邦議会と協力して短・長期の取組の前進を図りたいとするエネルギー長官の意向は示されているものの、2017年3月20日付けのエネルギー・商務委員会の書簡で示された具体的な政策への言及はない。

【出典】

 

【2017年5月19日追記】

米国ネバダ州の州議会は2017年5月17日に、ネバダ州のユッカマウンテンにおける使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「使用済燃料等」という。)処分場の開発に反対を表明する合同決議を可決した。本合同決議案は、2017年3月に同州議会下院に提出され、下院では2017年4月21日に32対6で、上院では2017年5月17日に19対2の賛成多数で可決されていた。

今回ネバダ州議会で採択された合同決議は、ユッカマウンテンにおける処分場開発に対して改めて反対を表明した上で、以下について、上下両院が合同で決議を行ったものである。

  • ネバダ州議会は、ユッカマウンテン処分場計画の復活を図る連邦議会における動きに最大限の抗議(protest)を行う。
  • ネバダ州において使用済燃料等の貯蔵施設、処分施設の立地を図る法案には、拒否権を発動するよう大統領に要求する。
  • ユッカマウンテン処分場は不適切(unsuitable)であることを確認し、ユッカマウンテンにおける処分場立地の検討を断念し、革新的で成功を収めるような戦略を米国が再び取り組むプロセスを開始するようエネルギー長官に要求する。
  • ユッカマウンテンにおける処分場開発、及びネバダ州内での使用済燃料等の貯蔵や処分に対するネバダ州議会の強い反対を改めて公式に表明する。
  • 本合同決議の写しを、大統領、連邦議会上下両院議長5 、エネルギー長官、及びネバダ州選出の連邦議会議員に送付する。
  • 本決議は可決と同時に発効し、ネバダ州議会の公式見解となる。

【出典】

 

【2017年6月19日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会環境小委員会は2017年6月15日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の審議検討を行う会合(以下「法案策定会合」という。)を開催した。エネルギー・商務委員会の法案策定会合に係るウェブサイトでは、法案のドラフト、修正案、背景メモ、付属資料、委員長等の冒頭声明書などとともに、法案策定会合の様子を伝えるビデオが公開されている。エネルギー・商務委員会が2017年6月15日に公表したプレスリリースでは、環境小委員会の法案策定会合において、2017年放射性廃棄物政策修正法案のドラフトを満場一致で承認しており、今後、エネルギー・商務委員会の本委員会に送られるとしている。

今回の法案策定会合で検討が行われた2017年放射性廃棄物政策修正法案のドラフトは、2017年4月19日に公表された討議用ドラフトから大きな変更は行われていないが、中間貯蔵施設関連、許認可審査関連、便益協定関連、処分基準関連などで軽微な字句修正が行われている。

なお、本法案に係るヒアリングでの証言や書簡を通して反対の意を表明していたネバダ州選出の連邦議会議員からは、改めて法案に対して反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

【出典】

 

【2017年6月29日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2017年6月28日に、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)を含む8法案の検討・策定を行う会合(以下「法案策定会合」という。)を開催した。エネルギー・商務委員会ウェブサイトの法案策定会合のページでは、各法案及び修正案、背景メモ、委員長の冒頭声明書などとともに、法案策定会合の様子を伝えるビデオが公開されている。

2017年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.3053)については、4本の修正案が承認され、これら修正案を反映した法案が49対4の賛成多数で承認された。

今回の法案策定会合で承認された2017年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.3053)に係る修正事項の多くは、2017年6月15日に開催されたエネルギー・商務委員会環境小委員会における法案策定会合で示された懸念に対応したものとなっている。今回承認された法案の主な修正点は、以下のとおりである。

  • 監視付回収可能貯蔵(MRS)施設の開発について、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請に対する原子力規制委員会(NRC)の決定が行われる前段階においても、エネルギー長官が1件のMRS協力協定を締結することを認める
    • 2020~2025会計年度6 におけるMRSプログラムの歳出予算を承認
    • 最初のMRS施設では、廃止措置済みの原子力発電所からの使用済燃料の受入れを優先
    • ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請に対するNRCによる決定時期が迫るまでは貯蔵の開始は認められない
  • ユッカマウンテン処分場における水利権や大気質に係るネバダ州の許認可事項について、許認可取得を規定していた条項を削除
  • 第2処分場が操業を開始するまでのユッカマウンテン処分場における処分容量制限を撤廃するとした条項を廃止し、同時点までの処分容量上限を7万トンから11万トンに変更7
  • 五大湖近傍での放射性廃棄物処分及び長期貯蔵に対する連邦議会の反対意思を表明する条項を追加
  • 高レベル放射性廃棄物の海洋処分(ocean water disposal)及び海洋底下処分(subseabed disposal)を禁止する条項を追加し、海洋底下処分の評価等について規定した1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)の規定(第224条)を削除

なお、本法案に係るヒアリングでの証言や書簡を通して反対を表明していたネバダ州選出の連邦議会議員からは、改めて反対の意向を示したプレスリリースが出されている。

【出典】

 

【2017年10月25日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年10月19日に、2017年6月28日に開催した「2017年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)を含む8法案の検討・策定を行う会合(以下「法案策定会合」という。)において承認された修正等を反映した法案とともに、本法案に付随する委員会報告書(H.Rept.115-355)を下院本会議に報告した。「2017年放射性廃棄物政策修正法案」は、エネルギー・商務委員会の他に下院軍事委員会及び下院天然資源委員会にも付託されていたが、両委員会ともにさらなる審議は行わないことを公式に表明しており、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の下院本会議における審議・採決の準備が整ったことになる。

2017年10月24日に連邦議会資料室ウェブサイトで公表された委員会報告書(H.Rept.115-355)では、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」の条文に続いて、法案の目的・概要、背景・経緯、手続経過、連邦議会予算局(CBO)によるコスト評価8 、逐条解説、1982年放射性廃棄物政策法など現行法の改正状況の整理などが示されている。

なお、下院軍事委員会に所属するネバダ州選出の連邦議会議員は、ユッカマウンテン処分場への輸送経路が空軍訓練等に影響するなどとして、「2017年放射性廃棄物政策修正法案」に反対するよう下院軍事委員会に申し入れている。

【出典】

 

【2018年5月11日追記】

米国の連邦議会下院は2018年5月10日に、「2018年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)を340対72で可決した。本法案(H.R.3053)は、2017年6月26日にエネルギー・商務委員会環境小委員会の委員長であるシムカス議員によって「2017年放射性廃棄物政策修正法案」として提出され、2017年10月19日にエネルギー・商務委員会で承認した上で下院本会議に報告されていた。

「2018年放射性廃棄物政策修正法案」は、2018年5月10日の下院本会議審議に向けて、「2017年」を「2018年」に変更するなどの事務的な修正に加え、資金関連の条項などの修正を加える形で下院本会議に報告された。2017年10月19日に下院本会議に報告された法案では、ユッカマウンテンサイトにおける使用済燃料等の受入れ開始後は、処分事業進捗の段階に応じて一定金額を歳出法による承認なしに使用可能とされていたが、本規定は削除されている。したがって、今後も放射性廃棄物基金からの支出には毎年の歳出法による承認が必要となるが、本法案の成立後に放射性廃棄物基金に払い込まれる拠出金収入は、同基金からの支出を相殺する収入として扱う形に変更する規定が置かれている9

2018年5月10日に行われた下院本会議の審議では、民主党議員から提出された3本の修正案が審議された。このうち、放射性廃棄物基金の財務報告の公表、閉鎖された原子力施設の立地自治体への連邦政府による支援可能性の報告などをエネルギー長官に命じる修正案2本は可決されたが、処分場立地決定には同意に基づくサイト選定が必要とするネバダ州選出のタイタス議員から提出された修正案は、80対332で否決された。

なお、「2018年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)の下院本会議審議の規則について決定した下院議事運営委員会には、全部で17本の修正案が提出されていたが、下院本会議の審議が認められたのは上記の3修正案のみである。ネバダ州選出議員の提出によるものとしては、ユッカマウンテンプロジェクトの実質的阻止を図る修正案がローセン議員・キヒューエン議員から提出されていたが、アモデイ議員からは、ネバダ州での原子力研究開発、高速道路新設、再処理等の原子力施設その他連邦プロジェクトの検討などを求める修正案が提出されていた。

「2018年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053)の下院本会議での審議の決定、及び可決に対して、ネバダ州知事及びネバダ州選出議員からは、ユッカマウンテンプロジェクトに対する反対の意を改めて示し、今後も戦い続けていくことなどを表明するプレスリリースが出されている。一方、原子力エネルギー協会(NEI)は、今回の連邦議会下院における超党派支持による法案可決は、長く続いてきた問題を解決するための必要な一歩であるなどとして歓迎するプレスリリースを出している。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。 []
  2. 中間貯蔵については、これまで連邦議会上院の歳出法案等において、中間貯蔵の早期実施のための規定が盛り込まれていたが、下院の歳出法案ではユッカマウンテン計画の実施が最優先として、中間貯蔵施設開発に係る予算要求を認めていなかった。 []
  3. また、ネバダ州ユッカマウンテンにおける処分場開発については、NRCが策定した安全性評価報告(SER)において、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るDOEの許認可申請書は、土地の所有権及び水利権に関する要求事項 を除いては、NRCの連邦規則の要求事項を満足しているとの結論が示されていた。 []
  4. サウスカロライナ州では、4カ所の商業用原子力発電所のほか、DOE保有の高レベル放射性廃棄物等が貯蔵されているサバンナリバー・サイトが立地している。 []
  5. 上院は副大統領 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、例えば2020会計年度は2019年10月1日からの1年間となる。 []
  7. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、第114条(d)項において、原子力規制委員会(NRC)による第1処分場に対する許可では、第2処分場が操業を開始するまでは7万トンを超える量の使用済燃料等の処分は禁止されることが規定されている。 []
  8. 議会予算局(CBO)が「2017年放射性廃棄物政策修正法案」制定による財政への影響等を評価したものであり、本法案に規定された地元支援等で2億6,000千ドル(約290億円、1ドル=113円で換算)の支出増が見込まれるものの、今後10年間における政府財政に大きな影響を与えるものではないなどとの評価が、2017年10月4日付で公表されていた。 []
  9. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、放射性廃棄物基金に払い込まれる拠出金収入の予算上の扱いについての規定はなく、予算上は一般歳入の一部としてカウントされてきた []

米国のホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)は、2017年4月6日付のハイライト情報において、ニューメキシコ州のカールスバッド市近傍の自治体で構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)サイトにおける使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日に原子力規制委員会(NRC)へ建設に係る許認可申請書を提出したことに関する記者会見のビデオを公表した。

ホルテック社は、2015年8月3日に、許認可申請の意向通知をNRCに提出してNRCとの事前協議を進めてきたほか、採用する地下貯蔵方式のHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムについて、米国で使用中のすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう、適合承認(CoC)の変更申請を2016年8月30日にNRCに提出している

ホルテック社が許認可申請書を提出した中間貯蔵施設は、HI-STORE CIS(CISは集中中間貯蔵施設(Central Interim Storage)の略)と呼ばれ、HI-STORM UMAXシステムにより、ELEAサイトの最大貯蔵容量である10,000基の乾式貯蔵キャスクが貯蔵された状態でも、環境放射線量は実質的にゼロで無視できるレベルであるとしている。また、ホルテック社は、今回の許認可申請では、同様な貯蔵システムを採用して許認可までを取得し、中止された民間燃料貯蔵(PFS)社の集中中間貯蔵施設の計画において、許認可申請書の審査を通じて得られた10,000年間での再来地震(return earthquake)等の知見が活かされているとしている。さらに、ホルテック社の貯蔵システムは、ウクライナのエネルゴアトム社による集中中間貯蔵施設でも採用されているとしている。

なお、ホルテック社は、今回の許認可申請書の提出に際し、ニューメキシコ州、ELEAを構成するエディー郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市など地元自治体等の支持に感謝を示すとともに、エネルギー省(DOE)が民間による中間貯蔵施設の開発の動きを支持する姿勢を見せていることを評価するとの見解を示している。

【出典】

 

【2017年5月25日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)が計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日にNRCが受領した建設・操業に係る許認可申請書を公開した。本許認可申請書は、初期分として5,000トンの使用済燃料の40年間の貯蔵について、NRCの連邦規則10 CFR Part 72「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及び原子炉関連のクラスCを超える廃棄物の独立貯蔵の許認可要件」に基づく許認可の発給を求めて申請されたものである。

ホルテック社の許認可申請に係るNRCのウェブサイトでは、下記の許認可申請書などが公表されている。

  • 許認可申請書の提出書簡
  • 安全解析書(SAR)
  • 環境報告書
  • 許認可付帯条件案

ホルテック社が建設・操業を申請した中間貯蔵施設は、HI-STORE CIS(CISは集中中間貯蔵施設(Central Interim Storage)の略)と呼ばれるものであり、地下貯蔵方式のHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)システムが採用されており、安全解析書(SAR)においては既にNRCが承認済みのHI-STORM UMAXシステムが参照されている。ホルテック社は、HI-STORM UMAXシステムについて、米国で貯蔵されているすべての乾式貯蔵キャスクの受入れ・貯蔵が可能となるよう、適合承認(CoC)の変更申請を2016年8月にNRCへ提出している

ホルテック社の環境報告書では、最終的に想定される10万トンの使用済燃料の貯蔵に係る環境影響等が評価されている。また、中間貯蔵施設の建設については、20段階に分けて20年間で進める予定が示されている。なお、ホルテック社の環境報告書及び安全解析書(SAR)では、想定するスケジュールとして、2019年 3月に許認可申請書をNRCが承認し、2022年6月に建設が完了して使用済燃料の受入を開始することが示されている。

【出典】

 

【2017年7月11日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、2017年3月31日にNRCへ提出した建設・操業に係る許認可申請書に関する情報の十分性を確認する受理審査を実施した。その結果、技術的情報等が十分に示されていないとして、2017年7月7日付けのNRCの書簡及び添付書類において、ホルテック社に対する補足情報要求(RSI)等が示された。

NRCは、補足情報要求(RSI)への対応の期限を書簡の日付けから28暦日としており、対応ができない場合は2週間以内にNRCに通知することを求めている。NRCは、補足情報要求(RSI)へ十分に対応できない場合、許認可申請書を受理しない可能性もあるとしている。

なお、NRCは、補足情報要求(RSI)に加えて、許認可申請書の受理審査を通じた所見(Observations)として課題・問題点も示している。所見については、許認可申請書の受理のために必要となる補足情報要求(RSI)をする段階には達していなが、許認可申請書が受理された後に、さらなる明確化を要求する場合があるとしている。

【出典】

 

【2017年9月26日追記】

原子力規制委員会(NRC)は2017年9月25日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、許認可申請書に対する補足情報要求(RSI)に関して行われた2017年8月21日の公開ミーティングの議事要旨を公開した。

2017年7月7日付けのNRCの補足情報要求(RSI)では、RSI通知書簡の日付から28暦日以内の情報提出がホルテック社に要求されていた。ホルテック社は、2017年7月21日にNRCへ提出した対応計画において、ほとんどの項目については2017年10月6日までに、残る3項目については2017年12月22日までに補足情報を提出する予定を示していた。2017年8月21日に行われた公開ミーティングでは、NRCの補足情報要求(RSI)への対応計画等についてホルテック社から説明が行われ、その後、NRCとの質疑応答が行われている。

【出典】

 

【2018年3月1日追記】

原子力規制委員会(NRC)は2018年2月28日に、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、許認可申請書の審査に十分な情報が含まれていることが確認されたとして、正式な受理に関する書簡を発出した。ホルテック社が2017年3月31日に提出した許認可申請書については、NRCから2017年7月に補足情報要求(RFI)が出されており、ホルテック社は2017年12月までにRFIへの対応を行ってきた。

NRCがホルテック社に宛てた受理に関する書簡では、NRCは安全性・セキュリティ・環境の審査を行うスケジュールを設定し、追加情報要求(RAI)を2018年3月から2018年8月までの間に行うこと、必要に応じて、さらなるRAIを2019年2月から行う可能性があること、RAIへの対応が高品質で遅滞なく行われるとの前提で、2020年7月には安全性・セキュリティ・環境の審査を完了する見込みであることが示されている。なお、NRCは近く、審査プロセスに関する詳細などについて協議するため、公開ミーティングを開催する予定としている。

なお、テキサス州で使用済燃料の中間貯蔵施設を計画しているウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の許認可申請書の審査については、WCS社が2017年4月18日付の書簡で審査手続の一時停止を要請したことを受けて、現在も停止された状態が続いている。WCS社が許認可審査停止要請の理由として挙げたエナジーソリューションズ社によるWCS社の買収は、独占禁止法に抵触するとの判決を受けて断念されたが、WCS社の親会社のヴァルヒ社は2018年1月26日に、WCS社をJ.F.リーマン社グループに売却したことを公表している。2018年2月末現在、WCS社の中間貯蔵施設の許認可審査については、新たな情報はWCS社などから公表されていない。

【出典】

 

【2018年4月2日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2018年3月30日付けの連邦官報において、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、環境影響評価(EIS)の準備の実施、EISのスコーピング手続によるパブリックコメントの募集、パブリックミーティング等の開催に関する告示を行った。このうち、パブリックコメントの募集期限については、2018年5月29日までとされている。

スコーピング手続でのパブリックミーティング及びオープンハウスの開催についてNRCは、以下のとおり、計画している中間貯蔵施設サイトの近郊及びNRC本部において開催する日程を2018年3月30日に公表している。

  • スコーピングミーティング
    • 2018年4月25日:メリーランド州NRC本部
    • 2018年5月 1日:ニューメキシコ州ホッブス市
    • 2018年5月 3日:ニューメキシコ州カールスバッド市
  • オープンハウス
    • 2018年4月30日:ニューメキシコ州ロズウェル市

【出典】

 

【2018年5月14日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2018年5月11日付けのニュースリリースにおいて、ホルテック・インターナショナル社がニューメキシコ州で計画している使用済燃料の中間貯蔵施設について、環境影響評価(EIS)のスコーピングに係るパブリックミーティングを追加で2回開催するとともに、一般からの要求に基づいてパブリックコメントの募集期限を2018年7月30日まで(当初は2018年5月29日まで)の約2カ月間延長することを公表した。

追加で実施されるパブリックミーティングは、以下で開催される予定となっている。

  • 2018年5月21日:ニューメキシコ州ギャラップ市
  • 2018年5月22日:ニューメキシコ州アルバカーキ市

【出典】

 

【2018年7月19日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2018年7月18日付けのニュースリリースにおいて、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)によるニューメキシコ州リー郡での使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書について、裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催要求及びヒアリングへの当事者としての参加申立ての受付を開始したことを公表した。ヒアリングの開催要求及び参加申立てについては、2018年7月16日付けの連邦官報で告示されており、提出期限は2018年9月14日とされている。

ホルテック社は、2017年3月30日付けで中間貯蔵施設の許認可申請書をNRCに提出しており、ニューメキシコ州のカールスバッド市とホッブズ市の中間に位置する中間貯蔵施設において、当初は500基、最終的には10,000基の乾式貯蔵キャスクで使用済燃料を貯蔵する計画である。NRCは、2018年2月28日に許認可申請書を公式に受理し、2018年3月30日には環境審査を開始しており、2018年7月30日までの期限で環境影響評価(EIS)のスコーピングに係るパブリックコメントを募集している。

ヒアリングの開催要求及び参加申立てが認められた場合には、NRCの原子力安全許認可委員会パネル(ASLBP)から選定される3人の行政判事により、裁判形式の裁決手続によるヒアリング手続が実施される。ヒアリングでは、ホルテック社の許認可申請書に示された事実または法的問題について、争点を提起することができる。

【出典】

英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)と原子力廃止措置機関(NDA)は、2017年4月3日に、放射性廃棄物インベントリ報告書の最新版である2016年版を公表した。放射性廃棄物インベントリは、英国政府とNDAが実施している共同研究プログラムの一部であり、放射性廃棄物の管理計画を立案する上での重要なデータとして、今後対策が必要となる1 放射性廃棄物の廃棄物量、放射能量等を3年毎に評価したものである。

今回の2016年版の放射性廃棄物インベントリ報告書に示されている下表の廃棄物量(単位:m3)は、2016年4月1日時点において処理されて貯蔵されている廃棄物量と、今後発生が見込まれる廃棄物量を合計したものである。この廃棄物量には、既に操業しているドリッグ村近郊にある低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)及びドーンレイ低レベル放射性廃棄物処分場で処分された低レベル放射性廃棄物、並びに民間の産業廃棄物処分場で処分された極低レベル放射性廃棄物の量は含まれていない。

2016年版の放射性廃棄物インベントリ報告書では、下表のように、前回の2013年版の放射性廃棄物インベントリ  報告書に比べて、低レベル放射性廃棄物が減少する一方で、極低レベル放射性廃棄物、中レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物がそれぞれ増加している。これらの放射性廃棄物の増減に関してNDAは、放射性廃棄物の再評価、国家戦略などによる廃棄物パッケージや処理処分オプションなどの変更によるものであると説明している。

英国の分類別の放射性廃棄物インベントリ

廃棄物分類 2013年版報告書 2016年版報告書
極低レベル放射性廃棄物 2,840,000m3 2,860,000m3
低レベル放射性廃棄物 1,370,000m3 1,350,000m3
中レベル放射性廃棄物 286,000m3 290,000m3
高レベル放射性廃棄物 1,080m3 1,150m3
合計 4,497,080m3 4,501,150m3

【出典】


  1. 原子力施設の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の推定量を含む。 []

米国で2018会計年度1 の大統領予算教書に係る予算方針を示した文書(以下「予算方針文書」という。)が、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表され、エネルギー省(DOE)の予算として、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約125億円、1ドル=104円で換算)が計上されている。ユッカマウンテン処分場の許認可手続については、2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 により原子力規制委員会(NRC)における許認可申請書の審査の再開が命じられたものの、連邦議会はNRCによる許認可手続の予算を計上せず、過年度の残予算の範囲内で安全審査等の活動が実施されたが、許認可発給のための裁判形式の裁決手続は再開されていなかった

2018会計年度の予算方針文書では、これらの投資は、放射性廃棄物に対する連邦政府の義務の履行を加速し、国家安全保障を強化し、将来の税負担を軽減するものとしている。なお、今回公表された予算方針文書では、主な省庁のみが対象とされており、原子力規制委員会(NRC)の予算は示されていない。DOE全体の予算については、約5.6%の削減要求となっている。また、大統領府予算管理局(OMB)からは、2017会計年度の予算において軍事費を増額して他の一般歳出を削減する修正要求も公表されているが、軍事費以外の詳細については示されていない。

予算方針文書の公表についてDOEは、エネルギー長官の声明がニュースリリースとして公表されているが、放射性廃棄物関連を含め、具体的な内容についての言及はない。また、連邦議会上下両院の歳出委員会の委員長からもプレスリリースが出されているが、予算要求の内容についての具体的な言及はない。

ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州選出の連邦議会議員からは、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。一方、原子力エネルギー協会(NEI)は、DOEの研究開発費の削減には懸念を示しながらも、ユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開と中間貯蔵プログラムの両者に予算要求が行われたことについて歓迎することを趣旨とするニュースリリースを出している。

なお、テキサス州は2017年3月14日に、連邦政府は1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に定められた高レベル放射性廃棄物処分に係る義務を果たしておらず、同意に基づくサイト選定プロセスの取組などは同法に違反しているなどとして、連邦政府を相手取った訴訟を起こしている。テキサス州の訴状では、違法性の確認などとともに、DOE及びNRCがユッカマウンテン処分場に係る許認可手続の予算を要求すること、許認可申請書の審査の再開を命じることを旨とする判決が出されることを求めている。

【出典】

 

【2017年3月22日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会及び同環境小委員会の委員長は、連名での2017年3月20日付け書簡において、今回就任したエネルギー長官に対して、大統領予算教書に係る予算方針においてユッカマウンテン処分場の許認可手続再開のための予算が含められていることを評価する旨を表明した。また、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策について、以下の事項を要請した。

  • 法律で要求されているOCRWMの再設置
    1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(以下「放射性廃棄物政策法」という。)では、エネルギー長官に対して直接的に責任を負う民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)について、同法による高レベル放射性廃棄物処分プログラムの実施に係る組織として設置する旨が規定されており、放射性廃棄物管理政策の実施には専門的に設置された機関が必要である。
  • 軍事起源廃棄物の独立した処分に係る2015年決定の見直し
    軍事起源の高レベル放射性廃棄物 (以下「軍事起源廃棄物」という。)の処分については、1985年の大統領決定を受けて、既に37億ドル(約3,800億円、1ドル=104円で換算)の税金を使用してユッカマウンテン処分場の開発を行ってきており、軍事起源廃棄物の独立した処分場を開発するのであれば、2015年決定の基となった費用・スケジュールの再評価が必要である。
  • ネバダ州及びナイ郡への資金提供
    放射性廃棄物政策法は、処分場により影響を受ける地方政府の技術的活動を支援するための資金提供を認めており、ネバダ州のステークホルダーとの建設的対話構築の一歩として資金提供を行うことが望ましい。
  • 放射性廃棄物政策法の修正に向けた協働
    DOEが使用済燃料の中間貯蔵施設の開発が必要とするのであれば、処分場での処分という確立された放射性廃棄物管理政策と抵触しない形でプログラムが推進できるよう、放射性廃棄物政策法の修正のために協力することを期待する。
  • 放射性廃棄物基金からの支出の月次報告
    2013年8月13日の連邦控訴裁判所の判決 以降、DOEの放射性廃棄物処分勘定の残高及び支出対象活動の説明に係る月次報告書を要求しており、今後も同様に、放射性廃棄物基金からの支出の詳細な報告を継続するよう要求する。

なお、下院エネルギー・商務委員会では、連邦議会議員とともにユッカマウンテンの視察を計画しており、本書簡ではエネルギー長官の視察参加も呼び掛けている。

【出典】

 

【2017年3月29日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年3月27日付のニュースリリースにおいて、ペリー・エネルギー長官がネバダ州のユッカマウンテン処分場予定地を視察し、その後、ネバダ州知事と会談したことについて、エネルギー長官の声明を公表した。この中でエネルギー長官は、大統領は2018会計年度の予算においてユッカマウンテン許認可手続の再開のために1億2,000万ドルを要求しており、今回のネバダ州知事との会談は、様々な連邦、州及び民間のステークホルダーとの対話を含むプロセスの第一歩であるとしている。

公表されたエネルギー長官の声明では、ネバダ州知事とは率直で生産的な対話が行われたこと、ネバダ州知事はエネルギー長官の訪問を評価しつつも、ユッカマウンテン計画への反対を改めて表明したことを伝えている。エネルギー長官は、ネバダ州知事に対し、以前から親交があるネバダ州知事と今後も様々な問題について協議を続けていくこと、ネバダ州が米国の核・軍事産業に果たしてきた貢献への感謝とともに、今後も使用済燃料管理において重要な役割を維持し続ける必要性などを伝え、冷戦初期から米国の安全保障に貢献してきたネバダ州が、今後も主導的な役割を維持することへの期待を示したとしている。

これに対してネバダ州知事は、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ネバダ州は連邦政府機関と様々な問題で協力してきているが、ユッカマウンテンにおける処分問題は考慮する意思のない問題であるとして、今回のエネルギー長官との会談はユッカマウンテンに関する交渉の開始ではないことを表明している。また、ネバダ州選出の連邦議会議員数名も、2017年3月27日付のプレスリリースを発出しており、ユッカマウンテン計画には反対する立場を改めて表明している。

 

【出典】

 

【2017年3月31日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年3月29日のプレスリリースにおいて、エネルギー長官との会談の後、ユッカマウンテン計画への反対を継続するために州が取るべき行動について、ネバダ州原子力プロジェクト室と協議したことを公表した。本プレスリリースの中で知事は、自身がネバダ州司法長官であった当時にユッカマウンテン問題の訴訟を提起したことなどを示した上で、ネバダ州における高レベル放射性廃棄物処分に係る連邦政府のいかなる取組みに対しても、訴訟を含む手段を尽くして反対することの他、ユッカマウンテン計画を復活させる動きを見直すよう政権に要求し続けることなどを表明している。

【出典】

 

【2017年4月18日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年4月13日のプレスリリースにおいて、テキサス州がエネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)を相手取って、ユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求めた2017年3月14日の訴訟について、訴訟参加の申立てを第5巡回区連邦控訴裁判所に提出したことを公表した。

ネバダ州知事はプレスリリースの中で、テキサス州の訴訟は、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の力量を著しく削ぐものであるなどとしている。また、ネバダ州知事は、今回のネバダ州の申立ては、今後数週間、数カ月における一連の行動の一歩に過ぎないとしている。

この他、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州の動きとしては、ネバダ州選出のヘラー上院議員も、連邦議会上院歳出委員会の幹部議員に対して、ユッカマウンテン計画に対する予算計上を行わないように求める書簡を提出している。

なお、テキサス州による連邦政府に対する訴訟については、原子力エネルギー協会(NEI)及び原子力事業者7社が2017年4月5日に訴訟参加の申立てを行っている。これは、テキサス州の訴訟において、DOEとの契約に基づいて原子力発電事業者が拠出した放射性廃棄物基金について、処分場開発のために使用されていない状況に関連した救済請求の一部に、不当利得返還などの放射性廃棄物基金の制度破綻に繋がる項目が含まれている点について申立てを行ったものである。

【出典】

 

【2017年6月15日追記】

米国のネバダ州知事は、2017年6月14日付けのプレスリリースにおいて、エネルギー省(DOE)と原子力規制委員会(NRC)とに対してユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求める2017年3月14日のテキサス州による訴訟について、訴訟却下の申立書を第5巡回区連邦控訴裁判所に提出したことを公表した。ネバダ州は、2017年4月12日に本訴訟への参加を求める申立てを行っており、第5巡回区連邦控訴裁判所は2017年5月19日に、これを認める決定を行っていた。

ネバダ州が2017年6月12日に提出した訴訟却下の申立書では、以下に示す理由から、テキサス州による訴えは却下されるべきであるとしている。

  • テキサス州の請求内容は、認められる可能性がない他、第5巡回区連邦控訴裁判所は本件の管轄権を有していない。
  • 予算に関するテキサス州の要求は、司法判断に適さない政治的な問題である。
  • 仮処分を必要とするような現状変更の理由がない。

ネバダ州知事はプレスリリースの中で、テキサス州の訴訟はユッカマウンテン処分場に係る許認可申請に関して、NRCの審査手続の短縮などを求めているが、仮に現政権や連邦議会がユッカマウンテン処分場計画を再開する場合には、NRCの審査手続におけるネバダ州の適正な手続の権利を断固として守り抜くとしている。なお、ネバダ州知事は、訴訟、NRCの審査手続及び法改正を通して、ユッカマウンテン計画に反対するための計画を策定済みであり、テキサス州による訴訟に対する訴訟却下の申立ては、計画された法的闘争の第一歩に過ぎないことを改めて表明している。

【出典】

 

【2018年6月4日追記】

米国の第5巡回区連邦控訴裁判所は2018年6月1日に、連邦政府は1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に定められた高レベル放射性廃棄物処分に係る義務を果たしておらず、同意に基づくサイト選定プロセスの取組などは同法に違反しているとして、エネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)に対してユッカマウンテン処分場の許認可手続に係る予算を要求することなどを求めた2017年3月14日のテキサス州の訴訟について、ネバダ州の訴訟却下の申立てを認め、テキサス州の申立てを却下する決定を行った。

第5巡回区連邦控訴裁判所の決定文書では、テキサス州が違法などとした連邦政府の行為について、DOEによる同意に基づくサイト選定プロセスの取組はDOEの最終決定行為ではないこと、連邦控訴裁判所が第一審となり得るオバマ前政権の決定行為は数年前に行われたものであり、既に訴訟開始の最終期限の180日を過ぎていることなどを示した上で、テキサス州の申立ては適時性(timeliness)や終局性(finality)の訴訟要件を満たしていないために却下されるとしている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []

フランスの原子力安全機関(ASN)は2017年2月27日に、2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)を公表した。PNGMDRは、フランスにおける全ての放射性廃棄物の管理の現状分析と管理方策の実現に向けた、研究開発を含む取組を取りまとめたものである。

PNGMDRは2006年の放射性廃棄物等管理計画法により、政府が3年ごとに策定・改定することが義務付けられているものである。初めてのPNGMDRは2007年に策定されており、今回のPNGMDRは第4版となる。現在、PNGMDRの取りまとめは、原子力安全機関(ASN)及び環境・エネルギー・海洋省のエネルギー・気候総局(DGEC)が担当しており、PNGMDR(第4版)は2015年に制定された環境に関する取組を強化する法律の制定に伴う関連法令改定を受け、初めて環境行政の観点からの評価を組み込んでおり、環境・エネルギー・海洋省の環境庁(AE)の見解も聴取された。

PNGMDR(第4版)は、以前の計画に沿って実施された放射性廃棄物の管理方法の改善・最適化に向けた取組みの成果と2015年に公表された廃棄物インベントリの内容に基づいて、廃棄物の管理方法ごとのアプローチ、特に、包括的な産業レベルでの処分計画の作成・見直しを強化するものである。また、PNGMDR(第4版)では、特に放射性廃棄物の最終処分の開始期限を決定するために必要となる、放射性廃棄物の中間貯蔵の能力や貯蔵設備に関する調査も要請している。さらに、極低レベル放射性廃棄物の発生量の予測を明確化する必要性や、一部の放射性物質を再利用する可能性の妥当性の証明を強化する必要性を改めて確認している。

PNGMDRにおいて計画された内容の実施は、デクレ(政令)及びアレテ(省令)によって規定されることになっており、2017年2月23日付のデクレ(政令)及び同デクレ(政令)の施行に関する2017年2月23日付のアレテ(省令)が同月25日付官報に公示された。

PNGMDR(第4版)に関する2017年2月23日のデクレ(政令)の規定では1、放射性廃棄物の管理・研究の基本的な枠組みを定めている。このうち、極低レベル放射性廃棄物、長寿命低レベル放射性廃棄物に関しては、包括的な産業レベルでの処分計画を放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が策定することを規定している。また、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物については、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が核種分離・変換の研究を、ANDRAが地層処分場の設置許可申請に向けて必要な研究及び貯蔵の研究をそれぞれ実施することを規定している。

なお、同デクレ(政令)の施行に係る2017年2月23日付アレテ(省令)では、長寿命低レベル放射性廃棄物の管理、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の管理に関して、それぞれ以下のような具体的な内容が規定されている。

<長寿命低レベル放射性廃棄物の管理>

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2017年3月末までに、処分場の操業開始に向けた目標日程を提案する。
  • ANDRAが2018年6月末までに、処分場の安全要件と設計研究を原子力安全機関(ASN)に提出する。
  • ANDRAが2019年6月末までに、概念設計段階の技術オプションと安全オプションをASNに提出する。
  • ANDRAが2021年末までに、基本設計段階の安全オプション文書をASNに提出する。

<高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の管理>

  • 放射性廃棄物の発生者であるフランス電力株式会社(EDF社)、AREVA社及び原子力・代替エネルギー庁(CEA)は2017年末までに、その時点までに調整された放射性廃棄物の廃棄体の地層処分場への受け入れ可能性について、ANDRAが提出した予備的な受け入れ仕様と比較して分析を実施する。ANDRAの仕様との乖離が明らかになった場合、事業者とANDRAが技術的協議を行う。
  • CEAは2015年までに発生した長寿命中レベル放射性廃棄物の特性評価と調整に関する研究を継続し、2017年6月末までに、今後の研究計画を政府に提出する。
  • CEAはANDRAと協力し、ビチューメン(アスファルト)廃棄物の挙動に関する研究を継続する。CEAは2017年6月末までに、研究結果に関する報告書を政府に提出し、ANDRAはこの研究結果について、ビチューメン廃棄物を地層処分場に受け入れた際の条件への影響について分析し、報告書を2018年6月末までに政府に提出する。
  • EDF社、CEA及びAREVA社は2017年6月末までに、今後少なくとも20年にわたる期間について、全ての高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の中間貯蔵の必要性を提示する。

 

【出典】


  1. 同デクレは、環境法典の規則の部において放射性廃棄物管理に関する規則を定める第5巻第4編第2章に第1節~第8節(第R542-1~R542-73条)の後に、PNGMDRに関する新たな節として第9節を追加する内容となっている。 []

台湾における原子力規制行政機関である行政院原子能委員会(AEC)は2017年2月15日に、原子力発電事業者であり、放射性廃棄物管理に責任のある台湾電力公司が提出していた「低レベル放射性廃棄物処分計画の代替策及び暫定対策の具体的実施案」(以下「実施案」という。)及び「蘭嶼貯蔵施設の移設に関する計画の報告」を審査し、その結果を公表した。この中で、処分計画が進捗を見ない中、台湾電力公司による低レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の集中中間貯蔵計画を尊重するものの、蘭嶼島からの早期の搬出を実現するよう、低レベル放射性廃棄物の集中中間貯蔵施設の立地を優先的に進めるべきことが勧告された。

台湾には現在、操業中の低レベル放射性廃棄物処分場はなく、一部の低レベル放射性廃棄物は、蘭嶼島の貯蔵施設において貯蔵されている。低レベル放射性廃棄物処分に向けて、2006年5月に「低レベル放射性廃棄物最終処分場設置条例」が施行された。同条例に基づいて、行政院経済部の下に設置されたサイト選定委員会によってサイト選定が進められ、2012年7月には2カ所の低レベル放射性廃棄物処分場の推薦候補サイトが公告されたものの、同条例の規定によってサイトの決定のために必要となる住民投票は未だ実施されていない。こうした状況を踏まえて原子能委員会は台湾電力公司に対して、低レベル放射性廃棄物最終処分計画の代替策を検討し、2016年末までに原子能委員会に提出するよう求めていた。

「実施案」に対する原子能委員会の審査報告によると、台湾電力公司は低レベル放射性廃棄物の最終処分に先立ち、暫定対策として集中中間貯蔵施設の建設を提案した。原子能委員会は、これを了承するものの、集中中間貯蔵施設建設計画の開始から施設の操業開始までの期間を8年間、サイト選定及び用地取得は計画の開始後3年以内の期間で完了するべきとし、3年間でサイト選定と用地取得が完了しなかった場合、放射性物料管理法に基づいて3,000万新台湾ドル(1新台湾ドル=約3.5円で換算して約1億1千万円)の罰金を課すとしている。

また、審査報告によると、台湾電力公司は、集中中間貯蔵施設において、低レベル放射性廃棄物に加えて使用済燃料も貯蔵する計画を提示していた。原子能委員会は、この計画も了承するものの、使用済燃料の貯蔵の開始を前倒しするため、低レベル放射性廃棄物の貯蔵が遅延するのは避けるべきであるとしている。そのために、集中中間貯蔵は段階的に進める必要があり、低レベル放射性廃棄物の貯蔵を優先的に進め、蘭嶼島に貯蔵されている廃棄物の搬出を前進させるべきであるとしている。

さらに、原子能委員会は、集中中間貯蔵施設のサイト選定は、2016年6月に原子能委員会が制定した「放射性廃棄物集中中間貯蔵施設サイト選定基準」に即して客観的・科学的に行うべきであるとしている。また、集中中間貯蔵は暫定的な対策に過ぎず、台湾電力公司は低レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組を進めるべきとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年1月17日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業再開の式典が、エネルギー長官、ニューメキシコ州知事等が列席して2017年1月9日に開催されたことを公表した。WIPPは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されていたが、2016年12月23日に操業再開が決定され、操業再開後の初めてのTRU廃棄物の定置が2017年1月4日に行われていた

エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)の2017年1月17日のニュースリリースでは、WIPPの操業再開について、WIPPを監督するDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)から、以下のような情報が示されている。

  • 操業再開に際しては、DOEの事故調査委員会(AIB)の指摘、ニューメキシコ州環境省(NMED)や国防核施設安全委員会(DNFSB)、環境保護庁(EPA)、労働省鉱山安全保健管理局等の詳細な監督を受けて、多くの改善が行われた。
  • 火災事故の影響による電力供給の回復、安全管理プログラムの改善、施設・装備等の強化、岩盤管理(ground control)、除染など、復旧活動は複雑であり、35カ月という長期を要した。
  • 作業環境が放射能で汚染された環境へ変化するとともに、天井や壁のロックボルト打設などの岩盤管理作業が特に困難な課題となった。
  • 放射能汚染区域は処分施設南側区域の早期閉鎖で約6割が減少したほか、岩塩による放射性核種の吸収等で表面汚染は減少を続けているが、第7パネルが閉鎖されるまで放射能汚染区域は残る見込みである。
  • 廃棄物受入れは徐々に頻度を上げて、2017年後半には週5回程度の受入れを見込んでいるが、以前と同じペースでの廃棄物受入れには、2021年以降に完成予定の新たな排気立坑等による換気能力の強化が必要である。
  • TRU廃棄物の各DOEサイトからの輸送は、2017年春頃の再開を見込んでおり、詳細な予定を策定中である。
  • 放射能汚染された地下施設での復旧作業では、防護服等の着用により、最大75%も作業効率が低下したが、作業員の努力により復旧を達成できた。

【出典】

 

【2017年4月12日追記】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2017年4月10日のニュースリリースにおいて、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2017年1月4日に操業を再開してから初めてとなるTRU廃棄物の受入れを行ったことを公表した。DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)のWIPP復旧情報のウェブサイトにおいても、同様な内容を伝えるWIPP更新情報が掲載され、廃棄物受入れの様子を伝えるビデオも公表されている。

今回受入れが行われたTRU廃棄物は、アイダホ国立研究所(INL)から搬入されたものであり、DOEは、2014年2月の火災事故及び放射線事象でWIPPの操業が停止されてからTRU廃棄物の貯蔵を余儀なくされていた各DOEサイトにとっても、WIPP自身にとっても、重要なマイルストーンであるとしている。WIPPにおけるTRU廃棄物の受入れは、当初は週2回のペースで行われ、2017年末までには週4回のペースに増加する予定とされている。

なお、DOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、今回のTRU廃棄物輸送の再開に向けて、各DOEサイトからWIPPまでの輸送経路及びWIPP近傍において、実際の廃棄物輸送容器の展示や説明を行う「ロードショー」を実施していた。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2017年1月12日に、「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という)を公表するとともに、2017年4月14日までコメントの募集を行うことを2017年1月13日付の連邦官報の告示文書に記載した。DOEは、2016年12月に、同意に基づくサイト選定イニシアティブを開始しており、本サイト選定プロセス案は、全米8カ所でのパブリックミーティングや意見募集で収集した意見、及び「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告などを反映し、同意に基づくサイト選定プロセスの実施のための具体的なステップや設計原則について、DOEの考え方を示したものとされている。本サイト選定プロセス案については、2016年9月15日に開催された意見集約ミーティングにおいて、2016年内に発行する予定が示されていた。

今回公表されたサイト選定プロセス案では、安全性などに加えて、公正・公平、十分な情報を得ながらの参加、立地地域への便益、任意参加/撤退の権利、透明性、段階的・協調的意思決定など、サイト選定プロセスを設計する際の原則を示した上で、具体的なサイト選定の段階が、下表のように示されている。なお、以下で示される「コミュニティ」は、直接の立地コミュニティのみならず、サイト選定プロセスで重要な役割を担う州や地方政府、地域選出の連邦議会議員や先住民族政府等も含むものとされている。

フェーズI 同意に基づくサイト選定プロセスを開始し、より多くを学ぶためのコミュニティへの参加要請
ステップ1 実施主体が法律上の権限と予算を取得
ステップ2 実施主体が同意に基づくサイト選定プロセスを開始
ステップ3 コミュニティがより多くを学ぶための資金供与プログラムを実施主体が開始
ステップ4 学びたいコミュニティが資金供与プログラムに関心を表明
ステップ5 実施主体が申請書を評価して資金供与コミュニティを決定
ステップ6 コミュニティが予備的サイト評価を要求
フェーズII サイト評価
ステップ7 実施主体が予備的サイト評価を実施(わが国の「概要調査」に相当)
ステップ8 コミュニティが詳細サイト評価を要求
フェーズIII 詳細評価
ステップ9 実施主体が詳細サイト評価を実施(わが国の「詳細調査」に相当)
ステップ10 適合サイトのあるコミュニティが受入意向の可能性を決定
フェーズIV 合意
ステップ11 コミュニティがさらに進むための条件を提示
ステップ12 コミュニティと実施主体が協定について交渉・承認
ステップ13 コミュニティと実施主体が協定を締結(ここまで、コミュニティは撤退の権利を有する)
フェーズV 許認可、建設、操業、閉鎖
ステップ14 施設の許認可
ステップ15 施設の建設・操業
ステップ16 施設の閉鎖・廃止措置
ステップ17 閉鎖後もサイトを監視し、コミュニケーションを維持

今回公表されたサイト選定プロセス案の報告書では、サイト選定プロセスにおける考慮事項についても案が示されている。サイト選定プロセスの初期段階においては、大枠の除外要件が示されるとした上で、詳細なサイト評価段階においては、以下を含むサイト選定要件項目について、評価に必要な情報が取得されるとしている。

  • サイト周辺の人口
  • 土地の広さ
  • 地震動及び大規模断層
  • 鉱山活動など人工的な地震の誘発
  • 地表面の断層
  • 流動化など地盤動に繋がり得る土壌・母岩条件
  • 地耐力
  • 洪水の影響
  • 施設設計や操業安全に影響する自然現象
  • サイト及び設計に影響し得る地域産業
  • 輸送インフラへの近接

また、地層処分場の詳細なサイト評価段階については、さらに、水文地質学、地球化学、母岩特性、侵食、溶解、地質構造、人間侵入の可能性などのサイト選定要件項目が必要になるとしている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)カールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は、2016年12月23日の更新情報において、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)におけるTRU廃棄物の処分について、操業再開をDOEが承認したことを公表した。WIPPでは、火災事故及び放射線事象が2014年2月に発生して以来、現在まで操業が停止されている。操業再開後の初めての廃棄物の定置は、坑道の岩盤管理(ground control)などの準備作業が終了した後、2017年1月初めに実施の見込みとされている。

現在、WIPPの廃棄物取扱建屋に保管されているTRU廃棄物を地下に移送するために必要とされる活動は、すべての審査を受けて検証が完了しており、廃棄物定置の公式の再開日は、坑道床面の平準化などの第7処分パネルで必要とされる軽微な準備作業の完了後に決定するとしている。

今回のDOEの決定は、DOEの操業準備審査(DORR)で指摘された操業開始前段階での是正活動について、すべて完了・検証されたことを確認するものとなる。2016年12月23日のWIPP更新情報では、独立の審査や監督規制組織による報告書として以下が示されている。

  • DOEの操業準備審査(DORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_DORR_Final_Report.pdf)
    DOEの操業準備審査チームによる評価であり、緊急時対応、廃棄物受入れ、火災防護などの機能的領域、及びDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)の監督能力などが評価された。操業準備審査での指摘事項への対応として、操業開始前に対応が必要とされた21項目の完了が確認され、操業開始後に廃棄物定置活動と並行して対応が可能とされた15項目の是正活動計画が承認された。
  • 契約者操業準備審査(CORR)(http://www.wipp.energy.gov/Special/WIPP_CORR_Final_Report.pdf)
    契約者操業準備審査では、「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の定置作業に係るすべての側面を対象として、管理・操業契約者の準備状況に対する独立的な評価がDOEに提供された。初動対応を含む緊急時対応や訓練、調達管理など7項目が操業開始前に必要とされたほか、放射線管理など5項目の操業開始後の対応事項が指摘された。
  • 国家環境政策法(NEPA)補足分析(http://www.wipp.energy.gov/Special/Supplemental_Analysis.pdf)
    DOEは、2016年12月21日に最終版とした補足環境影響評価書(SEIS)に対する補足分析において、WIPPへの廃棄物の輸送とWIPPにおける処分の再開・継続は、WIPP操業開始時の補足環境影響評価書(SEIS)や2009年の補足分析に対して重大な変更を行うものではなく、新たに重大な環境上の懸念等もないとして、さらなる国家環境政策法(NEPA)文書の策定は不要と決定した。
  • 鉱山安全保健管理局―技術支援評価(http://www.wipp.energy.gov/Special/MSHA_Technical_Support_Evaluation.pdf)
    労働省鉱山安全保健管理局がDOEカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)らの依頼を受けて行った評価であり、地下における換気の制約や防護服着用による生産性低下等の課題が認識されたが、違反等の指摘はなかった。
  • WIPPサイト事象の独立レビューチーム(WSIR)―ニューメキシコ鉱山技術大学(http://www.nmt.edu/images/stories/WSIIRFINALReport2016.pdf)
    DOEの要請によりニューメキシコ鉱山技術大学の科学者らが独立の評価を行ったものであり、DOEの事故調査委員会(AIB)や技術評価チーム、ロスアラモス国立研究所等のレポートが評価された。

また、WIPPでの有害廃棄物処分に係る規制機関であるニューメキシコ州環境省(NMED)は、2016年12月16日に、WIPPの有害廃棄物の許可条件及び是正活動について検査を行った結果として、WIPPにおける通常の操業状態への復帰を承認することを通知している。

なお、WIPPの操業再開時期については、2014年9月公表の復旧計画では2016年第1四半期とされていたが、その後、2016年末へと変更されていた。

【出典】

 

【2017年1月6日追記(エネルギー省(DOE)プレスリリース(2017年1月9日)の追加)】

米国のニューメキシコ州環境省(NMED)は、2017年1月4日に廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が操業を再開したこと、操業が停止されてから初めてのTRU廃棄物の定置が行われたことなどを公表した。WIPPは、ニューメキシコ州カールスバッド近郊でエネルギー省(DOE)カールスバッド事務所(CBFO)が1999年3月26日から操業を行ってきた軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場であるが、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されてきた。WIPPでの操業再開については、2016年12月23日に、DOEが管理・操業契約者(M&O)による操業再開を承認していた。

ニューメキシコ州環境省(NMED)は、2014年2月の火災事故及び放射線事象の発生以来、包括的な調査を実施し、DOEの責任を明確にするとともに、指定した是正活動の実施を監督してきたことが、今回の操業再開に繋がったとしている。

【出典】

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2016年12月20日に、『放射性廃棄物管理プログラム2016』及び本プログラムに沿って実施される研究開発計画書を連邦エネルギー庁(BFE)に提出したことを公表した。放射性廃棄物管理プログラムは、スイスの4カ所の原子力発電所にある5基の原子炉の運転、廃止措置、並びにそれらから発生する放射性廃棄物の貯蔵、処分の計画を示したものであり、2005年施行の原子力法及び原子力令に基づいて、5年毎に更新することになっている。放射性廃棄物管理ブログラム2016によると、医療・産業・研究等から発生してNAGRAが処分することになっている放射性廃棄物を含め、最終的に地層処分する放射性廃棄物の総量は、最大で約9万2千m3となると推定している。

 

表:放射性廃棄物管理プログラム2016における放射性廃棄物発生量の推定

 

放射性廃棄物の分類と廃棄物量(廃棄体の体積m

放射性廃棄物の発生

高レベル放射性廃棄物(HAA)

アルファ廃棄物
(ATA)

低中レベル放射性廃棄物
(SMA)

合計

使用済燃料(BE) 8,995 8,995
英国、フランスに委託した再処理に伴って返還される廃棄物(WA) 398 414 812
炉内構造物等(BA) 31,271 31,271
原子炉の運転廃棄物(RA) 1,811 1,811
原子炉の廃止措置廃棄物(SA) 24 27,366 27,390
医療、産業及び研究分野の廃棄物(MIF) 8 634 19,010 19,652
使用済燃料及びガラス固化体の廃棄体製造施設から発生する廃棄物(BEVA) 2,302 2,302

合計

9,402 1,072 81,760 92,234

*:わが国のTRU廃棄物に相当

 

○処分場サイト選定のスケジュール

スイスでは、NAGRAが特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づき、3段階からなるサイト選定プロセスを実施しており、現在、サイト選定第2段階にある。放射性廃棄物管理プログラム2016においてNAGRAは、公衆参加や各段階での審査手続、許認可手続の所要時間に不確定要素が多いことなどから、処分サイトの決定と概要承認手続きの終了を2031年としている。また、低中レベル放射性廃棄物用地層処分場の操業開始を2050年、高レベル放射性廃棄物用地層処分場の操業開始を2060年としている。

スイスにおける地層処分場サイト選定スケジュール

○処分費用見積り

NAGRAは放射性廃棄物管理プログラム2016において、原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアが2016年12月に提出した原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物の処分に関する費用見積りに基づいて、処分及び廃止措置の費用を示している。低中レベル放射性廃棄物処分、高レベル放射性廃棄物処分、廃止措置の費用見積りはそれぞれ以下の表のとおりである。

表:放射性廃棄物管理プログラムにおいて示された費用の見積り

項目

費用(1スイスフラン=105円で換算)

低中レベル放射性廃棄物処分 44億2,400万スイスフラン(約4,645億円)
高レベル放射性廃棄物処分 76億9,400万スイスフラン(約8,079億円)
原子力発電所の廃止措置* 34億600万スイスフラン(約3,576億円)

*:原子力発電所の廃止措置は電力会社が実施する。

○研究開発計画書

NAGRAは『放射性廃棄物管理プログラム2016』と合わせて取りまとめた研究開発計画書において、今後5~10年に実施する研究を以下の図のような6つのテーマに分けて示している。これらのテーマの間では相互にデータや情報を交換しながら取り組みが進められる。NAGRAは研究開発の基本戦略について、今後、サイト選定第3段階で地質学的候補エリアが確定した際に見直しが必要になるとの認識を示している。

放射性廃棄物処分についてNAGRAが実施する基礎研究テーマ

【出典】

 

【2018年5月29日追記】

スイスの連邦エネルギー庁(BFE)は2018年5月24日、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が2016年12月にBFEへ提出した『放射性廃棄物管理プログラム2016』に対する、BFE、連邦原子力安全検査局(ENSI)、原子力安全委員会(KNS)1 の見解書を公表した。BFEとENSIは審査の結果、NAGRAの放射性廃棄物管理プログラムが、原子力法及び原子力令で規定された要件を満たしていると評価し、次回の2021年の放射性廃棄物管理プログラムの更新に向けて、連邦評議会2 が決定すべき事項を勧告している。

2021年の放射性廃棄物管理プログラムに向けた各機関の勧告内容

BFEは今回の見解書で、放射性廃棄物管理プログラムと費用見積りとを同時に審査することが効率的であったとして、連邦評議会に対し、次回の2021年の放射性廃棄物管理プログラムの更新においても、NAGRAが費用見積りに関する報告書を同時に提出するよう決定すべきであると勧告している。また、NAGRAや原子力発電事業者に対して、今後も処分場に関する情報の長期保存や、放射性廃棄物処分に関する情報公開の取組を継続すべきとする見解を示している。

一方、ENSIは、次回2021年にNAGRAが取りまとめる放射性廃棄物管理プログラム及び研究開発計画3 の内容について、以下のように指摘している。

  • 高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物の地層処分場を同じ場所に建設するケースを評価する場合に、それぞれの処分領域が相互にどのような影響を及ぼすかを評価すること
  • 地層処分場の長期安全性、操業の容易性、多額の費用を発生させない回収可能性の維持の観点から、処分場閉鎖の概念を複数提示し、それぞれについて長所・短所を説明すること
  • 地球科学的調査の各フェーズにおける要件を示すと共に、地下特性調査施設での調査終了後の処分場への転用に関して、いつ、どのような形で技術的に証明するのかを説明すること
  • NAGRAが考える現在未解決の問題点について、解決方法と解決期限とともにリストアップすること
  • 個々の研究開発相互の関連性や、地層処分場実現までのマイルストーンの説明のほか、サイト選定に関する意思決定を行う際に、どの研究で、どのような成果が得られている必要があるかを明確にすること
  • 使用済燃料及びガラス固化体の中間貯蔵施設に関して、貯蔵容量の増大に対応できる新しい概念を提示すること
  • 過去の研究計画に盛り込まれた各分野の研究プロジェクトや実験の成果を、失敗・中断したものも含めて盛り込むこと

連邦政府の原子力安全に関する諮問機関である原子力安全委員会(KNS)は、今回のENSIの審査結果を示した見解書について、十分に詳細な審査が行われており、包括的な記述が行われていると評価している。その上で、KNSは、今後の処分場サイト選定手続を円滑に進めるため、概要承認申請の具体的な内容や範囲について、関係機関が早期に示すように連邦評議会が指示すべきとの見解を表明している。

これらの審査結果を踏まえ、連邦評議会は2018年末までに、放射性廃棄物管理プログラムに対する最終的な承認及び次回2021年の放射性廃棄物管理プログラムに向けた指示について、判断を行う予定である。

 

【出典】


  1. KNSは、ENSI、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、連邦評議会に対して安全性に関する重要な問題に関して助言する。 []
  2. 日本の内閣に相当 []
  3. 研究開発計画については、法令上の規定では官庁の審査は要求されていない。 []