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《スイス》新原子力法が公布される(施行は早くて2005年)

2003年5月27日に、スイスにおいて新原子力法が公布された。2003年3月21日に連邦議会で可決されたこの新原子力法は、去る5月18日に行われた原子力利用に関する国民発案 1 が否決されたことにより公布に至った(新原子力法制定に関する詳細の情報はこちらを、原子力利用に関する国民発案の否決に関する詳細な情報は こちらを参照)。

同法の施行に当たっては、任意の国民投票 2 が適用されることが規定されているため(同法第107条)、公布後100日目に当たる2003年9月4日までに5万人以上の署名が集まれば、2004年に同法施行の是非が国民投票にかけられることとなる。

しかし、グリーンピースのウェブサイト情報によると、スイスにおける主な環境団体は、署名運動を行わない方針を示している。放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)からの情報でも、上述の国民投票の結果により反原子力発案を国民が明確に否決したため、新原子力法施行の是非を問う国民投票を行うための動きは少なく、国民投票には至らないと見ている。

連邦エネルギー庁(BFE)のウェブサイト情報によると、現時点における見込みとして、国民投票が行われない場合の新原子力法の施行は、以下の関連法令の制定・改正を行い、2005年1月1日には可能であろうとしている(今後の新原子力法の発効までの流れは下図を参照)。

  1. 原子力令の新規作成
  2. 放射線防護、緊急時対応、廃止措置基金、放射性廃棄物管理基金に関する政令の改正
  3. エネルギー令の改正

新原子力法が施行されると、原子力発電事業者は、政府に対して「放射性廃棄物管理計画書」を提出しなければならない(第32条)。この計画書は、原子力発電所の閉鎖までの資金計画を含む必要がある。計画書は連邦評議会が指定する機関によるチェックと、定期的な見直しが必要とされている。なお、計画書を提出する具体的な日程は連邦評議会が決定するとされている。

新しい原子力法の発効までのフロー図

【出典】

  • 新原子力法(Kernenergiegesetz) 2003.3.21
  • 連邦環境・運輸・エネルギー・通信省ウェブサイト 2003年5月18日プレスリリース (http://www.uvek.admin.ch/gs_uvek/de/dokumentation/ medienmitteilungen/artikel/20030518/01404/index.html)
  • 連邦エネルギー庁(BFE)ウェブサイト (http://www.energie-schweiz.ch/bfe/de/recht/gesetzgebungbund/index/html)
  • グリーンピースのウェブサイト (http://info.greenpeace.ch/de/atom/pressreleases_atom/pr230503)
  • 放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)提供情報より

  1. 国民発案および国民投票はスイスの憲法で認められているもので、国民は憲法の全面改正または一部改正を直接請求出来る権利を有している。連邦レベルでは、憲法の全面改正または一部改正を求める国民発案が提出された後、18カ月以内に10万人の署名が集まれば国民投票にかけらることができる。成立のためには、国民および州の両方で過半数の賛成が必要となる。なお、この場合の国民投票は下記の2)で説明する「任意の国民投票」との比較において、「義務的な国民投票」と呼ばれる。[]
  2. 任意の国民投票とは、連邦法や連邦政府の決定に対して、公布後100日以内に5万人の署名が集まればその施行の是非を国民投票にかけることができるというスイス特有の制度である。[]

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )