米国の連邦控訴裁判所1 は、2010年7月28日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、2010年9月23日に予定されていた口頭弁論などのスケジュールを破棄し、訴訟手続きを一時停止することを決定した。
ユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に関連した訴訟としては、サウスカロライナ州エイケン郡が、2010年2月16日の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)による許認可審査手続きの一時停止決定 を受け、2010年2月19日に、DOE、NRC等を相手取った訴訟を起こしていた 。同様に、2010年2月25日に民間3名、2010年2月26日にサウスカロライナ州、2010年4月13日にワシントン州が訴訟を起こしており、これらの4者による訴訟が併合されて手続きが進められてきた。これらの訴訟では、DOEによるユッカマウンテン計画の中止に向けた作業、ASLBでの許認可申請の取り下げ申請に関する審査手続きなどの差止請求を行うとともに、DOEによる許認可申請の取り下げ申請の可否が争点とされている。また、2010年5月3日、連邦控訴裁判所は、DOEによるユッカマウンテン計画の中止に向けた作業、及びASLBでの許認可申請の取り下げ申請に関する審査手続きなどの差止請求を却下したが、DOEによる許認可申請の取り下げ申請それ自体の可否については、口頭弁論を2010年9月に開催するなどとしていた 。
その後、2010年6月29日にASLBが、DOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めない決定を行ったことを受け、NRCなどは2010年7月2日に連邦控訴裁判所に対し、口頭弁論などのスケジュールの破棄、及びASLBの決定に対するNRCの委員会による最終判断が出るまで訴訟手続を一時停止することを求めて申立てを行っていた 。今回の連邦控訴裁判所の決定は、このNRCなどの申立てを認めたものである。
連邦控訴裁判所は、今後のスケジュールについて、ASLBの決定に対するNRCの委員会の最終決定から10日以内に、その後の訴訟手続きの管理に関する申立てを提出するよう当事者に命令している。
出典
- DC巡回区控訴裁判所、命令(2010年7月28日)
- 見解表明及び口頭弁論のスケジュールの破棄、及び訴訟の一時停止の申立て、原子力規制委員会(NRC)(2010年7月2日)
- エイケン郡による連邦控訴裁判所への訴状(2010年2月19日)
【2010年12月13日追記】
米国の連邦控訴裁判所は、2010年12月10日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、訴訟手続きの停止を解除すること、及び今後の訴訟スケジュールを以下のように決定した。
• 2011年1月3日:DOE、NRC等の被告及びネバダ州による趣意書の提出期限
• 2011年1月18日:サウスカロライナ州エイケン郡等の原告及び全米公益事業規制委員協会(NARUC)による応答趣意書の提出期限
• 2011年2月8日:最終趣意書の提出期限
【出典】
• DC巡回区控訴裁判所、命令(2010年12月10日)
【2011年1月11日追記】
米国の連邦控訴裁判所は、2011年1月10日、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡などが起こしている訴訟に関して、2011年3月22日に口頭弁論を行うことを決定した。同裁判所は、2010年12月10日に、訴訟手続きの停止の解除及び趣意書の提出期限を決定していた(2010年12月13日追記参照)。
【出典】
- 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(DC)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンDC地区における訴訟事件を取り扱う)。 [↩]
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )