フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社は、2011年7月8日付のプレスリリースにおいて、最終処分地のオルキルオトに建設している地下特性調査施設(ONKALO)のうち、アクセス坑道の掘削作業が2011年6月に完了したことを公表した。
同プレスリリースにおいてポシヴァ社は、キャニスタの定置試験と処分の安全性を示すことを目的とした実証施設の建設状況についても紹介している。実証施設では、深度420mに設ける実証坑道の床面から鉛直方向に処分孔(直径約1.8m、深さ8m)が掘削される。定置試験では、模擬キャニスタを処分孔に一本ずつ縦置き方式で定置する予定である。実証施設には2本の実証坑道が建設され、第1実証坑道(全長約50m)の掘削が2011年夏に完了し、第2実証坑道(全長約120m)の掘削が2011年末までに完了する見通しとされている。また、アクセス坑道から実証施設に至る中央坑道(全長約70m)の掘削は既に完了したとしている。
ONKALOの未完成の立坑部分の作業予定についてポシヴァ社は、2011年初秋までの予定で2本の換気立坑(吸気用及び排気用)と1本の人員立坑の掘削を完了させる予定である。3本の立坑については、すでに深度290mから地表までの掘削が完了しているが、ポシヴァ社は6月末より、深度438m地点から深度290m地点までの掘削を、下部から上部方向へのレイズボーリング工法1 により行っている。この掘削によって地表から最下部に至るONKALOの立坑が全て完成するとしている。
ポシヴァ社は、2012年に、使用済燃料処分場の建設許可申請を行う予定であり、その時点までに、ONKALOにおける最終処分坑道及び最終処分施設の建設の検証作業を完了させる計画である 。なお、ONKALOは、最終的に処分施設の一部として使用する予定である。
【出典】
- ポシヴァ社、2011年7月8日付プレスリリース
http://www.posiva.fi/en/news/onkalo_news/onkalo_access_tunnel_excavation_completed.html - ポシヴァ社、「オルキルオト及びロヴィーサ原子力発電所の原子力廃棄物管理:現状レビュー及び将来の計画(2010-2012年)(TKS-2009)」
http://www.posiva.fi/files/1078/TKS2009_Eng_web_rev1_low.pdf
- レイズボーリング工法:立坑の施工方法の一つで、上向きの方向に機械で掘削する方法。事前に掘削した細いパイロット孔に沿って、下からリーミングビットと呼ばれる径の大きいビットを上に引上げながら拡掘する。 [↩]
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-11 )