原子力廃止措置機関(NDA)は、ニュースリリースにおいて2006年4月25日、26日にNDAの競争原理導入の最初の事例となる、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の管理契約に関する説明会を開催したことを公表した。同ニュースリリースによると、説明会には150人以上が集まり、NDA職員から説明を受け、ドリッグ処分場の管理及び関連作業のための契約について質疑応答が行われたとしている。また、NDAはウェブサイト上に競争入札に関する説明及び説明会の資料を掲載している。同ウェブサイトによると、ドリッグ処分場に関する契約は2007年後半までに締結される予定としている。なお、サイト管理等の契約に対する競争原理の導入は、2006年3月に政府によって承認されたNDAの戦略報告書に示されていたものである 。
原子力廃止措置機関(NDA)のニュースリリースによると、NDAが競争入札を用いる目的は安全で環境保護に責任を有し、費用効果があり、クリーンアップを加速させることのできる契約者を見つけることであるとしている。また、開かれた透明性のある競争入札プロセスが重要であり、競争入札プロセスに参加することを望んでいる全ての者に対して、不必要で不公正な障壁があってはならないとしている。
原子力廃止措置機関(NDA)がウェブサイト上で公表した説明会の資料によると、NDAの主要な役割には以下の3つがあることが示されている。
- すでにドリッグ処分場に存在する低レベル放射性固体廃棄物の管理
- 将来発生する廃棄物の中間及び最終的な管理
- 全ての低レベル放射性廃棄物の最終処分
また、契約については、以下の2つの要素から成り立っており、これらの要素が単一の契約者によって実施される場合もあるが、要素2が複数の契約者によって実施される場合も考慮されていることが示されている。
- 要素1(契約当初から契約終了まで)
- 処分場の操業
- 不必要となったプルトニウム汚染物質(PCM)貯蔵庫の解体
- 処分場の最終的な状態の定義及び閉鎖
- 要素2(12-18か月後以降)
- 低レベル放射性廃棄物管理の包括的な解決策の提案及び実施
さらに、原子力廃止措置機関(NDA)が公表した資料に示されているドリッグ処分場の競争入札プロセスのスケジュールは以下のようになっている。
2006年5月から6月 | 調達戦略の策定 |
2006年4月から6月 | 市場との連携 (産業界が情報提供等する期間、正式な調達プロセスの一部ではない) |
2006年6月から8, 9月 | 事前審査(正式な入札の開始) |
2006年10, 11月から2007年1, 2月 | 応札者募集 |
2007年5月 | 応札者リストの作成 |
2007年第1四半期から第3四半期 | 評価・交渉 |
2007年第3四半期 | 推薦・承認 |
2007年第4四半期 | 契約締結 |
2008年前半 | 管理体制の移行及び新体制での操業開始 |
【出典】
- 原子力廃止措置機関(NDA)、ニュースリリース、
http://www.nda.gov.uk/News–News_(1623).aspx?pg=1623 - 原子力廃止措置機関(NDA)、Procurement Overview、
http://www.nda.gov.uk/documents/nda_industry_day_presentation_25_april_2006_-_procurement_overview_by_adrian_simper.pdf - 原子力廃止措置機関(NDA)、LLWR SLC Procurement Competition Overview、http://www.nda.gov.uk/documents/nda_industry_day_presentation_25_april_2006__llwr_slc_procurement_competition_by_peter_thomas.pdf
- 原子力廃止措置機関(NDA)ウェブサイト、
http://www.nda.gov.uk/Our_Business–Competition_(1605).aspx?pg=1605
【2006年9月14日追記】
2006年9月13日付原子力廃止措置機関(NDA)ニュースリリースにおいて、バブコック社、エナジー・ソリューション社(米国ユタ州・クライブ処分場、サウスカロライナ州・バーンウェル処分場の操業に関係)、ワシントングループ・インターナショナル(米国の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業に関係)の3つの企業及び企業グループが入札の適合資格を得たことが公表された。
また、同ニュースリリースでは、3つの企業などに向けた入札案内が2006年10月、入札書類の受付が2007年1月まで、入札結果の公表が2007年10月とされている。
なお、現在のドリッグ処分場の操業者である英国原子力グループ・セラフィールド社(BNGS)は、エナジー・ソリューション社が結成した企業グループに参加している。
- 原子力廃止措置機関(NDA)、2006年9月13日付けニュースリリース、http://www.nda.gov.uk/News_(42).aspx?pg=42
- 英国原子力グループ・セラフィールド社(BNGS)、2006年7月26日付けニュースリリース、 http://www.britishnucleargroup.com/content.php?pageID=31&nID=2026
【2007年8月16日追記】
2007年8月15日付原子力廃止措置機関(NDA)ニュースリリースにおいて、入札書類を提出していた3つの企業グループの内、英国放射性廃棄物管理会社(ワシントングループ・インターナショナルが率い、英国スタズビック社、AREVA NC、セルコ-アシュアランス社を含む企業グループ)が優先交渉権者として決定したことが公表された。NDAは今後、優先交渉権者と契約内容の詳細について取り決めを行い、2007年10月に契約を結ぶ予定としている。
- 原子力廃止措置機関(NDA)、2007年8月15日付けニュースリリース、http://www.nda.gov.uk/news/llwr-preferred-bidder.cfm
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )