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原子力規制委員会(NRC)は、2020年3月20日付けの連邦官報において、ホルテック・インターナショナル社(以下「ホルテック社」という。)がニューメキシコ州で計画している使用済燃料等の中間貯蔵施設について、建設・操業・廃止措置等に係るドラフト環境影響評価書(DEIS)に対するパブリックコメントの募集を開始することを告示した。NRCは、2020年3月10日付けのニュースリリースにおいて、DEISを公表するとともに、DEISに対するパブリックコメントの募集及びパブリックミーティングの開催を行う予定を公表していた。DEISでは、ホルテック社が申請した使用済燃料等の貯蔵が環境に与える影響は小さいとして、許認可発給を勧告するNRCスタッフの評価が示されている。NRCスタッフは、パブリックコメントのレビューを行った上で、2021年3月までに最終環境影響評価書(FEIS)を策定する予定としている。

具体的にDEISでは、NRCがホルテック社から2017年3月31日に受領した中間貯蔵施設の許認可申請書等を踏まえて、プロジェクトの第1段階(Phase 1)として行われる500基の乾式貯蔵キャスクによる約8,680トンの使用済燃料等の貯蔵について評価が行われている。ホルテック社は、20段階に分けて貯蔵プロジェクトを実施し、最終的には10,000基の乾式貯蔵キャスクで約10万トンの使用済燃料等の貯蔵を行う計画である。NRCは、保守的な境界条件の下での解析(bounding analysis)を行うものとして、第2~20段階の実施を含む貯蔵プロジェクト全体についての評価も行っており、見込まれる環境影響は小さいとしている。また、DEISでは、内務省(DOI)土地管理局(BLM)による評価に基づいて、中間貯蔵施設への鉄道支線の建設及び運行に対して許認可発給を勧告するとのNRCの意見も示されている。

DEISは、500ページ近くに及ぶ文書となっており、NRCウェブサイトのホルテック社集中中間貯蔵施設のページでは、DEIS本体のファイルや連邦官報告示へのリンクとともに、環境影響評価書(EIS)の読者ガイドも公表されている。本読者ガイドでは、DEISの概要とともに、ホルテック社の中間貯蔵プロジェクトの概要、NRCの許認可審査手続きの概要などについても、図等を含めて示されている。

ホルテック社の集中中間貯蔵施設の建設予定サイト

なお、ホルテック社の中間貯蔵施設は、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体から構成されるエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)のサイトでの建設を計画するものであり、ニューメキシコ州環境省(NMED)も、NRCとの協定を締結して協力機関(cooperating agency)として位置付けられている。NMEDは、EISの策定において、水資源に関する問題でNRCスタッフと協力しているほか、DEISの草案段階でコメントも提出していた。NRCは、NMEDのコメントに対応した上でDEISを策定したとしている。

DEISに対するパブリックコメントの募集は2020年5月22日までの期間で行われるものとされ、NRCは、パブリックコメントの募集と並行してパブリックミーティングも開催する予定としている。

【出典】

英国の地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2020年2月18日に、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の候補サイトの評価方法を示した文書(以下「サイト評価方法書」という)を公表した。また、同日に、土地利用制度等が異なるウェールズ向けのサイト評価方法書も公表した1 。サイト評価方法書は、地層処分施設の「立地要因」と各立地要因の「評価項目」とを示したものであり、今後、地層処分施設のサイト選定プロセスが進むにつれて、それらがどのように組み合わされ、適用されていくのかを分かりやすく説明することを目的としている。
サイト評価方法書の公表に先立ちRWM社は、2018年12月及び2019年1月に、イングランドとウェールズにおいて公衆協議を実施していた 。RWM社は、公衆協議で90件の意見書で寄せられた約800件のコメントを反映して、サイト評価方法書の目的を明確化にし、表現をわかりやすく改めたほか、特に複数サイトの比較評価(comparative assessment)に関する説明を充実したとしている。

■地層処分施設の「立地要因」と「評価項目」

RWM社は、地層処分施設の立地において検討すべき「立地要因」として、①安全とセキュリティ、②コミュニティ、③環境、④工学的成立性、⑤輸送、⑥支払いに見合った価値(Value For Money)2 の6つを設定している。これらの立地要因について検討すべき内容を明確にするため、それぞれの立地要因ごとに2~7つに細分化した「評価項目」を設定している。

立地要因(Siting Factor) 評価項目(Evaluation consideration)
①安全とセキュリティ
(Safety and Security)
・サイト調査期間中の安全
・建設期間中の安全
・操業期間中の安全
・閉鎖後の安全
・マネジメント要件
・セキュリティ
・保障措置
②コミュニティ
(Community)
・コミュニティの福祉
・社会
・経済
・健康
・地元コミュニティのビジョン
③環境
(Environment)
・環境影響
・生息地と種の保護
④工学的成立性
(Engineering Feasibility)
・柔軟性
・調査可能性
・設計・建設可能性
・処分インベントリ
・持続可能な設計
・廃棄物の調整とパッケージ
・回収可能性
⑤輸送
(Transport)
・輸送の安全
・輸送のセキュリティ
・輸送への影響
⑥支払いに見合った価値
(Value For Money)
・ライフタイムのコストと価値
・廃棄物の処分スケジュール

■サイト選定プロセスの進行とサイト評価の関係

サイト選定の概略図
(出典:RWM, 協議文書「サイト評価方法案」(2018)の図を一部修正)

RWM社は今後、英国政府の2018年12月の政策文書である『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)で示されたサイト選定プロセスに沿って、以下のように評価を進めていくとしている。

  • 今後、複数の地域社会(コミュニティ)がサイト選定プロセスに参加するタイミングは異なると予想しており、RWM社は、それぞれの地域社会の希望にあわせて参加できるように協力して作業を進めていく。
  •  初期対話(initial discussion)の期間:GDFの設置に関心を示す人々などとの初期対話の段階では、地質学的スクリーニング等の既存情報をもとに「安全性」に焦点をあてた評価を実施することになる見通しである。この段階では、容易に入手できる情報のみを評価に使用する。
  • ワーキンググループとの活動期間: RWM社、関心を示す人々の他、独立したグループ長とファシリテータを加えた準備組織「ワーキンググループ」が「調査エリア」(Search Area)を特定する段階では、調査エリアについて、当該地域の特性や特徴、また、地域の課題を理解するための情報を収集し、GDF設置の潜在的な適合性を評価する。この段階では、容易に入手できる情報のみを評価に使用する。
  • パートナーシップの活動期間:当該コミュニティにおける情報共有、地層処分・サイト選定プロセス・地域の便益に関する対話と理解を促進するためにコミュニティパートナーシップが設置された段階で、初めて調査エリアに関する新たな情報を収集するための調査が開始される。当初の「サイト調査」では、空中物理探査のような地上からの調査のみが行われる。
  • サイト調査からサイト特性調査への移行期間:現在のサイト選定プロセスでは、サイト調査終了後、ボーリング調査などを行う「サイト特性調査」が行われる。英国では、ボーリング調査を行う前に、2008年計画法に基づく開発同意令(DCO)と環境許可が必要となる。RWM社は、開発同意申請を行うため、サイト調査などで得られた情報を用いて評価を行う。この評価では、サイト評価方法書で提示された立地項目と評価項目に基づいた評価を行う予定である。また、この段階で複数のコミュニティがサイト選定プロセスに参加している場合、客観的な比較評価(comparative evaluation)が実施される可能性がある。

【出典】


  1. サイト評価方法書において地方自治制度や土地利用計画制度などの地方自治政府に権限が委譲されている事項に関しては、イングランドでの英国政府とウェールズ政府の制度が反映されたものとなっている。 []
  2. 支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方 []

米国で2020年2月10日に、2021会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理についてトランプ政権は、ユッカマウンテン計画の膠着状態を打破して進展を図るため、代替の解決策(alternative solutions)を開発するためのプロセスを開始し、実行可能な方策の開発において州を関与させていくとの方針が示されている。

また、大統領の予算教書では、代替の解決策の開発と並行して、立地点(host)になる意思のある場所での展開可能なシステムに焦点を合わせた、高レベル放射性廃棄物のロバストな中間貯蔵プログラムの実施、貯蔵・輸送・処分のための代替技術の研究開発をサポートすることも示されている。予算教書の添付資料では、高レベル放射性廃棄物処分の項目において、「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムの予算として27,500千ドル(29億7,000万円、1ドル=108円で換算)が計上されている。同プログラムでは、中間貯蔵プログラムの開発及び実施のほか、ユッカマウンテンの維持や環境要件、セキュリティ関連の活動など1982年放射性廃棄物政策法で規定された管理義務を含め、放射性廃棄物基金の監督を行うことが示されている。

エネルギー省(DOE)のウェブサイトでは、2021会計年度の予算要求に関するプレスリリースが発出され、DOEの予算要求のファクトシートが公表されているが、高レベル放射性廃棄物の管理については言及されておらず、現状、予算要求の具体的な内容は不明である。

なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分に関連する活動について、2020会計年度の歳出法では、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラムとして62,500千ドル(67億5,000万円)、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として25,000千ドル(27億円)を割り当てる歳出予算が計上されているが、これらの予算要求の詳細も不明である。

一方、原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料では、2021会計年度の予算要求においては、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動のための予算は含まれていないことが示されている。

これまでユッカマウンテン計画については、トランプ大統領の2020年2月6日のTwitter投稿において、ユッカマウンテンに関するネバダ州の意見を聴いて尊重すること、政権は革新的なアプローチを探ることを確約することが示されていた。ユッカマウンテン計画に反対するネバダ州では、ユッカマウンテン関連の予算を要求しないことを評価する旨のプレスリリースをネバダ州知事が発出している。

【出典】

 

【2020年2月27日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は2020年2月26日に、DOEのウェブサイトにおいて、2021会計年度2 の原子力等(第3巻パート2)の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2021会計年度の予算要求については、2020年2月10日に大統領の予算教書が公表されたが、使用済燃料管理等に係るDOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。DOE予算要求資料では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、予算教書の添付資料で示されていた「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムの27,500千ドル(29億7,000万円、1ドル=108円で換算)のほか、「使用済燃料処分等(UNFD)研究開発プログラム」として60,000千ドル(64億8,000万円)が要求されている。

DOE予算要求資料では、新設する「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムの任務は、ロバストな中間貯蔵プログラムの構築と実施のほか、ユッカマウンテンの監督責任のサポート、放射性廃棄物基金の管理を継続することとしている。また、中間貯蔵の実施により以下のような便益が得られるとしている。

  • 連邦政府による高レベル放射性廃棄物のより早期の受入れ
  • 分散した貯蔵サイトのサイト数の減少
  • システムへの柔軟性の付加
  • 大規模な放射性廃棄物管理の制度的・技術的インフラの短期的な開発、実証

「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムのうち、中間貯蔵のための準備についての初期の重要な実施事項としては、以下が示されている。

  • 統合的なプログラムプランの開発
  • 州、先住民族及び地方政府と他の関係省庁との協働(Working with)
  • 可能性あるサイトの同定プロセスの開始
  • 予備的な設計概念の開発
  • オプション分析と輸送計画に情報提供するため、高レベル放射性廃棄物の発生量に関する重要データの分析・アップデート、並びにインベントリに関する詳細情報の収集
  • 計画の実施及び規制環境の要求を支援するためのプロセス及び手順の実施
  • 大規模な輸送のために必要なシステム能力及びインフラ整備のための継続的な取組

また、ユッカマウンテンの監督責任のサポート、放射性廃棄物基金の管理に関しては、以下の実施項目が示されている。

  • 放射性廃棄物基金の投資ポートフォリオに係る適切な投資戦略の実施と慎重な管理
  • ユッカマウンテンサイトについて、DOE令(DOE Order 473.3A)に基づく物的防護要件、メンテナンスや環境要件の維持
  • 連携する連邦スタッフ等をサポート

なお、「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムの活動は、放射性廃棄物基金からの支出で賄うものとされている。

一方、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算に関しては、DOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下の「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)において、処分方策に中立的な放射性廃棄物管理プログラムの開発や高レベル放射性廃棄物のインベントリを勘案したオプションを開発することに主な焦点を当てるとして、60,000千ドル(64億8,000万円)の予算が要求されている。なお、これまでのUNFD研究開発プログラムについては、2019年12月に連邦議会が可決した2020会計年度歳出法では62,500千ドル(67億5,000万円)が計上されたが、DOEの予算要求額は5,000千ドル(5億4,000万円)のみであった。

DOE予算要求資料では、UNFD研究開発プログラムにおいて2021会計年度に実施する活動のうち、直接的に処分に関連する事項としては以下が示されている。

  • 粘土質岩及び結晶質岩における処分に係る性能評価ツールとプロセスレベルのモデルの統合及び実施手法の評価。不確実性の定量化と感度解析の解析ソフトウェアを含む統合モデル化ツール
  • 岩塩における発熱性廃棄物の処分に係る科学的・工学的技術基盤の継続
  • 様々な地層で実施されている研究開発を活用するための国際的パートナーとの協力を含め、様々な廃棄物及び使用済燃料の廃棄体の代替処分オプション探求に関連した研究開発活動の継続
  • キャニスタの再パッケージの必要性を解消することができるよう兼用キャニスタの直接処分の技術的フィージビリティを評価
  • 新しい事故耐性燃料の貯蔵・輸送・処分性能特性の試験、評価

UNFD研究開発プログラムにおいては、高レベル放射性廃棄物の貯蔵・輸送・処分の代替技術・経路に関して、展開可能な解決策に焦点を当てて評価することに加え、短期の貯蔵の解決策に係るプログラムの決定を支援する技術的解析には更なる焦点を当てることも示されている。

なお、2020年度歳出法で25,000千ドル(27億円)が計上された「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)については、廃止が提案されている。ただし、従来はIWNSに含まれていた中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、今回新設された「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムに移管されている。

DOEの環境管理局(EM)の予算要求書である第5巻「環境管理」において、米国で超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、換気システムの建設が完了すると見込まれることなどから、2020会計年度歳出法より13,647千ドル(約14億7,000万円)少ない383,260千ドル(約414億円)が計上されている。

【出典】

 

【2020年3月4日追記】

米国の連邦議会上院のエネルギー・天然資源委員会は、2020年3月3日に、エネルギー省(DOE)の2021会計年度3 の予算要求に係る公聴会を開催した。公聴会には、エネルギー長官が証人として出席し、証言と質疑応答が行われた。エネルギー長官の証言では、2020年2月26日に公表されたDOE予算要求資料と同様の方針が示されたのみであったが、質疑応答の中でエネルギー長官は、最終処分場としてユッカマウンテンを追い求めることをしないとの発言があった。

エネルギー長官のユッカマウンテンに関する発言は、エネルギー・天然資源委員会の委員であるマスト議員(ネバダ州選出、民主党)からの質問に対する回答として示された。具体的にマスト議員は、現政権はユッカマウンテンにおける恒久処分への道をいまだに模索しているのかとの質問を行った。これに対してエネルギー長官は、ユッカマウンテンは1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に基づく手続きで最終処分場として指定されているものの、ユッカマウンテン計画の予算をゼロとしているのも法律であること、この膠着状態は連邦議会やネバダ州における声に拠るところが大きいことから、ネバダ州の反対を押してユッカマウンテンを追い求めることは止めることを大統領が決定するに至ったことなどを回答した。その上でエネルギー長官は、連邦議会の記録に残る発言として、「現政権は、最終処分場としてユッカマウンテンを追い求めることはしない」と明言したものである。

さらなるマスト議員の質問に対してエネルギー長官は、仮にユッカマウンテン計画に係る予算を連邦議会が付けた場合にはその法律に従うが、現政権の意図はユッカマウンテンの代替方策を探すことであること、州やステークホルダーが発言権を持つようなプロセスを支持すること、その議論にはネバダ州の参画も考えていることなども表明している。

なお、連邦議会では、下院歳出委員会においても2020年2月27日にDOEの予算要求に係る公聴会が開催されており、エネルギー長官からは今回と同様の証言書が提出されている。また、上院歳出委員会では、2020年3月4日にDOE予算要求に係る公聴会の開催が予定されている。

【出典】

 

【2020年7月17日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2020年7月13日に開催した法案策定会合において、2021会計年度4 のエネルギー・水資源開発歳出法案(H.R.7613、以下「歳出法案」という。)を承認し、2020年7月15日付で下院本会議に提出した。2021会計年度の予算において、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算については、エネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料でも要求されておらず、今回承認された歳出法案においても計上されていない。

歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書(H.Rept.116-449、以下「委員会報告書」という。)では、「放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)」プログラムとして、27,500千ドル(30億2,500万円、1ドル=110円で換算)が計上されている。これは、DOEの予算要求資料において「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムとして要求されていた予算額を全額認めるものであるが、放射性廃棄物基金からの支出で賄うのは放射性廃棄物基金監督に係る7,500千ドル(8億2,500万ドル)のみとしている5。また、委員会報告書では、中間貯蔵に係るDOEの提案は詳細さに欠けて一般的なものが多く失望しているとした上で、連邦政府による中間貯蔵施設のサイトを選定するための活動を、現行のDOEの法的権限の範囲で、同意に基づくアプローチを活用して進めることを指示している。

一方、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算については、「使用済燃料処分等(UNFD)」プログラムの一般的な研究開発活動を継続するための予算として62,500千ドル(68億7,500万円)が計上されているほか、「統合廃棄物管理貯蔵(IWMS、Integrated Waste Management Storage)の予算として25,000千ドル(27億5,000万円)が計上されており、これは2020会計年度の歳出法と同額の予算となっている。また、委員会報告書では、UNFDプログラムについて、輸送中の使用済燃料の挙動等の研究を継続することを指示するとともに、DOEの予算要求には含まれていなかったIWMSプログラムについては、廃止措置された原子力発電所等での準備活動の継続、輸送活動再開に係る評価や調整などを行うことが指示されている。

また、超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOEの予算要求額を40,000千ドル(44億円)上回る423,260千ドル(465億5,860万円)が計上されている。委員会報告書では、このうち10,000千ドル(11億円)は地域のインフラ整備費用として、歳出法案の施行後60日以内にその計画について連邦議会に報告するようDOEに指示している。

なお、下院歳出委員会の法案策定会合で共和党議員からは、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の再開等のための予算が計上されていないことへの批判が示されたが、これらの予算を計上するような歳出法案の修正案は提出されなかった。

ネバダ州選出のタイタス下院議員からは、下院の歳出法案において、ユッカマウンテンプロジェクト再開に係る予算が計上されなかったことなどを歓迎するプレスリリースが発出されている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  3. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  4. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2021会計年度の予算は2020年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  5. DOEの予算要求では、中間貯蔵施設関連を含めた27,500千ドル全体について、放射性廃棄物基金からの支出で賄うものとされていた。 []

カナダのオンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社は、2020年1月31日に、同社が所有するブルース原子力発電所サイトでの建設を目指していた低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)プロジェクトに関して、今後、DGRプロジェクトの代替となる安全かつ恒久的な解決策を検討する意向を示すプレスリリースを公表した。これは、同日に、DGRの建設予定地のあるブルース半島に居住するソーギーン・オジブワネーション先住民1 により、DGRプロジェクトに対する賛否を問う投票が行われ、賛成170票、反対1,056票の結果となったことを受けたものである。OPG社は、先住民の意思を尊重するとともに、主要なステークホルダーの関与によるサイト選定プロセスの策定を進めていく考えを明らかにした。

OPG社は、オンタリオ州内に3ヶ所の原子力発電所(原子炉計20基)を所有しており、これらの原子力発電所で発生した低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場の立地に関して、2004年に地元キンカーディン自治体との間で立地協定を締結していた。その後、OPG社は2011年4月に、DGRプロジェクトの環境影響評価書(EIS)、予備的安全評価書等を連邦政府の合同評価パネル(JRP)に提出し、2015年5月にJRPは、環境に重大な影響が及ぶ可能性は低いと結論していた。OPG社は、JRPによる審査過程で、2013年に開催された公聴会において、ソーギーン・オジブワネーション先住民の支持なくDGRを建設しないことを確約していた。なお、その後の手続きとしては、環境大臣による環境影響に関する決定を受けた上で、JRPがサイト準備・建設に関する許認可を発給するのみとなっていた。

OPG社は、新たなサイト選定プロセスは先住民や関心のある自治体の関与を含むものにするとの考えを表明するとともに、これまで構築してきた相互の尊重や協力、信頼関係を基礎として、ソーギーン・オジブワネーション先住民と対話を継続する意向を明らかにした。また、OPG社は、放射性廃棄物処分のための恒久的な解決策を検討しつつ、廃棄物の減容技術の開発、非汚染物質の再利用など、発生元において放射性廃棄物の発生量を最小化する取組を行っていくとしている。

【出典】

 

【2020年6月29日追記】

カナダ影響評価庁(Impact Assessment Agency of Canada, IAAC)は、2020年6月26日に、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が計画していた低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)の環境影響評価プロセスの終了を公告した。2020年1月31日に実施されたソーギーン・オジブワネーション先住民による投票結果を受けて、OPG社は2020年5月27日に、DGRプロジェクトの環境影響評価プロセスを公式に終了するよう求める書簡を環境大臣に提出していた。

OPG社は、環境大臣に提出した書簡において、環境影響評価書等の審査のために連邦政府が指名した合同評価パネルの4年間の活動に感謝するとともに、キンカーディン自治体及び隣接する自治体から受けた15年にわたる支援に対する感謝の意を明らかにした。また、OPG社は、同社が所有する原子力発電所から発生する放射性廃棄物の安全かつ恒久的な解決策の開発に引き続き取り組んでいくとしている。

【出典】


  1. ※ソーギーン・オジブワネーション先住民(SON)の居住地域は、ブルース原子力発電所サイトが立地しているブルース半島の大部分を占めている。先住民は特定の法的権利を有しており、その土地の占有者としての管理義務を果たすこととなっている。 []
NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2020年1月24日、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のヒューロン=キンロス・タウンシップ(図中19番)について、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。これにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスに残る自治体は、オンタリオ州北部のイグナス・タウンシップ(図中5番)と同州南部のサウスブルース自治体(図中20番)の2つに絞り込まれた。NWMOは、2023年までに1カ所の好ましいサイトを選定することを目指している。

NWMOは2019年5月から、土地所有関係が複雑であるオンタリオ州南部のヒューロン=キンロス・タウンシップ及びサウスブルース自治体において、土地所有者からフィールド調査を行う許可を得るための「土地アクセスプロセス」(Land Access Process)を公表し、NWMOと土地所有者との双方に有益な関係の構築を進めていた。NWMOは今回のプレスリリースにおいて、サウスブルース自治体のティーズウォーター・コミュニティ北西の土地の複数の所有者との合意が得られ、フィールド調査の実施にとって十分な広さである合計で約1,300エーカー(526ヘクタール)の土地が確保できたとしたとしている。NWMOは、土地アクセスプロセスの結果により、2自治体のどちらか一方でサイト選定プロセスを進めていくとしており、サウスブルース自治体で土地が確保できたため、ヒューロン=キンロス・タウンシップを除外することとなった。

NWMOは、土地所有者から土地アクセスプロセスに関する合意文書を得ることによって、最終的に約1,500エーカー(600ヘクタール)の土地へのアクセスする権利を取得する意向である。この土地の面積は、処分場地下施設と同等の広さであり、また、地上施設が建設される約250エーカー(100ヘクタール)よりも十分に広いものである。NWMOは、既に合意を得た土地に隣接する土地の所有者と協議を継続していくとしている。なお、NWMOが提案する土地アクセスプロセスでは、NWMOがフィールド調査を実施する権利を得るものの、土地所有者は土地の継続利用が可能である。将来、この土地が処分場建設地として選定された場合には、NWMOは土地所有者から土地を購入する権利を行使することになっている。

NWMOはサウスブルース自治体内の土地において、ボーリング孔の掘削や基礎的な環境のモニタリングを数カ月以内に開始し、地域の特性を調査するとしている。また、ヒューロン=キンロス・タウンシップは除外されたものの、サウスブルース自治体において取組を進めていく中で、近隣自治体として重要な役割を引き続き担っていくとしている。さらに、NWMOは、先住民との連携も継続していくとしている。

【出典】

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2020年1月23日に、2019年11月に開催されたNWTRB秋期会合(以下「2019年秋期会合」という。)における議論等を踏まえて、エネルギー省(DOE)に対する勧告・所見を示した書簡を公表した。2019年秋期会合は、使用済燃料の乾式貯蔵等に係るDOEの研究開発活動についての情報を審査するため、2019年11月19日に開催されたものである。なお、NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価するために設置された独立の評価組織である。

NWTRBがDOEに宛てた書簡では、5つの勧告と2つの所見が示された。このうち、使用済燃料の乾式貯蔵に関わる勧告・所見としては、以下のポイントが示されている。

  • 乾式貯蔵における使用済燃料への水分(moisture)の影響の理解を深めること、さらに、使用済燃料乾式貯蔵システム内での水分計測のために原子力産業界が使用している代替手法を確認する取組を継続するとともに、DOE標準キャニスタにおいても同様の取組を行うことをDOE原子力局(NE)に勧告(勧告2)
  • 特定の乾式貯蔵システムに適用する前に、コンピュータモデルの検証を行うよう、更なる重点化を勧告(勧告3)
  • DOEがコンピューターモデルの開発と使用を継続して、使用済燃料の乾式貯蔵システムパラメータを予測するため、すべての仮定や不確実性を正しく同定・説明すること、コンピュータモデルを実際のシステムのデータで検証すること、燃料挙動モデルが複数の物理モデルとして統合されること、モデル開発者と実験担当者との間の調整の強化が達成されるようにすることにDOEが取り組むことを勧告(勧告4)
  • DOE標準キャニスタに関して、臨界安全や水素濃度制限などに適用される規制要件のすべてを認識できるよう、DOEのプロジェクトチームが原子力規制委員会(NRC)と早期に接触を持ち、DOE標準キャニスタの開発完了とNRCからの容器承認取得のための確実な道筋・スケジュールを構築することを勧告(勧告5)
  • 他国の研究者との交流で得られる教訓もある。2019年秋期会合における英国のセラフィールド社の事例からは、容器内の状態をリアルタイムでモニタリング可能なものとして、計測器付容器であるスマートパッケージ概念に取り組む革新チームを設置するなど、課題に対応する組織構造を構築することが教訓として得られた。(所見2)

2019年秋期会合では、使用済燃料の乾燥、乾式貯蔵に関するDOEの研究開発活動について、DOE原子力局(NE)及び環境管理局(EM)、国立研究所の研究者らから報告が行われた。また、英国セラフィールド社からは、英国における使用済燃料研究と研究炉などで使用されたアルミニウム被覆管の使用済燃料に関する報告が行われた。さらに、セラフィールド社を含めたパネルディスカッションも行われた。

なお、NWTRBは、アルミニウム被覆管の使用済燃料に関するDOE環境管理局(EM)からの報告では、情報が限定的で技術的な精査ができなかったなどとして、DOE環境管理局(EM)とNWTRBとの定期的な交流を要請する書簡も送付している。

【出典】

英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)と原子力廃止措置機関(NDA)とは、2020年1月10日に、放射性廃棄物インベントリ報告書の最新版である2019年版を公表した。放射性廃棄物インベントリは、英国政府とNDAが実施している共同研究プログラムの一部であり、放射性廃棄物の管理計画を立案する上での重要なデータとして、今後対策が必要となる1放射性廃棄物の廃棄物量、放射能量等を3年毎に評価したものである。

今回の2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書に示されている下表の廃棄物量(単位:m3)は、2019年4月1日時点において処理されて貯蔵されている廃棄物量と、今後発生が見込まれる廃棄物量を合計したものである。この廃棄物量には、既に操業しているドリッグ村近郊にある低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)及びドーンレイ低レベル放射性廃棄物処分場で処分された低レベル放射性廃棄物、並びに民間の産業廃棄物処分場で処分された極低レベル放射性廃棄物の量は含まれていない。

2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書では、下表のように、前回の2016年版の放射性廃棄物インベントリ  報告書 に比べて、極低レベル放射性廃棄物及び中レベル放射性廃棄物が減少する一方で、低レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物がそれぞれ増加している。これらの放射性廃棄物の増減理由に関してNDAは、相当前に発生した廃棄物に関する知見の向上(廃棄物ストリームの改善)や廃棄物の減衰・除染による廃棄物分類の見直し、国家戦略の更新などによる廃棄物パッケージや処理処分オプションなどの変更、今後発生が見込まれる廃棄物の基本発生シナリオの見直しなどによるものであると説明している。

英国の分類別の放射性廃棄物インベントリ

廃棄物分類 2016年版報告書 2019年版報告書
極低レベル放射性廃棄物 2,860,000m3 2,830,000m3
低レベル放射性廃棄物 1,350,000m3 1,480,000m3
中レベル放射性廃棄物 290,000m3 247,000m3
高レベル放射性廃棄物 1,150m3 1,390m3
合計 4,501,150m3 4,558,390m3

【出典】


  1. 原子力施設の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の推定量を含む。 []

ドイツの放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、2019年12月12日から14日の3日間にわたり、ニーダーザクセン州の第2の都市であるブラウンシュヴァイクにおいて、サイト選定に関する情報提供のイベント「サイト選定デー」を開催した。初日及び2日目には、主に専門家を対象とした講演セッションが開催され、20名の地質学分野の研究者からの地質学的モデルの作成方法や地質情報にある不確実性についての説明のほか、ポスター発表が行われた。最終日は、一般市民を対象にした情報提供セッションが開催され、今後BGEがドイツ全土からサイト区域を特定していく際に、地球科学的な除外基準や最低要件をどのように適用するかについての情報提供と議論が行われた。

「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)に基づくサイト選定手続きでは、最初のステップとして、BGEが地球科学的な除外基準及び最低要件を適用し、最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」を提案することになっている

現在BGEは、地球科学的な除外基準及び最低要件 の具体的な適用方法を検討しており、2019年11月19日に、除外基準の一つである「現在または過去の鉱山活動の影響の存在」の適用方法の案を公表するとともに、ウェブフォーラム「BGEフォーラム」(https://forum-bge.de/)を新たに設置し、2019年12月31日まで一般市民も対象とした意見募集を開始していた。イベント3日目の市民との議論では、除外基準の適用方法についての情報提供が行われた。BGEは、2019年12月16日にウェブサイトに掲載した「サイト選定デー」の開催報告において、イベント会場から大きな反対意見は出なかったものの、環境団体等から、市民が複雑な科学的テーマに関わるためには専門家の十分な支援が不可欠であること、BGEが実施している研究に関する情報が市民に対して十分に提供されていないといった指摘がされたことを明らかにしている。

なお、BGEは今後、その他の除外基準及び最低要件についても順次、具体的な適用方法についての案を公表し、ウェブフォーラムでのコンサルテーションを実施していくとしている。

 

【出典】

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2019年11月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2019年11月26日、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のホーンペイン・タウンシップとマニトウェッジ・タウンシップ(図中9番と8番)について、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、サイト選定プロセスに残っていた5自治体を、地理的な近さに応じて3地域(イグナス地域、ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域、ホーンペイン/マニトウェッジ地域)にまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定やパートナーシップの構築を進めていた。NWMOは、2023年までに1カ所の好ましいサイトの特定に向けて、より詳細な調査と評価を行うために、3地域を①処分の安全性、②輸送の安全性、③パートナーシップ構築の可能性の3点から評価した結果、イグナス地域とヒューロン=キンロス/サウスブルース地域は、プロジェクトを進めていく上で必要となる、深く、幅のあるパートナーシップ構築の可能性が強いとして、この2地域での活動に注力していくとしている。

今回サイト選定プロセスから除外されたホーンペイン/マニトウェッジ地域に関してNWMOは、地層処分場のサイト選定プロセスに対する地域のこれまでの貢献を高く評価するとともに、地元の持続的開発と福祉向上のために独自に利用できる資金として、ホーンペイン・タウンシップ、マニトウェッジ・タウンシップ、先住民であるコンスタンス・レイク・ファースト・ネーション(Constance Lake First Nation)にそれぞれ70万カナダドル(5,740万円)、近隣自治体であり2017年にサイト選定プロセスから除外された後も前向きな協力を続けていたホワイトリバー・タウンシップに60万カナダドル(4,920万円)、協力を受けていたその他の3つの先住民族に対して計75万カナダドル(6,150万円)を提供するとしている。(1カナダドル=82円として換算)

■2023年までに1カ所の好ましいサイトの選定に向けて

NWMOは、今後も技術的な適性の確認のための調査、プロジェクトの受け入れに対する地域の意向の確認や、前向きなパートナーシップの構築が必要だとしている。安全性については、更なるフィールド調査やより詳細なサイトの評価が必要であり、パートナーシップについては、それぞれの地域においてプロジェクトをどのように実施できるか、必要とされるパートナーシップの構築が可能となるように、更なる取組が必要だとしている。さらに、こうした取組には、プロジェクト実施計画や将来的に締結するパートナーシップ協定の草案の共同策定が含まれるとされている。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

 

【出典】

フランスの国家討論委員会(CNDP)1は、2019年11月25日に自身のウェブサイトにおいて、政府が策定中の2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関して、2019年4月17日~9月25日にかけて実施した公開討論会の実施報告書を公表した。フランス国内約20都市で開催された討論会には、延べ3,400人以上が参加し、443件の意見表明、86件の質問、3,043件のメッセージが寄せられた。

国家計画であるPNGMDRは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法に基づいて、政府による3年ごとの策定・改定が義務付けられており、フランスにおける全ての放射性物質と放射性廃棄物の管理の現状分析と管理方策の実現に向けた取組(研究開発を含む)を取りまとめたものである。2017年の環境法典の改正により、PNGMDRの策定に際して公開討論会の実施が法制化されているが、これを受けて開催されるPNGMDRに関する公開討論会は今回が初めてとなる。環境連帯移行省は2018年2月に、CNDPに対して今回のPNGMDRに関する討論会の実施を付託していた。

■PNGMDRの策定プロセスに関する議論

今回の公開討論会を実施するに際してCNDPが設置した特別委員会(CPDP)は、実施報告書の結論において、公開討論会を通じて公衆から提起された関心や疑問に対応し、PNGMDRの策定プロセスにおける公衆参加を確保するために、国レベルあるいは地域レベルでの公衆対話の場を構築することが望ましいとの見方を示している。また、次回のPNGMDRに関する公開討論会の開催や公衆対話の継続にあたり、PNGMDRの策定主体である原子力安全機関(ASN)と環境連帯移行省のエネルギー・気候総局(DGEC)が配慮すべき事項を以下のように指摘している。

  • PNGMDRの策定プロセスにおける、独立した規制機関であるASNの役割を明確化すること
  • 現行のPNGMDRの進捗を事前に評価し、計画と成果の乖離とその原因を明らかにしておくこと
  • 公衆がPNGMDRの戦略的方向性を十分に理解できるように、PNGMDRの策定主体は、公開討論会の議論のために取りまとめる文書を改善すること
  • 公開討論会において、各カテゴリーの放射性廃棄物の管理オプションについて議論できるように、上記の文書において、対照的かつ信頼性のある少なくとも2つの管理シナリオを提示して説明すべきである
  • PNGMDRの策定プロセスにおいては、環境法典に基づいて少なくとも10年ごとに政府が実施するものとして、放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する法的・組織的措置とその実施に対する評価との関係性を意識すべきである

■PNGMDRの内容に関する議論

PNGMDRの策定主体である原子力安全機関(ASN)と環境連帯移行省のエネルギー・気候総局(DGEC)は、今回の公開討論会に向けた説明資料において、公衆から意見を引き出したい5つのテーマを挙げていた。公開討論会を運営した特別委員会(CPDP)は、その報告書において、公開討論会で得られた意見を以下のように取りまとめている。

  • 放射性物質と放射性廃棄物の分類
    一部の放射性物質(以降の用途が見込まれないもの)について、それを放射性廃棄物として分類し直すか否かについて検討が必要である。特に、燃料サイクルにおける使用済燃料の取り扱いについては、再処理技術の変化や実際の燃料需要も踏まえて検討すべきである。
  • 使用済燃料の貯蔵容量
    2030年までに使用済燃料の貯蔵容量の拡大が必要である。また、2030年以降の長期的な期間を視野に入れ、再処理政策による貯蔵容量への影響や、乾式貯蔵や湿式貯蔵等の様々な貯蔵方法の適切性について、フランスの状況に照らして検討することが必要となる。
  • 増大する極低レベル放射性廃棄物量の管理
    極低レベル放射性廃棄物の原子力施設内での発生場所によるゾーニングを用いた管理方法を変更して、クリアランス制度を導入するか否かを検討すべきである。
  • 長寿命低レベル放射性廃棄物管理
    長寿命低レベル放射性廃棄物の管理が難航しているのは、本カテゴリーに含まれる放射性廃棄物の特性が一様ではないにも関わらず、一つの考え方で管理しようとしてきたことが原因である。異なる特性を持つ放射性廃棄物に合わせた複数の管理方法を決定するためには、追加的な技術的研究を実施し、公衆との協議や地域への影響を考慮する必要がある。
  • 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分場のパイロット操業フェーズ
    地層処分プロジェクトは非常に長期にわたるため、パイロット操業フェーズ中に、その後の地層処分プロジェクトの進捗のステップを決定することが必要である。

■今後の予定

今後、PNGMDRの策定主体である原子力安全機関(ASN)と環境連帯移行省のエネルギー・気候総局(DGEC)は、環境法典に基づき、公開討論会の報告書の公表後3か月以内の2020年2月25日までに、公開討論の中で提起された疑問等に対する回答を含め、PNGMDRに加えた変更等についての説明を示すことになっている。なお、環境連帯移行省は2019年11月26日付のプレスリリースにおいて、ASNと共に回答を取りまとめるため、環境保護団体や国会議員等の関係者の意見を聴取する方針であること、また、聴取した意見は2020年に策定されるPNGMDRに盛り込む方針であることを示している。

 

【出典】

 

【2020年2月25日追記】

フランスで政府が策定中の2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関して、PNGMDRの策定主体である原子力安全機関(ASN)及び環境連帯移行省(Ministère de la Transition écologique et solidaire)は2020年2月21日に、2019年4月17日~9月25日に実施された公開討論会の結果を踏まえ、以下のような改定の方針を公表した。

  • エネルギー政策と放射性廃棄物管理政策の一貫性向上:PNGMDRの更新は、多年度エネルギー計画(PPE)と整合させ、原子力事業者の施設等の恒久停止・廃止措置戦略とも連動させる。今回、PNGMDRの対象期間を現行の3年間からPPEの対象期間と同じ5年間に変更することも、併せて提案されている2
  • 放射性廃棄物管理のガバナンス強化:PNGMDRの策定及びフォローアップへの参加については、環境保護団体だけでなく、各種市民団体、国会議員及び地方自治体の代表にまで拡大する。
  • 放射性物質の有効利用可能な特性に関する管理の強化:原子力事業者が定期的に見直す行動計画に基づき、使用済燃料の再処理後の回収ウランなどの現時点では利用されていない放射性物質3 について、利用の進め方やその量に関する管理を強化する。
  • 使用済燃料の追加的な貯蔵容量需要の確保:PNGMDRにおいて、新たな湿式集中貯蔵施設の建設に要する期間を考慮し、設置見通しを明らかにする。また、乾式貯蔵施設が有用と考えられる条件及び状況についても検討する。
  • 一部の極低レベル放射性廃棄物に関して、その再利用が妥当であると考えられる場合、特例措置によって適用対象を限定して利用を認めていく。なお、現在のフランスでは、クリアランス制度は導入されておらず、原子力施設内での発生場所によるゾーニングを用いた管理方法が用いられている。
  • 長寿命低レベル放射性廃棄物管理に関しては、これらの廃棄物の特性が非常に多様であることを念頭に、現行のPNGMDRに示された方向性に沿って研究を継続する。その際、安全の観点からだけでなく、環境や地域の観点から見た課題についても考慮する。
  • 地層処分場プロジェクトの実施条件、特にプロジェクトの節目となる段階への公衆参加の方式、ならびに高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の代替的管理手段に関する研究開発の条件を決定するための検討は、今後も継続する。
  • PNGMDRに規定される放射性廃棄物の管理手段が、環境、衛生、経済にどのような影響を及ぼすのかについての評価を強化する。公開討論会では、輸送、環境、衛生、放射性廃棄物の毒性、地域への影響等の分野横断的な問題に対する高い関心が示されたことから、改定版PNGMDRでは、これらの問題についての現状の説明と課題への対応方法を提示する。

原子力安全機関(ASN)と環境連帯移行省は、上記の方針に従ってPNGMDRの改定作業を進め、2020年末までに、改定版PNGMDR案に関する公衆協議を実施する予定である。

 

【出典】


  1. 国家討論委員会(CNDP)は、環境に多大な影響を及ぼす大規模公共事業や政策決定を行うにあたり、事業実施主体の付託を受けて公開討論会を開催する独立した行政委員会である。 []
  2. PNGMDRの対象期間を変更する場合は、環境法典第L542-1-2条の改正が必要となる。 []
  3. 2016~2018年を対象としたPNGMDRでは、主な放射性物質として濃縮ウランと劣化ウラン、使用済燃料、使用済燃料の再処理後の回収ウラン、プルトニウム、トリウムが挙げられている。 []