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スウェーデンにおける使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書の審理を行っているナッカ土地・環境裁判所(所在地 ストックホルム)は、2017年7月4日に、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、主要審理プロセスとなる口頭弁論を2017年9月5日から10月27日までの間の計22日で開催する旨の公告を行った。

図 フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月にはオスカーシャム自治体でのキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にはエストハンマル自治体のフォルスマルクにおける使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。現在、スウェーデンでは、使用済燃料最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている(下記の囲みを参照)。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請
口頭弁論カレンダ

口頭弁論カレンダ

今回、2017年9月に開催される口頭弁論は、環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請(上記囲みの③)の審理のために実施されるものである。口頭弁論のスケジュールについては、2017年9月5日から14日までの期間(8日間)はストックホルムで開催され、2017年10月2日から6日の期間(5日間)はオスカーシャム自治体において、2017年10月9日から13日の期間(5日間)はエストハンマル自治体で開催される。その後、2017年10月23日から27日までの期間(4日間)は再度、ストックホルムにおいて総括の意見陳述が行われる予定である。口頭弁論の結果に基づいて土地・環境裁判所は、SKB社が申請する処分事業を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することになる。

口頭弁論の開催に先立って土地・環境裁判所は、SKB社が計画する処分事業に関係する規制・行政機関、地方自治体、環境団体などから意見書を収集している。このうち、原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、2016年6月に、SKB社は安全要件を遵守して処分場を建設する能力を有しているとする意見書を土地・環境裁判所に提出している

SKB社の処分事業に関しては、原子力活動法に基づく放射線安全機関(SSM)による審査も並行して行われている(上記囲みの①②)。SSMも政府に対して意見書を提出することになっており、土地・環境裁判所が政府に意見書を提出するのと同時期になるよう調整が図られることになっている。

土地・環境裁判所と放射線安全機関(SSM)から政府への意見書が提出された後、政府が判断を行うには、環境法典の規定により、地元のエストハンマル自治体とオスカーシャム自治体の議会がSKB社の計画する処分事業を承認していることが条件となっている。使用済燃料の処分場が立地されるフォルスマルクがあるエストハンマル自治体は、2017年4月に、自治体としての判断を行う際の参考とするため、住民投票を2018年3月4日に行うことを決定している。使用済燃料の処分事業の実施可否は、SSM及び土地・環境裁判所の意見書や自治体の承認を踏まえて、最終的に政府が判断することになる

【出典】

【2017年9月21日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、主要審理プロセスとなる口頭弁論が2017年9月5日から開始された。口頭弁論はのべ5週間にわたって開催されるが、ストックホルムで開催される前半の第2週目までの日程が2017年9月14日に終了した。次の口頭弁論は会場を移し、2017年10月2日からオスカーシャム自治体で、2017年10月9日からエストハンマル自治体で開催される。

ストックホルムで2017年9月5日から14日の期間に開催された口頭弁論は、ナッカ土地・環境裁判所の近くの会議場において公開形式で行われた。SKB社が申請している使用済燃料の処分方法、使用済燃料処分場などの関連施設の立地選定、処分場の閉鎖後の安全に関して、SKB社のほか、処分場建設予定地が所在するエストハンマル自治体、放射線安全機関(SSM)、環境団体などが意見陳述を行った。エストハンマル自治体は、使用済燃料処分場の受け入れに関する住民投票を2018年3月4日に実施する予定であり、今回の口頭弁論においては正式な意思表示を行わないことを説明した。

SKB社は、2017年9月8日付け及び9月15日付けのプレスリリースにおいて、2017年9月5日から14日の期間での口頭弁論の概要を以下のように紹介している。

開催日 概要
9月5日(火)
  • 使用済燃料の処分方法、使用済燃料処分場などの関連施設の立地選定に係る許可申請についてSKB社が意見陳述
  • 放射線安全機関(SSM)やその他の政府機関、オスカーシャム自治体はSKB社に賛成、環境保護団体は反対を表明。エストハンマル自治体は住民投票まで態度を保留
9月6日(水)
  • SKB社が使用済燃料の処分方法として申請したKBS-3概念やその他に研究した処分概念、サイト選定、閉鎖後の安全性、安全解析等について説明
9月7日(木)
  • SSMが、SKB社の処分概念やサイト選定、閉鎖後の安全性に対して実施した審査、及び同社が安全な処分システムを構築できるとした審査結果について説明
  • エストハンマル自治体が口頭弁論における同自治体の役割について説明
  • 複数の環境団体が、SKB社の処分方法やサイト選定、安全解析について意見陳述
9月8日(金)
  • 環境団体が、放射線、銅の腐食、深部における処分坑道等のテーマについて意見陳述し、SKB社に対して質問を提示
9月11日(月)
  • SKB社が無酸素環境における銅の腐食、沿岸部におけるサイトの選定、深部における処分坑道の掘削、放射線リスク等の質問に対して回答
  • ウプサラ大学が無酸素環境における銅の腐食に関する研究結果を提示
9月12日(火)
  • SKB社がベントナイト、緩衝材における亀裂、岩盤の圧力、地震、キャニスタの耐久性、閉鎖後の安全性等について説明
  • SKB社が使用済燃料処分場の立地選定について説明
9月13日(水)
  • SKB社がベントナイト、緩衝材における亀裂、岩盤の圧力、地震、キャニスタの耐久性、閉鎖後の安全性等について説明
  • SKB社が、フォルスマルクのバックグラウンド放射線量、地球潮汐、処分場閉鎖方法等の質問について回答
  • 処分場の閉鎖後の責任や環境影響評価手続についてSKB社等が説明
9月14日(木)
  • 土地・環境裁判所がSSMに対して、生物多様性や生態系に対する長期的な影響について質問
  • 土地・環境裁判所がSKB社に対して、原子力活動法と環境法典に基づき並行して進められている許認可手続きについて質問
  • SKB社が無酸素環境における銅の腐食への対応方法やそれが処分場の長期安全性に影響を与えないとする理由について説明

【出典】

 

【2017年10月20日追記】

スウェーデンにおける原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、2017年10月17日付のプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)による環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る申請に関して、土地・環境裁判所が実施している口頭弁論におけるSSMの役割を示した。

SSMはプレスリリースにおいて、2017年10月23日からストックホルムで開催される口頭弁論でSSMは、SKB社が申請している使用済燃料の処分計画において現時点で残存している不確実性を概括的に説明した上で、このような不確実性を伴う処分計画を実施に移しうる理由を陳述することになるとの認識を明らかにした。また、SSMが土地・環境裁判所から意見陳述を求められている事項を以下のように説明している。

  1. 処分場閉鎖後の放射線安全に関して、環境法典(第2章第1条)において規定されている事業実施者の立証責任の裏付けはどのようにあるべきか。
  2. 上記との関連において、処分場閉鎖後の放射線安全の立証要件は、原子力安全と放射線防護に関してSSMが定めている規則とどのように関係しているのか。
  3. 環境法典に基づく許可と原子力活動法に基づく許可の関係性を踏まえた上で、環境法典に基づいて土地・環境裁判所が設定する許可条件において、放射線防護に係る許可条件を一定期間にわたって定めずにおく観察期間を設定することは適切かつ必要であるか否か。また、そのような観察期間を設定する場合、何を観察の対象とすべきか。さらに、観察期間において事業者から報告してもらう事項及びその継続期間の長さをどのように定めるべきか。
  4. 事業が許可された場合、原子力活動法による規制下においてSKB社は、今後も段階的に調査・試験を行って処分場に関する様々な立証活動を実施していく必要がある。そのような状況において、処分場に関する未解明の不確実性について、SSMが現時点において概括的に説明することが可能であるか否か。
  5. 不確実性が残存しているにもかかわらず、環境法典の下でSKB社が申請している事業活動を許可しうると判断する理由をSSMが説明できるか否か。

【出典】

 

【2017年10月30日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、土地・環境裁判所による主要審理プロセスとなる口頭弁論が2017年9月5日から合計で5週間にわたって行われ、10月26日に終了した。土地・環境裁判所は、政府への意見書を2017年12月20日に提出する予定である。

SKB社のプレスリリースによれば、口頭弁論の最終日には、SKB社が計画する処分事業に関係する規制・行政機関、地方自治体、環境団体などから、SKB社が申請書において提示した実施条件や予防措置等の下で事業許可を発給しうるか否か(許容性)に関する意見陳述が行われた。このうち、オスカーシャム自治体、放射線安全機関(SSM)、環境保護機関(Swedish EPA)及びウプサラ県域執行機関(国の地方出先機関の一つであり、使用済燃料処分場の建設予定地フォルスマルクがあるエストハンマル自治体を含むウプサラ県域を管轄)は、SKB社が提案する事業は、環境法典の下で許容可能であるとの見解を示した。また、エストハンマル自治体は、使用済燃料処分場の受け入れに関する住民投票を2018年3月4日に実施する予定であり、今回の口頭弁論においては正式な意思表明を行わないとしているが、オスカーシャム自治体とともに、SKB社が口頭弁論で行った説明の内容や見解は、自治体側の理解に沿ったものであるとの認識を表明したとされている。

【出典】

 

【2017年12月12日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)による環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書に関して、審理を行っているナッカ土地・環境裁判所は、2017年10月26日に終了した口頭弁論に係る政府への意見書の提出日について、当初予定していた2017年12月20日から、2018年1月23日に延期したことを公表した。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の概念を採用している。 []

スウェーデンの規制当局である放射線安全機関(SSM)は、2017年6月30日付のプレスリリースにおいて、原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る基金(原子力廃棄物基金)への拠出金の単価について、政府(環境省)への提案に先立って、原子力発電事業者等の見解を聴取するため、2018~2020年に適用される単価の試算値を公表した。SSMは、原子力発電電力量1kWh当たりの平均で、現行の拠出金単価である4.0オーレ(0.48円)に対して、2018~2020年の拠出金単価を6.4オーレ(0.77円)とする試算結果を示している。

表 原子力廃棄物基金への拠出金単価の変化
原子力発電所  2015~2017年の拠出金単価
(2014年政府決定額)
 2018~2020年の拠出金単価
(SSM提案)
 フォルスマルク  3.9オーレ/kWh  4.5オーレ/kWh
 オスカーシャム  4.1オーレ/kWh  8.0オーレ/kWh
 リングハルス  4.2オーレ/kWh  6.8オーレ/kWh

拠出金単価が増加する主な要因は、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に閉鎖するとしている運転計画の変更である。現行の拠出金単価(2015~2017年に適用)が設定された2014年時点では、3カ所の原子力発電所(フォルスマルク、オスカーシャム及びリングハルス)において原子炉10基が運転されていたが、その後、電力需要の低迷や運転コストの増加を背景として、原子力発電事業者が計4基の原子炉を早期に営業運転を終了する方針に転じている。オスカーシャム原子力発電所の3つの原子炉のうち、出力増強工事のために停止していた2号機は再稼働せずに2015年12月に閉鎖されたほか、1号機も2017年6月17日に閉鎖された。また、リングハルス原子力発電所の1、2号機は、それぞれ2020年6月、2019年7月に営業運転を終了する予定である。これらの早期に閉鎖される原子炉の廃止措置の開始が早まることにより、オスカーシャムとリングハルスの各原子力発電事業者に適用される拠出金単価が大幅に増加する結果となっている。

■資金確保制度の改定

今回の放射線安全機関(SSM)による原子力廃棄物基金への拠出金単価の提案では、政府が2017年6月1日付でスウェーデン議会(国会)に提出した資金確保法令の改正案の内容を織り込んだ形で試算を行っている。現行の法制度では、原子炉運転期間40年までに発生する使用済燃料や放射性廃棄物を処分するために必要な費用に基づいて、原子力発電会社ごとに発電電力量1kWh当たりの拠出金単価を決定する仕組みであるが、今回のSSMの試算では、原子炉運転期間を50年として拠出金単価を試算している。

スウェーデンでは、今後2020年頃に運転中の原子炉の多くが運転期間40年を超過する。こうした状況から、SSMは、2016年10月14日に取りまとめた政府への報告書において、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に引き延ばす提案を行っていた。SSMは今回の拠出金単価の試算に先立ち、原子力発電事業者が共同出資して設立したスウェーデン核燃料・廃棄物会社(SKB社)に対し、原子炉運転期間を40年と50年とした2ケースについて、それぞれの原子炉運転終了時点までに発生する使用済燃料と放射性廃棄物の発生量を評価し、それらの処分に必要となる将来費用をSSMに報告するように指示した。これを受けてSKB社は、将来費用の算定結果を2016年12月に報告書「プラン2016」としてSSMに提出していた。

なお、スウェーデンにおいては、資金確保制度で想定する原子炉運転期間(現行の制度では40年)を超えた以降に発生する使用済燃料等の処分費用については、原子力廃棄物基金への拠出金の支払いとは別に、原子力発電事業者が国に担保を預ける義務が導入されている。今後、資金確保制度で想定する原子炉運転期間を50年に改正された場合、従来は担保として預け入れていた資金は、今後、政府が決定する拠出金単価に基づいて基金へ拠出する形に変わることになる。

【出典】

 

【2017年12月25日追記】

スウェーデン政府(環境省)は、2017年12月21日付のプレスリリースにおいて、原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る基金(原子力廃棄物基金)への2018~2020年の拠出金の平均単価を、現行の4.0オーレ(0.56円)から5.0オーレ(0.7円)に引き上げることを公表した。

スウェーデンでは原子力発電所の廃止措置、放射性廃棄物の処分等に係る資金確保制度の法改正が2017年11月に行われており、2018年以降の拠出金単価の算定で前提とする原子炉運転期間が、従前の40年から50年に延長された。この法改正は、拠出金単価を引き下げる方向のものであるが、電力需要の低迷見通しを受けて、一部の原子力発電事業者が原子炉の運転を早期に終了する計画1 を反映したことから、結果的には、拠出金の平均単価が引き上げられるものとなっている。

なお、今回の拠出金単価の政府決定に先がけて、放射線安全機関(SSM)は、2018年以降に適用する拠出金単価に関する政府への提案を取りまとめる準備として、2017年6月に単価の試算値を公表し、原子力発電事業者等の見解を聴取していた。SSMは当初、拠出金の平均単価を6.4オーレ(0.9円)と試算していたが、スウェーデン核燃料・廃棄物会社(SKB社)が提案した物価や賃金の将来変動の予測方法を取り入れるなどによって算定をやり直し、2017年10月に、平均単価を5.0オーレ(0.7円)とする提案を政府に行っていた。今回の政府決定では、SSMが提案した拠出金単価の額が採用されている(下表参照)。

表 原子力廃棄物基金への拠出金単価の変化
原子力発電所

2015~2017年の
拠出金単価

原子炉運転期間40年

2018~2020年の
拠出金単価

法改正後:原子炉運転期間50年

(2014年政府決定額) (2017年6月SSM試算値) (2017年6月SSM試算値)
2017年政府決定
フォルスマルク 3.9オーレ/kWh 4.5オーレ/kWh 3.3オーレ/kWh
オスカーシャム 4.1オーレ/kWh 8.0オーレ/kWh 6.4オーレ/kWh
リングハルス 4.2オーレ/kWh 6.8オーレ/kWh 5.2オーレ/kWh
平均単価 4.0オーレ/kWh 6.4オーレ/kWh 5.0オーレ/kWh

【出典】


  1. オスカーシャム原子力発電所の原子炉3基のうち、1号機と2号機がそれぞれ2017年6月、2015年12月に営業運転を既に終了している。また、リングハルス原子力発電所の原子炉4基のうち、1号機と2号機が2020年、2019年内に営業運転を終了する計画である。 []
カナダサイト選定状況201706

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2017年6月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2017年6月23日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のセントラルヒューロン自治体(右上図21番)とホワイトリバー・タウンシップ(右上図10番)を、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、これら2地域ではプロジェクトに対する関心はあるものの、それぞれの地域内で地質工学的な調査を進める上で、十分な信頼感を住民に与えられるほどには関心・学習を拡大することができなかったとしている。 NWMOは、使用済燃料処分場の立地に好ましい1カ所のサイトを選定するためには、安全要件に合致する可能性がより高く、プロジェクト実施に対して地元住民が関心を持ち続けるための基盤を有する地域に絞り込んでいく必要があるとしている。 NWMOは、サイト選定プロセスに残っている7自治体において、現在進行中の第3段階第2フェーズのフィールド調査の中でボーリング調査の実施を予定している。これら7自治体を地理的な近さに応じて以下の4グループにまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定を進めるとしている。

  • ホーンペイン/マニトウェッジ地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられるボーリング調査地点1カ所の特定に向けて、このエリアの住民と協力する取組みを計画している。技術的な適性があり、社会的に受け入れられるボーリング調査地点1カ所を特定できた場合には、初期ボーリングの掘削を2018年に開始する。
  • ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられる地点でのボーリング調査の前に、この地域の地質に関する理解の向上を図るため、複数の地点でボーリング調査を行う計画である。ボーリング掘削の時期や詳細は検討中である。
  • イグナス地域:初期ボーリング調査を2017年に開始する計画であり、先住民等との協力の下、「レヴェル底盤」(Revell Batholith)として知られている深成岩の地層の一部を対象とする調査地点を特定済みである。この調査地点は、処分場サイトとして技術的な適性があり、社会的に受け入れられる可能性がある。
  • エリオットレイク/ブラインドリバー地域:先住民の助言と参加を得て、地質学的・環境学的なマッピング調査を実施中である。初期ボーリング調査に関する計画は、その実施に関する判断を含めて2018年初めに決定する予定である。

NWMOは、第3段階第2フェーズのフィールド調査の途中段階でも、得られた情報に基づいて、適性が低いと思われる地域を除外していく考えであり、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うとしている。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

 

【2017年11月9日追記】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2017年11月6日に、イグナス・タウンシップにおいて初期ボーリング調査を開始したことを公表した。初期ボーリング調査は、潜在的な処分サイト、または、その近傍の地質環境の把握を目的としたサイト評価プログラムの一環として実施されるものであり、ボーリング掘削の実施には、オンタリオ州の天然資源・森林省(MNRF)の許可が必要となっている。カナダ楯状地の結晶質岩が分布するイグナス・タウンシップでは、地下約500mの深さまでボーリング孔を掘削し、円筒状の岩石試料(ポーリングコア)を採取する予定である。

NWMOはサイト選定プロセスに残っているオンタリオ州内の7自治体で初期ボーリング調査を実施する計画であり、各自治体と協力して準備を進めている。NWMOの資料によれば、オルドビス紀の堆積岩が分布するヒューロン=キンロス・タウンシップとサウスブルース自治体では深さ約1,000mまでのボーリング孔を掘削する計画である。

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】

スイスのジュラ州にあるモン・テリ岩盤研究所を管理するスイス国土地理院(swisstopo)は、岩盤研究所の坑道拡張工事を2017年6月15日に開始したことを公表した。モン・テリ岩盤研究所では、放射性廃棄物の地層処分や二酸化炭素の地中貯留に関連して、今後10年の計画として約50件の新規研究プロジェクトが計画されているが、既存坑道ではスペースが不足することから、既存部分の南側に全長約600メートルの坑道を新たに掘削する。

今回の坑道拡張工事の総費用は約400万スイスフラン(日本円で約4億5,200万円、1スイスフラン=113円で換算、以下同様)と見積っている。坑道拡張工事は2019年半ばまでに完了する見込みであるが、工事中にも坑道掘削による水理・岩盤力学的な影響を調べる試験(Mine-by Test)が実施される予定である。

モン・テリ岩盤研究所の概要

モン・テリ岩盤研究所は、高速道路の避難・管理用トンネルと周囲のオパリナス粘土層を利用して設置された国際共同研究施設であり、1996年以降、約150件に及ぶ試験が実施されている。複数回に及ぶ坑道拡張工事により2017年6月現在、モン・テリ岩盤研究所の坑道延長は約700メートルとなっている。スイスの放射性廃棄物処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)はモン・テリ岩盤研究所において、地層処分の候補母岩であるオパリナス粘土層中でのガスの拡散挙動、微生物の活動、母岩に対する熱影響に関する試験研究などを実施している。モン・テリ岩盤研究所における国際共同研究プロジェクトには、スイスを含めた8か国から以下の16の組織が参加しており、今回の坑道拡張工事の費用を分担するとしている。

  • スイス国土地理院(swisstopo、スイス)
  • 連邦原子力安全検査局(ENSI、スイス)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA、スイス)
  • 原子力研究センター(SCK・CEN、ベルギー)
  • 連邦原子力管理庁(FANC、ベルギー)
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA、フランス)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN、フランス)
  • 連邦地球科学・天然資源研究所(BGR、ドイツ)
  • 施設・原子炉安全協会(GRS、ドイツ)
  • 株式会社大林組(日本)
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA、日本)
  • 一般財団法人電力中央研究所(CRIEPI、日本)
  • 放射性廃棄物管理公社(ENRESA、スペイン)
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO、カナダ)
  • シェブロン・エネルギー技術社(Chevron Energy Technology ETC、米国)
  • エネルギー省(DOE、米国)

モン・テリ岩盤研究所には、これまでに総額約8,000万スイスフラン(約90億4,000万円)が投じられており、上記の16の組織も費用を分担してきた。

モン・テリ岩盤研究所の地下部分はジュラ州が所有権を有しているが、今回の坑道拡張工事についてジュラ州は2016年12月に、坑道拡張工事に必要な許可を発給していた。また、管理・操業者であるswisstopoは毎年、ジュラ州から研究プロジェクトの実施のための地下利用の許可を得ている。なお、モン・テリ岩盤研究所は研究施設として供用されており、将来にわたり放射性廃棄物処分場として利用されることはない。

mont-terri

モン・テリ岩盤研究所の位置

【出典】

米国の政府説明責任院(GAO)は、2017年5月26日に、ユッカマウンテン処分場の建設に係る原子力規制委員会(NRC)での許認可申請の審査について、審査手続の再開・完了のための必要事項等を検証した報告書を公表した。本報告書は、連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長らが2016年2月29日に、GAOへ依頼したことを受けて取りまとめられたものである。本報告書では、①エネルギー省(DOE)による2010年3月の許認可申請書の取下げ申請以降に実施された活動、②許認可手続を再開して完了するために必要と考えられる主要ステップ及びその成否に影響し得る要因が検証されている。

2010年3月のDOEによる取下げ申請以降の動きとしてDOE及びNRCは、技術的審査や裁判形式の裁決手続など、NRCにおける許認可プロセスを実施する能力をほぼ壊滅的状態にしたこと、特に、許認可プロセスを実施する組織及び資金が消滅したこと、NRCスタッフによる技術的審査を停止したこと、NRCが保有していた専用のヒアリング施設を廃止した一方で、数百万の文書など関連データの保存も行ったことなどが示されている。DOE及びNRCは、NRCが2011年9月に正式に許認可プロセスを停止したときには、実施体制の解体作業をほとんど完了していた。2013年11月の連邦控訴裁判所判決により、NRC許認可手続の再開が命じられたことを受けてNRCは、残予算の範囲内で許認可審査活動を再開したが、裁判形式の裁決手続は再開されていない。2016年末から2017年初めの時点では、DOEもNRCも、裁決手続を再開するための公式の計画はないとしていた。

政府説明責任院(GAO)の報告書では、許認可プロセスを再開し、完了するために必要な主なステップとして、以下の4点が示されている。

  1. NRCの委員会が許認可プロセスの再開、時期その他の詳細を決定し、通知を受けた許認可プロセス参加者とNRCが、裁決手続に必要となる資金を確認
  2. DOE及びNRC、その他参加者のプロジェクト部局を再設置するための人員確保など、組織的対応力の再構築
  3. 裁決手続の参加者を再招集し、証人の証言書や証拠開示手続など、裁決手続の残されたプロセスを完了
  4. 処分場の建設の認可に係るNRCの委員会の最終決定など、許認可プロセスの残りのステップを実施

政府説明責任院(GAO)の報告書では、裁判形式の裁決手続において許認可申請書を弁護する専門家証人を復帰させることができるかなど、様々な要因が許認可プロセスの再開・完了のために必要な時間に影響を与え得るとしている。

なお、本報告書は、政府説明責任院(GAO)が2016年3月から2017年4月にかけて調査したものであり、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)その他の関連法令、関連文書等を精査した上で、DOEの処分実施主体であった民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の元職員などのDOEやNRCの担当官、NRC許認可手続に参加していた関係者などに対して聞き取り調査が実施されている。

【出典】

  • 政府説明責任院(GAO)報告書、「ユッカマウンテン処分場の許認可手続の再開にはエネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の体制再構築などが必要」、2017年4月26日(2017年5月26日公表)
    https://www.gao.gov/products/GAO-17-340

 

【2017年5月30日追記】

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は2017年5月26日に、ユッカマウンテン処分場に関する政府説明責任院(GAO)の報告書に対するプレスリリースを公表し、GAOの報告書を歓迎するなどを主旨とするエネルギー小委員会委員長及び環境小委員会委員長の見解を示した。両委員長は2016年2月に、ユッカマウンテン許認可申請を再開・完了するためのエネルギー省(DOE)の実施能力について評価する報告書を策定するよう、GAOに要求していた。

プレスリリースの中で両委員長は、政府説明責任院(GAO)報告書で確認された今後必要な主な4つのステップを示した上で、以下の見解などを示している。

  • いくつかの課題は残されているものの、政府説明責任院(GAO)報告書は、エネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)がユッカマウンテン許認可プロセスを完了するために必要なステップのロードマップを提供している。
  • 許認可申請を完了するためのプロセスは、独立した立場のNRC行政判事の前で、公式に正当性を主張する機会をネバダ州に提供するものであり、極めて重要である。
  • 下院エネルギー・商務委員会が放射性廃棄物政策に係る包括的な法案の制定を目指す中で、政府説明責任院(GAO)報告書で示された課題に対応するためにDOEと協調して取り組んで行く。

【出典】

米国で2017年5月23日に、2018会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「使用済燃料等」という。)の管理については、新たに「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムが設けられ、120,000千ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでも予算要求資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の継続のための予算として、30,000千ドル(約33億9,000万円)が要求されている。

DOEの予算で新たに設けられた「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムは、使用済燃料等に対する連邦政府の責務を満足するとともに、国家安全保障を強化し、将来の納税者の負担の軽減に資するものとされている。本プログラムは、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続を復活させるという現政権の決定を実施に移すものであり、処分場が開発されるまでの近い将来については、中間貯蔵の体制を確立するものとしている。本プログラムでは、2018会計年度の実施事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(110,000千ドル(約124億円))2

  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • NRCの原子力安全許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略の構築

中間貯蔵(10,000千ドル(約11億3,000万円))3

  • 商業的な使用済燃料中間貯蔵サービスの競争的調達の計画・策定の開始
  • 使用済燃料等の将来における輸送を支援する、輸送計画・調達・国家環境政策法(NEPA)分析を加速する活動の開始
  • 将来の使用済燃料等の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

DOEの予算要求資料では、現在は停止されている原子力発電事業者からの放射性廃棄物基金への拠出金について、2020会計年度から徴収を再開することが示されている。拠出金の徴収には、金額の妥当性評価報告書が必要であることが1982年放射性廃棄物政策法で規定されており、DOEは2018会計年度において、拠出金の妥当性評価報告書の策定を開始するとしている。

なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動としては、前政権ではDOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として、研究開発活動、同意に基づくサイト選定プロセスの構築、超深孔処分フィールド試験などが実施されてきたが、今回公表されたDOEの予算要求文書では、両プログラムとも廃止が提案されている。ただし、中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管するものとされている。

一方、NRCの予算要求資料では、高レベル放射性廃棄物の予算として30,000千ドル(約33億9,000万円)が計上されており、主な活動として、処分場建設認可に係る許認可申請書の審査活動の継続、裁判形式の裁決手続再開の準備、関連訴訟への参加と準備が挙げられている。これまでNRCにおけるユッカマウンテン処分場の許認可申請書に係る審査活動は、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で限定的に行われていた

また、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2016~2017会計年度と比較して約18,000千ドル(約20億円)増の323,041千ドル(約365億円)の予算が要求されている。要求額には換気システムや排気立坑の費用が含まれているが、主な増加要因として、2017年に操業が再開されたこと、是正活動の維持、輸送回数増加のための対応などが挙げられている。

【出典】

 

【2017年6月23日追記】

米国の連邦議会において、2017年6月20日~23日に、エネルギー省(DOE)の2018会計年度の予算要求に関するヒアリングが実施された。ヒアリングは、以下に示す日程で上下両院の関連委員会が開催したものであり、エネルギー長官が証人として出席して2018会計年度の予算要求について説明するとともに、各委員会の委員による質疑が行われた。

開催日 開催委員会

2017年6月20日

下院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月21日

上院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月22日

上院エネルギー・天然資源委員会

エネルギー長官が各委員会に提出した証言書では、高レベル放射性廃棄物処分に係る前進が必要との認識の下、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び使用済燃料の中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)の予算を要求していることが示されている。その上で、長期にわたり停止していたユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開及び中間貯蔵施設の確保を明確に示した2018会計年度の予算要求は、高レベル放射性廃棄物に対応する連邦政府の義務を満足し、国家安全保障を強化し、将来の米国納税者の負担を軽減するものとしている。これはまた、原子力安全・安全保障に対する公衆の信任を増し、原子力が米国のエネルギー需要に貢献し続けることを支援するものとしている。

エネルギー長官は、各委員会の質疑での回答においても、ユッカマウンテン計画の再開と中間貯蔵プログラムの開始に強い意欲を示している。これに対し、ネバダ州知事及びネバダ州選出の連邦議会議員は、ネバダ州はユッカマウンテン処分場計画に一貫して反対を続けており、DOEは同意に基づくサイト選定の取組を継続すべきであるなどの主旨で、エネルギー長官が一連のヒアリングで示した見解を批判するプレスリリースを発出している。

【出典】

 

【2017年7月13日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2017年7月12日に開催した法案策定会合において、2018会計年度4 のエネルギー・水資源開発歳出法案の草案(以下「歳出法案草案」という。)を承認した。本歳出法案草案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)と、いずれもエネルギー省(DOE)等の予算要求と同額が割り当てられている。

歳出法案草案では、DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして補助金等を財政支給することが規定されている。ただし、これらの資金は、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できないことなどが規定されている。また、2017会計年度の下院歳出法案と同様に、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じることも規定されている。

また、歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)が計上されている。DOEが2017年5月23日に公表した予算要求では、同プログラムの予算は要求されていなかった。

なお、2017年7月12日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合において技術的な事項に係る修正案が承認されているが、これらの修正事項を反映して、法令番号を付した歳出法案は2017年7月12日時点では公表されていない。

【出典】

 

【2017年7月25日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2017年7月20日に、2018会計年度5 のエネルギー・水資源開発歳出法案(S.1609)を承認し、上院本会議に提出した。本歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度に上院で可決された2017会計年度の歳出法案と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。また、本歳出法案では、エネルギー省(DOE)の予算要求では廃止とされた予算として、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発及び統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラムの予算が計上されている。なお、ユッカマウンテン関連の予算及び記述は盛り込まれていない。

下表は、2018会計年度の歳出法案での高レベル放射性廃棄物関連予算について、上下両院で提出された歳出法案における予算計上金額及びポイントを示したものである。

項目 連邦議会上院の歳出法案 連邦議会下院の歳出法案
研究開発 65,000千ドル(73億4,500万円、1ドル=113円で換算) 45,000千ドル(50億8,500万円)
  • 使用済燃料処分等(UNFD)研究開発として、処分及び貯蔵に係る一般的な研究開発活動を継続するための予算を計上
地層処分 【予算計上なし】 120,000千ドル(135億6,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • ユッカマウンテン処分場計画の再開のため許認可活動予算等を計上
中間貯蔵 35,000千ドル(39億5,500万円) 【予算計上なし】
  • 統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)として集中中間貯蔵計画の実施のための予算を計上
  • 予算金額のうち10,000千ドル(11億3,000万円)については、集中中間貯蔵に係る民間事業者との契約締結をエネルギー長官に許可
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラムの実施をエネルギー長官に命じる規定(第307条)
  • 集中中間貯蔵プログラムの実施に関する記述はなし
高レベル放射性廃棄物の規制 【予算計上なし】 30,000千ドル(33億9,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • 原子力規制委員会(NRC)における許認可手続予算を放射性廃棄物基金から引き出す

今回、上院本会議に提出された歳出法案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案第307条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中中間貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法の施行後120日以内に、集中中間貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中中間貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザル公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

今回、上院本会議に提出された歳出法案にユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出の連邦議会議員からは、これを評価した上で、今後も闘いを継続する旨のプレスリリースが発出されている。また、ネバダ州選出の連邦議会下院議員は、ユッカマウンテン計画の再開を図る下院の歳出法案に対して、ユッカマウンテン関連の予算を削除するなどの修正案を提出している。

下院では、2017年7月12日の歳出委員会会合での承認を経て、2017年7月17日にエネルギー・水資源開発歳出法案(H.R.3266)が本会議に提出されているが、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめた「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)として下院本会議で審議を行うことが予定されている。

【出典】

 

【2017年8月2日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年7月27日の本会議において、2018会計年度6 「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219、以下「本歳出法案」という。)を、235対192で可決した。本歳出法案は、2018会計年度の国防歳出法案(H.R.3219)に「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)などを統合し、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめたものである。本歳出法案での高レベル放射性廃棄物管理に係る予算については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された内容から変化はなく、歳出法案に付随する委員会報告書についても、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認されたものとなっている。

本歳出法案及び付随する下院歳出委員会報告書では、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算について、以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

本歳出法案で計上された予算のうち、ユッカマウンテン関連の予算金額についてはDOE等の予算要求と同額が割り当てられているが、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとしての一般的な研究開発予算については、DOEの予算要求では要求されていなかった。

なお、本歳出法案の下院本会議での審議において、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じた第507条を削除する修正案がネバダ州選出の下院議員から提出されたが、発声投票により否決された。

本歳出法案の下院本会議での可決及びネバダ州選出議員提出の修正案の否決について、ネバダ州選出の連邦議会の上院議員及び下院議員からは、これを非難し、今後も反対を続けることなどを表明するプレスリリースが発出されている。

【出典】

 

【2017年9月11日追記】

米国の連邦議会では、上院が2017年9月7日に、下院が2017年9月8日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2017年10月1日から2017年12月8日を対象とした継続歳出法案をそれぞれ可決し、2017年9月8日に大統領の署名を得て継続歳出法として成立した。かねてから検討されていたユッカマウンテン許認可手続の再開等については、今回の継続歳出法では予算が付かないものとなった。

2018会計年度の継続歳出法は、エネルギー・水資源分野を含めて、2017年12月8日までの期間について、2017会計年度の予算を規定した包括歳出予算法での予算と同じレベルでの歳出を認めるものである。継続歳出法による予算は、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定が無い限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回制定された2018会計年度の継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2017年9月25日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年9月14日の下院本会議において、2018会計年度の全期間(2017年10月1日~2018年9月30日)を対象とした「米国安全保障・繁栄歳出法案」(H.R.3354、以下「包括歳出法案」という。)を211対198で可決した。本包括歳出法案は、2018会計年度の内務省・環境分野の歳出法案(H.R.3354)に対して、すべての他分野の歳出法案を統合して、包括歳出法案としてまとめたものである。
エネルギー関連については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)、及び同法案を統合して2017年7月27日に下院本会議で可決された「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)から変更はなく、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算は以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算に関して、連邦議会上院の歳出委員会で2017年7月20日に承認された上院版歳出法案(S.1609)では、ユッカマウンテン関連の予算及び関連する記述は盛り込まれず、集中中間貯蔵計画の実施のための予算が計上されるなど、今回下院で可決された包括歳出法案とは内容が大きく異なっている。包括歳出法案が法律として成立するためには、上院で同じ内容の法案が可決されることが必要であり、上院で異なる内容の歳出法案が可決された場合には両院協議会等で調整が行われることとなる7

【出典】

 

【2017年12月11日追記】

米国の連邦議会は2017年12月8日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2017年12月22日までを対象とした継続歳出決議(CR)を可決し、また、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-90)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601)が2017年9月8日に成立していたが、今回、上下両院合同で可決された継続歳出決議は、前回の継続歳出法で設定された継続予算の期限を2017年12月22日まで延長するものとなっている。

なお、今回可決された2018会計年度のうちの2017年12月22日までの継続歳出決議では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2017年12月25日追記】

米国の連邦議会は2017年12月21日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年1月19日までを対象とした継続歳出法案(H.R.1370)を可決し、2017年12月22日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-96)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)で継続予算の期限が2017年12月22日まで延長されていたが、今回成立した継続歳出法(Public Law No.115-96)は、この継続予算の期限を2018年1月19日までさらに延長するものとなっている。

なお、今回可決された2018会計年度のうちの2018年1月19日までの継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2018年1月25日追記】

米国の連邦議会は2018年1月22日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年2月8日までを対象とした「2018会計年度の継続歳出延長法」(H.R.195)を可決し、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-120)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No: 115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)、及び2017年12月22日に成立した継続歳出法(H.R.1370、Public Law No: 115-96)によって継続予算の期限が2018年1月19日まで延長されていたが、今回成立した2018会計年度の継続歳出延長法は、この継続予算の期限を2018年2月8日までさらに延長するものとなっている。

なお、2018会計年度歳出予算については、2018年1月19日までとなっていた期限内に継続予算の期限の延長が行われなかったため、連邦政府機関の一部は2018年1月20日から閉鎖されることとなっていた。

今回可決された2018会計年度の継続歳出延長法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2018年2月13日追記】

米国の連邦議会は2018年2月9日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年3月23日までを対象とした「2018会計年度の継続歳出追加延長法」(H.R.1892)を可決し、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-123)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)、2017年12月22日に成立した継続歳出法(H.R.1370、Public Law No.115-96)、及び2018年1月22日に成立した継続歳出延長法(H.R.195、Public Law No.115-120)によって継続予算の期限が2018年2月8日まで延長されていたが、今回成立した「2018会計年度の継続歳出追加延長法」(Public Law No.115-123)は、この継続予算の期限を2018年3月23日までさらに延長するものとなっている。

なお、2018会計年度歳出予算については、2018年2月8日までとなっていた期限内に予算が成立しなかったため、連邦政府機関の一部は数時間ながら閉鎖される状態となっていた。

今回可決された「2018会計年度の継続歳出追加延長法」では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

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【2018年3月27日追記】

米国の連邦議会は2018年3月23日に、2018会計年度11 包括歳出法案(H.R.1625)を可決し、同日に大統領の署名を得て法律(Public Law No.115-141)として成立した。これまで2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、数次にわたる期限の延長を経て、2018年3月23日までを期限とする継続予算が執行されていた。

高レベル放射性廃棄物関連の予算については、2018会計年度包括歳出法の条文には規定されていないが、2018会計年度包括歳出法案説明文書において、「使用済燃料処分等プログラム」(UNFDプログラム)の歳出予算として、2017会計年度歳出予算から微増の86,415千ドル(約97億6,490万円、1ドル=113円で換算)が計上されている。UNFDプログラムの予算の内訳も2017会計年度歳出予算と同様であり、「研究開発活動」が63,915千ドル(約72億2,220万円)、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)が22,500千ドル(約25億4,250万円)の歳出予算とされているが、IWMSに対して国防勘定の歳出予算は認められていない。

一方、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、トランプ政権は、審査手続を再開させる方針を示していた。しかし、トランプ政権の決定を実施に移すものとして、エネルギー省(DOE)の予算において120,000千ドル(約136億円)が計上された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムについては、今回制定された2018会計年度包括歳出法では予算が計上されなかった。ユッカマウンテン許認可審査手続の再開については、原子力規制委員会(NRC)も30,000千ドル(約33億9,000万円)の予算を要求していたが、2018会計年度包括歳出法では予算が計上されなかった。

2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、換気システムの建設に係る予算などがDOE予算要求比で増額されており、2017会計年度の歳出予算を3割近く上回るものとして、376,571千ドル(約425億5,250万円)の予算が計上されている。

なお、今回成立した2018会計年度包括歳出法については、ネバダ州選出の連邦議会議員から、ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算の計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが出されている。また、DOEからも、2018会計年度包括歳出法の成立を歓迎するプレスリリースが出されているが、高レベル放射性廃棄物管理関連の言及はなかった。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  3. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  4. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  5. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  7. なお、上院では本会議での歳出法案の審議は進んでおらず、上院版の歳出法案を審議・可決することなく下院との調整が行われる可能性もある。 []
  8. H.R.1370は、元々は2002年国土安全保障法を改正するための法案であったが、継続歳出法の成立に向けて内容が置き換えられ、第A編(Division A)が「2018会計年度のさらなる追加の継続歳出法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.1370を継続歳出法として記載している。 []
  9. H.R.195は、元々は連邦官報の印刷物の無償配布を制限する法案であったが、継続歳出法の成立に向けて内容が追加され、第B編(Division B)が「2018会計年度の継続歳出延長法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.195を2018会計年度の継続歳出延長法として記載している。 []
  10. H.R.1892は、元々は殉職警官等への半旗掲揚などに関する法案であったが、継続歳出法等の成立に向けて内容が追加され、第B編の一部(Division B Subdivision 3)が「2018会計年度の継続歳出追加延長法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.1892を継続歳出追加延長法として記載している。 []
  11. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  12. H.R.1625は、元々は人身売買根絶に関連した法案であったが、包括歳出法成立に向けて内容が置き換えられた。 []

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は、2017年4月25日にウェブサイト(https://www.bge.de/)を開設し、これまで連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)傘下の連邦放射線防護庁(BfS)が担っていた放射性廃棄物処分の実施主体としての役割を引き継ぎ、活動を開始したことを公表した。BGEは、BMUBの監督下にある100%国有の有限会社として設立されており、原子力法に基づいて、連邦政府の委託を受けて放射性廃棄物処分場の設置・操業を行うこととなっている。

また、BGEは、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施者として、今後、候補地域及び探査サイトの提案、サイトの探査計画及び評価基準の策定、サイトでの探査の実施、予備的安全評価などを行う。

今回活動を開始した新たな実施主体であるBGEを含めた、ドイツの放射性廃棄物処分に関わる主な各機関の役割は下表・下図のようになっている。

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)

連邦放射性廃棄物機関(BGE)

最終処分分野における政策責任者であり、最高監督官庁。また、出資者としてBGEを監督する。

BMUB傘下の専門官庁として、放射性廃棄物処分に係る規制監督・許認可発給を行う。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの管理責任者である。

放射性廃棄物処分の実施主体であり、100%国有の有限会社。既存・建設中の処分場の操業者である。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施主体でもある。

 

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の設置の背景

サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)は2015年3月に、発生者の利害とは独立した形で放射性廃棄物の処分事業が実施されるようにするため、新たな実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として設置することを提案していた 。本提案は、2016年7月8日に成立した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」において法制化された。本法に含まれる原子力法を改正する条文では、放射性廃棄物処分事業の実施責任をBMUBの監督下に置かれる「連邦が100%所有する私法上の組織」に一任すると規定しており、BGEはこの組織に相当する。なお、BGEが設置される以前の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)は、放射線防護・原子力防災に関する専門官庁として存続している。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の現状と今後の予定

BGEは、これまで放射性廃棄物処分の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)の他、BfSの委託を受けて処分場の設置・操業などの作業を実施していたドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)及びアッセII研究鉱山の管理作業等を行っていたアッセ有限会社の役割のすべてを継承することになっている 。2017年4月25日時点では、これまでBfSが行っていた放射性廃棄物処分実施に係る業務が移管され、関係する職員がBGEに移籍した状態である。今後数カ月内には、DBE社及びアッセ有限会社もBGEに統合される予定であり、統合の完了により、BGEの実施主体としての体制が整うこととなる。

【出典】

 

【2017年8月14日追記】

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は2017年8月4日に、各州の地質調査所及び鉱山・水利関連官庁に対して、保有する地質学的データの提供を求める書簡を送付することにより、全国の地質学的データの収集を開始したことを公表した。

サイト選定法では、サイト選定手続きの最初のステップとして、BGEが地球科学的な除外基準及び最低要件を適用し、最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」を選定することが規定されている。今後BGEは、サイト区域の選定結果を中間報告書に取りまとめ、サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)に提出することになっている。

【出典】

 

【2018年1月9日追記】

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は2017年12月22日に、ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)及びアッセ有限会社が2017年12月20日にBGEへ統合し、BGEを実施主体とする新たな放射性廃棄物処分の実施体制に係る組織再編が完了したことを公表した。

今回の統合により、BGEは、ドイツの高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物の処分実施主体としての体制が整い、1,600名以上の職員を擁する組織となった。

【出典】

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)1 は、2017年4月25日のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物等の処分が計画されているクラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩における地下研究所について、建設工事に関する一般競争入札の公告を行ったことを公表した。 プレスリリースによると、今回の入札は、地下研究所の建設の第一段階を対象としたものであり、既存のインフラの解体・撤去や、次の段階での建設・設置作業を円滑に実施するための、地上の建屋や複合施設、通信インフラの建設・設置に関する予備作業のほか、サイトの準備、現場へのアクセス道路の敷設、給水施設の建設が含まれる。第一段階の作業の工期は2019年11月15日までとされている。

地下研究所の概念図(ノオラオ社ウェブサイトより引用)

地下研究所の概念図(ノオラオ社ウェブサイトより引用)

ノオラオ社は、地下研究所の建設を2024年までに完了させる計画であり、深さ450~525mにおける岩盤特性を調査することにより、高レベル放射性廃棄物と長寿命中レベル放射性廃棄物の最終処分の実現可能性を調査することを目的としている2 。ノオラオ社は、地下研究所での調査結果に基づいて、地下研究所を拡張して最終処分施設とする可能性について検討を行うとしている。なお、地下研究施設では、放射性物質は使用されないこととなっている。

計画されている地下研究所の建設予定地(クラスノヤルスク地方エニセイスキー)

【出典】

 

【2017年8月1日追記】

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2017年7月31日のプレスリリースにおいて、クラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩に計画している地下研究所の建設工事に関して、一般競争入札の再公告を行ったことを公表した。

ノオラオ社は、2017年4月に、地下研究所の建設の第一段階にあたるインフラ整備等の作業を対象とした一般競争入札を公告していたが、当初予定していた作業工程の組み直しが必要となったため、改めて一般競争入札を行うとしている。なお、再公告となった今回の第一段階の建設作業の工期については、前回の公告からの変更はなく、2019年11月15日までのままである。

 

【出典】

【2017年10月31日追記】

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2017年10月26日のプレスリリースにおいて、クラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩で計画している地下研究所について、2018年に建設開始予定であることを公表した。 ノオラオ社は、2017年4月に、地下研究所の建設の第一段階にあたるインフラ整備等の作業を対象とした一般競争入札の公告を行っていたが、作業工程の組み直しが必要となったため、2017年8月に一般競争入札の再公告を行っていた。 なお、プレスリリースでは、地下研究所の建設地が所在するジェレズノゴルスク市3 の住民に向けて、ノオラオ社の事業と地下研究所における研究活動を紹介するインフォメーションセンターが建設されることも公表している。

 

【出典】

【2018年4月10日追記】

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2018年4月9日のプレスリリースにおいて、クラスノヤルスク地方エニセイスキーのニジュネカンスキー花崗岩で計画している地下研究所について、建設・操業に必要となる電力供給システムの建設の準備作業を開始したことを公表した。
2019年に建設を開始する地下研究所のため、全長35kmの森林地帯や未開発地域を通る送電線の敷設を計画しており、2019年の第4四半期に完了予定である。NO RAOは、地下研究所の研究開発センターの建設を2019年に開始する計画としている。

【出典】


  1. ロシアでは、2011年に放射性廃棄物管理法が制定され、同法で規定された安全で経済的な放射性廃棄物管理を実施する国家事業者として、2012年3月に国営企業ノオラオが設立された。 []
  2. ロシアでは処分方法に関連させて放射性廃棄物を6つのクラスに分類している。クラス1は発熱性高レベル放射性固体廃棄物、クラス2は高レベル放射性固体廃棄物と長寿命中レベル放射性廃棄物に分類され、いずれも地層処分が適切であるとされている。クラス3は100mの深さまでの浅地中処分施設への処分相当の低中レベル放射性固体廃棄物、クラス4は地表レベルの浅地中処分施設への処分相当の低レベル放射性固体廃棄物及び極低レベル放射性固体廃棄物に分類される。クラス5は低中レベル放射性液体廃棄物、クラス6は探鉱や精錬等で発生する廃棄物に分類されている。エニセイスキーで計画されている地層処分場では、クラス1と2の放射性廃棄物の処分が検討されている。 []
  3. ジェレズノゴルスク市にある鉱業化学コンビナート(MCC)には、ロシア型加圧水型原子炉(VVER)や黒鉛減速沸騰水型原子炉(RBMK)の使用済燃料中間貯蔵施設がある。 []

英国政府は2017年4月13日に、地層処分と地域との協働に関する公衆対話(以下「公衆対話」という)の実施結果をまとめた報告書、対話の実施プロセス等についての分析報告書を公表した。公衆対話は、科学コミュニケーションの促進を目的とした英国政府のプログラム「サイエンスワイズ」(Sciencewise Expert Resource Centre)1 を活用して実施されたプロジェクトである。英国政府は、地域との協働プロセスの策定に向けて「地域の代表のための作業グループ」(CRWG)を2015年に設置して検討を進めており、今回の公衆対話プロジェクトの成果をCRWGの作業に役立てるとしている。

サイエンスワイズによる公衆対話プロジェクトでは、科学技術に関する政策立案に資するため、少人数の一般市民との対話を通じて、理解を深めてから参加者自身の見解を評価してもらうという手法が用いられている。今回の公衆対話は、世論調査や市場調査の専門機関を活用して実施されており、対話の設計と実施を3KQ社、対話の実施プロセスの独立した立場での分析をURSUSコンサルティング社が担当している。

■地層処分と地域の協働に関する公衆対話

今回の公衆対話は、2015年12月から2016年3月にかけて、マンチェスターとスウィンドンの2都市で、それぞれ2日間(いずれも土曜日)で実施された。参加者は各都市とも27名(2都市で合計54名)である。開催地は、以下の点を考慮して選定されている。

  • イングランド北部と南部にある中心地域
  • 原子力施設が立地していない地域、また比較的原子力問題への関心が低い地域であって、これまで地層処分に関連する議論に関与してこなかった地域
  • 都市・郊外・農村の各エリアに居住している住民の参加が可能な地域

公衆対話の参加者は、以下の4項目についての情報提供を受け、少人数のグループに分かれて相互に議論しながら、自身の意見を評価する作業を行う。公衆対話では、このような参加者の議論を通じた対話を分析することにより、幅広い公衆の見解を深く探求することが意図されている。

  • サイト選定プロセスにおいて実施主体とコンタクトする地域の代表
  • サイト選定プロセスへの参加可否についての住民の支持を調査・確認(test)する方法
  • サイト選定プロセスから撤退する権利(撤退権)
  • サイト選定プロセスに参加した地域への投資

参加者から示された主な意見を以下に示す。

○地域の代表(Community representation)

  • 地域にある組織、または地域のための活動を行うことに信頼や正当性を有する者が、地域の代表及び将来を決定する者として必要な資質を有している
  • 地域の代表の存在意義は住民・地域の利益にある
  • 地域の代表には信頼性、独立性、地域への関心・配慮があることが望まれる
  • 地域への関心・配慮のために自治体の関与を求める意見も多かったが、信頼性や代表性の欠如から、自治体の排除を強く求める意見もあった
  • 独立性や公平性の点から、規制機関や専門家が関与することが望ましい
  • 地域の代表は、情報提供・継続的なコミュニケーション・住民意見の認知・信頼と信用を維持することが重要である
  • 地域の代表への信頼はプロセス全体への信頼につながる

○住民の支持を調査・確認(test)する方法(Test of public support)

  • 参加者に例示された3つの方法(統計的手法に基づいた世論調査、住民投票、公開協議による意見募集)に対して、地域住民全員が意見を示せること、サイト選定プロセスについて学習し、意見が固まるまでの時間を確保することが重要である
  • 公開協議による意見募集の実施後に、最終的に住民投票(住民の意見調査などを含む)を実施する複合的なアプローチが好まれる

○撤退権(Right of withdrawal)

  • 撤退に関する意向は、信頼の欠如と不確実性の存在(例えば、証拠が矛盾するなど)から生じる可能性が高い
  • 地域の代表、または地域と密接に協議をした地域の代表が撤退について最終決定することを支持する傾向にあった。住民の支持を調査・確認(test)する方法と比較して、撤退権のタイミングについて不明瞭であることから、サイト選定プロセスの撤退権の部分を説明する際に、明確に伝えることが必要である

○地域への投資(Community investment)

  • 地元のプロジェクト、地域に長期的な利益を与えるプロジェクト、地域のより広範な人々の利益になるプロジェクトに投資する
  • 地域独自の優先順位や選定基準に基づいて投資する

■公衆対話で示された意見の分析

今回の公衆対話を設計・実施した3KQ社は、参加者による議論の状況に関する全般的な所見として、参加者の議論を通じて意見が集約され、広く合意が得られた事項として、以下の二つを挙げている。

  • 住民の支持を調査・確認(test)する方法として、公開協議による意見募集の実施後に最終的に住民投票を実施すること
  • 全てのプロセスにおいて、透明性があること、また全ての関係者間で定期的にコミュニケーションが取れていること

3KQ社は、参加者の意見集約が進まなかった事項として、以下を挙げている。

  • 自治体がどの程度までその地域を代表しているといえるか
  • 住民投票及びその他の住民の支持を調査・確認(test)する方法において、どこまでの住民を対象とするのか(人数、居住地域、年齢等)

また、3KQ社は、今後、同様な公衆対話を実施する場合には、以下の点を考慮することが望ましいと指摘している。

  • 今回の公衆対話で広く合意が得られた意見について、別の公衆対話においても広く合意されるか否かを確認する
  • 住民投票の実施対象範囲や住民の支持を調査・確認(test)する方法など、意見が集約しなかった事項について、より確固たる結論が導き出せるか否かを確認する
  • 規制機関や専門家をオブザーバーやアドバイザーとして地域代表グループに入れるべきか等、いくつかの事項については、より詳細な調査対象とする

■公衆対話の実施プロセス等についての分析報告書

公衆対話の実施プロセスの独立的な分析を行ったURSUSコンサルティング社は、英国政府が最も難しいと位置付けている地域に係わる問題について、問題を解決するために役に立つものとして、公衆の意見、その背景・理由及び多くの新たな考え方を得ることができたとしている。また、このような公衆との対話プロセスを注意深く設計して実施することは、政策の策定においてプラスとなる良好事例であると評価している。

 

【出典】


  1. サイエンスワイズは、科学技術に関する政策立案に関して、早い段階から市民との対話を促進することを目的として2004年から始まった英国政府のプログラムである。英国政府が資金支援をしたプログラムの実施主体であり、政策策定プロセスにおいて利用される公衆との対話の効果を増加させ、政策を改善するためのプログラムを実施することが目的とされている。なお、2011年に政策評価を受けて、サイエンスワイズの活動期間は2012年4月1日から2016年3月31日までとなっている。 []