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英国の地質学会(The Geological Society)は、2015年3月27日に、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期段階で実施される、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの評価を行う独立評価パネル(IRP)を設置した。この地質学的スクリーニングは、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM)が行うものであり、RWMが事前に作成するガイダンスをIRPの7名の委員が評価する。

この独立評価パネル(IRP)は、英国政府の要請により地質学会が設置したものであり、英国政府はIRPに対して、以下の点に注視しつつ、RWMが策定する地質学的スクリーニングのガイダンスを評価するよう要請している。IRPは2015年6月までに評価を完了する予定としている。

  • 地質学的、技術的な知見に立脚したものであること
  • 既存の地質情報を利用して適用できること
  • 地層処分施設(GDF)に関する長期セーフティケースの開発を支援できること

今回設置されたIRPの委員は、委員長を含めて7名であり、産業界及び学術界の経歴を有する英国、スウェーデン、カナダの地球科学分野の専門家で構成されている。委員のうち2名の委員は地質学会員を対象とした公募によって選出した委員であり、その他の5名の委員は地質学会が任命した委員である。以下に各委員の氏名・所属等を示す。

委員長 クリス・ホークスワース教授(英国ブリストル大学、王立協会特別会員)
委員 マイク・ビックル教授(英国ケンブリッジ大学、王立協会特別会員)
委員 ジョン・ブラック氏(コンサルタント)
委員 ロバート・チャプロー博士(コンサルタント)
委員 カーリン・ヘグダール博士(スウェーデンのウプサラ大学)
委員 ゾー・シプトン教授(英国ストラスクライド大学)
委員 リチャード・スミス教授(カナダのローレンティアン大学)

 

【出典】

【2015年6月16日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、独立評価パネル(IRP)との公開会合を2015年6月23日にロンドンで開催する。これに先がけ、RWMはIRPのレビュー用に作成したガイダンス案を2015年6月12日付けで公表した。今回のガイダンス案の作成を含む、地質学的スクリーニングの実施に向けたスケジュールについては、2014年10月に開催された技術イベントで公表されていた 。RWMは、IRPによるレビュー結果を踏まえてガイダンス案の完成度を高めた後、2015年内に公開協議を実施したうえで最終化するとしている。RWMは英国地質学会(The Geological Society)とともに、最終化したガイダンスに基づく地質学的スクリーニングを2016年に実施する予定である。

今回、放射性廃棄物管理会社(RWM)が取りまとめた地質学的スクリーニングのガイダンス案では、既存の情報を活用した地質学的スクリーニングの実施方法、また、どのような結果を提示するかなどについて、5つの地質学的なトピックス(岩種、岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、地下水、自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、資源の賦存)ごとに、RWMの取組方針を取りまとめている。

 【出典】

【2015年7月31日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2015年7月29日に、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、ロンドンの英国アカデミーで2015年6月23日に開催した独立評価パネル(IRP)との公開会合の会合報告書を公表した。会合報告書によると、公開会合にはIRPの7名の委員のうちの5名、RWMから4名、一般傍聴者の約50名がこの会合に参加した。公開会合の模様は、インターネットを通じてライブ配信1 も行われた。

会合報告書によれば、今回のRWMとIRPとの公開会合では、RWMがIRPのレビュー用に事前に取りまとめ・公表していた地質学的スクリーニングのガイダンス案(2015年6月16日追記を参照)で示していた5つの地質学的なトピックス※のうち、①岩種、②地下水、③資源の賦存についての議論が行われた。公開会合の後、RWMとIRPが一般の傍聴者からの質疑に対する応答が行われた。一般傍聴者からは、独立評価パネルの独立性や委員の選出方法、沿岸域での処分場の建設可能性、地質学的スクリーニング結果の説明先に関する質問などの9つの質問が寄せられている。

※5つの地質学的なトピックスは、(1)岩種、(2)岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、(3)地下水、(4)自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、(5)資源の賦存である。(2015年6月16日追記を参照)

 【出典】


  1. 公開会合の模様は、下記アドレスより閲覧可能である。
    https://www.youtube.com/channel/UCpFJyxnagWhTWURacGN42KQ []

米国の連邦議会下院議員のハーディー議員(ネバダ州選出、共和党)は、2015年3月22日に、ネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物の地層処分場の建設について、議論を呼び掛ける署名記事を地元新聞に投稿した。3月23日には、記事と同様の内容を議員の公式ウェブサイトにも掲載しており、拒絶のみでなく率直な議論が必要などとしている。ハーディー議員は、ユッカマウンテンが立地するネバダ州ナイ郡などからなる選挙区選出の下院議員として、2014年11月4日の連邦議会議員選挙で初当選した。

ハーディー議員は、ユッカマウンテン問題は長らく「中間」を失った問題となっているとして、連邦議会議員が真の解決策よりも再選を気にしているなどの問題点を指摘し、連邦政府が精力的に調査してきたユッカマウンテン処分場について、ネバダ州知事などが一貫して拒絶してきたが、立地が適切であれば信用しようなどとしている。その上で、エネルギー省(DOE)、大統領府などが示していない「ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分をネバダ州が受入れることができるシナリオはどのようなものか」との基本的な論点を示し、州内の学校への継続的な投資などネバダ州の地位を向上させる投資、コロラド川からの水利権割合の増加、輸送・インフラ投資の増加、世界から学術研究を呼び寄せる教育システムの確立に繋がる可能性など、具体例を挙げながらこの論点に対する問い掛けを行っている。

ハーディー議員は、ネバダ州民がユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分を望まず、上記の論点に対する答えが、そのようなシナリオは存在しないというものであれば、ネバダ州が立地を強制されることがないよう同議員も州民のために戦うとしつつ、シナリオの成立の可能性があるのであれば、安全基準が確実に守られることを前提として、少なくとも率直な対話は行うべきなどとしている。

ハーディー議員の署名記事の投稿に対して、強行にユッカマウンテン計画に反対しているリード上院議員(ネバダ州選出、民主党、少数党院内総務)は、2015年3月22日のプレスリリースにおいて、ネバダ州での高レベル放射性廃棄物処分は絶対に許容できるものでなく、ネバダ州民を環境破壊から守ることに見合う利益はないとしている。また、ネバダ州独自の専門家による評価では、ユッカマウンテンはリスクが大きく、技術的欠点の多い提案であることがわかっているとしている。なお、ネバダ州選出の連邦議会議員では、他にタイタス下院議員(ネバダ州選出、民主党)も公式ウェブサイトにおいて、ハーディー議員の署名記事を批判するプレスリリースを出している。

【出典】

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

(NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2015年3月3日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたサスカチュワン州のクレイトン・タウンシップとオンタリオ州のシュライバー・タウンシップを、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、空中物理探査などの初期フィールド調査で取得したデータを分析した結果、クレイトン・タウンシップとシュライバー・タウンシップの調査対象エリアについて、地質構造が複雑であり、地下に多くの亀裂があることを確認しており、これら2地域において地層処分場に適切な場所を特定できる見通しが低いと判断した。

カナダでは、9段階で使用済燃料処分場のサイト選定を進めることとなっており、現在サイト選定プロセスに第3段階である“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が行われている。NWMOは、机上調査を行う前期(第3段階第1フェーズ)と、現地での調査を行う後期(第3段階第2フェーズ)に分けており、サイト選定プロセスの第3段階第1フェーズが完了した20自治体のうち、半数の10自治体が第3段階第2フェーズに進んでいる。今回、NWMOがサイト選定プロセスから除外したクレイトン・タウンシップ及びシュライバー・タウンシップでは、2014年4月から第3段階第2フェーズの調査が開始されていた

サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズでは、初期フィールド調査の実施、処分施設の立地見通しの検討、集中的なフィールド調査の実施を通して、当該地域の潜在的な適合性を評価することになっている(下記参照)

〇初期フィールド調査の実施

  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティとの対話を行い、技術的評価、安全評価、より広範な自治体の参画、自治体の福祉向上に関する調査の実施計画を策定する。
  • NWMOが設定した技術的なサイト評価要素を満たす可能性がある地域を特定し、潜在的な適合性を評価するため、空中物理探査、環境調査、地質図の作成を行う。

〇処分施設の立地見通しの検討

  • 初期フィールド調査の結果に基づいて、技術的要件と自治体の福祉向上に係る要件を満たす可能性が低い自治体については、フェーズの途中でも評価を終了する。
  • 処分プロジェクトの要件を満たす可能性が高い地域を、集中的なフィールド調査を行う対象とする。

〇集中的なフィールド調査の実施

  • 適合性があると選定された地域において、限定的なボーリング調査を実施する。
  • 関心表明を行った自治体、その周辺自治体、及び先住民コミュニティを交えたパートナーシップのもとで以降のサイト選定作業を行えるようにするため、周辺自治体等に参画を促す活動を行う。

今回、クレイトン・タウンシップとシュライバー・タウンシップの2自治体を調査対象から除外したことから、NWMOはサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズの調査を残りの8カ所で継続するとしている。これら8カ所のほかに、オンタリオ州南部のセントラルヒューロン自治体では、第3段階第1フェーズの調査が継続中である。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年2月12日付のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の地層処分の建設許可申請について、キャニスタ封入施設及び地層処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出したことを公表した。建設許可申請書は、実施主体であるポシヴァ社が2012年12月28日に政府に提出していたものである。

放射線・原子力安全センター(STUK)が雇用経済省に提出した2015年2月11日の審査意見書によると、ポシヴァ社が処分するのは、フィンランドで運転中の4基、建設中の1基及び計画されている1基の合計6基の原子炉で発生する、最大で9,000トン(ウラン換算)の使用済燃料とされている。ポシヴァ社が建設許可申請書を提出した以降、STUKは安全審査を実施してきており、2013年4月には、安全審査の第一段階が完了していた。STUKの安全審査が完了したことにより、今後は雇用経済省が建設許可の発給に関する検討を行った上で、最終的に政府によって建設許可が発給されることとなる。また、地層処分場の操業開始の前に、政府により発給されるキャニスタ封入施設と地層処分場の操業許可が必要とされ、ポシヴァ社による操業許可申請は2020年に行われるものと見込まれている。

放射線・原子力安全センター(STUK)の審査結果を受けてポシヴァ社が公表したプレスリリースによれば、今回の建設許可申請の審査に当たっては、STUKのみならず、その他のフィンランドや国際的な専門家が起用されたとしている。

放射線・原子力安全センター(STUK)の審査意見書においては、原子力法第19条で許可発給の基準とする以下の10点に対する審査結果が示されている。

  1. 施設に関する計画が、原子力法に基づく安全要件を満たしており、操業計画の策定時点で作業員及び住民の安全に対する配慮が適切になされているかどうか
  2. 施設のサイトが、計画されている操業の安全性の観点で適切に選定されており、また、操業計画の策定時点で、環境保護が適切に考慮されているかどうか
  3. 操業計画の策定時点で、核物質防護が適切に考慮されているかどうか
  4. サイトが、土地利用・建築法に基づく地域詳細計画において原子力施設の建設のために留保されているか、また、申請者が施設の操業のために必要となるサイトを所有しているかどうか
  5. 放射性廃棄物の最終処分及び施設の廃止措置を含め、放射性廃棄物管理のために申請者が利用できる方法が、十分かつ適切であるかどうか
  6. 申請者による使用済燃料管理のための計画が、十分かつ適切であるかどうか
  7. フィンランド及び国外において、原子力法第63条第1項3)によって規定されているSTUKによる管理の実施のための申請者の準備、及び第63条第1項4)によって規定されている管理の実施のための申請者の準備が十分であるかどうか
  8. 申請者が、必要な専門技術を有しているかどうか
  9. 申請者が、事業を実施し、操業を行うのに十分な資金的条件を備えているかどうか
  10. 申請者が、安全に、かつフィンランドの国際的な契約上の義務を順守しつつ、操業を行うための前提条件を備えていると考えられるかどうか

上記の許可発給の基準のうち、4.は、放射線・原子力安全センター(STUK)の管轄外であるため他の機関によって審査されることとされている。4.以外の9点、及びその他の関連する原子力法の規定に従って審査した結果、計画されている使用済燃料処分が政府による原則決定における社会全体の利益に合致していること、原子力の安全な利用のためには長期的には処分が不可欠であること、原子力法による建設許可発給のための条件が満たされていることから、STUKは、ポシヴァ社が使用済燃料のキャニスタ封入施設及び地層処分場を安全に建設することができると結論付けている。ただし、1.での原子力法で定められた安全要件への適合性に関しては、地層処分施設の閉鎖後のセーフティケースの審査において、さらなる信頼性の向上が必要との指摘を行ったとして、別途、STUKがポシヴァ社に示した改良点を考慮して操業許可申請を行うようにとの指示がされている。

今後、政府が建設許可を発給した場合、放射線・原子力安全センター(STUK)は、地層処分施設の建設を監督するとともに、必要に応じて承認された設計の変更をポシヴァ社に対して要求していくことになる。

【出典】

米国テキサス州のウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、2015年2月7日に、低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場のサイトにおける使用済燃料の中間貯蔵施設の建設について、2016年4月までに許認可申請を行うとした意向通知(2015年2月6日付け)1 を原子力規制委員会(NRC)に提出したことを公表した。WCS社による使用済燃料の中間貯蔵施設の建設については、WCSテキサス処分場が立地するテキサス州アンドリュース郡が、2015年1月20日に、建設計画を承認する決議を行っていた

WCS社は、中間貯蔵施設の建設プロジェクトの専用ウェブサイトを開設し、親会社であるヴァルヒ社からの公式プレスリリースのほか、中間貯蔵施設の建設サイト予定図などのプロジェクトの概要等を伝えている。建設サイト予定図では、中間貯蔵施設は約14,000エーカー(約5,700万m2)のWCS社サイト内に低レベル放射性廃棄物の処分場等と隣接して設置され、第二期分の中間貯蔵施設のための拡張スペースも確保されていることが示されている。

専用ウェブサイトに掲載された公式プレスリリースでは、2016年4月までに「独立使用済燃料貯蔵施設」(ISFSI)の許認可申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出する計画であり、2020年12月には許認可手続を経て建設を完了するとの目標が示されている。

専用ウェブサイトに掲載されたプロジェクト概要資料では、建設プロジェクトの実施に向けてAREVA社と協力していること、使用済燃料の輸送は鉄道に拠ることなどが示されている。また、WCS社の計画は、WCS社の顧客と見込まれる連邦政府に対して、原子力発電所から使用済燃料を引き取る契約義務について、それが果たされる機会を提供するものであるとしている。なお、WCS社は、中間貯蔵施設の許認可・建設等について、連邦政府や州からの資金は求めないとしている。

今回のWCS社の公表に対して原子力エネルギー協会(NEI)は、2015年2月9日に、「集中貯蔵はユッカマウンテン処分場の計画を補完する」とした上で、WCS社による使用済燃料の中間貯蔵施設の建設計画を歓迎するニュースリリースを公表している。NEIのニュースリリースでは、連邦議会に対し、ユッカマウンテン処分場に係る許認可手続の完了のための予算確保とともに、WCS社のプロジェクトなどの機会を活かすため、エネルギー省(DOE)に集中中間貯蔵プログラムに係る実施の権限と予算を与えるように行動することを促している。

【出典】

 

【2015年2月12日追記】

ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料の中間貯蔵施設の建設計画について、許認可申請に係る原子力規制委員会(NRC)への意向通知(2015年2月6日付け)がNRCのウェブサイトで公表された。今回公表された意向通知では、中間貯蔵プロジェクトの専用ウェブサイトや公式プレスリリースで示されていなかった情報として、以下の点が示されている。

  • 中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請は、2016会計年度2 の第1半期中に行う。
  • 使用済燃料のほか、原子炉関連の「クラスCを超える低レベル放射性廃棄物」(GTCC廃棄物)の貯蔵も行う。
  • 中間貯蔵施設の候補サイトとして、WCS社の14,000エーカー(約5,700万m2)のサイトにおける数百エーカーの土地の評価を行う。
  • 中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請書、及び付随する環境報告書(environmental report)の作成はAREVA社の協力を得て行う。

【出典】

 

【2015年7月2日追記】

ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、2015年6月16日に、使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請について、原子力規制委員会(NRC)との許認可申請前ミーティングを行った。公開で開催された本ミーティングの目的は、許認可申請書の一部として提出される環境報告書及び安全解析書の策定方法について協議することとされており、以下の議題が設定されていた。

  • 環境報告書
    • 環境報告書の準備のための全般的方法
    • 社会経済的影響
    • その他の環境への影響
  • 安全解析書
    • 許認可申請の全般的方法
    • 集中中間貯蔵施設に固有の問題への対応方法
    • 安全解析書の構成の概要
  • 一般傍聴者からの質問・コメント

NRCが公表したWCS社の環境報告書のプレゼンテーション資料では、プロジェクトの概要の他、集中中間貯蔵の立地が計画されているWCSテキサス処分場の近傍での他の環境影響評価の事例の参照、地域・公衆の支持、国家環境政策法(NEPA)に基づく代替案の検討を含めた評価の方針及びサイト選定、輸送による影響、社会経済的影響、土地利用・生態等その他の環境影響などについて、策定方針等が示されている。

なお、WCS社の中間貯蔵プロジェクト専用ウェブサイトにおいては、NRCとの許認可申請前ミーティングが順調に行われたとの報告が掲載されている。

【出典】

 

【2015年7月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2015年7月10日に、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が計画中の使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設に係る許認可申請について、2015年6月16日に開催されたNRCとWCS社との許認可申請前ミーティングの議事要旨を公表した。議事要旨では、許認可申請書の一部として提出される環境報告書及び安全解析書の作成方法について、NRCとWCS社などとの間で具体的な説明・質疑の概要が報告されている。

議事要旨によれば、WCS社は、NRCへの説明の中で、環境報告書では4万トンの使用済燃料を貯蔵する場合の影響について評価を行うものの、許認可申請書では既に廃止措置された原子炉サイトで保管されている5,000トン未満の使用済燃料のみを対象とすること、その後の貯蔵容量の増加は許認可修正により行う意向であることを表明している。また、WCS社からは、集中中間貯蔵施設が事実上の処分サイトとなる可能性の懸念も表明されたが、NRCは本ミーティングの範囲外との回答であった。さらに、WCS社からは、エネルギー省(DOE)が使用済燃料の所有権を取得しない場合、許認可申請を進めないことが付言された。

本許認可申請前ミーティングは公開で行われており、一般の傍聴者及び電話参加者からも質問・意見表明が行われた。テキサス州に隣接するニューメキシコ州の自治体住民からは、同自治体住民は中間貯蔵を支持しておらず、WCS社の申請に反対であること、環境正義(environmental justice)の評価範囲を広げるべきである、当初から4万トンの貯蔵の申請をするべきなどの意見が出された。また、安全性については、キャニスタの経年劣化、水圧破砕法(シェールガス等の採掘で使用される方法)の影響を含めた地震関連の問題、輸送関連の懸念などについての質問が寄せられたことが報告されている。

【出典】

 

【2016年4月20日追記】

ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、2016年4月18日に、WCS社の中間貯蔵プロジェクトの専用ウェブサイトにおいて、許認可申請に係る現況報告書を公表した。WCS社は、「前進」(Moving Forward)と題する本現況報告書について、集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書の原子力規制委員会(NRC)への提出が近づく中で、立地自治体・周辺自治体などに対するコミュニケーションの取組を強化するため、NRCでの許認可申請の状況の報告を行うものとしており、今回公表された現況報告書はその創刊号となる。

WCS社は、2015年2月に、使用済燃料の中間貯蔵施設の許認可申請の意向通知をNRCに提出したことを公表しており、その中で2016年4月までに許認可申請書を提出する予定を示していた3。今回公表された現況報告書では、NRCへの許認可申請書の提出は予定通りに行われる見込みであるとしている。さらに、WCS社は、パートナーのAREVA社とNACインターナショナル社とともにNRCとの許認可申請前ミーティングを重ねてきた中で、NRCの安全審査が標準的な3年間で完了することを確信しており、2019年に建設を開始し、2021年には使用済燃料の受入れを開始できる見込みであるとしている。

今回公表された現況報告書では、その他に、パートナーとして「WCSチーム」を構成するAREVA社とNACインターナショナル社の概要、エネルギー省(DOE)による使用済燃料の中間貯蔵を可能とするための法案提出などの連邦議会における中間貯蔵プロジェクト支援の動き、テキサス州等における民間の中間貯蔵施設開発の動きを支持するとの連邦議会におけるエネルギー長官の証言などが報告されている。

【出典】


  1. 提出は任意であるが、原子力規制委員会(NRC)の人員及び予算の確保のため、通例、申請時期を知らせるためのものとなっている。 []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、2016会計年度は2015年10月1日からの1年間となる。 []
  3. 実際にNRCに提出された意向通知書では、2016会計年度の第1半期中(2016年3月まで)の提出見込みが示されていた。 []

フランスの原子力安全機関(ASN)は、2015年1月20日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2015年中にASNに提出予定である「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」に対する記載要求事項をまとめた2014年12月19日付けの書簡を公表した。ASNは、本書簡において、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビューを通じて、フランスの処分方針である「可逆性のある地層処分」の実現可能性を評価するが、その際に適用する「可逆性」に関する考え方を提示している。

ASNは、今回公表された書簡において、「可逆性」は以下2つの概念を含むことが適当であるとしている。

  • 適応性
    経験の蓄積や科学技術的な知見の向上によるフィードバック、政策や事業方針の変更、社会受容性の変化によって、処分シナリオが変わることを考慮して、設置許可申請段階で想定していた設計や操業方法を変更できること。
  • 回収可能性
    定置した廃棄物パッケージをある一定期間にわたって回収できることが担保されていること。

ASNは、ANDRAが作成する「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」において、ASNが提示した「可逆性」の考え方に沿って、処分施設が備える順応性(フレキシビリティ)の度合いを説明しなければならないとしている。ただし、ASNは、「可逆性」の正式な定義は、ANDRAが地層処分場の設置許可申請書を提出し、安全審査が行われた後に法律によって定められるものであるとしており、今回ASNは、この定義に抵触しないと考えられる範囲で「可逆性」の考え方を示したとしている。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」の作成とレビューの背景

フランスでは、原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている1 。2013年5月から約7カ月間にわたって開催された地層処分プロジェクトに関する公開討論会を受け、ANDRAは、2014年5月に公開討論会の結果をふまえたプロジェクト継続に関する新たなスケジュール等を公表し、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」を2015年中にASNに提出することを提案していた。2014年12月19日付けの書簡において、ASNは、これらの書類の提出に係るANDRAの決定を承諾し、レビューを実施するとしている。

「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成上の考慮事項

ANDRAは、公開討論会の結果をふまえた新たなスケジュール等の提案の中で、「回収可能性の技術オプションに係る資料」もASNに提出するとしていた。ASNは2014年12月19日付けの書簡において、「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成に当たって、ANDRAが考慮すべき事項を以下のように示している。

  • 特に処分空間やアクセス坑道が埋め戻された後は、廃棄物パッケージへのアクセスが困難になる。
  • 廃棄物パッケージの閉じ込め機能の健全性が損なわれた場合、放射線防護の点で大きな不都合が生じ、作業の可能性が制限される可能性がある。
  • 構築物の経年劣化や損傷(たとえば、処分空間の変形)により作業が困難になる。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビュー要件

ASNは2014年12月19日付けの書簡において、ANDRAが「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」について、地層処分場全体(地上施設及び地下施設)をカバーしていることや、地層処分場の基本設計書の内容が2008年の地層処分に関するASN指針に整合していることを説明するとともに、操業のあらゆる段階の安全を確保するために採用された安全目標、設計、原則について網羅的に提示するようANDRAに要請している。さらにASNは、10件程度の具体的な要求事項を示しており、以下のような内容が含まれている。

  • 適用される規制基準・技術基準や国内外の経験のフィードバック
  • 2008年のASN指針や国際取組みに照らした長期的な操業における安全目標。採用された安全目標とASN指針に示された安全目標との間に差がある場合はその妥当性の証明。
  • 処分しようとする廃棄物のインベントリ、これらの廃棄物の処分方法へ適合させるためのコンディショニング方法、長期的な時間枠でのインベントリの変更に関する仮定
  • 地層処分場の建設から閉鎖後のモニタリング期間における、施設の安全性を考慮した操業範囲と主要なパラメータの初期状態の設定
  • 可逆性の概念としての処分場の適応性。特に、設計時に処分対象となっていない放射性廃棄物を処分することになった場合の容量の拡大可能性。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる []
「第3段階に向けたサイト提案」 (NAGRA、技術報告書14-01「地質学的候補エリアの安全性の比較及び第3段階において検討対象とするサイトの提案」、2014年12月より)

「第3段階に向けたサイト提案」
(NAGRA、技術報告書14-01「地質学的候補エリアの安全性の比較及び第3段階において検討対象とするサイトの提案」、2014年12月より)

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)は、2015年1月30日に、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定第2段階における地質学的候補エリアの絞り込みの結果として、「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」の2つを提案したことを公表した。NAGRAは、絞り込んだ2つの地質学的候補エリアについて、高レベル放射性廃棄物、低中レベル放射性廃棄物のいずれの処分場にも適しているとしている。今回のNAGRAによる提案については、今後、連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)等による審査を経た上で、連邦評議会1 が承認することにより、サイト選定第3段階に進む候補として確定することとなっている。確定時期は2017年半ばと見込まれている

「サイト地域の安全性比較結果」 (NAGRA、パンフレット「地層処分場の地質学的候補エリア---第3段階に向けたNAGRA提案」、2015年1月より)

「サイト地域の安全性比較結果」
(NAGRA、パンフレット「地層処分場の地質学的候補エリア—第3段階に向けたNAGRA提案」、2015年1月より)

現在行われているサイト選定第2段階では、サイト選定第1段階で選定された高レベル放射性廃棄物の3つ、低中レベル放射性廃棄物の6つの地質学的候補エリアの中から、高レベル放射性廃棄物用、低中レベル放射性廃棄物用のそれぞれの地層処分場について、2カ所以上の候補を提案することが目標となっている。この目標に向けてNAGRAは、科学的・技術的な基準に基づいて、安全性の観点からサイト(地下施設及び付属する地上施設の設置区域を含む)を比較する作業を進めていた。具体的には、「天然バリアの有効性」「天然バリアの長期安定性」「天然バリアの探査可能性・評価可能性」「建設上の適性」の4つの評価項目を設けて、その下に複数の指標を設定し、これらを「最適」(右図中の濃緑色)、「適格である」(薄緑色)、「条件付きで適格である」(黄色)、「あまり適格ではない」(桃色)の4段階で評価した。なお、NAGRAは、今回の地質学的候補エリアの絞り込みにおいて、社会・政治的な基準は考慮していないとしている。

今回、NAGRAが提案したチューリッヒ北東部、ジュラ東部は、高レベル放射性廃棄物処分場、低中レベル放射性廃棄物処分場のいずれについても、上記の4つの評価項目及び指標のすべてに対して「最適」または「適格である」との評価がされている。NAGRAは、これら2つの地質学的候補エリアでは、不透水性の岩盤であるオパリナス粘土が適切な深度にあり、氷河等による侵食の影響を受けず長期に安定して存在しているため、放射性廃棄物を安全に閉じ込めることができると結論付けている。高レベル放射性廃棄物処分場の地質学的候補エリアとして検討していた北部レゲレンについては、「建設上の適性」が「あまり適格ではない」と評価しており、第3段階で検討する優先候補とせず、予備候補として留保することを提案している。

今後は連邦原子力安全検査局(ENSI)が2016年を目途に、NAGRAが取りまとめた選定根拠に関する報告書を審査することとなる。チューリッヒ北東部及びジュラ東部がサイト選定第3段階に進む候補として確定するまでの間、NAGRAは2つの地域を対象に地表からの三次元弾性波探査を実施する予定である。なお、ボーリング調査は、サイト選定第3段階(2017年半ば以降)で実施することになっている。NAGRAは、ボーリング調査の実施候補区域として、チューリッヒ北東部の7カ所、ジュラ東部の8カ所を示しており、最終的には各地域とも4カ所程度でボーリング調査を実施する計画である。NAGRAは、サイト選定第3段階において最終的な候補サイトを提案できるようになる時期を2020年頃としており、2027年頃には処分サイトが確定する見込みである。

【出典】

 

【2015年4月20日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、2015年4月16日の記者会見において、絞り込んだ2つの地質学的候補エリアで実施する三次元弾性波探査及びボーリング調査のスケジュールを公表した。

NAGRAは、地質学的候補エリア及びその周辺において、三次元弾性波探査を実施する予定である。地質学的候補エリア「ジュラ東部」については、地権者から探査の了承を2015年7月~8月に得た上で、2015年10月には探査を開始するとしている。「ジュラ東部」での三次元弾性波探査は約3カ月を予定している。その後、2016年1月から地質学的候補エリア「チューリッヒ北東部」で三次元弾性波探査を開始し、3週間程度で終了するとしている。

また、今回公表のスケジュールでボーリング調査については、地質学的候補エリア「ジュラ東部」及び「チューリッヒ北東部」のそれぞれ7カ所から8カ所の地点について、2015年末までに調査の実施に必要な申請をNAGRAが行う予定としている。ボーリング調査などの地球科学的調査の実施に当たっては、原子力法による許可が必要となっており、具体的には、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)が地質学的候補エリアでの地球科学的調査の許可を発給することとなる。実際の掘削作業は、NAGRAが提案した2つの地質学的候補エリアを連邦評議会が承認する2017年以降に開始するとしている。

【出典】

 

【2015年9月11日追記】

スイスにおける放射性廃棄物処分場のサイト選定手続を監督する連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)は2015年9月9日、実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)に対し、NAGRAが2015年1月に提案した第2段階における地質学的候補エリアの絞り込みの結果の根拠に関する報告書について、技術情報に不足があるとして、今後数カ月以内に追加資料を提出するよう指示したことを公表した。

BFEによる今回の指示は、NAGRAの報告書を審査中の連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)の指摘に基づくものである。NAGRAは第2段階での地質学的候補エリアの絞り込み結果の提案において、処分に適した地層の最大深度が深いため、「建設上の適性」の面で不利であることを理由に、地質学的候補エリア「北部レゲレン」を第3段階において検討する優先候補とせず、予備候補として留保する提案を行っていた。これについてENSIは、NAGRAが提示した「建設上の適性」の項目に関する根拠データは不完全であり、審査を行うには不十分であることを指摘した。ENSIは指摘部分以外について審査を継続する。

BFEは、NAGRAに対する追加資料の提出指示に伴い、サイト選定のスケジュールが半年から1年遅延する見込みとしている。なお、BFEは、複雑な検証プロセスにおける科学技術的データの追加要求は何ら特別なことではなく、今後も同様の追加指示を出す可能性があるとしている。

【出典】

【2015年11月20日追記】

スイスの連邦原子力安全検査局(ENSI)は2015年11月9日、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)に対する要求書「特別計画『地層処分場』第2段階における指標『建設上の適性の観点から見た最大深度』に関する追加要求」を公表した。

現在、ENSIは、NAGRAが2015年1月に提案したサイト選定第2段階における地質学的候補エリアの絞り込みの結果の根拠に関する報告書を審査している。今回のENSIの要求書は、ENSIが2015年9月に建設上の適性に関する技術情報の不足を指摘したことに関して、ENSIの依頼に基づく外部専門家による2件のレビュー結果をまとめるとともに、レビュー結果に基づく具体的な追加要求事項を示したものである。(【2015年9月11日追記】参照)。

サイト選定第1段階における地質学的候補エリアの境界設定にあたり、NAGRAは安全性と技術的実現可能性に関する13の基準に対応する指標を複数設定した。このうちの1つの指標である「建設上の適性の観点から見た最大深度」に関しては、オパリナス粘土等の堆積岩層において処分空洞やシーリング構造物を十分な信頼性をもって建設可能な最大深度について、低中レベル放射性廃棄物処分場の場合は地下800mまで、高レベル放射性廃棄物処分場の場合は地下900mまでとすることを最低限の要件として提案を行っていた。

NAGRAは、サイト選定第2段階の絞り込み作業においても本指標を引き続き用いているが、指標の名称を「建設上の適性の観点から見た最大深度(岩盤強度及び変形特性を考慮して)」へと変更するとともに、スイス北部の地質学的候補エリアにおける最大深度を、低中レベル放射性廃棄物処分場の場合は地下600m、高レベル放射性廃棄物処分場の場合は地下700mまでとする「最適化要件」を設定し、この最適化要件に合わせて指標の評価基準を変更した。

しかし、外部専門家によるレビューにおいて、NAGRAが提出した岩盤力学的な基本情報や想定条件、設計基準等が不十分かつロバストではないとする指摘がされた。これを受けてENSIは、上記の指標「建設上の適性の観点から見た最大深度(岩盤強度及び変形特性を考慮して)」の最適化要件、並びに評価基準の妥当性を検証できないとする立場を取り、この指標に基づいて地質学的候補エリアの優劣を評価することは疑問の余地があるとしている。

外部専門家によるレビュー結果を踏まえ、ENSIは、今回の要求書においてNAGRAに対し、指標を用いて評価できるようにするために必要な補足事項を示した。

ENSIがNAGRAに求めた補足事項のうち、主要なものは以下の通りである。

  • NAGRAが地層処分概念に修正を加えた概念をいくつか提案していることについて、それらの修正した概念に基づく処分場の建設・操業及び長期安全性に及ぼす影響についての検討・評価結果を、各々の修正した概念の優劣を含めて記載した文書を作成すること。
  • 構造地質学的な履歴や処分深度に応じた変化を踏まえて、地質学的候補エリアの地質工学的条件を評価すること。
  • 処分場の建設段階及び操業段階における崩落などの事故シナリオについて示すとともに、こうした事故への対処方法を示すこと。
  • 処分場の範囲や深度に応じた坑道の支保についての概念や、坑道の支保に用いられる物質等が、処分場の人工バリア及び天然バリアに及ぼす影響を長期的安全性の観点から評価すること。

 

【出典】                                        

【2016年2月10日追記】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は2016年2月8日のプレスリリースにおいて、地層処分場の地質学的候補エリアの「サイト地域」を持っているすべての州の機関として設置されている州安全ワーキンググループ(AG SiKa)2 及び州安全専門家グループ(KES)3 が、NAGRAのサイト選定プロセス第2段階での絞り込み結果を評価した報告書を提示したことを公表した。これら2つのグループは報告書の中で、地質学的候補エリアの北部レゲレンを第3段階における予備候補とするのではなく、引き続き調査対象として残すべきとの見解を示した。

NAGRAは2015年1月に地層処分場のサイト選定プロセス第2段階での絞り込み結果を公表し、6つの地質学的候補エリアのうち、ジュラ東部とチューリッヒ北東部の2エリアを優先候補として調査を継続し、北部レゲレンを高レベル放射性廃棄物処分に係る予備候補とし、ジュートランデン、ジュラ・ジュートフス、ヴェレンベルクを低中レベル放射性廃棄物処分に係る予備候補として留保することを提案していた。これに対して、AG SiKaとKESは、NAGRAが提案した2つの優先候補に北部レゲレンを加えた3エリアで調査を継続すべきとの意見を表明したことになる。一方、AG SiKa、KESは、NAGRAの提案のうち、以下の点について賛同している。

  • 全種類の放射性廃棄物について、処分場の母岩としての検討対象をオパリナス粘土に集中すること
  • ジュートランデン、ジュラ・ジュートフス、ヴェレンベルクの3カ所を第3段階において検討する優先候補ではなく、低レベル放射性廃棄物処分の予備候補として留保すること

北部レゲレンに関しては、NAGRAの提案を審査している連邦原子力安全検査局(ENSI)が技術情報の不足を指摘し、これを受けてサイト選定手続を監督する連邦エネルギー庁(BFE)がNAGRAに対し、2015年9月に、追加資料の提出を指示している。

NAGRAは2016年中頃までに追加資料をENSIに提出する予定である。ENSIは、技術情報が不足している部分以外の審査を継続しており、審査結果の取りまとめは2017年の春頃となる見込みとされている。

なお、ENSIによる審査の結果により、北部レゲレンが予備候補ではなく優先候補とされた場合でのスケジュールの遅延を避けるため、NAGRAはすでに、北部レゲレンにおける第3段階の探査を想定した準備作業(探査計画策定、三次元弾性波探査及びボーリング候補地点の検討等)に着手ずみである。

 

【出典】

 

【2016年4月20日追記】

連邦原子力安全検査局(ENSI)は2017年の春頃を目途に、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によるサイト選定プロセス第2段階での絞り込み結果に対する審査を行っているが、NAGRAは、2016年4月14日に、ENSIの審査結果を待たずに、NAGRAがサイト選定プロセス第2段階での絞り込みの段階で予備候補とした地質学的候補エリア「北部レゲレン」において、2016年秋に三次元弾性波探査を実施することを公表した。

NAGRAが優先候補として提案していた地質学的候補エリア「ジュラ東部」と「チューリッヒ北東部」においては、三次元弾性波探査を実施しており、2016年2月に終了している。これら2つの地質学的候補エリアについて、今後のサイト選定プロセス第3段階で実施するボーリング調査については、原子力法に基づく地球科学的調査の許可申請を2016年夏に行う予定である。ボーリング調査は、それぞれの地質学的候補エリアについて8カ所で行うとしている。なお、北部レゲレンについても、三次元弾性波探査の終了後、ボーリング調査に必要となる許可申請を2016年末から2017年初頭に行うとしている。

【出典】


  1. 日本の内閣に相当 []
  2. 州安全ワーキンググループ(AG SiKa)は、1つまたは複数のサイト地域を含む州に対する安全性の評価に係る計画・調整を担う。 []
  3. 州安全専門家グループ(KES)は、安全性に関する資料の評価において州を支援し、助言する機関として特別計画「地層処分場」に設置が規定されており、州安全ワーキンググループ(AG SiKa)の支援を受けている。 []

米国では、2015年2月2日に、2016会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。DOEは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」(UNFD、Used Nuclear Fuel Disposition)として、1億836万ドル(約117億円、1ドル=108円で換算)を要求している。ただし、ユッカマウンテン処分場関連予算の要求はない。

DOEの予算要求資料では、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとして、前年度までの「研究開発活動」(代替案を特定するための研究開発及び既存・将来の核燃料サイクルに係る放射性廃棄物処分等の研究開発)と「統合放射性廃棄物管理システムの設計に係る活動」の2分野に加え、「DOE管理の高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の代替処分オプションの検討に係る活動」が追加されている。なお、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの2016会計年度の予算要求額は、2015会計年度の歳出予算額と比較して3,686万ドル(約39億8,000万円)増加しており、DOEは、主な要因として超深孔処分のフィールド試験の開始などを挙げている。

2016会計年度の予算による実施事項のうち、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの「研究開発活動」については、7,536万ドル(約81億4,000万円)の予算要求額であり、以下の事項を行うとしている。

  • 産業界との協力による乾式実証キャスクの設計等
  • 産業界主導による高燃焼度燃料に係る乾式貯蔵の実証プログラムの支援等
  • 既存の輸送・貯蔵キャニスタ、貯蔵キャニスタの直接処分の技術的可能性
  • バリアの安定性等の評価のための熱力学データベース及びモデルの開発
  • 高燃焼度燃料の貯蔵及び輸送時における燃料や被覆管のモデル開発
  • 超深孔処分に係る掘削プロジェクトの地質学的情報等の評価(ボーリング孔のシーリング及び代替処分に係る廃棄物の標準設計の開発を含む)
  • 大口径の超深孔処分の可能性を実証するフィールド試験の開始(実験的なボーリング孔の掘削開始を含む)
  • 高レベル放射性廃棄物の坑道型地層処分などに関する結晶質岩、粘土層/頁岩(シェール)及び岩塩の主要な3岩種の評価(国際的なパートナーとの協力、フィールド試験を含む)
  • 高燃焼度燃料等の長期貯蔵及び輸送に係る技術的基盤の開発
  • 陸上・鉄道輸送時の燃料棒挙動の評価
  • 種々の処分関連の評価を支援する処分システムモデルと解析能力の開発
  • アイダホ国立研究(INL)の使用済燃料取扱い施設の更新

上記のうち、超深孔処分については、使用済燃料等の代替処分オプションの1つとしてDOEが調査研究を行っており、結晶質岩に5,000m以深のボーリング孔を掘削して、下部から2,000mの範囲に廃棄物を定置し、上部3,000mの適切な部分についてシーリングを行う処分概念が考えられている。2016年会計年度の予算においては、今後、応募によってフィールド試験のサイトを選定することとなっており、特性調査のためのボーリング孔の掘削を含めた試験が実施される予定となっている。

また、2016会計年度の予算による実施事項のうち、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの「統合放射性廃棄物管理システムの設計に係る活動」については、放射性廃棄物基金からの2,400万ドル(約25億9,000万円)を含む3,000万ドル(約32億4,000万円)の予算を要求している。本活動は、2013年1月にエネルギー省(DOE)が策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(DOE戦略)を支援するものとされ、以下の事項を行うとしている。

  • 廃止措置された原子炉サイトからの使用済燃料を受け入れるパイロット規模の中間貯蔵施設に焦点を当てた、中間貯蔵実施計画の策定
  • 同意に基づくサイト選定プロセスのための計画策定の継続
  • パイロット規模の中間貯蔵施設への使用済燃料等の大規模な輸送の準備
  • 使用済燃料等の輸送に係る地域等との協働による輸送計画の策定
  • 使用済燃料の輸送を準備するための廃止措置された原子炉サイトの評価の拡充
  • 輸送キャスクなど輸送関連の調達に関する活動の継続
  • 廃棄物管理システムにおける標準化・統合化の可能性の同定と評価
  • 使用済燃料輸送・貯蔵・処分の解析リソースデータシステムのデータベースの拡充
  • パイロット規模の中間貯蔵施設の一般設計のための安全解析レポートの完成とNRCからの追加情報要求への準備

さらに、2016会計年度の使用済燃料処分等(UNFD)プログラムで新たに提案された「DOE管理の高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の代替処分オプションの検討に係る活動」では、将来の意思決定のための情報を提供するものとして、DOEが管理する高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の一部の代替処分オプションの検討を行うとしている。

2014年2月に地下施設で火災事故及び放射線事象が発生した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、復旧に向けた活動が行われており 、復旧活動を支援するためとして、換気システム、排気立坑の更新等の費用を含め、約2億4,300万ドル(約262億円)の予算が要求されている。

なお、原子力規制委員会(NRC)については、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を実施しているものの、予算要求資料においてユッカマウンテン処分場の審査に関する予算は計上されていない。

【出典】

 

【2015年4月3日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、「軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分に関する報告書」(2015年3月)を公表し、DOEが管理している軍事起源の高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分について、連邦政府が処分する責任のある民間の原子力発電所から発生する使用済燃料等の処分場計画と切り離して実施するとの方針を示した。これに対して大統領は、2015年3月24日に、DOEによる本計画を法律に照らして是認するとの覚書を公表した。

1982年放射性廃棄物政策法第8条では、費用対効果、保健及び安全、規制、輸送、社会的受容性及び国家安全保障に関連する要因を評価し、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場の開発が必要であると大統領が判断した場合、民間から独立した処分場を計画することができると規定されている。今回の大統領による判断は、本法に沿った検討・評価と位置付けられる。

「軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分に関する報告書」においては、DOEが開発する軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分場は、米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会の最終報告書、DOEの「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」での方針に従って、段階的で、適応性があり、同意に基づくサイト選定プロセスにより立地を行うとの方針が示されている。また、早期に民間から独立した処分場を実現することにより、DOEの高レベル放射性廃棄物発生サイトでの貯蔵・処理・管理の費用の低減につながるとしている。

【出典】

 

【2015年5月7日追記】

米国の連邦議会下院は、2015年5月1日に、2016会計年度2 のエネルギー・水資源歳出法案を240対177(棄権14)で可決した。本法案では、ユッカマウンテン関連の放射性廃棄物処分予算として1億5,000万ドル(約179億円)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として5,000万ドル(約59.5億円)が割り当てられている。

2015年2月2日に公表されたエネルギー省(DOE)の予算要求では、2012年1月のブルーリボン委員会の最終報告書・勧告に基づいて2013年1月にDOEが策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を実施に移すための予算として、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムの「統合放射性廃棄物管理システムの設計に係る活動」については、放射性廃棄物基金からの2,400万ドル(約28億6,000万円)を含む3,000万ドル(約35億7,000万円)の予算を要求していた。しかし、今回下院で可決された2016会計年度の歳出法案では、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項が規定されている。

一方、ホワイトハウスは、下院で2016会計年度の歳出法案が採決される前の2015年4月28日に、本法案が成立した場合には拒否権を発動するとの意向を表明しており、その理由の一つとして、DOEのユッカマウンテン計画、NRCのユッカマウンテンの許認可申請の裁決手続への予算配賦等を挙げている。

米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められおり、原子力発電事業者との間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを行えないため債務不履行状態にあり、推定債務額は226億ドル(約2兆6,900億円)になることが、2016会計年度の下院歳出委員会報告書で指摘されている。

なお、2014年2月に地下施設での火災事故と放射線事象が発生して復旧に向けた調査・対応が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2016会計年度の歳出法案の軍事環境クリーンアップの中で、約2億8,586万ドル(約340億円)の予算が復旧に向けた活動のために計上されている。

【出典】

 

【2015年5月25日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2015年5月21日に、2016会計年度3 のエネルギー・水資源開発歳出法案(以下、「歳出法案」という)を承認し、上院本会議に提出した。本歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度まで上院で検討されていた歳出法案と同様に、パイロット規模の中間貯蔵施設の開発等をエネルギー長官に命じる規定に加え、テキサス州やニューメキシコ州で提案されている民間施設でエネルギー省(DOE)が使用済燃料等を貯蔵することを認める規定が置かれている。なお、本歳出法案は、2015年5月1日に下院で可決された2016会計年度エネルギー・水資源開発歳出法案を、すべて上院案に置き換える形で修正したものであり、上院案にはユッカマウンテン関連の予算及び記述は残されていない。

今回上院本会議に提出された歳出法案に織り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案第306条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、政府または民間所有の1つ、または複数の集中貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを民間パートナーと実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法施行後120日以内に、集中貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザル公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 本活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

民間の中間貯蔵施設での貯蔵(歳出法案第311条)

  • エネルギー長官が保有、または引取義務を有する使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物を、原子力規制委員会(NRC)が許可した施設で貯蔵する契約を締結する権限を承認
  • 使用済燃料等の所有権は、本条に基づく貯蔵のための引取り時にエネルギー長官に移転
  • エネルギー長官と原子力発電事業者等との間で締結されている使用済燃料引取り等に係る契約を改定することを許可

米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料の引取りを開始することが定められおり、原子力発電事業者との間で処分実施のための契約が締結されている。今回上院本会議に提出された歳出法案の第311条は、この契約を改定し、処分ではなく貯蔵のために使用済燃料を引き取ることを認めるものである。

今回の歳出法案と同時に公開された上院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等プログラム」(UNFD)の研究開発活動の予算として6,400万ドル(約76億2,000万円)が、上記のパイロット規模の中間貯蔵施設開発や民間貯蔵施設での貯蔵等を実施するための予算として3,000万ドル(約35億7,000万円)が計上されている。ただし、ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算はゼロとなっており、原子力規制委員会(NRC)でのユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算も割り当てられていない。

また、2014年2月に発生した火災事故及び放射線事象 の復旧に向けた活動が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP) については、約2億4,332万ドル(約290億円)の予算が割り当てられている。上院歳出委員会報告書では、予算問題による復旧遅延が生じることがないよう詳細な予算説明がDOEの予算要求書で示されていないことに不満があるとした上で、エネルギー長官が、安全な操業を予定通り再開するために適切な対応を取ること、WIPP復旧計画の詳細な予算を半年ごとに委員会に提出することを求めている。

なお、テキサス州で中間貯蔵施設の建設を行う意向を2015年2月に正式に表明したウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社は、上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会で歳出法案が採択された2015年5月19日に、使用済燃料の貯蔵に係る民間事業者との契約を認めた規定は、テキサス州での使用済燃料の中間貯蔵施設の操業に向けた第一歩を超党派で実現したものとして、歓迎するメッセージをWCS社ウェブサイトに掲載している。

【出典】

 

【2015年10月2日追記】

米国の連邦議会は、2015年9月30日に、2016会計年度4 のうち、2015年10月1日から2015年12月11日を対象とした継続歳出法案を可決した。これは、エネルギー・水資源開発の分野を含めて、2015会計年度の予算を規定した包括歳出・継続予算法での予算と同レベルの歳出について、2015年10月1日から2015年12月11日も認めるとするものである。継続歳出法案による予算では、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定がない限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回可決された2016会計年度の継続歳出法案では、ユッカマウンテン処分場関連や廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2015年12月24日追記】

米国の連邦議会は、2015年12月18日に、2016会計年度包括歳出法案を可決した。高レベル放射性廃棄物関連の予算については、本包括歳出法案の条文には記載されていないが、2016会計年度包括歳出予算法案説明文書において、「使用済燃料処分等プログラム」(UNFDプログラム)の歳出予算として8,500万ドル(102億円、1ドル=120円で換算)が計上されており、このうち「研究開発活動」については6,250万ドル(75億円)の歳出予算とされ、残りの「統合放射性廃棄物管理システム」についても予算要求に沿った形での継続が示されている。

ユッカマウンテン計画については、2016会計年度包括歳出法案及び説明文書に記述はなく、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場の開発や許認可手続に関する予算は与えられておらず、放射性廃棄物基金からの支出はゼロとされている。ただし、連邦議会下院の歳出委員会が公表した2016会計年度包括歳出予算法案(エネルギー・水資源開発)要約資料では、2015会計年度と同様に、政治的事項の一つとして、「ユッカマウンテンの将来利用の可能性を維持するための前年予算の継続」が示されている。

また、2016会計年度包括歳出法案説明文書では、放射線事象などにより操業停止している廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、復旧の取り組みを支援するためとして、DOE予算要求額より約2割多い2億9,998万ドル(約360億円)の歳出予算が示されている。

なお、2016会計年度の歳出予算については、会計年度が開始される2015年10月1日までに歳出法が制定されず、2015年12月11日までの継続予算が執行されていたが、2016会計年度包括歳出法の制定手続の遅れから、さらに2度にわたる継続予算決議が行われ、2015年12月22日までの継続予算の執行が承認されていた。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2016会計年度の予算は2015年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 上記の1.を参照。 []
  3. 上記の1.を参照。 []
  4. 上記の1.を参照。 []

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2015年1月19日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料のキャニスタ封入施設の建設許可申請の補足書を提出したことを公表した。今回の補足書は、2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後に実施されたストレステスト(原子力施設の安全性に関する総合評価)で特定された脆弱性対策に当たるものであり、建屋の耐震性の強化のほか、予備冷却システムを追加するといった設計変更を行うものである。SKB社は、キャニスタ封入施設を既存の集中中間貯蔵施設(CLAB、1985年操業開始)に隣接して建設する計画であり、これら2施設を一体としてCLINKと呼んでいる。また、SKB社はCLINKでの使用済燃料の貯蔵容量を11,000トンに拡張するための申請を別途行う予定であることを明らかにした1

CLINKの概念図(SKB社資料より引用)

CLINKの概念図(SKB社資料より引用)
※使用済燃料の中間貯蔵施設(CLAB)は1985年から操業しており、図に示すとおり、地下にある2つのプールとその真上にある建屋で構成されている。図の右側の建屋が新たに建設予定のキャニスタ封入施設であり、これら2施設を一体でCLINKと呼ぶ。

SKB社のキャニスタ封入施設の建設許可申請の補足書の提出を受けて放射線安全機関(SSM)は、2015年1月20日のプレスリリースにおいて、今回のSKB社のキャニスタ封入施設(CLINK)の建設許可申請の補足書は大幅な変更を含むものであり、この他にも春頃に別の補足書の提出がなされる予定があることを明らかにした。また、使用済燃料処分場の立地・建設許可申請に対する意見募集が進行中であることから、これらの申請書に関する協議期間を2016年1月31日まで延長する決定を行っている。

SKB社は、KBS-3概念2 による使用済燃料の最終処分の実現に向けて、以下に示すように、2006年11月にオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書をそれぞれ提出している(下記の囲みを参照)。現在、スウェーデンにおける使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請では、環境法典と原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている。

※:使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請
②オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出済、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
③フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請

【出典】

【2015年4月20日追記】

放射線安全機関(SSM)は、2015年4月14日付けのプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出していた使用済燃料の集中中間貯蔵施設・キャニスタ封入施設(CLINK)の建設許可申請について、安全審査を開始したことを公表した。SKB社は、2015年3月31日に、CLINKにおける使用済燃料の貯蔵容量を8,000トンから11,000トンに引き上げる追加の補足書をSSMに提出しており、SKB社から提出予定があった補足書が出揃ったことを受けたものである。

なお、SKB社は、環境法典に基づく申請書及び原子力活動法に基づく申請書への補足書を、それぞれ土地・環境裁判所及びSSMに提出し、受理されている。

SSMのプレスリリースによると、SSMは、原子力活動法に基づく申請書に関する審査意見書を2017年に政府へ提出する予定である。

【出典】

【2016年3月25日追記】

放射線安全機関(SSM)は、2016年3月23日付のプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が提出していた使用済燃料の集中中間貯蔵施設・キャニスタ封入施設(CLINK)の建設許可申請について、安全審査の中間結果として、CLINKの安全審査書を公表した。使用済燃料のキャニスタ封入技術に関する評価については、今後SSMが土地・環境裁判所に意見書を提出する2016年春に公表するとしている。

SSMは、今回の中間結果において、SSMが定める放射線安全に関する基準を遵守するようにCLINKを建設・操業する能力をSKB社が有していると評価している。また、使用済燃料の貯蔵容量を拡大する(8,000トンから11,000トンへ引き上げ)には、現在、プール内において保管している炉内構造物を別の場所に移す必要があるが、炉内構造物の保管場所を変更する前に、別途の許可申請を行う必要性があることを指摘している。

なお、SSMは、オスカーシャムにおけるCLINKの建設と、フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設とを併せた、KBS-3概念による使用済燃料の最終処分場の全体の安全審査を進めている。SSMは、最終処分場の立地・建設許可申請書 に対する安全審査について、2015年6月に第1回の、同年11月には第2回の中間結果を公表しており、2017年に包括的な最終審査結果を政府に提出するとしている

【出典】


  1. 既存の使用済燃料貯蔵施設(CLAB)の貯蔵容量は8,000トンであるが、使用済燃料を稠密に配置するなどの方法により、地下プールを増設せずに11,000トンまで貯蔵可能になるとしている。 []
  2. スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料の集合体を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きでキャニスタを収納して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

米国テキサス州のアンドリュース郡の理事会(commissioners court)は、2015年1月20日に、低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場のサイトにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設を建設するとのウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の計画を支持することを決議した。WCS社は、2014年12月1日に、中間貯蔵施設の建設計画に関する地元向けの説明会において、地元の支持が得られることを前提として、2015年に原子力規制委員会(NRC)に対して使用済燃料の中間貯蔵施設の建設許可申請を行うことを表明していた。

アンドリュース郡の理事会決議では、中間貯蔵施設の建設計画を支持する理由として、以下の点を挙げている。

  • WCSテキサス処分場は、170名以上の雇用に加え、低レベル放射性廃棄物の処分料金の5%と設定された収入が今後も年間3百万ドル(約3億2,000万円)見込まれるなど、経済効果が大きい
  • 情報提供や意思決定プロセスへの参加を含め、WCS社が住民や環境への責任を果たしてきている
  • 使用済燃料の集中中間貯蔵施設は、「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)からも迅速な開発が勧告され、テキサス州においても個々の原子力発電所での貯蔵よりも効率的などと評価されている

また、理事会決議においては、テキサス州政府や州選出の連邦議会議員に対して、中間貯蔵施設の建設計画への支持・承認の表明などの施設建設に向けて関係組織等が協力すること、及びアンドリュース郡が連邦政府から施設立地に係るインセンティブを受けられるよう支援することを要請している。

米国では、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分は連邦政府の責任であるとされており、同法の規定に基づいてエネルギー省(DOE)が原子力発電事業者らと契約を締結し、1998年1月31日からDOEが民間の使用済燃料の引き取りを開始することが決められている。しかし、地層処分場の開発が遅れているため、DOEは使用済燃料の引き取りを行っておらず、原子力発電事業者からの訴訟により連邦政府による賠償金支払いが行われている。

ブルーリボン委員会の勧告を受けて2013年1月に公表されたDOEの「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下「DOE戦略」という)、及び連邦議会上院で検討されていた「2013年放射性廃棄物管理法」の法案では、既に廃止措置された原子力発電所サイトで貯蔵されている使用済燃料を対象として、パイロット規模の中間貯蔵施設を直ちに建設し、DOEが引き取りを開始することが提案されていた。また、2013年放射性廃棄物管理法の法案及びDOE戦略では、中間貯蔵施設の建設に際しては、同意に基づくサイト選定プロセスにより、立地地域への便益の供与を含めた協定の締結を行うものとされていた。なお、2013年放射性廃棄物管理法の法案では、パイロット規模の中間貯蔵施設は、民間による建設も可能とされていた。

一方、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、エネルギー長官に対して、監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1 と呼ばれる中間貯蔵施設の立地・建設・操業を行う権限を認めているが、地層処分施設の建設の許認可が発給されるまで中間貯蔵施設の建設を開始できないことが規定されている。米国では、現政権によるユッカマウンテン計画の中止の方針などもあって処分場建設計画は遅れているため、現時点でDOEが民間の使用済燃料の引き取りを行うためには、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)のさらなる修正が必要とされている。

今回の中間貯蔵施設の建設が予定されているWCSテキサス処分場は、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法に基づいて、テキサス州及びバーモント州で構成されるテキサス・コンパクトの低レベル放射性廃棄物処分場として2011年11月10日に操業が開始された。現状では、他の州やDOEからの低レベル放射性廃棄物も受入れており、2014年には処分容量の拡大とともに劣化ウランの処分も許可されている。また、WCS社は、テキサス州の低レベル放射性廃棄物関連規則に関して、連邦政府が処分責任のあるクラスCを超える低レベル放射性廃棄物(GTCC廃棄物)について、処分を可能とするための規則の修正を州当局に求めている。

なお、今回のアンドリュース郡理事会の決議に対し、原子力エネルギー協会(NEI)は、2015年1月28日のニュースリリースにおいて、同郡の理事会決議の概要とともに、WCS社が使用済燃料の中間貯蔵施設の建設・操業許可申請の意向通知の提出を近日中に行う予定であることなどを伝えている。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []