カナダにおける核燃料廃棄物管理の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2004年9月15日、「選択肢についての理解 カナダの使用済燃料の長期管理」と題する報告書を公表した。この報告書は使用済燃料の長期管理方法の決定に向けた公衆との議論を行うための第2回目の報告書で、第1回目の報告書「適切な問題を設定しているか?」は、2003年11月に公表されている。NWMOのニュースリリースによると、この第2回報告書では、国民の価値観、倫理的考察や技術面での専門家のアドバイスに基づいた枠組みが示されており、以下の4つの点を示すことによって、将来カナダがどのように使用済燃料を管理すべきかについての対話を進めるとしている。
- NWMOが国民や専門家から学んだことの報告
- 現在検討されている使用済燃料管理アプローチの記述
- 管理アプローチを評価する枠組みがどのように構築されてきたかの記述
- 議論のための管理アプローチの予備的な評価の提示
また、NWMOが国民や専門家から学んだこととして、全国で開催した対話集会から得た国民の価値観等や第1回報告書に対する意見やアドバイス等が示されるとともに、現在検討されているサイト貯蔵、集中貯蔵、地層処分の3つのアプローチに関する詳細記述及び予備的な評価がなされ、それぞれの利点、欠点が述べられている。なお上記以外のアプローチに関しては、評価の対象外としているが、ある程度、国際的に関心を集めているアプローチ、特に核種分離・変換技術や国際共同処分場に関しては、引き続き注意を払うことが述べられている。
本報告書では、NWMOの今後の活動として、検討中の管理アプローチそれぞれの経済面での評価を含めた特徴、カナダ楯状地以外の地層での処分、また管理すべき廃棄物のタイプや量及び再利用の可能性を検討していくとともに、管理アプローチの実施計画の策定も始め、これらの作業が終了し、本報告書についての意見を得た後、最終報告書の草案作成に着手する予定となっている。NWMOは、この草案を公表することにより、最終報告書作成以前に国民の意見等を得ることを望んでいるとしている。
NWMOのウェブサイトでは、NWMOが国民の意見等に今後も継続的に耳を傾けていくことが重要であるとし、本報告書を通して、幅広く意見等を募っており、特にNWMOが提案する管理アプローチを比較するための方法やそれぞれのアプローチの利点、欠点についての意見を求めている。
今後のスケジュールとしては、2005年初頭に、「進むべき道の選択-草案」という最終報告書の草案を第3回目の報告書として公表し、2005年11月15日に天然資源大臣に対して最終報告書を提出した後、最終的には、2006年に管理アプローチが決定される予定である。
【出典】
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)9月15日付けニュースリリース http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=740,50,19,1,Documents
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)ウェブサイト 9月15日 http://www.nwmo.ca/Default.aspx?DN=164,163,159,18,1,Documents
- Understanding the choices. The Future Management of Canada’s Used Nuclear Fuel, 2004, NWMO
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )