2004年9月16日付けの韓国産業資源部(MOCIE)のプレスリリースにおいて、同年9月15日に締め切られた韓国の中低レベル放射性廃棄物処分場及び使用済燃料中間貯蔵施設に関する誘致の予備申請について、申請を行った地方自治体は無かったことが発表された。中低レベル放射性廃棄物処分場及び使用済燃料中間貯蔵施設の候補サイトの選定については、2004年2月に発表された公告 に沿って、住民投票を組み込んだ新しい方式で公募が開始され、同年5月末の時点で誘致請願を行った地域は7市・郡の10地域であった 。
政府は今回の結果を、自治体が自主的に下した決定であり謙虚に受け止めるとしている。また政府は、放射性廃棄物の処分施設の必要性をあらためて強調するとともに、今後は早々にサイト選定手続方式についての新たな案を策定し、地元住民、社会・市民団体などとの十分な話し合いを経て、国民のコンセンサスが得られるような透明性のある手続きを通じて、放射性廃棄物の管理事業を進めたいとの考えを示している。
一方、2003年7月24日に立地候補地として一旦選定された扶安郡蝟島(プアン郡ウィド)については、2004年2月の告示で、住民投票が実施されて可決した場合には、本申請が完了したものと見なされることが示されている が、政府はこの住民投票の実施は事実上困難と考えている。政府はウィドについて、新たな放射性廃棄物処分施設の推進策を策定する過程で、プアン住民、自治体などと緊密な協議を行うなど、解決策作りに取り組む方針を示している。
なお、2004年5月31日の誘致請願以降の動きとして、誘致地域に対する政府の支援意思を明確にする目的で、「放射性廃棄物処分施設の誘致地域への支援などに関する特別法」についての立法予告が2004年7月12日付けのMOCIEのプレスリリースにおいて発表されている。この立法予告においては、支援対象地域の市、郡、区単位の行政区域への拡大、廃棄物の搬入手数料の新設、誘致地域に提供される特別支援金(約3,000億ウォン(約270億円))の根拠の明確化、誘致地域支援委員会及び誘致地域実務委員会の設置などが示されており、誘致に向けた法制度の整備が進められていた。
【注】
韓国の地方自治体としては、広域自治体(ソウル特別市、仁川などの6つの広域市、道)とその下に基礎自治体(市(シ)、郡(グン)、特別市及び広域市の自治区(グ))があり、この基礎自治体の下部行政単位として邑(ウプ)、面(ミョン)、洞(ドン)がある。ここでの地方自治体は基礎自治体を指す。
【出典】
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )