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ドイツでは、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づき、処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が、2017年9月からサイト選定手続きの第1段階である「地上探査の対象サイト地域の選定」を進めている。BGEは2020年9月28日に、ドイツ全土から地質学的な基準・要件を満たす「サイト区域」の選定結果を盛り込んだ『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』(以下「中間報告書」という)を、連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)に提出した 。中間報告書の提出を受けたBASEは、サイト選定手続きにおける地域横断レベルの公衆参加の場となる「サイト区域専門会議」(下記コラム参照)の立ち上げに向けたキックオフ会合を2020年10月17日と18日の2日間にわたって開催した。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、キックオフ会合はオンライン形式で開催された。

■サイト区域専門家会議のキックオフ会合の概要と参加方式

今回の2日間のキックオフ会合は、今後本格的な検討を行う「サイト区域専門会議」の活動のあり方について議論し、方向性を決定するため、公衆参加を推進する役割を担う連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が開催したものである。1日目にサイト選定手続きやBGEが提出した中間報告書に関する説明が行われた後、2日目にサイト区域専門会議の今後の活動のあり方について議論が行われた。

BASEは、サイト選定法においてサイト区域専門会議の構成者と規定されているサイト区域内の自治体、各種社会組織、学術関係者の各種組織に対してキックオフ会合への参加登録を促す招請を行ったほか、2020年8月からドイツの一般市民に対して参加登録を促すキャンペーンを行っている。キックオフ会合への参加者は、オンラインで意見や質問を提示するだけでなく、事務局であるBASEが提示する議案への投票に参加できることが事前に明らかにされていた。なお、BGEが取りまとめた中間報告書では、最終処分に好適な可能性が高いとBGEが判断しているサイト区域は、ドイツ全土の約54%(約194,000km2)に及んでいる。BASEによると、最終的なキックオフ会合への参加登録者数は830名であり、1日目開始時点の参加者は334名、2日目開始時点の参加者は293名であった。

■サイト区域専門会議本格活動に向けて準備作業部会を設置

サイト選定法の規定によると、BASEが事務局として招集するサイト区域専門会議は、処分実施主体であるBGEが取りまとめた「中間報告書」に関する諮問組織として、最大3回の審査会議を開催し、その結果をBGEに答申することをもって解散することになっている(下記コラム参照)。

BASEは、サイト区域専門会議の具体的な活動の進め方は、サイト区域専門会議自体が今後決めていくべきとの考えであり、サイト区域専門会議の規約案や活動スケジュールのほか、第1回のサイト区域専門会議に向けた準備作業を行うための準備作業部会の設置を提案した。キックオフ会合の参加者全員による投票による採決が行われ、参加者の中から立候補した16名のうち、市民、サイト区域自治体、学術関係者、社会組織のカテゴリーあたり3名の代表者で構成される計12名を準備作業部会メンバーとして選出した。また、第1回のサイト区域専門会議の日程を2021年2月4日から7日に開催する予定とし、この参加者についてもキックオフ会合同様に、BASEからサイト選定法に規定された各種組織等に参加招請を行うことを決定した。

■今後の予定

今後、キックオフ会合で設置された準備作業部会が、全3回のサイト区域専門会議でのテーマやその他の作業部会の設置といった構成、及び2021年2月に開催される第1回のサイト区域専門会議のプログラムなどについて、事務局であるBASEと共に検討していくことになっている。

 

サイト区域専門会議(Fachkonferenz Teilgebiete)の位置づけ

サイト選定法では、サイト選定手続きにおける公衆参加の枠組みとして、連邦レベル、地域横断レベル、地域レベルの各レベルで委員会や合議体を設置することを規定している。このうち、連邦レベルの社会諮問委員会は、2016年に委員が選定され活動を行っている。今後、地域レベルの地域会議、地域横断レベルの地域代表者専門会議が、地上からの探査が行われるサイト地域の選定後に設置される予定である

サイト区域専門会議は、サイト地域が選定され、地域の関心が重要となる前の段階に設置される地域横断レベルの会議であり、公衆参加意欲を促進し、専門家の助言を提供する緩やかな話し合いの場と位置付けられている。サイト選定法では、サイト区域専門会議の参加者の数、サイト区域の代表性などについては規定されていないが、サイト区域内の自治体、各種社会組織、市民、学術関係者の代表者を参加者とすることが規定されている。また、サイト区域専門会議は、6カ月間の活動期間中に最大3回にわたりBGEの中間報告書について検討し、協議結果をとりまとめBGEに提示することが規定されている。このサイト区域専門会議の協議結果については、BGEが地上探査サイト地域の提案作成において考慮することとされている。

ドイツのサイト選定手続きにおける公衆参加の枠組み

 

 

【出典】

スウェーデンの使用済燃料処分場の建設予定地フォルスマルクがあるエストハンマル自治体の議会は2020年10月13日、エストハンマル自治体における使用済燃料処分場の立地・建設の受け入れ意思に関する議決を行った。議員総数49名のうち48名が投票を行い、賛成38、反対7、棄権3で使用済燃料処分場の受け入れ意思を表明することを可決した。

エストハンマル自治体は、1995年にスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)から使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの最初の段階である「フィージビリティ調査」(わが国の文献調査に相当)の申し入れを受諾した以降、25年にわたって処分場の立地に関わる地元や周辺自治体を含めた社会影響、処分技術の研究開発動向、スウェーデン政府の政策に対応する法整備の検討状況など、幅広い分野についての学習を続けている。SKB社は、2002年からエストハンマルとオスカーシャムの二つの自治体でサイト調査(わが国の概要調査に相当)を行い、2009年に使用済燃料処分場の建設予定地として、エストハンマル自治体のフォルスマルクを選定していた。

SKB社は、2011年3月に使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等を提出しており、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく審査が最終局面にあり、2020年10月現在は政府の判断を待つ状況にある。環境法典において地元の拒否権が規定されており、政府が許可発給の判断を行う前に、地元自治体に処分場の受け入れ意思を書面にて確認する手続きが必要になっている。

今回のエストハンマル自治体議会での議決は、政府から受け入れ意思の確認要請がなされていない状況において、自治体独自の判断で行われたものであり、今後、政府から処分場の受け入れ意思の確認要請がなされた場合、エストハンマル自治体は拒否権を行使しないことを政府に対して先行的に明らかにするものである。エストハンマル自治体は、今回の議決を行う上で十分な知識を備えているという認識を共有して議決を行った点を強調した上で、今後、政府(環境省)における審査手続きや法整備の検討が進むことを期待するとしている。

エストハンマル自治体は、自治体の最も重要な懸念事項として、処分場の閉鎖後における最終的な責任について、原子力活動の安全に関する責任を果たすことができる者がいない場合、その責任が国に移管されること等を規定した法改正パッケージ案「原子力活動に関する国の責任の明確化」(Ett förtydligat statligt ansvar för visa kärntekniska verksamheter)が2020年6月10日にスウェーデン議会(国会)で可決されたことによって解消されたものの、使用済燃料処分場の建設、操業、閉鎖などの「段階的な許認可」(step-wise licensing)手続きにおいて自治体が判断を行う必要があり、その手続きを法律において明確化するよう要望するとしている。

 

【出典】

 

フランスのエネルギー政策を所管する環境連帯移行省(Ministère de la Transition écologique et solidaire)は2020年9月28日に、第5版となる「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)の改定方針に関する公開協議(concertation)を実施することを公表した。公開協議は、2019年4月17日~9月25日に国家討論委員会(CNDP)が実施したPNGMDRに関する公開討論会の結果を踏まえ、環境連帯移行省及び原子力安全機関(ASN)による改定方針について、公衆に情報提供するとともに、意見を募集することが目的である。

国家討論委員会(CNDP)が公開協議の実施を指摘

PNGMDRに関する公開討論会のためにCNDPが設置した特別委員会(CPDP)は、2019年11月に公表された実施報告書の結論において、PNGMDRの継続的な改定への公衆やステークホルダーの参加を確かなものとするため、公開討論会のフォローアップとして公開協議を実施することが望ましいと指摘していた。その後、環境連帯移行省及び原子力安全機関(ASN)による改定方針の公表を受け、国家討論委員会(CNDP)は2020年4月の会合において、PNGMDRの改定方針を具体化する手順を熟考(elaborate)していくため、CPDPが指摘していた公開協議を行うことが望ましいとするCNDPとしての判断を決定した。CNDPは、PNGMDRの策定を担当する環境連帯移行省に対して、改訂方針に含まれる項目のうち、特に下記について熟考の必要性を強調している。

  • PNGMDRのガバナンスの変更を提案すること。
  • 特にPNGMDRの策定頻度を検討することにより、エネルギー政策の方向性とPNGMDRの関係性を強化すること。
  • 地層処分プロジェクトにおける意思決定のマイルストーンと、行われた選択を再検討できるようにするためのガバナンスを定めること。
  • 高レベル放射性廃棄物について、地層処分に代わる対策方法(alternatives)の研究を支援すること。

また、CNDPは、下記の項目をPNGMDRに含めるべきことに注意を喚起している。

  • 分野横断的な問題(環境、衛生、経済的影響、輸送の管理、地域への影響の考慮)の統合
  • 放射性物質と放射性廃棄物の間の区分の変更
  • 歴史的廃棄物の管理
  • 長寿命低レベル放射性廃棄物に関するシステムの確立

環境連帯移行省による公開協議の予定

今回の公開協議は、国家討論委員会(CNDP)によって任命された保証人の監督の下で、環境連帯移行省により実施される。公開協議は、放射性廃棄物及び放射性物質管理のガバナンス、PNGMDRとエネルギー政策との関係等のテーマごとに設定された専用ウェブサイトを通じた情報提供や意見募集、パリや地方で開催するパブリックミーティング等により構成されている。

パブリックミーティングは以下のような日程・テーマで実施予定であるが、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、インターネット上での開催に変更される可能性もある。

日程 場所 テーマ
2020年10月27日 パリ 極低レベル放射性廃棄物管理
未定 未定 地層処分プロジェクトのガバナンスとANDRAによる情報提供・公衆参加の取組みとの関係
2020年11月16日 パリ 地域や環境面での課題についてのPNGMDRにおける考慮
2020年12月2日 グランテスト地域圏(詳細未定) 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物管理
2021年2月3日 パリ 公開協議から得られた最初の教訓

また、専用ウェブサイトを通じた情報提供や意見募集が行われるテーマは以下の通りである。

テーマ
放射性物質及び放射性廃棄物のガバナンス
PNGMDRとエネルギー政策の関係
放射性物質の管理
極低レベル放射性廃棄物の管理
使用済燃料の貯蔵
長寿命低レベル放射性廃棄物の管理
高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の管理及び地層処分プロジェクトにおける論点
特別なカテゴリーに属する放射性廃棄物
放射性物質及び放射性廃棄物に関する分野横断的な問題(環境、健康、地域、経済等)

公開協議後の予定

今回のPNGMDRの改定方針に関する公開協議の結果は、2021年2月3日のパブリックミーティング後に、CNDPが任命した保証人により報告書として取りまとめられて公開される予定である。また、環境連帯移行省も、公開協議を通じて得られた教訓のPNGMDRの案への反映について報告書を作成する。その後、環境連帯移行省は、これらの結果を踏まえて、PNGMDR全体の案を作成し、環境当局(Autorité environnementale)の見解を聴取したうえで最終化することになる。その後、従来のPNGMDR策定プロセスと同様に、公的な意見聴取(consultation du public)に付した後、最終決定のため議会に提出する予定である。

【出典】

ドイツでは、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づき、処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が2017年9月からサイト選定手続きを進めている。現在は、その第1段階である「地上探査の対象サイト地域の選定」の途上にある。BGEは2020年9月28日、サイト選定法に規定されている基準のうち、地下の地質条件に関する基準をドイツ全土に適用した結果を取りまとめた『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』を連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)に提出した。BGEは、今回の中間報告書は最終処分やサイト選定というドイツ社会の問題に対する公衆の関心を高めることに役立ち、公衆がサイト選定の初期段階から公式に関与するための基礎になるとしている。

ドイツ全土の母岩別のサイト区域の分布

◆サイト区域の選定

サイト選定法では、サイト選定に適用する4種類の基準・要件を定めている。サイト選定手続き第1段階の中間報告では、既存の地質学的データである地球科学的な基準・要件のみを適用することになっている。

①地球科学的な除外基準

  • 一定以上の広域的な隆起が予想されないこと
  • 活断層が存在しないこと
  • 現在または過去の鉱山活動の影響が存在しないこと
  • 一定以上の地震活動が予想されないこと
  • 過去の火山活動が存在しない、または将来予想されないこと
  • 年代の新しい地下水が存在しないこと

②地球科学的な最低要件

  • 岩盤の透水係数が10-10m/s以下
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域1 の厚みが100m以上
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の深度が300m以上
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の広がりが処分場建設に可能な面積を有している
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の健全性が100万年にわたり維持されることが疑問視されていない

③地球科学的な評価基準(11項目)

  1. 閉じ込め機能を果たす岩盤領域内での地下水の流動に伴う放射性物質の移行の評価に使用する基準
  2. 岩体構成の評価基準
  3. 空間的な特性調査可能性の評価基準
  4. 好ましい状況の長期安定性に関する評価基準
  5. 好ましい岩盤力学的な特性に関する評価基準
  6. 地下水流動経路形成傾向に関する評価基準
  7. 気体の生成の評価基準
  8. 温度への耐性の評価基準
  9. 閉じ込め機能を果たす岩盤領域内での放射性核種の保持能力の評価基準
  10. 地下水化学的な状況の評価基準
  11. 被覆岩による閉じ込め機能を果たす岩盤領域の保護に関する評価基準

④地域計画面に関する評価基準(11項目)

  1. 住宅地域からの距離、飲料用地下水源や自然保護地域の有無など11項目
  2. ※④の評価基準は、今回の『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』でのサイト区域の抽出では適用されていない。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、ドイツ国内で処分場の母岩候補とされる岩種(岩塩、粘土岩及び結晶質岩)を対象に、連邦や各州の地質調査所などが保有する全国の地質学的データを収集した。BGEは、これらのデータをもとに、上記の①地球科学的な除外基準と②地球科学的な最低要件を適用して不適格となる区域を除外して、全国から181区域を抽出し、さらに、③地球科学的な評価基準を適用した結果として、今回の『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』において90区域に絞り込んでいる。BGEは、③地球科学的な評価基準11項目のうち、その多くで文献から得た岩種別(岩塩、粘土岩、結晶質岩)の一般データを使用しており、区域固有のデータが利用できる項目は岩塩・粘土岩の場合3~4項目、結晶質岩の場合2項目であったとしている。

『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』において、BGEが最終処分に好適な可能性が高いと判断している90区域は、ドイツ全土の約54%にあたる約194,000km2、州単位で見た場合には、南西部のザールラント州を除いた全ての州に分布している。抽出された各サイト区域の面積は、地下の母岩候補の岩種を反映して、6 km2(岩塩ドーム)から約63,000 km2(粘土岩)まで異なっている。

母岩別のサイト区域数及び総面積(†)
母岩 サイト区域数 サイト区域の総面積(km2
粘土岩 9 129,639
岩塩 74 30,450
結晶質岩 7 80,786
サイト区域合計 90 240,874

†:母岩が異なる深度に存在し、一つの区域が複数の母岩カテゴリに重複してカウントされる場合があるため、サイト区域の合計値は、BGEが最終処分に好適な可能性が高いと判断している90区域の合計面積約194,000km2と一致しない。

 

◆ゴアレーベンはサイト区域から除外

従来、処分場の候補サイトとして探査が行われていたゴアレーベン・サイト(岩塩ドーム)については、③地球科学的な評価基準のうち、「11.被覆岩による閉じ込め機能を果たす岩盤領域の保護に関する評価基準」を考慮した結果、今回の『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』において抽出された90区域には残らず、以降の処分場選定手続きにおいては除外されることとなった。サイト選定法では、ゴアレーベン・サイトについて、他の区域・サイト等と同様に扱い、サイト区域などに含まれなかった時点でサイト選定手続きから除外されることを規定している。

◆今後の予定:公衆参加手続きの開始

サイト選定法に基づいて、サイト選定を監督し、公衆参加を推進する役割を担う連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)は、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が取りまとめた『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』を受領した後、サイト区域の地域団体の代表者等からなる、地域横断の公衆参加枠組みである「サイト区域専門会議」を設置することになっている。このサイト区域専門会議の開催スケジュールについて、BASEは、2020年10月17日~18日に開催されるキックオフ会合の後、2021年前半に3回の会合を実施する予定である。BGEは、中間報告書がサイト区域専門会議の基礎になるとともに、公衆参加を推進するものになるとしている。

BGEは、サイト区域専門会議における議論の後、今回抽出した90区域を対象として、処分場システムの概念設計を含む予備的安全評価を行い、その結果に基づき、「地上からの探査を行うサイト地域」を複数選定することになっている。BGEが選定したサイト地域では、その地域毎に地域会議と呼ばれる合議体が組織される。サイト選定手続きの第1段階の目標である「地上からの探査を行うサイト地域」の確定は、連邦議会において連邦法を制定することによって行われる。

 

【出典】


  1. 人工バリアや地質工学的なバリアとともに、隔離期間に廃棄物の閉じ込めを保証する地質バリアの一部  []

ロシアにおける放射性廃棄物管理の実施主体である国営企業ノオラオ社(NO RAO)は、2020年8月26日のプレスリリースにおいて、ロシア中南部のチェリャビンスク州オジョルスク市で計画している浅地中処分場に対して、安全規制機関である連邦環境・技術・原子力監督局(Rostekhnadzor)が立地・建設許可を発給したことを公表した。
NO RAO社のプレスリリースによれば、計画されている処分場の処分容量は22万5千立方メートルであり、主に同じオジョルスク市内で活動している生産合同マヤーク1 から発生する低中レベル放射性固体廃棄物を受け入れる計画である。処分場の建設は2021年から開始する予定であり、建設の第一段階では、管理棟や輸送インフラ、アクセス道路の建設等が実施されるとしている。

低中レベル放射性固体廃棄物の浅地中処分場の立地点(チェリャビンスク州オジョルスク市)

低中レベル放射性固体廃棄物の浅地中処分場の立地点(チェリャビンスク州オジョルスク市)

ロシアではこれまでに、スヴェルドロフスク州のノヴォウラリスク市において、国内で最初となる浅地中処分場の操業が2016年に開始されている。また、NO RAO社は、トムスク州セベルスク市において、シベリア化学コンビナートから発生する低中レベル放射性固体廃棄物を受け入れる浅地中処分場の建設も計画しており、先月2020年7月に連邦環境・技術・原子力監督局から立地・建設許可の発給を受けている

【出典】


  1. 生産合同マヤークでは、使用済燃料の再処理などが行われている。かつては軍事用プルトニウムの生産等を行っていた。 []

ドイツの放射性廃棄物処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、2020年8月21日のプレスリリースにおいて、サイト選定手続きの第1段階となる最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」の選定に関して、検討結果を取りまとめた中間報告書を2020年9月28日に連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)に提出する予定を明らかにした。また、連邦放射性廃棄物処分安全庁も、2020年8月20日のプレスリリースにおいて、サイト選定手続きにおける地域横断的な公衆参加の枠組みとして、「サイト区域専門会議」のキックオフ会合を2020年10月17~18日に開催すること公表した。

■3段階のサイト選定手続きと第1段階で作成される中間報告書の内容

ドイツでは、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づき、2017年9月から高レベル放射性廃棄物処分場の3段階からなるサイト選定手続きが開始されている 。第1段階ではドイツ全土から地上探査サイト地域を選定し、第2段階ではサイト地域の中から地下探査サイトを選定し、第3段階では地下探査サイトの中から処分場サイトを選定していく流れとなっている(下表参照)。なお、サイト選定法では、2031年に処分場サイトを決定することを目標としている。

BGEは、2017年のサイト選定手続きの開始後、第1段階の中間目標である最終処分に好ましい地質学的な前提条件 を満たす「サイト区域」の選定に向けて、各州の地質調査所などが保有する全国の地質学的データの収集を行うとともに、地球科学的な除外基準及び最低要件の適用方法の検討等を行ってきた 。第1段階の中間報告書は、BGEによる検討の結果として「サイト区域」を提案するものである。なお、第1段階の目標である地上探査サイト地域の選定は、サイト区域を対象に行われることになっている。

BGEは、今後2020年9月28日の中間報告書の提出に向けて、動画等による一般向けの情報コンテンツの充実を図っていくほか、中間報告書の公表前から電話や電子メールを通じた問合せや意見の受付を行うなどの情報提供等の活動を行っていくとしている。

表:ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続き
サイト選定段階 活動
第1段階
地上探査サイト地域の選定
ドイツ全土を対象にサイト選定プロセスを開始。BGEが地球科学的な除外基準及び最低要件に基づき、対象外となる地域を除外し、サイト区域を選定。地球科学的な評価基準を適用し、好ましいサイト区域等を選定。結果を中間報告書として提出。
予備的安全評価(第1次予備的安全評価)を実施。地球科学的な評価基準等を適用し、地上からの探査サイト地域を選定。
BGEが地上からの探査サイト地域の提案及び探査計画を提出。連邦法を制定し地上探査サイト地域を確定。
第2段階
地下探査サイトの選定
BGEが地上からの探査を実施。地球科学的な除外基準・最低要件、評価基準を適用するとともに、第1段階より範囲を拡大した予備的安全評価(第2次予備的安全評価)に基づき、サイト間の比較を実施し、地下探査の対象サイトを選定。
BGEの提案に基づき、連邦法を制定し地下探査の対象サイトを確定。
第3段階
処分場サイトの提案・合意
地下探査などの処分の安全性の観点からの詳細な調査を実施。包括的な予備的安全評価を実施し、サイトの比較を実施し、処分場サイトを選定。
連邦法を制定し処分場サイトを確定。

 

■サイト選定手続きにおける公衆参加とサイト区域専門会議の開催スケジュール

サイト選定法に基づくサイト選定手続きでは、連邦レベル、地域横断レベル、地域レベルで公衆参加のための委員会や合議体を設置し、各段階において、住民、地元自治体などの参加を得ながら処分場サイトを選定していくこととなっている 。サイト選定手続きの第1段階においては、BGEによる中間報告書の提出後、地域横断レベルの公衆参加の場となる「サイト区域専門会議」が設置される予定である。

サイト選定手続きを監督するとともに、公衆参加の推進に責任を有する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)は、2020年8月20日のプレスリリースにおいて、サイト選定手続きに関する情報提供として、2020年9月からジャーナリスト向けセミナーなどを開始し、BGEによる中間報告書の公表後、サイト区域専門会議の最初の会合であるキックオフ会合を2020年10月17~18日に開催するとしてる。また、2021年前半に3回の会合を開催する予定としている。

ドイツの3段階からなるサイト選定手続きと公衆参加の枠組み

図:ドイツの3段階からなるサイト選定手続きと公衆参加の枠組み

 

【出典】

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2020年8月17日に、ガラス固化体をオーバーパックする施設及び使用済燃料をキャニスタに封入する施設(以下、両者を合わせて「キャニスタ封入施設」という)の立地オプションを比較する報告書を公表した。キャニスタ封入施設は、地層処分場の地上施設を構成する主要な施設の一つ1 であり、サイト選定プロセスの第3段階に残っている3つのサイト地域2 に設定されている地上施設設置区域に建設するケースをメインのオプションとしているが、高レベル放射性廃棄物の大部分が貯蔵されているヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)に建設するケースも想定されている。今回のNAGRAの報告書は、前述の2ケース以外のオプションとして、原子力発電所にキャニスタ封入施設を建設するケースなどを加えることにより、立地オプションに関する検討を充実させたものである。

検討の経緯

高レベル放射性廃棄物のキャニスタ封入施設については、地層処分場の地上施設の設置区域に設置する想定で検討が進められてきた。しかし、サイト選定プロセスの第2段階において、処分場の地上インフラ配置案を検討する過程で、チューリッヒ北東部の地域会議はNAGRAに対し、キャニスタ封入施設等をサイト地域外に設置することのメリット及びデメリットを説明して欲しいとの要望を表明していた。これを受けて連邦評議会3 は、2018年11月のサイト選定第2段階終了時にNAGRAに対し、地域会議の要望を考慮した上で、キャニスタ封入施設等をサイト地域外に設置する可能性を検討するよう要求した   。

この検討要求に応えるためにNAGRAは、高レベル放射性廃棄物のキャニスタ封入施設について、①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地をレファレンスケースとして、②「ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)サイト内」、③「ベツナウ中間貯蔵施設(ZWIBEZ)4 サイト内」、④「原子力発電所5 サイト内」、⑤「新規立地」の5つの立地オプションを想定して、輸送、追加で必要となる敷地面積、既存インフラや経験を有する熟練作業員の利用可能性、セキュリティと保障措置、コストといった項目の比較・検討を以下の通り行った。

  • ①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地
    長所:地層処分場の地上施設の設置区域内のキャニスタ封入施設から地層処分場への輸送のみであり、輸送の負担が非常に軽い。②や③の中間貯蔵施設サイト内での立地と比較すると、既存の施設が現時点で存在しないことから、設計上の制約が少ない。
  • ②「ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)サイト内」での立地
    長所:現状、使用済燃料とガラス固化体の輸送貯蔵兼用キャスクの大部分が貯蔵されており、高レベル放射性廃棄物用の廃棄体積み替えセルを備えている。既存のインフラを利用することにより、施設面積を小さくできる。また、熟練作業員の活用が見込める。コストの面では①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地と比較すると、同等あるいは最大5%の軽減が期待できる。
  • ③「ベツナウ中間貯蔵施設(ZWIBEZ)サイト内」での立地
    長所:ZZL同様、既存インフラを利用することによって施設面積を小さくでき、熟練作業員の活用も可能である。
    短所:現状、廃棄物の輸送貯蔵兼用キャスクの大部分がZZLにあることから、ZZLからZWIBEZへのキャスク輸送を行わなければならなくなる。コストの面では、①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地と比較すると、同等あるいは最大5%増大する。
  • ④「原子力発電所サイト内」での立地と⑤「新規立地」
    短所:既存インフラや熟練作業員の活用等の面では利便性はない。コストについては、①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地と比べて20%程度増大する。

上記の検討の結果、NAGRAは、ケース①と比較してケース②と③のみ、敷地面積を小さくすることが可能であり、採用する余地があるとしている。このうち、ケース②のヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設では、使用済燃料の貯蔵容器への詰め替え作業を行っているため、キャニスタ封入施設と類似する作業経験をもつ熟練作業員の活用を見込むことができる。こうした理由から、NAGRAは、①「地層処分場サイトの地上施設設置区域内」での立地と②「ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)サイト内」での立地が好適であるとした。NAGRAは今回の検討結果をもとに、地上施設の設置箇所の決定に向けて、地域会議や関係する州と議論を進めていくとしている。

 

【出典】

 


  1. 地層処分場の地上施設には、低レベル放射性廃棄物の廃棄体製作施設も含まれるが、今回のNAGRAの報告書では、その立地オプションについては検討していない。 []
  2. サイト選定第3段階におけるサイト地域は、地上施設、地下施設、地上・地下のインフラの一部または全てが立地する「インフラ立地自治体」と「その他関係自治体」で構成される。 []
  3. 日本の内閣に相当 []
  4. ZWIBEZはベツナウ原子力発電所内に立地する []
  5. ゲスゲン、ライプシュタット両原子力発電所サイトを想定 []

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2020年8月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物1 の浅地中処分プロジェクトについて、環境影響評価(EIA)手続きの最初のステップとなるEIA計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。雇用経済省は、2020年8月21日から9月21日の期間、TVO社のEIA計画書について、浅地中処分プロジェクトによって影響を受ける組織や企業、自治体、公衆からの意見募集を行った後、必要に応じてEIA計画書の変更などを指示することになっている。

TVO社のEIA計画書によれば、同社が1992年から操業している低中レベル放射性廃棄物処分場(地下60~100mに建設されているサイロ型の地下空洞処分場)で処分している廃棄物のかなりの割合は、極低レベル放射性廃棄物(1kgあたり10万Bq未満)に相当する。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の放射能レベルが低いことを考慮すると、現行の低中レベル放射性廃棄物処分場への処分は過剰な方法であり、適したものではないとしている。また、2021年に操業開始予定のオルキルオト原子力発電所3号機の運転に伴って、今後も極低レベル放射性廃棄物の発生が継続するため、将来必要となる低中レベル放射性廃棄物処分場の拡張を抑制するために、浅地中処分プロジェクトの計画を開始したとしている。

計画している浅地中処分場の処分概念は、地表地盤に構築するシーリング層の上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものであり、広さは90m×115mである。また、底部に排水/集水システムを設置し、浸出水の水質をモニタリングする予定である。廃棄物パッケージは5年毎に処分され、廃棄物が処分された区画は一時的に密閉する。処分される極低レベル放射性廃棄物は、原子力発電所の定期点検中に利用される防護服やプラスチック製の養生シート等である。

極低レベル放射性廃棄物の浅地中処分は、スウェーデン等の世界各国で実施されており、フィンランドでも法律上はそのような処分が可能となっているものの、これまでフィンランド国内での実施例はなかった。

今後の予定

雇用経済省(TEM)は、TVO社のEIA計画書について、約1ヶ月間の公衆意見募集を行うほか、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案しつつ、2020年9月8日にエウラヨキ自治体において公聴会を開催する予定である。なお、TVO社は、EIA計画書において、極低レベル放射性廃棄物処分場は重大な原子力施設ではないため、政府による原則決定、建設・操業許可は必要としないものの、TVO社が極低レベル放射性廃棄物処分場を操業するためには原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物処分を2023~2024年頃に開始し、2090年頃まで継続する計画である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】


  1. フィンランドでは原子力利用に伴い発生する廃棄物を「原子力廃棄物」と定義しており、その他の放射線利用で発生する放射性廃棄物と区別している。原子力廃棄物は使用済燃料以外に放射能濃度に基づき「中レベル廃棄物(intermediate-level waste: ILW)」、「低レベル廃棄物(low-level waste: LLW)」、「極低レベル廃棄物(very low-level waste: VLLW)」と区分しているが、この記事ではVLLWについて、わが国でも使用されている「極低レベル放射性廃棄物」の表記を用いる。 []

英国の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、2020年8月4日に、英国内の地層処分に関する科学技術や専門知識の結集と形成、及び次世代の研究者の育成サポートを目的として、マンチェスター大学、シェフィールド大学と共同で「RWM研究サポートオフィス」(以下「RWM RSO」という)を設立したことを公表した。RWM社は、RWM RSOに対して最長10年間、総額約2,000万ポンド(約27.6億円、1ポンド=138円で換算)の資金提供を行うとしており、地層処分に関連する広範な研究活動を支援し、その成果をRWM社の活動に活用していく考えである。

■RWM RSOのスタッフ構成

RWM RSOは、地層処分に関連する9つの学問領域の研究開発を支援するとして、事務所はマンチェスター大学に設置されている。RWM RSOは発足時点で28名のスタッフで構成されており、このうち、支援対象となる研究プロジェクトの企画、組織化を担当するRSOプロジェクトチームには、マンチェスター大学から5名、シェフィールド大学から1名の計6名が参画している。また、RWM RSOの運営と活動を支援するため、RWM社から16名が参画している。その他に、学問領域ごとに研究リーダーを置いており、現在は9つの学問領域のうち、6領域の研究リーダーをマンチェスター大学から4名、シェフィールド大学から2名選任している。RWM RSOは、不在となっている3領域の研究リーダーを英国内の大学から募集している。

■RWM RSOが支援する地層処分に関連する学問領域

「RWM研究サポートオフィス」(RWM RSO)は、RWM社が行う地層処分と関連性をもつ学術的な研究を支援するとしており、支援対象となる学問領域を9領域に大別している。

  1. 先進製造(Advanced manufacturing)
  2. 応用数学(Applied mathematics)
  3. 応用社会科学(Applied social science)
  4. 環境科学(Environmental science)
  5. 地球科学(Geoscience)
  6. 材料科学(Materials science)
  7. パブリック・サイエンスコミュニケーション(Public communication of science)
  8. 放射化学(Radiochemistry)
  9. トレーニング(Training)

なお、RWM社は、これまでに地層処分の研究開発を行っており、2013年から地層処分に係る科学・技術研究における構造と範囲、地層処分事業を実施する上で重要なアウトプットをステークホルダーに提示することを念頭に置いて、『科学技術プログラム』を取りまとめている。RWM RSOは、支援対象となる上記の9つの学問領域は、RWM社が実施している研究開発活動のニーズに対応するものであるとしている。また、前述したRWM社から参画している16名については、RWM社で「一般的な条件における処分システムセーフティケース」(gDSSC)の開発などを担当した科学技術の専門家、コミュニティの参画や持続的開発などの専門家であり、RWM RSOの枠内で行われる研究活動を支援することとなっている。

【出典】

フランスの国家評価委員会(CNE)は、第14回評価報告書を2020年7月16日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第13回報告書は、2019年6月27日に公表されている

フランス政府は2020年4月に、2019年から2028年を対象として、温室効果ガス排出量の削減やエネルギー効率向上、再生可能エネルギーの開発促進等を目標とした基本政策となる「多年度エネルギー計画」(PPE)を発行している。原子力発電に関しては、2035年までに発電量に占める比率を50%とすること等を示しており、これを実現するため、現在MOX燃料が装荷されている90万kW級原子炉の閉鎖等を計画する等、燃料サイクルや放射性廃棄物等の管理のあり方にも影響を与えるものとなっている。CNEは、第14回評価報告書において、多年度エネルギー計画(PPE)による燃料サイクルへの影響を分析し、以下のような章構成にて報告書を作成している。

第Ⅰ章:多年度エネルギー計画(PPE)の影響と燃料サイクル
第Ⅱ章:廃止措置及び極低レベル放射性廃棄物
第Ⅲ章:長寿命低レベル放射性廃棄物の管理
第Ⅳ章:地層処分場(CIGÉO)
第Ⅴ章:貯蔵と長寿命低レベル放射性廃棄物の処分に関する国際的展望

各章におけるCNEの主な勧告と見解は以下の通りである。

<多年度エネルギー計画(PPE)の影響と燃料サイクル>

  • 原子力発電比率の縮減を達成するには、早い時期に導入された原子炉を閉鎖することになる。閉鎖される原子炉には、現在MOX燃料の装荷許可を受けている24基の90万kW級原子炉のうち、12基が含まれる。EDF社は、MOX燃料需要を維持するため、130万kW級原子炉にMOX燃料を装荷する計画である。CNEは、130万kW級原子炉へのMOX燃料装荷に必要となる許認可の取得に要する作業を過小評価しないよう勧告する1
  • 政府は、多年度エネルギー計画(PPE)において、天然ウラン資源が豊富に存在し、ウラン価格が低い水準で安定していること等から、第4世代のナトリウム冷却高速炉(SFR)の原型炉ASTRID開発計画を中止し、高速炉研究プロジェクトを長期的に再検討していく方針を示した。しかしながら、このことは、将来的に天然ウラン燃料を必要とせず、再処理で回収されたプルトニウムを主体として発電を行うクローズド燃料サイクルの実現を可能とするとともに、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)において主要な発熱源となっているマイナーアクチノイド核種の変換を実施する上で必要な高速炉開発に関して、プロジェクトが延期されることに結び付いている2 3。CNEは、これまでの蓄積されてきた科学技術的知見の喪失を避けるには、野心的な研究計画を立案する必要があると指摘する。CNEは、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が提案している研究計画は不十分であり、国際協力の可能性も限定的であることから、少なくとも欧州レベルで、中性子照射施設を設置することに意義があることを強調する。
  • 多年度エネルギー計画(PPE)において政府は、使用済燃料の再処理による分離プルトニウム及び使用済燃料のストックを一定水準以下に抑制するため、軽水炉を利用したプルトニウムのマルチリサイクルに関する研究を継続する方針を示している。軽水炉でのマルチリサイクルの実施計画はまだ具体化していない。CNEは、事業者等に対して、2020~2021年に予定しているヒアリングにおいて、より具体的な計画を提示するよう要請する。

<廃止措置及び極低レベル放射性廃棄物>

  • フランス国内で発生し、処分が必要な極低レベル放射性廃棄物の大半は廃止措置作業により発生するものである。CNEは、多年度エネルギー計画(PPE)に示された既存炉の閉鎖計画に照らして、極低レベル放射性廃棄物の発生量予測をアップデートするよう勧告する。また、極低レベル放射性廃棄物の発生量の縮減や、リサイクルを想定した除染等の研究を継続するよう、強く勧告する。

<長寿命低レベル放射性廃棄物の管理>

  • 長寿命低レベル放射性廃棄物は、原子炉のみでなく様々な活動から発生しており、総量も比較的多いことから、各廃棄物の放射能レベルや化学組成に応じた処分方法を検討しなければならない。長寿命低レベル放射性廃棄物のうち、黒鉛及びラジウム含有廃棄物の処分場に関しては、2008年にANDRAが開始したサイト選定が途上であるが、1カ所あるいは複数個所のサイトを特定するため、ANDRAは取組を継続すべきである。

<地層処分場(CIGÉO)>

  • ANDRAは2020年春に、政府による公益宣言(DUP)4 申請に必要な文書を提出し、2020年末に設置許可申請を行う予定である。過去数年、設置許可申請は何度も先送りされている。CNEは、ANDRAに対して、より適切にスケジュール管理を行うよう勧告する。
  • ANDRAは設置許可申請の提出に向けて、十分に成熟した科学技術的知見を獲得している。CNEは、ANDRAに対して、処分予定の放射性廃棄物の基準インベントリと整合する形で、地層処分場のレファレンスとなる形状や配置を特定するよう勧告する。
  • CNEは、地層処分場の150年にわたる操業期間を通じた長期的な作業の枠組みを明確にするために、デジタル模型等を活用し、地層処分場の形状や配置の管理プロセスを確立するよう勧告する。
  • CNEは、ANDRAに対して、ビチューメン(アスファルト)固化体の管理に関する国際レビューで提示された、急激な発熱反応のリスクを排除するための地層処分場の設計変更等の勧告内容に早急に着手し、その結果を地層処分場の設置許可申請において提示するよう勧告する。
  • 地層処分場設置に関してANDRAが実施中の社会経済的影響評価については、評価結果が出次第、CNEに報告するよう要請する。

<貯蔵と長寿命低レベル放射性廃棄物の処分に関する国際的展望>

  • 多くの国では、使用済燃料並びに高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の貯蔵が長期にわたっている。CNEは、長期貯蔵は成り行きを見守る方針であるため、これと同時に永続的な処分によるソリューションを開発するための積極的な方針が必要であることを指摘する。
  • 世界における長寿命低レベル放射性廃棄物(黒鉛含有廃棄物、ラジウム含有廃棄物等)の管理計画は初期的な段階にある。地表付近での処分よりも地下深部で処分する方が、より高度な廃棄物の閉じ込めと隔離を提供するため、推奨される。

【出典】


  1. 本文章は、CNE報告書の翻訳を精査した結果、2020年9月14日に修正致しました。 []
  2. 高レベル放射性廃棄物の発熱量は、地層処分場の面積を大きくする要因の一つとなっている。 []
  3. 本文章は、CNE報告書の翻訳を精査した結果、2020年9月9日に修正致しました。 []
  4. 公益宣言(DUP)は、公用収用法典に基づいて、公共目的で行う開発のために私有地を収用する際の行政手続きである。当該開発プロジェクトを実施する事業者からの申請を受けて、公開ヒアリングを実施したうえで、政府が公益宣言を発出する。 []