2003年6月11日、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(略称:放射性廃棄物等安全条約)の締結が国会で承認された。この条約締結の承認を求める議案は2003年3月に国会に提出され、同5月13日に衆議院で承認されており、この度参議院においても全会一致で承認されたものである。今後は、国会での承認を受けて内閣による批准が行われることになる。
放射性廃棄物管理に関しては、1994年9月に開催された国際原子力機関(IAEA)の第38回総会において、放射性廃棄物管理の安全に関する基本原則を定めるための条約を早急に検討開始することが決議されていた。この後、この決議に基づいて検討が行われ、1997年9月にウィーンで開催された外交会議において放射性廃棄物等安全条約が採択された。
放射性廃棄物等安全条約は前文及び44条の本文からなっており、概要は以下のとおりである。
- 締約国は、放射性廃棄物等の管理の安全を確保するため、放射性廃棄物等管理施設の立地、設計及び建設、安全に関する評価・使用の各段階において適当な措置をとる。
- 締約国は、条約に基づく義務を履行するために必要な法令上、行政上、その他の措置をとり、安全を規律するための枠組みの策定・維持並びにその実施にあたる規制機関を設立または指定する。
- 締約国は、放射性廃棄物等の自国から他国への移動は当該国への事前通報・同意がある場合にのみ認められるよう、適当な措置をとる。
- 締約国は、条約に基づく義務を履行するためにとった措置に関する報告を提出し、その内容を検討するための会合を開催する。
4に示した報告義務については、3年以内ごとに報告書の提出及び検討会合の開催が必要とされている。
この放射性廃棄物等安全条約は、25カ国による批准・承認等が行われてから90日後にあたる2001年6月18日に発効した。条約は42カ国によって署名されているが、批准・承認等の手続を終えた締約国は、2003年4月15日に批准書を寄託した米国を含めて31カ国となっている。なお、条約の発効後に批准・承認等を行った国については、批准書等が事務局機関であるIAEAに寄託されてから90日後に効力を生じることとなる。
【参考】
【出典】
- 外務省ウェブサイト (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/after.html)
- 国際原子力機関(IAEA)ウェブサイト (http://www-rasanet.iaea.org/conventions/waste-jointconvention.htm)
- 参議院ウェブサイト (http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho5.htm)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-12 )