Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2022年1月6日に、2020年12月に開催されたNWTRB秋期会合(以下「2020年秋期会合」という。)における議論等を踏まえて、エネルギー省(DOE)に対する勧告・所見を示した書簡を公表した。2020年秋季会合は、DOE原子力局(NE)の「サイト固有ではない処分研究プログラム(non-site-specific disposal research program)」についての情報を審査するため、2020年12月2日~3日に開催されたものである。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価するため、行政府に設置された独立の評価機関である。

DOEのサイト固有ではない処分研究開発プログラムは、以下を目標として行われており、結晶質岩、岩塩及び粘土質岩における処分概念及び処分オプションが検討されている。

  • 米国における複数の実現可能な処分オプションに確かな技術的基盤を提供する
  • 一般的な処分概念のロバスト性について信頼性を高める
  • 処分概念の実現を支援するために必要な科学的・技術的ツールを開発する

2020年秋季会合は、岩塩での処分に関する2014年の会合でのレビュー及び勧告、地下研究所に関する2019年の会合、多目的キャニスタに関する2020年夏季会合などの情報を踏まえて開催された。また、2020年秋季会合では、DOE原子力局(NE)、サンディア国立研究所等の研究者からの報告のほか、欧州諸国が放射性廃棄物管理計画を支援するために取り組んでいる「放射性廃棄物の地層処分の実施に関する技術プラットフォーム」(IGD-TP)と英国の放射性廃棄物管理会社(RWM社)から処分研究戦略についての報告も行われた。

今回公表されたNWTRBの書簡では、NWTRBによる2020年秋期会合での気付き事項(findings)及びDOEへの勧告が以下のように示されている。

2020年秋期会合での気付き事項

  • 放射性廃棄物管理・処分プログラムの早期ステージにある国では、受容可能な早期ステージでの研究開発プログラムの確実な実施において課題が認識されている。処分場を成功裏に実現するためには、実施主体・規制者・社会の三者の役割を明確に規定した法的枠組みが必要である。サイト選定及び処分場プログラムの実施の手続きは、これら三者から容認されなければならない。成功には長期的で政治的な責任が必要である。
  • 一般的に、処分場実現の主要な課題は、技術的な問題が一番ということではなく、技術的研究の実施に際しては技術的目的のみでなく社会的な観点も考慮に入れる必要があるなど、社会的な懸念や課題に完全に対応しなければならないことが他国では確信されている。
  • 他国では、結晶質岩、岩塩、粘土質岩における母岩固有の処分場設計による処分場開発を検討している。DOEは、これら諸国と協力し、研究開発プログラムを進展させるため、これらのプログラムの情報・経験を考慮に入れている。
  • DOEは、処分オプションがなぜ安全と考えられるものかを明確に伝える必要性など、他国やIGD-TPグループのような組織で得られた教訓を活かすことにより、成功の機会を増やす可能性がある。
  • 総合的に見て、DOEは、技術的基盤及び複数の処分オプションの評価の支援ツールの開発において、良好な進展を見せている。定期的なプログラムの策定、研究開発活動の優先順位付け、自身のプログラム要素と他国との統合が行われている。DOEは、HotBENT(スイスのグリムゼルテストサイト(GTS)でのベントナイト熱変質試験)での経験を通して、知識マネジメントプログラムの開発を主導してきており、結晶質岩及び粘土質岩における高温の人工バリアシステム(EBS)での熱-水-応力-化学連成挙動の理解を深めてきた。DOEは、性能評価での計算において、計算時間を低減して、性能や不確実性についてよりロバストで詳細な解析を可能にした先進的な数学的手法を採用している。
  • DOEは、以下の取組によってプログラムを前進させることが可能である;
    • ステークホルダーとの関与を促進し、ステークホルダーに対して一貫して明確に様々な処分オプションの説明を行い、それぞれの処分オプションの人工バリアと地質環境の安全機能をより適切に定義
    • 優先度の設定方法、及びGDSA(地層処分安全評価)枠組みのさらなる構築による改善
    • DOE使用済燃料(金属ウラン)1 の瞬時溶解で生じるプロセスへの対応
    • 岩塩層で想定される粘土の層の影響への対応
    • 長期にわたる高温下でのベントナイト及び粘土質岩の挙動の理解に資するナチュラルアナログ情報の活用

NWTRBによるDOEへの勧告

  • 勧告1
    NWTRBは、DOEが研究開発の優先度設定時のファクターの一つとして、十分に開発された技術成熟度評価手法(technology maturity scoring method)を採用することを勧告する。
  • 勧告2
    NWTRBは、DOEが可能性がある処分概念(例えば、粘土質岩における処分)ごとに、処分場の新たな技術的なサイト選定指針の必要性及び範囲を評価することを勧告する。
  • 勧告3
    NWTRBは、DOEが処分オプション対するモデルを構築する際には、モデルのパラメータを設定するために必要な実験データがどのように取得されるかについて、より焦点を当てることを勧告する。
  • 勧告4
    DOE/NEは処分場で廃棄物パッケージが破損した場合に、直ちにすべてのDOE使用済燃料(金属ウラン)が瞬時溶解するとしてモデル化しているため、NWTRBは、金属ウランの溶解による水素ガス発生など、DOE使用済燃料の瞬時溶解により処分場内で生じるすべてのプロセスをGDSA(地層処分安全評価)枠組みに含めるか、もしくは、そうしたプロセスが人工バリア及び全体的なシステム性能にマイナスの影響を及ぼさないことを実証する技術的基盤を提供することを勧告する。
  • 勧告5
    DOEは、岩塩ドーム及び脆性の粘土質岩について、レファレンスケースを開発したり、処分オプションを支援するための研究開発を同定したりする必要があるかを評価しなくてはならず、仮に不要と判断した場合は、その判断の根拠を提供すること。
  • 勧告6
    NWTRBは、DOEの試験・モデルは、岩塩構造における粘土の層の影響、及びその岩塩処分場の性能への影響に対応できるようにすることを勧告する。
  • 勧告7
    NWTRBは、DOEが、戦略的計画の立案においてナチュラルアナログを考慮するとともに、実験室や地下研究所で試験可能な期間よりも長く高温下に置かれたベントナイト及び粘土質岩について、その経年劣化の影響評価に活用し得るナチュラルアナログが存在するのか判断することを勧告する。
  • 勧告8
    NWTRBは、DOEが「放射性廃棄物の地層処分の実施に関する技術プラットフォーム」(IGD-TP)のメンバーとなり、主に社会的情報の共有、コミュニケーション及び国民の信頼・信認の獲得方法などについて、処分場プログラムが概念評価より先の段階にある諸外国から教訓を得ることに重点を置くことを勧告する。
  • 勧告9
    NWTRBは、DOEが処分オプション、及びその処分オプションにおけるバリア、バリアの機能及びそれを支える技術的基盤、処分研究開発プログラムの統合的において、明確で効果的なコミュニケーションを行うことを勧告する。DOEは、ステークホルダーからの意見を踏まえ、処分オプションを支持する主張や議論、証拠を口頭や図形で一貫性を持って伝えるコミュニケーションアプローチを用いなければならない。これには、処分の前に必要となる再パッケージや貯蔵等の管理活動も含めなくてはならない。

【出典】


  1. 金属ウランの使用済燃料は、溶存酸素が欠乏している地下水中で急速に反応して水素が発生し、バリアに影響を与えることが想定される。溶存酸素が欠乏している地下水は、処分場の深さの結晶質岩に存在するため、DOEは、廃棄物パッケージが破損して水が浸入すると、廃棄物が瞬時溶解(instantaneous dissolution)することを想定してモデル化している。 []
使用済燃料処分場のイメージ図(ポシヴァ社操業許可申請書より引用(Source:Posiva))。黄色矢印は地上のキャニスタ封入施設の位置を示す(現在建設中)

使用済燃料処分場のイメージ図(ポシヴァ社操業許可申請書より引用(Source: Posiva))。黄色矢印は地上のキャニスタ封入施設の位置を示す(現在建設中)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年12月30日付けプレスリリースにおいて、フィンランド南西部エウラヨキ自治体のオルキルオトにおいて建設中の使用済燃料処分場に関して、操業許可申請書をフィンランド政府に提出したことを公表した。使用済燃料処分場は、地上部に設置されるキャニスタ封入施設と、地下400~450mに設置される最終処分場(地下施設)で構成される。高レベル放射性廃棄物処分場の操業許可申請が行われるのはフィンランドが世界初となる。

ポシヴァ社は、2015年に政府から使用済燃料処分場の建設許可発給を受けた後、2016年12月から地下施設の建設を開始しており、キャニスタ封入施設も2019年6月から建設が進められている。2021年5月からは、地下約450メートルにおいて、実際の使用済燃料を収納したキャニスタを定置する最初の処分坑道5本の掘削工事が開始されていた

ポシヴァ社は、今回の操業許可申請書において、同社を共同出資によって設立した2つの電力会社であるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が現在運転している計4基の原子炉から発生する使用済燃料4,000トン(ウラン換算)を処分するとしている。2022年に商業運転が開始される予定のTVO社のオルキルオト3号機から発生する使用済燃料の処分については、2070年以降にポシヴァ社が別途の操業許可申請を行う予定であり、最終的に2120年代までに合計で6,500トンの使用済燃料(キャニスタ数は3,304体)を処分する計画である 1

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:ポシヴァ社[Source:Posiva])

使用済燃料は地上のキャニスタ封入施設において、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に封入した上で、深度400~450mの地下の最終処分場にてキャニスタ周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保した上で処分される。ポシヴァ社は今回の申請書で対象としている4,000トンの使用済燃料(キャニスタ数は2,129体)を2024年3月から2070年末までの約45年間にわたって処分する計画である。

 

■今後の予定

フィンランドの原子力に関する管理・監督を所管する雇用経済省は、2021年12月30日付けのプレスリリースにおいて、処分場の操業許可発給に関する政府の意思決定の準備のために、原子力法令に規定されている意見聴取手続きに従って、原子力安全に係る規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)、環境省、内務省、原子力施設の立地自治体または近隣自治体を管轄する県行政庁、経済開発・交通・環境整備センター2 等の国の行政機関、並びにエウラヨキ自治体とその周辺自治体に意見書の提出を求めるほか、一般市民や地域社会にも処分事業に対する意見を求める予定を明らかにした。

今回のポシヴァ社による操業許可申請を受けてSTUKは、使用済燃料処分場の操業許可の発給条件に係る安全性に関する審査を実施するほか、ポシヴァ社が操業許可申請書とともに提出が求められた、実際の地下施設の建設で得られた情報に基づいて更新したセーフティケースを評価する。これらの評価結果は審査意見書として雇用経済省に提出される予定である。

ポシヴァ社は、建設中の地下施設において、2023年から試運転(コミッショニング)の一部として、使用済燃料を収納していないキャニスタを用いて、処分環境下で実際に使用される機器・装置を用いて小規模スケールで模擬的な処分を実施する統合機能試験を実施する予定である。使用済燃料を収納したキャニスタの処分開始は、政府から操業許可発給を受けた後の2020年代半ば以降になる見込みである。

(参考)フィンランドにおける使用済燃料処分の経緯

フィンランドでは原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として地層処分する方針としている。使用済燃料の処分場のサイト選定は1983年に開始され、ポシヴァ社は1999年にオルキルオトを処分地として選定し、同年、原子力施設の建設がフィンランド社会全体の利益に合致することを政府が判断する「原則決定」と呼ばれる原子力法の手続きに基づいて(詳しくはこちら)、オルキルオトに使用済燃料の処分場を建設することについて、政府へ原則決定の申請を行った。政府はポシヴァ社の申請に対して2000年に原則決定を行い、翌2001年に国会が政府の原則決定を承認したことにより、オルキルオトが処分地として決定していた。

ポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するためには、原則決定の後に政府から処分場の建設許可、及び操業許可の発給をそれぞれ受ける必要がある。ポシヴァ社は建設許可の申請に向けて2004年には地下特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し、並行して建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータ取得や、坑道の掘削による地質環境への影響等について調査をしてきた。

ポシヴァ社は2012年に使用済燃料処分場の建設許可申請書を政府へ提出した。雇用経済省は原子力法・原子力令に規定されている意見聴取手続きに従って、関係省庁、エウラヨキ自治体及び周辺自治体などに対して意見書の提出を求め、その一環としてSTUKは2015年2月に処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出した。これらの意見を踏まえて政府は2015年11月に処分場の建設許可を発給した。ポシヴァ社は2016年から使用済燃料処分場の建設を進めてきた。

 

【出典】


  1. オルキルオト3号機から発生する2,500トン分の使用済燃料をオルキルオトに建設される使用済燃料処分場において処分する計画は、2002年の政府の原則決定により、すでに認められている。 []
  2. 経済開発・交通・環境整備センター(ELYセンター)は、広域レベルの経済開発・交通・環境整備を促進するために、フィンランドに15箇所設置されている。 []

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2021年12月15日に、スイスの原子力施設から発生する放射性廃棄物の発生量予測、並びにそれらの処分に必要となる今後の取組を取りまとめた「放射性廃棄物管理プログラム2021」(以下「WMP21」という)を連邦エネルギー庁(BFE)に提出した。放射性廃棄物管理プログラムは、2005年施行の原子力法及び原子力令により、5年毎の更新が義務付けられている。

NAGRAは特別計画「地層処分場」に基づき、2008年から3段階のサイト選定プロセスを開始しており、2018年11月以降、3つの地質学的候補エリアがサイト選定プロセスの第3段階にある。今回公表されたWMP21においてNAGRAは、処分場サイトの提案を2022年に行い、地層処分場プロジェクトに関する最初の許認可手続きとなる「概要承認」の申請を2024年に行うとするスケジュールを設定しており、前回の「放射性廃棄物管理プログラム2016」 で設定していたスケジュールを堅持している。

■スイスにおける放射性廃棄物の地層処分概念

スイスでは、原子力法に基づき、放射性廃棄物を「監視付き長期地層処分」と呼ばれる概念に基づく処分場で処分する方針であり、高レベル放射性廃棄物だけでなく、低中レベル放射性廃棄物も地層処分することになっている。処分場の地下には、それら2種類の放射性廃棄物の処分区画に加えて、少量の廃棄物を処分することにより、処分後に生じる変化や挙動をモニタリングし、予測モデルの正しさを確認したり、想定外の影響を早期に検出できるようにする目的で「パイロット施設」が設けられる(図1を参照)。

NAGRAは、これら2種類の地層処分場を別々に建設するセパレートパターンと、両方を1カ所に建設する複合処分場(コンバインドパターン)を検討している。複合処分場の場合、地上施設と地下施設を部分的に共用することになるため、建設段階のリスク、費用、人員、温室効果ガスの排出を低く抑えられる利点がある。

図1_WMP21における処分場概念(複合処分場)

図1_WMP21における処分場概念(複合処分場)(WMP21を基に原環センターにて作図)

放射性廃棄物の処分区画は、深さ400~900mに分布するオパリナス粘土と呼ばれる堆積岩に設置される。高レベル放射性廃棄物用処分区画に処分する廃棄物は廃棄体の体積で約9,300m3、低中レベル放射性廃棄物用処分区画に処分する廃棄物は約73,300m3と推定されている。NAGRAは、サイト選定プロセス第3段階で検討している3つの地質学的候補エリアのいずれも複合処分場の建設に十分なスペースがあり、セパレートパターンと同等の安全性を確保できるとの見解を示している。

■地層処分事業のスケジュール

上述したように、NAGRAは2024年に地層処分プロジェクトに関する概要承認の申請を行う予定であり、連邦評議会(わが国の内閣に相当)による概要承認の発給は2031年になると想定している(図2の赤色バー)。概要承認の発給を受けた後、NAGRAは、処分場サイトと母岩に関する詳細な調査(わが国の精密調査に相当)を行うための地下特性調査施設を2035年に建設する計画である。

図2_スイスにおける地層処分スケジュール

図2_スイスにおける地層処分スケジュール(複合処分場を導入する場合)

放射性廃棄物を処分する処分区画の建設と操業には、別途、原子力法に基づく許可が必要である。WMP21で設定されている処分スケジュールでは、低中レベル放射性廃棄物の処分区画の建設許可申請は2040年に、高レベル放射性廃棄物の処分区画については2050年に行う予定である。実際に高レベル放射性廃棄物の定置が行われる期間は2060年から2075年までの15年間となる見込みである。

NAGRAは、低中レベル放射性廃棄物の処分区画での操業が終了する2065年から60年間をモニタリング段階として設定している。2種類の処分区画を含む主処分施設の閉鎖作業は2085年から開始するが、その後も地下のパイロット施設を利用したモニタリングは継続できるように計画している。地層処分場全体の閉鎖は2125年頃になる想定である。

■処分費用見積り

NAGRAはWMP21において、原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアが2021年10月に取りまとめた原子力発電所の放射性廃棄物の処分費用見積りを示している。この処分費用見積りは、今後5年間、原子力発電事業者が放射性廃棄物管理基金へ拠出する金額の算定の根拠となる。処分場を建設・操業する場合における廃棄物処分費用は、以下の表のとおりである。

表:WMP21において示された放射性廃棄物の処分費用見積り
項目 費用(1スイスフラン=122円で換算)
セパレートパターン

低中レベル放射性廃棄物処分場

4,692百万スイスフラン
(約5,724億円)

高レベル放射性廃棄物処分場

7,659百万スイスフラン
(約9,344億円)

①と②の合計

12,350百万スイスフラン
(約1兆5,067億円)

コンバインドパターン

複合処分場

1,0715百万スイスフラン
(約1兆3,072億円)

【出典】

スウェーデン政府は2021年12月22日付けプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2014年12月に提出した短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)の拡張許可申請に関して 、拡張を承認する決定を行ったことを公表した。今回の政府決定を受けて本案件は、スウェーデンにおける原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)と、環境法典に基づく審理を実施したナッカ土地・環境裁判所に戻され、各組織によってSFR拡張に伴う地下施設の建設工事等の計画の実施に関する許可条件が決定されることとなっている。

今回の政府決定の前に安全審査を実施したSSMは、SKB社が放射線安全の要件を遵守して原子力活動を遂行できることを立証しているとした意見書を2019年10月に政府に提出していた。また2019年11月には、ナッカ土地・環境裁判所がSFRの拡張を許可できるとした意見書をスウェーデン政府に提出していた。SFRが立地するエストハンマル自治体は、2021年4月にSKB社のSFR拡張計画の受け入れを議決していた。スウェーデン政府は今回、SSM及びナッカ土地・環境裁判所の意見書、並びにエストハンマル自治体の判断を踏まえ、SKB社の申請が原子力活動法及び環境法典の要件を満足していると判断し、SFR拡張計画を承認する決定に至っている。

SFRの拡張計画

SFRの拡張計画(SKB社提供)

SFRの拡張計画(SKB社提供)

SKB社が操業している短寿命低中レベル放射性廃棄物処分場(SFR)は、バルト海の浅い沿岸部(水深は約5m)の海底から約60m以深の岩盤内に設置されており、1つのサイロと4つの処分坑道で構成されている(図の右側の灰色部分)。現行のSFRは、約63,000m3の短寿命低中レベル放射性廃棄物を処分できるように建設され、1988年から原子力発電所の運転に伴って発生する廃樹脂、雑固体などの短寿命運転廃棄物と呼ばれる放射性廃棄物を処分しているほか、医療、研究、産業で発生した放射性廃棄物も受け入れて処分している。

SFRの拡張計画では、地下約120mに6つの処分坑道を増設(図の左側の青色部分)し、既存部分との合計で約180,000m3の処分容量とする。SKB社が2014年12月に申請書を提出した当初は、沸騰水型原子炉(BWR)の炉心を収める圧力容器(RPV)9基をそのままの形で専用の処分区画に搬入する計画であったが、現在の計画ではRPVを切断して容器に収納して処分する方式に変更されている。拡張部分は、主として廃止措置廃棄物の処分用区画であるが、運転廃棄物の一部も処分される。また、既存部分でも廃止措置廃棄物の一部を処分する計画である。

なお、SFRがあるエストハンマル自治体のフォルスマルクにおいて、SKB社が使用済燃料の最終処分場の立地を予定している。SKB社は、2011年3月に使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等を提出しており、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく審査が最終局面にある。エストハンマル自治体は2020年10月に、使用済燃料処分場の立地を受け入れる意向を示している。スウェーデン政府は、使用済燃料処分場に関する決定を2022年1月27日に行う予定である。

【出典】

韓国の産業通商資源部(MOTIE)は、2021年12月7日付けの公告において、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示する「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」(以下「第2次基本計画案」という)を公表し、2021年12月21日を期限としたパブリックコメントの募集を開始した。MOTIEは、この第2次基本計画案において、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)を安全かつ効率的に管理するための政策ロードマップを提示する意向を持っている。

MOTIEは、今回の第2次基本計画案の検討に資するため、2019年5月に人文・社会、法律・科学、コミュニケーション・紛争管理、調査・統計などの中立的な専門家15名で構成される「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)を設置し、再検討委員会が行う勧告を最大限尊重して政策を推進する考えを示していた。再検討委員会は、2021年3月に政府へ提出した勧告書において、使用済燃料管理特別法を制定する必要性を指摘するなど、使用済燃料の管理政策の見直しに関する勧告を行っていた。MOTIEは第2次基本計画案において、再検討委員会が指摘した特別法の制定や現行の放射性廃棄物管理法の全面改正を検討する方向性を打ち出している。また、今後の法整備を踏まえて、使用済燃料の中間貯蔵施設や処分施設のサイト選定プロセス、地域支援策、技術開発、人材育成などを含む高レベル放射性廃棄物管理基盤の構築、並びに専任組織の設置を行うとしている。

なお、第1次基本計画は朴槿恵(パク・クネ)政権時の2016年7月に策定されたが、翌2017年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権における漸進的な脱原子力発電政策に伴う使用済燃料の予測発生量の低減に対応するため、2018年5月から基本計画の見直しが行われていた 。

■第2次基本計画案における高レベル放射性廃棄物管理の基本方針

MOTIEは再検討委員会の勧告を受けて、高レベル放射性廃棄物管理の基本方針を構成する原則の見直しを行っている。第1次基本計画では原則3に含まれていた「原子力発電所の持続可能な発展」という記述を削除し、新たに「可逆性・回収可能性の考慮」(原則6)を加えている。第2次基本計画案に提示されている高レベル放射性廃棄物管理の基本方針となる原則は以下のとおりである。

~第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)における基本方針~

原則1:
高レベル放射性廃棄物を国家の責任の下で安全に管理し、安全管理に関する国内外の規範を誠実に遵守する
原則2:
高レベル放射性廃棄物を生態・環境的に安全に管理し、国民の健康と環境に対する危害防止を最優先に考慮する
原則3:
高レベル放射性廃棄物に関する情報を公開し、国民と住民の参加と共感の中で信頼を高める
原則4:
原子力発電の恩恵を享受した現世代が高レベル放射性廃棄物の管理責任を果たし、管理費用は発生者が負担する
原則5:
高レベル放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処分能力向上と効率的な管理のために必要な技術を持続的に開発する
原則6:
技術的発展の可能性と安全性に関する条件の変化などを踏まえ、意思決定の可逆性と高レベル放射性廃棄物の回収可能性を考慮する

政府の重点推進課題として、以下の3項目を取り上げている。

  1. 科学的合理性と社会的合意に基づく管理施設の確保
  2. 地域共同体に向けた政府全体としての支援・コミュニケーション体制構築
  3. 安全管理のための政策基盤拡充

■政策ロードマップ

重点推進課題1.に関してMOTIEは、高レベル放射性廃棄物の管理施設のサイト選定が急務であるという認識のもと、処分施設の操業開始までに要する期間が、サイト選定作業の着手から37年後となるような政策ロードマップを示している。また、使用済燃料の中間貯蔵施設、地下研究施設及び処分施設を同一のサイトに立地する構想である。

処分方式としては、多重バリアシステムによる地層処分を優先的に考慮するが、技術的代替案(超深孔処分など)も並行して考慮することを示している。なお、第1次基本計画では、政策ロードマップに「国際共同貯蔵・処分の可能性の検討」及び「研究用地下研究所の立地・建設・操業」が盛り込まれていたが、これらは第2次基本計画案では削除されている。

高レベル放射性廃棄物管理施設に関する政策ロードマップ

 

■第2次基本計画の策定に向けた今後の予定

今回公表された第2次基本計画案に対しては、行政手続法の規定により、2021年12月21日を期限として産業通商資源部(MOTIE)長官宛てで意見書の提出が可能となっている。MOTIEは、案に対する追加的な専門家議論と国民の意見収斂のため、討論会を開催する意向を明らかにしている。なお、韓国では2022年3月に大統領選挙が予定されている。

第2次基本計画案は、原子力振興委員会の専門委員会による検討、原子力振興委員会本会議の審議・議決を経て確定される。また、高レベル放射性廃棄物管理基本計画は、国会の所管常任委員会に提出されることとなっている。

【出典】

 

【2022年1月7日追記】

韓国で2021年12月27日に、国務総理(首相)が主宰する第10回原子力振興委員会が開催され、本会議での審議・議決を経て、高レベル放射性廃棄物を安全に管理する方式と手続きを提示した「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「第2次基本計画」という)が確定した。原子力振興委員会は、韓国における原子力利用に関する重要事項を審議・決定する政府の意思決定機関であり、第2次基本計画の策定を担当した産業通商資源部(MOTIE)のほか、科学技術情報通信部、外交部の各部長官1 、民間委員等が出席して開催された。

今回の原子力振興委員会では、原子力に関する技術開発及び利用政策を一貫的かつ体系的に推進するため、最上位の法定計画として5年ごとに策定される「原子力振興総合計画」(第6次)も併せて審議・確定された。放射性廃棄物の安全な管理基盤の構築を目的として、使用済燃料の貯蔵及び処分に関する研究開発については、2021年から2029年の期間に合計4,300億ウォン(約411億円、1ウォン=0.0956円として換算)の予算とする計画である。

【出典】


  1. 韓国の「部」はわが国の「省」にあたる []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2023年までに1カ所の好ましいサイトを特定するという目標をかかげている 。NWMOは、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズに残っているオンタリオ州のイグナス・タウンシップ及びサウスブルース自治体の2自治体において、地上からの調査による使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価を進めているところである 。

■イグナス・タウンシップにおける調査の現状

イグナス・エリアでのボーリング調査の模様(NWMO提供)

イグナス・エリアでのボーリング調査の模様(NWMO提供)

オンタリオ州北部のイグナス・タウンシップは、州都トロントから北西に約1,600km、カナダ大陸横断高速道路(トランス・カナダ・ハイウェイ)上にあり、主な産業は林業と観光業である。イグナス・タウンシップは面積約93km2、人口約1,200人の小さな自治体であり、その周囲に隣接する自治体はない。オンタリオ州北部の人口分布はまばらであるため、特定の自治体に属さず州が直轄する地域が広がっている。

イグナス・タウンシップでは、市街中心部から西方約35kmの原野に調査エリアが特定されている(州が直轄する土地であり、特定の地名がないためイグナス・エリアと呼称されている)。このエリアはカナダ楯状地に位置しており、NWMOは地下施設を地表から約500mの深さにある結晶質岩に建設することを検討している。NWMOは、イグナス・エリアにて2017年11月6日にボーリング調査を開始している。

NWMOはイグナス・エリアでの活動に関する2021年11月のプレスリリースにおいて、予定していたボーリングコアの採取作業を完了したことを公表した。2021年11月までの約4年間で長さ1kmのボーリングを合計6本掘削しており、今後、ボーリング調査で取得されたデータの分析が行われる。

ボーリング調査と並行してNWMOは、使用済燃料処分場プロジェクトによる環境影響の評価に必要となる情報を獲得するために環境ベースラインモニタリングプログラムの策定を進めている。このプログラムに地元の関心や懸念を反映するために、NWMOは2021年の夏期から「コミュニティ・サンプリングプログラム」を立ち上げ、イグナス及び周辺地域の動植物、地表水などのサンプリングを地域住民と協力して進めている。野生のヘラジカや淡水魚の狩猟、キノコやベリーの採取を目的に立ち入る人々にサンプルを提供してもらうほか、協力者に対してサンプリング技術のトレーニングを提供する取り組みが行われている。NWMOは、地域の人々と協力すること自体が、環境ベースラインモニタリングプログラムの目的や成果情報を相互に学ぶ機会となっており、教育的な効果を生み出していると述べている。

■サウスブルース自治体における調査の現状

サウスブルース自治体でのボーリング調査の模様(NWMO提供)

サウスブルース自治体でのボーリング調査の模様(NWMO提供)

オンタリオ州南部にあるサウスブルース自治体は、ヒューロン湖の東側約40キロメートルの内陸に位置しており、面積約490km2、人口は約5,600人である。土地は西側にゆるやかに傾斜して平坦に広がっており、農業が主要産業となっている。

サウスブルースでは、使用済燃料処分場の母岩として地下約600メートルに分布するオルドビス紀の堆積岩(約4億5,000万年~5億年前に形成)が考えられている。NWMOは、サウスブルース自治体での活動に関する2021年11月のプレスリリースにおいて、専用の車両を用いた三次元弾性波探査を開始したことを公表した。また、地質構造の理解に役立てるために、NWMOは2本の試験用ボーリング孔の掘削を2022年の夏までに完了させたい意向である。

また、NWMOはサウスブルースにおいても環境ベースモニタリングプログラムの策定と実施を、土地所有者や河川管理当局と共同で進めている。この地域の住民は農業と関わる水資源に関心が高い。そのため、NWMOはフィールド調査エリア周辺の土地所有者の農業用井戸水をサンプリングに利用させてもらう一方、井戸水の分析データを双方で共有するといった協力関係を築いている。分析データの公平性を期すために、NWMOは、それらの井戸水のほか、調査エリアを含むソーギーン川水系の表層水のサンプリングと分析を、サウスブルース自治体を含む15自治体が共同で設立しているソーギーンバレー保護局(SVCA)に委託している。

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2021年12月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2021年12月時点)

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2021年11月30日付けのニュース記事において、連邦政府による使用済燃料の中間貯蔵サイトの選定のための「同意に基づくサイト選定計画(Consent-Based Siting Program)」を再始動するとし、最初の手続きとして情報要求(RFI、Request For Information)を発行したことを公表した。また、DOEの「同意に基づくサイト選定」のページでは、RFIにおいて、2017年1月の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という。)に対するコメントを求めるほか、「意味のある参加への障害の排除」、「廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵」の分野に対する意見等を求めることが示されている。

DOEのRFIは、2022年3月4日までの期限で、連邦政府による中間貯蔵施設(以下「連邦中間貯蔵施設」という。)について意見を求めるものであり、2021年12月1日付けの連邦官報で告示された(以下「RFI告示」という。)。DOEは、RFIで得られた情報は、DOEによる連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセス及び統合的放射性廃棄物管理システム、資金確保の可能性のための戦略構築の構築において、公平な形で使用する意向である。

DOEはニュース記事において、2021会計年度包括歳出法(Public Law No.116-260)で中間貯蔵のための歳出予算が計上されたこと、及び中間貯蔵を進展させるよう指示を受けたことを示した。同意に基づくサイト選定プロセスについては、オバマ民主党政権で設置された「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告 などを反映して検討が進められ、2017年1月には「サイト選定プロセス案」も公表されていたが、トランプ共和党政権で中止された

DOEは、RFI告示において、特に意見を求める分野及び意見項目を以下のように示している。

分野1:同意に基づくサイト選定プロセス

  1. DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、社会的公平と環境正義をどのように考慮すべきか。
  2. 連邦中間貯蔵施設の立地受入れの同意を判断する際に、先住民族、州及び地方政府等はどのような役割を果たすべきか。
  3. 連邦中間貯蔵施設のサイトを選定しようとして取り組むDOEとの関与を考慮する際、どのような便益や機会が地方・州・先住民族政府を後押しするものとなるか。
  4. 同意に基づくサイト選定プロセスによる連邦中間貯蔵施設の立地が成功するために障害となるものは何か、また、それはどのように対応できるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設における貯蔵期間に持続するような合理的な期待及び計画を確立するため、DOEは地域コミュニティとどのように協働すべきか。
  6. サイト選定での同意に基づくアプローチの構築のため、どのような組織やコミュニティとの連携を考慮すべきか。
  7. サイト選定プロセス案で提起された課題を含め、DOEが同意に基づくサイト選定プロセスを実施する上で、他にどのような課題を考慮すべきか。

分野2:意味のある参加への障害の排除

  1. 同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、意味のある参加を妨げる障害は何か、また、それはどう緩和、排除できるか。
  2. 潜在的に関心を持つコミュニティが、同意に基づくサイト選定に係る情報共有、専門家の支援及び意味のある参加の適切な機会を確保するために、必要とする資源は何か。
  3. 潜在的に関心を持つコミュニティとの相互学習及び協働の機会は、どのようにDOEは最大化することができるか。
  4. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、どのようにDOEは地方・州・先住民族政府と効果的に関わることができるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、コミュニティや諸政府、他のステークホルダーがDOEと関わるために必要とする情報は何か。

分野3:廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵

  1. 米国の廃棄物管理システムを構築する上で、どのようにDOEは社会的公平や環境正義の考慮を確実に行えるか。
  2. 廃棄物管理システムにおける複数施設の併設、あるいは製造施設や研究開発基盤、またはクリーンエネルギー施設と廃棄物管理施設の併設は、どのような便益や欠点があり得るか。
  3. 中間貯蔵施設の開発は、処分場開発の進展とどの程度関連すべきか。
  4. 廃棄物管理システムを構築する際、DOEは、他にどのような問題を考慮すべきか。

RFI告示の中でDOEは、使用済燃料が最終処分場に移送できるようになるまで中間貯蔵施設の操業が必要と想定していること、また、中間貯蔵の期間は、施設の立地、許認可及び建設などの重要なステップの完了時期に懸かっているとの見解を示している。なお、DOEが2017年に策定したサイト選定プロセス案は、集中貯蔵と処分場の立地を対象としたものであり、具体的なサイト選定の段階も示されていたが、今回のRFI告示では、同意に基づくサイト選定プロセスの対象は連邦中間貯蔵施設とされ、処分場のサイト選定についての具体的な言及はない。

なお、DOEが同意に基づくサイト選定プログラムの再始動を公表したことに対して、ネバダ州選出の上院議員2名は、DOEの取組を賞賛する声明を発出している。マスト上院議員のプレスリリースでは、現政権はネバダ州選出の上院議員2名の要求に応える形で、ユッカマウンテンにおける廃棄物処分は行わないことを確約しており、今回のDOEの発表はそれを再確認するものであるなどと述べている。また、エネルギー自治体連合(ECA)は、RFIの詳細は吟味中とした上で、DOEの国防関連廃棄物に関する言及がないこと、処分場に係る計画が無いまま中間貯蔵を進めようとしていること、民間での中間貯蔵施設の開発が進む中で連邦中間貯蔵施設のみを考慮しているように見えることなどについての懸念を示している。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)のカールスバッド・フィールド事務所(CBFO)は2021年11月22日及び23日に、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2021年11月11日に累計で13,000回のTRU廃棄物の輸送・受入れが実施されたこと、進行中のプロジェクトの最新状況などをステークホルダー向けに説明するタウンホール・ミーティングを2021年11月18日に開催したこと、そのタウンホール・ミーティングで使用した資料及びビデオを公表した。ステークホルダー向けの説明資料(以下「スライド資料」という。)では、WIPPにおける処分の進捗状況、処分パネル等の掘削状況及び見通し、換気施設や新たな立坑の建設状況などについて、最新の状況が示されている。

WIPPでは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象を受けて、換気システムの整備を含む復旧計画が策定され、設備の更新が進められる一方で、処分エリアの一部が閉鎖され、代替処分パネルの建設が計画されている。なお、WIPPの操業は2017年1月に再開された。

WIPPに向かうTRU廃棄物輸送トラック

WIPPにおけるTRU廃棄物の受入れが13,000回のマイルストーンを達成したことについては、エネルギー省(DOE)環境管理局(EM)の2021年11月23日付けのニュース記事でも伝えられている。WIPPで初めて廃棄物の受入れを行ったのは1999年3月26日であり、2011年には「直接ハンドリングが可能なTRU廃棄物」(CH廃棄物)の受入れが10,000回に達していた。また、2007年には「遠隔ハンドリングが必要なTRU廃棄物」(RH廃棄物)の最初の受入れが行われている。なお、受入れた13,000回のTRU廃棄物のうち、ほとんどがCH廃棄物であり、RH廃棄物は755回となっている。

第7パネルでの定置状況

第8パネルの状況

掘削の進展

タウンホール・ミーティングで使用されたスライド資料では、廃棄物の定置状況について、現在、廃棄物の定置が行われている第7パネル第2処分室は2022年1月6日に一杯となり、第7パネル全体も2022年7月26日に一杯となることが示されている。次に廃棄物が定置される第8パネルは、2021年9月29日に掘削が完了しており、2022年4月末にはニューメキシコ州環境省(NMED)から許可を取得して、廃棄物定置の準備が整う見通しが示されている。また、代替処分パネルの建設が予定されている西側エリアに向けて、アクセス坑道の一部の掘削が2021年9月26日に開始されたほか、代替処分パネルでの定置のためのアクセス坑道の拡張などの整備も開始されたことが示されている。

安全上重要な閉込め換気システム(SSCVS)

換気立坑

また、スライド資料では、換気システムの更新についても、工事の進捗を伝える写真を含めて詳細な状況が示されている。WIPPでは現在、換気量は毎分14万6,000ft3(約4,130m3)に限られていて操業が制約されている。地下での掘削作業、ロックボルト打設、定置などの活動を同時に行うことを可能とするための解決策として、フィルター付で毎分54万ft3(約15,300m3)の換気能力を実現する「安全上重要な閉込め換気システム(SSCVS、Safety Significant Confinement Ventilation System)の建設が行われている。SSCVSの完成は2025年と見込まれており、当面の対応策として、定置活動以外の時間帯に従来のフィルター無しの換気ファン(700-C)を再稼働させることとなっている。また、WIPPでは、SSCVSの負荷を軽減するため、新たな換気立坑の建設も進められている。

操業能力増加に伴う廃棄物受入れ予想

10年想定

さらに、スライド資料では、これらの設備更新によって見込まれるWIPPの操業能力増加の年度別の見通しのグラフのほか、ニューメキシコ州や環境保護庁(EPA)の許認可取得や設備更新の見通しとともに、今後の処分パネルごとの操業見通しなどを図示した「10年想定(10 Year Projection)」も示されている。この「10年想定」スライドでは、詳細な説明は示されていないものの、現在計画されている代替処分パネル(第11パネル及び第12パネル)での定置に続いて第13パネル及び第14パネルの建設を行う想定が示されており、2022年にはこれらの追加される処分パネルの補足環境影響評価を開始する見通しが示されている。

【出典】

英国カンブリア州コープランド市と地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2021年11月16日に、コープランド市で特定されていた2つの「調査エリア」のうち、同市中部の調査エリアでの地層処分施設(GDF)の立地を検討する「ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」を設立した。これを受けて当該調査エリアでは、GDF設置の可能性について、より詳細な検討(わが国の概要調査に相当)が行われることになる。同市南側の調査エリアについても、初期の参画組織での手続きが完了次第、独立した「サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」が数週間以内に設立される予定である。なお、2018年12月から開始したサイト選定プロセスにおいて、コミュニティパートナーシップの設立に至ったケースは、今回のミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップが初めてとなる。

■コミュニティパートナーシップ設立までの経緯

コープランド市は2020年11月に、地層処分施設のサイト選定プロセスにおける「調査エリア」の特定と提案、並びにコミュニティパートナーシップの設立に向け、コープランドGDFワーキンググループを設置し、2021年9月には、2箇所の調査エリアを特定していた。調査エリアの範囲は、英国政府の2018年政策文書に基づき、コミュニティや自治体組織等から協議に参加可能な者が特定できるように、選挙区を最小単位として設定されている。これらの調査エリアに属する選挙区で構成される「コミュニティパートナーシップ」の設立に関して、コープランド市議会で検討が行われていた。コープランド市では、2カ所の調査エリアのそれぞれを対象として、2つのコミュニティパートナーシップが設立されることになった。

なお、これまで調査エリアの特定を行ってきた「コープランドGDFワーキンググループ」は作業を終了し、以降はコミュニティの関与の手段としての役割は各コミュニティパートナーシップが引き継ぐことになる。

ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップの初期メンバーには、RWM社とコープランド市議会のほか、カンブリア州地方議会連合(CALC)が参加している。同パートナーシップは、ミッドコープランド調査エリア内に存在する地域自治組織(準自治体)等に参加要請を行っており、より多くのメンバーの参加を得た後に新たに議長が任命されるまでの間は、コープランドGDFワーキンググループの議長を務めたマーク・カリナン氏が暫定的に議長を務める。

■コミュニティパートナーシップの役割

コミュニティパートナーシップは、当該調査エリアでの地層処分施設の立地可能性を中長期的なスパンで検討していくグループである。RWM社は、地層処分施設の地下施設の設置可能性の検討のため、コープランド沖での物理探査の準備を進めており、2022年夏には船舶を用いた調査を開始する予定である。

ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップは、参加メンバーそれぞれの長期ビジョン開発を手助けするために公衆参加を促進していく。また、同パートナーシップに対して、英国政府から年間最大100万ポンド(1億4,600万円、1ポンド=146円)のコミュニティ投資資金の提供が始まる。この投資資金は、地層処分施設プロジェクトが長期的な性質を持つため、それが実働するまでの数年間にわたり、雇用やインフラ、主要投資に関連する恩恵(ベネフィット)が実現しない可能性があることを念頭において提供されるものである。ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップは、このコミュニティ投資資金の運用管理の役割を担うことになる。ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップのウェブサイト(midcopeland.workinginpartnership.org.uk)では、コミュニティ投資資金の仕組みや申請方法の案内を開始している。

【出典】

 

【2021年12月15日追記】

英国カンブリア州コープランド市と地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)とは、2021年12月14日に、コープランド市で特定されていた2つの「調査エリア」のうち、同市南部の調査エリアでの地層処分施設(GDF)の立地を検討する「サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」を設立した。今回のコミュニティパートナーシップの設立は、「ミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップ」に続き、2例目となる

サウスコープランドGDFコミュニティパートナーシップの初期メンバーには、RWM社とコープランド市議会のほか、カンブリア地方議会連合(CALC)、地元議員を含むコミュニティの代表者が参加している。また、同パートナーシップに先立ち設立されたミッドコープランドGDFコミュニティパートナーシップと同様に、より多くのメンバーの参加を得た後に新たに議長が任命されるまでの間は、コープランドGDFワーキンググループの議長を務めたマーク・カリナン氏が暫定的に議長を務める。

RWM社は、地層処分施設の地下施設の設置可能性の検討のため、コープランド沖での物理探査の準備を進めており、2022年夏には船舶を用いた調査を開始する予定である。

【出典】

 

英国イングランド東部に位置するリンカンシャー州議会は2021年10月12日に、地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおける「調査エリア(Search Area)」の特定に向けてワーキンググループを設置した。リンカンシャー州議会は、同州東部の北海に面したイーストリンジー市にあるテッドルソープ・ガスターミナル1 の跡地利用を検討する一環として、2021年7月には英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)との初期対話を開始していた。このため、このワーキンググループは「テッドルソープGDFワーキンググループ」(Theddlethorpe GDF Working Group)と名付けられている。テッドルソープGDFワーキンググループは、情報発信を目的としたウェブサイトを開設するとともに、当面はテッドルソープ及びその周辺エリアでの関心を高めるため、リーフレットの配布や情報イベントを開催する予定である。

テッドルソープWGエリア

テッドルソープGDFワーキンググループの検討対象エリア
(RWM社の初期評価レポートを元に原環センターにて作成)

RWM社は、既存の情報を基にリンカンシャー州議会向けに作成した初期調査レポートにおいて、テッドルソープ・ガスターミナル跡地及びその周辺エリアは地層処分施設(GDF)を設置できる可能性を有していると評価している。また、RWM社は、GDFの設置によって、イーストリンジー市2 が目指している地域経済の構造転換に貢献する可能性があるとの考えを示している。

 

■テッドルソープGDFワーキンググループの構成と今後の活動予定

英国において2018年12月から開始した地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスにおいて、ワーキンググループの設置に至ったのは、2020年11月のコープランド市、2021年1月のアラデール市 に続いて今回が3例目である。

テッドルソープGDFワーキンググループの設立時点では、RWM社とリンカンシャー州議会の代表者のほか、ガスターミナルが所在する地域自治組織(準自治体)であるテッドルソープ・パリッシュ議会がメンバーとして参加している。同ワーキンググループは、イーストリンジー市議会に参加要請をしていることを明らかにしている。今後、同ワーキンググループは、コミュニティ全体の市民の参画を得て、市民の意見を理解するとともに、適性を有するサイトや受け入れの意向を持つコミュニティを追求していくため、さらなる検討対象となる「調査エリア」の特定やRWM社とともにプロセスを前進させていく「コミュニティパートナーシップ」の初期メンバーの特定も行う予定である。

 

<参考:初期対話とワーキンググループの設置について>

英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設の設置に関心を示す者、または、設置候補エリアを提案したい者であれば、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)と初期対話(initial discussion)を開始できることになっている  。

また、2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、初期対話において、地層処分施設(GDF)の設置に向け、さらなる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させていくための準備組織「ワーキンググループ」を設置することになっている。

 

【出典】

 

【2022年2月15日追記】

Theddlethorpe_search_area-map_landscape

(出典:テッドルソープGDFワーキンググループウェブサイトの図を一部修正)

英国リンカンシャー州に設置されたテッドルソープGDFワーキンググループは2022年2月8日付けのプレスリリースにおいて、イーストリンジー市の中の2つの選挙区から構成される「調査エリア(Search Area)」を特定したことを公表した。同ワーキンググループは、テッドルソープ・ガスターミナルの跡地利用を検討する一環として、(放射性廃棄物管理会社(RWM社)とリンカンシャー州議会の代表者、地域自治組織(準自治体)であるテッドルソープ・パリッシュ議会を初期メンバーとして2021年10月に設立された。その後2021年12月には、テッドルソープ・ガスターミナルを抱える基礎自治体であるイーストリンジー市の参画を得て、地層処分施設の立地可能性を検討する調査エリアの特定を進めていた。

今回特定された調査エリアの範囲は、英国政府の2018年政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』 に基づいて、コミュニティや自治体組織等から協議に参加可能な者が特定できるように、イーストリンジー市の選挙区3 が最小単位となるように設定されている。テッドルソープGDFワーキンググループは、今回特定した調査エリアは最初の提案であり、地層処分施設にアクセスする道路や鉄道ルートなどの検討が進むにつれて、必要に応じて変更する可能性があることを指摘することの重要性を示している。なお、2018年から開始したサイト選定プロセスにおいて、調査エリアの特定に至ったのは、2021年9月のコープランド市、2021年10月のアラデール市に続いて今回が3例目である。

今後、テッドルソープGDFワーキンググループは、地域住民の関心を高めるために、調査エリアの特定に関する地域対話イベントを開催する予定である。

【出典】

 


  1. テッドルソープ・ガスターミナルでは、北海の約100kmを超える沖合にある海上掘削基地と海底パイプラインで結び、日産約400万m3の天然ガスを生産していた。2018年8月に生産を終了。プラント施設の廃止措置が行われており、2022年には農地への転用が可能な状態に戻される予定である。 []
  2. イーストリンジー市は、面積が約1,762km2、人口が約14万人の農業と観光業を産業の中心とした自治体である。 []
  3. 現在、イーストリンジー市の選挙区は37あり、市議会議員の定数は55名である。今回調査エリアとなった2つの選挙区の議員定数は、ウィザーン・テッドルソープ:1名、マブルソープ3名である。 []