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英国におけるバックエンド事業の最近の動向 -NDAとBNFLを巡る動き

英国では、原子力遺産と称される公的部門における過去の原子力債務に関して、それらを管理する機関である原子力廃止措置機関(NDA)が2005年4月1日から活動を開始するとともに、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)及び英国原子力公社(UKAEA)の原子力施設については、廃止措置開始までの操業及び廃止措置に対する責任がNDAに移管されている。この移管により、BNFLが2004年に原子力施設の所有、管理、操業のための子会社として設立した英国原子力グループ(BNG)社は、NDAとの契約の下、NDAの管理対象施設の契約操業者となった。BNFLは、BNG社を始めとする子会社の企業統治や経営方針・戦略の策定などを行う持株会社となっている。また、BNG社はマグノックス・エレクリック社などの子会社を有している。

原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年5月9日のニュースリリースにおいて、NDAが英国原子力グループ(BNG)社に操業を委託しているセラフィールド再処理工場(THORP)の清澄工程1 の配管が破損したため、同工場の操業を即座に停止したことを、BNGが2005年4月20日にNDAに伝えたことを公表した。翌日の2005年5月10日には、英国核燃料公社(BNFL)が、セラフィールド関連のウェブサイトにおいて、配管破損についてのプレスリリースを公表し、清澄工程において使用済燃料の溶解液の約83m3が配管から床に漏れたが、同工程部分は外部へ漏洩が生じないように密封され、閉じ込められた空間となっており、作業者、周辺地域、環境への影響はないことを示している。また、BNG社は、2005年5月27日のプレスリリースにおいて、この配管破損についてのBNG社による調査結果を公表し、破損理由は配管の金属疲労であること、破損場所の閉じ込め機能により、外部環境への溶解液の漏洩および人への影響がなかったことなどを示した。

原子力廃止措置機関(NDA)は、2005年6月2日のニュースリリースにおいて、2005年5月27日に英国原子力グループ(BNG)社がNDAに提示した配管破損についての調査結果と対応策について、今後十分に検討を行うとともに、安全規制機関である原子力施設検査官室(NII)からの検討結果を待っていることを公表した。同ニュースリリースによると、NDAは、現時点ではセラフィールド再処理工場(THORP)の将来についての決定は何も下しておらず、また最終的な決定は政府によってなされるとしている。

なお、日本の電気事業者は、BNFLと使用済燃料の再処理委託契約を結んでおり、契約に基づき、2001年6月までに、契約全量の使用済燃料が既にBNFLに輸送されている。また、2004年12月には、英国政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する中レベル放射性廃棄物について、高レベル放射性廃棄物と等価交換することを承認する決定を行っている

【出典】

  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、http://www.nda.gov.uk/
  • 英国核燃料公社(BNFL)のウェブサイト、http://www.bnfl.com/
  • 英国原子力グループ会社(BNG)のウェブサイト、http://www.britishnucleargroup.com/
  • Preparing for Change in the BNFL Group、http://www.bnfl.co.uk/library/upload/docs/004/2587_1.pdf
  • 英国原子力廃止措置機関(NDA)の2005年5月9日付けのプレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=772
  • 英国核燃料公社(BNFL)のセラフィールド関連ウェブサイトの2005年5月10日付けのプレスリリース、 http://www.sellafield.com/content.php?pageID=79&newsID=1056
  • 英国核燃料公社(BNFL)の2005年5月27日付けのプレスリリース、 http://www.bnfl.co.uk/library/upload/docs/004/2574_1.doc
  • 原子力廃止措置機関(NDA)の2005年6月2日付けのプレスリリース、 http://www.nda.gov.uk/default.aspx?pg=775
  • 原子力白書(平成16年版)
  1. 再処理において、使用済燃料を溶解した際に、溶解せずに残っている固体粒子を溶解液から除去する工程。 []

(post by 原環センター , last modified: 2013-07-03 )