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《スイス》ENSIが新規原子炉からの放射性廃棄物の処分の実現可能性を認定

スイスの連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2010年11月15日付のプレスリリースにおいて、3基の原子炉を新設するために原子力発電事業者が提出していた概要承認の申請に対する審査結果を公表した。ENSIは3カ所の原子力発電所が全て法定要件を遵守していると結論している。また、ENSIは、これらの概要承認の申請において、新規の原子炉からの放射性廃棄物の処分が実現可能であることが証明されているとする審査結果を示した。

原子力法は、原子炉や放射性廃棄物の地層処分場等の原子力施設の建設・操業には概要承認の取得が必要であることを規定している。同プレスリリースによると、今回の概要承認申請は、既存の3カ所の原子力発電所に3基の原子炉を新設しようとするものである。今後、2010年末までに、原子力安全委員会(KNS)がENSIの審査結果に対する見解を表明する。また、州には、2011年の初頭には、3件の概要承認申請に関して見解を表明する機会が与えられる。なお、連邦評議会による概要承認の発給に関する決定は2012年半ばと見込まれているが、連邦評議会の決定には、議会の承認が必要であり、また議会承認は、5万人の有権者の申請等により実施される国民投票の対象となる。なお、国民投票が実施される場合の実施時期は、2013年末頃とみられている。

ENSIの審査結果によると、各原子力発電事業者は、概要承認の申請とともに放射性廃棄物処分の実現可能性の証明に関する報告書を提出したとしている。この報告書の中で、各原子力発電事業者は、低中レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物について、それぞれ1988年6月及び2006年6月に連邦評議会が承認した処分の実現可能性の実証結果に依拠し、原子炉の新設によって発生する放射性廃棄物に対しても、原則的に地層処分が実現可能であるとしているとしている。

ENSIの審査結果は、現在、特別計画「地層処分場」の方針部分(以下「特別計画」という)に基づいて実施されているサイト選定手続において、新規原子炉からの放射性廃棄物を含めた全ての放射性廃棄物を処分できる処分場サイトの選定が進められていることに言及している。また、新規の原子炉から発生する放射性廃棄物の特性は、既存の原子炉から発生する放射性廃棄物と異なるものではないとしている。なお、原子力発電事業者は、建設許可申請時に放射性廃棄物のより具体的な発生量を提示し、処分の実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nagra)の最新の放射性廃棄物処分計画の中に言及されていることが証明されなければならないとしている。また、原子力法は、放射性廃棄物の地層処分場の概要承認の発給時には、処分する放射性廃棄物のカテゴリー及び最大処分容量を確定しなければならないことを規定している。

ENSIは、放射性廃棄物、放射性廃棄物の処理、封入、中間貯蔵、地層処分など新規の原子炉から発生する放射性廃棄物処分の全てに関して申請者が提示した情報は、原子炉の新設に向けた概要承認申請の段階では適切であり、十分に詳細であるとしている。その上でENSIは、新規原子炉のための概要承認申請の際に必要となる放射性廃棄物処分の実現可能性の実証は、申請書類によって確認されたとしている。

【出典】

【2011年1月13日追記】

原子力安全委員会(KNS)は、2011年1月10日付のプレスリリースにおいて、原子炉の新設のための概要承認申請に対する連邦原子力安全検査局(ENSI)の審査結果に関する見解を公表した。KNSは、ENSIが安全性に関して包括的で詳細な審査を行っており、ENSIの審査結果に概ね同意できるとしているが、地質学的情報の充実、航空機落下対策などの追加の指摘事項を示して、それらを概要承認の発給に当たって検討することを勧告している。

また、放射性廃棄物の処理処分について、KNSは、新規原子炉からの放射性廃棄物の発生量と処分の実現可能性に関して原子力発電事業者が提示した情報が、概要承認申請の段階で満たすべき要件に対応しているとしている。しかし、KNSは、地層処分場の母岩として有力なオパリナス粘土が稠密であるため、廃棄体に含まれる金属の腐食と有機物の分解等によって発生するガスの圧力により、バリア機能が損なわれる可能性があることから 、新規原子炉から発生する放射性廃棄物の処理に関して、以下を勧告している。

  • 廃棄体が地層処分場の化学的環境に適合していること
  • 廃棄体の金属と有機物の含有量をできるだけ少なくすること
  • 有機物を含む固化材を使用しないこと

【出典】

(post by y-nishimura , last modified: 2023-10-11 )