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《韓国》慶州市が中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致を申請

韓国産業資源部(MOCIE)は、2005年8月16日付けのプレスリリースにおいて、慶州市(キョンジュ市)が中低レベル放射性廃棄物処分施設の候補サイトの選定に向けた誘致申請書を同日、産業資源部に提出したことを発表した。今回のサイト選定の手続は、2005年6月16日の公告によって開始されたもので、中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致を行う地方自治体首長は、2005年8月31日の期限までに地方議会の同意を得た上で、産業資源部に申請することになっている(既報)。

慶州市については、2005年3月2日に市議会が自治体として初めて中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致に賛成する議決を行い、特別委員会を設置するなどの活発な誘致活動を通じて、地元住民の意見を収集してきた。2005年8月11日に慶州市長は誘致申請を行うことを公表、慶州市議会に同意案を提出し、市議会では2005年8月12日に在籍議員24人の内22人が出席し、満場一致で同意案を可決していた。

慶州市の誘致申請において想定しているサイトは、月城(ウォルソン)原子力発電所の近くに位置する慶州市陽北面奉吉里(キョンジュ市ヤンブク面ポンギル里)サイト(下図参照)であり、2005年6月16日の公告の際に、サイトの適合性評価について、地質条件が比較的良好との暫定的な確認がなされている。(既報

産業資源部は、今回の慶州市の誘致申請について、これまで地域レベルでのみ活発に行われてきた誘致に関する議論が、初めて自治体レベルで公式に誘致申請の形に漕ぎ着けたものと評価している。申請された奉吉里サイトのサイト適合性が最終的に認められれば、次の段階として文化財、上水源保護区域であるか否かの確認、経済性などの事業推進環境の評価を行うことになっている。事業推進環境を含むサイトの適合性が確認された場合、産業資源部長官は2005年9月15日までに慶州市に住民投票法第8条(国家政策に関する住民投票)に基づく住民投票の実施を求めることになる。自治体首長が住民投票の発議を行った場合、2005年11月22日までに自治体で住民投票が(複数の場合は同時に)実施され、住民投票権者数の1/3以上の投票率及び有効投票数の過半数の賛成票の得票で可決となる。複数地域が競合する場合は賛成得票率の高い地域が最終候補サイトに選定されることになっている。(既報

なお、慶州市の他に、群山市(クンサン市)もすでに2005年7月18日に市議会で誘致同意案を可決しており、蔚珍郡(ウルチン郡)、浦項市(ポハン市)も地方議会に誘致同意案が上程されている。さらに、盈德郡(ヨンドク郡)、三陟市(サムチョク市)は、2005年8月中に世論調査を行い、住民の民意を確認した上で、誘致申請の是非を決定する方針とされている。産業資源部は、今回の慶州市の誘致申請によって、中低レベル放射性廃棄物処分施設の誘致に関心を示しているその他の自治体の誘致に向けた動きにも拍車がかかるとの見方を示している。

慶州市の位置
外務省ウェブサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/index.html)より作成

【出典】

  • 産業資源部(MOCIE)プレスリリース、2005年8月16日

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )