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《米国》NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)がユッカマウンテン処分場の許認可取り下げを認めない決定

2010年6月29日、米国の原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、エネルギー省(DOE)が提出していたユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めない決定を下した。

ASLBは6月29日付で公表した文書において、DOEによるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に関して、反対のために提出されていたヒアリング手続に対する当事者申請とともに、2010年3月3日にDOEが提出していた許認可申請の取り下げ申請などについて以下の結論を示した。

  • サウスカロライナ州、ワシントン州、サウスカロライナ州エイケン郡、プレーリーアイランド・インディアン共同体、全米公益事業規制委員協会(NARUC)の当事者申請を承認する。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)において、DOEが許認可申請を取り下げる権限を持っていないとする当事者申請をした者の争点の有効性を承認する。
  • 上記の当事者申請をした者が提案していたその他のすべての争点についての判断を保留する。
  • フロリダ公共サービス委員会による第三者としてのヒアリング手続への参加及びDOEの許認可申請の取り下げ申請へ反対する覚書の提出を承認する。
  • DOEによる許認可申請の取り下げ申請は否認する。

ASLBは、DOEの許認可申請の取り下げ申請を認めない理由として、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)において連邦議会が規定した手続では、DOEは許認可申請を取り下げる権限を有していないためとしている。また、ASLBは、連邦議会はDOEに対し、処分場の許認可申請を提出すること、及びNRCが同申請を検討して最終的な決定を下すことを指示しており、DOEが連邦議会の指示なしに許認可申請を取り下げることで、法律で規定された意思決定プロセスを逸脱することはできないとしている。

さらに、ASLBは、DOEが同意していない政策に関する許認可申請を継続することは合理的でないなどとしている点について、法律が要求している場合、DOEやその他の行政機関は必ずしも同意していない政策を実施することを求められる場合があるとし、NWPAが要求するように、DOEは許認可申請を継続することが可能であり、継続するものと信じているとしている。

連邦議会上院の実質トップであるリード議員(民主党、ネバダ州選出)は、2010年6月29日のプレスリリースにおいて、ASLBの今回の決定は残念であるが、NRCの5名の委員がDOEの許認可申請の取り下げ申請について再度見直しを行い、NRCを代表して最終決定を行うであろうとしている。

【出典】

【2010年7月8日追記】

2010年6月30日、原子力規制委員会(NRC)は、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)がユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請を認めないと決定したことに関し、ヒアリング参加者に対して以下の命令を行った。

  • すべてのヒアリング参加者は、2010年7月9日までに、NRCの5名の委員がASLBの決定を再審理する、決定を覆す、または支持すべきかどうかについて、最初に弁論趣意書を提出すること。
  • すべてのヒアリング参加者は、2010年7月16日までに、提出された弁論趣意書に対する意見を示した応答弁論趣意書を提出すること。

また、2010年7月2日、DOEによる許認可申請の取り下げ申請の可否に関する訴訟に関連し、NRCなどは連邦控訴裁判所に対し、2010年9月23日に口頭弁論を行うなどとしたスケジュールを破棄し、NRCの5名の委員が、ASLBの決定に対する最終判断を下すまで、訴訟手続を一時停止するよう申立てを行った。

【追記部出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )