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《フランス》国家評価委員会(新CNE)の第1回報告書が公表

フランスにおいて、放射性廃棄物等の管理に関する研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(新CNE)の第1回評価報告書が、政府刊行物などを扱うウェブサイトにおいて公表されたことが放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のウェブサイトで示された。新CNEは、2006年6月の放射性廃棄物等管理計画法に基づき2007年4月に設置されており、上記の進捗状況を評価して毎年報告することが義務付けられている。今回の報告書では、新CNEの評価方針、ANDRAによる放射性廃棄物等の管理研究の基本方針及び原子力庁(CEA)による核種分離・変換等の研究プログラムに対する評価などが示されている。

同報告書において、国家評価委員会(新CNE)は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物、長寿命低レベル放射性廃棄物(黒鉛・ラジウム廃棄物)のそれぞれの処分を、放射性廃棄物等管理計画法で定められたスケジュールに沿って実施する目的で放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が提案した研究調査プログラムについて、そのスケジュールが非常に厳しいものであるとしている。放射性廃棄物等管理計画法では、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分については、2015年に可逆性のある地層処分場の設置許可を申請し、2025年に操業を開始することが求められている。また、長寿命低レベル放射性廃棄物についても、2013年に処分場の操業を開始することが求められている。

上記のスケジュールに関する新CNEの評価の理由は次のとおりである。

  • ANDRAが提案する高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分に関する研究調査プログラムは、法に定められている期限と行政上の制約を勘案して構築されているが、技術的な不確実性や重大な行政上の遅滞の余地が一切無い。
  • ANDRAが研究している、長寿命低レベル放射性廃棄物のパッケージを何らかの被覆によって侵食から保護された層厚約50mの粘土層内へ定置するという処分概念は、未だ実用化されたものではなく、2009年にサイトを選定するというANDRAの暫定スケジュールに基づけば、選定サイトの特性等に依存する情報などの不確実さなどの問題もあり、その実現は厳しい。

また、同報告書の基本方針において、国家評価委員会(新CNE)による評価対象は、政府によって3年毎に策定される全ての放射性廃棄物の管理に関する国家放射性廃棄物等管理計画(PNGMDR)に沿ったものとされているが、その対象範囲は広範であるため、原子力安全機関(新ASN)との合意に基づいて、今後数カ月以内にデクレ(政令)により明確に定められることが望ましいとされている。

なお、今回の報告書は、放射性廃棄物等管理計画法に基づき、国家評価委員会(新CNE)が放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、原子力庁(CEA)、フランス国立科学研究所(CNRS)から資料提供を受けると共にヒアリングを行うなどして、2007年6月に作成されたものである。その後、同報告書は議会に提出され、2007年7月には議会科学技術評価委員会(OPECST)による新CNEに対するヒアリングが行われていた。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、http://www.andra.fr/
  • Commission nationale d’évaluation des recherches et études relatives à la gestion des matières et des déchets radioactifs, Rapport d’évaluation n°1, Juin 2007 (原典はこちらのサイトから入手可能、http://www.ladocumentationfrancaise.fr/rapports-publics/074000493/index.shtml)
  • 国民議会(下院)ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/13/cr-oecst/06-07/c0607005.asp

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )