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米国の連邦議会上院の環境・公共事業委員会は、2019年4月24日付けのプレスリリースにおいて、「2019年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフト及び逐条解説を公表した。2019年放射性廃棄物政策修正法案は、2018年5月に連邦下院本会議で可決された「2017年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053、会期終了にともない廃案)と同様の法案であり、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)を修正するものとなっている。同プレスリリースにおいて今回の討議用ドラフトは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分に係る連邦政府の義務の履行を確実にするため、米国の放射性廃棄物管理政策の現実的な改革を行うものであるとしている。環境・公共事業委員会のウェブサイトでは、今回公表された法案の討議用ドラフトについて、検討する公聴会を2019年5月1日に開催する予定が示されている。

今回公表された2019年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトにおける法案の構成及び主要条文タイトルは以下の通りであり、2017年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.3053)において下院本会議で採択された修正案も織り込まれた内容となっている。

第I章 監視付き回収可能貯蔵1
監視付回収可能貯蔵(第101条)、権限と優先度(第102条)、監視付回収可能貯蔵協定の条件(第103条)、サイト選定(第105条)、便益協定(第106条)、許認可(第107条)、財政的支援(第108条)

第Ⅱ章 恒久処分場
土地収用・管轄権・保留地(第201条)、申請手続とインフラ活動(第202条)、申請中の処分場許認可申請(第203条)、軍事廃棄物専用処分場開発の制限(第204条)、輸送経路に関する連邦議会意見(第205条)

第Ⅲ章 エネルギー省(DOE)の契約履行
物質[使用済燃料]の所有権(第301条)

第Ⅳ章 立地自治体に対する便益
同意(第401条)、協定の内容(第402条)、対象となる地方政府(第403条)、高等教育機関への優先資金供与(第405条)、使用済燃料処分(第406条)、更新レポート(第407条)

第Ⅴ章 資金
見積り及び拠出金の徴収(第501条)、放射性廃棄物基金の使用(第502条)、複数年度予算要求の年次提出(第503条)、一定金額の利用可能性(第504条)

第Ⅵ章 その他
基準(第601条)、申請書(第602条)、輸送安全の支援(第603条)、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)(第604条)、海洋底下処分(subseabed disposal)または海洋処分(ocean water disposal)(第605条)、五大湖近傍での放射性廃棄物貯蔵に関する連邦議会意見(第606条)、予算上の効果(第607条)、残置された放射性廃棄物(第609条)

上院環境・公共事業委員会のプレスリリースでは、法案の討議用ドラフトのポイントとして以下を示している。

  • 停止状態のユッカマウンテン許認可審査の解決を支援し、処分場の許認可発給及び建設が可能かを決定する公式の許認可手続を可能とする。
  • 電気料金負担者を守るため、破綻した資金メカニズムを改革し、DOEが多世代に亘るインフラプロジェクトを建設・操業するために適切な資金が確保できるようにする。
  • ユッカマウンテン処分場の手続を進める間に、閉鎖された原子力発電サイトの使用済燃料を集約するための中間貯蔵プログラムを進めることを、非連邦組織との契約締結権限を含めて、DOEに指示する。
  • ネバダ州及び地域ステークホルダーが、処分場の立地地域として利益を享受できる取決めを連邦政府と行う機会を提供する。
  • 放射性廃棄物プログラムをより効果的に実施できるようDOEのプログラム管理及び組織を強化する。

今回の2019年放射性廃棄物政策修正法案の討議用ドラフトの公表に対して、ユッカマウンテンが立地するネバダ州選出の上院議員からは、連邦議会はネバダ州の意思を尊重すべきなどとし、ユッカマウンテン計画の再開を図る動きには強く反対することを表明するプレスリリースが出されている。

【出典】

 

【2019年5月7日追記】

米国の連邦議会上院の環境・公共事業委員会は、2019年5月1日に、「2019年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフトに関する公聴会を開催した。本公聴会では、ネバダ州選出の連邦議会上院議員2名のほか、電力会社、州公益事業委員会、非営利環境団体の代表らが証人として出席し、証言と質疑応答が行われた。

公聴会の終了後に環境・公共事業委員会のウェブサイトに掲載されたプレスリリースでは、2019年放射性廃棄物政策修正法案によってユッカマウンテン計画を進めることが解決策だとする見解をバラッソ委員長(共和党、ワイオミング州選出)が示す一方で、カーパー少数党最上席議員(民主党、デラウェア州選出)からは、同意に基づくサイト選定が重要であるなどの見解が示されている。

また、証人として出席した2名のネバダ州選出の上院議員からは、ユッカマウンテン計画への強い反対が示されたほか、ネバダ州知事からも書簡が提出された。一方、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡からは、ユッカマウンテン処分場に係る原子力規制委員会(NRC)の許認可審査手続きの完了を求める書簡が提出されている。

さらに、連邦議会上院では、2019年4月30日に、「2019年放射性廃棄物管理法案」(S.1234)も提出された。本法案は、上院エネルギー・天然資源委員会の委員長、歳出委員会エネルギー・水資源小委員会の委員長及び少数党最上席議員の3名が共同提出した超党派法案であり、過去に提出された「2013年放射性廃棄物管理法案」等と同様の法案とされている。

上院エネルギー・天然資源委員会の委員長のプレスリリースでは、2019年放射性廃棄物管理法案の主要な内容として、以下の点が示されている。

放射性廃棄物管理組織
エネルギー省(DOE)内に放射性廃棄物プログラムを管理する独立組織を設置する。同組織の長官は、大統領が指名し、上院の承認を経て任命される。

処分場及び集中貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセス
閉鎖された原子力発電所からの使用済燃料などの優先的な使用済燃料のためのパイロット貯蔵施設、及びその他の使用済燃料のための集中中間貯蔵施設の建設を新組織に命じる。
貯蔵施設及び処分場のサイト選定プロセスを確立する。

貯蔵施設と処分場のリンク
パイロット貯蔵施設の建設は、貯蔵量の制限なしに直ちに承認する。
優先的な使用済燃料以外のための新たな貯蔵施設については、並行して進められる処分場プログラムの進捗を条件として、サイト選定を可能とする。

放射性廃棄物基金
放射性廃棄物管理組織が歳出予算措置を経ずに利用可能となる、新しい運営資本基金を財務省に創設し、電力会社が拠出金を払い込む。本法案の成立前に払い込まれた拠出金は、従来からの1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に基づく放射性廃棄物基金に残り、歳出予算の対象となる。

軍事起源廃棄物
エネルギー長官が、軍事起源廃棄物を民間の使用済燃料と共同で処分するとした方針を見直すことを認め、必要、適切と判断された場合には軍事起源廃棄物の専用処分場の開発を認める。

なお、ネバダ州選出議員からは、処分場に関する放射性廃棄物基金からの支出には、州知事などの関係者の承認・協定締結を必要とすることなどを規定する「放射性廃棄物インフォームドコンセント法案」(S.649、H.R.1544)や、「2019年廃棄物よりも雇用法案(Jobs, Not Waste Act of 2019)」(S.721)が提出されている。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。 []

ビューラッハにおけるボーリング孔掘削の様子

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は2019年4月15日に、地質学的候補エリア「北部レゲレン」でのボーリング調査の地点であるビューラッハ(Bülach)において、2018年12月に開始したサイト選定第3段階で最初となるボーリング孔の掘削作業に着手した。最大2,000メートルの深度までボーリング孔を掘削する計画であり、処分場の母岩となるオパリナス粘土層の厚さ、透水性、組成の調査等を行う。ボーリング掘削作業には、6~9ヶ月を要する見込みである。

NAGRAは、作業現場に情報公開コーナーを設置するほか、オープンデーを設けて現地見学を可能にする予定であり、市民・ステークホルダーに対してボーリング調査に関する情報提供を行うとしている。

ボーリング調査の許可手続きと進捗状況

サイト選定プロセスを定めた特別計画「地層処分場」(詳細はこちら)によると、サイト選定第3段階では、概要承認の申請書提出に向けた準備を行う上で、安全性の観点からの詳細な比較を可能とするため、必要に応じて弾性波探査、ボーリング調査などの地球科学的調査を行って、サイト特有の地質学的知見を収集することになっている。サイト選定第3段階には、3つの地質学的候補エリア「ジュラ東部」「北部レゲレン」「チューリッヒ北東部」が残っている。

三次元弾性波探査については、NAGRAがサイト選定第2段階の期間において先行的に実施済みである 。ボーリング調査のような地下に影響を及ぼす地球科学的調査の実施にあたっては、スイスの原子力法に基づき、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)の許可が必要とされている。UVEKが2019年1月に公表したボーリング調査の許可発給状況によれば、NAGRAは3つの地質学的候補エリア内の合計23の調査候補地点についてボーリング調査の許可申請を行っており、うち4地点について許可発給を受けている。

NAGRAは、今回のビューラッハに続き、既にボーリング調査の許可発給を受けている地質学的候補エリア「チューリッヒ北東部」のトリュリコン(Trüllikon)において、2019年夏にボーリング調査を開始する予定としている。

 

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、2019年3月26日付の適合性再認定申請書(CRA)(以下「2019年CRA」という。)をウェブサイトで公表した。WIPPでは、1999年3月26日から、軍事起源のTRU廃棄物の地層処分が実施されているが、1992年WIPP土地収用法により、廃棄物の定置開始以降の5年毎に、廃止措置段階が終了するまで、連邦規則(CFR)の要件に適合していることの認定を受けることが要求されている。これまで3回の適合性再認定申請を行い、環境保護庁(EPA)が適合性認定の決定を行っており、今回が4度目の適合性再認定申請となる。

適合性再認定申請 適合性再認定の決定
1 2004年3月26日 2006年3月29日
2 2009年3月24日 2010年11月18日
3 2014年3月26日 2017年7月13日

前回の2014年3月26日に提出された3度目の適合性再認定申請書(以下「2014年CRA」という。)は、2013年1月1日までのデータに基づいて策定されていたが、その提出直前の2014年2月に、WIPPで火災事故及び放射線事象が発生し、微量の放射性物質が環境モニタリングで検出された。この放射線事象を受けてWIPPの操業は一時停止され、復旧活動が進められたが、DOEは、この放射線事象は処分場の長期的性能に影響するものではなく、WIPPはEPAの連邦規則である「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物の管理と処分のための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 191サブパートB・C)の要件を引き続き遵守しているとして、2017年1月に処分場の操業を再開している。EPAは、2017年7月13日に、WIPPが引き続きEPAの連邦規則に適合しているとして、適合性再認定の決定を行った。

DOEは、今回提出した2019年CRAの要約版において、今回の適合性再認定のサイクルは、次の2点で従来のサイクルとは異なるとしている。

  • 2014年CRAに係るEPAの決定が遅れたため、次の2019年CRAまでの間隔が短くなった。
  • 2014年CRAに係るEPAの決定文書では、DOEが2019年CRAで対応すべき技術的懸念や勧告が示されていた。

このため、DOEとEPAは2017年12月に、2019年CRAにおける性能評価(PA)の提出を2019年後半まで遅らせることで合意していた模様である。DOEは、2014年CRAの決定文書でEPAが指摘した技術的懸念事項への回答は、後に性能評価とともに提出されるとしている。なお、2014年CRAに係るEPAの決定の後、DOEはEPAの承認を必要とするような変更要求(PCR、planned change request)を行っていないことから、2014年CRAにおける性能評価は、2019年CRAにおいても引き続き性能評価のベースとして参照されているとしている。なお、DOEは、2014年CRA以降に、EPAの連邦規則への適合性に影響するような新たな情報は確認されていないとしている。

【出典】

 

【2019年7月4日追記】

米国のエネルギー省(DOE)環境管理局(EM)は、2019年7月2日付けのニュースにおいて、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)で、1999年の操業開始から12,500回目となるTRU廃棄物の受入れを行ったことを公表した。

WIPPでは、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象により操業が停止されていたが、2017年1月4日にはTRU廃棄物の定置を再開し、2018年1月には地下施設の掘削活動も再開された。また、連邦規則への適合性に関する4回目の再認定申請についても、2019年3月26日に環境保護庁(EPA)へ提出されている。

今回のニュースによれば、12,500回目の受入れとなったTRU廃棄物は、アイダホ国立研究所(INL)から搬出されたものであり、2019年6月27日にWIPPで受入れが行われた。WIPPへのTRU廃棄物の輸送距離は延べ1,490万マイル(約2,400万km)以上となっており、178,500以上の廃棄体容器の輸送が行われた。WIPPの輸送手順は、TRU廃棄物の発生サイトを出発してからWIPPに到着するまで一つの問題も発生しないように実施されており、輸送業界の中で最も厳しいものの一つとされている。

なお、WIPPでTRU廃棄物の受入れが開始されたのは1999年3月26日であり、操業開始から20周年となる2019年3月26日には、WIPPの20周年の記念式典も行われていた。WIPPウェブサイトによれば、2019年7月1日現在のTRU廃棄物の処分量は、約96,300m3となっている。

【出典】

フランスの国家討論委員会(CNDP)1は、2019年4月10日に自身のウェブサイトにおいて、政府が策定中の2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会を2019年4月17日より開始するとし、討論会の日程を公表した。PNGMDRは、フランスにおける全ての放射性物質と放射性廃棄物の管理の現状分析と管理方策の実現に向けた取組(研究開発を含む)を取りまとめたものであり、公開討論会は2019年9月25日までの予定でパリをはじめ、フランス国内の各都市で開催される。

PNGMDRは2006年の放射性廃棄物等管理計画法により、政府による3年ごとの策定・改定が義務付けられており、前回2016~2018年を対象としたPNGMDRは2017年2月に公表されている。2017年の法改正2 を受けて、2019~2021年を対象とする新たなPNGMDRの策定に先がけて、公開討論会が開催されることとなった。

今回の公開討論会は、2018年2月に環境連帯移行省が国家討論委員会(CNDP)に対し、PNGMDRに関する公開討論会の実施を付託したものである。環境連帯移行省は、今回の公開討論会を地層処分プロジェクトに関する透明性強化の方針に沿ったものであると説明している。国家討論委員会(CNDP)は2018年中に、公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)を設置し、以下のメンバーを任命していた。

  • イザベル・アレル=デュリトゥ(委員長):フランスにおける司法訴訟の最高裁判所である破棄院の首席書記官
  • ピエール=イヴ・ジュイエヌフ:農業経済学者であり、公衆参加や協議の分野の専門家
  • アントワーヌ・ティロワ:独マックスプランク研究所の理論物理学者
  • カトリーヌ・ラレール:哲学者、パリ第一大学教授
  • イサベル・バルト:元グルノーブル都市圏議員、CNDPが過去に実施した公開討論会の情報提供及び公衆参加を監督する2名の保証人(garants)を務めた経験を有する
  • ミッシェル・バドレ:土木技術者、社会経済環境審議会(CESE)の副会長
  • フィリップ・クエヴレモン:土木技術者、CNDPの保証人(garants)を務めた経験を有する
  • ジュリエット・ロワド:ニュース解説を専門とする組織の設立者、市民参加に関するコンサルタント

国家討論委員会(CNDP)は、PNGMDRに関する公開討論会のための特設ウェブサイト(https://pngmdr.debatpublic.fr/)を開設しており、同ウェブサイトから意見表明や討論を行えるプラットフォームにアクセスできる。また、TwitterやFacebook等のソーシャルネットワークサービス(SNS)やニュースレターによる情報発信も行われている。

公開討論会は、以下の日程で実施される予定である。

日程 開催都市 テーマ
2019年4月17日 パリ 開会
4月24日 カン CAFÉ PHILO : 放射性廃棄物について・・・次世代に何を引き継ぐのか?
5月18日~19日 パリ 15人の市民パネル会合
5月24日~25日 パリ PNGMDRとそのガバナンスに関する分野横断的な学生グループ会合
5月28日 リール 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
6月4日 ヴァランス [討論会] 原子力発電所の廃止措置で発生する廃棄物の対応
6月6日 ナルボンヌ [討論会] ウラン転換によって発生する廃棄物とその管理
6月11日 シェルブール [討論会] 使用済燃料の再処理の戦略と長期的影響
6月13日 レンヌ 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
6月18日 ヌヴェール [討論会] 使用済燃料の貯蔵容量ひっ迫への対応
6月20日 バール・ル・デュック [討論会] 地層処分以外の最終処分のオプション
6月25日 リヨン CAFÉ PHILO : 放射性廃棄物に関するリスクとは?
6月27日 サクレー [討論会] 放射性物質と廃棄物との区別
7月2日 ボルドー 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
7月4日 ルーアン [討論会] 放射性物質の輸送
7月9日 トゥール [討論会] 放射性廃棄物管理による健康や環境への影響
7月11日 ストラスブール 放射性物質及び放射性廃棄物の管理
9月4日 マルクール [討論会] 歴史的廃棄物
9月5日 サンテティエンヌ [討論会] 過去のウラン採掘サイトの健康や環境への影響
9月11日 パリ [討論会] 放射性物質と廃棄物の発生量の抑制
9月12日 グラヴリーヌ [討論会] 原子力事故で発生した廃棄物の管理
9月17日 トロワ [討論会] 長寿命低レベル放射性廃棄物の管理
9月19日 パリ [討論会] 放射性廃棄物管理のガバナンス
9月24日 パリ 公開討論会全体の振り返り
9月25日 パリ 閉会

 

【出典】


  1. 国家討論委員会(CNDP)は、環境に多大な影響を及ぼす大規模公共事業や政策決定を行うにあたり、事業実施主体の付託を受けて公開討論会を開催する独立した行政委員会である。 []
  2. 環境に重大な影響を及ぼす可能性のある意思決定に関する情報提供や公衆参加を確保するための手続き及び事業、計画等に係る環境影響評価に関する2017年4月25日のデクレ2017-626 []

ベルギーの放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、2019年4月5日に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の設置に関する環境影響評価(EIA)報告書案について、公開協議を開始したことを公表した。ONDRAF/NIRASは、ベルギー北部のデッセル自治体に浅地中処分場を建設する予定であり、EIA報告書案の環境に関する分野について、下記の3点についてコメントを求めている。なお、公開協議は、2019年5月3日まで実施される予定である。

  • 地域レベルでの環境条件や問題点、懸念
  • 計画されている処分場の建設・操業に関する懸念
  • 想定される代替オプション、影響の緩和策等

今後、ONDRAF/NIRASは、寄せられた意見等を踏まえてEIA報告書を最終化して環境許可申請書を取りまとめ、デッセル自治体を管轄するフランダース地域政府に提出することとなっている。フランダース地域政府は、EIA報告書の内容を審査し、環境許可発給の是非を判断することになっている。なお、審査段階においても、公衆の意見聴取が実施される予定である。

デッセル自治体に建設予定の浅地中処分場の概観イメージ

図 デッセル自治体に建設予定の浅地中処分場の概観イメージ(EIA報告書案より引用)

ベルギーでは2006年6月に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物の処分場をデッセル自治体に設置することが決定され、2013年1月には、ONDRAF/NIRASが浅地中処分場の建設許可申請書を連邦原子力管理庁(FANC)に提出していた。ONDRAF/NIRASは2019年2月に、浅地中処分場の安全報告書の改訂版をFANCに再提出しており、安全審査が進められている。今回の浅地中処分場の設置に関するEIA報告書は、安全報告書とともに、許認可取得に向けて必要となる提出書類の一つである1 。なお、FANCとフランダース地域政府は、それぞれの審査を円滑に進めるため、協定を結んでいる。

 

【出典】

 


  1. ベルギーの浅地中処分施設の許認可プロセスは、「電離放射線の危険に対する公衆、職業人、環境の防護に関する一般規則を定める2001年7月20日の王令」(GRR-2001)に基づくものである。また、環境影響評価に関しては、欧州指令1985/337/EEG及びユーラトム条約第37条の適用に関する欧州委員会の勧告2010/635/Euratomに基づき作成する必要がある。 []

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は2019年4月4日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等に関して、キャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明書を、政府(環境省)に提出したことを公表した 。今回の補足説明書の提出は、環境法典に基づく許可発給が可能となるための条件として、土地・環境裁判所による2018年1月23日付けの意見書での指摘に対応したものである。SKB社は、この補足説明書を同社の技術報告書として発行しており、KBS-3概念1 を採用した処分により、放射線安全機関(SSM)が定めている安全要件を遵守できるとの結論を示している。

図 フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

■銅製キャニスタの腐食に関する補足説明の内容

土地・環境裁判所は、2018年1月23日にスウェーデン政府に宛てた意見書において、SKB社による安全性の立証は信頼に足るものであると評価しつつも、使用済燃料を閉じ込める銅製キャニスタの腐食や機械的強度に影響を与えるプロセスの影響の大きさに関する説明は不十分であるとし、銅製キャニスタの腐食に関する以下の5点について補足説明の必要性を指摘していた 。

①無酸素水との反応による腐食
②硫化物との反応による孔食(熱水効果〔塩濃縮〕の影響の考慮を含む)
③硫化物との反応による応力腐食(熱水効果の影響の考慮を含む)
④水素脆化
⑤放射線照射が孔食、応力腐食及び水素脆化に及ぼす影響

SKB社は、今回提出した補足説明の技術報告書において、地下水に含まれる硫化物が銅製キャニスタと接触した際に、銅の母相界面に形成される局部電池が誘発するガルバニック腐食現象に起因する孔食(上記②)の可能性は無視できないとした。SKB社は、キャニスタでの孔食発生を組み込んだ安全解析を実施し、銅製キャニスタと地下水とが接触する時期が早まる悲観的なケースにおいても、スウェーデンにおいて自然放射線によって受ける被ばく線量の約100分の1、放射線安全機関(SSM)のリスク基準の約10分の1にとどまるとの結果を示している。

SKB社は、今回のキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明書の提出にあたり、技術的・科学的な品質を確保するために外部のピアレビューを受けたと説明している。また、SKB社は、今回の補足説明書の提出により、環境省において、使用済燃料の最終処分場の立地・建設許可申請に対する政府としての意思決定に向けた検討作業を進めることができるようになったと述べている。

【出典】

 

【2019年4月26日追記】

スウェーデン政府(環境省)は2019年4月25日付けのプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出したキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明書に対する意見募集を開始したことを公表した。意見募集先は、環境法典と原子力活動法のそれぞれを根拠として、放射線安全機関(SSM)や他の政府機関、大学、環境団体のほか、エストハンマル自治体などを対象としているが、指定された組織以外の個人等も意見書を提出することが可能となっている。意見書の提出期限は2019年9月13日となっている。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、地下約500メートルに設けられる処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きに定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら))の実施に関して、2019年から2023年までの5カ年の実施計画書を公表した。NWMOは、毎年、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書を公表している。今回の実施計画書の対象期間には、NWMOが1カ所の好ましいサイトの特定を予定する2023年が含まれている。なお、2019年4月現在、NWMOは5つの自治体において、サイト選定プロセスの第3段階「使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的調査」の第2フェーズとして現地調査を実施している

NWMOは、今回公表した実施計画書において、2023年を重要なマイルストーンと位置付け、それに向けた取り組みとして下記の7つの優先事項を挙げ、それぞれにおける実施内容を示している。

  1. 工学技術:工学的設計をさらに発展させ、その有効性を実証する。
    • プロトタイプの処分容器、緩衝材、定置システムの設計、製造、試験を完了する。
    • ボーリング調査、予備的な環境ベースライン調査で得られたデータを活用したサイト固有の概念的な処分場設計の整備を行う。
    • 人工バリアの評価のためのプロトタイプ試験及び実証施設を維持する。
    • 必要に応じてAPMの概念設計とコスト見積りを更新するとともに、使用済燃料取扱システムの設計と開発を開始する。
  1. サイト評価:候補サイトにおける詳細な現地調査を継続し、社会的・技術的両面でのサイト評価を実施していく。
    • ボーリング調査を継続するとともに、プロジェクトの要件に合致する可能性が高い地域における地球科学的、工学的、環境的及び安全性の要因と先住民の有識者や地域社会によって特定された要因の評価について情報提供するために現地調査を拡大する。
    • 地域社会との調査結果の再検討を通じて、調査対象地域の絞り込みを継続する。
  1. 安全性:サイト固有の予備的なセーフティケースを構築し、長期安全性を確認する取り組みを強化する。また、国際機関や諸外国の実施主体との協力に基づく研究を継続する。
    • カナダ国内外の大学との共同研究を通じてプロジェクトの科学的側面の理解を深め、その結果を学術誌、会議論文、技術報告書で提示する。
    • IAEA「使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」に基づくカナダの国際的義務を継続する。
    • 諸外国の研究者とともに、スイスのモン・テリ岩盤研究所プロジェクト及びグリムゼル試験サイトでの研究に引き続き協力する。
    • カナダ原子力学会、OECD/NEAやIAEAなどが主催する国内及び国際会議、ワークショップ、国際共同研究への参加を継続する。
    • 学術界と産業界の研究者による地球科学セミナーの開催を継続する。
    • カナダ自然科学・工学研究会議(NSERC)の奨学金プログラムを通じて、大学院生を支援する。
    • 地域住民の安全に対する理解を深めるための討論の場を構築・支援する。
    • 地下水の流れ、閉じ込め容器からの放出と移行及び熱-水-力学連成プロセスの評価を含めて、安全評価モデルを整備・改良する。
    • 処分場の安全性に影響を与える可能性があるプロセスについて科学的理解を促進する。
    • 地層処分場閉鎖後の安全評価のサイト固有のじ実例を通して、技術的安全性の考慮事項の調査を継続する。
  1. 人材の確保:2023年のサイト特定以降の段階に備え、NWMOの要員確保などに関する戦略を立案するとともに、地域における雇用の促進に向けた取り組みを強化する。
    • 将来の許認可申請をサポートするため、選定された地域の詳細なサイト特性調査、環境アセスメント、工学的設計及びセーフティケースの開発を進めるためのワークプランを検討し、要員の要件を評価する。
    • 選定された地域に建設される専門技術センターの概念等を検討する。
    • 潜在的なサイトでの現地スタッフのプレゼンスを構築し、プロジェクトに関する現地契約の機会を提供する。
    • 地方自治体の青少年及び住民の能力向上を支援するとともに、先住民がAPMプロジェクトやその地域の他の大規模プロジェクトに関連する就業機会を確保するためにサイト選定プロセスに関与を促す。
  1. 許認可:許認可や規制上の承認を得るための戦略を立案・実施するとともに、持続可能性の確保のための、自然環境、健康及び社会福祉の変化を特定するための調査を行う。
    • 立地地域と協力して影響評価手法を開発する。
    • 地域の持続可能な開発へのプロジェクトの貢献のために必要な情報を提供するプログラムを開発する。
    • 地域住民や先住民の有識者と連携して、潜在的なサイトにおけるベースライン環境モニタリングを確立する。
    • カナダ原子力安全委員会(CNSC)などの規制当局と協力して、規制プロセスの要件を理解することにより、NWMOの戦略を説明できるようにする。
    • 潜在的な受入地域と協力して、規制プロセスにおける役割を明確にし、プロセスに参加できるよう関与を促進する。
    • 地元の伝統的な知識を評価に織り込むための先住民との共同作業など、地域社会などの人々と協力しながら地域の自然環境に対する理解を深める機会を創出する。
  1. 輸送:関心のある自治体、個人及びグループの関与を促進し、輸送計画に対する信頼構築のための技術的作業(リスク評価、輸送方法の検討等)を行う。
  1. 公衆の関与:2023年にサイトを特定するために、地域での関与や現地調査を進め、自治体とのパートナーシップ協定締結に向けた取り組みを行う。
    • 「適応性のある段階的管理」(APM)の実施、サイト選定プロセス、サイト選定後の取り組み及びNWMOに対するカナダ国民の認識を高めるとともに、受け取った情報を一般に報告する。
    • プロジェクトに対する若年層の認識と理解を深め、APMに関連する将来の意思決定能力を高める。
    • 核燃料の最終的な輸送の計画を含むAPMの進捗状況について、カナダの原子力立地地域に説明する。
    • 以下との関係を構築し維持する。
      • サイト選定プロセスへの参加を選択した関心のある地域、その地域の先住民及びその周辺地域
      • APM及びサイト選定プロセスの進捗状況を共有するための国、州及び地域レベルに設けられている先住民組織
      • 地方自治体が重要と考える観点をより良く理解し、協力してAPMを実施していくために設けられている自治体連合体(複数州にまたがる連合体)
      • 連邦、州、地方自治体
    • 先住民地域の文化や言語、慣習、取り組みは多様であることを認識しつつ、先住民の有識者を含む潜在的に影響を受ける先住民との協力を続ける。
    • より具体的に「社会的受容(social acceptance)」及び「喜んで受け入れる(willing host)」という用語を定義し、どのように立証できるか理解するために、サイト選定プロセスに関与する自治体、地域、先住民と協働する。
    • 地域などでの議論をサポートするための展示やわかりやすいコミュニケーション資料、視聴覚ツールの開発を継続する。
    • NWMOのWebサイト及びソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じた関与を拡大する。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

米国で2019年3月11日に、2020会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでは、DOEの予算要求のファクトシートが公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムとして116百万ドル(約131億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでは予算要求に係る概要資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続のための予算として、38,500千ドル(約43億5,000万円)が要求されている。

大統領の予算教書では、今回の予算要求は、中間貯蔵プログラムの実施を支援し、ユッカマウンテン地層処分場の許認可審査手続を再開することにより、トランプ政権の決意を示すものであるとしている。また、予算教書では、現在は停止されている原子力発電事業者からの放射性廃棄物基金への拠出金 について、2022会計年度から徴収を再開することも示されている。

DOEの予算要求に関して、2019会計年度の歳出法では、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動について、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラムとして63,915千ドル(約72億2,240万円)、このうち22,500千ドル(約25億4,250万円)を「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)に割り当てる歳出予算が計上されているが、2019年3月11日時点では2020会計年度のDOEの予算要求に係る詳細資料は公表されておらず、「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムの詳細は不明である。

一方、NRCの予算要求資料では、処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動を支援する高レベル放射性廃棄物の予算として、38,500千ドル(約43億5,000万円)が計上されているが、NRCの予算要求についても詳細資料は公表されておらず、予算要求の内訳等は不明である。

なお、ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州では、知事及び同州選出の連邦議会議員から、ユッカマウンテン関連の予算が要求されたことを非難するプレスリリースが出されている。

【出典】

 

【2019年3月20日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は2019年3月18日に、2020会計年度2 の予算要求に係る詳細資料(以下「NRC予算要求資料」という。)を公表した。NRC予算要求資料では、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動を再開するため、NRCが高レベル放射性廃棄物の予算として要求している38,500千ドル(約43億5,000万円)について、項目別の内訳が示されるとともに、裁判形式の裁決手続の再開準備など、主要な活動内容が示されている。

NRC予算要求資料によれば、ユッカマウンテン処分場に係る2020会計年度の高レベル放射性廃棄物の予算の内訳は、以下のとおりとされている。

・許認可審査: 30,600千ドル (約34億6,000万円)
・監督: 200千ドル (約2,000万円)
・規則策定活動: 1,300千ドル (約1億5,000万円)
・任務支援・監督: 5,400千ドル (約6億1,000万円)
・訓練: 400千ドル (約5,000万円)
・旅費交通費: 700千ドル (約8,000万円)
合計: 38,500千ドル (約43億5,000万円)
※予算の桁数の関係から、額の合計は合計の値と合っていない。

また、NRC予算要求資料では、2020会計年度における高レベル放射性廃棄物の予算要求に係る主要な活動として、以下が示されている。

  • ヒアリング施設及び情報技術(IT)/視聴覚支援のためのインフラ整備活動の実施
    (許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)、電子情報交換、電子ヒアリング記録(Electronic Hearing Docket)などのITシステムの試験、検証、訓練を含む)
  • 裁判形式の裁決手続の再開
    (証言録取、事件管理協議、略式決定動議などのプレヒアリング活動を含む)
  • 継続中の連邦訴訟の準備及び参加
  • 申立てや取調べ活動、地層処分場操業区域(GROA)に関連する規則策定の継続などの活動の支援

なお、エネルギー省(DOE)の2020会計年度の予算要求については、予算の概要資料が2019年3月18日に公表されており、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2019会計年度と比較して5,133千ドル減の398,334千ドル(約450億1,200万円)の予算要求額が示されている。

【出典】

 

【2019年4月3日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2019年4月2日に、DOEのウェブサイトにおいて、2020会計年度3 の原子力関連等の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2020会計年度の予算要求については、2019年3月11日に大統領の予算教書が公表されたが、使用済燃料管理等に係るDOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。なお、DOEの予算要求に対して連邦議会では、上下両院でエネルギー長官を証人とした公聴会が開かれており、実質的に2020年度歳出法案の策定プロセスが開始されている。

DOE予算要求資料では、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続の再開及び中間貯蔵の体制を確立するために新設する「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラム(YMISP)について、2020会計年度に行う事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(106,084千ドル(約120億円、1ドル=113円で換算)、2019会計年度要求額は110,000千ドル)4

  • ユッカマウンテン許認可手続への参加の支援
  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • 原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略構築の継続

中間貯蔵(9,916千ドル(約11億2,000万円)、2019会計年度要求額は10,000千ドル)5

  • 集中中間貯蔵の能力及び関連する輸送を開発・評価・取得するために必要な活動、マイルストーン、資源を含む計画の策定
  • 使用済燃料貯蔵及び輸送の能力の取得に向けた基盤開発の継続
  • 将来の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

また、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動のうち、DOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下の「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)については、2019会計年度予算要求 と同様に、高燃焼度燃料の性能の研究、多様な使用済燃料等を対象とした潜在的な代替処分オプションに関する国際共同研究に焦点を当てた活動を行うとした上で、前年度要求額の2分の1の5,000千ドル(約5億6,500万円)の予算が要求されている。なお、オバマ前政権がUNFD研究開発プログラムの中で行ってきたその他の活動、及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS) については、廃止が提案されている。ただし、従来はIWNSに含まれていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管されている。

連邦議会では、DOEの2020会計年度の予算要求に関する公聴会が開催されている。公聴会は、以下に示すとおりの日程で上下両院の関連委員会が開催したものであり、エネルギー長官が証人として出席して2020会計年度の予算要求について説明するとともに、各委員会の委員による質疑が行われた。エネルギー長官の証言書では、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続の再開及び中間貯蔵プログラムの開始に係るトランプ政権の意思が改めて表明されている。6

  • 2019年3月26日:下院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会
  • 2019年3月27日:上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会
  • 2019年4月 2日:上院エネルギー・天然資源委員会

なお、上院エネルギー・天然資源委員会の公聴会では、ネバダ州選出のマスト上院議員が耐震評価問題などを採り上げてユッカマウンテン計画への強い反対を示した他、ネバダ州選出の下院議員3名は、下院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会の委員長等に宛てた書簡で、ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物処分を阻止するための条項等を歳出法案に盛り込むよう要請している。ネバダ州知事も、2019年4月2日のプレスリリースにおいて、ユッカマウンテン計画に対する反対の戦いを続けることを表明している。

【出典】

 

【2019年5月22日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2019年5月21日に開催した法案策定会合において、2020会計年度7 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下「歳出法案」という。)の草案を承認した。ユッカマウンテン処分場の許認可審査手続きの再開等のための予算については、エネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)から要求されていたが、今回承認された歳出法案には含まれていない。

歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書の草案では、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動について、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として62,500千ドル(69億3,750万円、1ドル=111円で換算)が計上されているほか、「統合廃棄物管理貯蔵(IWMS、Integrated Waste Management Storage)」の予算として47,500千ドル(52億7,250万円)が計上されている。IWMS予算のうち25,000千ドル(27億7,500万円)は、使用済燃料が残された廃止措置済みの原子力発電所サイト等における準備活動を含め、地域的な輸送協定や輸送の調整を再開する「集中中間貯蔵プログラム(consolidated interim storage program)」の開始など、使用済燃料の中間貯蔵の活動のための予算とされている。

また、下院歳出委員会報告書の草案では、種々の核燃料サイクルや技術的なオプションのメリットと実現可能性についての評価を、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)に指示している。本評価は、廃棄物の輸送・貯蔵・処分など燃料サイクルのすべての要素間の関係や、より広範な安全性・セキュリティ・核不拡散上の懸念について、説明するものとなるとしている。

一方、今回の歳出法案に計上されなかった「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムの予算、及びユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続のための予算に関して、下院歳出委員会の法案策定会合では、歳出委員会エネルギー・水資源小委員会の少数党最上席議員(共和党)から、これらの予算を計上する修正案が提出されたが、25対27で否決された。

ネバダ州選出のタイタス下院議員からは、ユッカマウンテン許認可審査手続きを再開するための修正案が否決されたことを伝え、今後も連邦議会下院議長やネバダ州知事らとともに反対を続けていくことを表明するプレスリリースが発出されている。

なお、2019年5月21日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合においては、技術的な事項に係る修正案等が承認されているが、これらの修正事項を反映し、法令番号を付した歳出法案は2019年5月22日時点で公表されていない.。

【出典】

 

【2019年6月24日追記】

米国の連邦議会下院は、2019年6月19日の本会議において、2020会計年度8 「労働省、保健福祉省、教育省、その他関連機関の歳出法案」(H.R.2740、以下「本歳出法案」という。)を、226対203で可決した。本歳出法案は、労働省等の2020会計年度の歳出法案(H.R.2740)に「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.2960)など、4つの歳出法案をまとめた「ミニバス法案」である。本歳出法案において高レベル放射性廃棄物管理に係る予算については、2019年5月21日に下院歳出委員会で承認された内容からの修正はなく、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算は計上されていない。なお、本歳出法案に付随する委員会報告書は、2019年5月21日に下院歳出委員会で承認されたものとなっている。

本歳出法案の下院本会議における審議に向けては、ユッカマウンテン許認可審査手続きを再開するための予算を含めるような修正案も提出されたが、本会議で審議された本歳出法案には当該予算は含まれなかった。本歳出法案の下院本会議における審議については、下院議事運営委員会で承認された修正案のみが本会議で審議されることとなっていたが、ユッカマウンテン許認可審査手続きの再開に係る修正案は、事前に行われた議事運営委員会における投票において4対7で否決されていた。

ネバダ州選出の下院議員からは、ユッカマウンテン許認可審査手続きの再開のための予算が本歳出法案に計上されなかったことを評価し、今後もネバダ州における処分場建設には反対を続けていくことを表明するプレスリリースが発出されている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2020会計年度の予算は2019年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2020会計年度の予算は2019年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2020会計年度の予算は2019年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  4. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  5. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  6. 上院環境・公共事業委員会では、2019年4月2日に、原子力規制委員会(NRC)の予算要求に係る公聴会が開催されている。 []
  7. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2020会計年度の予算は2019年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  8. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2020会計年度の予算は2019年10月1日からの1年間に対するものである。 []

英国政府は2018年12月19日、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に代わるイングランドの政策文書である『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)を公表するとともに、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)による地層処分施設(GDF)の新たなサイト選定プロセスが開始されたことを公表した。一方、2018年政策文書の公表に併せてRWM社は、2014年白書に基づいて取り組んでいた英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」(National geological screening exercise)の結果を公表するとともに、今後のサイト選定プロセスを通じて地域社会と協働して進めていく「サイト評価方法案」に関する協議文書を公表した。サイト評価方法案に対する意見募集は、2019年3月31日まで行われる。

■サイト評価方法案に関する協議文書で提案されたサイト選定で考慮する立地要因と評価項目

図:サイト選定プロセスの全体像

英国政府は、2018年政策文書で新たなサイト選定プロセスとして、今後約5年間を「サイト評価期間」(site evaluation)とし、複数の「調査エリア」(Search Area)を探すことを計画に盛り込んだ。RWM社は、ボランタリーなワーキンググループ(下記参照)との初期対話において、今回提示した既存の地質情報に基づく地質学的スクリーニングの結果を活用しつつ、自治体組織が参加する「コミュニティパートナーシップ」(下記参照)の設立を目指すとしている。今回RWM社が提示した協議文書では、地層処分施設の立地要因(Siting Factors)として、①安全、②コミュニティ、③環境、④工学的成立性、⑤輸送、⑥コストの6つを挙げている。このうち、2番目の「コミュニティ」では、「コミュニティの福祉」と「立地コミュニティの将来ビジョン」を評価項目(Evaluation consideration)として位置づけている。6つの立地要因間での序列や重み付けはなく、定性的な評価方式を採用するとしている。

■新たなサイト選定プロセス:初期対話とワーキンググループの設置

2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設(GDF)の設置に関心を示す者、または設置候補エリアを提案したい者であれば、RWM社との初期対話(initial discussion)を開始できる。初期対話の関心表明は、必ずしも自治体当局である必要はなく、土地所有者や企業、団体、個人であっても可能であるとしている。初期対話において、GDF設置に向けた更なる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織(市議会、州議会など)に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させることになる。これを目的として、RWM社、関心表明者の他、独立したグループ長とファシリテータを加えた準備組織「ワーキンググループ」を設立することを2018年政策文書において取り決めている。英国政府は、ワーキンググループに自治体組織が入ることが望ましいとする見解を示しているが、必須条件とはしていない。

ワーキンググループは、その設置を当該地域の自治体組織に報告した後、RWM社がGDF設置の潜在的な適合性を確認する「調査エリア」の特定作業を進める。調査エリアは、自治体組織の選挙区を最小単位にするように設定するとしており、これにより、コミュニティや自治体組織等の協議への参加可能者が特定されるとしている。

■コミュニティパートナーシップの設立

英国政府は、「調査エリア」の地理的範囲はRWM社の協議文書「サイト評価方法案」で定めた立地要因に基づく検討が進むに従って変化するものであるとしており、ワーキンググループの活動によって調査エリアの範囲が定まっていくにつれて「コミュニティパートナーシップ」の範囲に収斂していくと見込んでいる。2018年政策文書では、「コミュニティパートナーシップ」を当該コミュニティにおける情報共有、地層処分・サイト選定プロセス・地域の便益に関する対話と理解を促進するために設置されると位置づけている。コミュニティパートナーシップの設立には、調査エリアにある自治体組織の合意が必須であり、同パートナーシップの構成メンバーには、少なくとも一つの自治体組織が参画する必要がある。英国政府は、同パートナーシップを形成するコミュニティに対し、経済振興、環境・福祉向上を目的とするプロジェクトに限定した形で、年間最大100万ポンド(1億4,900万円)、地下深部ボーリング調査の実施に至った際には年間最大250万ポンド(約3億7,300万円)の資金提供を行うとしている。

■サイト選定プロセスにおける住民支持の調査・確認の義務と撤退権に関する取り決め

英国政府は、今回の2018年政策文書の公表に先立って、2018年1月25日から4月19日まで、地域社会との協働プロセスに関する公衆協議を実施した 。この公衆協議を通じて寄せられた意見に基づき、英国政府は、サイト選定プロセスにおいて、自治体組織(市議会、州議会など)が果たす重要な役割である「住民支持の調査・確認(test)」と「撤退権」に関する条件を明確にしている。

英国では、地層処分施設及びその候補サイトを評価するために必要な地上からのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)と位置づけており、地上からのボーリング調査の実施前、及び地層処分施設(GDF)の建設前において、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要となっている。コミュニティパートナーシップに参画する自治体組織は、遅くともRWM社が地層処分場の建設許可申請を行う前までに、地層処分施設(GDF)の設置受け入れに関して、住民支持の調査・確認(test)を実施する必要がある。また、サイト選定プロセスにおいては、住民支持の調査・確認が実施される前であれば、自治体組織はサイト選定プロセスから撤退する権利を有することが認識されている。

英国政府は2018年政策文書において、住民支持の調査・確認を行う時期を決定する権限は、コミュニティパートナーシップに参画する自治体組織が有するとしつつ、コミュニティパートナーシップに複数の自治体組織が参画している場合には、全ての自治体組織がその実施時期に合意しなければならないことを明確にした。また、自治体組織がサイト選定プロセスから撤退する権利を行使する際には、当該コミュニティパートナーシップに参画している全ての自治体組織が撤退に合意する必要があることを明確にしている。

【出典】

 

【2019年6月7日追記】

英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2019年6月4日に、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)による「サイト評価方法案」への意見書を公表した。意見書においてCoRWMは、RWM社が示した地層処分施設(GDF)の立地要因の一つである「コスト」については、建設コストがGDFの安全性やサイト選定プロセスを阻害することにならないことを条件とすべきである点を指摘している。また、サイト評価方法の説明文書が、コミュニティとの初期対話において役立つものとなるよう、次のような意見を示した。

  • 現時点ではおそらく、複数の調査エリア内から、サイトを絞り込む方法を詳しく説明するのは時期尚早であるが、サイトを見出す目的で、調査エリア内を地質条件の違いで色分け(differentiate)する方法を説明しておくことは有益と考えられる。その作業でどのような種類の情報が重み付けされるかを人々が考えることができれば、各エリアがどのように比較判断を受ける可能性があるかを理解する上で役立つ情報となる。同様に、サイト選定プロセスの各段階において検討されるサイト数の目安、並びに次段階に進むサイト数を絞る観点から、いつ比較が行われるのかを解説しておくことも有益と考えられる。
  • 潜在的コミュニティがサイト選定プロセスに参加する時期は、コミュニティによって異なるうえ、参加後の進み方を左右する個別の事情を抱えている。もし、後から参加した潜在的コミュニティが先行するコミュニティに対して引け目を感じたり、十分な情報を得ることなく除外される可能性があると考えるようなことがあれば、立地に適したサイトが初めから除外されるおそれがある。したがって、プロセスの全体的な進行がどのように管理されるのかに関する情報が重要である。
  • 地層処分施設(GDF)の立地要因には「地質」(geology)が含まれていないが、サイト評価方法案において、GDFにとっての地質の重要性を概略的に説明しておくことは有益と考えられる。同様に、現行の英国政府の政策である「地域社会との協働」に関する情報やサイト選定プロセスの全体的な背景情報を盛り込むことも有益と考えられる。
  • RWM社のサイト評価方法案では、非常に技術的な表現が散見される。文書の理解を助け、親しみやすくするだけでなく、人々の関与を後押しするものとするため、人間味のあるものとする(humanising)ことを考えるべきである。また、地層処分施設(GDF)のサイト評価の方法について、他の原子力施設やインフラプロジェクトの場合との比較分析(ベンチマーク)の情報が役立つと考えられる。

【出典】

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2018年12月14日、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関する規制の枠組みを示した規制文書「REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み」(以下「REGDOC-2.11」という。)を公表した。REGDOC-2.11は、放射性廃棄物管理及び廃止措置の規制に対するCNSCの取り組みの基本的考え方と原則を示す文書であり、放射性廃棄物管理の国の枠組み、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関するCNSCの規制の枠組みと監督、国際的義務などが記されている。

CNSCは、原子力産業に対する規制に関する情報を、事業者及びカナダ国民に明瞭かつ論理的な形で提供することを目的として、規制文書の再編成を進めている。従来は、規制文書の位置づけや拘束力に応じて、規制方針(P)、規制基準(S)、規制指針(G)、規制通知(N)の4シリーズに区分していたが、これを規制対象分野で区分した階層番号形式に変更し、規制文書へのアクセス性を改善している。

廃棄物管理に関する規制文書REGDOC-2.11シリーズは、今回公表された最上位の文書のほか、下位の3巻の文書で構成されている。

文書名

策定状況

備考

REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み

2018年12月発行

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理

未策定

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第2巻:ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理

2018年11月発行

従来の「ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理 RD/GD-370」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物管理の長期安全性の評価

2018年5月発行

従来の「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価 規制指針G-320」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

CNSCの規制文書のREGDOC-2.11シリーズへの再編では、従来の「規制方針P-290 放射性廃棄物の管理」(2004年)及び「規制指針G-320 放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」(2006年)は、形式的な変更はされているものの、内容的な変更はされずに取り込まれている。

なお、CNSCは別途の規制文書として、「REGDOC-1.2.1地層処分場のサイト特性調査に関するガイダンス」の策定に向けた取り組みを進めており、2018年10月19日にREGDOC-1.2.1の案を公表し、2018年12月17日を期限として公衆からの意見募集を行っている

【出典】

 

【2019年5月28日追記】

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2019年5月24日、規制文書「REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物の長期管理のためのセーフティケース」の案を公表し、2019年8月30日を期限として公衆からの意見募集を開始した。本規制文書案は、処分場の閉鎖後長期における処分場性能(performance)や影響の評価に関して、許認可申請者・取得者が作成するセーフティケース及びその主体となる安全評価に係る要件やガイダンスを示すものである。本規制文書案でセーフティケースとは、処分場が安全であり、すべての適用される規制要件を満足することを立証する論拠と証拠を統合的に集めたもの(integrated collection)と定義している。なお、現行のREGDOC-2.11.1第3巻の文書名は「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」であるが、今回公表された規制文書案は、内容を全面的に刷新したものとなっている。

【出典】