Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

ドイツの放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)は2018年3月8日に、非発熱性放射性廃棄物1 の地層処分場であるコンラッド処分場の操業開始時期について、従来予定していた2022年から約5年間遅れ、2027年前半となる見通しであることを公表した。コンラッド処分場では、2007年から旧鉄鉱山を処分場とするための改造工事が進められている。BGEは今回のスケジュール変更について、2018年3月12日にコンラッド処分場の情報提供施設において開催する一般向けの情報提供イベントにおいて説明する予定である。

ドイツでは、2016年7月8日に成立した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」における原子力法改正により、コンラッド処分場を含む放射性廃棄物処分場の建設・操業・閉鎖を行う処分実施主体としての役割が、従来の連邦放射線防護庁(BfS)から、連邦政府100%所有の有限会社BGEに移管された 。この移管に際し、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)はBGEに対して、コンラッド処分場の建設状況を検証し、あらためて建設計画全体の具体的なスケジュールを示すよう指示していた。これを受けてBGEは、外部専門家に委託してコンラッド処分場の建設状況を精査し、その結果として今回の操業開始時期の遅延を公表したものである。

スケジュールの遅延が見込まれる原因として、外部専門家は、コンラッド処分場が現行の原子力法の下での初めての地層処分場であり、操業前の確認等のプロセスに時間を要すると考えられること、実施主体がBGEとなったことで建設作業等の新たな契約を結ぶ必要性が出てきたことなどを挙げている。なお、BMUBは、原子力発電所の廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物は各原子力発電所サイトなどで中間貯蔵が可能であるとして、コンラッド処分場の操業開始の遅延による原子力発電所の廃止措置作業への影響はないと説明している。

コンラッド処分場については、1982年に当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)により、原子力法に基づく計画確定手続の申請が開始され、2002年5月にはニーダーザクセン州により計画確定決議が行われた。この計画確定決議に対する異議申し立てに関する裁判が実施されたが、2007年4月に計画確定決議が法的に有効となった。

 

【出典】


  1. ドイツでは、処分した放射性廃棄物からの発熱によって処分空洞壁面の温度上昇が3℃以上となる場合、そのような廃棄物を「発熱性廃棄物」と定義している。それ以外の「非発熱性放射性廃棄物」は、いわゆる低中レベル放射性廃棄物に相当する。 []

米国で2018年2月12日に、2019会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでは、DOEの予算要求概要資料が2018年2月15日に公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、前年度の予算要求と同様に「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムが設けられており、120,000千ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでも予算要求資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の継続のための予算として、47,700千ドル(約53億9,000万円)が要求されている。

DOEの予算要求での「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムは、2018会計年度の予算要求と同様に、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続を復活させるというトランプ政権の決定を実施に移すものであり、処分場が開発されるまでの近い将来について、中間貯蔵の体制を確立するものとしている。なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動では、燃料サイクル研究開発プログラムの一部の「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)において、「同意に基づくサイト選定プロセスの構築」や「超深孔処分フィールド試験」などがオバマ政権の下で実施されていたが、IWMSプログラム自体の廃止が提案されている。ただし、IWMSプログラムに含められていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管されている。

一方、NRCの予算要求資料では、処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動の継続を支援する高レベル放射性廃棄物の予算として、47,700千ドル(約53億9,000万円)が計上されている。2019会計年度の主要な活動としては、裁判形式の裁決手続の再開準備、関連訴訟への参加と準備、許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)の再設置と維持、処分場地下操業エリア関連の規則策定活動の再開などが挙げられている。なお、これまでのNRCにおけるユッカマウンテン処分場に係る審査活動は、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で限定的に行われていた

また、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2017会計年度と比較して78,767千ドル(約89億70万円)増の403,487千ドル(約455億9,400万円)の予算が要求されている。予算要求額には、地下施設の掘削活動と定置活動を同時に行うための換気システムや排気立坑の費用として約85百万ドル(約96億円)が含まれている。

ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州選出の連邦議会議員からは、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。一方、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡では、ユッカマウンテン関連予算の要求を歓迎する声明が出されている。

なお、2018会計年度の歳出予算については、2018年3月23日までの継続予算が執行されているが、DOEやNRCから要求されていたユッカマウンテン関連の予算は認められていない。なお、2018会計年度のエネルギー・水資源分野の歳出法案については、連邦議会下院ではユッカマウンテン計画の再開のための予算が計上された法案(H.R.3266)が可決されていたが、上院歳出委員会で採択された歳出法案(S.1609)では、ユッカマウンテン計画のための予算は計上されていなかった

【出典】

 

【2018年3月16日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2018年3月15日にDOEのウェブサイトにおいて、2019会計年度2 の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2019会計年度の予算要求については、2018年2月12日に大統領の予算教書が公表されたが、DOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。

DOE予算要求資料では、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続の再開及び中間貯蔵の体制を確立するために新設する「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムについて、2019会計年度に行う事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(110,000千ドル(約124億円、1ドル=113円で換算))3

  • ユッカマウンテン許認可手続への参加の支援
  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • 原子力規制委員会(NRC)の原子力安全許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略の構築

中間貯蔵(10,000千ドル(約11億3,000万円))4

  • 集中中間貯蔵の能力及び関連する輸送を開発・評価・取得するために必要な活動・マイルストーン・リソースを含む計画の策定
  • 使用済燃料貯蔵及び輸送の能力の取得に向けた基盤開発の継続
  • 将来の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

また、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動のうち、DOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下の「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)については、2018会計年度予算要求ではプログラムの廃止が提案されていたが、2019会計年度のDOE予算要求資料では、高燃焼度燃料の性能の研究、及び使用済燃料等の大量輸送の準備を支援する研究開発を中心とした活動を行うとして、10,000千ドル(約11億3,000万円)の予算が計上されている。なお、オバマ前政権がUNFD研究開発プログラムの中で行ってきたその他の活動、及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS) については、廃止が提案されている。ただし、IWNSに含まれていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管されている。

【出典】

 

【2018年5月17日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2018年5月16日に開催した法案策定会合において、2019会計年度5 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下「歳出法案」という。)の草案を承認した。

本歳出法案の草案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として、DOEの予算要求額を100,000千ドル(113億円、1ドル=113円で換算)上回る220,000千ドル(248億6,000万円)が割り当てられている。また、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算としては、NRCの予算要求額と同じ47,700千ドル(約53億9,000万円)が割り当てられている。

また、歳出法案の草案では、2018会計年度の下院版の歳出法案と同様に、DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして補助金等を支給することが規定されている。ただし、これらの支給された資金は、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できないものとなっている。さらに、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じることも規定されている。

歳出法案の草案に付随する下院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として、DOEの予算要求額を上回る62,500千ドル(70億6,250万円)が計上されている。また、電磁技術が放射性廃棄物問題の改善に適用可能かについて、上下両院の歳出委員会に報告書を提出することをエネルギー長官に指示している。歳出委員会への報告書では、電磁技術の科学的基盤、放射性廃棄物及びその米国内での貯蔵に対する効果、原子力産業へのメリット、国家安全保障に対して持つ意味について評価するものとされている。さらに、DOEが実施している使用済燃料の安全な輸送に係る研究開発の取組は重要であるとして、可能な限り早急に使用済燃料の移動が行えるよう取組の継続を求めている。

なお、2018年5月16日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合においては、技術的な事項に係る修正案が承認されているが、これらの修正事項を反映し、法令番号を付した歳出法案は2018年5月17日時点では公表されていない.。

【出典】

 

【2018年5月28日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2018年5月24日に、2019会計年度6 の「エネルギー・水資源開発歳出法案(S.2975)」(以下「歳出法案」という。)を承認し、上院本会議に提出した。2019会計年度の歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度に上院本会議に提出された2018会計年度の歳出法案と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。また、2019会計年度の歳出法案では、エネルギー省(DOE)の予算要求段階では大幅削減及び廃止とされていたが、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発及び統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラムの予算が、2018会計年度に近い水準で計上されている。なお、2019会計年度の歳出法案には、ユッカマウンテン関連の予算及び記述は盛り込まれていない。

下表は、上下両院の歳出委員会でそれぞれ承認され、上下両院の本会議に提出された2019会計年度の歳出法案について、高レベル放射性廃棄物関連の予算計上金額及び予算のポイントを示したものである。

項目 連邦議会上院の歳出法案 連邦議会下院の歳出法案

研究開発

62,500千ドル(70億6,250万円、1ドル=113円で換算)

62,500千ドル(70億6,250万円)

  • 使用済燃料処分等(UNFD)研究開発として、処分及び貯蔵・輸送に係る一般的な研究開発活動を継続するための予算を計上

地層処分

【予算計上なし】

220,000千ドル(248億6,000万円)

  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • ユッカマウンテン処分場計画の再開のため許認可活動予算等を計上

中間貯蔵

35,300千ドル(約39億8,900万円)

【予算計上なし】

  • 統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)として集中中間貯蔵計画の実施のための予算を計上
  • 予算金額のうち10,000千ドル(11億3,000万円)については、中間貯蔵に係る民間事業者との契約締結をエネルギー長官に許可
  • 中間貯蔵のパイロットプログラムの実施をエネルギー長官に命じる規定(第304条)
  • 中間貯蔵プログラムの実施に関する記述はなし

高レベル放射性廃棄物の規制

【予算計上なし】

47,700千ドル(約53億9,000万円)

  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • 原子力規制委員会(NRC)における許認可手続予算

今回、上院本会議に提出された2019会計年度の歳出法案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(上院版歳出法案(S.2975)第304条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法案の施行後120日以内に、集中貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザルの公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

一方、2018年5月16日に下院歳出委員会で採択された下院版の2019会計年度の歳出法案(H.R.5895)では、高レベル放射性廃棄物に関連する条項が修正案として盛り込まれ、以下のような内容が規定されている。

再処理施設等の立地可能性の報告(下院版歳出法案(H.R.5895)第310条)

  • エネルギー長官は、ユッカマウンテンサイトの近傍において使用済燃料の再処理/リサイクル施設を立地する可能性に関する報告書を連邦議会に提出
  • 報告書では、使用済燃料の再処理/リサイクルに係る技術的便益、施設立地による地域への経済的便益、核燃料需給への国家安全保障上の意義、軍事用濃縮施設などその他施設の立地可能性について記載
  • 報告書策定に際しては、ネバダ州高等教育システム(NHES)研究所等と協議

今回、上院本会議に提出された2019会計年度の歳出法案に、ユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出のヘラー上院議員からは、予算計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。なお、ネバダ州選出のヘラー上院議員とマスト上院議員は、2018年5月17日に、上院歳出委員会に対し、ユッカマウンテンプロジェクトの予算を計上しないように求める連名の書簡を提出していた。

また、ネバダ州選出のローセン下院議員は、2018年5月24日のプレスリリースにおいて、下院本会議で2018年5月24日に可決された2019会計年度国防権限法案(NDAA、H.R.5515)において、ユッカマウンテンプロジェクトが空軍訓練活動等に与える影響に関する調査をエネルギー長官に指示する同議員の修正案が盛り込まれたことを伝えている。

【出典】

 

【2018年9月27日追記】

米国の連邦議会は、2018年9月13日に、2019会計年度7 のエネルギー・水資源開発分野を含むミニ包括歳出法案(H.R.5895、以下「歳出法案」という。)8 を可決し、2018年9月21日に大統領の署名を得て法律(Public Law No.115-244)として成立した。今回成立した歳出法案(H.R.5895)は、2018年6月8日に連邦議会下院本会議で可決された後、2018年6月25日に、上院版歳出法案(S.2975)の内容に置き換えられた上で9 、連邦議会上院本会議で可決されていた。その後、両院協議会による修正案及び合同説明文書を含む両院協議会報告書(H.Rept.115-929、以下「両院協議会報告書」という。)が、2018年9月12日に連邦議会上院本会議で、2018年9月13日には連邦議会下院本会議で、それぞれ承認された。

2019会計年度の歳出法案においては、ユッカマウンテン処分場計画の再開のための予算がエネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)の予算要求に盛り込まれ、連邦議会下院で可決された段階でも要求を上回る予算が計上されていたが、最終的に成立した歳出法案ではユッカマウンテン関連の予算は計上されていない。高レベル放射性廃棄物関連の予算としては、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとして、2018会計年度歳出予算 から約25%減の63,915千ドル(約72億2,240万円、1ドル=113円で換算)が計上されており、このうち22,500千ドル(約25億4,250万円)を「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)に割り当てる歳出予算が計上されている。

軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOEの予算要求と同額の396,907千ドル(約448億5,050万円)が計上されている10

なお、2019会計年度の歳出法案にユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出の連邦議会上院議員からは、予算計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。

その他、両院協議会報告書では、放射性廃棄物管理に関連するものとして、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)等の監視などを行っている国防核施設安全委員会(DNFSB)の機能の維持に関する規定、予定を含む廃止措置する原子力発電所の地元自治体が利用可能な官民の支援策に関してエネルギー長官に報告を命じる規定も盛り込まれている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  4. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  5. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  7. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  8. H.R.5895は、2019会計年度エネルギー・水資源開発歳出法案として下院歳出委員会で策定された後、立法府及び軍事建設・退役軍人に係る歳出法案を統合したミニ包括歳出法案として連邦議会両院で審議された。3分野の歳出法案のみの統合であることから、通常の包括(Omnibus)歳出法案に対し、ミニ包括(Minibus)歳出法案と呼ばれている。 []
  9. エネルギー・水資源開発以外の分野についても、それぞれ上院法案に置き換えられた。 []
  10. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOE予算要求書では保障措置・セキュリティ予算の一部として別途6,580千ドル(約7億4,350万円)が要求されていたが、両院協議会報告書では保障措置・セキュリティ予算の内訳が明示されていないため、保障措置・セキュリティ予算を除くWIPP関連の歳出予算額を示している。 []

台湾における原子力安全の規制行政機関である行政院原子能委員会(AEC)は2018年2月5日に、原子力発電事業者である台湾電力公司が「わが国の使用済燃料の最終処分に関する技術フィージビリティ評価報告」(以下「技術フィージビリティ評価報告」という。)等の文書を、レビューのために行政院原子能委員会に提出したことを公表した。台湾電力公司は、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体となっている。

台湾では、1978年以降、3カ所の原子力発電所で6基の原子炉が運転されている。ただし、電気事業法の2017年1月11日の改正において、2025年までの脱原子力の目標が法定された。使用済燃料の取扱について、1997年に行政院原子能委員会が策定した「放射性廃棄物管理方針」では、海外への再処理委託が排除されていないが、台湾電力公司は一部の使用済燃料の海外への再処理委託を計画していた。しかし、立法院(国会)が本件に係る予算を承認しなかったため、2015年以降、再処理計画は進んでいない。

高レベル放射性廃棄物処分について「放射性物料管理法施行細則」は、使用済燃料または再処理により発生した放射性廃棄物を「高レベル放射性廃棄物」と定義しており、また、「高レベル放射性廃棄物最終処分及び施設安全管理規則」では、高レベル放射性廃棄物は地層処分しなければならないと規定している。使用済燃料の処分について台湾電力公司は、2004年に「使用済燃料最終処分計画書」を策定しており、同計画は2006年に行政院原子能委員会が承認している。同計画では、2005年以降、処分場の建設が完了するまでが、以下の通り5段階に区分されている。

  • 処分候補母岩の特性調査と評価(2005~2017年)
  • 候補サイトの調査と検証(2018~2028年)
  • サイトの詳細調査及び試験(2029~2038年)
  • 処分場の設計と許可申請(2039~2044年)
  • 処分場の建設(2045~2055年)

2017年は「処分候補母岩の特性調査と評価」の段階の最終年であり、「使用済燃料最終処分計画書」では、同年に台湾電力公司が「技術フィージビリティ評価報告」を作成することとしていた。今回、台湾電力公司が行政院原子能委員会に提出した文書は、「技術フィージビリティ評価報告」の他、技術フィージビリティ評価報告に対する国際ピアレビュー報告書及び「候補サイトの提案 調査区域報告」である。

「技術フィージビリティ評価報告」では、地質環境、処分場の設計と工学技術、及び安全評価の3点が検討され、それぞれ以下の結論が示されている。

  1. 地質環境
    評価対象としたのは泥岩、花崗岩、及び中生代の地層であり、花崗岩を候補とすることを提案する。花崗岩を評価した結果、台湾には適性を有し、かつ、十分な大きさ及び地質学的特性を備えた花崗岩が存在している。台湾南西部の泥岩を対象から除外することを提案する。中生代の地層については、将来的に処分のフィージビリティを検討できるようにするため、引き続き研究を進める。
  2. 処分場の設計と工学技術
    現段階では、スウェーデンのKBS-3概念を参考にして、主な目標をKBS-3概念の自国化とし、徐々に建設能力を構築して関連する技術を掌握していくとともに、地質学的特性を踏まえて高度化させていく。フィージビリティ評価を経て、処分場の設計及び工学技術の能力が十分に構築され、地層処分の工学技術を備えるという現段階での目標は達成した。
  3. 安全評価
    国際的に先進的な安全評価の方法を導入し、台湾の母岩のパラメータを適用して、技術の自国化が達成された。また、設計及び工学技術との相互フィードバックを行い、処分システムの安全機能及び安全機能に関する指標の分析技術が確立された。

以上の結論から台湾電力公司は、「技術フィージビリティ評価報告」で示された段階的な技術開発の成果は、現時点での目標に達しており、今後は、現在の成果を基礎として、2018~28年の「候補サイトの調査と検証」以降の段階を進めていくとしている。

なお、台湾では、処分場が操業を開始するまでの間のため、使用済燃料及び低レベル放射性廃棄物を集中中間貯蔵する計画も進められている

【出典】

英国政府は2018年1月25日に、地層処分施設(GDF)に関する地域との協働プロセス案(イングランドと北アイルランドが対象)の協議文書を公開し、同日より2018年4月19日まで意見募集を行うことを公表した。また、ウェールズ政府も同日、ウェールズにおけるGDF設置に関する地域との協働プロセス案についての協議文書を公開し、同日より2018年4月20日まで意見募集を行うことを公表した。今回の協議文書において英国政府は、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)、GDFの受入れに関心を持つ地域と、その地域を内部に含む自治体議会等の複数の地方自治体との三者が係わり合う協働プロセスに関する提案を示している。

英国政府は現在、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に沿って、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めている。英国政府は、サイト選定プロセスを進める上で「地域(コミュニティ)」に係わる問題を最も難しいものと位置づけており、地域との協働プロセスの策定に向けて、2015年から「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)を設置して検討を進めてきた。また、2015年12月から2016年3月にかけて、科学コミュニケーションの促進を目的とした英国政府のプログラム「サイエンスワイズ」(Sciencewise Expert Resource Centre)を活用して、地層処分と地域との協働に関する公衆対話を実施していた。今回の協議文書は、これらの成果を踏まえて作成されたものである。

■新たなサイト選定プロセスにおける「地域」の捉え方

今回の協議文書では、サイト選定プロセスとは、地層処分施設の立地の可能性がある「地域(エリア)」を領域内に含む「地域(コミュニティ)」の特定を目指したアプローチであり、その開始から約20年にわたる時間経過と共に、「エリア」と「コミュニティ」の両方が、それらの数と大きさの面で狭められていく変化の過程として捉えられている。こうした認識のもと英国政府は、サイト選定プロセス初期の「調査エリア」を、「エリア」と「コミュニティ」の範囲が一致するように、選挙区を最小単位とし、地層処分施設の開発によって影響を受ける選挙区を含む全ての自治体を包括する形で定義するという考え方を提示している1 。また、サイト選定プロセスの途中段階では、調査エリアを包括する立地コミュニティを構成する自治体メンバーも変化することになる。そうした立地コミュニティは、サイト選定プロセスの開始当初から必ずしも存在しているとは限らないため、サイト選定プロセスを通じて発見あるいは新たに創設されることになる。地層処分施設の立地に関して意思決定する資格をもつ1つの<潜在的立地コミュニティ>が明らかになるまでは、当該エリアでの立地プロセスの継続に関する支持を調査・確認(test)する対象住民の範囲を明らかにできない。このような理由から、英国政府は、潜在的立地コミュニティが明確になるまでは、サイト選定プロセスに関係する個々の自治体が地層処分施設の受け入れ可否に関する意思決定を行う必要性に迫られることはないとしている。このことは、サイト選定プロセスへの参加にあたって、自治体が関心表明を行う必要はないことを意味している。

■新たなサイト選定プロセスにおけるパートナーシップ

今回の協議文書では、今後のサイト選定プロセスの開始にあたり、最初に地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)が、RWM社と協働する「コミュニティパートナーシップ」の構築を目的として、事前に公衆や様々なステークホルダーと対話を行う「関与形成チーム」(formative engagement team)を組織することとしている。このチームの構成員として、RWM社の職員のほか、独立したチーム長、ファシリテーター、別途提案される「調査エリア」に含まれる自治体組織(市議会、州議会など)、地元企業パートナーシップの代表2 が挙げられている。英国政府は、関与形成チームに地元企業パートナーシップが参画することによって、当該コミュニティにおける社会経済や産業基盤に関する影響に関する情報が入手できることを期待している。

 RWM社と協働するコミュニティパートナーシップの構築は、その活動方法、参加者の役割、意思決定方法などを定めた合意書に対する署名をもって有効になるものとしている。また、英国政府は、この時点から当該コミュニティに対し、経済振興、環境・福祉向上を目的とするプロジェクトに限定した形で、年間最大100万ポンド(1ポンド=149円として、1億4,900万円)、また、地下深部ボーリング調査の実施に至った際には年間最大250ポンド(約3億7,300万円)の資金提供を行うとしている。さらに、この資金提供は、RWM社を通じて行うとの考えを提示している。なお、この資金提供の給付申請を行う資格は、当該コミュニティに属する個人も可能としており、コミュニティパートナーシップとRWM社で構成される投資パネルの審査を受けることを条件としている。

■今後の予定

今後、英国政府は、公衆協議で得られた意見を検討した上で、協議の回答と最終的な政策を公表するとしている。また、RWM社は、英国政府が示す地域との協働プロセスに関する政策を、実際の地層処分施設のサイト選定プロセスの中で、どのように連携させるかについて、より詳細なガイダンスを作成するとしている。

 

【出典】

 

【2018年5月14日追記】

英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2018427日に、地層処分施設に関する地域との協働プロセス案への意見書を公表した。意見書においてCoRWMは、英国政府が公衆協議文書で意見を求めていた事項に関して、次のような意見を述べている。

■関与形成チーム(formative engagement team)の活用

本協働プロセス案では、サイト選定プロセスにおいて、地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)が、RWM社と協働する「コミュニティパートナーシップ」の構築を目的として、事前に公衆や様々なステークホルダーと対話を行う「関与形成チーム」を組織することになっている。しかし、CoRWMは、本協働プロセス案に示された説明だけでは、この関与形成の意味を公衆が正確に理解することは困難であると考えている。本協働プロセス案において、関与形成に関するガイダンス文書は、今後用意されると説明されているものの、その文書をRWM社が作成し、RWM社が関与形成チームに参加する場合には、関与形成が偏ったものになると見られる可能性があるとCoRWMは指摘している。

■協働するコミュニティパートナーシップの構築方法

CoRWMは、RWM社と協働するコミュニティパートナーシップの構築はできるだけ柔軟であるべきと考えているが、本協働プロセス案では選挙区を有する自治体組織(市議会、州議会など)の役割が強調され過ぎているとの認識を示している。また、コミュニティパートナーシップを形成するという目的において、選挙で選ばれた代表で構成される行政機構は重要であるが、そうした行政機構がコミュニティパートナーシップの構築を主導する役割を担う必要があるとは必ずしも言えないとしている。さらに、関与形成の段階においては、潜在的なホストコミュニティのメンバーと開発者としてのRWM社の間に、知識の不均衡が存在するのは避けられないため、政治的な意欲が強すぎると、問題を招く可能性があると指摘している。このためCoRWMは、パートナーシップのメンバー間の交流や情報伝達のペースが、弱者と見なされるコミュニティメンバーの意思で進むような配慮がされるべきであるとの意見を示している。

【出典】

• 英国政府ウェブサイト、CoRWM Consultation Response to BEIS and DAERA on ‘Working With Communities: Implementing Geological Disposal’、2018年4月27日、https://www.gov.uk/government/publications/corwm-consultation-response-to-beis-and-daera-on-working-with-communities-implementing-geological-disposal


  1. 「調査エリア」の定義は、イングランドと北アイルランド、ウェールズのそれぞれの地方自治制度に依存することとなる。 []
  2. 地元企業パートナーシップ(Local enterprise partnerships)とは、イングランドの地方行政組織と地元企業間が自発的に参加するパートナーシップであり、地元経済の発展や雇用創出に関する政策決定をサポートする役割を担っている。この制度は2011年当時のビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills)の政策によって導入された。 []

英国政府は2018年1月25日に、イングランド1 における地層処分施設(GDF)等に関する国家政策声明書(National Policy Statement, NPS)案及びその公衆協議文書を公開し、同日より2018年4月19日まで意見募集を行うことを公表した。英国政府は、現在、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に沿って、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めており、国家政策声明書(NPS)の策定をその主要目標の一つと位置づけている。

英国政府は、2014年白書において、2008年計画法を改正し、地層処分施設及びその候補サイトを評価するために必要な地上からのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)として定義する意向を表明していた。この法改正は2015年3月に完了しており、地上からのボーリング調査の実施前、及び地層処分施設(GDF)の建設前において、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要となっている。国家政策声明書(NPS)は、それらの開発同意令(DCO)の発給審査の基礎文書となるものであり、今後実施されるサイト選定プロセスにおいて、地域における地層処分事業基盤(インフラ)に関する開発合意の認可に関する法的な枠組みを提供するものとなる。

英国政府は、国家政策声明書(NPS)の策定に向けた準備として、2015年8月に、地層処分事業に関する持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の実施内容案を公表して、意見募集を行っていた。今回公表された国家政策声明書(NPS)案には、2008年計画法(2015年3月改正)に基づいて実施された持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の評価結果が含まれている。

今後の予定

2008年計画法(2015年3月改正)に基づいて、国家政策声明書(NPS)案は英国議会による審議・承認を受けることになっている。今回の地層処分施設等に関するNPS案は、2018年1月25日から約30週間にわたって、英国議会で審議(2018年8月下旬まで)される予定とされている。また、今回の2018年4月19日を期限とする意見募集で寄せられた意見に対する英国政府の回答文書も英国議会に提出されることになっている。

 

【出典】

 

【2018年5月11日追記】

英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2018年4月27日に、地層処分施設(GDF)に関する国家政策声明書(NPS)案への意見書を公表した。意見書においてCoRWMは、英国政府がNPS案及びその公衆協議文書で意見を求めた点に対して、概ね肯定的な意見を示す一方で、次のような意見を述べている。

  • CoRWMは、これまでに科学的な観点から、高レベル放射性廃棄物等の管理方針として、地層処分以外の合理的な代替案は存在しないという判断をしている。しかし、高レベル放射性廃棄物等の管理方針については、現状では少なくとも、①スコットランドが採用している地表近くに設置した施設での長期管理と、②最終処分するのではなく廃棄物の回収可能性を考慮した地層処分との「2つの管理方針」についての検討が他所で行われているため、国家政策声明書(NPS)においても、これら2つの管理方針の代替案についても評価対象とする必要がある。
  • CoRWMは、持続可能性評価(AoS)において、これら2つの管理方針の代替案について、実施した場合に生じる可能性のある重大な影響の評価結果を示すこと、また、NPSが正式に承認された後のプロセスにおいて、2つの管理方針の代替案と比較した結果として、地層処分施設(GDF)への最終処分を選択する理由が文書の形で示されることが正当なやり方であると考える。CoRWMは、GDFへの最終処分を選択する理由を明確に示す文書の存在は、今後の地域開発計画方針や開発同意の形成プロセスを進めていく上でも役立つと考える。

【出典】

 

【2018年8月7日追記】

英国議会下院のエネルギー・産業戦略委員会は、2018年7月31日に、地層処分施設(GDF)及び評価のためのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)にするための基礎となる国家政策声明書(NPS)案について、審議を行った結果をまとめた報告書を公表した。本委員会は、2008年計画法に基づいて、NPS案に関する審議を付託され、NPS案の内容と範囲とを中心に2018年5月から審議を行っていた。

同報告書において本委員会は、英国政府が今後策定する国家政策声明書(NPS)の最終化に向けて、以下のような意見・勧告を示している。

  • 国立公園及び特別自然美観地域(AMOB)が備える社会経済的な利益を保持しつつ、保護区域にある地上の施設への侵入を防止するように地層処分施設(GDF)を設計することは可能である、という英国政府の見解を支持する。国家政策声明書(NPS)において、そうした保護区域を除外区域として予め設定しなくても、既存の法律やNPSの枠内において、十分な環境保護措置が取られることになると認識している。
  • 新規原子炉から発生する高レベル放射性廃棄物等を含め、地層処分する放射性廃棄物のインベントリ予測について、どの程度不確かなものであるかを明示すべきである。
  • 将来のボーリング調査に先だって実施主体が提出する開発同意令(DCO)のための申請は、潜在的な立地コミュニティ内で実施される立地プロセスの継続に関する支持の調査・確認(test)までは行わないことについて、一般の人が理解しやすいように明示すべきである。
  • 地層処分施設(GDF)設置によって見込まれる地元の経済効果・人材雇用・スキル向上等の社会経済的な便益について具体的な内容を明示すべきである。

なお、本委員会は、2008年の英国政府白書に基づいて実施された地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスの教訓が国家政策声明書(NPS)案に十分反映されており、NPS案で示されたコミュニティが自発的にサイト選定プロセスに参加する方法を支持するとしている。

 

【出典】


  1. 英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、イングランド以外で地層処分施設を計画する場合は各地方自治政府が定める許可制度が適用される。 []

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等に関して、環境法典に基づく審理を実施していた土地・環境裁判所及び原子力活動法に基づく審査を行っていた放射線安全機関(SSM)は、2018年1月23日に、それぞれの意見書を政府に提出した。このうち、土地・環境裁判所は、フォルスマルクに立地する使用済燃料処分場に対して、政府が環境法典に基づく許可の発給が可能となる条件が整うためには、使用済燃料を封入するキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明が必要であるとした意見書を政府に提出した。また、土地・環境裁判所は、キャニスタ封入施設に関しては環境法典に基づく許可発給が可能な条件は整っていると結論している。一方、SSMは、政府が原子力活動法に基づく許可を発給する際には、処分場の建設開始に先立ち、SKB社が処分場の様々な活動時期と閉鎖後の両方の期間における安全性を統合的に扱った安全解析書(SAR)を取りまとめ、SSMの審査・承認を受けることを条件とすべきであるとした意見書を提出した。今後、政府は、両方の意見書を踏まえて、SKB社が申請した処分事業が許可可能であるかの判断を行うことになる。

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念による使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月に、オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を提出し  、その後、2011年3月にフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。これまで、スウェーデンにおける使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請では、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められてきた(下記の囲みを参照)。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

放射線安全機関(SSM)の意見書

スウェーデンにおける原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、政府に提出した意見書において、SKB社の申請書に対する審査結果として、SKB社は使用済燃料を安全に処分するという原子力活動法の要求を実現する能力を有していると評価した上で、フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場、及びオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設を許可するよう勧告するとしている。また、原子力活動法に基づく段階的な許可プロセスのもとで、SKB社は今後、処分場の安全解析書(SAR)を取りまとめ、処分場及び関連施設を現実のものとする努力を続けることになるが、SKB社はそれらを達成する能力を備えていることを立証したとSSMは評価した。SSMは、処分場の建設、試験操業及び通常操業のそれぞれの開始に先立ち、処分場の安全性を最新の知見に基づいて精査可能とするために、SKB社が安全解析書(SAR)をSSMに提出し、承認を受けることを条件とする旨を許可条件に記載すべきとしている。

土地・環境裁判所の意見書

環境法典に基づいてSKB社が申請した使用済燃料の処分事業については、その方法及び関連施設の立地選定に関する許可判断は政府が行うことになっている。土地・環境裁判所は、申請案件についての環境法典に基づく許可発給が可能であるかに関する意見書を政府に提出することになっている。その意見書を受けて、政府が許可発給可能と判断した場合には、申請案件の審理が土地・環境裁判所に戻され、処分事業に関する許可及びその条件に関する審理が継続される。

土地・環境裁判所は、SKB社による立証は信頼に足るものであると評価しつつも、使用済燃料を閉じ込める銅製キャニスタの腐食や機械的強度に影響を与えるプロセスの影響の大きさに関する説明が不十分であり、現時点において提示されている安全解析の結果に基づいて、最終処分場が長期安全性を有しているという結論を導き出すことはできないと判断した。このため、土地・環境裁判所は政府への意見書において、SKB社が申請する処分事業に対する許可発給の可能性に関しては、今後、キャニスタの耐久性能を考慮に入れた形で処分場の安全性を立証する追加資料がSKB社から提出される場合に限り、政府が環境法典に基づく処分場の許可を発給することが可能になるとの結論を示した。

また、土地・環境裁判所は、現行の環境法典に基づく許可の取得者に対して、許可条件において別途指定されない限り、当該活動に対する責任が無期限に負わされている問題に言及している。土地・環境裁判所は、2017年9月から10月にかけて開催した口頭弁論において、エストハンマル自治体が最終的な責任を負うことに対して反対している事実を挙げ、最終処分場に関して国が最終手的な責任を負うとした場合でも、処分場の閉鎖後における責任の所在を予め明確にする必要性を指摘している。また、土地・環境裁判所は、今後SKB社が追加資料を提出することによって処分事業に対する許可発給が可能となる条件が整うのに先立ち、政府は環境法典において放射線安全機関(SSM)に対して、より強い権限を与えることを含め、いくつかの法改正を行うことを検討すべきであると勧告している。

今後の進捗

環境法典の規定に基づき、政府が許可発給に関する決定を行う前には、使用済燃料処分場の立地予定地があるフォルスマルクがあるエストハンマル自治体と、キャニスタ封入施設を建設予定地があるオスカーシャム自治体の議会がその受け入れを承認していることが条件となっている。エストハンマル自治体は、2017年4月に、自治体としての判断を行う際の参考とするため、2018年3月4日に住民投票を行うことを決定している 。使用済燃料の処分事業の実施可否は、放射線安全機関(SSM)及び土地・環境裁判所の意見書や地元自治体の受け入れ意思の確認を踏まえて、最終的に政府が判断することになる 。

なお、土地・環境裁判所及びSSMの意見書の公表を受けてSKB社は、2018年1月23日のプレスリリースにおいて、SSMが処分場の建設の開始に先立って提出するように求めている安全解析書(SAR)等の追加資料をSKB社が提出した時点で、政府が環境法典に基づく許可を発給できる条件が整うという認識を表明している。

【出典】

 

【2018年2月22日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は2018年2月21日付のプレスリリースにおいて、政府による環境法典に基づく許可発給が可能となるための条件として土地・環境裁判所が提示したキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明について、2018年内に作成できるとの見通しを示した。SKB社によれば、現状、土地・環境裁判所の意見書を受けた政府(環境省)からの対応指示を受けていないものの、SKB社は補足説明の作成に自主的に先行して取り組んでいるとのことである。土地・環境裁判所が補足説明の必要性を指摘したのは、具体的には以下の5点である。

  • 無酸素水との反応による腐食
  • 硫化物との反応による孔食(熱水効果〔塩濃縮〕の影響の考慮を含む)
  • 硫化物との反応による応力腐食(熱水効果の影響の考慮を含む)
  • 水素脆化
  • 放射線照射が孔食、応力腐食及び水素脆化に及ぼす影響

SKB社は、これらの銅製キャニスタの腐食に関する問題は既に数年にわたって取り組んでいるものであり、また、いくつかの点については規制当局である放射線安全機関(SSM)に提出予定の報告書において対応するために詳細調査を実施中であると説明している。

また、土地・環境裁判所は、2018年1月23日に提出した政府への意見書において、政府による環境法典に基づく許可発給が可能となるための条件として、最終処分施設の長期における責任の所在を明確にする必要性も指摘している。最終処分場の建設予定地があるエストハンマル自治体は、最終的な責任を負うことに反対している。エストハンマル自治体は、今後の許可プロセスの先行きが不透明になったことを受け、2018年1月30日の自治体議会において、自治体としての判断を行う際の参考とするために予定していた2018年3月4日の住民投票を中止することを決定している。

【出典】

 

【2018年6月4日追記】

スウェーデン政府は、2018年6月1日付のプレスリリースにおいて、土地・環境裁判所及び放射線安全機関(SSM)がそれぞれ2018年1月23日に政府に提出した意見書について、SKB社の見解を2019年1月7日までに提出するよう指示したことを公表した。また、政府が環境法典に基づいて許可発給可能と判断するための条件として、土地・環境裁判所が指摘したキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明に関しても、2019年1月7日までに政府に提出するよう指示している。

政府(エネルギー・環境省)からの指示を受けたSKB社は、2018年6月1日付けのプレスリリースにおいて、当面の作業スケジュールが明確になったとし、銅製キャニスタの腐食に関する問題の一部は、今後SSMに提出することになる安全報告書において対応するよう、既に数年間にわたって詳細な研究を進めていると説明している。

【出典】

 

【2018年10月16日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2018年10月15日付のプレスリリースにおいて、土地・環境裁判所及び放射線安全機関(SSM)が政府に提出した意見書に基づいて、政府(エネルギー・環境省)がSKB社に要求している補足説明の提出期限が2019年4月30日に改訂されたことを公表した。政府は当初、銅製キャニスタの腐食に関する問題等に関する補足説明を2019年1月7日までに提出するよう指示していたが、SKB社は補足説明の根拠となる研究成果に関する外部レビューを受けた後に提出したいとの理由から、政府に提出期限の繰り延べを求めていた。

SKB社のプレスリリースによれば、政府は現在、環境法典と原子力活動法のそれぞれに基づく許可発給にあたって設定する許可条件の内容を検討しているところである。SKB社は、政府からの要請を受けて、これらの許可条件の内容に関する提案を取りまとめる作業を進めている。なお、SKB社は、自社の活動計画を策定する上で、許可発給に関する政府の判断時期を2020年前半と想定していることを明らかにしている。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きに定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

米国のエネルギー省(DOE)は、2018年1月17日付けのWIPPのフェイスブック・ページにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、地下の処分施設の掘削活動を4年振りに再開したことを公表した。WIPPでは、1999年3月から軍事起源のTRU廃棄物の地層処分が行われているが、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止していた。4年間の復旧作業の後、2017年1月4日にはTRU廃棄物の定置を再開し、2017年4月にはDOE各サイトからのTRU廃棄物の受入れを再開していたが、地下施設の掘削活動は中断したままであった。

今回再開した掘削活動は、2018年1月15日から開始されており、WIPP地下処分施設の第8パネルでの掘削が行われている。WIPPでは現在、第7パネルでTRU廃棄物の定置活動が行われているが、第7パネルでの定置が完了すると、第8パネルでの定置が開始される。第8パネルの掘削は、2013年遅くに開始されていたが、2014年2月の火災事故及び放射線事象で中断していた。第8パネルの完成は、2020年の予定とされている。

掘削活動には連続掘削機が使用されており、WIPPのフェイスブック・ページでは、連続掘削機の写真やビデオも掲載されている。WIPPは岩塩層に建設された地層処分施設であり、時間の経過に従って岩塩のクリープ現象によって地下の開口部分が閉鎖される動きがあるため、処分パネルの掘削は、処分に必要となる時期に合わせて行われている。

なお、WIPPのフェイスブック・ページでは、2018年1月11日付けの情報として、2018年1月15日~28日の予定で、定期のメンテナンスのためにWIPPでの操業を停止することも公表されている。

【出典】

  • エネルギー省(DOE)の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)フェイスブック・ページ「WIPP掘削作業を再開(WIPP Resumes Mining Operations)」(2018年1月17日))[アクセス日:2018年1月19日]
    https://www.facebook.com/WIPPNews/

フランスの原子力安全機関(ASN)は2018年1月15日に、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2016年4月にASNへ提出していた地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 に関する見解書を公表した。ASNは、2016年11月の国際レビューチームの見解及び2017年5月の放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の見解、2017年8月1日~9月15日までの意見募集を踏まえ、今回の見解を取りまとめている。

今回公表されたASNの見解書は、2017年8月の意見募集時に付された見解書案と大きな違いは見られず、ANDRAの地層処分プロジェクトが、安全オプション意見請求書の段階としては技術的に十分に高いレベルに達しており、過去にANDRAが提出したプロジェクトの進捗報告書に比べて、大きな進展が見られたと評価している。一方でASNは以下のような課題を指摘している。

廃棄物インベントリについて

ANDRAが安全オプション意見請求書で示した廃棄物インベントリについて、2019年に予定されている地層処分場の設置許可申請においては、将来における燃料サイクル政策やエネルギー政策の変化に伴う不確実性を考慮した予備的なインベントリも提出すべきである。

地層処分場の設計変更の可能性について

  • 地層処分場の閉じ込め機能を強化するため、放射性廃棄物の処分エリアと地上へ通じる坑道の位置関係等の設計を検討する必要がある。設置許可申請において採用される設計については、長期にわたる操業期間中の原子力安全や放射線防護を考慮し、異なるオプションの長所と短所に関する研究成果を提示して妥当性を立証しなければならない。
  • 操業中から閉鎖後に至るまで、地層処分場において想定される自然災害リスク(特に、地震)のレベル及びそのリスクに関係する機器や構造物の要件や挙動の解析方法を設置許可申請書に記載し、設計の妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書の作成に際しては、廃棄物に影響を与える程度の火災が地上施設において発生することを想定する必要がある。
  • 安全オプション意見請求書においては、処分場の操業中及び閉鎖後の安全性に関わるモニタリングに関する情報が限定的である。設置許可申請書においては、地層処分場のモニタリング戦略とその実施方法を記載し、妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書における地層処分場の設計に関する記載内容に関して、想定した事故の発生後における処分場の機能回復など、長期にわたる地層処分場の操業の安全上の課題を提示し、以下のような点を考慮していることを説明する必要がある。
  • 地層処分場の操業を継続できること
  • 事故により影響を受けた廃棄物を回収できること
  • 地層処分場の閉鎖作業を実施できること

ビチューメン(アスファルト)固化体について

ビチューメン固化体の特性を廃棄物発生者が速やかに明確化したうえで、処分坑道における火災を想定した対策として、以下の研究を実施すべきである。

1.ビチューメン固化体の発熱反応を抑えるための研究を優先的に実施すべきである。

2.上記の研究と並行して、ビチューメン固化体の発熱反応が過剰に進行する恐れを排除できるよう、地層処分場の設計変更を意図した研究も実施すべきである2

 

ASNの見解書の公表を受けたANDRAのコメント

安全オプション意見請求書に対するASNの見解書の公表を受けて、ANDRAは2018年1月15日に、地層処分場に関する安全オプション意見請求書に対する見解の総括を文書として公表した。ANDRAは、今回公表されたASNの見解書は概ね肯定的なものであったとした上で、ASNの見解を今後の研究等の方向性を示すものと位置づけ、2019年に予定されている地層処分場の設置許可申請に向けて、以下のような研究を進めるとしている。

  • 地層処分場において想定される自然災害のリスク・レベルの特定のための条件設定の詳細化
  • 詳細なモニタリング計画の提示に向けたモニタリング戦略のさらなる検討
  • ビチューメン固化体の火災リスクを管理できるような設計オプションの検討

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に対する見解を原子力安全機関(ASN)に請求することができる []
  2. ビチューメン固化体に関する2番目の意見は、当初2017年8月に公表されたASNの見解書案には含まれていなかったが、今回の最終的な見解書において追加されたものである。 []

スイスの放射性廃棄物管理基金と廃止措置基金の両基金の管理委員会(以下「基金委員会」という)と連邦原子力安全検査局(ENSI)は2017年12月21日に、原子力発電事業者が2016年12月に取りまとめた放射性廃棄物管理の費用見積りに対する審査結果を公表した。廃止措置・廃棄物管理基金令(以下「基金令」という)に基づいてENSIは、安全技術の観点から原子力発電事業者が行った費用見積りに対する審査を行っている。また、基金委員会は、原子力発電事業者が基金に拠出する金額を決定する上で必要となる将来費用の額を環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)に提案する役割を担っている。

■原子力発電所の廃止措置と運転終了後の放射性廃棄物管理に要する費用

スイスの地層処分場サイト選定プロセスでは、①高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物用の処分場をそれぞれ1カ所ずつの計2カ所に建設するケースと、②両方の処分場を同じ場所に建設するとの2つのオプションが検討されている。原子力発電事業者は、サイト選定プロセスの結果として最終的にケース②となった場合には、処分費用の削減が期待できるとしており、ケース①と②の可能性を共に50%と仮定した場合の期待値を将来費用の額として設定するよう提案していた。

これに対し、基金委員会は、将来費用の資金確保を確実にする観点から、将来費用の金額を高めに設定するように、ケース①と②の可能性を60%、40%の確率で重みをつけて期待値を算出すべきとしている。さらに、基金委員会は、地層処分費用に関して、原子力発電事業者による見積りが楽観的であるとして、事業者が積算した基本コストの12.5%を一般予備費(ドイツ語でgenereller Sicherheitszuschlag)として加算すべきとしている。

上記のような見直しの結果、基金委員会は、原子力発電事業者が提案していた将来費用の額である 217億6,700万スイスフラン(約2兆5,000億円)に対して、約7.9%上回る 234億8,400万スイスフラン(約2兆7,000億円)を環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)に提案するとしている。

表:地層処分費用の見積り(単位:百万スイスフラン 1スイスフラン=115円で換算)
項目 原子力発電事業者の
見積額
基金委員会が提案する
将来費用の額
備考
(A)地層処分費用 11,303
(約1兆3,000億円)
12,693
(1兆4,600億円)
 
内訳      
(1)基本コスト 8,125
(約9,300億円)
8,229
(約9,500億円)

変動コストは、処分場立地ケースによって変動する部分のコストである。処分場立地ケースの確率配分は、原子力発電事業者と基金委員会で異なる。

(2)変動コスト 3,178
(約3,700億円)
3,435
(約3900億円)
(3)一般予備費
(計上せず)
1,029
(約1,200億円)

基金委員会は、基本コストの12.5%を設定

(B)中間貯蔵、輸送、輸送・貯蔵容器、再処理費用 7,058
(約8,100億円)
7,058
(約8,100億円)
 
(C)廃止措置費用 3,406
(約3,900億円)
3,733
(約4,300億円)
 
合計
(A)+(B)+(C)
21,767
(約2兆5,000億円)
23,484
(約2兆7,000億円)

基金委員会の提案額は、原子力発電事業者の見積りの約7.9%増

 

■ENSIによる安全技術の観点からの審査

連邦原子力安全検査局(ENSI)は、エンジニアリング会社等の外部専門家の協力を得て、原子力発電事業者が取りまとめた費用見積りを審査している。ENSIは、スイスニュークリアが費用算定に用いた技術、スケジュール、組織、操業に係る想定は、現行の基準規則類に適合しており、これまでの知見や最新の科学技術水準に見合うものであり、技術データに関しても品質基準を満たしていると評価し、費用算定の技術的根拠として妥当なものであると結論付けている。

その上でENSIは、放射性廃棄物管理に関して、次回2022年に行われる費用見積りにおける主要課題として、以下の3点を勧告している。

  • 高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物を同じ場所に処分するケースを検討する場合について、処分場の地上施設の設計・操業の具体的な概念を示し、その概念に基づいた見積りを行うこと。
  • 高レベル放射性廃棄物用処分場の地上施設について、使用済燃料を受け入れから処分廃棄体を製造するまでの一連の作業手順を具体化すること。
  • 地上施設を構成する建屋間のインターフェースに着目したモデル解析を再度実施し、既に見つかっている不整合を是正し、不足点を補うこと。

■今後の予定

基金委員会は、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)よる将来費用の決定を待って、2017年から2021年において原子力発電事業者が基金へ拠出する金額を決定することになる。基金委員会は、UVEKによる決定は2018年秋になるとの見通しを示している。

 

【出典】

【2018年4月20日追記】

スイスの環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は2018年4月12日に、原子力発電所の廃止措置と運転終了後の放射性廃棄物管理に要する将来費用の見積額を245億8,100万スイスフラン(約2兆8,300億円、1スイスフラン=115円で換算)と決定したことを公表した。今回UVEKが決定した見積額は、放射性廃棄物管理基金と廃止措置基金の両基金の管理委員会(以下「基金委員会」という)がUVEKに提案した見積額よりも約11億スイスフラン(約1,300億円)多く、この費用の増加は以下の項目で見直しを加えたことによるものと説明している。

<地層処分費用>

  • 高レベル放射性廃棄物の処分場と低中レベル放射性廃棄物の処分場とを異なる場所に建設するケースで将来費用を決定したことによる費用増:
    スイスの地層処分場選定プロセスでは、①高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物の処分場をそれぞれ1カ所ずつの計2カ所に建設する場合、②両方の処分場を同じ場所に建設する場合が検討されており、費用算定においても、これらの2つのケースのオプションが検討されている。②のケースでは、①のケースと比較して処分費用の削減が期待される。原子力発電事業者は、ケース①と②の可能性を50%、50%の確率で重みをつけて期待値を算出するよう提案していたが、基金委員会は、60%、40%の確率とするよう提案していた。一方、UVEKは、現在の処分場選定プロセスでは、②のケースの是非を決定できる段階には至っていないとして、①の2カ所に建設するケースで将来費用を決定した。これによりUVEKの決定は、基金委員会の提案と比較すると、約6億5,100万スイスフラン(約750億円)の増額となっている。
  • 地層処分場立地地域への交付金支払いの可能性を高く見積ることによる費用増:
    スイスでは、国としての課題解決への貢献に対する経済的措置として、処分場の立地地域に対して交付金を支払うとされている。廃棄物管理基金から支出される立地地域に対する交付金の支払いについては、法的根拠が存在しておらず、自由意思によって行われる関係者との交渉の結果として取り決められることから、原子力発電事業者と基金委員会は4億スイスフラン(約460億円)を確保するよう提案していたが、UVEKは将来費用を確実に確保する観点から8億スイスフラン(約920億円)を確保するように決定した。

<廃止措置費用>

  • 原子力発電所サイトを全て更地に回復することによる費用増:
    原子力発電事業者の見積りでは、廃止措置の完了後に汚染のない建屋の一部がサイトに残る「ブラウンフィールド」と呼ばれる条件で算出していたが、基金委員会は建屋をすべて解体して、サイトを更地にする「グリーンフィールド」の可能性も費用見積りに含めるべきとの見解から、グリーンフィールドの可能性を80%、ブラウンフィールドの可能性を20%とした場合の期待値を算出するよう提案していた。UVEKは、廃止措置・廃棄物管理基金令(以下「基金令」という)における廃止措置費用の定義に従い、全ての建屋を撤去する費用を確保するとして、グリーンフィールドの条件で将来費用を決定した。これによりUVEKの決定は、基金委員会提案と比較すると、約4,600万スイスフラン(約53億円)の増額となっている。

 

原子力発電事業者の見積額、基金委員会が提案した将来費用額、UVEKが決定した費用額を下表に示す。

表:廃棄物管理・廃止措置費用の見積り(単位:百万スイスフラン 1スイスフラン=115円で換算)

項目 原子力発電事業者の見積額 基金委員会が提案した将来費用額  UVEKが決定した将来費用額 
 地層処分費用  11,303
(約1兆3,000億円)
12,693
(約1兆4,600億円)
13,744
(約1兆5,800億円)
 中間貯蔵、輸送、輸送・貯蔵容器、再処理費用  7,058
(約8,100億円)
 7,058
(約8,100億円) 
 7,058
(約8,100億円) 
 廃止措置費用  3,406
(約3,900億円) 
 3,733
(約4,300億円) 
 3,779
(約4,300億円) 
 合計 21,767
(約2兆5,000億円)

23,484
(約2兆7,000億円)

24,581
(約2兆8,300億円)

 

今後の予定

基金委員会は、今回のUVEKの決定に先立つ2016年12月に、2017年から2021年の期間に原子力発電事業者が基金へ支払うべき拠出金の暫定額を決定している。現在、スイスでは、基金令の改正が予定されており、基金委員会は2017年から2021年の期間に原子力発電事業者が基金へ支払うべき拠出金の正式な額については、改正した基金令の発効後に決定するとしている。基金令の改正の閣議決定は2019年前半と見込まれている。

 

【出典】

英国の原子力廃止措置機関(NDA)は、2017年12月11日に、2018年4月1日から3年間を対象としたビジネスプラン(事業計画書)のドラフト版を公表するとともに、意見募集期限を2018年2月4日までとする公開協議を開始した。NDAは、英国における17の原子力サイトの廃止措置・クリーンアップ、放射性廃棄物の安全な管理、使用済燃料の再処理等に責任を有する政府外公共機関(NDPB)1 である。NDAは、2004年エネルギー法に基づいて、ビジネスプランを毎年作成し、英国政府の承認を受けている。NDAは、今回のビジネスプランのドラフト版において、放射性廃棄物処分に関連した活動計画を以下のように示している。

・再処理事業

NDAは、セラフィールドの酸化物燃料再処理工場(THORP)を従来通りに2018年に閉鎖する計画としている。また、英国で初期に導入されたガス冷却炉(GCR、マグノックス炉)からの使用済燃料の取り出しとマグノックス再処理工場への搬出を2019年までに完了させ、それらの再処理を2020年に完了させる計画としている。

・浅地中処分事業

イングランド北西部のドリッグ村近郊に位置する低レベル放射性廃棄物処分場は、1959年から操業しており、2080年に処分場の最終的な閉鎖が予定されている。処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は、すでに満杯となっている既存の1~7号トレンチ処分施設及び8号コンクリートボールト施設の最終的な覆土(cap)の施工の準備を継続する計画としている。

・地層処分事業

英国政府は、2014年8月に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』において、サイト選定プロセスの開始前の初期活動として、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」、「2008年計画法」の改正、地域との協働プロセスの策定活動の3つを行うこととしている。ビジネスプランのドラフト版では、これらの初期活動が完了間近であり、2018年6月にはサイト選定プロセスが開始される見込みであるとしている。

なお、地層処分事業に関しては、2017年12月7日付けの英国政府のプレスリリースにおいて、地層処分施設に関する開発同意令(DCO)の発給審査の基礎となる国家政策声明書(NPS)の作成2 、地域との協働プロセスの策定に関して、それぞれ公開協議による意見募集を2018年早々に開始する意向を公表している。

 

【出典】


  1. 「政府外公共機関」(NDPB)は、所管省の行政機能を実現する実務組織として省の外部に設置されている組織の総称である。執行型、諮問型、法廷型に類型され、NDAは執行型に相当する。 []
  2. このNPSは、特定のサイトではなく一般的なサイトを対象とした地層処分施設等について作成される。 []