Top » 海外情報ニュースフラッシュ(全記事表示モード)

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2015年11月18日から19日の日程で、使用済燃料管理部門の規制会議を開催しており、規制会議のページに発表資料等が公開されている。本規制会議は、NRCの核物質安全・保障措置局(NMSS)の使用済燃料管理部(DSFM)が主催する年次会議であり、NRC、産業界、許認可保有者、その他の関係者が、使用済燃料の乾式貯蔵・輸送等に係る規制上、技術上の問題などについての議論を行う場として開催されている。

2015年の規制会議の議題は以下に示す通りであり、規制の効率化、長期貯蔵に関連する問題等に加え、2015年は新たに「集中中間貯蔵」のセッションが設けられている。

  • セッション1:貯蔵の許認可手続
  • セッション2:許認可変更管理
  • 情報セッション1:ステークホルダーの視点
  • セッション3:検査・操業経験
  • セッション4:技術的問題
  • セッション5:輸送承認
  • 情報セッション2:集中中間貯蔵

集中中間貯蔵に係る情報セッション2の発表資料としては、テキサス州での集中中間貯蔵施設に関する許認可申請の意向を表明しているウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社、ニューメキシコ州でエディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画している集中中間貯蔵施設の設計、許認可、建設及び操業を担当する予定のホルテック・インターナショナル社(以下、「ホルテック社」という)、エネルギー省(DOE)、NRC、及び廃止措置済みの原子力発電所の代表者として「廃止措置プラント連合」(Decommissioning Plant Coalition, DPC)の発表資料が公開されている。

このうち、DOEの発表資料は、2013年1月にDOEが公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(DOE戦略)に沿ってパイロット規模の中間貯蔵施設の一般的設計の検討作業について示すものであり、テキサス州及びニューメキシコ州で検討されている民間の中間貯蔵施設の利用可能性などには触れられていない。

なお、ホルテック社の発表資料では、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)が計画している集中中間貯蔵施設について、許認可申請の意向通知が2015年8月3日にNRCへ提出されたこと、2016年6月に許認可申請書を提出し、2019年9月から建設を開始して2020年には操業を開始するとの計画などが示されている。

【出典】

使用済燃料処分場のイメージ図

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府は2015年11月12日付のプレスリリースにおいて、同日、エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、処分実施主体のポシヴァ社に処分場の建設許可を発給したことを公表した。使用済燃料処分場に対する建設許可の発給はフィンランドが世界初となる。

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内に建設される予定であり、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。使用済燃料の処分は、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府のプレスリリースによれば、建設許可を発給した処分場において最大6,500トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分することを認めている1 。また、建設許可には許可条件として、今後予定されている処分場の操業許可の申請において、申請書に以下の事項を含めるよう求めている。

  • 処分施設が環境に及ぼす影響に関する解析
  • 使用済燃料の回収可能性
  • 輸送リスク
  • 事業に影響を及ぼす可能性のある要因

フィンランドにおける使用済燃料の処分実施主体であるポシヴァ社は、2012年12月に使用済燃料処分場の建設許可申請書を政府に提出していた。原子力に関する監督機関である雇用経済省は建設許可申請を受け、原子力法・原子力令に規定されている意見聴取手続きに従って、エウラヨキ自治体及び周辺自治体などに対して意見書の提出を求めていた。その一環として、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年2月に処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出していた。雇用経済省は提出された意見書を元に、政府による発給に向けて、建設許可の許可条件に関する検討を行っていた。
 建設許可の発給を受けてポシヴァ社は、2015年11月12日のプレスリリースにおいて、今後、処分場の建設段階に進むこと、使用済燃料の処分を2020年代初めに開始できるよう計画していることを明らかにした。

フィンランドにおける使用済燃料処分の経緯

フィンランドでは原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として地層処分する方針としている。使用済燃料の処分場のサイト選定は1983年に開始され、ポシヴァ社は1999年にオルキルオトを処分地として選定し、同年、原子力施設の建設がフィンランド社会全体の利益に合致することを政府が判断する「原則決定」と呼ばれる原子力法の手続きに基づいて(詳しくはこちら)、オルキルオトに使用済燃料の処分場を建設することについて、政府へ原則決定の申請を行った。政府はポシヴァ社の申請に対して2000年に原則決定を行い、翌2001年に国会が政府の原則決定を承認したことにより、オルキルオトが処分地として決定していた。

ポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するためには、原則決定の後に政府から処分場の建設許可、及び操業許可の発給をそれぞれ受ける必要がある。ポシヴァ社は建設許可の申請に向けて2004年には地下特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し、並行して建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータ取得や、坑道の掘削による地質環境への影響等について調査をしてきた。これまで調査施設として利用されてきたONKALOは、今後は処分場の一部として利用される予定である。

【出典】


  1. ポシヴァ社が2012年12月に提出した建設許可申請書では、フィンランドで現在、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が運転している4基の原子炉、及びTVO社が建設中の1基と計画段階の1基を含む、合計6基の原子炉から発生する最大で9,000トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分する計画としていた。しかし、TVO社は計画していた新規原子炉について建設許可の申請を断念したため、政府による建設許可で認められた処分量は、計画を取りやめた原子炉から発生する見込みであった量に相当する分だけ減少している。 []

ベルギーの原子力安全の規制行政機関である連邦原子力管理庁(FANC)は、2015年11月9日に、放射性廃棄物管理の実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)と協議し、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可に係る新たなスケジュールを公表した。

ベルギーでは、2006年6月に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物の処分場をデッセル自治体に設置することを決定しており、2013年1月には、ONDRAF/NIRASが浅地中処分場の建設許可申請を提出していた。連邦原子力管理庁(FANC)は、浅地中処分場の建設許可申請の審査において、補足が必要な点についての質問を提示しており、ONDRAF/NIRASは申請書類を補完するため、質問に対する回答を準備している。このような状況のもと、今回、ONDRAF/NIRASとFANCは、申請書類を効率的に最終版とするため、建設許可において重要なマイルストーンとなる科学審議会(CS)1 の見解を得る2 までのスケジュールを以下のように設定した。

スケジュール

  • 2016年第3四半期まで: FANCの質問に対する回答及び新たな評価結果等の追加情報をONDRAF/NIRASが提出
  • 2017年第1四半期まで:建設許可申請とともに提出する安全報告書の改訂
  • 2017年第2四半期半ばまで:FANCが科学審議会(CS)に提出する評価報告書を作成
  • 2017年6月:科学審議会(CS)が見解を提示

【出典】

 

【2017年6月15日追記】

デッセル自治体の放射性廃棄物調査・協議グループ(STORA)は2017年6月13日に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可までの手続を半年程度遅らせるとするスケジュールを公表した。STORAは、処分の実施主体であるベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)とパートナーシップを構築して、本計画に参加・関与している。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、浅地中処分場の建設許可申請を連邦原子力管理庁(FANC)に提出しており、現在、FANCが審査を行っている。FANCは2015年11月に、審査結果について取りまとめた報告書を2017年第2四半期半ばまでに科学審議会(CS)に提出し、2017年6月には科学審議会(CS)の見解を得るとしていた。

今回公表されたSTORAの情報では、以下のようなスケジュールが示されている。

  • 2017年夏頃まで:建設許可申請に関して、FANCが提示した約300件の質問に対して、ONDRAF/NIRASが回答を提出
  • 2018年初め:科学審議会(CS)が見解を提示
  • 2018年:科学審議会(CS)の見解が肯定的であった場合、処分場周辺5km圏内の自治体に対する意見募集を実施
  • 2019年:科学審議会(CS)が自治体の見解も踏まえて提示する最終見解が肯定的であった場合、王令による建設許可が発給され、建設開始
  • 2022年:処分場への廃棄物の定置開始

 

【出典】

 

【2017年12月19日追記】

デッセル自治体の放射性廃棄物調査・協議グループ(STORA)は2017年12月14日に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場の建設許可手続きの進捗状況を公表した。STORAは、処分の実施主体であるベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)とパートナーシップを構築して、本計画に参加・関与している。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、アントワープ州デッセル自治体に立地する浅地中処分場の建設許可申請を連邦原子力管理庁(FANC)に提出しており、現在、FANCが審査を行っている。審査で行われた質疑応答の結果として、ONDRAF/NIRASは、浅地中処分場について、以下のような改善を図るとしている。

  • プルトニウムのような長寿命放射性核種の含有量制限を強化する
  • 外部から浸入した水が廃棄体付近に滞留しないように処分場設計を変更する
  • 処分場の下部に放射性核種の吸着層を追加する

今後ONDRAF/NIRASは、建設許可申請に係る安全報告書を改訂し、FANCに再提出する予定である。今回公表されたSTORAの情報では、以下のようなスケジュールで、浅地中処分場の操業までの手続きを進めるとしている。

  • 2018年:処分場周辺5km圏内及びアントワープ州の自治体に対する意見募集を実施
  • 2019年:王令による建設許可の発給
  • 2022年末:処分場への短寿命の低・中レベル放射性廃棄物の定置開始

【出典】

 

【2019年2月6日追記】

ベルギー放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は2019年2月5日に、短寿命の低・中レベル放射性廃棄物(カテゴリーAと呼称されている)の浅地中処分場建設の許認可手続きにおいて、連邦原子力管理庁(FANC)に対し、安全報告書の改訂版を提出したことを公表した。

ONDRAF/NIRASは2013年1月に、浅地中処分場の建設許可申請をFANCに提出したが、FANCは安全報告書の内容に関して約300件の補足情報等を要求していた。ONDRAF/NIRASは、2017年末に、FANCに対して最後の補足情報を提出した後、安全報告書の改訂作業を行い、今回、FANCに安全報告書を再提出したものである。

FANCは、改訂された安全報告書の内容を審査し、その結果を取りまとめた審査報告書を科学審議会(CS)に提出し、科学審議会の見解を得る予定である。今後、ONDRAF/NIRASは、以下のような流れで許認可手続きを進める予定としている。

  • FANCからの諮問に対し、科学審議会が肯定的な見解を示した場合、FANCが処分場周辺自治体や欧州委員会(EC)に対する意見募集を行い、取りまとめ
  • 処分場周辺自治体等から提出された意見を踏まえ、再度、科学審議会は見解案と許認可条件案を提示
  • ONDRAF/NIRASは、科学審議会の見解案と許認可条件案について、30日以内に意見を示し、その後、科学審議会が最終的な見解を決定
  • 2020年半ばに、ONDRAF/NIRASが王令による建設許認可を取得
  • 2024年に、ONDRAF/NIRASが処分場への放射性廃棄物の定置を開始

 

【出典】


  1. FANC内部に設置されている諮問組織 []
  2. 「電離放射線に起因する危険からの公衆及び環境の防護、並びに連邦原子力管理庁(FANC)の設置に関する法律」において、放射性物質が存在する施設の建設操業に係る許可申請を審査する際、FANCは科学審議会(CS)の見解を得ることになっている。 []
NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2015年10月29日付で、オンタリオ州セントラルヒューロン自治体(右上図21番)で実施していたサイト選定プロセスの第3段階第1フェーズの机上調査の結果を公表した。NWMOは、セントラルヒューロン自治体がサイト選定要件に合致する可能性が高いと評価し、今後、第3段階第2フェーズの現地での調査を実施するとしている。

セントラルヒューロン自治体は、2014年7月に、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”に進む意思をNWMOに伝え、これを受けてNWMOは第3段階第1フェーズとなる机上調査を実施していた。NWMOは第3段階第1フェーズで得られた知見として以下の3点を示している。

  • 予備的な地質学的机上調査によれば、同自治体の地質は、使用済燃料の地層処分場を受け入れるための多くの有利な地質学的特性を備えている。
  • 予備的な調査によれば、同自治体は、エンジニアリング、輸送、及び環境と安全性の観点から求められる要件を満たす可能性を備えている。
  • 「適応性のある段階的管理」(APM)(詳しくは こちら)の実施によって、自治体の福祉が向上する可能性がある。

今回のセントラルヒューロン自治体における第3段階第1フェーズの机上調査が完了したことにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスにおいて、初期スクリーニングで良好と判断された全21自治体について、第3段階第1フェーズが完了したこととなる。その結果、11の自治体が第3段階第2フェーズでの現地調査に進んでいるが、このうち、空中物理探査などの初期フィールド調査により、2自治体は地層処分場に適切な場所を特定できる見通しが低いと判断され、サイト選定プロセスから除外されている。このため、2015年10月時点で9自治体がサイト選定プロセスに参画していることになる。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

ドイツ連邦政府は2015年10月14日に、原子力発電からの撤退1 に関連して、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)について、資金確保のあり方を検討する「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)の設置を決定した。検討委員会は、原子力発電事業者がバックエンド資金に係る費用負担の責任を果たすため、十分なバックエンド資金を長期的に維持できるような資金確保方策を検討するとされている。

脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会

2015年10月14日付で設置された検討委員会は、3名の共同委員長及び委員16名の合計19名で構成される。

共同委員長は以下の3名である。

  • マティアス・プラツェク(元ブランデンブルク州首相、社会民主党(SPD))
  • オーレ・フォン・ボイスト(元ハンブルク市長、キリスト教民主同盟(CDU))
  • ユルゲン・トリッティン(元連邦環境大臣、緑の党)

16名の委員には、州首相経験者を含む政治家、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の原子力安全局長、会計監査、法律の専門家の他、経済団体、環境団体、労働組合、大学、宗教団体などに所属する委員が含まれている。

ドイツには現在、バックエンド資金確保に関して公的な基金制度などはなく、原子力発電事業者が独自に引当金として資金確保を行っている。しかし、資金確保のあり方については、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」に基づき設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の市民対話集会などにおいても、基金や財団を設置して管理すべきとの意見が出されていた

検討委員会は2016年1月までに検討結果を勧告にとりまとめ、「原子力発電に関する政務次官委員会」に提出する。同政務次官委員会は、今回の閣議決定によって検討委員会と同時に設置された関係省庁の次官級組織であり、連邦経済エネルギー省(BMWi)、BMUB、連邦財務省(BMF)、連邦運輸・デジタルインフラ省(BMVI)の次官や連邦内閣官房長官等で構成され、検討委員会の活動に協力すると共に、検討委員会から提出された勧告のレビューを行う。

原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステスト

検討委員会の設置に先立ち、連邦経済エネルギー省(BMWi)は2015年10月10日に、原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステストの結果を公表した。本ストレステストは、BMWiが会計監査法人に委託して実施したものであり、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者がバックエンド資金に係る費用負担に耐えうるかの観点で財務状況を評価したものである。

本ストレステストでは、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積りの総額は、475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円、2014年価格)と算出されている。また、バックエンド費用見積りの内訳が、5種類の費用区分で示されている。費用区分ごとの見積額を下表に示す。

ドイツ原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積り(2014年価格)

廃止措置と解体

197億1,900万ユーロ(約2兆6,818億円)

キャスク・輸送・運転廃棄物 99億1,500万ユーロ(約1兆3,480億円)
中間貯蔵 58億2,300万ユーロ(約7,919億円)
コンラッド処分場 37億5,000万ユーロ(約5,100億円)
高レベル放射性廃棄物処分場 83億2,100万ユーロ(約1兆1,320億円)
総額 475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円)

 

バックエンド費用見積り総額を基に、金利、インフレ率などのパラメータを変動させたシナリオにより、事業者によって確保されるべきバックエンド費用総額が計算されており、その幅を約299億ユーロ(約4兆700億円)から約774億ユーロ(約10兆5,000億円)と評価している。これに対し、2015年8月現在でのバックエンド資金として利用可能な対象事業者の資産総額は約830億ユーロ(約11兆3,000億円)であり、うち約383億ユーロ(約5兆2,100億円)が引当金として確保されている。このため、バックエンド費用が最も高額となるシナリオの場合でも、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者はバックエンド資金に係る費用負担に対応できるとの評価結果を示している。

なお、本ストレステストの結果は、検討委員会に資料として提示されることとなっている。

 

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

欧州委員会(EC)は、2015年10月9日に、英国の新規原子炉から発生する高レベル放射性廃棄物等の所有権及び地層処分の費用負担責任を廃棄物発生者から英国政府に移転させる契約(Waste Transfer Contracts, WTC.以下「放射性廃棄物移転契約」という)について、契約価格の設定方法が、欧州連合(EU)の国家補助禁止規則に抵触しないとして、価格設定方法を承認することを公表した。

英国では、2008年エネルギー法により、原子力発電事業者に対し、新規原子炉の建設前に、廃止措置、放射性廃棄物の管理・処分費用のうち、自らの負担分の全額を賄うため、確実な資金確保措置を講じること1を義務付けており、原子力発電事業者は、廃止措置資金確保計画(FDP)を担当大臣に提出し、承認を得る必要があるが、このFDP承認の際に、放射性廃棄物移転契約の締結が望まれている。こうしたことから、エネルギー・気候変動省(DECC)は、2010年12月より放射性廃棄物移転契約の価格設定方法に関する公開協議を行い、その結果を踏まえ、2011年12月に「新規原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物等の処分のための廃棄物移転価格設定方法」を公表している。この放射性廃棄物移転契約の価格設定方法については、事業者支援のために公的資金が利用されるおそれがあるため、欧州条約において原則禁止となっている国家補助禁止規則2に抵触していないかを欧州委員会が2012年6月から審査していた。

欧州委員会は、放射性廃棄物移転契約の価格設定方法がEUの国家補助禁止規則に抵触しないとした理由として、以下の点を挙げている。

  • 現在は地層処分の費用について不確実な点が多いが、契約価格が最終的に決定するのは新規原子炉における発電開始から30年後であり、現在の地層処分スケジュールから見ても、費用はほぼ明確になっていること
  • 契約価格には地層処分に係る全ての変動費と固定費が含まれており、契約価格設定後の処分費用の上昇リスクを考慮した適切な額が価格に上乗せされていること
  • 新規原子炉の発電開始から契約価格が最終的に決定する30年後まで、5年ごとに地層処分費用が見直され、事業者にはそのための資金を確実に確保していく義務が課せられていること
  • 英国政府が地層処分費用の上限額を保守的な方法で見積っていることから、実際の地層処分費用が、放射性廃棄物移転契約に基づいて事業者が支払う上限額を超過し、英国政府が超過分を負担することになるリスクが極めて低いこと
  • 設定価格には、英国政府が上記リスクを負うことに対する補償額が含まれていること
  • 英国政府が最終的に超過分を負担するという事業者支援が発生したとしても、支援によって生じる市場の歪曲は極めて限定的であること

【出典】


  1. 英国では、日本のような地層処分のための資金確保制度(外部独立基金)はなく、廃棄物発生者である事業者が必要な資金を確保することとなっている。 []
  2. EUにおける市場競争の歪曲、または歪曲するおそれのある国家補助に関する規則。 []

スイスの連邦評議会1 は2015年10月8日、地層処分場の設置に係る立地地域への経済的措置としての「交付金」及び影響に対する「補償金」について、現行の法制度の十分性に関する検討結果を取りまとめた報告書を公表した。本報告書は、スイスの国民議会(下院)の環境・都市計画・エネルギー委員会(UREK-N)が2013年4月9日に連邦評議会に対して検討を要請していたものである。UREK-Nの要請を受けて連邦評議会は、今回公表した報告書「地層処分場の影響—国民議会環境・都市計画・エネルギー委員会(UREK-N)要請13.3286(2014年4月9日付)に対応する連邦評議会報告」において、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に十分に規定されていることから、追加的な法整備は不要であるとの結論を示している。

特別計画に基づくサイト選定手続では、交通インフラなど他の事業にも共通する土地収用法に基づく補償義務に加え、放射性廃棄物処分場の立地地域に対する経済的措置として「交付金」及び立地地域へ及ぼす影響に対する措置として「補償金」が規定されている。

特別計画における「交付金」

特別計画では、国としての課題の解決への貢献に報いる経済的措置として、処分場の立地地域に対し、「交付金」を支払うことを定めている。特別計画に基づく「交付金」は、補助金法における交付金や土地収用法における補償のような法的根拠に基づく措置とは異なり、立地地域との個別の取り決めに基づいて支払われるものである。なお、スイスではすでに、原子力発電所や中間貯蔵施設について、取り決めに基づいて事業者が立地地域に対し、経済的措置を講じている。

「交付金」の分配・使途については、サイト選定第3段階の概要承認の発給前に、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)が地域会議、関係する州、自治体と協議し、取り決める。概要承認が発給され処分場サイトが確定した後に、NAGRAを経由する形で、廃棄物発生者がこの取り決めに基づいて立地地域へ「交付金」を支払う。

特別計画における「補償金」

特別計画では、地層処分場の計画や建設・操業に伴い立地地域に及ぼす影響に対し、「補償金」を支払うことが定められている。「交付金」の場合と同様に、特別計画に基づく「補償金」は、法律に基づく措置ではなく、地域会議及び関係する州が表明する影響に関して、廃棄物発生者、地域会議、関係する州、自治体との交渉の上で取り決められるものである。補償内容は連邦エネルギー庁(BFE)の承認を受ける必要がある。「補償金」に係る資金は、「交付金」と同様に、NAGRAを通じて廃棄物発生者が提供する。

地層処分場により立地地域が受ける影響に関して、特別計画は肯定的な面と影響の両面を早期に確認するよう要求しており、すでに連邦エネルギー庁(BFE)が2014年11月に、放射性廃棄物の地層処分場が立地地域に与える社会影響・経済影響・環境影響に関する調査の最終報告書を公表している

なお、「交付金」及び「補償金」の資金は、連邦が監督する放射性廃棄物管理基金により確保されることになっている。廃棄物発生者はこの基金に毎年拠出金を払い込んでおり、積立てられた資金のうち低中レベル放射性廃棄物用処分場については約3億スイスフラン(約381億円、1スイスフラン=127円で換算)、高レベル放射性廃棄物用処分場については約5億スイスフラン(約635億円)が立地地域に対する「交付金」及び「補償金」に充てられることになっている。2 連邦エネルギー庁(BFE)は、サイト選定第2段階終了までに、関係する州、自治体及び廃棄物発生者の関与のもと、「交付金」及び「補償金」に係る交渉の具体的なプロセスをガイドラインとしてまとめる予定である。

 

【出典】


  1. 日本の内閣に相当。 []
  2. 放射性廃棄物管理基金を管理する基金委員会は廃棄物発生者による拠出金の額を決定する際の根拠として、原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアによる費用見積(2011年版)を用いている。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2015年10月12日に、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書を公表した。本報告書においてANDRAは、オーブ県のスーレーヌ・コミューン共同体1 における地質調査の結果、処分場の設置に適した特性を持つ粘土層の存在を確認し、地質調査を継続する10㎞2の区域を特定している。長寿命低レベル放射性廃棄物には、以下のような廃棄物が含まれる。

  • ラジウム含有廃棄物(主に希土類、ジルコニウム、ウランの鉱石の処理により発生)
  • 黒鉛廃棄物(主に黒鉛減速炭酸ガス冷却炉(GCR)の運転、廃止措置により発生)
  • アスファルト固化廃棄物等

今回ANDRAの報告書において、これらの長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗は、以下の通りとしている。

<長寿命低レベル放射性廃棄物の特性>

長寿命低レベル放射性廃棄物は、2013年時点で約9万m3が存在しており、フランス国内の放射性廃棄物の総量の6%、放射能量の0.01%を占める。同廃棄物には半減期の極めて長い核種(例えば、塩素36、半減期約30万年)が含まれていることから、深さ100m程度の地層中に処分するオプションも検討していたが、廃棄物の特性に関する研究が進み、新たに特定した放射能インベントリに基づき、浅地中処分(深さ約20m)を検討できるようになった。

<処分場のサイト選定>

ANDRAは、2008年に長寿命低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の公募を開始し、2009年にはオーブ県にある2つの自治体(コミューン)であるオークソンとパール・レ・シャヴァンジュを選定した。しかし、両自治体とも自治体議会の反対を受けて、選定プロセスから撤退した。これを受けて政府は、ANDRAに対し、すでに原子力施設が立地しているサイト近傍の自治体、または2008年のサイト選定公募に応募した自治体における研究を検討するよう指示した。その後、すでに低レベル放射性廃棄物の処分場が立地しているオーブ県のスーレーヌ・コミューン共同体がサイト選定に向けた調査の実施を承諾したことを受け、ANDRAは2013年7月からスーレーヌ・コミューン共同体の50km2の区域において地質調査を開始した。調査の結果、浅地中処分場の設置に適した特性を持つ粘土層の存在を確認し、地質調査を継続する10㎞2の区域を特定した。

<処分場の設計>

長寿命低レベル放射性廃棄物の浅地中処分場の設計については、原子力安全機関(ASN)が2008年5月に公表した「長寿命低レベル放射性廃棄物処分のサイト調査に関する安全性の一般方針」に示された安全目標等に基づいて検討した。ANDRAは、①地表からの開削、②地下での処分スペースの掘削の2つのオプションのいずれかの採用に向けて、さらに研究を継続している。なお、ANDRAは、廃止措置に伴って今後発生する極低レベル放射性廃棄物についても、長寿命低レベル放射性廃棄物に隣接した区域における処分が可能であると考えている。

<プロジェクトの今後の計画>

ANDRAはスーレーヌ・コミューン共同体において特定された10km2の区域において、処分場サイト選定のための補完的な調査を2015~2016年にかけて実施する。また、処分場の設計に関する検討も継続し、特に、開削方式を採用した場合に、掘削した土を埋め戻した後の挙動について研究を進める。これらの研究結果に基づきANDRAは、2018年に処分場の設計案を作成し、設置許可申請書の提出に向けた作業を進める。

 

今回ANDRAが公表した報告書は、2013~2015年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)の施行に関する2013年12月27日のデクレ(政令)に基づいたものである。本デクレにおいては、ANDRAが2015年6月30日までに、黒鉛廃棄物とアスファルト固化廃棄物の管理シナリオ及び地表からの開削と覆土による処分プロジェクトのフィージビリティに関する報告書について、エネルギーと原子力安全の担当大臣に提出しなければならないと定めている。なお、フランスでは、2006年放射性廃棄物等管理計画法に基づいて、政府が3年間毎に「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)を策定することになっており、次の国家計画の策定は2016年の予定である。

 

【出典】

【2016年4月20日追記】

フランスの原子力安全機関(ASN)は2016年4月6日、長寿命低レベル放射性廃棄物の管理研究に関する2016年3月29日付の見解書を発表した2  。ASNは今回の見解書において、長寿命低レベル放射性廃棄物の種類が多様であることから、それら全てを単一処分場で処分するには多くの課題があるという認識を示しているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が処分場の設置を想定している粘土層の機能(低透水性、水理地質学的条件、厚さ等)、処分場の操業中及び閉鎖後の安全性に関する予備的安全評価(廃棄物の化学的毒性による影響、廃棄物に含まれるウランやラジウムの放射性崩壊に伴って発生するラドンによる被ばく等)に関して、ANDRAが研究を継続するにあたっての要求や勧告を今後示す方針を表明した。

ASNは今回の見解書において、ANDRAが2015年10月12日に公表したANDRAによる長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書について、以下のような意見を示している。

  • 処分場を設置することを想定している粘土層の下には帯水層があるが、この帯水層への放射性核種の移行を防ぐために、粘土層のうち処分場を設置する面よりも深い部分の特性(厚み、均質性、低透水性等)に関する詳細な分析を行うべきである。
  • ANDRAは処分対象となる長寿命低レベル放射性廃棄物のインベントリを明確にする必要がある。
  • ANDRAは、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分場に採用する技術オプション及び安全オプションをASNに提出したうえで、侵入リスクや放射性物質及び化学物質の拡散に対する防護について、慎重な決定論的安全評価アプローチに基づく予備的安全評価を提出すべきである。
  • ANDRAが想定しているスーレーヌ・コミューン共同体における処分場の設置を補完する措置として、ANDRAは第2の処分場の設置可能性を検討し、2017年半ばまでに、候補サイトを選定するための方法論を提出するべきである。

なお、フランスではASN等が2016年内に、2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)を取りまとめる予定である。ASNは今回公表した意見書において、PNGMDRで規定する長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトのスケジュールに関して、ANDRAが提示していたものよりも慎重なものとする見解を示している。ASNは、ANDRAの安全オプションの提出が2021年末、処分場の設置許可申請を2025年末まで行い、処分場の操業開始を2035年にする案を示している。

【出典】

  • 低レベル長寿命放射性廃棄物の管理研究に関する2016年3月29日付のASN見解書第2016-AV-264号、Avis no 2016-AV-264 de l’Autorité de sûreté nucléaire du 29 mars 2016 sur les études relatives à la gestion des déchets de faible activité à vie longue (FA-VL) remises en application du Plan national de gestion des matières et des déchets radioactifs 2013-2015, en vue de l’élaboration du Plan national de gestion des matières et des déchets radioactifs 2016-2018
    http://www.asn.fr/content/download/102318/751420/version/2/file/2016-AV-0264.pdf
  • 2015年10月12日、ANDRA、長寿命低レベル放射性廃棄物処分プロジェクトの進捗に関する報告書、PROJET DE STOCKAGE DE DÉCHETS RADIOACTIFS DE FAIBLE ACTIVITÉ MASSIQUE À VIE LONGUE (FA-VL) RAPPORT D’ÉTAPE 2015
    http://www.andra.fr/download/site-principal/document/editions/rapport-etape-favl.pdf

 


  1. オーブ県の複数のコミューン(自治体)の広域行政組織 []
  2. 2013~2015年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)の施行に関する2013年12月27日のデクレにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による長寿命低レベル放射性廃棄物の処分プロジェクトの進捗に関する報告書について、ASNが意見を示すべきことが規定されており、今回の見解書はこれに基づいたものである。 []

英国の原子力安全規制機関である原子力規制局(Office for Nuclear Regulation, ONR)とイングランドを所管する環境規制機関(Environment Agency, EA)は、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)について、RWMの活動に対するレビュー報告書(2015年8月付)を2015年9月16日に公表した。RWMとONR及びEAとは、規制プロセスに入る前のRWMによる地層処分に関する活動について、RWMにアドバイスを行うことに合意しており、この合意に基づき今回のレビューが実施されている。

英国では、使用済燃料や放射性廃棄物の管理及び処分施設を含む、原子力施設の建設・操業などについては、原子力施設法に基づき、原子力規制局(ONR)から原子力サイトとしての許可を取得する必要がある。また、原子力サイトにおいて放射性廃棄物を処分するためには、イングランド及びウェールズでは環境許可規則、スコットランドと北アイルランドでは放射性物質法に基づいた許可をそれぞれの環境規制当局1から取得する必要がある。

また、英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、現在のところ高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を採用しているのは英国政府(イングランドを所管)とウェールズ政府のみ2である。なお、ウェールズ政府は、今回のレビューの実施期間(2013年4月から2015年3月)の後の2015年6月に地層処分する方針を決定したため、レビュー報告書は原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)によって発行されている。

原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)は今回のレビューの目的を、放射性廃棄物管理会社(RWM)が将来提出する地層処分施設に関する許可申請書において、環境保護、安全、セキュリティ、放射性廃棄物輸送、保障措置等の規制要件を満足するようにするためとともに、RWMによる廃棄物発生者に対する廃棄物パッケージ方法に関するアドバイスが適切であることを規制機関が確証するためとしている。

原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)は、放射性廃棄物管理会社(RWM)の地層処分に関する活動を毎年レビューする意向であり、今回のレビュー報告書と同様、以下の8つの分野をレビュー対象として、規制機関からのコメントや改善点などを年次報告書として示していくとしている。

  1. 地層処分の実施に向けた計画策定
  2. 処分システムの仕様・設計
  3. セーフティケースの開発
  4. 持続可能性・環境アセスメント
  5. 研究開発(R&D)
  6. サイト評価・特性調査
  7. 廃棄物パッケージに関するアドバイス・評価
  8. 実施組織体制の整備

【出典】


  1. 環境規制機関(EA)、天然資源ウェールズ(NRW)、スコットランド環境保護局(SEPA)、ならびに北アイルランド環境省(DoENI) []
  2. 北アイルランド政府も地層処分方針を支持しているが、北アイルランドでは地層処分対象となる高レベル放射性廃棄物等が発生していない。また、スコットランドについては、スコットランド政府が地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で高レベル放射性廃棄物等の長期管理を継続することとしている。 []

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2015年9月8日、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニング(下記コラム参照)のガイダンス案を公表するとともに、意見提出期限を2015年12月4日までとする公開協議を開始した。RWMは一般への情報提供を目的として、公開協議期間中の10月から11月初めにかけて、ロンドンを含めて11の地域でワークショップを開催する予定である1

英国では2015年3月に、英国政府の要請を受けた英国地質学会(The Geological Society)が、放射性廃棄物管理会社(RWM)の作成する地質学的スクリーニングのガイダンスが技術的な知見に立脚していることを確保するため、独立評価パネル(IRP)を設置している2 。2015年6月に、RWMはIRPのレビュー用にガイダンス案を作成し、IRPはガイダンス案の評価を実施している(2015年6月16日の追記を参照)。RWMは、このIRPの評価結果を踏まえ、今回公表した地質学的スクリーニングのガイダンス案を作成している。ガイダンス案は以下のものから構成されている。

① 地質環境が関与する地層処分施設の7つの長期安全要件の提示

  1. 地層処分施設の人工バリア機能が維持されること
  2. 地下水に溶け込んだ放射性核種または毒性物質によって安全性が損なわれないこと
  3. 地層処分施設内で発生したガスによって安全性が損なわれないこと
  4. 自然事象や自然変動によって安全性が損なわれないこと
  5. 安全性を立証するためにサイト特性調査が十分に実施できること
  6. 長期挙動が安全性に与える影響が理解可能なこと
  7. 潜在的な人間侵入の影響が評価可能であること

② 長期安全要件に関して考慮すべき5つの地質特性についての説明
  (1)岩種、(2)岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、(3)地下水、(4)自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、(5)資源の賦存

③ 上記5つの地質特性を理解するために使用する既存の地質情報の情報源についての説明

④ 既存の地質情報を基に実施する地質学的スクリーニングの結果の提示方法の説明:イングランド、ウェールズ、北アイルランドを13の地域に区分し(下図参照)、地域ごとに地質学的スクリーニングを実施する。地質学的スクリーニングの結果は、各地域の地質環境の主な特徴と安全性の関連を説明したものを適宜、地図でわかりやすく例示する。

英国地質学的スクリーニング置ける地域区分

また、放射性廃棄物管理会社(RWM)は、今回の公開協議において、地質学的スクリーニングのガイダンス案について以下の4つの質問事項を示し、一般からの意見を募集している。

  • 長期安全性に関する既存の地質情報の提供方法は適切なものか。
  • 既存の地質情報の情報源は適切かつ十分なものか。
  • 地質学的スクリーニングの結果の提示方法に賛成か反対か。
  • 地質学的スクリーニングのガイダンス案で示された内容について他に意見があるか。

放射性廃棄物管理会社(RWM)は、公開協議で得られた意見を踏まえ、地質学的スクリーニングのガイダンス案を更新し、独立評価パネル(IRP)の評価を受ける予定である。RWMは2016年中に最終版の地質学的スクリーニングガイダンスを公表し、これに基づいて地質学的スクリーニングを実施するとしている。

地質学的スクリーニングについて

RWMは、2014年7月にエネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)が公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』 に基づき、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期段階において、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングを実施することになっている。地質学的スクリーニングは、自治体を含む地域が地層処分施設の設置について検討を行う際、安全面において重要な地質に関する情報を利用できるようにするため、既存の地質情報を活用し、地質学的スクリーニングのガイダンスを適用して実施されるものである。なお、地質学的スクリーニングの結果は、地層処分施設の設置に「適格」または「不適格」なエリアの判定やサイトの絞り込みに使用されるものではないと位置づけられている。 

【出典】


  1. ワークショップにおいて表明された見解や意見は、公開協議において提出された意見とはみなされない。 []
  2. IRPは、RWMが作成する地質学的スクリーニングのガイダンス案の評価だけでなく、RWMが実施する地質学的スクリーニングへのガイダンスの適用についての評価も行う。 []