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《カナダ》カナダ影響評価庁(IAAC)が使用済燃料の地層処分プロジェクトの影響評価手続きを開始

カナダ影響評価庁(IAAC)は2026年1月5日、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)がIAACへ提出していた 使用済燃料の地層処分プロジェクトの「プロジェクト初期説明書(IPD:Initial Project Description)」(概要版)に対する意見募集に関する公告をWebサイトに掲載した。これによって、地層処分プロジェクトの規制プロセスの一環である影響評価手続きが開始された。
IAACは、この意見募集で寄せられたコメント等に基づき、評価の実施方法を策定するとともにNWMOに対し影響評価ガイドラインを提示する。

■カナダ影響評価庁(IAAC)による影響評価手続き

カナダにおける影響評価手続きは、影響評価法1 によって規定されている。影響評価手続きは、カナダ影響評価庁(IAAC)が大規模プロジェクトによる潜在的な影響を独立した立場で評価するものである。地層処分プロジェクトにおいては、プロジェクトの全ライフサイクルにおける規制当局であるカナダ原子力安全委員会(CNSC)とIAACの共同による統合評価(Integrated Assessment)として実施される  。IAACとCNSCは、影響評価法及び原子力安全管理法の要件を満たすため、「1件のプロジェクトには1件の審査(one project, one review)」という原則に沿って統合評価を実施するとしている。
表1に、影響評価の5段階のプロセスを示す。フェーズ1では、IAACがプロジェクトの影響評価書(Impact Statement)作成に必要な影響評価ガイドライン等を提示するとしており、このガイドラインには、NWMOが提出すべき評価に必要な情報、公衆との協議及び関与の方法、必要な許認可の種類などが含まれる。フェーズ2においては、IAACとCNSCがレビューパネルを設置し統合評価を実施するとしており、フェーズ3で、レビューパネルによる影響評価報告書が作成される。

表1 影響評価プロセス

フェーズ1

  • 提案者がプロジェクトの説明を提示し、公衆との関与活動が開始される。
  • IAACが当該プロジェクトの影響評価書(Impact Statement)作成に必要な影響評価ガイドライン等を提示する。

フェーズ2

  • 提案者が影響評価書を作成し提出する。
  • IAACと関係する規制当局が統合評価のためのレビューパネルを設置する。

フェーズ3

  • レビューパネルが提案者による影響評価書に基づき、提案されたプロジェクトが環境、健康、社会、経済に与える潜在的な影響(便益を含む)を検討する。
  • レビューパネルが公聴会を開催するとともに、公衆との関与活動等を実施し、影響評価の検討結果報告書を作成して大臣に提出する。

フェーズ4

  • 総督がプロジェクトを進めるかどうかを決定する。
  • プロジェクトを進めることができる場合、大臣が決定書(Decision Statement)を発行する。

フェーズ5

  • レビューパネルが評価に基づき許認可発給の決定を行う。
  •  IAACと関係する規制当局は、評価において特定された提案者が遵守しなければならない要件への対応について監督する責任を負う。

■影響評価における考慮事項

影響評価の実施にあたっての考慮事項は、影響評価法において規定されている。プロジェクトの実施おける主な考慮事項は以下のとおりである。

  • 発生可能性のある事故等に起因する環境、健康または社会的、経済的状況の変化と変化によってもたらされる肯定的及び否定的な結果や悪影響を軽減する緩和措置
  • 代替手段やその効果、及び代替案
  • 持続可能性への貢献の程度
  • カナダ政府の環境に関する責務及び気候変動に関するコミットメントの履行能力を妨げるまたは貢献する程度
  • 公衆からのコメント

■今後の予定

カナダ影響評価庁(IAAC)によるIPDに対する意見募集は2026年2月4日を期限としており、プロジェクトや評価プロセス、意見の提出方法等の説明会がオンラインで実施される。また、イグナス・タウンシップや近隣自治体において、IPDの印刷物を閲覧できるようにしている。当該プロジェクトのサイトエリアであるイグナス・タウンシップでは、コミュニティ関与委員会が主催しIAAC及びCNSCと協力してコミュニティ関与セッションを開催するとしている。

〈参考:日本の環境影響評価制度〉

日本では、道路、ダム、鉄道、空港、発電所などの事業について、環境影響評価法に基づく環境アセスメントが実施される。表2は、5段階で実施される環境アセスメントの手続きと目的をまとめたものである。

日本とカナダの制度の相違として、カナダの影響評価プロセスでは評価における考慮事項が法律で定められているが、日本では配慮しなければならない事項を事業者が検討して決定することや、カナダではフェーズ2の影響評価ガイドラインはIAACが作成しフェーズ3の影響評価報告書はレビューパネルまたはIAACが作成するが、日本では5段階のすべてで文書の作成を事業者が行うことが挙げられる。

表2 日本の環境アセスメントの手続きと目的

【出典】

  1. カナダ影響評価法は、従来のカナダ環境アセスメント法を見直し、それまで自然環境のみにフォーカスされていた影響評価の対象を、経済、社会、健康などにも拡大する形で2019年に施行された法律である。この法改正に伴い、カナダ環境アセスメント庁に代わりカナダ影響評価庁(IAAC)が発足した。 []

(post by nunome.reiko , last modified: 2026-01-22 )