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《カナダ》核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が報告書 「進むべき道の選択-ドラフト」を公表 -使用済燃料管理方針の勧告のドラフト

カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2005年5月24日、「進むべき道の選択-ドラフト」と題する報告書を公表した。NWMOは、この報告書の中で、使用済燃料の長期管理方法に関して、「適応性のある段階的管理」(Adaptive Phased Management)と呼ばれる3つの段階を含む方法で地層処分を行うことを提案している。なお、NWMOは、核燃料廃棄物法に基づき、2005年11月に政府に対して使用済燃料の長期管理アプローチを勧告するための最終報告書を提出することとなっており、今回の報告書は、この最終報告書のドラフトである。

報告書と共に公表されたNWMO理事長のメッセージによると、適応性のある段階的管理は、技術的手法及び管理システムの2つの要素から構成されており、核燃料廃棄物法に規定されている3つの使用済燃料管理アプローチ(地層処分、サイト貯蔵、集中貯蔵)の利点を組み合わせたもので4番目のオプションである としている。

NWMOによる今回のニュースリリースによると、適応性のある段階的管理における技術的手法は、使用済燃料を集中的に深い地層中の適切な岩盤内に隔離することであるとしている。適切な岩盤に関してはカナダ楯状地の結晶質岩もしくは、その他の堆積岩を想定していることが示されている。使用済燃料の処分は、3つの段階を経て実現される予定であり、最終的に処分場が閉鎖されるまでに300年以上かかることを想定しており、その間、使用済燃料は監視され回収可能とするとしている。管理システムの重要な特徴は、それぞれの段階で管理オプションが検討され、処分の過程を前進、中断もしくは逆戻りするかどうかについて、関心を持つ市民および影響を受ける市民が意思決定に参加することができるとしている。NWMOが示している3つの段階の典型例を以下に示す。

・第1段階 約30年間の準備期間であり、使用済燃料は原子力発電所サイトに安全に管理される。この間に関心のある市民と協力しつつ、集中中間貯蔵施設のサイト選定および地層処分場のための技術を確認する等を目的とした地下研究所の建設を行う。また、浅地中中間貯蔵施設を建設するか否かの決定も行う。
・第2段階 約30年の期間で、使用済燃料が集中中間貯蔵施設へと移される。また、使用済燃料管理に関する研究及び実証が継続して行われる。
・第3段階 2060年頃から始まる最終段階で、使用済燃料が処分場に定置される。また、将来の世代が、処分場を閉鎖するのか、いつ閉鎖するのか、また、閉鎖後の監視について決定を行う。

同ニュースリリースによると、今回の報告書により示された提案は、技術者や15,000人以上の関心ある市民との対話から得られた、社会的に受け入れ可能で、環境面で責任を持ち、技術的に妥当で経済的に実現可能な廃棄物管理アプローチに必要とされる原則等を参考に策定されたとしている。また、今回の管理方法に関する提案に関して、2005年11月の最終報告書提出までに更に対話が行われることも示されている。

また、同ニュースリリースによるとNWMOは、集中中間貯蔵施設を設置する地域については、主に、現在原子力から恩恵を受けているサスカチュワン州、オンタリオ州、ケベック州およびニューブランズウィック州でサイト選定を行う意向を示している。また、この適応性のある段階的管理が政府によって選ばれた場合、実現のためには244億ドルの費用が必要であることが示されている。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)2005年5月24日付けニュースリリース http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=1238,50,19,1,Documents
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO) 理事長のメッセージ http://www.nwmo.ca/adx/asp/adxGetMedia.asp?DocID=1224,1026,20,1,Documents&MediaID=2409&Filename=Choosing+a+Way+Forward.pdf

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )