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《スイス》新しい原子力令が連邦評議会によって制定される-新原子力法と共に2005年2月1日に施行

スイスの連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、2004年12月10日付のプレスリリースで、連邦評議会が新しい原子力令(KEV)を制定したことを発表した。この新原子力令は、連邦会議が可決して公布されていた新原子力法(KEG)(詳しくは こちらを参照)の施行規定を定めた法規命令であり、原子力施設に対する重要な安全要件などもこれによって定められることになる。この新原子力令は新原子力法と共に、2005年2月1日に施行されることも同プレスリリースで示されている。

UVEKのプレスリリースなどによると、この新原子力令の草案は意見募集のために2004年5月12日から8月13日までの間公開され、この期間中に合計68件の意見が提出されていた。今回制定された新原子力令では、草案に含まれる規定はそのまま採用しつつ、寄せられた多くの批判を考慮した修正が加えられているとしている。
これらの修正のうち重要な変更点に関し、地層処分については「深地層処分特別計画(詳細は こちら)」について規定した新原子力令第5条が追加されたことが述べられている。

また、UVEKのプレスリリースによると、連邦評議会が2004年8月18日に採択した保障措置令も新原子力法を法的根拠としているために、新原子力法・令と同時に施行されることとなっている。この保障措置令は、1978年にスイスと国際原子力機関(IAEA)との間で締結された保障措置協定と2000年の付属議定書の合意を具体化したものである。また、新原子力法の施行に伴って整備されるその他の法規命令として、原子力施設の作業員についての要件等に関する法規命令が、2005年半ばには意見募集のために公表される予定であるとしている。

なお、新原子力法は、2003年3月21日に連邦会議で可決され 、2003年5月27日に公布されている 。施行に当たっては、公布後100日目までに5万人以上の署名が集まれば、施行の是非が国民投票にかけられる制度が適用されることになっていたが、国民投票は実施されず、そのまま施行されることになっていた。2005年2月1日に新原子力法が施行されることにより、これまでの「原子力の平和利用に関する法律(原子力法、1959年)」および「原子力法に関する連邦決議(1978年)」が廃止されるほか、新原子力令によって、「原子力分野の定義と許認可に関する法規命令(原子力令、1984年)」、「最終処分場設置の準備行為に関する法規命令(1989年)」など4つの法規命令が廃止され、「原子力施設安全委員会(KSA)に関する法規命令(1983年)」など4つの法規命令が変更されることになる。

【出典】

  • 環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)2004年12月10日付プレスリリース
    http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/medienmitteilungen/artikel/20041210/02124/index.html?lang=de
  • エネルギー庁(BfE)ウェブサイト、2004年12月21日
    http://www.energie-schweiz.ch/internet/03362/index.html?lang=de
  • 新原子力令 Kernenergieverordnung (KEV)
    http://www.uvek.admin.ch/imperia/md/content/gs_uvek2/d/energie/div/23.pdf
  • (post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )