2007年3月、米国のエネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、2009会計年度から2023会計年度における高レベル放射性廃棄物処分場の予算見通しの概要報告書をウェブサイトで公表した。同期間における費用総額の見通しは約269億ドルで、そのうち処分場や輸送施設の建設などの資本費が約185億ドル、操業費が約84億ドルとされている。この金額には、2008会計年度までの費用や2024会計年度以降の費用は含まれておらず、処分に係る全費用を対象としたトータル・システム・ライフサイクル・コスト(TSLCC)分析報告書は、本年中に連邦議会に提出の予定とされている。
この予算見通しは、2006年7月19日に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の局長が連邦議会のヒアリングにおいて、最善な場合に達成可能なスケジュールを公表した 際に、議会から要求されていたものである。今回公表された予算見通しは、2008年6月に原子力規制委員会(NRC)に認可申請書提出、2017年に廃棄物受け入れ開始、2021年12月には処分場が操業可能(一部の処分坑道の掘削は未了)となるスケジュールが前提とされている。
予算見通しに含まれている資本的予算に係る主要な項目は以下の通りである。また、会計年度別の資本的予算見通しは下に示した図の通りとなっている。
- 資本的予算
- 処分場費用(約126億ドル)
- 認可申請書作成及び許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)関係
- 地上施設の設計、調達、建設
- 初期操業に必要とされる地下施設(主アクセス坑道、定置坑道)
- 廃棄物パッケージの設計及び調達
- 物理的セキュリティシステム
- プログラム管理
- ネバダ輸送インフラ施設費用(約27億ドル)
- ネバダ州内の鉄道線路及び関連施設の設計及び建設
- 実地調査
- 環境影響評価
- 全米輸送費用(約11億ドル)
- 鉄道及びトラック用のキャスク(容器)システムの仕様開発及び調達
- 鉄道車両の設計、調達、製造、試験及び受け入れ
- 初期操業に必要とされる輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタ(容器)の調達
- 輸送物が通過する地方自治体等の担当官の訓練に係る技術支援・資金提供
- 物理的セキュリティシステム
- プログラム管理
- プロジェクト管理・統合費用(約21億ドル)
- 廃棄物受け入れ作業
- TADキャニスタの設計・開発・認証取得
- 品質保証
- 物理的セキュリティシステム
- プログラム支援
- プログラム監督
なお、今回の予算見通しには、不確実性要素や管理上の予備費も含まれている。また、金額は全て、支出年度における名目金額とされている。
【出典】
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )