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フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2018年7月13日に、「放射性物質及び放射性廃棄物の国家インベントリレポート」(以下「インベントリレポート」という)の2018年版を公表した。ANDRAは2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、3年毎にインベントリレポートを改訂しており、前回のインベントリレポートの改訂は2015年に行われていた

インベントリレポートにおいては、2016年末時点でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約154万m3であり、前回2013年末時点から約8.5万m3増加していることが示されている。この増加の理由としてANDRAは、原子力発電利用、研究、産業・医療分野などでの通常の放射性廃棄物の発生に加えて、原子力施設の解体による極低レベル放射性廃棄物や短寿命低中レベル放射性廃棄物の発生を主な要因としている。

今回の2018年版インベントリレポートの公表に先立ち、フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する調査研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、2018年6月21日に公表した第12回評価報告書において、今後のフランスでの原子力・燃料サイクル政策が取りうる戦略オプションは以下の3つであると指摘している。

  • 中長期的に高速炉開発も含めて原子力発電利用を継続するオプション 
  • 高速炉開発を想定せずに原子力発電利用を継続するオプション 
  • 運転寿命を迎える既存炉のリプレースも増設も行わずに原子力発電から撤退するオプション 

2018年版インベントリレポートでは、将来のインベントリ予測として、CNEが指摘した戦略オプションに合致した形で以下の3つのシナリオを設定し、それぞれ、既存炉58基の運転と解体による廃棄物発生量の予測が示されている。なお、既存炉をリプレースした新規炉から発生する廃棄物量は予測に含められていない。

  • シナリオ1:既存炉を50~60年間運転した後に、欧州加圧水型原子炉(EPR)、さらには高速炉(FR)によってリプレースしていく。使用済燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用し、さらに高速炉においてマルチリサイクルを実施する。 
  • シナリオ2:既存炉を50~60年間運転した後に、EPRによってリプレースする。高速炉は導入しない。使用済のウラン燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用する。 
  • シナリオ3:既存炉は40年間、フラマンヴィル3号機(EPR)は60年間運転した後に閉鎖し、リプレースは行わない。使用済みのウラン燃料のみを再処理し、分離した核物質のMOX燃料としての再利用は、既にMOX燃料の装荷許可を受けている既存炉のみに限定し、その後中止する。使用済のMOX燃料や回収ウラン燃料は再処理しない。 

これら3つのシナリオにおける、地層処分対象となる放射性廃棄物の発生量の予測は以下の表のとおりである。シナリオ2と3では、使用済燃料を直接処分する必要性が生じるほか、高速炉を導入しないことにより、ウラン濃縮によってU-235が減損した劣化ウランが長寿命低レベル放射性廃棄物として、それぞれ470,000tHM及び400,000tHM発生するとしている。

 

シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3

原子力発電

既設炉(PWR)

50~60年

50~60年

40年

EPRによるリプレース

実施

実施

1基のみ

高速炉

導入あり

導入なし

導入なし

再処理

ウラン燃料

全量

全量

限定

MOX燃料

全量

高レベル放射性廃棄物

使用済のウラン燃料

3,700tHM

25,000tHM

使用済の
MOX燃料、FR燃料

5,400tHM

3,300tHM

ガラス固化体

12,000m3

9,400m3

4,200m3

長寿命中レベル放射性廃棄物

72,000m3

70,000m3

61,000m3

【出典】

 

【2019年3月15日追記】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2018年7月に公表した「放射性物質及び放射性廃棄物の国家インベントリレポート(2018年版)」の概要文書について、情報を最新化した「2019年版インベントリ概要文書」を公表した。本文書は、2019~2021年を対象とする「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関して、国家討論委員会(CNDP)が2019年4月15日以降の開催を予定している公開討論会での活用が想定されている。

2019年版インベントリ概要文書においては、2017年末時点でのフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量を取りまとめており、2016年末時点から約8万m3増加して約162万m3となっている。増加の主な理由としてANDRAは、Orano社(旧AREVA社)のウラン転換プラントの歴史的廃棄物を新たに「極低レベル放射性廃棄物」に区分したことを挙げている。

なお、高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物については、発生量の予測に変化がなく、2019年版インベントリ概要文書における地層処分対象となる放射性廃棄物の発生量の予測量は、2018年版のインベントリレポートと同じとしている。

【出典】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2018年6月18日に、「地層処分場:性能確認モニタリング及び定置後の高レベル放射性廃棄物・使用済燃料の回収可能性」と題する報告書(以下「性能確認・回収可能性報告書」という。)を公表した。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価することを職務として設置された独立の評価組織であり、性能確認・回収可能性報告書も連邦議会及びエネルギー長官に宛てられたものである。

性能確認・回収可能性報告書では、性能確認モニタリングと回収可能性に内在する課題等について、2018年3月27日に開催された放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)ミーティング(以下「NWTRB春期会合」という。)において、フランス、スイス、ベルギー、ドイツ、国際機関などの専門家からの見解をまとめるとともに、NWTRB春期会合での議論を踏まえたNWTRBとしての所見が示されている。NWTRBは、NWTRB春期会合の報告者に対して、以下の3つの質問に対応するよう求めていた。

  1. 操業時や性能確認のモニタリング及び回収可能性のために必要な要件は何か。
  2. これらの活動の実施において、技術的・制度的な課題となり得るものは何か。
  3. 国際的プログラムの教訓から、米国の地層処分場プログラムに適用可能なものは何か。

性能確認・回収可能性報告書では、NWTRB春期会合での見解や議論に基づくものとして、以下の所見が示されている。

  • 回収可能性は、処分場の初期設計における重要な検討事項であり、処分場開発費用への増加度合いは小さいにもかかわらず、仮に回収を考慮していなかった状態で回収が必要と決定された場合には、コスト及びスケジュールに対してより大きな影響を与えるものと考えられる。
  • 処分場の操業について評価し、操業や廃棄物回収に関する意思決定を支援するためのモニタリングも、処分場開発に不可分のものである。
  • モニタリングの目的と制約が理解され、方針変更や回収の必要性を示唆する指標が透明性を持ち、収集されたデータが実施主体と他のステークホルダーによる性能確認モデルでの使用や公衆の信任強化のために広く利用可能であることが重要である。
  • 地下研究所や処分場パイロット施設は、モニタリング技術や将来の回収可能性に対する信認及び技術的基盤を改善するものであり、社会的受容性の構築の実証サイトとして貢献し得る。
  • 現在の技術的な制約に対応するためには、モニタリング及びセンサー技術の長期的研究・開発・実証が必要である。
  • 処分場プログラムの実施及び意思決定に係る段階的アプローチは、意思決定を再評価して将来計画を修正する機会を提供するものとして重要である。
  • モニタリングデータの入手と解釈のための専門的な技術が利用可能となるように、将来世代への知識継承を図る方策が必要である。

性能確認・回収可能性報告書の結論では、他国における処分プログラムが処分場のモニタリングや廃棄物の回収可能性に係る教訓となることは明白であるとして、エネルギー省(DOE)が米国の地層処分場プログラムを推進する際に有益な情報を提供する目的で性能確認・回収可能性報告書を取りまとめたとしている。

【出典】

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第12回評価報告書を2018年6月21日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられている

CNEは、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトの他、長寿命低レベル放射性廃棄物や極低レベル放射性廃棄物の管理研究について、以下のような見解を示している。

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、地層処分場の設計を単純化し、掘削機械を活用した、より安全な工法を採用することによってコストを削減する方向で設計を進めている。ANDRAは地層処分プロジェクトのコスト試算をアップデートしたが、不確実性やリスクがコストに与える影響を明示すべきである。
  • ANDRAは、密閉構造物(プラグ)の性能についてより適切に評価し、閉鎖後の処分場の過渡的挙動を明らかにする研究を継続しているが、供用期間を通じた地層処分場の挙動のシミュレーションについては、サイトのパラメータの空間的分布の影響について詳細化しなければならない。なお、カロボ・オックスフォーディアン粘土層の境界部における放射性核種の長期的な移行について想定するための研究は十分である。
  • ビチューメン(アスファルト)固化体に関しては、長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道における火災発生の可能性や、火災が発生した場合に、処分坑道全体への火災拡大に関する研究が実施されている1 。これまで得られた知見について多様な角度からの解釈が行われており、さらに補完的な研究も実施されている。この問題に関してCNEは、国際的な検証が行われるべきであるとの立場であり、2018年3月に地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)が設置を発表した、国際専門委員会による検討状況を注視する方針である。
  • ANDRAは、地層処分場開発計画を進めるのに十分な知見を蓄積してきている。政府は、廃棄物の貯蔵などの短期的方策を優先することのリスクを十分に認識し、全ての関係者を関与させて、ANDRAが2019年に設置許可申請書を提出できるように取り組むべきである。
  • 原子力施設の廃止措置等に伴って発生する長寿命低レベル放射性廃棄物に関しては、処分場がいまだ決定していないため、ANDRAと廃棄物発生責任者が緊密に連携し、これらの廃棄物の特性を踏まえた管理戦略を原子力安全機関(ASN)に提案すべきである。
  • 原子力施設の廃止措置に伴い、多量に発生する極低レベル放射性廃棄物については、現在の処分場の処分容量が2030年には飽和すると予測されている。それらの再利用を行うためには、クリアランス制度2 の制定に関する法改正が必要である。この問題については結論に至っていないが、問題解決のための政策は、廃棄物の有害性に関する研究と社会的な期待に基づくものとすべきである。

なお、CNEは第12回評価報告書において、フランスの原子力・燃料サイクル政策が不透明であることの問題を指摘し、フランスが取りうる戦略オプションは以下の3つであるとしている。

  • 中長期的に高速炉開発も含めて原子力発電利用を継続するオプション
  • 高速炉開発を想定せずに原子力発電利用を継続するオプション
  • 運転寿命を迎える既存炉のリプレースも増設も行わずに原子力発電から撤退するオプション

CNEは、選択するオプションによって、放射性廃棄物の発生量、さらには地層処分場の設計にも影響が及ぶことから、現在実施されている多年度エネルギー計画(PPE)の見直しに関する公開討論会の終了後に3 、政府が原子力・燃料サイクル政策に関する中長期的な戦略を明示することを勧告している。ただし、CNEは、どのようなオプションを選ぶとしても、既に発生した放射性廃棄物の量と既に得られた技術的知見に鑑み、地層処分場の設置に向けた手続きを遅延させるべきではないとしている。

【出典】


  1. 原子力安全機関(ASN)は2018年1月に公表した地層処分場の安全オプション意見請求書に関する見解書において、ビチューメン固化体の特性を廃棄物発生者が速やかに明確化したうえで、処分坑道における火災を想定した対策に関する研究を実施するようANDRAに要請している []
  2. 放射性廃棄物のうち、放射性物質の放射能濃度が低く、健康への影響がほとんどないものについて、普通の廃棄物として再利用又は処分できる制度 []
  3. 2015年8月に制定されたエネルギー転換法に基づき、フランス政府は、エネルギー供給保証、エネルギー効率、再生可能エネルギー利用促進、エネルギー価格の競争力維持等の観点から、連続する2期間(各5年)を対象としてPPEを策定する。PPEは第1期間の終了時点で見直されるが、第1次PPEは2018年が見直し時期にあたっており、3~6月末までの予定で公開討論会が実施されている。 []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、2018年から5カ年の実施計画書を公表した。NWMOは2008年以降毎年、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書の案を公表し、広く国民から意見を聴取した上で最終化する手順を踏んでいる。NWMOは、今回の2018年からの実施計画書の公表に先がけて、2017年9月末から11月末までの約2ヶ月間にわたり意見募集を行っていた。2018~2022年の実施計画書では、今後5年間の戦略的目標として以下の8点を挙げている。

  • 国民や地元住民との持続的な関係の構築、及び社会の期待や価値観の変化等に対応した計画の変更
  • コミュニティとの協力によるサイト選定プロセスの前進
  • 処分場及び人工バリアシステムの安全性と実現可能性の実証
  • 建設及び操業の計画立案
  • 技術的知見の向上
  • 輸送計画の策定
  • 資金面での安定性の確保
  • ガバナンスの確保と説明責任の履行

今回公表された実施計画書からは、これらの戦略的目標や、その実現のための活動の適切性について、2018年7月20日まで意見を求める巻末アンケートが添付されており、NWMOは国民からの意見募集をより長い期間にわたって実施する意向を表明している。

候補サイト選定後、操業開始までの参照スケジュール

カナダでは現在、サイト選定プロセス第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が進められており、2017年末時点において、5つの自治体がサイト選定プロセスに残っている。NWMOは、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うこと見込んでおり、サイト選定プロセスに参加している自治体や関係組織に対して、NWMOの最新の情報に基づく最良のリファレンスとなるスケジュールを提示していく意向である。2018~2022年の実施計画書においてNWMOは、使用済燃料処分場プロジェクトのスケジュールは以下のように見込んでいることを明らかにしている。

2023年 1カ所の好ましいサイトを特定
2024年 サイト特性調査及び専門技術センター建設を開始
2028年 許可申請書の提出
2032年 建設許可の発給(推定)
2040~2045年 地層処分場の操業開始
 

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

フランスのエネルギー政策を所管する環境連帯移行省(Ministère de la Transition écologique et solidaire)は2018年3月7日に、地層処分プロジェクトに関する透明性強化の方針を公表した。今回の透明性強化の方針は、同日開催された、ルコルニュ環境連帯移行大臣付副大臣が座長を務める地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)1 において、「一般公衆との協議の実施」及び「地域経済開発計画と財源確保」についての措置を決定したものである。

一般公衆との協議の実施

  • 透明性を確保した全国規模での対話を行うため、政府は近日中に、2019~2021年を対象とする「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会2 の実施を国家討論委員会(CNDP)に付託する。公開討論会は2018年末に実施される予定であり、地層処分プロジェクトに限らず、放射性廃棄物に関する広範な問題を討論テーマとする。
  • 意思決定の根拠となる情報を一般公衆に開かれたものとするため、政府は以下の措置を講じる。
    • 政府、原子力安全機関(ASN)、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の主導で、地層処分計画に関するオンラインの情報センターを設置する。情報センターには、プロジェクトを推進する研究だけでなく、計画に対する反対意見も集められる。また、一般公衆は質問等を投稿できる。
    • 地層処分プロジェクトの実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、許認可申請に先立ち、政府による公益事業宣言(DUP)3 を受ける必要がある。ANDRAが政府に対してDUPの申請書を提出するまでの間、ユロ環境連帯移行大臣及びルコルニュ環境連帯移行大臣付副大臣は、3カ月に1度のペースで「専門家と市民社会」の対話フォーラムを開催する。同フォーラムには、議会科学技術選択評価局(OPECST)の議員、労働組合、NGO、有識者が参加する。なお、地層処分プロジェクトに関するDUPの申請は2018年中に予定されている。
    • 政府及び原子力安全機関(ASN)の指示の下、ビチューメン(アスファルト)固化体4に関する国際専門委員会を2018年中に設置する。なお、地層処分プロジェクトに関連するその他の科学的議論を行うため、別に同様な委員会を設置する可能性がある。
    • 国家討論委員会(CNDP)は、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の要請を受け、地層処分場プロジェクトに関する情報提供及び公衆参加を監督する2名の保証人(garants)を既に任命している
  • 地層処分プロジェクトを地域に根付かせるために、政府は、地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)の開催頻度を年2回に増やす。1回はパリの環境連帯移行省で、1回はムーズ県またはオート=マルヌ県の県庁で交互に開催する。また、2018年夏までに、フィンランド、ドイツ等の国外における放射性廃棄物の処分に関する調査ミッションを実施し、その結果を公開する。同ミッションには、ルコルニュ環境連帯移行大臣付副大臣、国会議員、地方議員及び専門家が参加する。

地域経済開発計画と財源確保

地層処分場の立地に必要なインフラ整備プロジェクトや経済支援に関する地方自治体と政府との間の協定について、2018年末までに内容を最終化する。この協定では、地域の経済発展を特に優先しながら、プロジェクトの優先順位付け行い、現実的な資金調達計画を策定することを目指す。

なお、政府は2019年度予算法の審議に向けて、地層処分場プロジェクトに関して徴収される税金の立地地域での分配について検討する作業部会を設置する。また、道路インフラの刷新に関する作業グループも設置する方針である。

 

【出典】

【2019年3月12日追記】

フランスのエネルギー政策を所管する環境連帯移行省(Ministère de la Transition écologique et solidaire)は2019年3月6日に、地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)を開催した。今回の会合では、2019~2021年のムーズ県及びオート=マルヌ県の地域経済開発に係る資金援助に関する地域開発協定(CDT)の内容が承認された。この地域開発協定は、ANDRAが行う地層処分場の立地に必要なインフラ整備プロジェクト、公共事業共同体(GIP)を通じた経済開発等の複数の枠組みで行われる支援活動が協調的なものなるように、地方自治体と政府との間の協定として検討が進められていたものである。この協定は、地域開発の方向性として、以下の4分野を取り扱っている。

  • 地層処分場の建設と操業に必要なインフラ整備の実施
  • 地層処分場近傍地域における社会・経済的ポテンシャルの強化
  • 整備措置を適切に組み合わせることによるムーズ県及びオート=マルヌ県の地域の魅力の向上
  • これら2県が備える経済・環境の魅力を維持する取り組み

なお、地域開発協定(CDT)は、従来から活動を続けている公益事業共同体(GIP)の枠組みとは別に締結されるものであり、今回のCHN会合で環境連帯移行省は、公益事業共同体(GIP)に対する資金援助を、2020年から2022年まで継続することも決定した。

 

【出典】


  1. 政府の代表、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、廃棄物発生者であるフランス電力株式会社(EDF)、Orano社(旧AREVA社)、原子力・代替エネルギー庁(CEA)、地元議員が参加し、地層処分場の立地が予定されているムーズ県及びオート・マルヌ県の地域経済開発プロジェクトについて協議する委員会である。 []
  2. フランスでは、環境法典に基づき、環境に多大な影響を及ぼす大規模公共事業や政策決定を行う際には、公開討論会の開催が義務付けられている。2013年には、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の地層処分場の設置許可申請に先立って、国民からの意見収集を行うための公開討論会が開催されている。 []
  3. 公益事業宣言(DPU)は、公用収用法典に基づいて、公共目的で行う開発のために私有地を収用する際の行政手続きである。当該開発プロジェクトを実施する事業者からの申請を受けて、公開ヒアリングを実施したうえで、政府が公益事業宣言を発出する。 []
  4. 原子力安全機関(ASN)は2018年1月に公表した地層処分場の安全オプション意見請求書に関する見解書において、ビチューメン固化体の特性を廃棄物発生者が速やかに明確化したうえで、処分坑道における火災を想定した対策に関する研究を実施するよう放射性廃棄物管理機関(ANDRA)に要請している 。 []

ドイツの放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)は2018年3月8日に、非発熱性放射性廃棄物1 の地層処分場であるコンラッド処分場の操業開始時期について、従来予定していた2022年から約5年間遅れ、2027年前半となる見通しであることを公表した。コンラッド処分場では、2007年から旧鉄鉱山を処分場とするための改造工事が進められている。BGEは今回のスケジュール変更について、2018年3月12日にコンラッド処分場の情報提供施設において開催する一般向けの情報提供イベントにおいて説明する予定である。

ドイツでは、2016年7月8日に成立した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」における原子力法改正により、コンラッド処分場を含む放射性廃棄物処分場の建設・操業・閉鎖を行う処分実施主体としての役割が、従来の連邦放射線防護庁(BfS)から、連邦政府100%所有の有限会社BGEに移管された 。この移管に際し、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)はBGEに対して、コンラッド処分場の建設状況を検証し、あらためて建設計画全体の具体的なスケジュールを示すよう指示していた。これを受けてBGEは、外部専門家に委託してコンラッド処分場の建設状況を精査し、その結果として今回の操業開始時期の遅延を公表したものである。

スケジュールの遅延が見込まれる原因として、外部専門家は、コンラッド処分場が現行の原子力法の下での初めての地層処分場であり、操業前の確認等のプロセスに時間を要すると考えられること、実施主体がBGEとなったことで建設作業等の新たな契約を結ぶ必要性が出てきたことなどを挙げている。なお、BMUBは、原子力発電所の廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物は各原子力発電所サイトなどで中間貯蔵が可能であるとして、コンラッド処分場の操業開始の遅延による原子力発電所の廃止措置作業への影響はないと説明している。

コンラッド処分場については、1982年に当時の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)により、原子力法に基づく計画確定手続の申請が開始され、2002年5月にはニーダーザクセン州により計画確定決議が行われた。この計画確定決議に対する異議申し立てに関する裁判が実施されたが、2007年4月に計画確定決議が法的に有効となった。

 

【出典】


  1. ドイツでは、処分した放射性廃棄物からの発熱によって処分空洞壁面の温度上昇が3℃以上となる場合、そのような廃棄物を「発熱性廃棄物」と定義している。それ以外の「非発熱性放射性廃棄物」は、いわゆる低中レベル放射性廃棄物に相当する。 []

米国で2018年2月12日に、2019会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでは、DOEの予算要求概要資料が2018年2月15日に公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、前年度の予算要求と同様に「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムが設けられており、120,000千ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでも予算要求資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の継続のための予算として、47,700千ドル(約53億9,000万円)が要求されている。

DOEの予算要求での「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムは、2018会計年度の予算要求と同様に、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続を復活させるというトランプ政権の決定を実施に移すものであり、処分場が開発されるまでの近い将来について、中間貯蔵の体制を確立するものとしている。なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動では、燃料サイクル研究開発プログラムの一部の「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)において、「同意に基づくサイト選定プロセスの構築」や「超深孔処分フィールド試験」などがオバマ政権の下で実施されていたが、IWMSプログラム自体の廃止が提案されている。ただし、IWMSプログラムに含められていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管されている。

一方、NRCの予算要求資料では、処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動の継続を支援する高レベル放射性廃棄物の予算として、47,700千ドル(約53億9,000万円)が計上されている。2019会計年度の主要な活動としては、裁判形式の裁決手続の再開準備、関連訴訟への参加と準備、許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)の再設置と維持、処分場地下操業エリア関連の規則策定活動の再開などが挙げられている。なお、これまでのNRCにおけるユッカマウンテン処分場に係る審査活動は、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で限定的に行われていた

また、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2017会計年度と比較して78,767千ドル(約89億70万円)増の403,487千ドル(約455億9,400万円)の予算が要求されている。予算要求額には、地下施設の掘削活動と定置活動を同時に行うための換気システムや排気立坑の費用として約85百万ドル(約96億円)が含まれている。

ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州選出の連邦議会議員からは、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。一方、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡では、ユッカマウンテン関連予算の要求を歓迎する声明が出されている。

なお、2018会計年度の歳出予算については、2018年3月23日までの継続予算が執行されているが、DOEやNRCから要求されていたユッカマウンテン関連の予算は認められていない。なお、2018会計年度のエネルギー・水資源分野の歳出法案については、連邦議会下院ではユッカマウンテン計画の再開のための予算が計上された法案(H.R.3266)が可決されていたが、上院歳出委員会で採択された歳出法案(S.1609)では、ユッカマウンテン計画のための予算は計上されていなかった

【出典】

 

【2018年3月16日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2018年3月15日にDOEのウェブサイトにおいて、2019会計年度2 の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2019会計年度の予算要求については、2018年2月12日に大統領の予算教書が公表されたが、DOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。

DOE予算要求資料では、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続の再開及び中間貯蔵の体制を確立するために新設する「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムについて、2019会計年度に行う事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(110,000千ドル(約124億円、1ドル=113円で換算))3

  • ユッカマウンテン許認可手続への参加の支援
  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • 原子力規制委員会(NRC)の原子力安全許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略の構築

中間貯蔵(10,000千ドル(約11億3,000万円))4

  • 集中中間貯蔵の能力及び関連する輸送を開発・評価・取得するために必要な活動・マイルストーン・リソースを含む計画の策定
  • 使用済燃料貯蔵及び輸送の能力の取得に向けた基盤開発の継続
  • 将来の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

また、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動のうち、DOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下の「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)については、2018会計年度予算要求ではプログラムの廃止が提案されていたが、2019会計年度のDOE予算要求資料では、高燃焼度燃料の性能の研究、及び使用済燃料等の大量輸送の準備を支援する研究開発を中心とした活動を行うとして、10,000千ドル(約11億3,000万円)の予算が計上されている。なお、オバマ前政権がUNFD研究開発プログラムの中で行ってきたその他の活動、及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS) については、廃止が提案されている。ただし、IWNSに含まれていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管されている。

【出典】

 

【2018年5月17日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2018年5月16日に開催した法案策定会合において、2019会計年度5 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下「歳出法案」という。)の草案を承認した。

本歳出法案の草案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として、DOEの予算要求額を100,000千ドル(113億円、1ドル=113円で換算)上回る220,000千ドル(248億6,000万円)が割り当てられている。また、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算としては、NRCの予算要求額と同じ47,700千ドル(約53億9,000万円)が割り当てられている。

また、歳出法案の草案では、2018会計年度の下院版の歳出法案と同様に、DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして補助金等を支給することが規定されている。ただし、これらの支給された資金は、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できないものとなっている。さらに、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じることも規定されている。

歳出法案の草案に付随する下院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として、DOEの予算要求額を上回る62,500千ドル(70億6,250万円)が計上されている。また、電磁技術が放射性廃棄物問題の改善に適用可能かについて、上下両院の歳出委員会に報告書を提出することをエネルギー長官に指示している。歳出委員会への報告書では、電磁技術の科学的基盤、放射性廃棄物及びその米国内での貯蔵に対する効果、原子力産業へのメリット、国家安全保障に対して持つ意味について評価するものとされている。さらに、DOEが実施している使用済燃料の安全な輸送に係る研究開発の取組は重要であるとして、可能な限り早急に使用済燃料の移動が行えるよう取組の継続を求めている。

なお、2018年5月16日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合においては、技術的な事項に係る修正案が承認されているが、これらの修正事項を反映し、法令番号を付した歳出法案は2018年5月17日時点では公表されていない.。

【出典】

 

【2018年5月28日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2018年5月24日に、2019会計年度6 の「エネルギー・水資源開発歳出法案(S.2975)」(以下「歳出法案」という。)を承認し、上院本会議に提出した。2019会計年度の歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度に上院本会議に提出された2018会計年度の歳出法案と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。また、2019会計年度の歳出法案では、エネルギー省(DOE)の予算要求段階では大幅削減及び廃止とされていたが、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発及び統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラムの予算が、2018会計年度に近い水準で計上されている。なお、2019会計年度の歳出法案には、ユッカマウンテン関連の予算及び記述は盛り込まれていない。

下表は、上下両院の歳出委員会でそれぞれ承認され、上下両院の本会議に提出された2019会計年度の歳出法案について、高レベル放射性廃棄物関連の予算計上金額及び予算のポイントを示したものである。

項目 連邦議会上院の歳出法案 連邦議会下院の歳出法案

研究開発

62,500千ドル(70億6,250万円、1ドル=113円で換算)

62,500千ドル(70億6,250万円)

  • 使用済燃料処分等(UNFD)研究開発として、処分及び貯蔵・輸送に係る一般的な研究開発活動を継続するための予算を計上

地層処分

【予算計上なし】

220,000千ドル(248億6,000万円)

  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • ユッカマウンテン処分場計画の再開のため許認可活動予算等を計上

中間貯蔵

35,300千ドル(約39億8,900万円)

【予算計上なし】

  • 統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)として集中中間貯蔵計画の実施のための予算を計上
  • 予算金額のうち10,000千ドル(11億3,000万円)については、中間貯蔵に係る民間事業者との契約締結をエネルギー長官に許可
  • 中間貯蔵のパイロットプログラムの実施をエネルギー長官に命じる規定(第304条)
  • 中間貯蔵プログラムの実施に関する記述はなし

高レベル放射性廃棄物の規制

【予算計上なし】

47,700千ドル(約53億9,000万円)

  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • 原子力規制委員会(NRC)における許認可手続予算

今回、上院本会議に提出された2019会計年度の歳出法案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(上院版歳出法案(S.2975)第304条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法案の施行後120日以内に、集中貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザルの公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

一方、2018年5月16日に下院歳出委員会で採択された下院版の2019会計年度の歳出法案(H.R.5895)では、高レベル放射性廃棄物に関連する条項が修正案として盛り込まれ、以下のような内容が規定されている。

再処理施設等の立地可能性の報告(下院版歳出法案(H.R.5895)第310条)

  • エネルギー長官は、ユッカマウンテンサイトの近傍において使用済燃料の再処理/リサイクル施設を立地する可能性に関する報告書を連邦議会に提出
  • 報告書では、使用済燃料の再処理/リサイクルに係る技術的便益、施設立地による地域への経済的便益、核燃料需給への国家安全保障上の意義、軍事用濃縮施設などその他施設の立地可能性について記載
  • 報告書策定に際しては、ネバダ州高等教育システム(NHES)研究所等と協議

今回、上院本会議に提出された2019会計年度の歳出法案に、ユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出のヘラー上院議員からは、予算計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。なお、ネバダ州選出のヘラー上院議員とマスト上院議員は、2018年5月17日に、上院歳出委員会に対し、ユッカマウンテンプロジェクトの予算を計上しないように求める連名の書簡を提出していた。

また、ネバダ州選出のローセン下院議員は、2018年5月24日のプレスリリースにおいて、下院本会議で2018年5月24日に可決された2019会計年度国防権限法案(NDAA、H.R.5515)において、ユッカマウンテンプロジェクトが空軍訓練活動等に与える影響に関する調査をエネルギー長官に指示する同議員の修正案が盛り込まれたことを伝えている。

【出典】

 

【2018年9月27日追記】

米国の連邦議会は、2018年9月13日に、2019会計年度7 のエネルギー・水資源開発分野を含むミニ包括歳出法案(H.R.5895、以下「歳出法案」という。)8 を可決し、2018年9月21日に大統領の署名を得て法律(Public Law No.115-244)として成立した。今回成立した歳出法案(H.R.5895)は、2018年6月8日に連邦議会下院本会議で可決された後、2018年6月25日に、上院版歳出法案(S.2975)の内容に置き換えられた上で9 、連邦議会上院本会議で可決されていた。その後、両院協議会による修正案及び合同説明文書を含む両院協議会報告書(H.Rept.115-929、以下「両院協議会報告書」という。)が、2018年9月12日に連邦議会上院本会議で、2018年9月13日には連邦議会下院本会議で、それぞれ承認された。

2019会計年度の歳出法案においては、ユッカマウンテン処分場計画の再開のための予算がエネルギー省(DOE)及び原子力規制委員会(NRC)の予算要求に盛り込まれ、連邦議会下院で可決された段階でも要求を上回る予算が計上されていたが、最終的に成立した歳出法案ではユッカマウンテン関連の予算は計上されていない。高レベル放射性廃棄物関連の予算としては、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとして、2018会計年度歳出予算 から約25%減の63,915千ドル(約72億2,240万円、1ドル=113円で換算)が計上されており、このうち22,500千ドル(約25億4,250万円)を「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)に割り当てる歳出予算が計上されている。

軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOEの予算要求と同額の396,907千ドル(約448億5,050万円)が計上されている10

なお、2019会計年度の歳出法案にユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出の連邦議会上院議員からは、予算計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。

その他、両院協議会報告書では、放射性廃棄物管理に関連するものとして、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)等の監視などを行っている国防核施設安全委員会(DNFSB)の機能の維持に関する規定、予定を含む廃止措置する原子力発電所の地元自治体が利用可能な官民の支援策に関してエネルギー長官に報告を命じる規定も盛り込まれている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  4. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  5. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  6. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  7. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2019会計年度の予算は2018年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  8. H.R.5895は、2019会計年度エネルギー・水資源開発歳出法案として下院歳出委員会で策定された後、立法府及び軍事建設・退役軍人に係る歳出法案を統合したミニ包括歳出法案として連邦議会両院で審議された。3分野の歳出法案のみの統合であることから、通常の包括(Omnibus)歳出法案に対し、ミニ包括(Minibus)歳出法案と呼ばれている。 []
  9. エネルギー・水資源開発以外の分野についても、それぞれ上院法案に置き換えられた。 []
  10. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOE予算要求書では保障措置・セキュリティ予算の一部として別途6,580千ドル(約7億4,350万円)が要求されていたが、両院協議会報告書では保障措置・セキュリティ予算の内訳が明示されていないため、保障措置・セキュリティ予算を除くWIPP関連の歳出予算額を示している。 []

台湾における原子力安全の規制行政機関である行政院原子能委員会(AEC)は2018年2月5日に、原子力発電事業者である台湾電力公司が「わが国の使用済燃料の最終処分に関する技術フィージビリティ評価報告」(以下「技術フィージビリティ評価報告」という。)等の文書を、レビューのために行政院原子能委員会に提出したことを公表した。台湾電力公司は、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体となっている。

台湾では、1978年以降、3カ所の原子力発電所で6基の原子炉が運転されている。ただし、電気事業法の2017年1月11日の改正において、2025年までの脱原子力の目標が法定された。使用済燃料の取扱について、1997年に行政院原子能委員会が策定した「放射性廃棄物管理方針」では、海外への再処理委託が排除されていないが、台湾電力公司は一部の使用済燃料の海外への再処理委託を計画していた。しかし、立法院(国会)が本件に係る予算を承認しなかったため、2015年以降、再処理計画は進んでいない。

高レベル放射性廃棄物処分について「放射性物料管理法施行細則」は、使用済燃料または再処理により発生した放射性廃棄物を「高レベル放射性廃棄物」と定義しており、また、「高レベル放射性廃棄物最終処分及び施設安全管理規則」では、高レベル放射性廃棄物は地層処分しなければならないと規定している。使用済燃料の処分について台湾電力公司は、2004年に「使用済燃料最終処分計画書」を策定しており、同計画は2006年に行政院原子能委員会が承認している。同計画では、2005年以降、処分場の建設が完了するまでが、以下の通り5段階に区分されている。

  • 処分候補母岩の特性調査と評価(2005~2017年)
  • 候補サイトの調査と検証(2018~2028年)
  • サイトの詳細調査及び試験(2029~2038年)
  • 処分場の設計と許可申請(2039~2044年)
  • 処分場の建設(2045~2055年)

2017年は「処分候補母岩の特性調査と評価」の段階の最終年であり、「使用済燃料最終処分計画書」では、同年に台湾電力公司が「技術フィージビリティ評価報告」を作成することとしていた。今回、台湾電力公司が行政院原子能委員会に提出した文書は、「技術フィージビリティ評価報告」の他、技術フィージビリティ評価報告に対する国際ピアレビュー報告書及び「候補サイトの提案 調査区域報告」である。

「技術フィージビリティ評価報告」では、地質環境、処分場の設計と工学技術、及び安全評価の3点が検討され、それぞれ以下の結論が示されている。

  1. 地質環境
    評価対象としたのは泥岩、花崗岩、及び中生代の地層であり、花崗岩を候補とすることを提案する。花崗岩を評価した結果、台湾には適性を有し、かつ、十分な大きさ及び地質学的特性を備えた花崗岩が存在している。台湾南西部の泥岩を対象から除外することを提案する。中生代の地層については、将来的に処分のフィージビリティを検討できるようにするため、引き続き研究を進める。
  2. 処分場の設計と工学技術
    現段階では、スウェーデンのKBS-3概念を参考にして、主な目標をKBS-3概念の自国化とし、徐々に建設能力を構築して関連する技術を掌握していくとともに、地質学的特性を踏まえて高度化させていく。フィージビリティ評価を経て、処分場の設計及び工学技術の能力が十分に構築され、地層処分の工学技術を備えるという現段階での目標は達成した。
  3. 安全評価
    国際的に先進的な安全評価の方法を導入し、台湾の母岩のパラメータを適用して、技術の自国化が達成された。また、設計及び工学技術との相互フィードバックを行い、処分システムの安全機能及び安全機能に関する指標の分析技術が確立された。

以上の結論から台湾電力公司は、「技術フィージビリティ評価報告」で示された段階的な技術開発の成果は、現時点での目標に達しており、今後は、現在の成果を基礎として、2018~28年の「候補サイトの調査と検証」以降の段階を進めていくとしている。

なお、台湾では、処分場が操業を開始するまでの間のため、使用済燃料及び低レベル放射性廃棄物を集中中間貯蔵する計画も進められている

【出典】

英国政府は2018年1月25日に、地層処分施設(GDF)に関する地域社会との協働プロセス案(イングランドと北アイルランドが対象)の協議文書を公開し、同日より2018年4月19日まで意見募集を行うことを公表した。また、ウェールズ政府も同日、ウェールズにおけるGDF設置に関する地域社会との協働プロセス案についての協議文書を公開し、同日より2018年4月20日まで意見募集を行うことを公表した。今回の協議文書において英国政府は、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)、GDFの受入れに関心を持つ地域と、その地域を内部に含む自治体議会等の複数の地方自治体との三者が係わり合う協働プロセスに関する提案を示している。

英国政府は現在、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に沿って、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めている。英国政府は、サイト選定プロセスを進める上で「地域(コミュニティ)」に係わる問題を最も難しいものと位置づけており、地域社会との協働プロセスの策定に向けて、2015年から「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)を設置して検討を進めてきた。また、2015年12月から2016年3月にかけて、科学コミュニケーションの促進を目的とした英国政府のプログラム「サイエンスワイズ」(Sciencewise Expert Resource Centre)を活用して、地層処分と地域社会との協働に関する公衆対話を実施していた。今回の協議文書は、これらの成果を踏まえて作成されたものである。

■新たなサイト選定プロセスにおける「地域」の捉え方

今回の協議文書では、サイト選定プロセスとは、地層処分施設の立地の可能性がある「地域(エリア)」を領域内に含む「地域(コミュニティ)」の特定を目指したアプローチであり、その開始から約20年にわたる時間経過と共に、「エリア」と「コミュニティ」の両方が、それらの数と大きさの面で狭められていく変化の過程として捉えられている。こうした認識のもと英国政府は、サイト選定プロセス初期の「調査エリア」を、「エリア」と「コミュニティ」の範囲が一致するように、選挙区を最小単位とし、地層処分施設の開発によって影響を受ける選挙区を含む全ての自治体を包括する形で定義するという考え方を提示している1 。また、サイト選定プロセスの途中段階では、調査エリアを包括する立地コミュニティを構成する自治体メンバーも変化することになる。そうした立地コミュニティは、サイト選定プロセスの開始当初から必ずしも存在しているとは限らないため、サイト選定プロセスを通じて発見あるいは新たに創設されることになる。地層処分施設の立地に関して意思決定する資格をもつ1つの<潜在的立地コミュニティ>が明らかになるまでは、当該エリアでの立地プロセスの継続に関する支持を調査・確認(test)する対象住民の範囲を明らかにできない。このような理由から、英国政府は、潜在的立地コミュニティが明確になるまでは、サイト選定プロセスに関係する個々の自治体が地層処分施設の受け入れ可否に関する意思決定を行う必要性に迫られることはないとしている。このことは、サイト選定プロセスへの参加にあたって、自治体が関心表明を行う必要はないことを意味している。

■新たなサイト選定プロセスにおけるパートナーシップ

今回の協議文書では、今後のサイト選定プロセスの開始にあたり、最初に地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)が、RWM社と協働する「コミュニティパートナーシップ」の構築を目的として、事前に公衆や様々なステークホルダーと対話を行う「関与形成チーム」(formative engagement team)を組織することとしている。このチームの構成員として、RWM社の職員のほか、独立したチーム長、ファシリテーター、別途提案される「調査エリア」に含まれる自治体組織(市議会、州議会など)、地元企業パートナーシップの代表2 が挙げられている。英国政府は、関与形成チームに地元企業パートナーシップが参画することによって、当該コミュニティにおける社会経済や産業基盤に関する影響に関する情報が入手できることを期待している。

 RWM社と協働するコミュニティパートナーシップの構築は、その活動方法、参加者の役割、意思決定方法などを定めた合意書に対する署名をもって有効になるものとしている。また、英国政府は、この時点から当該コミュニティに対し、経済振興、環境・福祉向上を目的とするプロジェクトに限定した形で、年間最大100万ポンド(1ポンド=149円として、1億4,900万円)、また、地下深部ボーリング調査の実施に至った際には年間最大250ポンド(約3億7,300万円)の資金提供を行うとしている。さらに、この資金提供は、RWM社を通じて行うとの考えを提示している。なお、この資金提供の給付申請を行う資格は、当該コミュニティに属する個人も可能としており、コミュニティパートナーシップとRWM社で構成される投資パネルの審査を受けることを条件としている。

■今後の予定

今後、英国政府は、公衆協議で得られた意見を検討した上で、協議の回答と最終的な政策を公表するとしている。また、RWM社は、英国政府が示す地域社会との協働プロセスに関する政策を、実際の地層処分施設のサイト選定プロセスの中で、どのように連携させるかについて、より詳細なガイダンスを作成するとしている。

 

【出典】

 

【2018年5月14日追記】

英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2018427日に、地層処分施設に関する地域社会との協働プロセス案への意見書を公表した。意見書においてCoRWMは、英国政府が公衆協議文書で意見を求めていた事項に関して、次のような意見を述べている。

■関与形成チーム(formative engagement team)の活用

本協働プロセス案では、サイト選定プロセスにおいて、地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)が、RWM社と協働する「コミュニティパートナーシップ」の構築を目的として、事前に公衆や様々なステークホルダーと対話を行う「関与形成チーム」を組織することになっている。しかし、CoRWMは、本協働プロセス案に示された説明だけでは、この関与形成の意味を公衆が正確に理解することは困難であると考えている。本協働プロセス案において、関与形成に関するガイダンス文書は、今後用意されると説明されているものの、その文書をRWM社が作成し、RWM社が関与形成チームに参加する場合には、関与形成が偏ったものになると見られる可能性があるとCoRWMは指摘している。

■協働するコミュニティパートナーシップの構築方法

CoRWMは、RWM社と協働するコミュニティパートナーシップの構築はできるだけ柔軟であるべきと考えているが、本協働プロセス案では選挙区を有する自治体組織(市議会、州議会など)の役割が強調され過ぎているとの認識を示している。また、コミュニティパートナーシップを形成するという目的において、選挙で選ばれた代表で構成される行政機構は重要であるが、そうした行政機構がコミュニティパートナーシップの構築を主導する役割を担う必要があるとは必ずしも言えないとしている。さらに、関与形成の段階においては、潜在的なホストコミュニティのメンバーと開発者としてのRWM社の間に、知識の不均衡が存在するのは避けられないため、政治的な意欲が強すぎると、問題を招く可能性があると指摘している。このためCoRWMは、パートナーシップのメンバー間の交流や情報伝達のペースが、弱者と見なされるコミュニティメンバーの意思で進むような配慮がされるべきであるとの意見を示している。

【出典】

• 英国政府ウェブサイト、CoRWM Consultation Response to BEIS and DAERA on ‘Working With Communities: Implementing Geological Disposal’、2018年4月27日、https://www.gov.uk/government/publications/corwm-consultation-response-to-beis-and-daera-on-working-with-communities-implementing-geological-disposal


  1. 「調査エリア」の定義は、イングランドと北アイルランド、ウェールズのそれぞれの地方自治制度に依存することとなる。 []
  2. 地元企業パートナーシップ(Local enterprise partnerships)とは、イングランドの地方行政組織と地元企業間が自発的に参加するパートナーシップであり、地元経済の発展や雇用創出に関する政策決定をサポートする役割を担っている。この制度は2011年当時のビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills)の政策によって導入された。 []

英国政府は2018年1月25日に、イングランド1 における地層処分施設(GDF)等に関する国家政策声明書(National Policy Statement, NPS)案及びその公衆協議文書を公開し、同日より2018年4月19日まで意見募集を行うことを公表した。英国政府は、現在、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に沿って、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めており、国家政策声明書(NPS)の策定をその主要目標の一つと位置づけている。

英国政府は、2014年白書において、2008年計画法を改正し、地層処分施設及びその候補サイトを評価するために必要な地上からのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)として定義する意向を表明していた。この法改正は2015年3月に完了しており、地上からのボーリング調査の実施前、及び地層処分施設(GDF)の建設前において、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要となっている。国家政策声明書(NPS)は、それらの開発同意令(DCO)の発給審査の基礎文書となるものであり、今後実施されるサイト選定プロセスにおいて、地域における地層処分事業基盤(インフラ)に関する開発合意の認可に関する法的な枠組みを提供するものとなる。

英国政府は、国家政策声明書(NPS)の策定に向けた準備として、2015年8月に、地層処分事業に関する持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の実施内容案を公表して、意見募集を行っていた。今回公表された国家政策声明書(NPS)案には、2008年計画法(2015年3月改正)に基づいて実施された持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の評価結果が含まれている。

今後の予定

2008年計画法(2015年3月改正)に基づいて、国家政策声明書(NPS)案は英国議会による審議・承認を受けることになっている。今回の地層処分施設等に関するNPS案は、2018年1月25日から約30週間にわたって、英国議会で審議(2018年8月下旬まで)される予定とされている。また、今回の2018年4月19日を期限とする意見募集で寄せられた意見に対する英国政府の回答文書も英国議会に提出されることになっている。

 

【出典】

 

【2018年5月11日追記】

英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2018年4月27日に、地層処分施設(GDF)に関する国家政策声明書(NPS)案への意見書を公表した。意見書においてCoRWMは、英国政府がNPS案及びその公衆協議文書で意見を求めた点に対して、概ね肯定的な意見を示す一方で、次のような意見を述べている。

  • CoRWMは、これまでに科学的な観点から、高レベル放射性廃棄物等の管理方針として、地層処分以外の合理的な代替案は存在しないという判断をしている。しかし、高レベル放射性廃棄物等の管理方針については、現状では少なくとも、①スコットランドが採用している地表近くに設置した施設での長期管理と、②最終処分するのではなく廃棄物の回収可能性を考慮した地層処分との「2つの管理方針」についての検討が他所で行われているため、国家政策声明書(NPS)においても、これら2つの管理方針の代替案についても評価対象とする必要がある。
  • CoRWMは、持続可能性評価(AoS)において、これら2つの管理方針の代替案について、実施した場合に生じる可能性のある重大な影響の評価結果を示すこと、また、NPSが正式に承認された後のプロセスにおいて、2つの管理方針の代替案と比較した結果として、地層処分施設(GDF)への最終処分を選択する理由が文書の形で示されることが正当なやり方であると考える。CoRWMは、GDFへの最終処分を選択する理由を明確に示す文書の存在は、今後の地域開発計画方針や開発同意の形成プロセスを進めていく上でも役立つと考える。

【出典】

 

【2018年8月7日追記】

英国議会下院のエネルギー・産業戦略委員会は、2018年7月31日に、地層処分施設(GDF)及び評価のためのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)にするための基礎となる国家政策声明書(NPS)案について、審議を行った結果をまとめた報告書を公表した。本委員会は、2008年計画法に基づいて、NPS案に関する審議を付託され、NPS案の内容と範囲とを中心に2018年5月から審議を行っていた。

同報告書において本委員会は、英国政府が今後策定する国家政策声明書(NPS)の最終化に向けて、以下のような意見・勧告を示している。

  • 国立公園及び特別自然美観地域(AMOB)が備える社会経済的な利益を保持しつつ、保護区域にある地上の施設への侵入を防止するように地層処分施設(GDF)を設計することは可能である、という英国政府の見解を支持する。国家政策声明書(NPS)において、そうした保護区域を除外区域として予め設定しなくても、既存の法律やNPSの枠内において、十分な環境保護措置が取られることになると認識している。
  • 新規原子炉から発生する高レベル放射性廃棄物等を含め、地層処分する放射性廃棄物のインベントリ予測について、どの程度不確かなものであるかを明示すべきである。
  • 将来のボーリング調査に先だって実施主体が提出する開発同意令(DCO)のための申請は、潜在的な立地コミュニティ内で実施される立地プロセスの継続に関する支持の調査・確認(test)までは行わないことについて、一般の人が理解しやすいように明示すべきである。
  • 地層処分施設(GDF)設置によって見込まれる地元の経済効果・人材雇用・スキル向上等の社会経済的な便益について具体的な内容を明示すべきである。

なお、本委員会は、2008年の英国政府白書に基づいて実施された地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスの教訓が国家政策声明書(NPS)案に十分反映されており、NPS案で示されたコミュニティが自発的にサイト選定プロセスに参加する方法を支持するとしている。

 

【出典】


  1. 英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、イングランド以外で地層処分施設を計画する場合は各地方自治政府が定める許可制度が適用される。 []